結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35628号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3237235号商標(以下、「本件商標」という。)は、「MCMDXA」の欧文字と「エムシーエムディエックスエー」の片仮名文字を上下二段に書してなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成5年12月10日登録出願、同8年12月25日に設定登録されたものである。
請求人の引用する登録第1485954号商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第21類「バンド類、かばん類、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和52年4月8日登録出願、同56年10月30日に設定登録されたものである。同じく、登録第1485955号商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和52年4月8日登録出願、同56年10月30日に設定登録されたものである。同じく、登録第1745593号商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和52年4月8日登録出願、同60年2月27日に設定登録されたものである(以下、まとめて「引用商標」という。)。
請求人は、結論同旨の審決のを求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
請求人である「MCM Holding AG(エムシーエム ホールディング アクチエンゲゼルシャフト)」は、1976年の創設よりドイツ連邦共和国、スイス国等において高級バック及びアクセサリー等の製造・販売をする企業であり、1991年には、世界20ケ国以上アメリカ、ヨーロッパ、アジアに120店にも及ぶブティックを展開し、商品もサングラス、化粧品、ジュエリー、ネクタイ、ペン、アパレルを扱うに及んでいた。この間請求人は、製造、販売する商品の名称の語頭部分に「MCM」の文字を使用し続けた(甲第5号証ないし甲第7号証)。これにより、社名である「MCM Holding AG(エムシーエム ホールディング アクチエンゲゼルシャフト)」及び「MCM」の文字は、本件商標出願時には著名性を我が国においても獲得していた(甲第8号証ないし甲第12号証)。
ところで、本件商標は、上下二段の構成よりなり、上段に欧文字「MCMDXA」が、下段に「エムシーエムディエックスエー」の片仮名が配されている。したがって、本件商標には、請求人の著名な略称である「MCM」の文字が含まれていることは明白である。
(2)商標法第4条第1項第11号、同第15号について
本件商標は、上記した構成よりなるが、本件商標の上段は欧文字6文字という一体と認識するには不自然な長さで構成されていること、また、下段は上段を構成する欧文字の発音を片仮名表記したものであるが、かかる冗長な片仮名表記も一体として認識すべき特段の事情も認められない。したがって、本件商標は、欧文字中「MCM」の部分及び片仮名中「エムシーエム」の部分から、「エムシーエム」の略称をも生じる。
これに対し、引用商標は、「MCM」の欧文字とその文字下部に付された図形より構成されるものであるが、文字と図形が常に一体不可分に認識される特段の事情が見いだされないこと、反対に「MCM」の文字が請求人「MCM Holding AG(エムシーエム ホールディングアクチエンゲゼルシャフト)」の名称中の語頭部と完全に一致すること、及び迅速繁忙な商取引においては文字のみを称呼し取引に当たる実情からして、その構成中の文字部分「MCM」も要部であること明らかである。したがって、「MCM」の文字部分から「エムシーエム」の称呼が生じる。
上記の如く両商標から共に「エムシーエム」の称呼が生ずることから、外観、観念について言及するまでもなく、両商標が称呼上類似することは明らかである。また、引用商標と本件両商標の指定商品が、同一又は類似していることは明白である。
また、引用商標は、提出した証拠から極めて著名性の高い商標であることが明らかである。
よって、本件商標がその指定商品に使用された場合には、引用商標を使用する請求人の業務に係るものであるか、または、請求人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるとの誤解を需要者に与えることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第7号、同第19号について
本件商標の権利者「廣瀬郁夫」氏は、著名ブランドと酷似する多数の商標を登録出願している(甲第13号証ないし甲第19号証)
以上のような商標が全て被請求人により創造・採択されたものであるとの認識は、到底持つことはできない。むしろ、係る商標の採択の裏には、著名な商標の信用を剽窃、フリーライドせんとする明確な意思があったと読みとらざるを得ない。かような登録商標の存在は、これが指定商品について独占排他的に使用されることにより、被請求人と請求人の製造・販売に係る優れた品位を有する製品との関係において後者の出所表示機能を稀釈化せしめることになり、請求人に重大な損害を与えるのは明らかであると共に、健全な商品流通秩序を混乱に陥れ商品流通秩序の維持と謂う商標法の目的にも反するものである。
よって、本件商標が公の秩序又は善良な風俗を害する恐れがある商標であり、また他人の著名な商標と類似の商標を不正の目的をもって使用するものであることも明白である。
請求人の提出した甲各号証を徴すれば、請求人である「エムシーエム ホールディング アクチエンゲゼルシャフト」は、バック、ネクタイ等を製造・販売をする企業として各国のみならず、我が国においても広く知られていることが認められる。
そうして、請求人は、「MCM」の文字を顕著に有する引用商標若しくは「MCM」の文字をバックに使用し、本件商標の出願時には我が国においても著名性を獲得していたものと認められる。(甲第8号証ないし甲第12号証)。
そこで、本件商標をみると、本件商標は「MCMDXA」の欧文字と「エムシーエムディエックスエー」の片仮名文字を上下二段に書してなるところ、全体の文字よりは特定の意味を有する成語として存在しないから、取引者、需要者をして、欧文字6文字を書したものと認識、理解されるものというのが相当である。
しかして、本件商標は、その構成中の前半部に上記した請求人の著名な商標「MCM」の文字を含むものである。
してみれば、本件商標の指定商品はファションに関連する商品であって統一ブランドの下にトータル的にファションをまとめようとする昨今においては、本件商標をその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者が構成中の「MCM」の文字に着目し、請求人の使用する著名商標「MCM」を想起又は連想し、該商品が請求人、又は、請求人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれのあるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、請求人の他の請求理由を判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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