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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35237号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2533508号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和61年10月8日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成5年5月31日に登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録を無効とすべきものとする理由に引用する登録第1240435号商標は、「テック」の文字よりなり、昭和44年6月10日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同51年12月13日に登録され、同じく登録第1668400号商標は、「TEC」の文字よりなり、昭和53年4月12日登録出願、第11類「電球類および照明器具、民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具」を指定商品として、同59年3月22日に登録され、いずれも現に有効に存続するものである。

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。

1 請求の理由

(1)本件商標は、別掲のとおり、格別に深い印象を与えるものとは思えない図形を背景に、「SUPER−TECH SONY」の欧文字を大きく表し、下部に小さく「SONY」の文字を表した構成よりなるものである。

本件商標は、このような構成から、顕著に表される「SUPER−TECH SONY」の部分に着目され、「スーパーテックソニー」と一連に読まれることもあるかも知れないが、これが指定商品について商標として使用された場合、取引書類等において、常に「SUPER−TECH SONY」のように記載されたり、「スーパーテックソニー」と称呼されるものとは思われない。顕著に表される「SUPER−TECH SONY」部分が「SUPER」「TECH」及び「SONY」の組み合わせであることは容易に認識されるものであり、さらに「SONY」が指定商品等について、本件商標の商標権者の商標として著名なものであることも誰もが認めるところであるから、「SONY」部分は、特に注目され、必ずしも前半の「SUPER−TECH」と一連にのみ称呼観念されるものとは考えられない。「SONY」の「SUPER−TECH」印とか、さらに「SUPER」を省略し、「TECH」印のように把握、認識される。

ちなみに、請求人の別件出願(「SuperTEC」商願平4−35637)に対し、本件商標を引用され、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして拒絶理由通知を受けている。「SUPER−TECH」を要部として機能するものと見ているものである。

他方、本件商標の審査過程において請求人が登録異議の申立てをしたのに対し、その異議決定においては、「SUPER−TECH SONY」は、「卓越した技術のソニー」のような意味合いのものとして認識されるから、本件商標の構成中の「SUPER−TECH」は本件商標の要部ではないとの判断が示されている。

ほぼ同時期の審査において、このように別々の判断が示されているが、結局は、「SUPER−TECH SONY」が一連に見られる場合と、「SUPER−TECH」の部分が分離して見られる場合とがあるということであり、どちらかに決められるというほどに明確ではないということである。

また、本件商標の審査段階における異議決定では、「SUPER−TECH SONY」が「卓越した技術のソニー」のような意味合いのものとして認識されるから、「SUPER−TECH」は分離しないといわれているのであるが、これも一義的に決まるものではない。

商標は、自他商品の識別標識として指定した個々の商品について使用するものであり、企業広告のためのキャッチフレーズのようなものではないから、「卓越した技術のソニー」のように把握されるとは限らない。むしろ、「SONY」の「SUPER−TECH」とか、「SONY」の「TECH」印のように見られることの方が多いものと思われる。

本件商標からは、前述のように「スーパーテック」又は「テック」のみの称呼をも生ずるものというべきである。

他方、引用各商標は、それぞれ前記のような構成から「テック」と称呼されるものであることは明らかである。

そこで、本件商標と引用各商標を比較すると、共に「テック」の称呼を生ずるものであるから、称呼上類似するものである。

本件商標の指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似するものであることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)本件商標は、請求人の長年の使用により周知となっている「TEC」との関係で、取引者又は需要者に商品の出所について混同を生じさせるおそれのあるものである。

請求人は、「TEC」「テック」をその取扱いに係る流通システム情報機器を中心とする商品の商標として長年使用しているほか、昭和47年に「テック電子株式会社」を設立したのをはじめ、本件商標出願時には、国内関連会社として、「テック情報通信株式会社」「株式会社テックシステムズ」「テックエンジニアリング株式会社」「テック柏谷電機株式会社」「テック富山電機株式会社」「テック田方電機株式会社」「テック宇佐美電子株式会社」「テック三福株式会社」を持ち、全国百数十か所のサービスステーション等とともに、テック(TEC)ファミリーを形成して広く営業活動を展開していたものである。

また、海外においても、「TEC AMERICA ELECTORONICS,INC.」「TEC FRANCE S.A」等、10か国以上に生産及び販売の拠点を置くなど、国際的ネットワークの下に活動しているものであって、少なくとも、流通システム情報機器を中心とする商品分野において、「TEC」「テック」といえば、直ちに、請求人会社を想起させるほどに浸透しているものである。

関連会社等は、その後、整理していったとはいえ、商標は一貫して「TEC」「テック」を使用し続けているものであり、また、社名も現在のものとしたものである。この分野における「TEC」「テック」の周知、著名性は変わらない。

かような状況にあるのに、前述のように「スーパーテック」とか、場合により「テック」と称呼されるような構成の本件商標をその指定商品について使用するときは、「テック」の称呼あるいはこれを含む「スーパーテック」の称呼が前記請求人の「テック」に通じることから、当該商品が請求人と何らかの関連のあるものと誤認され、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

2 被請求人の答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標は被請求人の商標として著名な「SONY」の語を含むから、取引者又は需要者は「スーパーテックソニー」と一連に称呼するか、「ソニー」とのみ称呼するものであると主張するが、むしろ、「SONY」が著名な社名社標であることを知っている取引者又は需要者は、「スーパーテックソニー」のような冗長な称呼にはよらず、「ソニー」とのみ称呼するか、愛称的な「スーパーテック」の称呼によることになるのが普通である。そして、その場合において、「テック」は、引用商標の称呼に通じることから、本件商標が引用商標と類似することになり、また、特にPOSシステム等に使用して著名となっている引用商標と混同を生ずるおそれがあることは、他人が「ソニー」を含む商標を使用した場合に、「SONY」と混同することになる場合と同じである。

また、本件商標が「SONY」との関係で「工業学校」とか「tecnology」というような意味合いでのみ把握されるものとも思われず、さきの請求理由にも述べたとおり、特許庁においても、本件商標の構成中の「SUPER−TECH」が要部として機能するものと認められているほどであるから、引用商標「テック」「TEC」との関係で商品の出所の混同を生ずるおそれのあることは明らかなところである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。

1 本件商標は、その構成中に、.商標権者の商標として著名なものである「SONY」の語を含むものである。かかる「SONY」の語は、請求人も請求の理由中において「本件商標の商標権者の商標として著名なものであることも誰もが認めるところであろう」と述べているとおり、他の語に比較して、強い識別力を有していると考えられる。

よって、本件商標を称呼する際には、通常の取引者、需要者は、「スーパーテックソニー」と一連に称呼し、また、簡易迅速を潔しとする取引界において省略して称呼される場合には、強い識別力を生じさせる語である「ソニー」のみを称呼するものである。

この点、本件商標の構成中、強い識別力を有していると考えられる「SONY」の語を除いて、「テック」の称呼のみが生じると考えることは、需要者の通常有する注意力をもって判断する判断基準から剥離しており、現実的ではないものと思料する。

上記のとおり、本件商標から生じる「スーパーテックソニー」又は「ソニー」の称呼と、引用各商標から生じる「テック」の称呼は、いずれも明らかに非類似である。

また、本件商標の外観及び観念については、請求人からの請求の理由中にも特に記載がないとおり、類似ではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しないものである。

2 本件商標の構成中には「TECH」の語が含まれてはいるものの、「TEC」の語は含まれていない。確かに「TEC」の態様からなる語に対しては、請求人の主張する混同の可能性が生じる場合もあるのだろうとは考えるが、本件商標の構成中の「TECH」の語は、英和辞典に示したとおり、「工業学校」又は「tecnology」の略語である。

したがって、本件商標中の「TECH」の態様からは、英和辞典に掲載されている語の意味が観念として生じる場合はあったとしても、異なる態様である「TEC」の商標との関係で混同が生じるおそれがあるとはいえないものである。

3 上述のごとく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第15号のいずれにも該当しないことが明らかであるので、本件審判請求は棄却されるべきものである。

第5 当審の判断

本件商標は、別掲のとおり図形と文字との組合せよりなるものであるところ、これらは常に一体不可分のものとしてのみ把握されるとは限らず、図形部分、文字部分もそれぞれ独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと認められる。しかして、該構成中の文字部分においては、上段の「SUPER−TECH SONY」と下段の「SONY」とに分離して看取され、そのいずれもが独立して看者の認識の対象となりうるものであって、前者からは「スーパーテックソニー」、後者からは「ソニー」の称呼が生ずることはその構成文字に徴し明らかである。

ところで、上段の「SUPER−TECH SONY」の文字部分については、後半の「SONY」の文字(語)が商標権者(被請求人)の会社、及びその製品名として著名なものであって強い識別力を有していることから、該文字(語)と「SUPER−TECH」の文字とにさらに分離して認識されるものであるが、前半の「SUPER−TECH」の文字は、「超、上の、一流の」などの意味を表す接頭語である「SUPER」と、「technical(技術的)」又は「technology(科学技術)」等の英語の略語として親しまれている「TECH」とをハイフン記号で連結したものであり、その全体は「卓越した技術」ほどの意味合いの語として看取され、本件商標の指定商品に包含される各種機械器具について使用する場合には、商品の記述的用語として自他商品の識別標識としての機能を有しないか、若しくは、その機能に乏しいものといわざるを得ず、とりわけ強い識別力を有する「SONY」の文字(語)に冠して使用された本件商標の場合にあっては、該「SONY」を修飾する語句とみられて、独立しては商品の選別に資されるものとは認め難く、結局、本件商標よりはその構成文字に相応して「スーパーテックソニー」の一連の称呼か、あるいは強い識別力を有する「SONY」の文字に相応し「ソニー」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。

これに対し、引用各商標は、それぞれの構成に徴し、「テック」の称呼を生ずること明らかであり、また、登録第1668400号商標はさらに「ティーイーシー」の称呼をも生ずるものである。

そこで、本件商標より生ずる「スーパーテックソニー」又は「ソニー」の称呼と引用各商標より生ずる「テック」さらには「ティーイーシー」の称呼とを比較するに、両者は、その構成音を著しく異にするものであって、称呼上十分聴別しうるものと認められる。

また、両商標は、それぞれの構成に徴すれば、外観、観念上も類似するものとはいえない。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観、観念のいずれの点よりみても類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

さらに、請求人の提出に係る証拠を検討したが、引用各商標が本件商標の登録出願時、請求人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めがたいところであり、先に述べたように本件商標の構成中の「SUPER−TECH」の文字部分は、後に続く「SONY」の文字(語)を修飾するものとみられ、独立した標識部分としては認識され得ないというべきであるから、この部分に「TEC」の文字を含み、称呼の一部に「テック」の音を含む場合があっても、そのことから直ちに引用商標を連想、想起するとは認められず、本件商標をその指定商品について使用しても、請求人又は同人と関係ある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものとはいえず、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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