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Trademark Appeal Case

図形商標の色と称呼・観念

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35409号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4183048号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲第一商標のとおりの構成よりなり、平成9年3月28日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同10年8月28日に設定登録されたものであるが、その指定商品中「ひげそり用せっけん,ひげそり用化粧品」については、商標権の一部放棄による抹消の登録がなされているものである。

2.引用商標

請求人が引用する登録第570991号商標(以下、「引用商標A」という。)は、別掲第二商標のとおりの構成よりなり、昭和34年6月30日に登録出願、第3類「白粉及化粧下」を指定商品として、同36年5月1日に設定登録、同じく登録第1556645号商標(以下、「引用商標B」という。)は、別掲第三商標のとおりの構成よりなり、昭和36年6月12日に登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同57年12月24日に設定登録、同じく登録第1765388号商標(以下、「引用商標C」という。)は、別掲第四商標のとおりの構成よりなり、昭和48年7月30日に登録出願、第4類「化粧品(リンス、ヘアートリートメント剤、ブラツシング剤、ヘアースプレー、ヘアートニツク、ヘアーリキツド、ヘアークリーム、ヘアーカラー、ヘアーダイ、ふけ取り効果を有する頭皮用トリートメント、おしろい、化粧水及び薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同60年5月30日に設定登録されたものであって、いずれも現に有効に存続するものである。

3.請求の趣旨及び請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第22号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)請求の理由

a)本件商標に対して、平成10年12月21日付けで登録異議の申立てをしたところ、平成11年5月18日付けで「本件商標は、「アカイハネ」(共同募金に使用される赤い羽根)の称呼、観念を生ずるものと認められるから、「ハネ」(羽根)、「フェザー」等の称呼・観念を生ずる引用各商標とは非類似のものとみるのが相当である。」として、本件商標の登録を維持する異議決定がなされたが、本件商標から「ハネ」(羽根)の称呼及び観念が生じる可能性がある。

本件商標は、鳥の羽根を写実的に表し、全体を赤色に着色したものである。鳥の羽根の色は多種多様であって、甲第1号証の図鑑に記載されているように、赤色の羽根のほか、緑・黄・青・白・茶・灰・オレンジ・紫・黒などの色の羽根が存在する。

赤い羽根は、ディズニーでおなじみのピーターパンやピノキオの頭に飾りとして付けられているが、通常、ピーターパンの頭の飾りが何かと問われれば、即座に「羽根」という答えが返ってくる。

本件商標は、このように実際に存在する色付きの羽根の中から、赤い羽根を選んでそのまま出願し登録されたものである。要するに、実際に存在する羽根の図そのままの登録である。その羽根の色が赤色であるといっても、実際に存在する羽根の一つであることに変わりはない。色が赤色であろうが黄色であろうが鳥の羽根である。

「レッドフェザー/REDFEATHER」の出願商標に対して、登録商標「FEATHER」が引用され、この出願は拒絶されている。このことは、「レッドフェザー」であろうが「フェザー」であろうが「羽根」の観念に変わりがないと認定し、出願人もその認定に従ったということである。すなわち、「レッドフェザー」も「フェザー」も同じ「羽根」の観念で記憶する人間が存在するという事実を証明している。

したがって、本件商標から「アカイハネ」の称呼及び「赤い羽根」の観念を生ずることは否定できないが、単に「ハネ」或いは「トリノハネ」の称呼及び「羽根」或いは「鳥の羽根」の観念を生ずる可能性があることも否定できない。

例えば、赤い薔薇の図形のみがあれば、その図形から単に「バラ」の称呼と「薔薇」の観念が生じる。むしろ、わざわざ「アカイバラ」と称呼したり「赤い薔薇」の観念で記憶することの方が少ないのではないかと思われる。ただし、「赤い薔薇」と文字で書けばそのまま「アカイバラ」と称呼されるといえるかもしれない。また、赤い色をした風船のみの図形があれば、「アカイフウセン」と称呼するよりも、色に関係なく、単に「フウセン」と称呼される可能性の方が多いと思われる。

以上のように、本件商標は、「赤い羽根」の文字でなく、写実的な鳥の羽根の図形のみからなるので、色に関係なく、単に「ハネ」と称呼され「羽根」と観念される可能性は十分にあるといわざるを得ない。

商標が、商品の包装に使用されるときは、商標のほかに製造者や販売者等の表示、商品名やキャッチコピー等の文字が記載され、あるいは図形や線図等の模様が付されることが普通である。何もないところに商標だけがポツンと書かれている包装はありえない。そのようにして付された文字や模様は、消費者の印象を良くするためにきれいな色彩が付されることも普通である。

そうすると、製造者等の表示や商品説明の文字、あるいは色分けした模様の一部が赤色で表わされているときに、本件商標である赤い色の羽根が付されていても、特段、赤色が強調されるわけでなく、赤色の他の文字や模様と色を合わせた程度くらいに解釈されて、わざわざ「アカイハネ」と称呼せずに単に「ハネ」と称呼され「羽根」と観念される可能性は強い。また、文字や模様が赤色でなくて他の色であっても、近年の商品の包装はカラフルであるから、赤い色の羽根が付されていても、そのカラフルな文字や模様の中の赤い羽根は、赤が特に意識されることなく、図形の「羽根」のみで称呼され観念されることは起こり得ることである。実際にそのようなケースは数多く存在する(甲第18号証)。

本件商標に対する異議決定謄本には、「なお、本件商標は、「アカイハネ」(共同募金等に使用される赤い羽根)の称呼、観念を生ずる」とあるように、「アカイハネ」と言えば誰でも共同募金の「赤い羽根」を連想することは確かである。それほど「赤い羽根」は共同募金を表示するシンボルとして、国民の間に深く浸透している。

したがって、本件商標は確かに赤い羽根であるが、これを「アカイハネ」と称呼すると、共同募金の「赤い羽根」のことかと誤解されるおそれがあるから、それを避けるために敢えて「アカイハネ」と称呼せずに「ハネ」とのみ称呼する可能性は十分にあると言える。

以上述べたように、本件商標から「ハネ」の称呼及び「羽根」の観念が生ずる可能性は十分にあるといわざるを得ない。

これに対して、引用商標Aは、2枚の鳥の羽根を根元部分で交差した図形の上方に円弧状に英語で「TRADE MARK」と書き、その図形の下方に英語で「“FEATHER”」と書いて成る商標であり、引用商標Bは,2枚の鳥の羽根を根元部分で交差した図形のみから成る商標であり、引用商標Cは、2枚の鳥の羽根を根元部分で交差した図形の上方に円弧状に英語で「TRADE MARK」と書き、さらにその上方に漢字で「羽根印」と書き、図形の下方に英語で「“FEATHER”」と書いてなる商標である。

これら、各引用商標の図形は、いずれも中心の長手方向に羽軸が延びており、その羽軸から無数の枝骨が両側に張出し、各枝骨は一本一本が全長に亘って接している。これらの特徴はまさに鳥の羽根の特徴そのものである。

引用商標Aは、そこに書かれている「“FEATHER”」の文字が「羽根」を意味することはよく知られており、そこに描かれた羽根の図形と相俟って「羽根」の観念を生ずるものである。

引用商標Bは、2枚の鳥の羽根を根元部分で交差した図形から成るので、「二枚羽根」の観念を生ずる可能性があるが、単に「羽根」の観念も生ずる可能性がある。

引用商標Cは、そこに書かれている「羽根印」の文字から、その文字の通り「羽根」の観念が生ずることは明白である。また、これら各引用商標から「ハネ」の称呼が生ずる可能性があることは明らかである。

このように、各引用商標から「ハネ」の称呼及び「羽根」の観念が生ずる。

したがって、本件商標と各引用商標とは、称呼及び観念が同一の類似商標である。また、本件商標の指定商品と各引用商標の指定商品とは抵触している。

b)上述したように、「なお、本件商標は、「アカイハネ」(共同募金等に使用される赤い羽根)の称呼、観念を生ずる・・・」と異議決定にも書かれるほど、「赤い羽根」という言葉は、赤い羽根の共同募金を表示するものとして著名なシンボルである。すなわち、「赤い羽根」の図形及び「赤い羽根」の文字は、社会福祉法人中央共同募金会の募金事業を表示するものであって、著名なものであることは論を待たない。

これに対して、本件商標は「赤い羽根」の図形商標であり、「赤い羽根」の観念及び「アカイハネ」の称呼を生ずる可能性がある。

このことから、本件商標は、公益に関する事業であって営利を目的としない共同募金事業を表示する著名な標章である「赤い羽根」の図形及び「赤い羽根」の文字に類似する。

c)次に、請求人は、二枚羽根の図形商標について昭和7年に登録を受け、昭和8年から同商標を安全かみそりの替刃に使用し始め、昭和28年以前から全国的に著名になっていた。このことは、登録第522575号商標の登録を無効とした昭和35年審判第496号審決、昭和55年行(ケ)第33号高裁判決においても認められている。

二枚羽根の図形商標は、その当時から現在まで継続して両刃かみそりの替刃に使用し続けられており、今も現に使用されている著名商標である。両刃かみそりの替刃は、ステンレス製の替刃とカーボン製の替刃の二種類あって、前者のシェアは少なくとも80%には達しており、スーパーなどの量販店ではほとんど請求人の商品以外に見当らない状態である。また、後者の替刃のシェアはほとんど100%に近いといっても過言ではない状態である。その他に、家庭整髪用かみそり替刃にも二枚羽根の図形商標が使用されており一般家庭人にも良く知られている。

更には、別掲第五商標のとおりの構成よりなる登録第617097号商標(以下、「引用商標D」という。)について、防護商標登録が、第1、4、5、6、7、11、13、19、21、23、25、26、27、28、30、31類の多くの商品区分に登録されている。これらの防護標章は、二枚羽根の図形と「“FEATHER”」の文字を含んでおり「羽根」の観念を生じる著名商標である。

次に、甲第10号証の審決において「本件商標の指定商品シャンプーと引用の商標を付する安全剃刀刃とは、同一の場所において販売されることが多く、また同一人において製造されることがあり、かつ美容又は清潔の用に供される商品であるということができる。」とある。また、甲第11号証の判決でシャンプーと安全剃刃との関連性について「両者は共に美容又は清潔の用に供される商品で、・・・両者はその製造及び販売経路において関連する商品ということができる。」とある。この審決及び判決は、シャンプーと安全剃刀刃とについて関連性ある商品といっているのであるが、我が国及び外国の大手のカミソリメーカーはすべて、安全かみそりを製造販売するほかに、化粧品であるシェービングクリームやシェービングフォ−ムを製造販売しており、国内では請求人と貝印カミソリ株式会社が製造販売しており、外国ではジレット、シック及びウイルキンソンが製造販売している。このことはスーパーなどの量販店のかみそり売場にこのような会社のシェービングクリームやシェービングフォームが陳列されていることから自明である。

このことから、本件指定商品の中の「せっけん類,化粧品」についても、シャンプーと同じく、安全剃刀刃とは、製造者・販売者が同一で、同一の場所において販売され、かつ美容又は清潔の用に供される商品であるということができるから、これら化粧品も安全剃刀刃と関連性ある商品である。

以上の次第で、登録第237032号商標は著名であり、当該商標と本件商標とは共に羽根をモチーフにしているので観念が同一で紛らわしい商標である。また、登録第237032号商標が使用される安全かみそり刃或いはかみそり刃と本件指定商品中「せっけん類,化粧品」は前述した通り関連性のある商品である。

さらに、引用商標D及び別掲第六商標のとおりの構成よりなる登録第4156916号商標(以下、「引用商標E」という。)は、共に特許庁ホームページ「日本国周知・著名商標検索」掲載の商標である。また、AIPPI作成の「日本有名商標集」にも請求人所有の商標「FEATHER」が掲載されている。

これらのことから、本件商標がその指定商品中「せっけん類,化粧品」に使用されるときは、需要者はそれを安全かみそりで有名な請求人又は請求人と何らかの関係がある者の製造販売に係る商品と思い、商品の出所について混同を生じるおそれがある。

d)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号、同第11号及び同第15号の規定に該当し、同法第46条第1項第1号の規定により無効にされるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

a)答弁の理由(2)について

被請求人は「本件商標は多種多様の鳥の羽根の中でも特に赤色を施したものであり・・・その色彩はどうでもよいどころか看者に決定的印象を与えるものと考える。」と主張している。

しかし、被請求人及びその関連会社が製造販売している「NIVEA/DEODORANT」に使用されている羽根の色彩は緑がかった薄い青色である。色彩が看者に決定的印象を与えるものであるならば、出所機能を果たすべき商標はすべて赤色に統一されてなければならないはずである。それなのに、緑がかった薄い青色の羽根の商標も使用するということは、被請求人にとって本件商標は「羽根」の観念を与えればそれでよいのであって、「赤い羽根」の限定的な観念を与えようとしていないことがよく理解できる。

したがって、本件商標は、取引の実際においては、単に「羽根」の称呼又は観念を生じる可能性が高く各引用商標と類似しているといわざるを得ない。本件商標の商標見本が願書に貼付された状態は、黒い印刷文字だけが書かれた紙片の中にまっ赤に着色された赤い羽根だけがやけに目立つので、この場合は特に赤い羽根と観念される場合が多いともいえるが、いつもそのような状態でないことは上述の通りである。

b)答弁理由(3)について

被請求人は、赤い羽根の募金活動が、商品市場とは別次元の行為であるとの前提で答弁している。しかし、商標法第4条第1項第6号の規定自体が商品市場とは別次元なのであるから、被請求人の理由は妥当性を欠いている。また、この項の最後に「互いの出所の混同を生ずることはないと考える。」と答弁しているが、第4条第1項第6号の規定は出所混同の防止規定でないから、この理由も妥当性を欠いている。

c)答弁理由(4)について

本項に「本件登録の実際の使用においても羽根の持つ柔らかさから、肌に優しいイメージをねらったものであり」と答弁している。この文章からいえば、肌に優しいイメージをねらうのであれば、羽根の色は何でもよく単に羽根の観念が生じればよいということになる。だから、現実の商品には緑がかった薄い青色の羽根も商標として使用しているのである。「肌に優しいイメージをねらう」ために使用するのであれば、赤色の羽根でなくてもよいのだから、本件商標が絶対に赤い羽根であると固執するのは、被請求人の上記答弁と矛盾している。さらには、請求人の商標から「羽根」の称呼・観念が生じることは明かであるが、請求人がこのような商標を化粧品やかみそりに使用するのは、被請求人のいう「肌に優しいイメージ」をねらっているからである。

また、被請求人は、本件商標の指定商品から「ひげそり用せっけん,ひげそり用化粧品」を削除した。しかし、その残りの指定商品に含まれる「制汗デオドラント」に使用するものであるといって、乙第2号証を提出している。しかし、「制汗デオドラント」は、脇の下の手入れのために使用される化粧品であるが、「かみそり」も脇の下の毛を剃るために使用されることは周知のことである。したがって、指定商品を一部放棄しても無効理由が解消したわけでない。

以上の次第で、請求人が羽根の商標を使用して肌に優しいイメージを与えているところに、被請求人が羽根の商標を使用して肌に優しいイメージを与えようといているのであって、請求人の著名商標に便乗しようとするものである。

4.答弁の趣旨及び被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第3号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

請求人は、本件商標から「ハネ」の称呼、「羽根」の観念が生ずると主張するが、色彩は文字又は図形と結合することにより商標の構成要素となり得、本件商標は、多種多様の鳥の羽根の中でも特に赤色を施したものであり、鳥の羽根の色は鳥によって異なるとの前提(即ち鳥の羽根であれ、バラ、風船にしろ常識的な色が特定されない)からすれば、その色彩はどうでもよいどころか看者に決定的印象を与えるものと考える。

それ故に本件商標から「アカイハネ」の称呼・観念が生ずるとした異議の決定理由は極めて常識的なものであり、これを異とすることはできない。

なお大正製薬のかぜ薬「バブロン」の事例は、「大正のワシのマーク」として著名であるからワシの色が何色であろうと「ワシ」の称呼・観念が生ずるものであって本件の参考になりえない。

(2)商標法第4条第1項第6号について

請求人は、本件商標が「アカイハネ」の称呼・観念で認識された場合、共同募金のシンボルである「赤い羽根」の図形及び文字に類似すると主張するが、申すまでもなく「赤い羽根」共同募金運動といわれ、各都道府県で行われる民間団体の募金活動は、商品市場とは別次元の行為であり、「赤い羽根」が商品であるとか、商標であるといったイメージはなく、従って、例えば本件商標を付した商品に対し、そのバックに共同募金会がいるとか、その定価には寄付金が含まれているとか、そのように認識されることはなく、ましてやその使用が共同募金会の権威を失墜させるかのような誤解を生ずることも考えられない。

従って、本件商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとするのは、同号の机上論的拡大解釈であり、常識的にみて(少なくとも共同募金事業を表示するシンボルとして著名なものであるとするならば)出願の審査において既にチェックされているはずであり、同じ標章といっても国の紋章、都市の紋章、大学の紋章、あるいは「JETRO」等といったものとはその主体、活動を異にし、同一には論じられないものと考える。

なお、本件商標から「赤い羽根」といった称呼・観念が生ずるとしても、図形において共同募金の「赤い羽根」(鶏の羽根)とは写実的イメージを異にしており、互いの出所の混同を生ずることはないと考える。

(3)商標法第4条第1項第15号について

請求人の引用する登録第2370032号商標外2件の商標が「安全かみそり」について著名であるとしても、二枚羽根を根元の部分で交差させた図形と本件商標は非類似であり、また、本件商標から「フェザー」の称呼が生じないため本件商標を付した商品の購入者に請求人と何らかの関係があるかの如き出所についての混同を生じさせる虞は考えられず、この点は請求人の杞憂にすぎない。

それは請求人も述べているように、実際に販売される商品の包装には当該商標のみが付されて販売されるものではないことからも明らかで、本件商標の実際の使用においても羽根の持つ柔らかさから、肌に優しいイメージをねらったものであり、請求人の著名商標にフリーライドするような意図でないことはその態様からも明らかである。

なお、被請求人は、請求人が「安全かみそり」と関連ある商品、例えばシェービングクリーム等を製造・販売しているか不知であるが、本件商標は「制汗デオドラント」に使用するものであるから、その指定商品より「ひげそり用せっけん,ひげそり用化粧品」に係る権利を放棄した。

5.当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲第一商標のとおり、やや図案化されてはいるが、横向きにした鳥の羽根一枚を赤色で描いてなると容易に理解させるものであるから、これよりは「アカイハネ」(赤い羽根)の一連の称呼・観念のみ生ずるものというべきである。

他方、引用商標Bは、別掲第三商標のとおり、横向きにした鳥の羽根二枚をX状に交差するように描いた写実的な図形よりなるものであり、引用商標Aは、別掲第二商標のとおり、引用商標Bと同様の図形と、その上部に「TRADE MARK」、下部に「“FEATHER”」の欧文字を配した構成よりなるものであり、引用商標Cは、別掲第四商標のとおり、引用商標Aと同様の図形及び文字と、その上部に「羽根印」の文字を配した構成よりなるものであるから、引用商標A乃至Cは、その構成よりみれば、それぞれ「ハネ(ジルシ)」「フェザー」(羽根)の称呼・観念を生ずるものと判断するのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「アカイハネ」(赤い羽根)と引用商標A乃至Cより生ずる「ハネ(ジルシ)」「フェザー」(羽根)の称呼・観念を比較するに、両者の称呼については、その音構成、音数の差などにより明瞭に区別し得るものであり、また、観念においても、前者の「赤い羽根」と後者の「羽根」とは相違するものといわざるを得ない。

さらに、両商標は、前記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上も類似のものとすることができない。

したがって、本件商標と引用商標A乃至Cは、その外観・称呼・観念のいずれの点よりみても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

なお、請求人は、「本件商標から「アカイハネ」の称呼及び「赤い羽根」の観念を生ずることは否定できないが、単に「ハネ」或いは「トリノハネ」の称呼及び「羽根」或いは「鳥の羽根」の観念も生ずる。」旨主張するが、同人も認めるように、鳥の羽根は、赤色の他、白、緑、黄、青など多種類の色の羽根が存在していて、赤色が鳥の羽根の属性を表すものとはいえないばかりでなく、例えば、「赤い羽根募金」「緑の羽根募金」の如く、羽根の色を違えることにより、異なった意味合いを表現するものとして使用されている実情のあることも併せ勘案すれば、一般的に「羽根」「鳥の羽根」といった場合と具体的に「赤い羽根」「赤い鳥の羽根」といった場合には、それぞれ別個のものとして把握、理解されるとみるのが相当であるから、前記請求人の主張は採用できない。また、請求人が挙げる審査例(甲第19号証及び同第20号証)は、本件と事案を異にするものである。

(2)商標法第4条第1項第6号について

本件商標は、別掲第一商標のとおり、鳥の翼部分の長い羽根をやや図案化して全体を赤色で描いてなるものである。これに対して、社会福祉事業の一環として行われている「赤い羽根募金」において、その募金に参加した人に贈られる「赤い羽根」飾りは、鶏の短い羽毛部分を赤く染めて作製されたと認められるものである。

してみれば、本件商標は、前記の募金に参加した人に贈られる「赤い羽根」とは、色彩が同一であっても、その外観において著しく相違するものであるから、これに接する取引者・需要者が、当該募金の「赤い羽根」を想起するものとはいい難い。

また、「赤い羽根」自体は、共同募金事業のシンボルではあっても、その事業を表示する標章ということはできない。

さらに、「赤い羽根募金」が共同募金事業を意味するものとして広く一般に認識されていることは否定し得ないが、「赤い羽根」の文字のみが、単独で、その事業を表示する標章として著名なものということはできない。そして、前記認定を左右するに足る証拠は見当たらない。

したがって、本件商標は、その構成から「アカイハネ」(赤い羽根)の称呼・観念を生ずるとしても、公益に関する事業であって営利を目的としないもの(赤い羽根募金)を表示する著名な標章と同一又は類似のものとすることはできない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

請求人主張の如く、横向きにした鳥の羽根二枚をX状に交差するように描いた写実的な図形と、その上部に「TRADE MARK」、下部に「“FEATHER”」の欧文字を配した構成よりなる引用商標D(別掲第五商標)及び「FEATHER」の欧文字を書してなる引用商標E(別掲第六商標)が、請求人の業務に係る商品「安全かみそりの替え刃」を表示するものとして著名であることは認め得るとしても、本件商標は、「アカイハネ」(赤い羽根)の一連の称呼・観念のみ生ずるものであること前記(1)の認定のとおりであって、引用商標D及びEとは別異のものであるから、これをその指定商品(商標権の一部放棄に係る商品「ひげそり用せっけん,ひげそり用化粧品」を含む。)に使用しても、請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第6号、同第11号及び同第15号のいずれにも違反してなされたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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