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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2021−900070(T2021−900070/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6325268号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6325268号商標(以下「本件商標」という。)は、「AOSEE」の文字を標準文字で表してなり、令和2年5月26日に登録出願、第11類「ランプ,ランプ用ケーシング,祭りの飾り用飾りランプ,クリスマスツリー用電気式ランプ,乗物用ライト,紫外線ランプ(医療用のものを除く。),電気式調理用圧力鍋,パン焼き機,冷却用の設備及び機械,空気消浄装置,ガス浄化装置,家庭用電気式扇風機,ヘアドライヤー,ヒートガン,管及びパイプライン用蛇口,自動給水又は散水用設備,浴槽類,くん蒸消毒用機械器具(医療用のものを除く。),蒸気式美顔器,濾過式浄水器,硬水軟化装置,湯たんぽ,電気式ラジエーター,電熱式ソックス,点火器」を指定商品として、同年11月10日に登録査定され、同年12月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり、現に有効に存続しているものである。

国際登録第938339号商標(以下「引用商標」という。)

商標の態様 別掲のとおり

指定商品及び指定役務 第1類、第7類、第9類、第11類、第17類、第19類、第37類、第42類及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務

国際登録日 2006年(平成18年)11月13日

事後指定日 2013年(平成25年)4月17日

設定登録日 平成28年2月5日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。

(1)申立人について

申立人は、ポンプを含む農業用器具の修理店として1949年に設立されたドイツの企業であり、1966年以来、地下水用ポンプや噴水の開発を始めて現在に至っている。また、申立人は、1968年にその社名を「OASE−PUMPEN August Wubker Sohne GmbH&CO Maschinenfabrik」に変更し、社名の一部を構成する「OASE」を社名商標(ハウスマーク)として使用している。申立人の「OASE」商標は、2006年にブランド・リニューアルをきっかけに引用商標の態様となって使い続けている(甲3、甲4)。

引用商標は、申立人が製造、販売する全ての商品に使用されており、申立人が販売する商品は、一般消贅者向けの室内、室外用の水槽及びその水槽の管理、維持に必要なアクセサリやガーデニングに係る商品として、フィルター、ポンプ、照明装置、酸素供給装置、掃除装置、水中生物の飼育用品や水槽等を販売しており、また、公共スペースヘの噴水企画・設置等を提供している(甲3〜甲6)。

申立人は、1949年に設立以降、全世界に約950人の従業員を抱え、本国のドイツを含め、フランス、イタリア、イギリス、ベルギー、ハンガリー、ポーランド、スペイン、トルコ、日本、シンガポール、中国、米国を含む15か国に営業所を構えており、また、7か国の製造元を有し、100か国以上に販売をしている(甲7)。

申立人は、水に係る屋外商品において全世界で首位を占める供給者であり、本国のドイツでは市場占有率が4割を超え、全世界的には2.5割程度となり、年間売上は、1.8億ユーロ(約230億円)に達している。申立人の最近5年の売上は、2016年度1.46億ユーロ(約188億円)、2017年度1.51億ユーロ(約194億円)、2018年度1.52億ユーロ(約195億円)、2019年度1.65億ユーロ(約212億円)、2020年度1.80億ユーロ(約230億円)である(甲7)。

申立人は、引用商標の広告、宣伝のために国際的な展示会にも参加している。ドイツ、中国で開かれた国際展示会に参加する他、ガーデン雑貨、園芸用品、エクステリア資材など160社が出展する国際ガーデンEXPOに2020年、2021年連続で出店した(甲7、甲8)。また、その噴水部分では、2019年にルーマニアのブカレストで開催されたマルチメディアファウンテンショーや中国の蘇州で開催された世界最大のウォーターカーテンに参加した(甲3)。

以上からすると、申立人は、ドイツを含め全世界的に屋内、屋外の水環境に関する製造、販売業者としてその名が知られている優良企業であり、その社名の一部を要部とする引用商標は一般需要者に広く知られていることが明らかである。

(2)引用商標の我が国での使用について

申立人は、我が国において、一般消費者向けの室内、室外用の水槽及びその水槽の管理、維持に必要なアクセサリやガーデニングに係る商品を販売、噴水施設に設置に関する役務を提供しており、2018年度約111万ユーロ(約1.5億円)、2019年度約16万ユーロ(約0.2億円)、2020年度約22万ユーロ(約0.3億円)、2021年度約10万ユーロ(約0.1億円)の売上げを獲得している。

また、積極的に自社商品の広告、宣伝活動を行い、広告宣伝費として、2019年度約8万ユーロ(約1051万円)、2020年度約2万ユーロ(約263万円)、2021年度約1万ユーロ(約131万円 2021年4月13日までのもの。)を費やしている。

申立人の一般消費者向けの室内、室外用の水槽及びその水槽の管理、維持に必要なアクセサリやガーデニングに係る商品は、我々国において、北海道、宮城県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、奈良県、大阪府、和歌山県、兵庫県、香川県、愛媛県、高知県、山梨県、広島県、福岡県、長崎県、鹿児島県等、全国21か所の都道府県において、ペット用品店やホームセンターで販売されており、また、オンラインショップを介し、全国的に販売されている(甲7、甲9、甲10)。

具体的に、東京都には、トロピランド荒川店、パウパウアクアガーデン銀座店、東京サンマリン、トロピランド小平店、ロフト渋谷店等を含め、10か所の店舗で展示、販売されている(甲7、甲9、甲10の1)。また、インターネットを通じて、日本販売店「株式会社チャーム」により自社ウェブサイト、楽天市場(甲7、甲10の2〜6)、及び日本アマゾン(甲10の7〜13)で販売されている。

なお、申立人の商品の中、観賞用アクアリウムは、植物、花好きが集まるコミュニティである「GreenSnap」というオンラインコミュニティに商品が紹介されている(甲7、甲11の1〜3)。また、申立人の商品は、そのデザイン性が注目を浴びており、世界的に有名な歌手が来日の際、その商品の前で写真を撮り、本人のインスタグラムにアップすることにより、更に注目を集めている(甲7、甲第11号証の4)。

申立人の噴水、水景施設の企画、設計、施工、メンテナンスに関する役務は、日本会社「DoScience」を介して提供されている。「DoScience」は、日本公式販売者として「水景機器のグローバルリーディングカンパニー」と申立人の会社を紹介しており、業界では申立人が国際的に有力企業であることが明らかである(甲7、甲12)。

以上からすると、申立人は、我が国で屋内、屋外水槽等に使用されるフィルターや観賞用アクアリウムの製造、販売者及び屋外噴水の企画、設置に関する役務の提供元としてその名が知られている優良企業であり、その社名の一部である「OASE」を要部とする引用商標は一般需要者に広く知られていることが明らかである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

ア 本件商標について

本件商標は、5つの欧文字「AOSEE」が標準文字で左書きして構成され、全体として辞書等に載録のない語であって、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものである。

本件商標は、造語ということであって、その称呼に定めはなく、欧文字からなる造語商標の称呼は、一般需要者に親しみのある外国語に倣って生じさせたり、ローマ字表記に倣って称呼を生じさせたりすることが自然であり、外国語に倣って称呼が生じる場合、一般的に英語式に倣って称呼が発生する可能性が多々ある。

しかしながら、本件商標は、語尾が「EE」であるため、この頃、全国的なテレビ広告を通じて一般的に親しむようになったフランス語「MUSEE」を連想させる可能性がある。そうすると、本件商標よりは、(1)フランス語式の読み方に倣い「アオゼ」、(2)ローマ字表現に倣い「アオセエ」、(3)英語式の読み方に倣い「エイオーシー」、という複数の称呼が生じ得ると考えられる。

イ 引用商標について

引用商標は、全体は水色であり、4つの欧文字「Oase」の右上に二つの水玉状図形が位置しており、またその下に四角状枠に白抜きで欧文字「LIVING WATER」が付されている。

引用商標の構成要素「Oase」、「水玉状図形」、「LIVING WATER」部分は、互いに不可分に結合したといえないから、分離観察が行われるのが自然である。そして、その構成要素中、「LIVING WATER」部分は、配置上、「Oase」よりかなり小さく表示されており、その意味も「生きている水」として水に関わる指定商品との関係で指定商品の用途や品質を示す語として識別力が弱い部分であり、また、「水玉状図形」は、全体の構成中、片隅に位置しており、その図形から特定の称呼や観念を生じるまでとはいい難いので要部とはいえない。

一方、「Oase」部分は、申立人の社名を構成する社名商標として機能しており、引用商標の要部として抽出されて観察されるべきである。よって、本件商標と引用商標の比較においては、要部である「Oase」部分を抽出し、観察比較を行う。

引用商標の「Oase」は、申立人が設立されたドイツの言葉によると「オアシス」をいう既成語である。そのため、ドイツ語の知識がある一般需要者は、ドイツ語の読み方に倣って称呼が生じると思われる(甲3)。さらに、申立人の商品は、そのドイツ語の称呼に倣い、片仮名表記で「オアゼ」として取引されている。申立人の周知度から、一般需要者は、容易に「オアゼ」という称呼を連想されると思われる。

そうすると、引用商標からは、「オアゼ」という称呼が生じ得ることが最も自然である。

ウ 本件商標と引用商標の類否について

(ア)需要者について

引用商標の使用に関わる商品は、屋内、屋外の水槽及びその水槽環境に必要な「照明器具、冷却装置、空気清浄装憧、浄水装置、水道用栓」等で、本件商標の指定商品と類似する。

これらの商品は、単独で使用されるものではなく、常にそのものがおかれる場所との関係を考慮して購入されるものである。そのため、需要者は、商品を手に取り、又は商品の展示場に寄り、商品の実物そのものに深く注意を払って購入する傾向がある。また、人の命や安全に直結する商品ではないため、自分の好みを注視し商品を選択する傾向がある。そうすると、これらの商品に関する需要者は、商標に対する注意力がよほど高いとは考えられない。さらに、類似群を共通する商品群は、主にホームセンター等で取引される事情を考慮すると、ホームセンターでは、商品の価格表示等のタグにおいて、ロゴ商標から文字のみを抽出して小さい文字で表示することが多く、文字列が似ている商標は、外観による混同が生じ得る可能性が高いと思料する。

(イ)外観の類似について

本件商標は、欧文字「AOSEE」からなり、引用商標の要部は、欧文字「Oase」からなり、いずれも商標を構成する欧文字は、「A」、「O」、「S」、「E」と共通する。そのため、本件商標と引用商標は、外観において混同を生じ得る可能性がある。

(ウ)称呼の類似について

前述のとおり、本件商標からは、「エイオーシー」、「アオゼ」、「アオセエ」という称呼が生じ得る一方、引用商標の要部からは、「オアゼ」という称呼が生じ得る。

本件商標から生じ得る複数の称呼の中、本件商標が造語であり決められた称呼が直ちに連想されない点、構成文字より親しみのある英単語は容易に連想されない点、この頃、一般需要者の外国語読みに関する常識が向上している点を考慮すると、一般需要者は、長々とする称呼よりは簡単に称される「アオゼ」という称呼を好むように思われる。

そうすると、本件商標からは、「アオゼ」という称呼が生じるのが最も自然である。

よって、以下、本件商標から生じる「アオゼ」と、引用商標から生じる「オアゼ」を比較する。

本件商標から生じる称呼と引用商標から生じる称呼は、同じく3音節からなり、3音節目の「ゼ」が共通する。ただ、第1音節と第2音節において「ア」と「オ」が入れ替えられている点が異なる。

第1音節と第2音節において「ア」と「オ」の相違は、「ア」と「オ」はいずれも50音表の同行に属する音であり、両商標から生じ得る称呼を著しく聴別できるようにするものではない。そのため、「アオゼ」と「オアゼ」は、語感が似ていて、明確に聴別できるものではない。

よって、両商標の称呼は類似する。

(エ)観念の類似について

上述のとおり、本件商標は辞書に載録のない造語であり、引用商標の「Oase」部分は、ドイツ語でオアシスを意味する既成語であるが、一般需要者の外国語の知識水準を考慮すると、引用商標の「Oase」部分よりドイツ語のオアシスという意味が直感できるとまではいい難いため、引用商標の「Oase」部分より「オアシス」の意味が直ちに看取されるとはいい難く、一種の造語として認識されることが明らかである。

そうすると、本件商標と引用商標は、両方とも特定の意味のない造語と認識されることから、観念の比較ができず、互いに区別できない。

(オ)まとめ

本件商標と引用商標の取引者及び需要者を考慮すると、商標に関する注意力が高いとはいえず、また商標の外観によってよく混同をする傾向があるように思われる。そうすると、本件商標と引用商標は、その外観上、構成文字を共通しており、一見して区別し難く、また、称呼も類似するものであり聴別し難い商標である。

よって、両商標は、互いに類似する商標である。

(4)商標法第4条第1項第15号について

申立人の引用商標は、申立人が1968年にその社名を変更して以来、申立人の社名商標として長年にわたって全世界で使用してきており、少なくとも本件商標の登録出願時及び登録査定時にわたって水槽及びその維持、管理用品、水中生物飼育商品との関係で我々国において高い周知性を獲得している。また、申立人の引用商標と本件商標は互いに類似であり、混同を生ずるおそれがある。

申立人は、「水環境」に関わるすべての商品を取り扱っており、本件商標の指定商品中、「ランプ,ランプ用ケーシング,冷却用の設備及び機械,空気製造装置,ガス浄化装置,家庭用電気式扇風機,管及びパイプライン用蛇口,自動給水又は散水用設備,浴槽類,くん蒸消毒用機械器具(医療用のものを除く。),過式浄水器,硬水軟化装置,電気式ラジエーター」との関係ではその商品の出所について混同するおそれがあり、その他の指定商品との関係では、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係があるとして商品の出所について混同を生ずるおそれがあることが明らかである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録を取り消すべきである。

(5)商標法第4条第1号第19号について

申立人の引用商標は、一般消費者向けの室内、室外用の水槽及びその水槽の管理、維持に必要なアクセサリやガーデニングに係る商品として、フィルター、ポンプ、照明装置、酸素供給装置、掃除装置、水中生物の飼育用品や水槽等を販売しており、公共スペースヘの噴水企画、設置等を提供してきており、本国のドイツ国を含め全世界において需要者の間に広く認識されている。

また、申立人は、日本全国において、ペット用品専門店やホームセンター等の実店舗のみならず、インターネットを通じて商品販売を行っている。そのため、本件商標権者は、本件商標の登録出願日前に申立人の引用商標の存在を知り、不正の目的を有し、引用商標と類似する商標を出願したと容易に推測される。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、その登録を取り消すべきである。

(6)商標法第4条第1項第10号について

申立人の引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されており、本件商標とは類似である。また、本件商標の指定商品中、「ランプ,ランプ用ケーシング,祭りの飾り用飾りランプ,クリスマスツリー用電気式ランプ,乗物用ライト,紫外線ランプ(医療用のものを除く。),電気式調理用圧力鍋,パン焼き機冷却用の設備及び機械,空気清浄装置,ガス浄化装置,家庭用電気式扇風機,管及びパイプライン用蛇口,浴槽類,濾過式浄水器,硬水軟化装置,電気式ラジエーター,電熱式ソックス,点火器」は、引用商標の使用に係る商品と販売部門等が共通し、類似する商品に該当する。

よって、本件商標は、前述の指定商品との関係で商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録を取り消すべきである。

(7)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は類似であり、本件商標の指定商品中、「ランプ,ランプ用ケーシング,祭りの飾り用飾りランプ,クリスマスツリー用電気式ランプ,乗物用ライト,紫外線ランプ(医療用のものを除く。),電気式調理用圧力鍋,パン焼き機冷却用の設備及び機械,空気清浄装置,ガス浄化装置,家庭用電気式扇風機管及びパイプライン用蛇口,浴槽類,濾過式浄水器,硬水軟化装置,電気式ラジエーター,電熱式ソックス,点火器」は、引用商標の指定商品と類似群を共通する類似の商品である。

よって、本件商標は、その指定商品中、前述した指定商品との関係で商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録を取り消すべきである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

申立人は、ドイツにおいて1949年に設立、1968年から「OASE」をハウスマークとして使用し、2006年から引用商標を使用しており、室内、室外用の水槽、そのアクセサリ及びガーデニングに係る商品(以下「申立人商品」という。)を販売し、また、公共スペースヘの噴水の企画、設置等(以下「申立人役務」といい、「申立人商品」と「申立人役務」をまとめて「申立人商品役務」という。)を提供している企業であって、欧米諸国を中心に営業所を有していることが認められる(甲7)。

また、近年、国際的な展示会に出展したこと(甲7、乙8)、我が国において、申立人商品はペット用品店やホームセンター等で販売されているほか、オンラインショップを通じて販売されていること(甲7、甲9、甲10)、申立人のウェブページ、カタログ及び一部商品に引用商標を表示していること(甲4、甲6、甲7、甲10)などが認められる。

さらに、申立人は、水に係る屋外商品などの供給者として世界の首位であること、ドイツでは市場占有率が4割を超えること、2016年度から2020年度の年間売上は約190億円ないし約230億円であること、及び我が国における2018年度から2021年度の申立人商品役務に関する年間売上は約1.5億円ないし約0.1億円であることなどを主張している。

イ 上記アによれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品役務を表示するものとして、ドイツをはじめとする欧米諸国及び我が国で使用されていたと認められる。

しかしながら、申立人の2016年度から2020年度の売上高やドイツにおける市場占有率などの主張については、その詳細は明らかではなく、また、申立人商品役務が、世界各国で販売又は提供され、我が国においても販売店やインターネットを介して販売又は提供されていることはうかがえるものの、その販売開始時期や販売数などといった詳細は明らかではない。

さらに、我が国における2018年度から2021年度の年間売上を主張しているが、その売上額と申立人商品役務との関係は明らかでなく、その売上額を裏付ける具体的な証拠の提出はない。

加えて、申立人商品役務の我が国における市場占有率、宣伝広告の回数及び期間に係る主張はなく、広告宣伝費については、2019年度ないし2021年度の費用を提示しているものの、その費用の多寡について、比較、検討するための証拠の提示がない。

そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

(ア)本件商標は、「AOSEE」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書類に載録されている既成の語ではなく、また、特定の意味合いを生じる語として知られているものとも認められない。

そうすると、本件商標は、これに接する者をして、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表してなるものと看取されるとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、「アオシー」又は「エイオーシー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(イ)なお、申立人は、本件商標は語尾が「EE」であるため、この頃、全国的なテレビ広告を通じて一般的に親しむようになったフランス語「MUSEE」を連想させる可能性があるから、本件商標よりは、フランス語式の読み方に倣い「アオゼ」の称呼も生じる旨主張している。

しかしながら、本件商標の語尾が「EE」であることをもって「MUSEE」といったフランス語を連想させるというよりも、むしろ、本件商標は、上記(ア)のとおり、造語として認識されるものであり、称呼するにあたっても、より親しまれている英語に倣った発音がされるというのが相当であるから、本件商標の後半の「SEE」の部分は、平易な英語「see」が「シー」と発音されるのに倣い「シー」と称呼されるというべきであって、本件商標からは上記(ア)の称呼を生じるものというのが自然である。

また、他に、本件商標から「アオゼ」の称呼をも生じるものとして検討すべき事情は見いだせないから、申立人のかかる主張は採用できない。

イ 引用商標

引用商標は、別掲のとおり、ややデザイン化された青色の「Oase」の文字とその右横に水滴状の図形を2つ縦に並べ、その下に白抜きで「LIVING WATER」の文字を書した略長方形を配した構成からなり(水滴状の図形及び略長方形は同じ色調の青色であるが、「Oase」の文字の青色とは色調が異なる。)、その構成態様から「Oase」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。

そして、「Oase」の文字は「オアシス」の意味を有するドイツ語であるとしても、我が国において一般に親しまれ、知られているものとはいえないことから、特定の意味合いを看取されることのない一種の造語と理解されるものである。

そうすると、引用商標は、「Oase」の文字から「オアセ」又は「オアゼ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標と引用商標において独立して自他商品識別標識として機能し得る「Oase」の文字部分とを比較すれば、両者は、構成文字のデザイン、構成文字数など構成態様が明らかに異なるから、容易に区別し得るものである。また、その差異が、5文字又は4文字といった短い文字構成からなる両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において相紛れるおそれのないものである。

次に、本件商標から生じる「アオシー」又は「エイオーシー」と引用商標から生じる「オアセ」又は「オアゼ」の称呼を比較すると、語頭の「ア」又は「エ」と「オ」という明らかな差異を有し、その他の音についても共通する部分はないから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、相紛れるおそれのないものというのが相当である。

さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

エ 小括

以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであり、さらに、上記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものということはできない。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者において、申立人や引用商標を連想、想起するということはできず、よって、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであり、さらに、上記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものということはできない。

そして、申立人の提出に係る証拠をみても、本件商標権者が、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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