Trademark Appeal Case
著名商標「アタック」の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2021−900141(T2021−900141/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6342335号商標(以下「本件商標」という。)は、「メラノアタック」の片仮名及び「meLano attack」の欧文字を上下二段に表してなり、令和元年12月6日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,スキンホワイトニングクリーム,化粧用肌用パック,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同2年12月21日に登録査定、同3年1月19日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する商標(以下、まとめて「引用商標」という場合がある。)は、以下のとおりであり、現に有効に存続している。
(1)登録第1929596号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「アタック」
登録出願日:昭和59年2月1日
設定登録日:昭和62年1月28日
書換登録日:平成19年6月20日
指定商品:第3類「せつけん類,歯磨き,化粧品,香料類」
(2)登録第4197016号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「アタック」(標準文字)
登録出願日:平成9年6月26日
設定登録日:平成10年10月9日
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
(3)登録第5229836号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「Attack」(標準文字)
登録出願日:平成20年9月5日
設定登録日:平成21年5月15日
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつげ用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」
(4)登録第1929596号商標防護標章登録第1号(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「アタック」
登録出願日:平成9年7月11日
設定登録日:平成11年6月25日
指定商品:第3類「かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染め抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
(5)登録第1929596号商標防護標章登録第2号(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「アタック」
登録出願日:平成9年7月11日
設定登録日:平成11年6月25日
指定商品:第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人は、創業1887年の総合日用品メーカーである(甲7)。
申立人は、1987年にコンパクト衣料用洗剤「アタック」を販売開始した(甲8の1、2)。「アタック(Attack)」は、その後、液体洗剤や部分洗い用液体洗剤、漂白剤、柔軟剤を配合した粉末洗剤等も販売され、30年を越えるロングランシリーズである(甲9)。
また、申立人の「アタック」は、認知度に関する「2019年6月ブランド力調査」においてトップ、シェア率を調査した「2020年7月ブランド力調査」においてもトップであった(甲10、甲11)。さらに、日経MJ(流通新聞)による2019年上期ヒット商品番付では、「アタックZERO」が番付入りし(甲12の1、2)、雑誌「LEE」の「LEEハピ家事大賞2021」においては洗濯部門の大賞に選ばれる(甲13の1〜3)など、人気を博している商品である。
イ 申立人は、引用商標1を基本商標として、第3類及び第5類に防護標章登録(甲5、甲6)され、著名商標として認定されている。
また、J−platpatの「日本国周知・著名商標検索」において、日本国の著名商標として、申立人の「アタック」を検索することができる(甲14)。
ウ 過去の審決例(甲15、甲16)において、需要者の間に広く認識され、周知、著名な商標であると認定されており、申立人の商標「アタック」が著名性を有することは顕著な事実である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、上段に「メラノアタック」の片仮名、下段に「meLano attack」のローマ字を上下二段に横書きしてなり、片仮名部分はローマ字部分の振り仮名として表されている。
そして、本件商標の構成中、前半の「meLano」の文字部分は、英和辞典に「melano−・・・黒い。メラニン。」と記載されている(甲17)。また、他の商標登録出願の審査においても、「メラノ/MELANO」は、「黒い。メラニン。」と認定されている(甲18の1、2)。
そうすると、本件商標は、その指定商品との関係で自他商品識別力の弱い前半部の「メラノ/meLano」を含むもので、その要部は後半部の「アタック/attack」であるから、「アタック」単独の称呼を生じる。
したがって、本件商標は、引用商標とは、称呼を共通にする類似する商標である。
さらに、本件商標は、申立人の周知、著名な商標を含むから、他人である申立人の商標に類似する商標である。
イ また、本件商標の指定商品は、引用商標1から引用商標3のそれぞれの指定商品と抵触する。
ウ よって、本件商標と引用商標は、類似する商標であって、その指定商品も同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
他の商標登録出願において、著名な商標「Attack」に基づき商標法第4条第1項第15号該当性が認定されており(甲19の1、2)、引用商標は、遅くとも、本件商標の登録出願時までには、我が国の取引者、需要者の間で周知・著名となっていた。
また、過去の審決において、「アタック」の文字からなる標章が、衣料用洗剤の取引者及び一般需要者のみならず、その指定商品全般にわたる需要者の間に広く認識されていたと認定されているとおり、その著名性は需要者に広く及ぶ。
上記事実を勘案すると、著名な引用商標と類似する本件商標を、第3類の指定商品について使用した場合、これに接する需要者、取引者は、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、上記のとおり、引用商標に係る周知、著名な商標「アタック」及び「Attack」と称呼が同一で、類似するため、商標法第4条第1項第10号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、「メラノアタック」の片仮名と「meLano attack」の欧文字を上下二段に表してなるところ、各文字は幅を揃えて上下に近接して配置されており、その片仮名部分は欧文字部分の読み仮名に相当することも相まって、「meLano attack」(メラノアタック)なる語を、まとまりよく一体的に表してなると認識、理解できる。
そして、本件商標の構成中「meLano」の欧文字は「黒い。メラニン。」の意味を(甲17)、「attack」の欧文字は「攻撃」の意味を有する英語(「リーダーズ英和辞典」研究社)であるが、両語を結合して特定の意味を有する成語となるものではなく、それぞれの語義を結合した意味合いも漠然としている。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「メラノアタック」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
イ 引用商標1及び引用商標2は「アタック」の片仮名を、引用商標3は「Attack」の欧文字を表してなるところ、「attack」の欧文字は、上記アのとおり、「攻撃」の意味を有する英語であり、「アタック」の片仮名は、「スポーツで、攻めること。攻撃。」の意味を有する外来語(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店)である。
そうすると、引用商標1から引用商標3は、その構成文字に相応して、「アタック」の称呼を生じ、「攻撃」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標1から引用商標3を比較すると、語尾の構成文字(attack、Attack、アタック)を共通にするとしても、構成文字全体としては異なる語を表してなるから、外観においては明瞭に判別できる。また、称呼については、語尾の構成音(アタック)を共通にするとしても、全体の構成音及び音数が明らかに異なるから、容易に聴別できる。さらに、観念については、本件商標は特定の観念は生じないものの、引用商標1から引用商標3は特定の観念(攻撃)が生じるから、互いに異なる印象を与えるもので、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標は、引用商標1から引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがなく、互いに異なる印象を与える別異な商標であるから、類似しない。
エ 申立人は、本件商標は、その構成中「meLano」の文字部分は「黒い。メラニン。」の意味を有し、自他商品識別力の弱い文字部分であるから、その要部は「attack」(アタック)の文字部分であって、「アタック」の称呼が生じる旨を主張する。
しかしながら、本件商標は、その構成文字のまとまりのよさから、上記アのとおり、「meLano attack」(メラノアタック)なる造語をまとまりよく一体的に表してなると認識、理解できるものであって、いずれかの文字部分が強く支配的な印象を与えるものでも、自他商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じないものでもないから、引用商標との類否の判断にあたっては、構成文字全体より生じる外観、称呼及び観念を総合して判断すべきである。
オ 以上を踏まえると、本件商標は、引用商標1から引用商標3とは、同一又は類似するものではないから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 申立人商標の周知性
(ア)申立人は、1987年に「アタック」(以下「申立人商標」という。)を名称とする衣料用洗剤(以下「申立人商品」という。)を発売し、「アタックZERO」などを含むシリーズ商品も展開している(甲8の2、甲9)。
(イ)そして、申立人商品は、申立人や株式会社インテージによるブランド力調査(2019年6月、2020年7月)によれば、衣料用洗剤としてはトップの認知度やシェアを獲得している(甲10、甲11)。
(ウ)また、新聞や雑誌等においても、申立人商品である「アタックZERO」はヒット商品(2019年)、「アタックZERO ドラム式専用ワンハンドプッシュ」が洗濯部門の大賞(2021年)として紹介されている(甲12の1、甲13の3)。
(エ)以上を踏まえると、申立人商品は、1987年に発売以降、30年以上の長期の販売実績があり、近年(2019年、2021年)においても衣料用洗剤としては高い認知度やシェアを有することから、その名称である申立人商標(アタック)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間において広く認識されていたといえる。
イ 本件商標と申立人商標の類否
本件商標は、上記(1)アのとおり、「meLano attack」(メラノアタック)なる語をまとまりよく一体的に表してなると認識、理解できるから、申立人商標(アタック)とは、語尾に共通する構成文字を有するとしても、構成文字全体としては異なる語を表してなるもので、互いに印象が異なる別異な商標であって、類似しない。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標ではないから、その指定商品と申立人商品を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人商標(アタック)は、上記(2)アのとおり、我が国の需要者の間において広く認識されていたもので、本件商標の指定商品は申立人商品と関連する商品も含むものではある。
しかしながら、本件商標は、上記(2)イのとおり、申立人商標とは、構成文字全体としては異なる語を表してなるもので、一部の構成文字(アタック)を共通するにしても、互いに印象が異なる別異の商標である。また、共通する当該文字部分にしても、「スポーツで、攻めること。攻撃。」の意味で我が国でも親しまれた外来語(前掲参照)でもあるから、独創性も高いものではない。
そうすると、本件商標は、その指定商品に係る需要者の間において、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、申立人や申立人商品との関連を連想、想起させるものではなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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