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Trademark Appeal Case

Goodwearの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2021−900084(T2021−900084/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6331540号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6331540号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年3月30日に登録出願、第25類「ティーシャツ,スウェットシャツ,靴下,その他の被服,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),運動用特殊衣服」を指定商品として、令和2年12月14日に登録査定され、同月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5517873号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成24年3月12日に登録出願、第25類「被服,エプロン,靴下,手袋,ネクタイ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,帽子,ベル卜,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年8月31日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。

(1)商標法第3条第1項第3号について

ア 本件商標

本件商標は、「Goodwear」なる欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、上記1のとおりの商品を指定商品とするものである(甲1)。

そして、その具体的態様は、赤いアルファベットからなる「Goodwear」の8文字が商標全体を占め、その文字列の下部に赤い帯状の線と、「est.1983」の文字を小さく付記した構成となっている。

イ 特許庁における過去の審査、審判の判断

本件商標の「Goodwear」なる文字は、指定商品との関係においては、次の特許庁における審査、審判のいずれの段階においても、「良い被服(着るもの)」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるから、自他商品の識別力がないか極めて弱いものである旨の一貫した判断がなされている。

・異議2003−90384(甲2)

・取消2011−300162(甲3)

・取消2011−300044(甲4)

・無効2016−890077、無効2016−890078、無効2016−890079(甲5〜甲7)

・商願2016−086353(甲8)

ウ 本号該当性

本件商標は、「Goodwear」の文字列の下部に赤い帯状の線と、「est.1983」の文字が小さく付されているが、商標全体から見れば、この部分は「Goodwear」の欧文字を装飾する程度の構成であり、この装飾的部分を含むことによって商標全体から自他商品識別力が発揮されるとは到底考えられない。

そうすると、本件商標のほぼ全てを占める「Goodwear」の欧文字部分は、いまだ普通に用いられる方法で表示する域を脱しておらず、過去の特許庁の一貫した見解によれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たしていないというべきである。

エ 小括

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、上記(1)アのとおりの構成からなり、その指定商品は、上記1のとおりである。

イ 引用商標

引用商標は、「Goodwear」の欧文字を横書きし、その外側に、当該文字を籠文字風に縁取りし、その縁取りにつなげて右端に六角形を表してなるものであり、その指定商品は、上記2のとおりである。

ウ 本号該当性

(ア)本件商標と引用商標との対比

上記のように、本件商標は、その指定商品に使用しても自他商品識別標識としての機能を果たし得ないが、自他商品識別標識としての機能を有すると仮定すれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきである。

すなわち、本件商標は、赤いアルファベットからなる「Goodwear」の8文字を横書きし、その文字列の下部に赤い帯状の線を装飾的に表すと共に、「est.1983」の文字を小さく付記してなるものである。

一方、引用商標は、「Goodwear」の欧文字を横書きし、その外側に縁取りと六角形を装飾的に表してなるものである。

いずれの商標も「Goodwear」の文字が商標全体の6割以上を占めており、商標に接する需要者及び取引者に強く印象付けられる部分であることから、両商標の外観は明らかに略同一ないし類似するものである。

そして、この「Good」及び「wear」の欧文字は、我が国でよく知られている平易な英単語であることからすると、「グッドウェア」の称呼を生じる点で共通し、また、指定商品との関係から本件商標が「良い被服」を意味するものである点でも共通する(観念同一)。

してみれば、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念について、いずれも共通する同一又は類似の関係にあることは明白である。

そして、本件商標と引用商標の指定商品は、その類似群コード「17A01 17A02 17A03 17A04 17A07 21A01 22A01 22A03 24C01 24C04」が共通することから、同一又は類似のものである。

(イ)根本的問題と使用による認知

上記のように特許庁における登録査定時の見解は、「Goodwearの文字を普通に用いられる方法で示したにすぎないから、第25類の指定商品に使用された場合、商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能は極めて低い」と長年にわたり首尾一貫しているが、必ずしも取引者及び需要者の見解とは一致しない。

そもそも、特許庁の見解「Goodwearの文字を普通に用いられる方法で示したにすぎない」との理解には、少々問題がある。取引者及び需要者は、「普通に品質を表示する際に用いられる方法」とは、「目立つ商標があり、その脇なり下なりに、より細かい字で表示するのが、品質を表示する際に普通に用いられる方法」であると一般的に理解しており、特許庁の見解とは少し異なる。

引用商標を例に取って説明すると、明らかに「Goodwear」の文字列の商標全体に占める比率が高く、それのみならず、他に文字が存在しない。このような場合、取引者及び需要者は、「Goodwear」を商標と認識し、同商標を「グッドウェア」と呼ぶ。さらには、インターネットが普及している現在、ブランドの検索には、文字列を使用するのが大勢であり、その結果、同ブランドを検索する際には、「Goodwear」として検索する。

つまり、取引者及び需要者は、「Goodwear」を識別力のあるブランドとして認識している。

一旦登録され、長年の使用を経た場合には、取引者及び需要者をして定着化が進む。その結果として、登録査定時に想定された禁止権の範囲が大幅に拡大するという現象が生じ得る。

そして、最高裁判示によれば、「類否判断は、現実の取引状況を最大限に勘酌し、出所の混同の恐れの有無を基準として判断すべし」(昭和33年(オ)第766号:シンガー事件)である。

具体的には、申立人は、引用商標に関して、商標登録以降、下札、ネーム等を商品に付し(甲10)、また、ネット上でも表示をし(甲11)、販売を10年近く続けてきている。このような状況に慣れ親しんだ取引者及び需要者が本件商標を見たとき、「同一だ」「ちょっと商標をいじったのかもしれないが出所は一緒だろう」と感じるのは自然の流れである。

そうすると、現実に登録され長年使用された商標と、本件商標の類否判断においては、特許庁の見解「Goodwearの文字を普通に用いられる方法で示したにすぎない」では、不十分である。

したがって、現実的には「Goodwear」は識別力のあるブランドとして認識されており、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念について、いずれも共通する同一又は類似の関係にあることは明白である。

エ 小括

上記のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

ア 「Goodwear」の文字(語)について

「Goodwear」の文字は、「Good」及び「wear」のそれぞれが、「良い」及び「衣服、着用」等の意味を有する親しまれた英語であって、「良い被服」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるから、当該文字は、申立人が主張するように、当該文字単独では本件商標の指定商品の取引者及び需要者をして、商品が「良い被服」であること、すなわち商品の品質を表示したものと認識させるものであって、自他商品識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものと判断するのが相当である。

イ 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、いずれも朱色で、「Goodwear」の文字を大きく表し、語尾の文字「r」の下部から伸びるように語頭の文字「G」の下までリボン状の図形を描き、さらに、両者の間に小さく「est.1983」の文字を配してなるものである。

ウ 本号該当性について

(ア)本件商標は、その構成中「Goodwear」の文字は上記アのとおり単独では自他商品識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであるが、その構成全体としては、上記イのとおり、「Goodwear」の文字が語尾の「r」の文字の下部からリボンが伸びるようにデザイン化して表されているといえること、及び小さな文字であるが「est.1983」の文字が表されていることから、商品の品質などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいい難く、これに接する取引者及び需要者をして、商品の品質を表示したものと認識させるというより、商品の出所を表示したものと認識させるものと判断するのが相当である。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、その構成全体をもって自他商品識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。

(イ)なお、申立人は、本件商標は「Goodwear」の文字の下部に赤い帯状の線と「est.1983」の文字が付されているが、商標全体から見れば、この部分は「Goodwear」の文字を装飾する程度のものであり、この装飾的部分を含むことによって商標全体から自他商品識別力が発揮されるとは考えられない旨主張している。

しかしながら、上記(ア)のとおり、本件商標は、その構成全体をもって自他商品識別標識としての機能を果たし得るものであるし、申立人のかかる主張を認めるに足りる証左の提出もない。

したがって、申立人の上記主張は採用することができない。

エ 小括

上記のとおり、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、その構成全体をもって自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。

また他に、本件商標がその指定商品の品質を表示するなど、自他商品識別標識としての機能を有しないというべき事情は発見できなかった。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、上記(1)イのとおりの構成からなるものであって、上記(1)のとおり自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。

そして、本件商標の構成中「Goodwear」の文字は、上記(1)のとおり、単独では自他商品識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであり、また、同じく「est.1983」の文字は、「(事業者又はブランドが)1983年に設立された」ことを表したものと認識させるものであって、単独では自他商品識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものというのが相当である。

そうすると、本件商標の構成中の「Goodwear」及び「est.1983」の文字からは、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものというべきである。

また他に、本件商標から出所識別標識としての何らかの称呼、観念が生じるというべき事情は見いだせない。

してみれば、本件商標は、出所識別標識としての称呼、観念を生じないものといわざるを得ない。

イ 引用商標

引用商標は、別掲2のとおり、「Goodwear」の文字と、その外側に右上部に六角形を表した縁取りを描いてなるものである。

そして、引用商標の構成中「Goodwear」の文字は、上記アと同様に出所識別標識としての称呼、観念が生じないものというべきであり、また他に、引用商標から出所識別標識としての何らかの称呼、観念が生じるというべき事情は見いだせない。

そうすると、引用商標は、出所識別標識としての称呼、観念を生じないものといわざるを得ない。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標の類否を検討すると、上記ア及びイのとおりの構成態様からなる両商標は、外観において、明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。

そして、両商標はいずれも出所識別標識としての称呼、観念を生じないものであるから、称呼及び観念において、比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標は、外観において相紛れるおそれがなく、称呼及び観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。

その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

エ 申立人の主張について

申立人は、本件商標と引用商標はいずれも構成中「Goodwear」の文字が商標全体の6割以上を占め、取引者及び需要者に強く印象付けられる部分である、長年使用された商標は禁止権の範囲が拡大する、取引者及び需要者は「Goodwear」を識別力あるブランドとして認識しているなどとして、両商標は外観、「グッドウェア」の称呼、「良い被服」の観念を共通にする同一又は類似の関係にあるものである旨主張している。

しかしながら、上記のとおり、本件商標及び引用商標における「Goodwear」の文字は、出所識別標識としての称呼、観念を生じないものであり、他に申立人のかかる主張を認めるに足りる証左は見いだせない。

したがって、申立人のかかる主張は採用できない。

オ 小括

上記のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第11号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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