Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2020−900229(T2020−900229/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6263685号商標(以下「本件商標」という。)は、「Funky Galaxy」の文字を標準文字で表してなり、平成31年4月12日に登録出願、第9類、第16類、第35類及び第41類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年6月5日に登録査定され、同月26日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、次の3件であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第4498554号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Galaxy」の文字を標準文字で表してなり、平成12年6月8日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同13年8月10日に設定登録されたものである。
2 国際登録第1335923号商標(以下「引用商標2」という。)は、「GALAXY STUDIO」の欧文字を横書きしてなり、2016年(平成28年)10月4日に国際商標登録出願、第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年2月16日に設定登録されたものである。
なお、引用商標2は、2017年(平成29年)6月9日に国際商標登録出願(事後指定)、第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年5月11日に設定登録されている。
3 登録第6309820号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Galaxy Harajuku」の文字を標準文字で表してなり、平成31年3月11日に登録出願、第9類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年10月29日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という場合がある。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」、第35類「全指定役務」及び第41類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第63号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標がその登録を取り消されるべき理由の詳細
(1)前提となる事実
ア 「GALAXY」の著名性について
(ア)申立人が使用している商標「GALAXY」は、申立人が設計・開発・製造及び販売しているスマートフォン、タブレット及びウェアラブル製品などに使用するブランド名で、これら一連の商品は「GALAXY」シリーズとして、一般需要者及び取引者に認識されている。特に、スマートフォンの「GALAXY」シリーズは、2019年初頭時までの累計の販売数で、既に20億台を突破している(甲6)。
また、申立人のスマートフォンの世界シェアは2012年頃から現在に至るまで約20%を維持し、世界No.1のシェアを維持している(甲7)。単純計算すると、世界でスマートフォンを使用する人口の5人に1人は申立人の「GALAXY」のスマートフォンを使用していることになる。
さらに、タブレットにおける世シェアについても、2011年度からほぼ世界シェア2位を維持している(甲8)。
次に、我が国の国内携帯電話/スマートフォン市場規模の調査によると、近年の国内市場携帯電話出荷台数・ベンダー別シェアは、国内と国外の競合他社が数多くいる中で、申立人のスマートフォンは高い占有率を誇っている(甲9〜甲12)。
なお、申立人の携帯電話及びスマートフォンは全て「GALAXY」シリーズの製品であり、出荷台数は「GALAXY」製品の出荷台数を意味する。
上記のとおり、申立人の「GALAXY」シリーズは世界中で販売されているため、申立人は世界で合計約400件もの「GALAXY」及び「GALAXY」を含む商標を登録出願及び登録をし、「GALAXY」シリーズの保護を図っている(甲13)。
(イ)申立人の「GALAXY」シリーズは、我が国でもその動向が注目され、さまざまなメディアを通じて紹介されている(甲14〜甲39)。
また、雑誌での紹介や操作ガイドの書籍が多数販売されている(甲40〜甲59)。
上記のとおり、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の分野において、申立人の「GALAXY」シリーズは、我が国の需要者及び取引者に広く知られていることがわかる。
イ 韓国のヒップホップ・ユニット「Funky Galaxy」について
本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)により、審査中に提出された上申書には、「韓国男性ダンスヴォーカルグループ『SUPERNOVA』からスピンオフしたヒップホップ・ユニット」とある。韓国においては広く知られているグループかもしれないが、我が国の需要者及び取引者に周知著名と認められる程の実績は見当たらない。
したがって、本件商標を見た需要者及び取引者は、韓国の周知著名なグループ名と認識するよりは、むしろ、申立人の周知著名な商標「Galaxy」に、欧文字「Funky」の形容詞を単に付記した商標であると認識するとみるのが自然である。
ウ 本件商標の「Funky」部分について
本件商標は、欧文字「Funky」と「Galaxy」とで構成されているが、その構成文字中、「Funky」の文字は、最初に「いやな匂いのする(体臭),土臭い」の意味が記載されている。
したがって、本件商標「Funky Galaxy」からは、「いやな匂いのする、又は、土臭い(申立人の周知著名な)Galaxy」という意味合いが生じ、非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与える可能性も十分考えられる。
エ 小括
上記アないしウにより、申立人の「GALAXY」シリーズは、携帯電話/スマートフォンの分野で世界1位、我が国でもベスト5のシェアがあること、申立人の「GALAXY」は我が国のみならず世界中において周知著名商標であると認識されていること、「Funky Galaxy」は韓国のヒップホップ・ユニットとして、我が国で周知著名とはいえず、本件商標に接する我が国の需要者及び取引者は、むしろ申立人の周知著名な「GALAXY」に、欧文字「Funky」の形容詞を付記した商標であると認識すること、「Funky」の語は、各種辞書の最初に「いやな匂いのする(体臭),土臭い」の意味が記載されているから、本件商標からは、「いやな匂いのする、又は、土臭い(申立人の周知著名な)Galaxy」という非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与えかねないことが取引の実情として明らかである。
(2)本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであること
ア 類否判断の場面
需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合は、結合商標は分離して把握すべきということになる。
イ 本件商標
本件商標は、「Funky」と「Galaxy」の結合商標であるところ、本件商標の構成文字中、「Galaxy」の語は、申立人のブランドとして取引者及び需要者に広く知られたものになっており、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えること、「Funky」の語は、「いやな匂いのする(体臭),土臭い」の意味を有する単なる形容詞であり、申立人のブランドとして周知著名な「Galaxy」とは出所識別標識としての軽重の差が極めて大きいことから、「Funky」の部分は出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認められる。
したがって、本件商標における類否判断の対象部分は「Galaxy」というべきである。
ウ 本件商標と引用商標1との比較
(ア)本件商標と引用商標1の類否について
本件商標と引用商標1との外観についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」と引用商標1「Galaxy」は外観上同一である。
次に、称呼についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼と引用商標1の「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼も同一である。
最後に観念についてみると、本件商標の類否判断の対象である「Galaxy」と引用商標1「Galaxy」は、申立人の周知著名商標であると取引者及び需要者が認識するため、観念上も類似することは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、同一又は類似の商標であるといえる。
(イ)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標1の指定商品の比較
本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子出版物,電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品」及び第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標1の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」とは類似する。
エ 本件商標と引用商標2との比較
(ア)本件商標と引用商標2の類否について
引用商標2は、欧文字「GALAXY」と「STUDIO」の結合商標である。引用商標2の指定役務との関係において、「撮影所、スタジオ」の意味を有する「STUDIO」の文字部分は、識別力の極めて弱い部分に該当するため、引用商標2の類否判断の対象部分は「GALAXY」とみるのが極めて自然である。
そこで、本願商標と引用商標2との外観についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」と引用商標2の類否判断の対象部分である「GALAXY」は外観上同一である。
次に、称呼についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼と引用商標2の類否判断の対象部分である「GALAXY」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼も同一である。
最後に観念についてみると、本件商標の類否判断の対象である「Galaxy」と引用商標2の類否判断の対象部分である「GALAXY」は、申立人の周知著名商標であると取引者及び需要者が認識するため、観念上も類似することは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、同一又は類似の商標であるといえる。
(イ)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標2の指定役務の比較
本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子出版物,電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品」と、引用商標2の指定役務中、第35類「retail store services relating to mobile phones, smartphones, tablet computers, computers, computer software, recorded, personal digital assistants in the shape of a watch, and accessories and peripherals for such products; on−line retail store services relating to mobile phones, smartphones, tablet computers, computers, computer software, recorded, personal digital assistants in the shape of a watch, and accessories and peripherals for such products」とは類似し、本件商標の指定商品及び指定役務中、第35類「芸能人のファンクラブの企画・運営又は管理,広告業,プロモーションビデオの企画・制作、経営の診断又は経営に関する助言」と引用商標2の指定役務中、第35類「Organization and conducting of product presentations; product demonstrations; demonstration of consumer electronic products; product demonstration services in shop windows by live models;」は類似する。
オ 本件商標と引用商標3との比較
(ア)本件商標と引用商標3の類否について
引用商標3は、欧文字「Galaxy」と「Harajuku」の結合商標である。引用商標3の指定商品及び指定役務との関係において、地名の「原宿」を意味する「Harajuku」の文字部分は、識別力のない部分に該当するため、引用商標3の類否判断の対象部分は「Galaxy」とみるのが極めて自然である。
そこで、本願商標と引用商標3との外観についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」と引用商標3の類否判断の対象部分である「Galaxy」は外観上同一である。
次に、称呼についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼と引用商標3の類否判断の対象部分である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼も同一である。
最後に観念についてみると、本件商標の類否判断の対象である「Galaxy」と引用商標3の類否判断の対象部分である「Galaxy」は、申立人の周知著名商標であると取引者及び需要者が認識するため、観念上も類似することは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、同一又は類似の商標であるといえる。
(イ)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標3の指定商品及び指定役務の比較
本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM, 電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品」と、引用商標3の指定商品及び指定役務中、第9類「LED大型スクリーン表示装置,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,未記録のUSBフラッシュドライブ,フラッシュメモリカード(未記録のもの),ネットワーク用ルータ,電子看板用ディスプレイパネル,半導体,スマートフォン用バッテリーチャージャー,ビデオプロジェクター,セットトップボックス,時計の形をしたスマートフォン,半導体ドライブ,スマートフォン,スマートフォン用保護カバー,棒状のスピーカー,増幅器,音響再生装置,音声送信装置,身体装着式携帯情報端末,カメラ,コンピュータ,コンピュータ用モニター,コンピュータソフトウェア,タブレット型コンピュータ,テレビジョン受信機,ヘッドセット,ポータブルコンピュータ,携帯電話機」及び第35類「LED大型スクリーン表示装置・バーチャルリアリティ用ヘッドセット・未記録のUSBフラッシュドライブ・フラッシュメモリカード(未記録のもの)・ネットワーク用ルータ・電子看板用ディスプレイパネル・半導体・スマートフォン用バッテリーチャージャー・ビデオプロジェクター・セットトップボックス・時計の形をしたスマートフォン・半導体ドライブ・スマートフォン・スマートフォン用保護カバー・棒状のスピーカー・増幅器・音響再生装置・音声送信装置・身体装着式携帯情報端末・センサー(測定機器)(医療用のものを除く。)・着用可能なアクティビティトラッカー・再充電可能な電池・カメラ・コンピュータ・コンピュータ用モニター・コンピュータソフトウェア・タブレット型コンピュータ・テレビジョン受信機・ヘッドセット・ポータブルコンピュータ及び携帯電話機の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は類似する。
カ 小括
以上からすれば、本件商標は、引用商標に類似し、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務も引用商標のそれらと類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであること
引用商標1は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願前から、周知著名である。
そして、本件商標は、引用商標1に類似する商標であり、かつ、本件商標の第9類の指定商品及び第35類の小売等役務と引用商標1の指定商品は類似し、また、本件商標の第35類と第41類の指定役務についても、第9類のスマートフォンやタブレットを介して提供されることが近年では非常に多いため、密接に関連しているといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであること
申立人の引用商標1「Galaxy」は、本件商標の登録出願前に、申立人の業務に係る商品の商標として我が国で周知著名なものとなっていることから、引用商標1と類似する本件商標が、その指定商品及び指定役務に使用された場合には、当該商品及び役務は、申立人の業務に係るものと誤認され、その出所について混同されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものであること
本件商標権者が、申立人の引用商標1「Galaxy」と類似する本件商標を使用すれば、申立人の著名商標「Galaxy」に化体した信用、名声及び顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、さらには、本件商標権者が、申立人の当該商標の著名性に便乗して不正な利益を得ようとしていることも明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであること
引用商標1「Galaxy」が申立人の商標として著名であるという事情の下では、「Galaxy」の語を含む本件商標「Funky Galaxy」からは、「いやな匂いのする、又は、土臭い(申立人の周知著名な)Galaxy」という意味合いが生じ、非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与えるため、一般公衆の認識に反し、商道徳上問題があるばかりでなく、公衆を混乱させ、公正な商取引秩序を乱すおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」の周知著名性について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、申立人は、同人が製造・販売等するスマートフォン(以下「申立人商品」という。)に、2010年(平成22年)頃から現在まで継続して商標「Galaxy」又は「GALAXY」(以下「申立人商標」という。)を使用していること(甲19、甲46)、「IDC Japan株式会社」発表の「国内携帯電話/スマートフォン市場実績値」によれば、申立人商品の我が国における出荷台数は、2018年(平成30年)がシェア7.4%でベンダー別順位4位(出荷台数は250万台と推認できる。)であったこと(甲12)、2019年(平成31年、令和元年)がシェア8.0%で3位(出荷台数は250万台と推認できる。)であったこと(甲1)、2020年(令和2年)第1四半期がシェア9,0%で3位(甲10)、同年第2四半期がシェア11.4%でいずれも3位(甲9)であったこと、及び申立人商品は少なくとも2013年(平成25年)1月ないし2020年(令和2年)6月に、新聞、雑誌、テレビ及びウェブサイトなどで紹介等され(甲14〜甲43)、2010年(平成22年)11月ないし2015年(平成27年)9月には、その操作ガイドの書籍が販売されたこと(甲45〜甲59)などが認められる。
(2)上記(1)のとおり、申立人は2010年(平成22年)頃から現在まで申立人商品に申立人商標を使用していること、申立人商品の我が国における出荷台数は、2018年(平成30年)、2019年(平成31年、令和元年)、2020年(令和2年)第1四半期及び第2四半期において、いずれもシェアが4位又は3位であること、申立人商品は我が国において2013年(平成25年)以降、新聞及び雑誌等で紹介等されていること、及び申立人商品について2010年(平成22年)ないし2015年(平成27年)に、操作ガイドの書籍が複数販売されていることが認められ、これに加え、申立人商品は世界出荷台数シェアにおいて、少なくとも2015年(平成27年)から2018年(平成30年)まで毎年1位であること(甲20、甲21) をあわせ考慮すれば、申立人商品に使用されている申立人商標は、本件商標の登録出願日(平成31年4月12日)前から、申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものであって、その状況は登録査定日(令和2年6月5日)はもとより、現在まで継続しているものと判断するのが相当である。
そうすると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものということができる。
なお、引用商標2及び引用商標3は、これらが申立人商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めるに足りる証左は見いだせない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性及び同法第8条第1項について
申立人は、引用商標を挙げ、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨を主張しているが、引用商標3は本件商標の登録査定日において設定登録されていないものであるから、当審は、本件商標と引用商標3との関係における申立人の主張は、同法第8条第1項の規定に違反して登録された旨の主張と判断し、以下検討する。
(1)本件商標について
ア 本件商標は、上記第1のとおり、「Funky Galaxy」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ、同じ書体でまとまりよく一体的に表されたものであるから、その構成中の「Galaxy」の文字部分のみが強く印象付けられる構成のものとはいえない。
また、本件商標の構成文字全体から生じる「ファンキーギャラクシー」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、「臭い、素朴な」等を意味する英語の「Funky」と「銀河(系)」の意味を有する英語の「Galaxy」とを結合したものであるとしても、これらの2語を結合することにより、親しまれた観念を生じるものではないことから、本件商標は、構成全体をもって、造語の一種を表したと認識されるというべきである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ファンキーギャラクシー」の一連の称呼のみを生じるものであって、特定の観念を生じないものというのが相当である。
イ なお、申立人は、本件商標の構成中「Galaxy」の文字は申立人商標として取引者及び需要者に広く知られたものになっており、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、「Funky」の文字は、単なる形容詞であり、「Galaxy」の文字とは出所識別標識としての軽重の差が極めて大きいから、「Funky」の文字は出所識別標識としての称呼、観念が生じないなどとして、本件商標の類否判断の対象部分は「Galaxy」の文字である旨主張する。
確かに、上記1のとおり、「Galaxy」の文字は、申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものであるとしても、上記アのとおり、本件商標は、まとまりよく一体的に表されていること、当該文字から生じる「ファンキーギャラクシー」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものであることからすると、本件商標に接する取引者及び需要者をして、本件商標の構成中の「Galaxy」の文字のみに着目することなく、その構成文字全体が一体不可分のものと把握、認識させるものと判断するのが相当である。
また、他に、本件商標が、その構成中「Galaxy」の文字のみが取引者及び需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、及び「Funky」の文字から出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認めるに足りる事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成中の「Galaxy」の文字のみを分離抽出し他の商標と比較検討することが許されないものといわなければならない。
したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、上記第2の1(1)のとおり、「Galaxy」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「銀河(系)」の意味を有する比較的平易な英語であることから、該文字に相応し「ギャラクシー」の称呼を生じ、「銀河(系)」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、上記第2の1(2)のとおり、「GALAXY STUDIO」の欧文字を書してなり、該文字に相応し「ギャラクシースタジオ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 引用商標3について
引用商標3は、上記第2の1(3)のとおり、「Galaxy Harajuku」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ギャラクシーハラジュク」の称呼を生じるものである。
そして、引用商標3は、その構成中「Harajuku」の文字が地名の「原宿」を、すなわち商品の産地、販売地及び役務の提供地等を表したものと認識させるものであって、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであり、出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものであること、また、上記1のとおり、「Galaxy」の文字は申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものであることも併せ考慮すれば、その構成中「Galaxy」の文字のみが独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
したがって、引用商標3は、「Galaxy」の文字に相応し、上記アと同様に「ギャラクシー」の称呼を生じ、「銀河(系)」の観念を生じるものといえる。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1の類否を検討すると、本件商標「Funky Galaxy」と引用商標1の「Galaxy」とは、外観上、本件商標の語頭における「Funky」の文字の有無という明らかな差異を有するから、両者を離隔的に観察しても、外観上、相紛れない。
次に、本件商標から生じる「ファンキーギャラクシー」と引用商標1から生じる「ギャラクシー」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭において、「ファンキー」の音の有無という差異を有し、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1は「銀河(系)」の観念を生じるものであるから、観念において、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
イ 本件商標と引用商標2との類否について
本件商標と引用商標2の類否を検討すると、本件商標「Funky Galaxy」と引用商標2の「GALAXY STUDIO」とは、外観上、本件商標の語頭における「Funky」の文字及び引用商標2の語尾における「STUDIO」の文字という明らかな差異を有するから、両者を離隔的に観察しても、外観上、相紛れない。
次に、本件商標から生じる「ファンキーギャラクシー」と引用商標2から生じる「ギャラクシースタジオ」の称呼を比較すると、両者は、「ファンキー」の音及び「スタジオ」の音について差異を有し、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、本件商標及び引用商標2は、いずれも、特定の観念が生じないものであるから、観念において、比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念において、比較することができないとしても、外観及び称呼の点において、相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
ウ 本件商標と引用商標3との類否について
本件商標と引用商標3の類否を検討すると、本件商標「Funky Galaxy」と引用商標3の要部である「Galaxy」とは、外観上、本件商標の語頭における「Funky」の文字の有無という明らかな差異を有するから、両者を離隔的に観察しても、外観上、相紛れない。
次に、本件商標から生じる「ファンキーギャラクシー」と引用商標3の要部である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭において、「ファンキー」の音の有無という差異を有し、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標3の要部である「Galaxy」は「銀河(系)」の観念を生じるものであるから、観念において、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標のいずれとも非類似の商標である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
また、本件商標と引用商標3とは、非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と規定している。
そして、上記1のとおり、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」は、申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められるものの、上記2のとおり、本件商標と引用商標1は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
また、本件商標と申立人が使用する「GALAXY」とは、本件商標と引用商標1と同様に、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中の「電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品」と引用商標1及び「GALAXY」が使用される商品「スマートフォン」が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」の周知著名性について
上記1のとおり、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」は、
申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められるものである。
(2)本件商標と引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」との類似性の程度
上記2のとおり、本件商標と引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであることからすると、類似性の程度は、低いものといえる。
(3)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標1及び「GALAXY」が使用される商品「スマートフォン」との関連性、需要者の共通性について
上記3のとおり、本願商標の指定商品及び指定役務中の「電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品」と引用商標1及び「GALAXY」が使用される商品「スマートフォン」とは、同一又は類似の商品であるから、密接な関連性を有するものであり、需要者の範囲を共通にするものである。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(1)のとおり、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」は、申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められ、上記(3)のとおり、本願商標の指定商品及び指定役務中の「電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品」と引用商標1及び「GALAXY」が使用される商品「スマートフォン」とは、同一又は類似の商品であるから、密接な関連性を有するものであり、需要者の範囲を共通にするとしても、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであり、類似性の程度は、低いものであるとすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者して、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」を連想又は想起させることのないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、本件商標権者がこれを本件商標に係る指定商品及び指定役務について使用しても、取引者及び需要者をして引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」が、申立人の商標として著名であるという事情の下では、「Galaxy」の語を含む本件商標からは、「いやな匂いのする、又は、土臭い(申立人の周知著名な)Galaxy」という意味合いが生じ、非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与えるため、一般公衆の認識に反し、商道徳上問題があるばかりでなく、公衆を混乱させ、公正な商取引秩序を乱すおそれがある旨を主張する。
しかしながら、上記1のとおり、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」は、申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められるものの、上記2及び上記3のとおり、本件商標と引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであること、上記4のとおり、本件商標は引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」を連想又は想起させることのないものであり、また、本件商標の構成中の「Funky」の文字が、我が国において「いやな匂いのする」及び「土臭い」の意味を有する語として親しまれているとはいえないから、本件商標は、申立人が主張するような「いやな匂いのする、又は、土臭い(申立人の周知著名な)Galaxy」の意味合いを想起、認識させるということはできないことから、申立人のかかる主張はその前提において理由がない。
さらに、本件商標が、その登録出願及び登録の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、本件商標の登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせず、かつ、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠も発見することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない。
6 商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人は、本件商標権者が、申立人の引用商標1と類似する本件商標を使用すれば、申立人の著名商標「Galaxy」に化体した信用、名声及び顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、さらには、本件商標権者が、申立人の当該商標の著名性に便乗して不正な利益を得ようとしていることも明らかである旨を主張する。
しかしながら、上記1のとおり、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」は、申立人の業務に係る商品「スマートフォン」を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められるものの、上記2及び上記3のとおり、本件商標と引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであること、上記4のとおり、本件商標は引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」を連想又は想起させることのないものであることからすると、申立人のかかる主張はその前提において理由がない。
また、申立人は、本件商標権者が、申立人の引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」の著名性に便乗して不正な利益を得ようとしていることを証明する証拠を提出していない。
さらに、本件商標権者による本件商標の登録出願の経緯が、著しく社会的妥当性を欠くものとはいえないものであり、かつ、本件商標権者は、本件商標の商標権について権利を濫用し、申立人に対し、不当に申立人の業務に係る商品「スマートフォン」の使用の差し止めや損害賠償請求等を行ったような事実はない。
加えて、申立人が提出した全証拠によっては、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、又は申立人に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものというべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」に化体した信用、名声などを毀損させる又は引用商標1及び申立人が使用する「GALAXY」の著名性に便乗するなどの不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。
7 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、登録異議の申立てに係る指定商品及び指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15及び同項第19号並びに同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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