Trademark Appeal Case
商標要部と称呼観念の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2021−6564(T2021−6564/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 手続の経緯
本願は、令和元年9月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月 5日付け:拒絶理由通知
令和2年11月10日 :意見書の提出
令和2年12月23日付け:拒絶査定
令和3年 3月24日付け:審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「らぁ麺鳳仙花」の文字を標準文字で表してなり、第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」を指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5011331号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成18年4月28日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年12月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、前記2のとおり、「らぁ麺鳳仙花」の文字を標準文字で表してなるものであり、各文字の大きさ及び書体は同一であって、その全体が等間隔にまとまりよく表されているものではあるが、「らぁ麺」の文字部分と「鳳仙花」の文字部分とをその構成部分とするものであることは、容易に認識することができるものである。
そして、本願商標の構成中の「らぁ麺」の文字部分は、本願の指定役務との関係において、飲食物として提供される対象の一つであって、「中国風に仕立てた汁そば」を意味する語である「ラーメン」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)を表示するものとして使用されている実情がある(別掲2ないし別掲4参照)ことから、当該文字部分は、役務の提供の用に供する物又は質を表すものであり、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、又は、極めて弱いものであるといえる。
これに対し、本願商標の構成中の「鳳仙花」の文字部分は、「ツリフネソウ科の1年草」を意味する語であり(前掲書)、本願の指定役務との関係において、役務の質を表示する等の格別な事情は見当たらないことから、当該文字部分は、自他役務の識別標識として、取引者、需要者に強い印象を与えるものであり、本願商標の要部といえるものである。
そうすると、本願商標からは、その要部である「鳳仙花」の文字に相応した「ホウセンカ」の称呼及び「ツリフネソウ科の1年草」の観念が生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲1のとおり、下段に「鳳仙花」の漢字を、中段に「ホウセンカ」の片仮名を、上段に「HOUSENKA」の欧文字を、それぞれ横書きしてなるものである。
そして、上段に横書きされた「HOUSENKA」の欧文字及び中段に横書きされた「ホウセンカ」の片仮名は、下段の「鳳仙花」の漢字の読みを示すために付加表記したものと理解される。
そうすると、引用商標は、その構成全体から「ホウセンカ」の称呼及び「ツリフネソウ科の1年草」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標の類否について検討すると、両商標は、構成全体の外観においては相違するものの、本願商標の要部である「鳳仙花」の文字部分と引用商標の「鳳仙花」の漢字部分とは、共に一般的な書体で同一の漢字を横書きしてなるものであり、また引用商標の片仮名部分及び欧文字部分は漢字部分の読みを示すために付加表記したものであるから、両者は外観上、近似した印象を与えるというのが相当である。
また、本願商標の要部と引用商標とは、いずれも「ホウセンカ」の称呼及び「ツリフネソウ科の1年草」の観念を生じるものであるから、称呼及び観念において共通する。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において近似した印象を与え、称呼及び観念を共通にするものというべきであるから、これらを総合勘案すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標である。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否
本願の指定役務である第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」は、引用商標の指定役務である第43類「飲食物の提供」と同一又は類似のものである。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標が標準文字で「らぁ麺」に続き「鳳仙花」と構成されていることから、本願商標は一連一体の語として捉えるべきであり、また、引用商標も同じ字体で連続して構成されていることから、全て一連一体の語として捉えるべきであって、両者は外観上明らかに異なる旨主張する。
しかしながら、本願商標は、上記(1)のとおり、本願の指定役務との関係においては、その構成中の「らぁ麺」の文字部分が、飲食物として提供される「ラーメン」を表したものとして看取、把握され、役務の提供の用に供する物又は質を表したものと認識されるにすぎないものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。一方、引用商標は、上記(2)のとおり、その構成中の片仮名部分及び欧文字部分は漢字部分の読みを示すために付加表記したものとして理解される。
そうすると、本願商標と引用商標とは、その構成全体の外観においては相違するものの、本願商標の構成中「鳳仙花」の文字部分と引用商標を比較することも許されるものであり、両商標は相紛れるおそれのある類似の商標であること、上記(3)のとおりである。
イ 請求人は、本願商標及び引用商標に共通する「鳳仙花」の語源であるラテン語は、到底、需要者が広く認識している言葉ではなく、かつ花言葉の意味合いもひとつに限定されていない点を考慮すると、本願商標及び引用商標がどのような意味合いを有するかは不明であり、観念において需要者が両者を誤認混同するおそれはない旨主張する。
しかしながら、本願商標の要部と引用商標とは、いずれも「鳳仙花」の文字を共通にするものであるところ、当該文字からは、直ちにラテン語及び花言葉の観念が生ずるものではなく、当該文字自体が有する意味である「ツリフネソウ科の1年草」の観念を生じるというのが自然であるから、観念において共通すること、上記(3)のとおりである。
ウ 請求人は、高級ラーメン店としてのブランディングのため、店名に通常の「ラーメン」や「拉麺」ではなく「らぁ麺」の文字を用い、当該「らぁ麺」とそれに続く「鳳仙花」を一連一体のものとして使用しており、「鳳仙花」のみを単独で使用することはないこと、また、本願商標を付して営業している店舗の料理メニューはラーメンが主であること、他方、引用商標権者が運営する店舗名は、「鳳仙花(ホウセンカ)」だけではなく「麻布十番」「韓国家庭料理」という名称とともに使用されていること、また、引用商標権者の店舗は韓国料理を提供する店であることを述べ、本願商標及び引用商標の実際の使用状況を考慮すれば、需要者が両者を誤認混同するおそれは到底考えられない旨主張する。
しかしながら、請求人の商標の採択の意図に関わらず、本願商標の構成中、「らぁ麺」の文字部分は、本願の指定役務との関係においては、自他役務の識別機能を有しないか、又は、極めて弱いものであり、出所識別標識としての独立した称呼及び観念は生じないというべきである。さらに、商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号同49年4月25日第一小法廷判決・審決取消訴訟判決集昭和49年443頁参照)ところ、役務についても、同様に解されている(知財高裁平成26年(行ケ)第10144号、平成27年1月29日判決)。この点、請求人が主張する取引の実情は個別的なものにすぎないというべきであるから、指定役務全般についての一般的、恒常的な事情とは異なるものといわざるを得ず、これを取引の実情として商標の類否判断に当たり考慮することはできない。
エ 請求人は、その構成中に共通する語を有する商標が併存して登録されている例を挙げ、公平性の観点からも本願商標は登録されるべき旨主張する。
しかしながら、請求人が挙げる商標の登録例は、いずれも商標の構成態様を本願商標と異にするものであって、本願とは事案を異にするというべきものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、類似の商標であるから、請求人の挙げた商標登録例があるからといって、それらが上記判断を左右するものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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