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Trademark Appeal Case

スイーツ・スイート称呼観念の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2020−890056(T2020−890056/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6196454号商標(以下「本件商標」という。)は、「スイーツ」の片仮名と「パーティー」の片仮名とを二段に横書きした構成からなり、平成31年3月13日に登録出願、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,即席菓子のもと,食用粉類」を指定商品として、令和元年10月17日に登録査定、同年11月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第2095320号商標(以下「引用商標」という。)は、「スイートパーティー」の片仮名と「SWEET PARTY」の欧文字とを二段に横書きした構成からなり、昭和61年8月22日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同63年11月30日に設定登録され、その後、平成21年1月21日に指定商品を第30類「菓子,パン」とする商品の書換登録を行ったものであり、現在有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を審判請求書及び弁駁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定により無効にすべきものである。

2 審判請求書における主張

(1)本件商標と引用商標の称呼及び観念

本件商標は、上段は「スイーツ」、下段は「パーティー」と二段表記されているが、同じ書体の片仮名文字であるから、これから「スイーツパーティー」の一連一体の称呼が生じる。また、「スイーツ」は、英語の「sweets」を片仮名表記したもので「ケーキや菓子」を表し、「パーティー」は、英語の「party」を片仮名表記したもので「集まり、パーティー」の意味として、共に日本語化しているといってよいほど広く一般的に用いられている。したがって、「スイーツ/パーティー」から、「ケーキ、菓子などの甘いものを楽しみながらのパーティー、集まり」といった観念が生じる。

引用商標からは、「スイートパーティー」の称呼が生じる。また、引用商標の「スイート」「SWEET」は、「甘い」「甘美な」という意味で用いられるが、英語の辞書によると「sweet」には「甘いもの」の意味があるなど、引用商標からは、スイート(sweet)なもの、すなわち「ケーキ、菓子などの甘いものを楽しみながらのパーティー、集い」程の観念が生じる。

(2)両商標の類否

称呼において、両者はともに9音からなり、唯一の差異音である中間音の「ツ」と「ト」はともに破裂音であって同行に属する近似音であり、しかも、印象に残りにくく聞き分けにくいとされる中間音であるから、両者を一連に称呼すると、称呼全体の語調・語感が近似したものとなる(甲5〜甲9)。

また、両者の観念においても、共に「ケーキ、菓子等の甘いものを楽しむパーティー、集い」といった観念が生じるので、観念上も相紛らわしく混同を生じるものである。なお、そもそも「スイーツ」は、英語のsweet(スイート)の複数形の「sweets」を片仮名表記にしたものであり、引用商標の「スイート」「SWEET」とから派生した語であり、両語は極めて近い、同じ意味合いの用語として、区別なく共に広く日本語化しているといってよいほど広く使用されている。

したがって、一般の需要者にとっては、「スイーツパーティー」であるか「スイートパーティー」であるか、つい間違ってしまうおそれがある程接近した商標同士である。

(3)商品の類似

本件商標と引用商標とは、その指定商品中「菓子,パン」において同一・重複し、指定商品においても類似するものである。

(4)結論

本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において相紛らわしい類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似する商品である。

3 弁駁書における主張

(1)本件商標及び引用商標の指定商品は、比較的低廉な日常商品であって、その取引者、需要者は、広く一般消費者、特に子供も多く含まれているという、いわば典型的な一般的な取引であり、特に取引の特殊性などを強調する余地もない。しかも、本件商標及び引用商標ともに、一般的に用いられる片仮名文字及びローマ文字書体から構成されており特異な外観からなるものではない。これらの取引者、需要者にとっては、商品を観察し、記憶し、他の商品の商標とを識別する手がかりとして、商標の「称呼」が極めて重要な要素となることは否定できないことである。

したがって、一般取引における本件商標と引用商標の「外観」「称呼」及び「観念」に基づいて、それぞれの類否を判断すれば足りることである。本件商標と引用商標とが、称呼の類似によって紛らわしい類似商標同士であり、あえて、観念の相違までを強調する余地はない。

商標の類否判断において、伝統的に一番弱い判断要素とされているのが「観念」であり、このような観念をことさらに強調しても、称呼の類否には到底影響はない。

(2)被請求人の挙げている審査例は、いずれも本件とは無関係である。

(3)本件商標の使用実績については、本件商標は、少なくとも商標登録出願がされた平成31年3月以降に使用が開始されたものと推測できるから、その使用期間は長く見積もっても2年弱であり、登録商標である「知育菓子」を中心テーマとして宣伝活動をしていることがうかがえるのみであって、本件商標が周知されているとは認めがたい。

第4 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を審判事件答弁書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第50号証を提出した。

1 本件商標と引用商標の類否について

(1)本件商標及び引用商標の構成

本件商標は、上段に「スイーツ」、下段に「パーティー」を二段に書してなり、構成文字に相応して「スイーツパーティー」の称呼が生じ、「甘いものを楽しむパーティー」や「ケーキ、菓子などの甘いものが一堂に集まること」等の観念が生じる。

引用商標は、上段に横一連に書した片仮名「スイートパーティー」、下段に欧文字「SWEET PARTY」を二段に書してなり、構成文字に相応して「スイートパーティー」の称呼が生じ、「かわいらしいパーティー」や「楽しいパーティー」等の観念が生じる。

(2)観念上非類似であること

請求人は、「スイーツ」と「スイート」の語は極めて近い、同じ意味合いの用語として、区別なく共に広く日本語化している旨主張する。しかし、上記(1)のとおり、両商標は異なる観念を生じさせるから、観念上相紛れるおそれはない。

そもそも、「スイーツ」と「スイート」は、広辞苑でも別項目で記載されているとおり、異なる意味合いを表す語である。すなわち、本件商標中の「スイーツ」は、「甘いもの。ケーキ・菓子など。」の意味合いを表す名詞であるのに対し、引用商標中の「スイート」「SWEET」は、他の語と結合し、「甘い」「かわいらしい」「楽しい」等の意味合いを有する多義的な形容詞である(乙2)。

実際に、両商標の指定商品である菓子の業界では、「スイーツ」の語は「甘いもの。ケーキ・菓子など。」の意味合いで使用されているのに対し、「スイート」の語はお菓子の材料や味を表す形容詞等として使用されており、両語は明確に使い分けられている(乙3〜乙11)。

また、菓子業界に限らず市場一般を見渡しても、「スイーツ」と「スイート」が相互に代替可能な同義語として使用されている例は見当たらず、「スイーツ」の語は「甘いもの。ケーキ・菓子など。」の意味合いで使用されているのに対し、「スイート」の語が菓子等の食料品との関係で使用される場合、甘ロ・甘口以外の両方が存在する食料品について、甘口であることを表す形容詞として使用されているほか、結婚支援イベント等においては、「すてきな」「楽しい」といった異なる意味合いで使い分けられている(乙12〜乙24)。

さらに、本件商標中の「スイーツ」と、引用商標中の「スイート」が、「パーティー」の語と結合していることも、両商標全体から生じる親念の相違に及ぼす影響は極めて大きい。まず、本件商標は、構成語に相応して、構成全体で「甘いものを楽しむパーティー」や「ケーキ、菓子などの甘いものが一堂に集まること」といった複数の観念を生じさせ得る造語である(乙25、乙26)。一方、引用商標中の「スイート」の語は、「甘い」「かわいらしい」「楽しい」等の意味合いを有する多義的な形容詞であるが、「集まり、集い」を意味する「パーティー」の語と結合する場合、味を表す「甘い」の意味を認識させると考えるのは極めて不自然であり、「パーティー」の様子・雰囲気を形容したものとして、「かわいらしいパーティー」や「楽しいパーティー」といった観念を想起させるのが自然である(乙27)。

請求人は、引用商標から「ケーキ、菓子などの甘いものを楽しみながらのパーティ、集い」の観念を生じると主張しているが、これは本件商標に観念を近づけるために、恣意的に、かつ、過度に言葉を補っているにすぎず、引用商標からこのような観念が直感されるものではない。

(3)外観上非類似であること

両商標の外観は、片仮名部分において、「スイーツ」と「パーティー」を二段書きにして明確に分離させているのに対し、引用商標は「スイートパーティー」と横一連に書している点で明らかに異なる。加えて、両商標はその片仮名部分において「ツ」と「ト」の文字が相違するほか、欧文字部分の有無でも相違するなど、その構成態様は明らかに異なるものである。かかる両商標を構成全体で比較した場合、通常の注意力を有する取引者・需要者であれば、その外観を見誤ることはない。

(4)称呼上相紛れるおそれがないこと

本件商標と引用商標との差異音である「ツ」と「ト」は母音を異にし、明らかに音質が異なるものである。しかも、両音はいずれも長音の後ろに位置しているため、強く発音される。よって、8音という簡潔な称呼においてこの差異音が称呼全体に及ぼす影響は極めて大きい(乙29〜乙44)。

また、取引者・需要者は「スイーツ」と「スイート」のそれぞれの文字が表す意味合いの違いを認識しつつ各々の商標を称呼し、観念の相違と相まって「ツ」と「ト」の音を明確に聴取・聴別するから、互いに聞き誤るおそれはない。

(5)被請求人の使用により本件商標は周知となっている

被請求人は、実際に本件商標を指定商品「菓子」へ使用してきた結果、被請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。これに対し、請求人の引用商標が使用されている事実は見当たらず、これまでも両商標間で何ら出所混同は生じていない。

本件商標の使用に係る商品は、子どもの豊かな創造力を育む商品として好評の「知育菓子(R)シリーズ」の一つであり(乙45)、今や「知育菓子」は菓子市場のカテゴリーの一つとして確立されているところ、その中で被請求人は市場シェアの8割を占めるなど、当該分野を牽引してきたリーディングカンパニーと言える。そして、本件商標を使用した商品は、大手スーパーマーケット及び大手ドラッグストアを中心に、全国約1万店舗で取り扱われており、各種オンラインショッピングサイトでも販売されている等、幅広い需要者に提供されている。当該商品は、2019年9月の販売開始から1年も経たない間に、その販売数は約150万個に迫り、インターネット通販サイトにおける「知育菓子」カテゴリーの販売人気ランキングにおいても2位にランクインしていることから(乙48)、既に市場で広く受け入れられていると言える。

(6)結論

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断

請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。

1 本件商標について

本件商標は、前記第1のとおり、「スイーツ」の片仮名と「パーティー」の片仮名とを二段に横書きした構成からなるところ、その構成文字に相応して「スイーツパーティー」の称呼を生じるものである。

そして、本件商標を構成する「スイーツ」の文字は、「甘いもの。ケーキ・菓子など。」(乙2)の意味を有する親しまれた語であるから、本件商標からは、「ケーキ・菓子などのパーティー」程の観念が生じる。

したがって、本件商標は、「スイーツパーティー」の称呼を生じ、「ケーキ・菓子などのパーティー」程の観念を生じるものである。

2 引用商標について

引用商標は、前記第2のとおり、「スイートパーティー」の片仮名と「SWEET PARTY」の欧文字とを二段に横書きした構成からなるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものと理解されるものであり、これらの構成文字に相応して「スイートパーティー」の称呼を生じるものである。

そして、引用商標を構成する「スイート」の文字は、「甘いこと。甘口。甘美なこと。快いこと。気持ちよいさま。」(乙2)の意味を有する親しまれた語であるところ、「パーティー」の文字と結合した引用商標からは、「甘美なパーティー」、「快いパーティー」等の観念が生じる。

したがって、引用商標は、「スイートパーティー」の称呼を生じ、「甘美なパーティー」、「快いパーティー」等の観念を生じるものである。

3 本件商標と引用商標との類否について

以上を踏まえて本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の外観は、その構成文字において「SWEET PARTY」の欧文字の有無に差異がある上、二段書きの態様においても明らかな差異を有するから、外観上、明確に区別できるものである。

次に、本件商標から生じる「スイーツパーティー」の称呼と引用商標から生じる「スイートパーティー」の称呼とを比較すると、両称呼は、中間音における「ツ」の音と「ト」の音に差異があるところ、これらの前音は、長音であって、比較的弱く発音される音であり、当該差異音は、各々前音に紛れることなく、明瞭に発音され、聴取されるものであるから、両者は相紛れるおそれはないものである。

さらに、観念においては、本件商標は、「ケーキ・菓子などのパーティー」程の観念を生じるのに対し、引用商標は、「甘美なパーティー」、「快いパーティー」等の観念を生じるものであるから、両者は明らかに異なり、観念上相紛れるおそれのないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、非類似の商標というべきである。

4 請求人の主張について

(1)請求人は、本件商標の「スイーツ」の文字について、英語のsweet(スイート)の複数形の「sweets」を片仮名表記にしたものであって、該文字は、引用商標の「スイート」「SWEET」とから派生した語であり、両語は極めて近い、同じ意味合いの用語として、区別なく共に広く日本語化しているといってよいほど広く使用されていることから、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において相紛らわしい類似の商標である旨を主張する。

しかしながら、菓子を取り扱う業界はもとより、食品を取り扱う業界において、また、その他の市場においても、「スイーツ」の文字は「菓子、ケーキ」などの意味合いで使用されている一方、「スイート」の文字は、「甘口の(食品)」「すてきな」「楽しい」「かわいらしい」といった意味合いで使用されており、異なる意味合いで明確に使い分けられている実情が見受けられる(乙3〜乙28)。

そうすると、「パーティー」の文字と結合した本件商標及び引用商標においても、上記1及び2のとおり、本件商標から「ケーキ・菓子などのパーティー」程の観念を生じるのに対し、引用商標から「甘美なパーティー」、「快いパーティー」等の観念を生じるのであるから、両者は明らかに異なり、観念上相紛れるおそれのないものである。

また、称呼においても、両者は相紛れるおそれはないこと、上記3のとおりである。

したがって、請求人の上記主張は、採用できない。

(2)請求人は、本件商標と引用商標の称呼のみをもって、両商標が紛らわしい類似商標同士であるとするだけで足りるのであって、あえて、観念の相違までを強調する余地はない旨を主張する。

しかしながら、上記3のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、非類似の商標というべきものであるところ、商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであるから、観念の相違までを強調する余地はないとする請求人の主張は、採用できない。

5 小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似しないものであることから、その指定商品が同一又は類似であるかにかかわらず、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

6 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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