sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名商標の称呼・外観類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35557号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4049511号商標(以下「本件商標」という。)は、「KASICO」の欧文字を横書きしてなり、平成7年10月20日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として同9年8月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第1968720号商標は、昭和60年9月9日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として同62年7月23日に設定登録されたものである。同じく登録第2028344号商標は、昭和60年9月9日に登録出願、第21類「装身具、その他本類に属する商品」を指定商品として同63年3月30日に設定登録されたものである。同じく登録第2047118号商標は、昭和60年9月9日に登録出願、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として同63年5月26に設定登録されたものである。そして、これらの登録商標(以下、まとめて「引用商標」ともいう。)は、いずれも、「CASIO」の欧文字を横書きしてなるものであり、現に有効に存続している。

3 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第5号証(枝番を含む。)を提出している。

(1) 本件商標は、請求人会社の著名な略称であり、また、社標として使用して著名な「カシオ」「CASIO」の音をそのままローマ字標記したものと錯覚するほどの外観構成のものであるから、取引きにおける通常の注意力の下にあっては、本件商標に接する取引者又は需要者が商品の出所について混同を生じる虞があることは、理由を詳述するまでもなく、明らかなところである。

請求人会社は、1957年の設立に係り、いわゆる電卓を中心とする電子機器関係を中心に伸びてきた会社であって、国内外に100か所を超す生産工場、事業所、営業所等を置き、電子時計、電子楽器、電子計算機、通信機器及び液晶テレビ、デジタルカメラなど広範囲な商品の製造販売を手掛け、発展してきているものである(甲第2号証)。

この間にあって、「カシオ」「CASIO」なる商標を商品「時計」等について登録を受けて使用していることはもちろん、第17類「被服」、第21類「装身具」等についても登録を受けて使用し、保護を図っているものであり、「カシオ」「CASIO」は、個々の商品の商標として、また、社名の略称あるいは社標として用い、国内は勿論、国際的にも著名なものとなっているものである。

したがって、前述のように、「カシオ」「CASIO」の音をそのままローマ字標記したかのようにみられる本件商標がその指定商品について使用されれば、それが請求人会社の取扱いに係るものとみられるか、又は、請求人会社と何らかの関係がある者の取扱いに係るものであるかのようにみられることになる。

(2) 本件商標は、引用商標と類似する。すなわち、本件商標が、「カシオ」「CASIO」の音をそのままローマ字標記したかのようにみられるものであることは前述のとおりである。商標「CASIO」の著名性に惹かれるために共通した外観とみられるだけでなく、その外観的共通性のほかに、「カシコ」「カシオ」の称呼の共通性があるために、これらが相乗的に作用して全体として紛れることになる。

もちろん、「カシコ」「カシオ」は、わずかに3音という短い音構成にあって、語尾において「コ」と「オ」の音の差異があるなどという観念論においては、あるいは両者を区別し得るというようなことになる場合もあるのであろうが、「CASIO」に著名性があり、両者には、繰り返し述べるような共通性があるのであるから、この共通性により、取引きにおいて紛れることのあることを否定できないものであり、その紛れは、結局、両者の共通性、言い換えれば、類似の関係にあることが原因するものであることは明白であり、結局、本件商標と引用商標とは類似するものというべきである。

(3) したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は、商標法第46条第1項の規定により、無効とされるべきものである。

4 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。

(1) 請求人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、同第46条第1項により、無効とされるべきと主張している。

しかしながら、本件商標は、特許庁の審査の結果登録を許され、その後、請求人がなした本件審判請求事由と同趣旨の登録異議申立に対し、審判合議体において本件商標の登録を維持する、との決定がなされているものであり、被請求人も当然の判断と首肯するところである。

然るに、請求人の主張は、この商標の混同に対する常識的な事実を無視し、明らかに事実を逸脱した主張であるから、以下にその非を解明し答弁の理由とする。

(2) 商標法第4条第1項第11号に該当しない理由

本件商標と引用商標について比較すると、称呼については、本件商標及び引用商標は、その構成文字に相応し「カシコ」及び「カシオ」の称呼を生ずること明らかである。

しかして、両称呼は共に3音構成よりなるところ、第3音目が「コ」と「オ」と相違するものである。そして、該差異音「コ」は「後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する無声の破裂音」であるのに対し、「オ」は「音声の振動によって比較的明瞭に発する音」であってその調音方法を異にする異質な音であるばかりでなく、両称呼はいずれも3音構成という短い音構成よりなるものであるから、その一音一音が明瞭に聴取されるため、両者は称呼上十分に聴別し得るものである。また、本件商標は特定の語義を生じない造語と判断されるものであるから、両者は観念上比較し得ないものであり、かつ、夫々の構成からみて外観上も区別し得るものである。

してみれば、本件商標と引用商標は、その称呼、観念及び外観のいずれにおいても区別し得る非類似の商標というべきものである。

(3) 商標法第4条第1項第15号に該当しない理由

本件商標と「CASIO」の文字よりなる商標が上述の通り別異のものであるから、本件商標を指定商品に使用した場合、その商品が請求人又は請求人と関係ある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について、取引者・需要者に誤認混同させるおそれはないものである。

(4) 結語

以上述べたとおり、請求人の主張は何ら理由のないものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものでない。

5 当審の判断

(1) 本件商標と引用商標との類否について検討するに、上記のとおり、本件商標は、「KASICO」の文字を横書きしてなるのに対し、引用商標は「CASIO」の文字を横書きしてなるところ、両者は、語頭において「K」と「C」の差異を有し、第5番目における「C」の文字の有無という差異があり、全体の外形から受ける印象を異にするものであって、外観上判然と区別し得るものである。

次に、両者を称呼上からみるに、それぞれの構成文字に相応して、本件商標は「カシコ」の、引用商標は「カシオ」の各称呼を生ずるものである。しかして、この両称呼は、同音数からなるものであるとしても、末尾において「コ」と「オ」の音の差異を有し、しかも相違する両音は、前者が「後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する無声子音〔k〕と母音〔o〕との結合した音」であるのに対し、後者は「唇の両端を少し中央に寄せ、舌を少し後方にひき、後舌面を軟口蓋に向かって高め、声帯の振動によって発する音」であって、その長音方法を異にする異質の音であり、この差異が3音という短い音構成に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼したときは全体の音感、音調が異なったものとなり、彼此相紛れるおそれはないものである。

さらに、両商標は、いずれも既成の観念を有する語を表したものともいえなから、観念上両者を比較すべくもない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても彼此相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

請求人は、商標「CASIO」の著名性に惹かれるために本件商標と引用商標とに外観的共通性及び称呼の共通性があり、これらが相乗的に作用して両商標は全体として類似する旨主張している。

しかしながら、商標「CASIO」の著名性を考慮したとしても、本件商標から引用商標を連想、想起するとは到底いえないから、両商標が類似するものであるとすることはできず、上記のように判断するのを相当とするから、請求人の主張は採用することができない。

(2) 上記(1)で述べたように、本件商標と引用商標とは非類似であり、別異のものであるから、たとえ、引用商標が周知著名なものであるとしても、本件商標をその指定商品に使用したときに、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはなく、その商品が請求人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

(3) 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。