結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35491号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件商標
本件登録第4152647号商標(以下、「本件商標」という。)は、「BARBA」の欧文字を横書きしてなり、第25類「セーター類,ネクタイ,ワイシャツ類」を指定商品として、平成9年1月24日に登録出願、同10年6月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出している。
(1)本件商標は、請求人が長きにわたって人形を初めとして小物や衣類など各種商品に使用した結果、世界的に知られるに至った商標「Barbie」に類似し、商品の出所について混同を生ずる恐れがあるから商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
A.本件商標は「バーバ」の称呼を生ずるものである。「バーバ」と引用商標の「バービー」とは、後者が長音で終わることから、実質的には音数は同じと言って良いし、語尾に被請求人の主張するような「バ」と「ビ」の差異があるが、同じバ行に属する音であり、全体として称呼においても相紛れることも十分予想される。
又、引用商標はしばしば「BARBIE」と大文字で表されることもあるので、本願商標「BARBA」とは外観上紛らわしいと言える。
さらに、本件においては、特に商標「Barbie」と、我が国における片仮名表記である「バービー」の周知性・著名性を考慮すべきである。
B.商標「Barbie」及び「バービー」の周知・著名性については、改めて立証を要しないものとも思われるので若干のものを提出するに止める。
甲第1号証として添付したのは、平成10年2月19日にインターネット上で「バービー」をキーワードとして該当ホームページを検索した結果のプリントアウトであって、786件ものホームページが該当するものとして挙がっている。
また、甲第2号証は、平成9年12月9日の朝日新聞夕刊の第1面の記事の抜粋であるが、ここにはベネズエラのチャカオ市長のイレーネ・サエス氏が取り上げられていて、「バービー人形じゃなかった元ミス・ユニバース」という見出しが使われている。このような見出しは引用商標の著名性がなければ、読者に何らアピールしないものであり、そのような表現が一般紙の見出しに使用されること自体が特別な意味を持っていると言えよう。
これらの事実のみを以ってして「Barbie」「バービー」の著名性は明らかである。
3.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証を提出している。
(1)商標について
請求人は、本事件において本件商標と対比すべき、「請求人の使用している商標」の具体的な態様を証拠として提出していないため、請求人において、審判請求書に記載の一般的文字で記載された商標(「Barbie」)及び請求人が同一の文字について商標登録を受けている商標(乙第1号証ないし同第4号証)を前提に、これらの商標(以下、一括して、「引用商標」という。)と、本件商標とを対比する。
A.外観について
本件商標と引用商標の外観を対比するに、本件商標は、アルファベットの大文字により「BARBA」と書してなり、一方引用商標は、アルファベットの大文字及び小文字により「Barbie」又はアルファベットの大文字により「BARBIE」と書してなる。
してみると、アルファベットの文字数が、前者は5文字、後者は6文字で、かつ、全体としての長さ及び受ける印象も異なるものであることから、外観上相紛らわしいと言うことはできない。
B.称呼について
両商標の称呼を対比するに、本件商標は、その構成態様から自然に生ずる称呼「バーバ」の称呼を採り上げて対比する。
一方、請求人の商標は、「バービー」なる発音が生ずる。
そこで、本件商標から生ずる称呼「バーバ」と、引用商標の称呼「バ一ビー」とを対比するに、語頭音及び第2音までの「バー」では、共通性が認められるものの、第3音以降では「バ(Ba)」と、「ビー」とで異なる。この両者の相違に着目するに、後者が第3音の「ビ(Bi)」の母音である「イ」を長く伸ばす長音を付してなるのに対して、前者は第3音である「バ(Ba)」の母音である「ア」の音を伸ばすことなく止めて発音する点で、両者は音質・音調を異にするものである。してみるに、本件商標では第3音の母音が「ア」で、引用商標の母音は「イ」であり、これらの母音を共に、長音により伸ばして発音しても(「アア」と「イイ」)、止めて発音しても(「ア」と「イ」)、いずれにしろ、充分に聴別しうる音質、音調の差異が見受けられ、全体としての音数も異なり音質、音調も異なるものとして、取引者・最終消費者には認識される。
C.観念について
観念については、両商標とも特定の意味を持たない造語であって、共通点は全くない。
以上より、本件商標と引用商標とでは、非類似の商標であって、出所の混同が生ずるおそれがないということができる。
(2)商品について
本件商標の指定商品である「セーター類,ネクタイ,ワイシャツ類」と「人形」とでは、業種業態が異なる全くの異業種であり、需要者・販売形態・用途・品質等の取引実情に至るまで別個であることから、直接の関連性があるものとは思えない。
また、人形と、人形用被服を同時に販売等することはあるものの、「セーター類,ネクタイ,ワイシャツ類」と、「人形及び人形用被服」とでは、それらの需要者・販売店(販売形態)に至る取引の実情を考慮しても、全く異なり、実際上、請求人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であると需要者が認識することはなく、実際上、出所の混同が生ずるということは到底できない。
同様に、「小物」についても、それが、装身具関係、即ち、靴下やマフラー、帽子、ズボン、ベルト等を指しているとしても、更には、それ以外の請求人がいうところの「各種商品」が何であろうが、請求人がこれらの商品に係る業務を行うことを証左するものは一切ないばかりでなく、そもそも商標自体が取引者・最終消費者をして全く別のものであると認識される以上、事実上、出所の混同が生ずるおそれはない。
(3)以上より、本件商標は、その商標自体又その他の客観的な諸般の事情を考慮しても商標法第4条第1項第15号に違反するものではなく、従って、無効とされるべきものではない。
4.当審の判断
そこで判断するに、本件商標は「BARBA」の文字より構成されるところ、これよりは「バーバ」の称呼を生ずるというのが自然である。
一方、引用商標は「Barbie」の文字よりなるところ、これより「バービー」の称呼を生ずる。
そこで本件商標より生ずる「バーバ」の称呼と、引用商標より生ずる「バービー」の称呼を比較検討するに、両者は3音と4音という短い音構成からなるうちの、第3音以下において前者が「バ」、後者が長音を伴う「ビー」という差異を有するものである。
そして、上記差異音は、共に50音図中のバ行に属するものであるが、前者の「バ」(ba)の母音(a)は、舌全体が下がった有声の開放母音(広母音)であるのに対し、後者の「ビ」(bi)の母音(i)は、唇を平たく開き、舌の先を下方に向け、前舌面を高めて硬口蓋に接近させ声帯を振動させて発する単母音である。そうとすれば、両音は母音において相当の音質の差を有するのに加え、後者は長音を伴い「ビー」と長く響く音として聴取されるものである。してみれば、これらの音の差異が短い音構成から、両称呼の全体に及ぼす影響は大きいものであるから、両称呼を一連に称呼するときは、その語調・語感が異なるから、称呼上充分に区別し得るものである。
また、両商標は上記構成よりなるものであって、外観上互いに区別し得る差異を有し、さらに、本願商標は特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認められるものであるから、観念において両者は比較すべくもないところである。
してみると、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものといわざるを得ない。
そうとすると、引用商標がわが国において金髪碧眼のプラスチック人形の愛称又は商標として、相当程度広く知られるものであるとしても、本件商標と引用商標とは前記したとおり、明らかに区別し得る別異の商標であり、被請求人が本件商標をその指定商品について使用しても、引用商標を想起することはないものと認められるから、請求人若しくは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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