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Trademark Appeal Case

公益事業標章の著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2020−15066(T2020−15066/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標及び手続の経緯

本願商標は、「HyDrone」の文字及び「ハイドローン」の文字を上下2段に横書きしてなり、第12類「写真撮影用ドローン並びにその部品及び附属品,映像撮影用ドローン並びにその部品及び附属品,配達用ドローン並びにその部品及び附属品,輸送用ドローン並びにその部品及び附属品,農薬散布用ドローン並びにその部品及び附属品,測量用ドローン並びにその部品及び附属品,水中用ドローン並びにその部品及び附属品,捜索・救助用ドローン並びにその部品及び附属品,その他の民間用又は軍事用ドローン並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,船舶並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素」を指定商品として、平成31年1月16日に登録出願されたものである。

なお、本願は、令和元年11月1日付けで拒絶理由の通知がされ、同2年7月22日付けで拒絶査定がされたものである。

これに対して令和2年10月29日に拒絶査定を不服とする審判の請求がされている。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「HyDrone」の文字及び「ハイドローン」の文字を2段に横書きしてなるところ、当該文字は、経済産業省近畿経済産業局が来る水素社会の実現に向けた取組として、その開発を企画・支援する、水素エンジンを動力とするパッセンジャードローン(乗用)を表すものとして使用されていて著名な標章と類似の商標というのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋

当審において、令和3年6月9日付けで、別掲のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当する旨の見解を示す審尋を通知し、これに対する回答を求めた。

第4 審尋に対する請求人の意見(要旨)

1 パッセンジャードローン(乗用)の開発事業を表示する標章は、審尋において示された事実及び情報(別掲1及び別掲2)の記載からすれば、「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字ではなく、「ハイドローンプロジェクト」の文字であって、かつ、審尋において示された情報(別掲2)に基づいては、一般の者に広く認識されているとは認定できないものであるから、商標法第4条第1項第6号で規定する「著名」には該当せず、さらに、本願商標と当該標章「ハイドローンプロジェクト」とは、類似するものではない。

2 本願商標は、2025年の大阪万博において、人が乗機できるドローンのデモ飛行に表示して使用するものであり、仮に、この商標が商標登録され得ないこととなれば、他人によって同一標章のドローンが併行して飛行することが生じかねず、そうした場合には、国家的事業である国際博覧会において、混乱が生じることが懸念される。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第6号該当性について

(1)「HyDrone」の文字及び「ハイドローン」の文字は「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名」であることについて

ア 「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字について

「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字は、別掲のとおりの事実からすると、国の機関である経済産業省近畿経済産業局が、来る水素社会の実現に向けた取組として、水素エンジンを動力源とするパッセンジャードローン(乗用)開発を企画・支援する事業の名称と認められるものであるから、公益に関する事業であって営利を目的としないものの名称であると認められる。

イ 「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字が、「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」であり、かつ、「著名」であることについて

「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字は、上記アのとおり、経済産業省近畿経済産業局が、来る水素社会の実現に向けた取組として、水素エンジンを動力源とするパッセンジャードローン(乗用)開発を企画・支援する公益に関する事業であって営利を目的としないものの名称として実際に使用され、別掲2のとおり、全国紙を含む複数の新聞記事情報及びウェブサイト情報において、報道又は紹介されていることからすると、「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字からなる標章(以下「引用標章」という。)は、国の機関である経済産業省近畿経済産業局による公益に関する事業であって営利を目的としないものの名称を表示するものとして一般の者に広く認識されていると認められる。

そうすると、引用標章は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であり、かつ、著名な標章と判断するのが相当である。

(2)本願商標と引用標章の類似性について

本願商標と引用標章は、いずれも「ハイドローン」の称呼及び「国の機関である経済産業省近畿経済産業局が、来る水素社会の実現に向けた取組として、水素エンジンを動力源とするパッセンジャードローン(乗用)開発を企画・支援する事業の名称」程の観念を共通にするものである。

したがって、本願商標と引用標章は、称呼及び観念を共通にする同一又は類似の商標というべきである。

(3)小括

以上によれば、本願商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名な引用標章と同一又は類似の商標である。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。

2 請求人の主張について

(1)パッセンジャードローン(乗用)の開発事業を表示する標章は、審尋において示された事実及び情報(別掲1及び別掲2)の記載からすれば、「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字ではなく、「ハイドローンプロジェクト」の文字であって、かつ、審尋において示された情報(別掲2)に基づいては、一般の者に広く認識されているとは認定できないものであるから、商標法第4条第1項第6号で規定する「著名」には該当せず、さらに、本願商標と当該標章「ハイドローンプロジェクト」とは、類似するものではない旨主張する。

しかしながら、経済産業省近畿経済産業局のプロジェクト全体の名称として、「ハイドローンプロジェクト」の文字が使用されているとしても、当該プロジェクトの核となる、水素エンジンを動力源とするパッセンジャードローンを表示する標章は、「HyDrone」の文字字又は「ハイドローン」の文字であることからすると、当該「HyDrone」の文字又は「ハイドローン」の文字からなる引用標章は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として認識されるものであり、また、上記1のとおり、全国紙を含む複数の新聞記事情報及びウェブサイト情報において報道又は紹介されていることからすれば、一般の者に広く知られている著名な標章というのが相当である。

そして、本願商標と引用商標とは、同一又は類似のものと判断するのが相当である。

(2)請求人は、本願商標は、2025年の大阪万博において、人が乗機できるドローンのデモ飛行に表示して使用するものであり、仮に、この商標が商標登録され得ないこととなれば、他人によって同一標章のドローンが併行して飛行することが生じかねず、そうした場合には、国家的事業である国際博覧会において、混乱が生じることが懸念される旨主張する。

しかしながら、本願商標は、経済産業省近畿経済産業局による公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であり、かつ、著名な標章である引用標章と類似するものである。

そして、商標法第4条第1項第6号の立法趣旨(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕参照)に鑑みれば、同号所定の標章に該当する本願商標を、請求人はもとより、一私人にすぎない法人等に独占させることは、経済産業省近畿経済産業局の権威を尊重する観点から適切ではないというのが相当である。

そうすると、請求人が、経済産業省近畿経済産業局による公益事業に参画している事実があるとしても、上記「この商標が商標登録され得ないこととなれば、他人によって同一標章のドローンが併行して飛行することが生じかねず、そうした場合には、国家的事業である国際博覧会において、混乱が生じることが懸念される」との請求人の主張は、適切なものとはいえない。

(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当ものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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