Trademark Appeal Case
商標の称呼観念の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2021−900041(T2021−900041/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6314833号商標(以下「本件商標」という。)は、「CLAIRE」の文字を標準文字で表してなり、令和2年2月28日に登録出願、第35類「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年7月17日に登録査定され、同年11月11日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5255217号商標(以下「11号引用商標」という。)は、別掲1のとおり、「claire‘s」の欧文字を横書きにしてなり、平成19年12月7日に登録出願、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,頭飾品及びその他の身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,フォトフレームの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯電話用のストラップの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ピアス用収納容器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ネックレス用収納具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同21年8月7日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
2 申立人が、本件登録異議の申立ての理由において、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、11号引用商標並びに「クレアーズ」の片仮名からなる登録第2661230号商標(以下「申立人所有商標1」という。)、「Claire‘s」の欧文字及び「クレアーズ」の片仮名を上下二段に書してなる登録第4068474号商標(以下「申立人所有商標2」という。)、別掲2のとおりの構成からなる登録第4077459号商標(以下「申立人所有商標3」という。)、「Claire’s」の欧文字からなる登録第4173259号商標(以下「申立人所有商標4」という。)、「Claire‘s」の欧文字及び「クレアーズ」の片仮名を上下二段に書してなる登録第4173260号商標(以下「申立人所有商標5」という。)、「Claire‘s」の欧文字及び「クレアーズ」の片仮名を上下二段に書してなる登録第4173261号商標(以下「申立人所有商標6」という。)、「Claire’s」の欧文字からなる登録第4225283号商標(以下「申立人所有商標7」という。)、「Claire‘s」の欧文字及び「クレアーズ」の片仮名を上下二段に書してなる登録第4227498号商標(以下「申立人所有商標8」という。)、別掲3のとおりの構成からなる登録第4316622号商標(以下「申立人所有商標9」という。)、「CLAIRE’S ACCESSORIES」の欧文字からなる登録第4384017号商標(以下「申立人所有商標10」という。)及び「クレアーズ」の片仮名からなる登録第5254831号商標(以下「申立人所有商標11」という。)であり、申立人が、「身飾品,頭飾品,かばん類,袋物,被服」等及びこれらの商品に関する小売等役務(以下「申立人使用商品及び役務」という。)に使用していると主張するものである。
以下、11号引用商標と申立人所有商標1ないし申立人所有商標11をまとめていう場合は、「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本件商標と11号引用商標について
本件商標は、欧文字の「CLAIRE」から構成される商標である。「CLAIRE」は、英語圏の女性名を示す英単語であるから、「クレアー」の称呼及び「クレアー(女性名)」の観念が生じる。
一方、11号引用商標(甲2)は、欧文字の「claire」と所有格を示す「‘s」からなる商標である。
11号引用商標は、「claire」と「s」の間に「‘(アポストロフィ)」が表されていることから、視覚上、「claire」と「s」とに分離して認識されるといえるものである。また、「’s」の部分は、名詞の所有格を示す語尾であるという以上に特定するものではないから、11号引用商標に接する取引者及び需要者が「claire」の文字部分のみを捉え、該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないといえるものである。
なお、フランス語で「明るい、薄い、淡色の」という意味合いを有する「CLAIRE」は「クレール」と発音されるが、本件商標及び11号引用商標の構成中の「CLAIRE」及び「claire」がフランス語であると認識された場合、11号引用商標におけるフランス語の「claire」と英語の「‘s(アポストロフィエス)」の部分は、より分離して認識されやすくなるものである。
(2)外観上の類否について
11号引用商標「claire‘s」は、「claire」と「s」の間に「’(アポストロフィ)」が表されていることから、視覚上、「claire」と「s」とに分離して認識されるといえるものである。
そうすると、欧文字の「CLAIRE」からなる本件商標と11号引用商標とは、看者に与える印象が近似したものになり、時と処を異にして両者に接するときは互いに紛れやすいというべきである。
以上によれば,両者は外観上紛らわしく、本件商標と11号引用商標とは、外観において類似するというべきである。
なお、仮に「claire‘s」を全体としてみた場合であっても、本件商標との差異は商標の末尾に位置する「’s」のみであるから、本件商標と11号引用商標は、外観において近似した印象を与えるものである。
(3)観念上の類否について
11号引用商標については、視覚上、「claire」と「s」とに分離して認識されるものであるから、11号引用商標からは、本件商標と共通する「クレアー(女性名)」の観念が生じ得るものである。
したがって、本件商標と11号引用商標とは、観念において共通するものである。
なお、仮に、「claire‘s」を全体としてみた場合であっても、11号引用商標からは「クレアー(女性名)の」といった観念が生じることになり、単に「クレアー(女性名)」といった観念が生じる本件商標とは、観念において近似した印象を与えるものである。
(4)称呼上の類否について
11号引用商標については、視覚上、「claire」と「s」とに分離して認識されるものであるから、11号引用商標からは、本件商標と共通する「クレアー」の称呼が生じ得るものである。
したがって、本件商標と11号引用商標とは、称呼において共通するものである。
(5)商品及び役務の類否並びに取引の実情について
本件商標の指定役務「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と11号引用商標の指定役務のうち「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等の指定役務は、提供の手段、目的又は場所等が一致する類似の役務である。
なお、「履物」や「被服」等の小売等に冠する役務において取り扱われる商品は日常的に消費される性質のものであるから、本件商標が使用される役務の主たる需要者は、広く一般の消費者を含むものということができる。そして、このような一般の消費者には、必ずしも商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者も多数含まれているといえ、当該役務について使用される商標に関して常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭などで短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくないと考えることから、役務の提供を受けるにあたって払う注意力が必ずしも高いとはいえない。
そうすると、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際において、11号引用商標に接する需要者・取引者は、名詞の所有格を示す語尾であるという以上に特定するものではない「‘s」部分を捨象することによって「claire」の文字部分に着目し、取引に資することが少なくないといえる。このような一般的かつ恒常的な取引の実情を考慮すれば、本件商標と11号引用商標が、被服や履物に関する小売等の役務に使用された場合、これに接する需要者又は取引者において、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれが高くなるものである。
(6)小括
以上のとおり、本件商標と11号引用商標とは、時と所とを異にして行う離隔的観察を行った場合において、区別することが容易でない相紛らわしい類似の商標である。
また、本件商標に係る指定役務と11号引用商標に係る指定役務とは類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)申立人について
申立人は、「Claire‘s」ブランドのもと、ジュエリーやアクセサリー等の商品を販売する米国法人Claire’s Stores Inc.(以下「米国クレアーズ社」という。)の子会社であって、同社の商標を含む全ての知的財産を管理している(甲3)。
申立人は、我が国において「Claire‘s」を構成要素に含む引用商標を保有している(甲4)。
なお、1994年9月16日に米国クレアーズ社とイオン株式会社(旧ジャスコ株式会社)(以下「イオン社」という。)との合併企業としてクレアーズ日本株式会社(以下「クレアーズ日本社」という。)が設立され(甲5)、以降、我が国においては、申立人からのライセンスに基づき、引用商標は、クレアーズ日本社が使用してきた。
(2)引用商標の周知性
ア 引用商標並びに申立人使用商品及び役務
引用商標は、申立人使用商品及び役務を提供する店舗名として、幅広く使用されてきた商標である。
イ 使用開始時期、使用期間、使用地域並びに生産、証明もしくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)
引用商標の使用開始時期は、クレアーズ日本社の設立年である1994年であり、以後、2020年に至るまで継続的に使用されていた。本件商標の登録出願日である2020年2月時点においては、日本全国における110店舗において引用商標が使用されていた(甲6)。
なお、2018年度までの店舗全体における売上高は、2010年度に69億3,100万円、2011年度に63億2,900万円、2012年度に64億5,000万円、2013年度に59億3,800万円、2014年度に54億900万円、2015年度に54億7,000万円、2016年度に50億4,200万円、2017年度に41億4,400万円、2018年度に36億500万円であり、そのうち2014年度から2018年度における各部門の売上高を示す資料を提出する(甲7)。
ウ 広告宣伝の方法、回数及び内容
申立人は、1994年以降、小売店舗におけるパンフレット等を通じて宣伝広告を大々的に行ってきた。なお、申立人使用商品及び役務に冠する年度毎の広告宣伝費用は、2009年度は9,600万円、2011年度は8,200万円、2012年度は7,800万円、2013年度は8,100万円、2014年度は7,800万円、2015年度は7,200万円、2016年度は7,500万円、2017年度は6,600万円、2018年度は6,000万円、2019年度は4,700万(10か月分のみ)のとおりである。
エ 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
引用商標が使用された申立人使用商品及び役務は、発行部数の多い雑誌において度々取り上げられており、このような雑誌における掲載実績を証拠として提出する(甲8)。
引用商標が使用された申立人使用商品及び役務及び引用商標を使用した店舗の出店状況などを含むクレアーズ日本社の動向に関しては、全国紙、業界紙等の新聞媒体、及びテレビ放送等においても度々取り上げられている事実から鑑みれば(甲9)、引用商標は、その主なターゲットとする需要者層に限らず、幅広い層の需要者の耳目に触れる機会が多いものである。
これらの証拠資料に示されるとおり、引用商標が付された商品は、我が国においても相当の取引量があること、及び我が国における雑誌においても数多く取り上げられている事実等を鑑みれば、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日である2020年2月28日において、取引者、需要者の間に広く知られているものとなっていることは明らかである。
なお、合弁会社の解消に伴い、引用商標の使用は2020年10月から一時的に終了しているが、本件商標の登録日は合弁会社の解消から1か月程度しか経過していないことを考慮すれば、1か月程度の短い期間において急速に引用商標に係る名声が衰えるようなことはない。
ゆえに、仮に引用商標と本件商標が類似しないものと判断された場合であっても、引用商標の我が国における周知性、及び現実の取引の実情等を総合的に判断すれば、本件商標と引用商標とが並存して登録した場合、需要者において品質混同の生じるおそれがあるうえ、本件商標の商標権者が経済的又は組織的になんらかの関係を有する者の業務に係るものであるとして、申立人の業務と混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、若しくは、同項第15号に違反して登録されたものであるから、直ちに取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、ジュエリーやアクセサリー等の商品を販売する米国クレアーズ社の子会社で、同社の商標を含む全ての知的財産を管理する法人である(甲3、申立人の主張)。
イ 1994年9月16日に米国クレアーズ社とイオン社との合併企業としてクレアーズ日本社が設立された以降、我が国においては、申立人からのライセンスに基づき、クレアーズ日本社が、申立人使用商品及び役務に引用商標を使用してきた(甲5、甲8)。
ウ 引用商標は、申立人使用商品及び役務を提供する店舗名として、使用されてきた。
エ 引用商標は、クレアーズ日本社の設立年である1994年以後、2020年に至るまで継続的に使用され、本件商標の登録出願日である2020年2月時点で、日本全国の110店舗において引用商標が使用されていた(甲6)。
オ 申立人は、2014年度から2018年度までの店舗全体における売上高は、2014年度に54億900万円、2015年度に54億7,000万円、2016年度に50億4,200万円、2017年度に41億4,400万円、2018年度に36億500万円で推移していると主張するが、これを裏付ける証拠の提出はない。
カ 申立人は、申立人使用商品及び役務に関する年度毎の広告宣伝費用は、2009年度は9,600万円、2011年度は8,200万円、2012年度は7,800万円、2013年度は8,100万円、2014年度は7,800万円、2015年度は7,200万円、2016年度は7,500万円、2017年度は6,600万円、2018年度は6,000万円、2019年度は4,700万(10か月分のみ)であると主張するが、これを裏付ける証拠の提出はない。
キ 引用商標が使用された申立人使用商品及び役務は、雑誌において取り上げられている(甲8、甲9)。
(2)引用商標の周知著名性について
上記(1)において認定したとおり、申立人はジュエリー等の商品を販売する米国クレアーズ社の子会社で同社の知的財産を管理する法人であること、引用商標は、申立人使用商品及び役務を提供する店舗名として、使用されてきたこと、我が国においては、クレアーズ日本社が、引用商標を本件商標の登録出願の時点で日本国内の110店舗で使用したことは推認できる。
しかしながら、申立人が2014年度から2018年度における各部門の売上高と主張する金額については、これを裏付ける証拠の提出がなく、申立人使用商品及び役務の業界全体の売上高等を示す証拠も提出されていないため、申立人の売上高についての多寡は確認することができず、市場占有率(シェア)も確認することができない。
また、申立人が2009年度から2019年度の宣伝広告費と主張する金額については、これを裏付ける証拠の提出がなく、同業他社の宣伝広告費とを比較することができないため、申立人の宣伝広告費の多寡は確認することができない。
さらに、新聞、雑誌及びテレビ等で、引用商標が使用された申立人使用商品及び役務に関する記事が掲載されている事実があるとしても、これらの広告媒体にて、本件商標の登録出願時から登録査定時において、継続的に引用商標に関する宣伝広告が行われていたことについては確認することができない。
そうすると、申立人の提出した証拠及び同人の主張によっては、引用商標の客観的な事実に基づく周知著名性を判断することができないため、引用商標の周知著名性の程度を推し量ることができない。
したがって、引用商標は、申立人又は申立人使用商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「CLAIRE」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字が、「クレール(女子の名)」又は「明るい、薄い、淡色の」等の意味を有するフランス語の成語であるとしても、これが我が国において、一般に親しまれている語とはいい難いことから、特定の意味合いを有しない造語として理解、認識されるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「クレール」又は「クレアー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)11号引用商標について
11号引用商標は、上記第2の1のとおり、「claire‘s」の欧文字を横書きにしてなる(別掲1)ところ、上記(1)のとおり、11号引用商標の構成中の「claire」の文字が、「クレール(女子の名)」又は「明るい、薄い、淡色の」等の意味を有するフランス語の成語であるとしても、当該文字は、特定の意味合いを有しない造語として理解、認識されるものとみるのが相当である。
また、11号引用商標は、「claire」の文字、「‘」(アポストロフィ)及び「s」の文字を結合してなるものと容易に認識できる。
そして、「claire‘s」の文字は、辞書等に載録されていないものであって、かつ、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しない。
したがって、11号引用商標は、その構成文字に相応して「クレールズ」又は「クレアーズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と11号引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標と11号引用商標の外観を比較すると、本件商標は、「CLAIRE」の文字からなるのに対し、11号引用商標は、「claire‘s」の文字からなるものであり、「’」の記号及び「s」の文字の有無という明らかな相違点を有するものである。
よって、本件商標と11号引用商標とは、外観上、明確に区別し得るものである。
イ 称呼について
本件商標から生じる「クレール」又は「クレアー」の称呼と11号引用商標から生じる「クレールズ」又は「クレアーズ」の称呼とを比較すると、本件商標は、長音を含め4音の称呼であり、一方、11号引用商標は、長音を含め5音の称呼である共に短い音の構成からなるものである。
そして、本件商標の称呼と11号引用商標の称呼における差異音は、11号引用商標の語尾の「ズ」の音の有無であるところ、語尾の「ズ」の音は、他の音に比べて、強く称呼されるものであることからすると、特に、4音と5音という短い音節からなる「クレール」と「クレールズ」、「クレアー」と「クレアーズ」とを一連に称呼するときは、語尾の「ズ」の音の有無が、称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえないことから、その語調・語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものである。
よって、本件商標と11号引用商標とは、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
ウ 観念について
本件商標と11号引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
エ 小括
上記アないしウから、本件商標と11号引用商標とは、観念において比較することができないものであるとしても、外観及び称呼において明らかに相違するものであり、これらを総合して判断すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標と11号引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、たとえ、本件商標の指定役務が、11号引用商標の指定役務中の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,頭飾品及びその他の身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似する役務であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知著名性について
上記1のとおり、引用商標は、申立人又は申立人使用商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
上記2のとおり、本件商標と11号引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものである。
また、本件商標と「クレアーズ」の片仮名、「Claire’s」の文字、二段書きの「Claire‘s」の文字及び「クレアーズ」の片仮名、及びその構成中に「CLAIRE’S」の文字や「claire‘s」の文字を有する申立人所有商標1ないし申立人所有商標11とは、本件商標と11号引用商標と同様に、これらの観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において明らかに相違するものであり、これらを総合して判断すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものである。
(3)本件商標の指定役務と申立人使用商品及び役務の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定役務と申立人使用商品及び役務とは、類似の商品及び役務であり、密接な関連性を有し、需要者の範囲も共通にするものである。
(4)出所混同のおそれについて
上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標の指定役務は、申立人使用商品及び役務と、密接な関連性を有し、需要者の範囲を共通にするものであるとしても、引用商標は、申立人又は申立人使用商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国において、需要者の間に広く認識されているとはいえないものであり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、本件商標の権利者が、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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