Trademark Appeal Case
称呼類似性の判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2021−900158(T2021−900158/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6358630号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年3月12日に登録出願、第35類「マーケティング,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」及び第42類「受託による製品開発,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務として、同3年2月4日に登録査定され、同年3月3日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標に係る登録異議の申立てにおいて、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のとおり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5982529号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定役務 第35類「コンピュータデータベースの情報構築及び情報編集,コンピュータデータベースの情報構築及び情報編集に関する指導・助言・情報の提供,コンピュータデータベース内のデータ更新及び保守,コンピュータデータベース内のデータ更新及び保守に関する指導・助言・情報の提供,コンピュータによるファイルの管理,電子計算機システムの導入・運用に伴う事業に関するコンサルティング」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成・保守,電子計算機のプログラムの導入・環境設定,電子計算機のプログラムの機能の拡張・追加,電子計算機のプログラムの導入・環境設定及び機能の拡張・追加に関する指導・助言・情報の提供,通信回線を用いて行う電子計算機用プログラムの提供,通信回線を用いて行う電子計算機用プログラムの提供に関する助言及び情報の提供,電子計算機用プログラムの用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする電子計算機用プログラムの性能・操作方法等に関する紹介及び説明」
登録出願日 平成29年6月30日
設定登録日 平成29年9月22日
(2)登録第5993065号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 AI−Q(標準文字)
指定商品・役務 第9類「電子計算機用プログラム」、第35類「コンピュータデータベースの情報構築及び情報編集並びにこれらに関する指導・助言・情報の提供,コンピュータデータベース内のデータ更新及び保守並びにこれらに関する指導・助言・情報の提供,コンピュータによるファイルの管理,電子計算機システムの導入・運用に伴う事業に関するコンサルティング」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成・導入・環境設定・保守及び機能の拡張・追加並びにこれらに関する指導・助言・情報の提供,通信回線を用いて行う電子計算機用プログラムの提供並びにこれに関する助言及び情報の提供,電子計算機用プログラムの用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする性能・操作方法等に関する紹介及び説明」
登録出願日 平成28年10月27日
設定登録日 平成29年11月2日
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した(以下、証拠については「甲○」のように表示する。)。
(1)当事者
申立人は、佐賀県内に所在する、AIによる情報解析サービスの提供や講演会等オンライン配信等を業として行う会社である(甲1)。
本件商標権者は、2017年(平成29年)7月6日に設立された会社である(甲4)。
申立人と本件商標権者であるAIQ株式会社との間には、資本関係、業務提携関係等は何ら存在しない。
(2)申立人の引用商標の保有
申立人は、2016年(平成28年)から2017年(平成29年)にかけて、引用商標の出願を行い、登録5982529号については2017年(平成29年)9月22日に、登録第5993065号については同年11月2日に、いずれも登録され、現に有効に存続する。
なお、申立人は引用商標を、2016年(平成28年)11月1日に開始した自社のオンラインチャットボットの名称・ロゴとして現に利用している(甲2)。
また、申立人における同サービスの名称の称呼は「アイキュー」である(甲1)。
(3)本件商標権者による本件商標等の出願経過
本件商標権者は、本件商標を2020年(令和2年)3月12日に出願した。このとき、本件商標権者は同日付で、本件商標に係る標章の標準文字標章として「AIQ」との商標の出願を行った(商願2020−27023 以下「関連商標」という)。
本件商標については、2021年(令和3年)2月9日(決定注:登録査定の発送日と認める。)に登録査定がなされた。
一方で、関連商標については、同月18日付で、審査官より、申立人保有の引用商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の拒絶理由通知がなされており、現時点で、なお審査中である(甲3)。
(4)本件商標が引用商標に類似すること
ア 本件商標は「AIQ」の文字により形成されたロゴであること
本件商標は本件商標権者の会社のロゴとして、ウェブサイト、プレスリリース、Tシャツその他において用いられている(甲4)。
そして、本件商標権者の会社の商号は「AIQ株式会社」であることから、このロゴが「AIQ」の三文字のアルファベットをデフォルメしたものとして現に利用され、また本件商標出願の標章として利用されたことは明らかである。
イ 「AIQ」は「アイキュー」の称呼を生じさせること
「AIQ」の文字からなる商標の称呼としては、「エーアイキュー」「アイキュー」「アイク」などが想定される。引用商標の審査において、称呼(参考情報)として「アイキュー」「アイキュウ」「エイアイキュウ」との認定がなされている。
この点、本件商標及び関連商標における称呼(参考情報)として「エイアイキュウ」「アイク」のみを認定している。
しかし、本件商標権者は自社の商号について「AIQ(アイキュー)株式会社」と表示しているうえ(甲4)、本件商標権者が紹介された報道記事(甲5)においても、本件商標権者の名称については「AIQ(アイキュー)」と紹介されている。
以上によれば、アルファベットの通常の読み方、及び本件商標権者を含む通常人における一般的な読み方によれば、「AIQ」の標章からは「アイキュー」の称呼が当然に生じるものである。
ウ 本件商標は引用商標に類似すること
以上を踏まえ、本件商標と引用商標の類否を検討する。
第1に、外観については、本件商標の標章はロゴとなっているが、上記経緯から当該ロゴが「AIQ」のアルファベットで構成されるものと通常人において認識されるものである。とすれば、「AIQ」と引用商標である「AI−Q」は、ハイフンを含む以外に区別はなく、外観が類似する。
第2に、称呼については前記イのとおり、一般的に生じる称呼に同一のものが含まれるうえ、現に本件商標権者において、本件商標の標章を「アイキュー」と読む旨説明していることからすれば、引用商標と本件商標の称呼は同一である。
第3に、観念については、いずれも「AI」や「Q」を含む連続した文字であるという以上の観念を直ちに生じさせるものではない。申立人においては、これを「AI」「Q」それぞれに自社のサービスの特徴を当てはめ、人工知能による問い合わせサービス(チャットボット)の名称としているところ、「AIQ」においても同様の観念が生じる可能性がある。
また、そのような観念が生ずるものではないとすれば、そもそも本件商標・引用商標ともに、直ちに特定の観念を生じさせない標章であることとなり、外観及び称呼の類似性において類否の判断をすべきものとなる。
以上によれば、関連商標である標準文字の「AIQ」と引用商標「AI−Q」が類似することはもとより、外観として「AIQ」のアルファベットにより構成されるものである本件商標と引用商標においても、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似するものである。
そして、以上の検討結果は、関連商標に関する貴庁審査官の拒絶理由(甲3)とも実質的に同一のものである。
(5)結語
以上のとおり、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1の構成よりなり、当該構成中、1文字目は、ギリシャ文字のラムダ(Λ)又はアルファベットの「A」を、2文字目は、逆斜線(\)の記号を、そして、3文字目は、アルファベットの「Q」をモチーフとしているといえるものの、当該三つの文字及び記号をデザイン化して結合すると、全体として特定の文字を認識させるものではなく、本件商標からは、特定の称呼及び観念を生じないというのが相当である。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、別掲2の構成よりなり、青色の色彩を施した「Q」の文字の内部に目と口を表示した顔のようなデザインを有する「AI−Q」の文字及びその下部に、小さく同色で「【アイキュー】」の括弧書き付きの片仮名文字を表してなるところ、「AI−Q」の文字部分から「エーアイキュー」の称呼が生じ、下部の「【アイキュー】」の文字からは、「アイキュー」の称呼をも生じるものである。
また、「AI−Q」及び「【アイキュー】」の文字のいずれも辞書等に載録のない造語であるから、特定の意味を有しない一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。
そうすると、引用商標1からは、「エーアイキュー」及び「アイキュー」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、「AI−Q」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字に相応して「エーアイキュー」の称呼を生じ、当該文字は辞書等に載録のない造語であって、特定の意味を有しない語であるから、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりであるところ、外観については、本件商標は、全体として特定の文字を認識させないものである一方、引用商標1は、青色の色彩を施した「Q」の文字の内部に顔のようなデザインを有する「AI−Q」の文字と、下部に「【アイキュー】」の文字を有するものであり、引用商標2は明らかに「AI−Q」の文字からなるものであるから、本件商標と引用商標は、外観上明確に区別できるものであり、相紛れるおそれはない。
次に、称呼については、本件商標からは特定の称呼は生じないから、引用商標から生じる称呼と比較することはできない。
さらに、本件商標と引用商標は、共に特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれはないから、これらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはない非類似の商標と判断するのが相当である。
したがって、両商標の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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