結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2023013977 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、2020年(令和2年)2月12日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2019年2月13日 US(米国))を国際出願日とする出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年9月29日付け:拒絶理由の通知
令和5年1月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年4月17日付け:拒絶査定(謄本送達日:同月18日)
令和5年8月18日 :審判請求書と同時に手続補正書の提出
[補正の却下の決定の結論]
令和5年8月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(以下、本件補正後の請求項1に係る発明を「本件補正発明」という。また、下線部は、補正箇所である。)。
【請求項1】
女性用衛生パッドであって、液体透過性のトップシートと、液体不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性層と、を備え、
前記トップシートが、親水性繊維を含む繊維状の不織布ウェブ材料を含み、
前記吸収性層が、HIPEの重合によって形成された連続気泡発泡体を含み、
前記トップシート及び前記吸収性層が、互いに直接向かい合わせの関係で配設され、少なくとも15cm
2
の結合領域内で互いに取り付けられ、前記結合領域内で、前記トップシートと前記吸収性層との間の各第1の識別可能な取り付け点が、前記第1の識別可能な取り付け点の6mmの半径内で、前記トップシートと前記吸収性層との間の隣接する第2の識別可能な取り付け点を有し、各識別可能な取り付け点が前記吸収性層の気泡構造体と機械的インターロックを形成
し
、
前記トップシートと前記吸収性層との間の取り付けが、前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域を残しつつ、結合領域を形成するように不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされる、
女性用衛生パッド。
(2) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和5年1月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである(・・・は省略を示す。以下、請求項1に係る発明から順に「補正前発明1」、「補正前発明2」・・・という。)。
【請求項1】
女性用衛生パッドであって、液体透過性のトップシートと、液体不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性層と、を備え、
前記トップシートが、親水性繊維を含む繊維状の不織布ウェブ材料を含み、
前記吸収性層が、HIPEの重合によって形成された連続気泡発泡体を含み、
前記トップシート及び前記吸収性層が、互いに直接向かい合わせの関係で配設され、少なくとも15cm
2
の結合領域内で互いに取り付けられ、前記結合領域内で、前記トップシートと前記吸収性層との間の各第1の識別可能な取り付け点が、前記第1の識別可能な取り付け点の6mmの半径内で、前記トップシートと前記吸収性層との間の隣接する第2の識別可能な取り付け点を有し、各識別可能な取り付け点が前記吸収性層の気泡構造体と機械的インターロックを形成する、女性用衛生パッド。
・・・
【請求項3】
前記トップシートと前記吸収性層との間の取り付けが、前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域を残しつつ、結合領域を形成するように不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされる、請求項1又は2に記載の女性用衛生パッド。
・・・
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記トップシートと前記吸収性層との間の」「取り付け」について、上記1(1)のとおり補正前発明3の発明特定事項であった「前記トップシートと前記吸収性層との間の取り付けが、前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域を残しつつ、結合領域を形成するように不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされる」という限定を付加したものであって、補正前の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2) 引用例の記載事項
ア 引用例1
(ア) 原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2017-185259号(2017年(平成29年)10月12日公開。以下「引用例1」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。・・・は省略を示す。以下同様。)。
「【0017】
図1は、生理用ナプキン
又はパンティーライナー
であってよく、
身体接触面12と、
複数の開口部24を有するトップシート14
の少なくとも一部20と、
を有する吸収性物品10
を示す。
吸収性物品10は、トップシート14に結合された液体不透過性バックシート16と、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コア18と、を有する。生理用ナプキン10
は長手方向軸Lを有し、また当該技術分野において既知の「ウィング」又は「フラップ」(図示せず)、及び/又は
トップシートから吸収性コア18への流体輸送を促進するためのトップシート
と吸収性コアとの間の流体獲得層を
含む生理用ナプキンに一般的に見られる追加的特徴を備えてもよい。
本発明の吸収性物品10のトップシート14は、少なくともその身体接触面12に配置されるローション組成物22を有することができる。
・・・
【0020】
生理用ナプキンのトップシート14は、Always(登録商標)生理用ナプキンで使用されるDri-weave(登録商標)トップシートなど、生理用ナプキンの当該技術分野において既知である有孔成形フィルムを含むことができる。同様に、トップシート14は、例えば、米国特許第5,628,097号(1997年5月13日発行、Bensonら)、又は同第5,916,661号(1999年6月29日発行、Bensonら)で開示されるような有孔不織布など、有孔不織布ウェブであってもよい。トップシート14は、粘性月経液、又は突然噴出する流体の流体獲得に役立つように、少なくともトップシート14の一部20を貫通する開口部24を有している。図1に示すように、吸収性コア18を覆う中心部分は、概ね楕円形状のパターンで複数の開口部を有する。開口部は、ハイドロフォーミング(フィルムトップシート及び不織布トップシートの両方で)、ホットピンアパーチュア(hot pin apertureing)、スリット及び伸長などによるものを含む、当該技術分野において既知の任意の手法によって形成され得る。
【0021】
複数の開口部24を備えるトップシート14の部分20は、楕円形状に限定されたり、又は吸収性コア18を覆う中心部分20にあるように限定されたりする必要はない。例えば、図2に示すように、複数の開口部を有するトップシート14の部分は、中心を外れて、吸収性物品10の他方の端部よりも一方の端部の近くに配置することができる。同様に、複数の開口部は、図2に示すほぼ円形状を含む任意の形状のパターンを形成することができる。
【0022】
広くは、開口部24を備える部分20は、部分20を形成する開口部の密度によって識別することができる。例えば、開口部は、図1及び2に示すように開口部の領域又は区域を形成する密に離間配置された開口部の比較的密に離間配置された列であってもよい。同様に、トップシート14には開口部24を備える2つ以上の部分20、つまり2つ以上の領域又は区域が存在してもよい。
【0023】
トップシート14は、
Pegasから購入した30gsmの疎水性バイコンポーネント繊維状
不織布であってよく、
米国特許第5,628,097号(1997年5月13日発行、Bensonら)、又は同第5,916,661号(1999年6月29日発行、Bensonら)に開示されるようなプロセスに従って開口部が形成されてよい。
トップシートは、親水性繊維
、疎水性繊維、又はそれらの組み合わせを含んでよい。開口部24の面積は平均2.3mm
2
であってよく、開口部24を含む部分20は23%の平均開口率を有してよい。開口部の寸法及び開口率は、区域20ごとに変更可能である。例えば、開口部は約2mm
2
~約5mm
2
であってよく、開口率は約10%~約50%であってよい。
・・・
【0028】
本発明の効果は、開口部24の開口面積及びトップシートのキャリパー(厚さ)に対する部分20の開口率を、例えば、経血など所与の流体に対して最適化されるように調整することによって最適化することができる。
親水性の吸収性コア18を使用すること、及びトップシート14を吸収性コア18と持続的に密着させておくことが有益であると考えられる。
この方法では、開口部24に入る経血は、開口部24に保持されるのではなく、通過してコア18に入り込む可能性が高い。広くは、所与の流体、トップシート及び吸収性コアのシステムでは、(坪量を増加させ得る)厚みの増加と共に開口率を増加させることが有益であると考えられる。一実施形態では、約1mmの比較的低いキャリパーを有する不織布トップシートは、約20%~約30%の開口率を有し得る。約3mmの比較的高いキャリパーを有するトップシートは、約30%~約50%の開口率を有し得る。
・・・
【0031】
吸収性コアは、
要素を形成する役割を果たす、様々な可撓性の別個の区域を有することができる。その区域は、様々なパターンの材料変形によって画定することができる。
そのようなコアに有用な1つの材料は、
ポリウレタンフォーム又は
HIPEフォームなどの柔軟な吸収性フォームである。吸収性物品10は、高容量かつ高吸収性のコア18を含んでよい。吸収性コア18は、一般には、米国特許第5,550,167号、同第5,387,207号、同第5,352,711号、及び同第5,331,015号に開示されるような、HIPEフォームというタイプであってよい。
一実施形態では、吸収性コア18は、30cmで脱着後、その自由吸収容量の約10%未満の容量、約3~約20cmの毛管吸収圧力、約8~約25cmの毛管脱着圧力、5.1kPa(0.74psi)の制限圧力下で測定したときに約5~約85%の圧縮たわみに対する抵抗、及びグラム当たり約4~125グラムの自由吸収容量を有し得る。これらのパラメーターのそれぞれは、米国特許第5,550,167号(1996年8月27日発行、DesMarais)に記載のように測定し得る。前述の特性により、吸収性コア18は身体の形状にぴったり合いながら、流体を吸い上げることができるようになる。
開示されたような
エアレイド又は
HIPEフォームコアを利用する1つの利点は、吸収性コアを極めて薄く作製し得ることである。
例えば、本発明の吸収性コアの平均キャリパー(厚さ)は、約3mm未満、又は2mm未満にすることができ、厚さは約1mm未満にすることができる。フォームは、不織布バット、エアフェルト、及びコフォーム材料などの従来の吸収性コア材料より容易に変形させることができる。しかしながら、以下に開示されるような開口部又は溝の形成は、米国特許第6,702,917号(2004年3月9日発行、Venturino)に開示されるようなロータリーダイカッターを含む、既知の打抜き機器により、より容易にフォームで実現できる。そのようなロータリーダイカッターは、溝30をカットし、同時に吸収性コアをカットして成形するように変更することができる。」
「【0047】
本明細書に記載した使い捨て吸収性物品のような吸収性物品を組み立てる方法としては、使い捨て吸収性物品を構築及び構成するための当該技術分野において既知の従来技術が挙げられる。例えば、
バックシート及び/又は
トップシートは、
接着剤の均一な連続層、接着剤の模様付き層、又は
接着剤の別個の
線、螺旋、又は
点の配列により、吸収性コアに結合させる
か、又は互いに結合させる
ことができる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller Company(St.Paul,Minnesota)によって、HL-1258
又はH-2031の名称
で製造されている。
」
「【図1】
131
84
0001429313000001.jpg
【図2】
131
85
0001429313000002.jpg
」
(イ) 上記記載から、引用例1には、次の技術的事項が記載されている。
a 生理用ナプキン10は、トップシートから吸収性コア18への流体輸送を促進するためのトップシート14と、液体不透過性バックシート16と、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コア18と、を有する(【0017】)。
b トップシート14は、不織布であってよく、親水性繊維を含んでよい(【0023】)。
c 吸収性コアは、高容量かつ高吸収性のコア18を含んでよく、HIPEフォームというタイプであってよい(【0031】)。
d 親水性の吸収性コア18を使用すること、及びトップシート14を吸収性コア18と持続的に密着させておくことが有益である(【0028】)。
e トップシートは、接着剤の別個の点の配列により、吸収性コアに結合させることができる(【0047】)。
(ウ) これらのことから、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「生理用ナプキン10であって、トップシートから吸収性コア18への流体輸送を促進するためのトップシート14と、液体不透過性バックシート16と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コア18と、を有し、
前記トップシート14は、親水性繊維を含む不織布であり、
前記吸収性コアは、HIPEフォームであり、
トップシートは、接着剤の別個の点の配列により、吸収性コアに結合された、生理用ナプキン10。」
イ 引用例2
(ア) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願優先日前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2007-229403号公報(2007年(平成19年)9月13日公開。以下「引用例2」という。)には、次の記載がある。
「【0029】
(2)保水シートの作製
上記で得られた吸水性高分子ゲル微粒子6を20gとポリウレタン系の
ホットメルト接着剤7
微粉末(倉敷紡績株式会社製「#6791」)20g
を
質量比50/50で混合して、
不織布8
(旭化成株式会社製「B00FOC」、ポリエステル50%、ナイロン50%)
の上に均一に散布し、
前記不織布8の散布面の上にポリエーテル系のウレタンフォームである
発泡樹脂弾性体シート5
(倉敷紡績株式会社製「400CR-20YE」、縦1m×横1m×厚さ6mm)
を重ねて2層結合シート1を得た。
160°Cに
加熱することにより、液化したホットメルト接着剤7に吸収性高分子ゲル微粒子6が分散された混合物を発泡樹脂弾性体シート5の表面及び気孔部分に取り込み
、続いて、160°Cに加熱されたロール間を厚さが6mmとなるように20秒間通して2層からなる本発明の2層保水シート2を得た。その後、冷却とともに前記2層保水シート2は
ホットメルト接着剤7が溶融して発泡樹脂弾性体シート5及び不織布8に浸透してしっかりと固定された。
続いて、新たに
不織布8の上に
上記と同様に
ホットメルト接着剤7
微粉末と吸水性高分子ゲル微粒子6の混合物
を均一に散布し、
前記2層保水シート2を裏返しにして
発泡樹脂弾性体シート5の表面と前記不織布8が接するように重ねた。
再度160°Cに
加熱することにより、液化したホットメルト接着剤7
に吸収性高分子ゲル微粒子6が分散された混合物
を
前記2層保水シート2の
発泡樹脂弾性体シート5の
表面及び
気孔部分に取り込み
、続いて、160°Cに加熱されたロール間を厚さが6mmとなるように20秒間通して3層からなる本発明の3層保水シート3を得た。その後、冷却とともに前記3層保水シート3は上記と同様に
しっかりと固定された。
得られた本発明の3層保水シート3(縦1m×横1m×厚さ6mm)の重量は、710gであった。」
(イ) 上記(ア)からみて、引用例2には以下の技術的事項が記載されている。
「ホットメルト接着剤を気孔のあるシートの接着に用いると、接着剤の溶融時に接着剤が気孔部分に取り込まれるという現象が生じ、しっかりと固定されること。」
ウ 引用例3
(ア) 本願優先日前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2015-198706号公報(2015年(平成27年)11月12日公開。以下「引用例3」という。)には、次の記載がある。
「【0053】
次に、前記表面シートと前記吸収要素の接合方法について説明する。前記表面シートと前記吸収要素の接合方法は、
接合部の形態が面状となるように面接合できるものであれば特に限定されず、従来より用いられている熱エンボスや超音波エンボス、高周波エンボス等による熱融着;
ホットメルト接着剤等の接着剤による接着
;係合等を利用した機械的な接合
などの任意の接合方法を採用することができるが、
液移行性や接合強度、風合い、製造設備、取扱い易さ等の点から、熱エンボスによる熱融着又は
ホットメルト接着剤等の接着剤による接着が好ましい。このような接合手段を用いることで、液移行性に優れた前記接合部の構造を、より確実に、より容易に実現することができる。加えて、
エンボス又は
接着剤という従来から用いられている接合手段を採用する
ことによって、製造設備の複雑化や新たな製造設備の構築等も回避することができる。
・・・
【0058】
前記接着剤によって接着する場合は、ホットメルト接着剤等の接着剤を、表面シートの着衣側及び/又は吸収要素の肌面側に、塗工等の任意の手段を用いて所定パターンで供給した後、前記表面シート及び前記吸収要素を加圧下又は非加圧下で重ね合わせることにより、両者を部分的に接着することができる。
【0059】
前記接着剤としては、
特に限定されず、従来より用いられている任意の接着剤を採用することができるが、液移行性や接合強度、風合い、生産性、入手のし易さ等の点から、
ホットメルト接着剤が好ましい。
このようなホットメルト接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、エチレン-α-オレフィン共重合体等のオレフィン系;エチレン-酢酸ビニル共重合体系;ポリアミド系;スチレン-ブチレン-スチレン共重合体及びスチレン-イソプレン-スチレン共重合体などの熱可塑性エラストマー系;湿気硬化型ウレタンプレポリマー等の反応型ホットメルトなどが挙げられる。
【0060】
前記接着剤が適用される所定パターンは、
特に限定されないが、例えば、σ塗工、スパイラル塗工、コーター塗工などが挙げられ、また、平面視にて円形、楕円形、矩形、長方形、菱形、多角形等の
様々な形状のドットパターンとすることもできる。さらに、該パターンは、
接合後の嵩高さや風合い、強度、接合部の液移行性等の点から、
格子配列で、例えば1mm~30mm、好ましくは3mm~10mm、更に好ましくは4mm~7mmのピッチで適用される。
」
(イ) 上記(ア)からみて、引用例3には以下の技術的事項が記載されている。
「表面シートと吸収要素の接合方法として、ホットメルト接着剤などの接着剤をドットパターンで塗布するにあたり、4mm~7mmのピッチとすること。」
エ 引用例4
(ア) 本願優先日前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2014-233410号公報(2014年(平成26年)12月15日公開。以下「引用例4」という。)には、次の記載がある。
「【0011】
図2は、図1に示される使い捨ておむつ1の吸収体3を、液不透過性シート側から観察した背面図である。
図2に示される吸収体3は、複数の接着部6を有し、そして複数の接着部6は、吸収体3の平面方向において、ドット形状を有する。図2に示される吸収体3では、複数のドット形状の接着部6が、千鳥状に配置されている。
」
「【0026】
図2には、複数の接着部6が、吸収体3の平面方向において、それぞれ、ドット形状
、より具体的には、円形を有する
実施形態が示されている
が、本開示の別の複数の実施形態に従う吸収性物品では、一又は複数の接着部が、吸収体の平面方向において、ドット形状として、それぞれ、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の形状を有する。
【0027】
図2では、複数の接着部6が、吸収体3の平面方向において千鳥状に配置されている実施形態が示されている
が、本開示の別の実施形態に従う吸収性物品では、複数のドット形状の接着部が、吸収体の平面方向において、千鳥状以外の配列、例えば、複数の接着部の数密度を変化させて配置されている。
なお、本明細書では、
接着部の「数密度」は、吸収体の平面方向の単位面積当たりの接着部の数を意味する。
・・・
【0029】
本開示の
吸収性物品において、接着部が、吸収体の平面方向においてドット形状を有する場合には、吸収体は、吸収体の平面方向において、
それぞれ、好ましくは約0.05~約5.0個/cm
2
、より好ましくは約0.1~約3.3個/cm
2
、そして
さらに好ましくは約0.25~約2.5個/cm
2
の接着部の数密度を有する。上記数密度が約0.05個/cm
2
を下回ると、吸収体のヨレの防止が不十分になる傾向があり、そして上記数密度が約5.0個/cm
2
を超えると、吸収体の液体の吸収性が低下する傾向がある。
【0030】
本開示の吸収性物品において、接着部が、吸収体の平面方向においてドット形状を有する場合には、各接着部は、吸収体の平面方向において、それぞれ、好ましくは約1.0~約15.0mm
2
、より好ましくは約3.0~約12.0mm
2
、そしてさらに好ましくは約5.0~約8.0mm
2
の面積を有する。上記面積が約1.0mm
2
を下回ると、吸収体のヨレの防止が不十分になる場合があり、そして上記面積が約15mm
2
を超えると、吸収体の液体の吸収性が低下する場合がある。」
「【0042】
本開示の吸収性物品では、接着部は、コアラップ層から吸収コア層の内部に向かって延び、そして複数の接着部が、吸収コア層の内部を固定し且つコアラップ層及び吸収コア層を連結するものであれば、特に制限されず、そして
接着部は、
例えば、
接着剤、例えば、
エマルジョン型接着剤、
ホットメルト型接着剤等により形成されうる。
」
「【図2】
77
71
0001429313000003.jpg
」
(イ) 上記(ア)からみて、引用例4には以下の技術的事項が記載されている。
「吸収体物品において、吸収体を接着部で接着するにあたり、接着剤としてはホットメルト接着剤等が用いられ、接着部が吸収体の平面方向においてドット形状を有する場合は、吸収体の平面方向の単位面積当たりの接着部の数である数密度は、約0.05個/cm
2
を下回ると、吸収体のヨレの防止が不十分になる傾向があり、数密度が約5.0個/cm
2
を超えると、吸収体の液体の吸収性が低下する傾向があるところ、その数密度は好ましい例は約0.25~約2.5個/cm
2
である。」
オ 周知技術等
(ア) 周知技術
上記ウからみて、次の事項は従来から当業者にとって周知の技術的事項(以下「周知技術1」という。)である。
「ホットメルト接着剤等を吸収体にドット状に塗布する際に、格子配列でのドット間のピッチを4mm~7mmとすること。」
また、上記エからみて、次の事項は従来から当業者にとって周知の技術的事項(以下「周知技術2」という。)である。
「ホットメルト接着剤等を吸収体にドット状に塗布する際に、接着剤のドット数の密度が小すぎると吸収体によれが生じ、その密度が高すぎると吸収体の液体の吸収性が低下すぎるところ、ドット数の密度を約0.25~約2.5個/cm
2
とすること。」
(イ) 技術常識
上記イからみて、次の事項は当業者にとって技術常識(以下「技術常識」という。)である。
「ホットメルト接着剤を気孔のあるシートの接着に用いると、接着剤の溶融時に接着剤が気孔部分に取り込まれるという現象が生じ、しっかりと固定されること。」
(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア) 引用発明の「トップシートから吸収性コア18への流体輸送を促進するためのトップシート14」は、流体が透過することができるトップシートであるといえるから、本件補正発明の「液体透過性のトップシート」に相当する。また、引用発明の「生理用ナプキン10」、「液体不透過性バックシート16」及び「前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コア18」はそれぞれ、本件補正発明の「女性用衛生パッド」、「液体不透過性のバックシート」及び「前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性層」に相当する。そうすると、引用発明における「生理用ナプキン10であって、トップシートから吸収性コア18への流体輸送を促進するためのトップシート14と、液体不透過性バックシート16と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コア18と、を有し」は、本件補正発明における「女性用衛生パッドであって、液体透過性のトップシートと、液体不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性層と、を備え」に相当する。
(イ) 引用発明の「親水性繊維を含む不織布」は、本件補正発明の「親水性繊維を含む繊維状の不織布ウェブ材料」に相当するから、引用発明における「前記トップシート14は、親水性繊維を含む不織布であり」は、本件補正発明における「前記トップシートが、親水性繊維を含む繊維状の不織布ウェブ材料を含み」に相当する。
(ウ) 引用発明の「HIPEフォーム」は、「前記吸収体層」として用いられるものであり、「フォーム」が「吸収体」として機能するためには、外部から液体を取り込める構造、すなわちフォーム内の気泡が連続してフォーム外部に連通している構造であることは明らかであるから、本件補正発明の「HIPEの重合によって形成された連続気泡発泡体」に相当する、そうすると、引用発明における「前記吸収性コアは、HIPEフォームであり」は、本件補正発明における「前記吸収性層が、HIPEの重合によって形成された連続気泡発泡体を含み」に相当する。
(エ) 引用発明の「トップシートは、」「吸収性コアに結合された」ものであるから、引用発明は「トップシート」と「吸収性コア」とが向かい合わせとなり、ある領域で結合されていることは明らかである。そうすると、引用発明における「トップシートは、接着剤の別個の点の配列により、吸収性コアに結合された」は、本件補正発明の「前記トップシート及び前記吸収性層が、互いに直接向かい合わせの関係で配設され、少なくとも15cm
2
の結合領域内で互いに取り付けられ」と対比して、結合されている領域の面積が少なくとも15cm
2
であるかどうかはさておき、「前記トップシート及び前記吸収性層が、互いに直接向かい合わせの関係で配設され、結合領域内で互いに取り付けられ」ている点に限って一致する。
(オ) 引用発明の「接着剤の別個の点の配列により」「結合された」とは、接着剤を複数の点となるように配列して結合していることを意味するから、引用発明における「接着剤の別個の点」は本件補正発明の「識別可能な取り付け点」に相当する。
(カ) 引用発明の「接着剤の別個の点の配列により」「結合された」は、上記(オ)のとおり、接着剤を複数の点となるように配列して結合していることを意味するから、本件補正発明の「不連続的又は断続的に堆積された接着剤」にも相当する。そして、引用発明の「接着剤の別個の点」の周囲の接着剤が存在しない部分は、接着剤による結合が生じないから、引用発明における「接着剤の別個の点の配列」がある領域内で「接着剤の別個の点」以外の部分は、本件補正発明における「前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域」に相当する。そうすると、引用発明における「トップシートは、接着剤の別個の点の配列により、吸収性コアに結合され」る事項は、本件補正発明における「前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域を残しつつ、結合領域を形成するように不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされる」「前記トップシートと前記吸収性層との間の取り付け」にも相当する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「女性用衛生パッドであって、液体透過性のトップシートと、液体不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性層と、を備え、
前記トップシートが、親水性繊維を含む繊維状の不織布ウェブ材料を含み、
前記吸収性層が、HIPEの重合によって形成された連続気泡発泡体を含み、
前記トップシート及び前記吸収性層が、互いに直接向かい合わせの関係で配設され、結合領域内で互いに取り付けられ、
前記トップシートと前記吸収性層との間の取り付けが、前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域を残しつつ、結合領域を形成するように不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされる、女性用衛生パッド。」
<相違点1>
結合領域に関し、本件補正発明は、少なくとも15cm
2
であるのに対し、引用発明は領域の大きさが明らかでない点。
<相違点2>
本件補正発明は「前記結合領域内で、前記トップシートと前記吸収性層との間の各第1の識別可能な取り付け点が、前記第1の識別可能な取り付け点の6mmの半径内で、前記トップシートと前記吸収性層との間の隣接する第2の識別可能な取り付け点を有し」ているのに対し、引用発明は「識別可能な取り付け点」を有しているものの、隣接する点の距離がどの程度であるかは明らかでない点。
<相違点3>
本件補正発明は、「各識別可能な取り付け点が前記吸収性層の気泡構造体と機械的インターロックを形成」しているのに対し、引用発明は識別可能な取り付け点が吸収層の気泡構造体と機械的インターロックを形成しているかどうかが明らかでない点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明は、上記(2)ア(イ)d及びeのとおり、トップシートと吸収性コアとが結合するものであり、その結合領域は、吸収性コア程度の大きさになるとみられるから、生理用ナプキンの一般的なサイズからみて、引用発明の結合領域も少なくとも15cm
2
以上となる蓋然性が高い。
また、仮に引用発明の結合領域が15cm
2
以上でないとしても、結合面積をどの程度とするかは、当業者が適宜設定すべき事項にすぎない。
そうすると、引用発明において、結合領域の大きさを少なくとも15cm
2
以上として、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
取り付け点の密度は当業者が適宜設定すべきものであり、第2の識別可能な取り付け点が第1の識別可能な取り付け点の6mmの半径内と規定することに臨界的意義又は特異な効果はみられない。
また、上記(2)オ(ア)の周知技術1からみて、取り付け点の間隔(ピッチ)を6mm未満としたり、上記(2)オ(ア)の周知技術2からみて、半径6mmの円内に複数個の取り付け点が複数存在する密度、すなわち、1/(0.6
2
π)≒0.88個/cm
2
以上、とすることは、従来から当業者が用いていた数値範囲でもある。
そうすると、引用発明において、第1の識別可能な取り付け点の6mmの半径内に第2の識別可能な取り付け点があるようにして、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 相違点3について
連続気泡のある吸収体の接着において、その気泡の中で接着剤が入り込むことで、固定されること、すなわち、機械的インターロックが生じることは、上記(2)オ(イ)の技術常識のとおり、連続気泡のある吸収体を接着する際に生じる現象であるから、連続気泡発泡体である吸収性層を接着する引用発明においても生じる事項を単に記述したにすぎない。
そうすると、上記相違点3は実質的な相違点ではない。
エ 本件補正発明の効果について
上記相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び上記周知技術、上記技術常識から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ 請求人の主張について
(ア) 請求人は審判請求書の【請求の理由】4.(3)において「引用文献1には、(A)トップシート及び吸収性層が、少なくとも15cm
2
の結合領域内で互いに取り付けられ、トップシートと吸収性層との間の
取り付けが、不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされ
、上記結合領域内において、トップシートと吸収性層との間の各第1の識別可能な取り付け点が、第1の識別可能な取り付け点の6mmの半径内で、トップシートと吸収性層との間の隣接する第2の識別可能な取り付け点を有すること、及び、(B)
各識別可能な取り付け点が
吸収性層の気泡構造体と機械的インターロックを形成すること、は開示も示唆もされていない。」と主張する。
しかしながら、引用文献1については、上記(3)での対比及び上記ア~ウのとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(イ) 請求人は審判請求書の【請求の理由】4.(3)において、「引用文献5について、審査官殿は段落0029に上記(B)について開示があると判断している。しかしながら、引用文献5の段落0029には、ホットメルト接着剤7の微粉末と吸水性高分子ゲル微粒子6との混合物を、不織布8上に
均一に
散布し、発泡樹脂弾性体シート5を不織布8上に積層したことが明示されている。つまり、引用文献5の段落0029には、不織布8と発泡樹脂弾性体シート5との間に
連続的な
接着剤の層を形成したことを開示している。すなわち、引用文献5は、上記(A)及び(B)とは反対のことを開示している。したがって、引用文献1及び5を組み合わせても、本発明の上記特徴(a)に容易に想到することはできない。」とも主張する。
しかしながら、引用文献5(上記(2)イの引用例2)は、単に気泡がある吸収性層の接着において生じる現象の説明で用いられているにすぎない。原査定での説示は、引用文献5に記載された発泡樹脂弾性体シート5と同様の連続気泡発泡体である、引用発明の吸収性層の接着でも、引用文献5に記載された現象と同様の現象が生じている、ということを示すものであり、原査定での「(必要であれば、引用文献5の段落0029を参照。)」という記載は、引用発明に引用文献5の構造を組み合わせることで引用発明の吸収性コアを引用文献5の発泡樹脂弾性体シート5にする、という説示ではないから、原査定の理由を正解していない。
してみると、請求人の主張は採用できない。
オ 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下するものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
令和5年8月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年1月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)【請求項1】に記載のとおりのものである。
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献5で例示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2017-185259号公報
引用文献5:特開2007-229403号公報(周知技術を示す文献)
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(上記第2[理由]2における引用例1)、引用文献5(上記第2[理由]2における引用例2)の記載事項は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記トップシートと前記吸収性層との間の取り付けが、前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域を残しつつ、結合領域を形成するように不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされる」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)~(4)に記載したとおり、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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