sokuhyo

Trademark Appeal Case

特許請求項補正の可否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2023015972
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、2019年(平成31年)1月14日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年1月19日(以下「優先日」という。)、米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和2年 7月13日 :翻訳文の提出

令和3年 3月24日 :手続補正書の提出

令和4年 4月20日付け:拒絶理由通知書

同年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出

同年11月 1日付け:拒絶理由通知書(最後)

令和5年 2月15日 :意見書、手続補正書の提出

同年 5月11日付け:補正の却下の決定

同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月23日 :原査定の謄本の送達)

同年 9月21日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和5年9月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和5年9月21日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]

1 補正の内容

令和5年9月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和4年7月21日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。

(1) 本件補正前

「【請求項1】

マイクロ流体チップの層を備えている装置であって、前記層は1以上の入口と、複数の出口と、前記入口および前記出口と流体連絡する凝縮器アレイとを備え、前記凝縮器アレイは、1つ以上の格子構造及び1つ以上の収集チャネルを備えており、前記格子構造は、前記複数の出口のうちの第1の出口と流体連絡しており、且つ複数の列に配置された複数の支柱によって定められ、ここで、前記複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を促進するようにサイズ決めされた支柱間隙が位置し、前記収集チャネルは前記複数の出口のうちの第2の出口と流体連絡している、

前記装置。」

(2) 本件補正後

「【請求項1】

マイクロ流体チップの層を備えている装置であって、前記層は1以上の入口と、複数の出口と、前記入口および前記出口と流体連絡する凝縮器アレイとを備え、前記凝縮器アレイは、

マイクロスケール・アレイ若しくはメソスケール・アレイ又はその両方であり、並びに複数

の格子構造及び1つ以上の収集チャネルを備えており、前記格子構造は、前記複数の出口のうちの第1の出口と流体連絡しており、且つ複数の列に配置された複数の支柱によって定められ、ここで、前記複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を促進するようにサイズ決めされた支柱間隙が位置し、前記収集チャネルは前記複数の出口のうちの第2の出口と流体連絡して

おり、前記複数の支柱は、前記凝縮器アレイを通って流れる流体を前記収集チャネルに向かって横方向に移動させる前記格子構造を定めており、且つ前記複数の格子構造が少なくとも、第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造及び第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であり、ここで、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、前記第1の方向は前記第2の方向と直交し、並びに、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、前記第1の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、及び前記第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、ここで、前記横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、サンプル流体内の粒子が前記凝縮器アレイの収集壁に向かって移動し、該サンプル流体内の移動した粒子が前記収集壁に沿って集まることによって該サンプルの濃縮流を形成する、

前記装置。」

2 補正の目的

(1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、次のアからウの限定をするものである。

ア 「凝縮器アレイ」について、「マイクロスケール・アレイ若しくはメソスケール・アレイ又はその両方であ[る]」ものに限定すること。

イ 「格子構造」について、「複数」のものであって、「少なくとも、第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造及び第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であり、ここで、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、前記第1の方向は前記第2の方向と直交し、並びに、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、前記第1の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、及び前記第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であ[る]」ものに限定すること。

ウ 「複数の支柱」について、「前記凝縮器アレイを通って流れる流体を前記収集チャネルに向かって横方向に移動させる前記格子構造を定めて[いる]」ものであって、「前記横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、サンプル流体内の粒子が前記凝縮器アレイの収集壁に向かって移動し、該サンプル流体内の移動した粒子が前記収集壁に沿って集まることによって該サンプルの濃縮流を形成する」ものに限定すること。

(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

(3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。

3 独立特許要件の判断

本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。

(1) 本件補正発明

ア 本件補正発明の認定と分説

本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Iまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】、【図6】に部材名を記入したものを掲載する。

<本件補正発明の分説>

X’ マイクロ流体チップの層を備えている装置であって、

A 前記層は1以上の入口と、複数の出口と、前記入口および前記出口と流体連絡する凝縮器アレイとを備え、

B 前記凝縮器アレイは、マイクロスケール・アレイ若しくはメソスケール・アレイ又はその両方であり、並びに

C 複数の格子構造及び1つ以上の収集チャネルを備えており、

D 前記格子構造は、前記複数の出口のうちの第1の出口と流体連絡しており、且つ複数の列に配置された複数の支柱によって定められ、

E ここで、前記複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を促進するようにサイズ決めされた支柱間隙が位置し、

F 前記収集チャネルは前記複数の出口のうちの第2の出口と流体連絡しており、

G 前記複数の支柱は、前記凝縮器アレイを通って流れる流体を前記収集チャネルに向かって横方向に移動させる前記格子構造を定めており、

H 且つ前記複数の格子構造が少なくとも、第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造及び第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であり、ここで、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、前記第1の方向は前記第2の方向と直交し、並びに、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、前記第1の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、及び前記第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、

I ここで、前記横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、サンプル流体内の粒子が前記凝縮器アレイの収集壁に向かって移動し、該サンプル流体内の移動した粒子が前記収集壁に沿って集まることによって該サンプルの濃縮流を形成する、

X 前記装置。

<参考図>

【図1】

136

140

0001429337000001.jpg

【図6】

114

138

0001429337000002.jpg

イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載

本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。

「【技術分野】

【0001】

本発明はマイクロ流体チップに関し、より具体的には、粒子の精製もしくは分画またはその両方を促進できる1つ以上のマイクロスケールおよび/またはメソスケールの凝縮器アレイを含むマイクロ流体チップに関する。

【背景技術】

【0002】

たとえば生物学および医学など、タンパク質から小胞およびオルガネラにわたる生体コロイドがすべての生物の分子構成要素を構成するところにおけるナノ材料の実際の適用および分析において、粒子(例、コロイド)を精製する能力は重要である。たとえば、エキソソームはナノメートル・サイズの細胞外小胞(EV:extracellular vesicles)であってそのサイズは30~150ナノメートル(nm)の範囲であり、かつ細胞から定期的に排出されており、たとえば癌などの疾患に対する診断、処置モニタリング、もしくは治療、またはその組み合わせにおける広い適用を有するバイオマーカー(例、腫瘍特異的タンパク質、マイクロリボ核酸(micro-ribonucleic acid)(「マイクロRNA」)、メッセンジャー(messenger)RNA(「mRNA」)、およびデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)(「DNA」))の有望なソースとして浮上している。これらのEVの魅力の一部は、それらを分析のために最低限の侵襲性または非侵襲性の液体生検(例、血液、血漿、もしくは尿サンプル、またはその組み合わせ)から抽出できるために、診断情報を得るための組織生検の必要性を低減できることである。大いに有望であることを示しているにもかかわらず、生物学的サンプルから高収率で高純度のエキソソームを単離する信頼性の高い方法は、それらの研究および疾患の予後因子としての実現、ならびにバイオマーカーの発見を顕著に妨害し続けている。EV単離に対する標準として超遠心分離(UC:ultracentrifugation)が出現する一方で、たとえばろ過、沈降、および免疫親和性に基づく捕捉などのその他の技術も用いられている。しかしこれらの技術はすべて、以下に説明するとおりの本質的な欠点を有する。

...(中略)...

【0007】

現解決策の本質的な欠点に照らして、簡単で安価で自動的かつ迅速なEV単離技術が望まれている。これらの要求を満たすために、これらの領域の多くに届ける可能性を有することから、多くがマイクロ流体またはラボ・オン・チップ(lab-on-a-chip)(「LOC」)の概念に変わってきている。この骨組の中で、一般的にナノ粒子分離のために多数の機構を使用する技術が探索および利用されており、それはたとえばフィールド・フロー分画、遠心分離、光学、親和性捕捉、電気泳動、誘電泳動、磁気泳動、音響泳動、イオン濃度分極、電気流体力学渦、決定論的横置換、もしくはふるい分け、またはその組み合わせなどである。LOC法は以下の特性を有し、その大多数はこれらの目的に付随するものである。短い拡散距離、高速加熱、高い表面積対体積率、小さい熱容量によって、分析および応答時間が速くなること、製作コストが低くなるために大量生産で製作できるコスト効果の高い使い捨てチップが可能となり、かつ複数のプロセス(例、標識、精製、分離、もしくは検出、またはその組み合わせ)を統合できること、統合がコンパクトであることによって大規模な並列化による高スループット分析が可能であること、もしくは機構サイズをミリメートルからナノメートルに縮小したことによってピコリットルの体積ほどの小さい流体体積を処理できること、またはその組み合わせ。LOC技術の例は、以下を含み得る。

【0008】

ナノスケール決定論的横置換(nanoscale deterministic lateral displacement)(「ナノDLD」)技術は、動作の理論によって連続的な流動系(バッチ処理ではない)において数十ナノメートルの分解能でエキソソーム集団を亜分画できる。たとえば、UC精製エキソソームがデバイス内で用いられた。しかし、この技術は体積スケール・アップのための大規模な並行化には適しているが、非常に小さいサンプル体積が示された。

...(中略)...

【発明が解決しようとする課題】

【0012】

上記のとおり、LOC技術は小さい流体体積に限られており、これは生物学的流体の1~数mL毎時のスループットを要求し得る診断とは対照的なものとしてエキソソーム・サンプル調製に適用されるときに高スループットもしくはより短い処理時間またはその両方の産業的要求に反している。よって、流体体積が小さいことは、エキソソーム・サンプル調製に対して使用可能な従来のマイクロ流体技術(例、オンおよびオフ・チップの両方)のリストを減らし得る。」

「【0024】

図1は、本発明を具現化する凝縮器アレイ100の図を示している。アレイ100はマイクロチャネル103内に位置し、複数の支柱102を含む。アレイ100は、支柱102によって定められる1つ以上の格子構造104によって促進される流体力学的カオスの原理で動作する。アレイ100はマイクロスケール・アレイもしくはメソスケール凝縮器アレイ、またはその両方であり得る。たとえば、アレイ100はマイクロスケールもしくはメソスケールまたはその両方における1つ以上のジオメトリを有する。本明細書において用いられる「マイクロスケール」という用語は、1マイクロメートル以上かつ999マイクロメートル以下である1つ以上の特徴的寸法を有するデバイス、装置、もしくは特徴、またはその組み合わせを示す。本明細書において用いられる「メソスケール」という用語は、0.1ミリメートル以上かつ100ミリメートル以下である1つ以上の特徴的寸法を有するデバイス、装置、もしくは特徴、またはその組み合わせを示す。

...(中略)...

【0027】

図1に示されるとおり、支柱102は列(例、マイクロチャネル103を「y」軸に沿って横切る列105)もしくは行(例、マイクロチャネル103を「x」軸に沿って横切る行107)またはその両方に配置され得る。加えて、隣り合う列(例、隣り合う列105、109)が互いに(例、y軸に沿って)オフセットに配置されることによって、行をマイクロチャネルの1つ以上の壁106に対して角度を付けて位置決めできる。図1は、4つの支柱(例、支柱102は4つの支柱のうちの1つの例であり得る)によって定められる格子構造104の拡大図を示す。

【0028】

格子構造104は、4つの支柱(例、1つ以上の支柱は支柱102に示されるとおりであり得る)によって定められ得る。格子構造104は凝縮器アレイ100全体にわたって位置しても、凝縮器アレイ100の一部に位置しても、その両方であってもよい。さらに、4つの支柱102は互いに隣り合い得る。たとえば、列105の2つの隣り合う支柱102と、行107の2つの隣り合う支柱とが格子構造104を定めることができ、ここで列105および行107は互いに隣り合い得る。図1は、格子構造104を定める4つの例示的支柱の例を破線によって示している。さらに図1に示されるとおり、破線は4つの支柱102によって定められる格子構造104の拡大図を描いている。アレイ100は、図1に示される格子構造104の場所以外のマイクロチャネル100内の1つ以上の場所に1つ以上の格子構造104を含み得ることを当業者は認識するだろう。

【0029】

図1に示されるとおり、「E」は連続する列の支柱102の中心108間の横方向シフトを表す。連続する列の支柱102間の横方向シフト(例、Eで表される)は、式1すなわちD

y

/Nを特徴とする。アレイ100の横方向シフト(例、Eで表される)は、0.01以上もしくは0.3以下、またはその両方である。

【0030】

図1に示されるとおり、「D

y

」はアレイ100のy軸に沿った格子構造104を横切る第1の距離を表す。D

y

は、格子構造104の第1の境界110から格子構造104の第2の境界112まで伸長する。さらに、第1の境界110は支柱102の第1の行の第1の中心線によって定められ、第2の境界112は支柱102の第2の行の第2の中心線によって定められ、支柱102の第1の行と支柱102の第2の行とは互いに隣り合っている。D

y

は、1μm以上もしくは100μm以下、またはその両方である。

【0031】

図1に示されるとおり、「N」は横方向シフトを克服して2つの列を整列させて置くために必要な連続する列の数を表す。たとえば、図1に示されるアレイ100に対しては、横方向シフトを例示する破線の三角形114によって示されるとおり、Nは10に等しい。

【0032】

さらに、図1に示されるとおり、「D

x

」はアレイ100のx軸に沿った格子構造104を横切る第2の距離を表す。D

x

は、格子構造104の第3の境界116から格子構造104の第4の境界118まで伸長する。さらに、第3の境界116は支柱102の第1の列の第3の中心線によって定められ、第4の境界118は支柱102の第2の列の第4の中心線によって定められ、支柱102の第1の列と支柱102の第2の列とは互いに隣り合っている。加えて、D

y

は(例、アレイ100のy軸に沿った)第1の方向に沿って測定され、この第1の方向はD

x

が測定され得る(例、アレイ100のx軸に沿った)第2の方向と直交している。D

x

は1μm以上かつ100μm以下である。

【0033】

さらに、図1に示されるとおり、「D

0

」は格子構造104を定める支柱102の直径を表す。D

0

は0.5μm以上もしくは99.5μm以下、またはその両方である。さらに、支柱102の高さは1μm以上もしくは100μm以下、またはその両方である。図1に示されるとおり、「G」は同じ列の隣り合う支柱102間の支柱間隙を表す。アレイ100の有するGは0.5マイクロメートル(μm)以上もしくは100μm以下、またはその両方である。さらに、図1に示されるとおり、「θ」はマイクロチャネル103の壁106に関する角度を表す。θは0度より大きく、かつ90度未満である。

【0034】

格子構造104の格子比は、式2すなわちD

x

/D

y

を特徴とする。アレイ100の動作を促進するための格子比は0.1より大きいか、もしくは1.0以下か、またはその両方である。加えて、アレイ100のジオメトリ比は、式3すなわちD

0

/D

y

を特徴とする。アレイ100の動作を促進するためのジオメトリ比は0.1より大きく、かつ1.0以下である。加えて、凝縮器アレイ100は動作を促進するために支柱102の100以上の列を含む。たとえば、凝縮器アレイ100の(例、x軸に沿った)全長は0.1ミリメートル(mm)以上かつ10mm以下である。

本明細書に記載されるジオメトリの1つ以上を含むアレイ100の例は、マイクロスケールおよび/もしくはメソスケールアレイ100構造を促進でき、かつ/または高スループット速度を促進できる

【0035】

支柱102は、本明細書に記載される(例、アレイ100もしくは格子構造104またはその両方に関する)ジオメトリ寸法を促進できるさまざまな形状を有し得る。支柱102の形状は円形、三角形、正方形、U形状、カブラ形の形状、五角形の形状(例、不規則な五角形)、もしくはその類似物、またはその組み合わせを含み得るが、それに限定されない。アレイ100は複数の格子構造104を有してもよく、それぞれの格子構造104は凝縮器アレイ100に沿った格子構造104の場所に依存して変動するジオメトリを有し得る。

【0036】

アレイ100が本明細書に記載されるジオメトリを含む本発明の実施形態は、

マイクロスケールもしくはメソスケールまたはその両方の支柱間隙(例、Gで表される)を有することができ、これは従来のナノスケール支柱間隙よりも流体流動に対する伝導性が高くなり得る

加えて、マイクロスケールもしくはメソスケールまたはその両方の支柱間隙は、従来のアレイよりも大きい支柱102を容易にでき、これは製作中に反応性イオン・エッチングを用いて形成できるために、スループットのさらなる線形的向上が得られる

。」

「【0050】

アレイ100は、第1のジオメトリを特徴とする第1の領域、もしくは第2のジオメトリを特徴とする第2の領域、またはその両方を含み得る。たとえば、図5は収集チャネル208の一部の支柱配置を示しており、この配置は第1の領域もしくは第2の領域またはその両方を含み得る。第1の領域は「G1領域」によって表すことができ、これは「G1」で表され得る第1の支柱間隙を有することを特徴とし得る。第2の領域は「G2領域」によって表すことができ、これは「G2」で表され得る第2の支柱間隙を有することを特徴とし得る。第1の支柱間隙(例、G1で表される)は、第2の支柱間隙(例、G2で表される)とは異なり得る。たとえば、第1の支柱間隙(例、G1で表される)は、第2の支柱間隙(例、G2で表される)よりも大きくなり得る。」

113

98

0001429337000003.jpg

「【0051】

図5においては支柱間隙の変動が示されているが、このスキーム500は本明細書に記載されるその他のジオメトリのいずれかを特徴とし得ることを当業者は認識するだろう。さらに、スキーム500は2つの領域に関して上述されているが、アレイ100の効率をさらに高めるためにスキーム500は付加的な領域(例、3つ以上)を含み得る。

アレイ100が勾配ジオメトリ・スキーム500を含む本発明の実施形態は、有利には下流で間隙サイズが低減する前により大きい粒子(例、EV)がアレイ100を出て対象収集チャネル208内の代替出口チャネルに入ることを可能にでき、このことは特に、単一の支柱間隙サイズによって効率的に捕捉できない広範囲の粒子(例、EV)が存在する場合の詰まりの軽減に有用であってもよい

。」

「【0053】

図6において、サンプル入口202および緩衝液入口204はアレイ100と流体連絡する。図2に関して説明したとおり、サンプル流体はサンプル入口202からアレイ100に流れ得る。緩衝液も緩衝液入口204からアレイ100に流れ得る。サンプル流体がアレイ100を通って流れる際に、サンプル流体内の粒子(例、エキソソーム)はアレイ100の収集壁602に向かって移動する。

サンプル流体内の移動した粒子は収集壁602に沿って集まることによってサンプルの濃縮流を形成し、この濃縮流は収集壁602に隣接して1つ以上の第1の入口バス604へと流れる

緩衝液もアレイ100を通って収集壁602に隣接し、第1の入口バス604へと流れ得ることによって、移動した粒子は緩衝液の中に移動して濃縮流を形成する

。加えて、アレイ100によって移動させられなかったサンプル流体のその他の粒子(例、サンプル流体の不要物もしくはその他の混入物またはその両方)は、アレイ100を通って1つ以上の不要物バス601へと流れ、この不要物バス601は流体を不要物出口210(例、不要物リザーバと流体連絡する)へと誘導する。」

(2) 引用文献1の記載事項並びに引用発明及び引用文献1技術事項の認定

ア 引用文献1に記載された事項

原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特表2008-538282号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの引用文献1の記載から読み取れる事項の認定において参照する記載及び引用発明の認定において直接用いる記載に下線を付した。)。

(ア) 段落【0001】~【0006】

「【技術分野】

【0001】

本発明は医学診断法および

マイクロ・フルイディクスの分野に関する

(中略)

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

従って、疾患の発現の初期のステージで癌を発見する新規な方法を開発することは、必要である。

【課題を解決するための手段】

【0005】

(発明の要旨)

本発明は、以下によって細胞サンプルの癌細胞を検出する方法を特徴とする:

a)細胞サンプルを第一の方向に癌細胞に癌細胞において濃縮される第一出力端サンプルおよび第2の細胞において豊かにされる第2の出力サンプルを生じる第2の指示の一つ以上の第2の細胞を生産するように指示する構造を有するチャネルを含んでいる装置にもたらすこと;

そして、

b)第一出力端サンプルの癌細胞の有無を検出すること。

【0006】

構造は、すきまのネットワークを形成する障壁の配列を含むことができる。障害物は、選択的に癌細胞を捕獲することができることがありえる。チャネルは、すきまのネットワークを形成している障壁の配列を含むことができる、そこにおいて、流体が等しくなく大きな流動および軽微な流動に分けられるように、流体はすきまの中を流れる。細胞サンプルは、例えば、血液サンプルまたはその分数である。」

(イ) 段落【0162】

「【0162】

(発明の詳細な説明)

本発明は、循環腫瘍細胞(CTC)および他の粒子を検出して、濃縮して、分析する装置および方法を特徴とする。更なる本発明は、主題から細胞サンプルを分析することによって主題(例えば癌)の状態を診断する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明の装置は、CTCまたは他の液成分の置換を許容する障壁の配列を含む。」

(ウ) 段落【0168】~【0169】、図1A-1C

「【0168】

装置

一般に、装置はCTCの横変位および体液の他の構成要素を許容する障壁の一つ以上の配列を含む。それによって、この種の構成要素を豊かにするかまたはさもなければ処理する機構を提供する。それらと異なる先行技術装置本発明、しかし、本発明のそれらがこの目的のために障壁を使用するように、いずれが、例えば、HuangなどScience 304、987-990の(2004)およびU.S.公開番号20040144651に記載されているか。サイズによる析出粒子のための本発明の装置は、概してすきまのネットワークの配列を使用する、そこにおいて、すきまが寸法において同一でもよい場合であっても、すきまを通過している流体は等しくなく次のすきまに分けられる。方法は、すきまの配列で分離される細胞を担持する流れを使用する。流れは、配列の見通し線に関して、小角(流れ角度)で整列配置される。臨界サイズより大きい水力学的サイズを有する細胞は配列によって見通し線に沿って、すなわち、横に、移動するが、臨界サイズより小さい水力学的サイズを有するそれらは平均流れの向きに続く。装置の流れは、薄層状の流動状態の下で発生する。本発明の装置は、連続流通系装置として任意に構成される。

臨界サイズは、いくつかの設計パラメータの機能である。

【0169】

図1A~Cの障壁配列に関して、障壁の各列は、Δλによって以前の列に関して水平に移される、そこにおいて、λは、障壁(図IA)間の中心-to-中心距離である。

パラメータΔλ/λ(「分岐比」ε)は、次の障壁の左に二またに分けられる流れの比率を決定する。図1A~1Cにおいて、説明の便宜のために、εは、1/3である。一般に、2つの障壁間のギャップによる流動がφである場合、軽微な流動はεφである、そして、大きな流動は(l-ε)φ(図2)である。この例では、すきまによる流動は、基本的に三等品(図IB)に分けられる。すきまによる3つの束の各々が障壁の配列周辺で織る一方、各流動の平均方向は全体の流れの方向においてある。

図は、1C、配列による臨界サイズより上に大きさを設定される粒子の動きを例示する。この種の粒子は大きな流動とともに移動する。そして、順次、各すきまを通過している大きな流動へ移される。」

「【図1A-1C】

76

142

0001429337000004.jpg

(エ) 段落【0170】、【図2】

「【0170】

図2を参照する。臨界サイズは、ほぼ2R

critical

である、そこにおいて、R

critical

は、停滞したフローラインおよび障壁の間の距離である。粒子(例えば細胞)の質量中心がR

critical

の外側で落下する場合、粒子は大きな流動に続いて、配列で横に移動するだろう。すきま全体の流れプロフィールが公知である(図3)場合、R

critical

は決定されることができる;それは、軽微な流動を形成する流体の層の厚みである。所与の間隙の大きさ(d)のために、R

critical

は、分岐比(ε)に基づいて洋服屋仕立てである。一般(より小さいε)においてより小さいR

critical

。」

「【図2】

99

123

0001429337000005.jpg

(オ) 段落【0172】~【0176】、【図6】

「【0172】

図6を参照する

。配列の最上部から異なる水力学的サイズのかけら(例えば細胞)の混成を供給して、示すように図式的に、

一番下で粒子を集めることは、2つの出力

、臨界サイズより大きな製品を含んでいる細胞、IRcπticaijおよび臨界サイズより小さい不用な含んでいる細胞

を生産する

。図6の「無駄」と分類されるにもかかわらず、

臨界サイズより上の粒子が廃棄されると共に、臨界サイズの下の粒子は集められることができる。二個以上の小口試料にサンプルを分別するときに、例えば、両方のタイプの出力は望ましく集められることもできる。

間隙の大きさより大きな細胞は、配列内部で止められる。従って、配列は、働くサイズ範囲を有する。細胞は、分離限界粒径^Rcnticaiより大きくなければならない)そして、大きな流動に導かれる最大パススルー・サイズ(配列間隙の大きさ)より小さい。配列の「サイズ範囲」は、分離限界粒径に対する最大パススルー・サイズの比率として定義される。」

「【図6】

101

105

0001429337000006.jpg

「【0173】

場合によっては、障壁間のギャップは、大きさにおいて15ミクロン以上、20ミクロン以上または60ミクロン未満である。他の場合には、すきまは、大きさにおいて20および100ミクロンの間にある。

(中略)

【0175】

いくつかの実施形態では、本発明の装置は、時間当たりの20mL以上の流体または時間当たりの50mLの流体さえ処理することができる。

【0176】

上述の通り、本発明の

装置

は、すきまのネットワークを形成する

障壁の配列を装備する

のが当り前である。例えば、この種の装置は、以下を含むことができる:障壁(例えば各連続した列が以前の列の期間の半分より少ないもので相殺されるようであるもの)のスタガー二次元アレー。装置は、以下を含むこともできる:1秒は障壁の二次元アレーを驚かせた。そして、それは第1の配列より異なる方向において任意に正しい位置に置かれる。この場合、第1の配列は第2の配列の上流であることができる、そして、第2の配列は第1の配列より高い密度を有することができる。複数の配列はこのように構成されることができる。そうすると、各付加的な配列は付加的な配列の上流で、同等またはいかなる配列よりも高い密度を有する。」

(カ) 段落【0185】、【0186】、【図1D】、【図1E】

「 【0185】

本発明の装置の使用法

本発明はCTCおよび他の粒子の濃縮の改良型の装置を特徴とする。そして、バクテリア、ウイルス、菌類、細胞、細胞構成要素、ウイルス、核酸、タンパク質およびタンパク質複合体を含む。そして、寸法通りに一致する。装置は、サンプルの粒子上のさまざまな操作を遂行するために用いることができる。この種の操作は、サイズ・ベースの分画を含んで、粒子または粒子自体の変更または粒子を担持している流体の強化または集中を含む。好ましくは、例えば、中止の液体を交換することによって、または、試薬を有する粒子を接触させることによって、

装置は、不均質混合物から

CTCまたは他の

珍しい粒子を濃縮する

かまたは珍しい粒子を変える

ために使用される

。この種の装置は、細胞(例えば細胞の還元した機械の細胞溶解または細胞内の活性化)に対する限られた応力を有する高度な強化を考慮に入れる。

【0186】

配列設計

一段式配列を配列する。

実施例において、単段は、すきまのネットワークを形成して、障壁(例えば円筒状障壁(図ID))の配列を含む

。ある種の実施形態では、配列は、血液サンプルの他の細胞からCTCを豊かにするときに、例えば、分離限界粒径より数回大きい最大パススルー・サイズを有する。この結果は、大きな間隙の大きさdおよび小さい分岐比εの組合せを使用して成し遂げられることができる。他の好ましい実施形態では、εは、多くても1/2(例えば多くても1/3、1/10、1/30、1/100、1/300または1/1000)である。このような実施例では、例えば、

障壁形状はすきまの流れプロフィールに影響を及ぼすことができる

。そうすると、

すきまによる流体流れは障壁周辺に不規則に配布される

;しかしながら、配列を短く(図IE)するために、障壁は、流れの向きにおいて圧縮されることができる。本願明細書において記載されているにつれて、単段配列はバイパスチャンネルを含むことができる。」

「【図1D】

86

145

0001429337000007.jpg

「【図1E】

86

127

0001429337000008.jpg

(キ) 段落【0187】、【図7】、【図8】

「【0187】

複数のステージ配列。他の実施形態では、複数のステージは、広いサイズ範囲以上の粒子を濃縮するために使用される。典型的な装置は、図7に示される。示される装置は3つのステージを有する、しかし、いかなる段数も使用されることができる。概して、第一期の分離限界粒径は第二期の分離より大きい、そして、第一期分離限界粒径は第二期(図8)の最大パススルー・サイズより小さい。同じことは、以下のステージにとって真実である。例えば、第一期は第二期の切りくず詰まりが生じる(そして、除去)粒子を偏らせる。その後に、それらは第二期に着く。同様に、第二期は後産期の切りくず詰まりが生じる(そして、除去)粒子を偏らせる。その後に、それらは後産期に着く。一般に、配列は要求されるのと同程度多くのステージを有することができる。そして、連続的に、または、並列に接続される。」

「【図7】

113

113

0001429337000009.jpg

「【図8】

90

140

0001429337000010.jpg

(ク) 段落【0188】~【0190】、【図9】~【図11】

「【0188】

前述のように、例えば、複数のステージ配列(大径粒子)において細胞、切りくず詰まりの下流に原因となる場合がある最初に偏向して、そして、切りくず詰まりを回避するために下流のステージを迂回するこれらの偏る粒子必要である。

このように、本発明の装置は、配列から出力を取り除くバイパスチャンネルを含むことができる。臨界サイズより上に粒子を除去する観点からここで記載されているにもかかわらず、バイパスチャンネルは配列のいかなる部分からも出力を取り除くために使用されることもできる。

【0189】

バイパスチャンネルのための異なる計画は、以下の通りである。

【0190】

一つのバイパスチャンネル。この設計では、すべてのステージは1つのバイパスチャンネルを共有する、または、1つのステージだけがある。バイパスチャンネルの物理的な境界線は、一面上の配列境界線およびその他(図9―11)上の側面によって定義されることができる。一つのバイパスチャンネルは、二重配列(図12)によって使用されることもできる。」

「【図9】

108

133

0001429337000011.jpg

「【図10】

89

133

0001429337000012.jpg

「【図11】

113

129

0001429337000013.jpg

(ケ) 段落【0206】~【0222】

「【0206】

配列は、本発明の装置を形成するために、他の要素に連結することができる。例えば、

配列は

、本願明細書において開示される

サンプルリザーバ、探知器または他の要素またはモジュールに流体工学的に連結することができる

。配列は、添加元素またはモジュールの装置として機能することもできる。加えて、本発明の配列は二次元アレーでもよい、または、それらは他の幾何学を採用することができる。

【0207】

本願明細書において記載されている配列のいずれかが、装置または本発明の方法のいずれかと連動して使われることができる。

【0208】

配列設計

本発明の流れDevicesを定めて、安定させるためのデバイス設計

On-チップ・フロー・レジスタは、配列の中で流れを定めて、安定させて

、また、配列から集められる流れを定めるために、流体レジスタを使用することもできる。図26は、プレーナーデバイスの回路図を示す;サンプル(例えば血液を含んでいるCTC、取水路)緩衝取水路、荒廃した排水路、そして、製品排水路は、配列に各々接続している。入口および放出口は、流れレジスタとして働く。図26も、これらの異なる装置構成要素の対応する流体抵抗を示す。

(中略)

【0222】

製造方法

本発明の二次加工法Devicesは、公知技術の技術を使用して製造されることができる。製作技術の選択は、装置および配列のサイズのために使用される材料次第である。

本発明の装置を組み立てることのための典型的な材料は、ガラス、シリコン、鋼、ニッケル、ポリマーを含む、ポリメタクリル酸メチルで例えばある)(PMMA)ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、シリコーン(例えばポリ(ジメチルシロキサン))ポリプロピレン、cis―ポリイソプレン(ゴム)ポリ(塩化ビニル)(PVC)ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)ポリクロロプレン(ネオプレン)四フッ化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))ポリ(塩化ビニリデン)(SaranA)そして、環状オレフィン・ポリマー(COP)そして、環状オレフィン・コポリマー(COC)およびそれらの組み合わせ。他の材料は、従来技術において周知である。例えば、深いReactive Ion Etch(DRIE)は、小ギャップ、小さい障壁およびかなりの縦横比(横方向寸法に対する障壁高さの比率)を有するsilicon―ベースのデバイスを組み立てるために用いる。例えば、プラスチック器具の熱成形(射出成形して、型押しする)が使われることもできる。そのとき、最も小さい横方向の特徴は>20ミクロンである、そして、これらの特徴のアスペクトレシオは<10である。付加的な方法は、写真平版(例えばステレオリソグラフィまたはX線写真平版)応形機能、エンボシング、シリコン・マイクロマシニング、湿式であるか乾燥した化学腐食、ミリング、ダイヤモンド・カット、Lithographie GalvanoformungおよびAbformung(LIGA)および電気鍍金を含む。例えば、ガラスのために、湿気(KOH)またはドライエッチング(フッ素または他の反応性ガスを有する反応性イオンエッチング)が続く写真平版の従来のシリコン製作技術は、使用されることができる。レーザー・マイクロマシニングのような技術は、高い光子吸収効率を有する塑性物質のために採用されることができる。この技術は、方法の連続性質のため、下のスループット製作に適している。大量生産のプラスチック器具のために、射出成形していて、圧縮成形している熱可塑性物質は、適切でもよい。コンパクトディスク(それは、下位数ミクロンの特徴の忠実度を保存する)の大量加工のために使用する従来の熱可塑性押出鋳込は、本発明の装置を組み立てるために使用されることもできる。例えば、装置機能は、従来の写真平版によってガラス・マスターに複製される。ガラス・マスターは、堅い、熱耐衝撃(熱伝導、堅い型)を産生するために電鋳される。この型は、プラスチック器具に特徴を射出成形するかまたは圧縮成形することのマスター・テンプレートとして役立つ。装置および完成品の光学的特性およびスループット上の要件を作るために用いる塑性物質に応じて、圧縮成形または押出鋳込は、製造方法に選ばれることができる。圧縮成形(また、熱いエンボシングまたは救助刷込みと呼ばれる)は、高分子重合体と互換性を持つことの効果がある、それは、小さい構造のために優秀で、高いアスペクトレシオ構造を複製することができるより長いサイクルタイムを有する。押出鋳込は、低いアスペクトレシオ構造のためによくなって、低分子量のポリマーに最も適している。」

(コ) 段落【0236】、【0237】、【図34A】

「【0236】

変更

他の実施態様において、強化に加えて、CTCまたは興味がある他の細胞は、粒子または中止の流体を化学的に、または、物理的に変えることができる変わっている試薬によって接触する。この種のアプリケーションは、浄化、緩衝交換、標識(例えば免疫組織化学的、磁気、および、組織化学的標識、細胞染色および流れその場蛍光ハイブリダイゼーション(FISH))細胞固定、細胞安定化、溶菌および細胞活性化を含む。

【0237】

この種の方法は、異なる液体にサンプルから粒子(例えばCTC)の転送を考慮に入れる。図34Aは図式的に単段装置のためのこの効果を示す ― 図34Bが多段式の装置のためのこの効果に明らかにする ― 図34Cは二重配列のためのこの効果を示す、そして、図34Dは多段式の二重配列のためのこの効果を示す。この種の方法を用いて、血液細胞は、プラズマから切り離されることができる。1つの液体からもう一方への粒子のこの種の転送は、一連の変更(例えばWright染色血液on―チップ)を遂行するために使用されることもできる。この種の連続は、以下を含むことができる:粒子を第1の試薬と作用すること、そして、それから、粒子を洗浄バッファへ動かすこと、そうすると、他の試薬。」

「【図34A】

106

104

0001429337000014.jpg

イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定

(ア) 認定事項1

a 引用文献1の原文に相当する国際公開WO2006/108087を参酌すると、引用文献1における「障壁」という訳は、原文では「obstacle(s)」であることが理解できる。したがって、引用文献1における「障壁」はより適切には「障害物」と読み替えるのが妥当であることが理解できる。

b 次の(a)のi~iiiに摘記した引用文献1の【0001】、【0176】及び【0185】の記載を参酌すると、後記(b)に示す事項(以下「認定事項1」という。)を認識することができる。

(a) 参酌する引用文献1の記載

i 「本発明は医学診断法およびマイクロ・フルイディクスの分野に関する。」(【0001】)

ii 「上述の通り、本発明の装置は、すきまのネットワークを形成する障壁の配列を装備する」(【0176】)

iii 「

装置は、不均質混合物から

CTCまたは他の珍しい

粒子を濃縮する

かまたは珍しい粒子を変える

ために使用される

。」(【0185】)

(b) 認定事項1

「マイクロ流体工学の分野における、不均質混合物から希少粒子を濃縮するために使用される、障害物の配列を装備する装置」

(イ) 認定事項2

段落【0186】の「実施例において、単段は、すきまのネットワークを形成して、障壁(例えば円筒状障壁(図ID))の配列を含む」との記載を踏まえて図1D(下記参考図参照)を見ると、次の事項(以下「認定事項2」という。)が看取できる。

<認定事項2>

「装置が、平均流れ方向と直交する方向において位置を揃えて、間隔が8μmとなるように配置された、複数の直径12μmの円筒状障害物の列を、平均流れ方向に所定間隔空けて配置した複数の列が、平均流れと一定の角度をなす側方流が生じるように配置され、当該配置によって、円筒状障害物が配置されていない隙間が、傾いた格子のように配置された配列を含む構成を備えており、四つの円筒状障害物の各中心をつなぐ線によって囲まれる前記隙間が、平均流れ方向の距離(下記参考図における一点鎖線の矢印参照)及び平均流れ方向と直交する方向の距離(下記参考図における破線の矢印参照)を有しており、後者の距離は20μm程度であること。」

が看取できる。

【参考図】図1D及び図1Dの拡大図に補助線等を付した図

<図1D>

86

145

0001429337000015.jpg

<図1Dの拡大図に補助線等を付した図>

63

114

0001429337000016.jpg

(ウ) 認定事項3

段落【0208】の「On-チップ・フロー・レジスタは、配列の中で流れを定めて、安定させて」との記載、及び、段落【0222】における装置の製造方法についての記載を踏まえて、図6を見ると、次の事項(以下「認定事項3」という。)が看取できる。

<認定事項3>

「配列を含む構成がチップ状であること」

図6(再掲)

101

105

0001429337000017.jpg

(エ) 認定事項4、認定事項5

次のaの(a)及び(b)に摘記した引用文献1の【0168】及び【0172】の記載を参照しつつ、前記【図6】を観察すると、後記b(a)及び(b)示す事項(以下、それぞれ「認定事項3」及び「認定事項4」という。)を看取できる。

a 参照する引用文献1の記載

(a) 「臨界サイズより大きい水力学的サイズを有する細胞は配列によって見通し線に沿って、すなわち、横に、移動するが、臨界サイズより小さい水力学的サイズを有するそれらは平均流れの向きに続く」(【0168】)

(b) 「図6を参照する。...(中略)...一番下で粒子を集めることは、2つの出力、...(中略)...を生産する。」、「臨界サイズより上の粒子が廃棄されると共に、臨界サイズの下の粒子は集められることができる。二個以上の小口試料にサンプルを分別するときに、例えば、両方のタイプの出力は望ましく集められることもできる。」(【0172】)

b 認定事項

(a) 認定事項4

「配列を含む構成が、粒子の入口と、臨界サイズより上の粒子の出口と、当該出口とは異なる、臨界サイズより下の粒子の出口を備え、配列は、前記入口及び前記出口と流体連絡していること。」

(b) 認定事項5

「臨界サイズより上の粒子は、配列を含む構成を移動する際に、平均流れの向きに移動しつつ、配列を含む構成の側面方向に向かって、平均流れの向きとは垂直な方向に移動し、臨界サイズより小さい水力学的サイズを有する粒子は平均流れの向きに移動すること。」

ウ 引用発明の認定

前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。

<引用発明>

「マイクロ流体工学の分野における、不均質混合物から希少粒子を濃縮するために使用される、障害物の配列を装備する装置であって、(認定事項1)

装置は、平均流れ方向と直交する方向において位置を揃えて、間隔が8μmとなるように配置された、複数の直径12μmの円筒状障害物の列を、平均流れ方向に所定間隔空けて配置した複数の列が、平均流れと一定の角度をなす側方流が生じるように配置され、当該配置によって、円筒状障害物が配置されていない隙間が、傾いた格子のように配置された配列を含む構成を備えており、四つの円筒状障害物の各中心をつなぐ線によって囲まれる前記隙間が、平均流れ方向の距離及び平均流れ方向と直交する方向の距離を有しており、後者の距離は20μm程度であり、(認定事項2)

障害物の形状は隙間の流れプロフィールに影響を及ぼすことができ、隙間による流体流れは障壁周辺に不規則に配布され、(【0186】)

配列はサンプルリザーバ、探知器または他の要素またはモジュールに流体工学的に連結することができるものであり、(【0206】)

配列を含む構成は、チップ状であって、粒子の入口と、臨界サイズより上の粒子の出口と、当該出口とは異なる、臨界サイズより下の粒子の出口を備え、配列は、前記入口及び前記出口と流体連絡しており、(認定事項3、4)

臨界サイズより上の粒子は、配列を含む構成を移動する際に、平均流れの向きに移動しつつ、配列を含む構成の側面方向に向かって、平均流れの向きとは垂直な方向に移動し、臨界サイズより小さい水力学的サイズを有する粒子は平均流れの向きに移動する、(認定事項5)

装置。」

エ 引用文献1技術事項の認定

(ア) 引用文献1技術事項1

前記ア(キ)に摘記した事項から、引用文献1には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献1技術事項1」という。)。

<引用文献1技術事項1>

「配列を含む構成において、分離できる粒子のサイズが異なる複数ステージからなる配列を設けること。」

(イ) 引用文献1技術事項2

前記ア(ク)に摘記した事項から、引用文献1には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献1技術事項2」という。)。

<引用文献1技術事項2>

「配列において、配列を含む構成の側面に沿った領域に、バイパスチャンネルとして、円筒状障害物を設けない領域を設定すると共に、粒子が配列を含む構成の側面に向かって移動し、移動した粒子が、配列を含む構成の側面に沿って集まるようにすること。」

【図9】(再掲)

108

133

0001429337000018.jpg

(ウ) 引用文献1技術事項3

前記ア(コ)に摘記した事項から、引用文献1には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献1技術事項3」という。)。

<引用文献1技術事項3>

「配列において、配列を含む構成の側面に沿った領域に、緩衝液を流す領域を設定すると共に、粒子が配列を含む構成の側面に向かって移動し、移動した粒子が、配列を含む構成の側面に沿って集まるようにすること。」

【図34A】(再掲)

106

104

0001429337000019.jpg

(3) 引用文献2に記載された事項及び周知技術1の認定

ア 引用文献2に記載された事項

当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である「P. Sajeesh 等,Particle separation and sorting in microfluidic devices: a review,REVIEW ARTICLE,Microfluid Nanofluid,Volume 17,p.1-52,2014」(以下「引用文献2」という。)の11ページには、次の記載がある。括弧内に当合議体が作成した日本語訳を示した。また、下線は当合議体が付した。

「2.4 Deterministic lateral displacement (DLD)

Deterministic lateral displacement (DLD)

is a steric method of continuous separation that makes use of asymmetric bifurcation of laminar flow around obstacles (Huang et al. 2004). Particles moving through an array of obstacles with gaps larger than the particle size select their path deterministically on the basis of their size and deformability. Particles of given size and deformability follow equivalent migration path leading to an efficient separation method (Huang et al. 2004). In this case,

the periodic arrays of posts of cylindrical shape are placed in the flow direction

(Huang et al. 2004).

The center-to-center distance between the adjacent posts is λ

, D

post

is the diameter of the post, and the array posts are set at angle θ with respect to the flow direction (called migration angle), as shown in Fig. 17a. Successive rows in

the flow direction

are placed with a lateral shift of Dk in

a direction perpendicular to the flow direction

. So, Δλ = λ tan θ. There are two methods used to arrange the post structures. In the first method (Fig. 17b), a square array is rotated with respect to any post, and in the second method (Fig. 17c), a rhombic structure is used (Beech 2011; Long et al. 2008).」

(2.4決定論的横方向変位(DLD)

決定論的横方向変位(DLD)

は、障害物の周りの層流の非対称分岐を利用する連続分離の立体的方法である(Huang et al.2004)。粒子サイズよりも大きい隙間を有する障害物の配列を通って移動する粒子は、それらのサイズ及び変形能に基づいて決定論的にそれらの経路を選択する。所与のサイズ及び変形能の粒子は同等の移動経路をたどり、効率的な分離方法をもたらす(Huang et al.2004)。この場合、

円筒形状の柱の周期的配列が流れ方向に配置される

(Huang et al.2004)。

隣接する柱間の中心間距離はλ

であり、D

post

は柱の直径であり、配列柱は、図17aに示すように、流れ方向に対して角度θ(「移動角度」と呼ばれる。)で配置される。

流れ方向

に連続する列は、

流れ方向に垂直な方向

にΔλだけ横方向にシフトして配置される。したがって、Δλ=λtanθである。ポスト構造を配置するために使用される方法は、二つある。第1の方法(図17b)では、正方形アレイが任意のポストに対して回転され、第2の方法(図17c)では、菱形構造が使用される(Beech 2011;Long et al.2008)。)

92

130

0001429337000020.jpg

「Fig. 17 a Schematic of

DLD chip

with post placed at an angle to the flow direction; b rotated square array posts; c rhombus array posts (Beech 2011; Long et al. 2008)」

(図17 a 柱を流れ方向に対して斜めに配置した

DLDチップ

の概略図;b 回転させた正方形配列柱;

c 菱形配列柱

(Beech 2011; Long et al.))

イ 周知技術1の認定

前記アに摘記した引用文献2の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知の技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)

<周知技術1>

「円筒形状の柱の周期的配列が流れ方向に配置される決定論的横方向変位(DLD)チップにおいて、流れ方向に隣接する柱の中心が流れ方向に離間する距離及び流れ方向に垂直な方向に隣接する柱の中心が離間する距離を、等しい距離(λ)に設定すること。」

(4) 本件補正発明と引用発明の対比

ア 対比分析

本件補正発明と引用発明を対比する。

(ア) 構成X(X’)の観点

a 構成Xは、「マイクロ流体チップの層を備えている装置」の発明であることを特定するものである。

b 引用発明は「マイクロ流体工学の分野における」「装置」であるところ、「装置」が「装備する」「配列を含む構成」は、「チップ状であ[る]]ことから、引用発明は、本件補正発明にいうところの「マイクロ流体チップの層」であるといえる。

c したがって、「マイクロ流体チップの層を備えている装置」の発明である本件補正発明と「配列を装備する装置」の発明である引用発明は、「マイクロ流体チップの層を備えている装置」の発明である点において一致する。

(イ) 構成Aの観点

a 構成Aは、「前記層は1以上の入口と、複数の出口と、前記入口および前記出口と流体連絡する凝縮器アレイとを備え[る]」ことである。

b 前記(ア)aにおいて検討したとおり、引用発明における「配列を含む構成」は、本件補正発明における「マイクロ流体チップの層」に相当する。

c 引用発明における「配列」は、「不均質混合物から希少粒子を濃縮する」機能を備えるものであるから、本件補正発明における「凝縮器アレイ」に相当する。

d 引用発明において「配列を含む構成」が、「粒子の入口と、臨界サイズより上の粒子の出口と、当該出口とは異なる、臨界サイズより下の粒子の出口を備え[る]」ことは、前記b及びcを踏まえると、本件補正発明において「凝縮器アレイとを備え[る]」「層」が、「1以上の入口と、複数の出口とを備え[る]」ことに相当する。

そして、引用発明において、「配列は、前記入口及び前記出口と流体連絡して[いる]」ことは、本件補正発明において、「凝縮器アレイ」が「前記入口および前記出口と流体連絡する」ことに相当する。

e したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。

「前記層は1以上の入口と、複数の出口と、前記入口および前記出口と流体連絡する凝縮器アレイとを備え[る]」点。

(ウ) 構成Bの観点

a 構成Bは、「前記凝縮器アレイは、マイクロスケール・アレイ若しくはメソスケール・アレイ又はその両方であ[る]」ことである。

b 前記(イ)cにおいて検討したとおり、引用発明における「配列」は、本件補正発明における「凝縮器アレイ」に相当する。

c 引用発明における「配列」は、「マイクロ流体工学」に関するものであって、「複数の直径12μmの円筒状障害物」が「間隔が8μmとなるように配置された」ものであるため、μm規模の構造を備えるといえるから、本件補正発明における「マイクロスケール・アレイ」に相当する。

d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。

「前記凝縮器アレイは、マイクロスケール・アレイ若しくはメソスケール・アレイ又はその両方であ[る]」点。

(エ) 構成Cの観点

a 構成Cは、「前記凝縮器アレイは、」「複数の格子構造及び1つ以上の収集チャネルを備えて[いる]」ことである。

b 前記(イ)cにおいて検討したとおり、引用発明における「配列」は、本件補正発明における「凝縮器アレイ」に相当する。

c 引用発明における「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」は、本件補正発明における「格子構造」に相当する。

d 前記b及びcから、引用発明における、「配列」の「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」は、本件補正発明における、「前記凝縮器アレイ」が「備えて[いる]」「格子構造」に相当する。

e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。

(a) 構成Cの観点における一致点

「前記凝縮器アレイは、格子構造を備えて[いる]」点。

(b) 構成Cの観点における相違点

i 備える格子構造が、

本件補正発明においては、「複数の」ものであるのに対して、

引用発明においては、傾いた格子のように配置された隙間が、本件補正発明でいうところの「複数の」ものといえるかどうかが不明である点。

ii 本件補正発明においては、「1つ以上の収集チャネル」を備えているのに対して、

引用発明においては、「収集チャネル」に相当する構成を備えるかどうかが明らかでない点。

(オ) 構成Dの観点

a 構成Dは、「前記格子構造は、前記複数の出口のうちの第1の出口と流体連絡しており、且つ複数の列に配置された複数の支柱によって定められ[る]」ことである。

b(a) 前記(エ)dにおいて検討したとおり、引用発明における「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」は、本件補正発明における「格子構造」に相当する。

(b) 引用発明における「臨界サイズより下の粒子の出口」及び「臨界サイズより上の粒子の出口」は、それぞれ、本件補正発明における「第1の出口」及び「第2の出口」に相当する。

(c) また、引用発明では、「配列」の「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」において、「流れプロフィール」を有する「流体流れ」が生じることが明らかである。

(d) 前記(c)から、引用発明において「配列」が、「臨界サイズより下の粒子の出口」と「流体連絡して[いる]」ことは、「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」が、「臨界サイズより下の粒子の出口」と「流体連絡して[いる]」ことにほかならないから、前記(a)及び(b)も踏まえると、本件補正発明において「前記格子構造」が、「前記複数の出口のうちの第1の出口と流体連絡して[いる]」ことに相当する。

c(a) 引用発明における「複数の直径12μmの円筒状障害物」は、本件補正発明における「複数の支柱」に相当する。

(b) 引用発明において、「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」が、「平均流れ方向と直交する方向において位置を揃えて、間隔が8μmとなるように配置された、複数の直径12μmの円筒状障壁の列を、平均流れ方向に所定間隔空けて配置した複数の列」の「配置によって」「配置された」ものであることは、前記(a)を踏まえると、本件補正発明において、「前記格子構造」が、「複数の列に配置された複数の支柱によって定められ[る]」ことに相当する。

d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。

「前記格子構造は、前記複数の出口のうちの第1の出口と流体連絡しており、且つ複数の列に配置された複数の支柱によって定められ[る]」点。

(カ) 構成Eの観点

a 構成Eは、「前記複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を促進するようにサイズ決めされた支柱間隙が位置[する]」ことである。

b 本件補正発明における「列」は、本願明細書の発明の詳細な説明における下記(a)及び(b)の記載、並びに、下記参考図から、「流体が流れる方向であるx軸方向と直交するy方向に配列されている」と解するのが合理的である。

(a) 「流体は、図1の矢印「F」で示される方向にマイクロチャネル103を通ることによって、アレイ100を流れ得る。」(段落【0025】)

(b) 「図1に示されるとおり、支柱102は列(例、マイクロチャネル103を「y」軸に沿って横切る列105)もしくは行(例、マイクロチャネル103を「x」軸に沿って横切る行107)またはその両方に配置され得る。」(段落【0027】)

<参考図>前記3(1)において示した参考図の再掲

114

117

0001429337000021.jpg

c 引用発明において、「複数の列」となるように、「平均流れ方向と直交する方向において位置を揃えて、」「配置された、複数の直径12μmの円筒状障害物」の「間隔が8μm」であることは、前記bの解釈を踏まえると、本件補正発明において、「複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を促進するようにサイズ決めされた支柱間隙が位置[する]」ことと、「複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、サイズ決めされた支柱間隙が位置[する]」点で共通する。

d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Eの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。

(a) 構成Eの観点における一致点

「複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、サイズ決めされた支柱間隙が位置[する]」点。

(b) 構成Eの観点における相違点

支柱間隙のサイズが、

本件補正発明においては、「1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を促進するように」決められたものであるのに対して、

引用発明においては、8μmである点。

(キ) 構成Fの観点

a 構成Fは、「前記収集チャネルは前記複数の出口のうちの第2の出口と流体連絡して[いる]」ことである。

b 引用発明は、本件補正発明の「収集チャネル」に相当する構成を備えているかどうかが明らかでないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。

本件補正発明においては、「前記収集チャネルは前記複数の出口のうちの第2の出口と流体連絡して[いる]」のに対して、

引用発明においては、「収集チャネル」に相当する構成を備えているかどうかが明らかでない点。

(ク) 構成Gの観点

a 構成Gは、「前記複数の支柱は、前記凝縮器アレイを通って流れる流体を前記収集チャネルに向かって横方向に移動させる前記格子構造を定めて[いる]」ことである。

b(a) 前記(エ)cにおいて検討したとおり、引用発明における「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」は、本件補正発明における「格子構造」に相当する。

(b) また、前記(オ)c(a)において検討したとおり、引用発明における「複数の直径12μmの円筒状障害物」は、本件補正発明における「複数の支柱」に相当する。

(c) 引用発明において、「複数の直径12μmの円筒状障害物」の「配置によって」「円筒状障害物が配置されていない隙間が、傾いた格子のように配置され[る]」から、前記(a)及び(b)を踏まえると、引用発明は、本件補正発明の「前記複数の支柱は、」「前記格子構造を定めて[いる]」に相当する構成を備えるといえる。

c(a) 引用発明における「側面方向」は、「平均流れの向きとは垂直な方向」であって、「平均流れの向き」に対して横方向であるといえるから、本件補正発明における「横方向」に相当する。

(b) 引用発明において、「配列」の「円筒状障害物が配置されていない隙間」において、「流れプロフィール」を有する「流体流れ」が生じることが明らかであるから、「粒子」は「円筒状障害物が配置されていない隙間」の「流体流れ」によって「移動」させられるといえる。

(c) そして、引用発明において、「臨界サイズより上の粒子は、配列を含む構成を移動する際に、平均流れの向きに移動しつつ、配列を含む構成の側面方向に向かって、平均流れの向きとは垂直な方向に移動する」から、前記(b)及び前記b(a)を踏まえると、引用発明は、「前記凝縮器アレイを通って流れる流体を」「横方向に移動させる前記格子構造」に相当する構成を備えるといえる。

d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Gの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。

(a) 構成Gの観点における一致点

「前記複数の支柱は、前記凝縮器アレイを通って流れる流体を横方向に移動させる前記格子構造を定めて[いる]」」点。

(b) 構成Gの観点における相違点

本件補正発明においては、流体を移動させる横方向が、「前記収集チャネルに向かって」いる方向であるのに対して、

引用発明においては、「収集チャネル」に相当する構成を備えているかどうかが明らかでないから、流体を移動させる横方向に関し、本件補正発明の構成に相当する構成を備えているかどうかが明らかでない点。

(ケ) 構成Hの観点

a 構成Hは、「且つ前記複数の格子構造が少なくとも、第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造及び第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であり、ここで、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、前記第1の方向は前記第2の方向と直交し、並びに、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、前記第1の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、及び前記第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であ[る]」ことである。

b 引用発明における「複数の」「円筒状障壁」の「直径」は、本件補正発明における「前記複数の支柱の直径を表[す]」「D

0

」」に相当するから、引用発明における「12μm」は、本件補正発明における「D

0

」に相当する。

c(a) 引用発明における「平均流れ方向」、「平均流れ方向と直交する方向」は、それぞれ、本件補正発明における「第2の方向と直交[する]」「第1の方向」、「第2の方向」に相当する。

(b) 前記(エ)cにおいて検討したとおり、引用発明における「傾いた格子のように配置された」「円筒状障害物が配置されていない隙間」は、本件補正発明における「格子構造」に相当する。

(c) 前記(a)及び(b)から、引用発明における、「四つの円筒状障害物の各中心をつなぐ線によって囲まれる前記隙間」の「平均流れ方向と直交する方向の距離」は、本件補正発明における「格子を第2の方向に横切る第2の距離を表[す]」「D

y

」に相当するから、引用発明における「20μm程度」は、本件補正発明における「D

y

」に相当する。

d 前記b及びcから、引用発明において、本件発明の「第2の比D

0

/D

y

」に相当する「前記隙間」の値は、0.6程度になるから、引用発明は、本件補正発明における「格子構造が少なくとも」「0.1よりも大きく且つ1.0以下であ[る]」「第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であ[る]」に相当する構成を備えるといえる。

e 引用発明における、「四つの円筒状障壁の各中心をつなぐ線によって囲まれる前記隙間」の「平均流れ方向の距離」は、本件補正発明における「前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表[す]」「D

x

」に相当する。

f 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Hの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。

(a) 構成Hの観点における一致点

「且つ格子構造が少なくとも、第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であり、ここで、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、前記第1の方向は前記第2の方向と直交し、並びに、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、前記第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であ[る]」点。

(b) 構成Hの観点における相違点

格子構造が、

本件補正発明においては、「複数の」ものであって、「第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造」を含み、「前記第1の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であ[る]」のに対して、

引用発明においては、傾いた格子のように配置された隙間が、本件補正発明でいうところの「複数の」ものといえるかどうかが明らかでないから、本件補正発明における「第1の格子構造」に相当する構成を備えるかどうかが明らかでない点。

(コ) 構成Iの観点

a 構成Iは、「前記横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、サンプル流体内の粒子が前記凝縮器アレイの収集壁に向かって移動し、該サンプル流体内の移動した粒子が前記収集壁に沿って集まることによって該サンプルの濃縮流を形成する」ことである。

b 前記(イ)cにおいて検討したとおり、引用発明における「配列」は、、本件補正発明における「凝縮器アレイ」に相当する。

c 引用発明における「粒子」を含む「流体」は、本件補正発明における「サンプル流体」に相当する。

d 引用発明における「平均流れの向きとは垂直な方向」は、「平均流れの向き」に対して横方向であるといえるから、本件補正発明における「横方向」に相当する。

e(a) 引用発明において、「臨界サイズより上の粒子」が「配列を含む構成を移動する際に、」「平均流れの向きとは垂直な方向に移動」するのに対して、「臨界サイズより小さい水力学的サイズを有する粒子」は「平均流れの向きに移動する」。

(b) そのため、引用発明において、「平均流れの向きとは垂直な方向に移動」させられることによって、「粒子」を含む「流体流れ」は、「配列を含む構成を移動する際に、」(「臨界サイズより小さい水力学的サイズを有する粒子」との相対的な関係において)「臨界サイズより上の粒子」を濃縮する「流体流れ」になるといえる。

f 前記b~eから、引用発明は、本件補正発明における「前記横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、」「該サンプルの濃縮流を形成する」に相当する構成を備えるといえる。

g 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Iの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。

(a) 構成Iの観点における一致点

「前記横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、該サンプルの濃縮流を形成する」点。

(b) 構成Iの観点における相違点

本件補正発明においては、サンプルの濃縮流が、「サンプル流体内の粒子が前記凝縮器アレイの収集壁に向かって移動し、該サンプル流体内の移動した粒子が前記収集壁に沿って集まることによって」形成されるのに対して、

引用発明においては、「収集壁」に相当する構成を備えているかどうかが明らかでないから、サンプルの濃縮流の形成に関し、本件補正発明の構成に相当する構成を備えているかどうかが明らかでない点。

イ 一致点及び相違点

前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。

(ア) 一致点

「マイクロ流体チップの層を備えている装置であって、

前記層は1以上の入口と、複数の出口と、前記入口および前記出口と流体連絡する凝縮器アレイとを備え、

前記凝縮器アレイは、マイクロスケール・アレイ若しくはメソスケール・アレイ又はその両方であり、並びに

格子構造を備えており、

前記格子構造は、前記複数の出口のうちの第1の出口と流体連絡しており、且つ複数の列に配置された複数の支柱によって定められ、

ここで、前記複数の列の第1の列内の前記複数の支柱のうちの第1の支柱と、前記第1の列内の前記複数の支柱のうちの第2の支柱との間に、サイズ決めされた支柱間隙が位置し、

前記複数の支柱は、前記凝縮器アレイを通って流れる流体を横方向に移動させる前記格子構造を定めており、

且つ前記格子構造が少なくとも、第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であり、ここで、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、前記第1の方向は前記第2の方向と直交し、並びに、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、前記第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、

ここで、前記横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、該サンプルの濃縮流を形成する、

前記装置」の発明である点。

(イ) 相違点

a 相違点1(構成E)

支柱間隙のサイズが、

本件補正発明においては、「1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を促進するように」決められたものであるのに対して、

引用発明においては、8μmである点。

b 相違点2(構成C、構成H)

格子構造が、

本件補正発明においては、「複数の」ものであって、「第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造」を含み、「前記第1の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であ[る]」のに対して、

引用発明においては、傾いた格子のように配置された隙間が、本件補正発明でいうところの「複数の」ものといえるかどうかが明らかでなく、また、この複数のものがいずれも本件補正発明における「第1の格子構造」に相当する構成を備えるかどうかが明らかでない点。

c 相違点3(構成C、構成F、構成G、構成I)

本件補正発明においては、「1つ以上の収集チャネル」を備え、「前記収集チャネルは前記複数の出口のうちの第2の出口と流体連絡しており」、流体を移動させる横方向が、「前記収集チャネルに向かって」いる方向であり、サンプルの濃縮流が、「サンプル流体内の粒子が前記凝縮器アレイの収集壁に向かって移動し、該サンプル流体内の移動した粒子が前記収集壁に沿って集まることによって」形成されるのに対して、

引用発明においては、「収集チャネル」、「収集壁」に相当する構成を備えているかどうかが明らかでないから、流体を移動させる横方向、サンプルの濃縮流の形成に関し、本件補正発明の構成に相当する構成を備えているかどうかが明らかでない点。

(5) 判断

ア 相違点1について

(ア) 引用発明において、「複数の」「円筒状障害物」の「間隔」は「8μm」(=「8000nm」)であって、当該間隔が、配列を含む構成の入口と出口における流体の圧力差、当該間隔の数や円筒状障壁の高さを調整するなどして、「1.0ナノリットル毎時以上の前記流体のスループット速度を」達成できるような間隔であることは、当業者にとって明らかである。

このことは、「8μm」という間隔が、本願明細書の発明の詳細な説明において示された「アレイ100の有するGは0.5マイクロメートル(μm)以上もしくは100μm以下、またはその両方である。」(段落【0033】)との条件を満たすことを踏まえても、明らかである。

したがって、引用発明は、相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるといえるから、相違点1が実質的な相違点であるとは認められない。

(イ) また、相違点1が実質的な相違点であるとしても、引用文献1において「いくつかの実施形態では、本発明の装置は、時間当たりの20mL以上の流体または時間当たりの50mLの流体さえ処理することができる」(段落【0175】)と、装置で処理する流体のスループット速度を促進することの示唆があることを踏まえて、相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者にとって自明な設計事項にすぎない。

この際、引用発明において、流体のスループット速度を促進するように例えば、前記「間隔」を「8μm」から100μmにしたとしても、本件補正発明の「第2の比D

0

/D

y

」に相当する値は、約0.107となり、本件補正発明における「第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下」との条件を満たすことに変わりはないから、前記(4)ア(ケ)においてこの点を一致点にしたことに変更は無い。

イ 相違点2について

(ア) 「複数の格子構造」の解釈について

a 「複数の格子構造」に関する発明特定事項について

本件補正発明において、「複数の格子構造」に関し、「前記複数の格子構造が少なくとも、第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造及び第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であ[る]」点(以下「構成H

1

」という。)が特定されている。

b 審判請求書の理由の説明の参照

(a) 構成H

1

を含む構成Hの補正について、審判請求書の理由の説明を参照すると、請求人は次のとおり説明している。

「補正における「前記複数の格子構造が少なくとも、第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造及び第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であり、ここで、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、Dyは前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、前記第1の方向は前記第2の方向と直交し、並びに、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、前記第1の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり、及び前記第2の比が0.1よりも大きく且つ1.0以下であり」は、補正前の請求項9の記載「前記格子構造は第1の比D

x

/D

y

を有し、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、ここで、前記第1の比は第1の定められた値以下であり、前記第1の方向は前記第2の方向と直交する」及び補正前の請求項10の記載「前記格子構造は第2の比D

0

/D

y

を有し、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、ここで、前記第2の比は第2の定められた値よりも大きい」、並びに段落0034の記載「格子構造104の格子比は、式2すなわちD

x

/D

y

を特徴とする。アレイ100の動作を促進するための格子比は0.1より大きいか、もしくは1.0以下か、またはその両方である。加えて、アレイ100のジオメトリ比は、式3すなわちD

0

/D

y

を特徴とする。アレイ100の動作を促進するためのジオメトリ比は0.1より大きく、かつ1.0以下である。」に基づきます。また、凝縮器アレイが備えている格子構造が第1の格子構造(補正前の請求項9)及び第2の格子構造(補正前の請求項10)であることを特定しましたので、格子構造が複数であることに限定しました。格子構造が複数であることは、段落0041の記載「層200を含むアレイ100は、1つ以上の収集チャネル208(例、アレイ100の一部を含む)に向かって流体を移動させるように構成された複数の格子構造104を含み得る。」に基づきます。」

(b) なお、本件補正前の請求項9及び請求項10の記載を摘記すると、次のとおりである。

「 【請求項9】

前記格子構造は第1の比D

x

/D

y

を有し、D

x

は前記格子を第1の方向に横切る第1の距離を表し、D

y

は前記格子を第2の方向に横切る第2の距離を表し、ここで、前記第1の比は第1の定められた値以下であり、前記第1の方向は前記第2の方向と直交する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。

【請求項10】

前記格子構造は第2の比D

0

/D

y

を有し、D

0

は前記複数の支柱の直径を表し、ここで、前記第2の比は第2の定められた値よりも大きい、請求項9に記載の装置。」

c 「複数の格子構造」についての明細書の記載の参酌

(a) 構成H

1

に関して、「複数の格子構造」との語句に言及のある本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参照すると、段落【0035】、【0041】、【0046】及び【0047】に記載があところ、これらはいずれも類似する記載なので、代表的な例として、【0035】を参照すると、次の記載がある。

「アレイ100は複数の格子構造104を有してもよく、それぞれの格子構造104は凝縮器アレイ100に沿った格子構造104の場所に依存して変動するジオメトリを有し得る。」

(b) 前記(a)に摘記した記載を参酌すると、「複数の格子構造とは、互いに異なる領域に配置された格子構造であって、

それぞれが異なるジオメトリ(幾何学的な構造)を有する複数の格子構造

であること」を意味することが理解される。

(c) 一方、前記aの発明特定事項に関し、本願明細書の発明の詳細な説明において、「第1の比D

x

/D

y

」、「第2の比D

0

/D

y

」に関して、

一つの格子構造に関する異なる観点でのパラメータ

として説明されている(段落【0027】~【0034】)一方で、「第1の比D

x

/D

y

」、「第2の比D

0

/D

y

」が、ぞれぞれ、別の格子構造のパラメータのことを指すことは、何ら説明されていない。

(d) そして、「第1の比D

x

/D

y

」、「第2の比D

0

/D

y

」は、互いに異なる観点でのパラメータであるから、前者のパラメータのみを用いてある格子構造を特定する一方で、後者のパラメータのみを用いて当該格子構造とは異なる別の格子構造を特定する技術的意義が不明である。

(e) また、前記aの発明特定事項における「第1の比D

x

/D

y

」、「第2の比D

0

/D

y

」は、本件補正前の特許請求の範囲における請求項9及び10に記載されているところ、当該記載において、「第1の格子構造」及び「第2の格子構造」と何ら関連付けられていない。

d 前記b及びcを踏まえると、前記aの発明特定事項に関し、「複数の格子構造」とは、「「第1の比D

x

/D

y

を有する」という意味の「第1の格子構造」及び「第2の比D

0

/D

y

を有する」という意味の「第2の格子構造」が存在するから「複数の格子構造が存在する」ということを意味するのではなく、「異なるジオメトリ(幾何学的な構造)を有する」という意味であり、前記aの発明特定事項は、前記異なるジオメトリ(幾何学的な構造)のおのおのが少なくとも、第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造及び第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であ[る]」という意味であると理解するのが相当である。

(イ) 前記(ア)の解釈に基づく判断

a 異なるジオメトリ(幾何学的な構造)を有する点

引用文献1には、前記(2)エ(ア)において引用文献1技術事項1として認定したとおり、「配列を含む構成において、分離できる粒子のサイズが異なる複数ステージからなる配列を設けること」が記載されている。

当該示唆に基づいて、引用発明において、分離できる粒子のサイズが異なる複数ステージからなる配列を設けるように変更することは、当業者には自明の設計変更にすぎないところ、この場合、複数ステージからなる配列が異なるジオメトリ(幾何学的な構造)を有するという意味において複数の格子構造が存在することとなる。

b 0.1<第1の比Dx/Dy≦1.0であること

前記(3)イにおいて「周知技術1」として認定したとおり、「円筒形状の柱の周期的配列が流れ方向に配置される決定論的横方向変位(DLD)チップにおいて、流れ方向に隣接する柱の中心が流れ方向に離間する距離及び流れ方向に垂直な方向に隣接する柱の中心が離間する距離を、等しい距離(λ)に設定すること」は、周知の技術であるから、第1の比Dx/Dy=1.0に設定することは、当業者にとって自明の選択肢である。

c 相違点2のまとめ

したがって、相違点2は、引用文献1技術事項1及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

ウ 相違点3について

(ア) 前記(2)エ(イ)において「引用文献1技術事項2」として認定したとおり、引用文献1には「配列において、配列を含む構成の側面に沿った領域に、バイパスチャンネルとして、円筒状障壁を設けない領域を設定すると共に、粒子が配列を含む構成の側面に向かって移動し、移動した粒子が、配列を含む構成の側面に沿って集まるようにすること」の示唆がある。

ここで、引用文献1技術事項2における、「バイパスチャネル」及び「側面」は、それぞれ、本件補正発明における、「収集チャネル」及び「収集壁」に相当する。

(イ) 前記(2)エ(ウ)において「引用文献1技術事項3」として認定したとおり、引用文献1には、「配列において、配列を含む構成の側面に沿った領域に、緩衝液を流す領域を設定すると共に、粒子が配列を含む構成の側面に向かって移動し、移動した粒子が、配列を含む構成の側面に沿って集まるようにすること」の示唆がある。

ここで、引用文献1技術事項3における、「緩衝液を流す領域」及び「側面」は、それぞれ、本件補正発明における、「収集チャネル」及び「収集壁」に相当する。

(ウ) 引用発明において、引用発明が記載された引用文献1に記載された前記(ア)又は(イ)の示唆に従って、引用文献1技術事項2に係る構成又は引用文献1技術事項3に係る構成を採用して、相違点3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

エ 総合評価

前記ア~ウにおいて検討したとおり、引用発明において、相違点1~3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献1技術事項1、引用文献1技術事項2又は3、周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。

そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1技術事項1、引用文献1技術事項2又は3、周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 請求人の主張について

(ア) 請求人の主張内容

a 主張1

引用文献1には、障害物が、0.1よりも大きく且つ1.0以下である第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造、及び、0.1よりも大きく且つ1.0以下である第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造であることは、記載も示唆もされていない。

b 主張2

本件補正発明は、収集チャネルに向かって横方向に移動させることによって、サンプル流体が前記凝縮器アレイを通って流れる際に、サンプル流体内の粒子が前記凝縮器アレイの収集壁に向かって移動し、該サンプル流体内の移動した粒子が前記収集壁に沿って集まることによって該サンプルの濃縮流を形成することが可能になるという効果を奏する。

(イ) 請求人の主張についての検討

a 主張1について

引用発明が、0.1よりも大きく且つ1.0以下である第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造に相当する構成を備えていること、及び、引用発明において、「複数の」「円筒状障害物」の「間隔」を「8μm」から100μmに変更したとしても、0.1よりも大きく且つ1.0以下である第2の比D

0

/D

y

を有する第2の格子構造に相当する構成を備えることは、前記(5)ア(イ)において説示したとおりである。

そして、引用発明において、0.1よりも大きく且つ1.0以下である第1の比D

x

/D

y

を有する第1の格子構造に相当する構成を備えさせることは、前記(5)イ(イ)bにおいて説示したとおり、当業者が容易に想到し得たことである。

したがって、主張1は、前記エの結論を左右するものでない。

b 主張2について

主張2に係る効果は、相違点2及び3に係る本件補正発明の構成、すなわち本件補正発明の構成C、構成F、構成G、構成H及び構成Iから当然に導き出される効果であるから、当該構成のものとして当業者の予測を超える効果であるとは認められない。

したがって、主張2は、前記エの結論を左右するものでない。

カ 独立特許要件の判断のまとめ

以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明、引用文献1技術事項1、引用文献1技術事項2又は3、周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。

4 本件補正の却下の決定の理由のむすび

前記3(5)カのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明について

本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要

原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。

理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特表2008-538282号公報

3 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等

引用文献1に記載された事項、引用発明、引用文献1技術事項1、引用文献1技術事項2又は3、周知技術1は、前記第2の3(2)ア、ウ、エ(ア)、エ(イ)又は(ウ)、(3)イにおいて示したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)のア~ウに示した限定を省いたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(5)において説示したとおり、引用発明、引用文献1技術事項1、引用文献1技術事項2又は3、周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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