sokuhyo弁理士法人WATT 監修

A判定なら印紙代込み全額返金

結論

敗訴(請求棄却)

請求項補正の適否

審判番号
2024002789
審判種別
記載はありません。

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本件出願(以下「本願」という。)は、2017年(平成29年)10月30日(パリ条約による優先権主張2016年11月22日、米国)を国際出願日とした特願2019-527407の一部を令和4年5月11日に新たな特許出願としたものであって、令和5年4月6日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月12日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年10月16日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して令和6年2月16日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和6年2月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年2月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「 【請求項1】

医用撮像装置を用いた患者の撮像走査のために臨床意図識別子を含む撮像プロトコルの選択を受信するステップと、

前記臨床意図識別子から、患者情報とは無関係に、前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの初期のテーブル高さおよび初期の横方向テーブル位置を決定するステップであって、前記初期のテーブル高さは、指定された患者走査面を前記医用撮像装置の第1の指定走査面と整列させる前記テーブルのテーブル高さを画定し、前記初期の横方向テーブル位置は、前記医用撮像装置の第2の指定走査面から指定されたオフセットだけ離れた場所において、指定された解剖学的基準を位置決めする前記テーブルのテーブル位置を画定する、ステップと、

前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップと、

前記テーブル(115)を、前記最終のテーブル高さおよび前記最終の横方向テーブル位置に自動的に調整するステップと

を含

み

、

前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップが、

前記患者情報に基づいて前記患者の指定された患者走査面の現在の場所を特定するステップと、

前記患者の指定された走査面を前記医用撮像装置の前記第1の指定走査面と整列させるために前記初期テーブル高さを調整するステップと

を含む、

医用撮像装置の作動方法(300)。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】

医用撮像装置を用いた患者の撮像走査のために臨床意図識別子を含む撮像プロトコルの選択を受信するステップと、

前記臨床意図識別子から、患者情報とは無関係に、前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの初期のテーブル高さおよび初期の横方向テーブル位置を決定するステップであって、前記初期のテーブル高さは、指定された患者走査面を前記医用撮像装置の第1の指定走査面と整列させる前記テーブルのテーブル高さを画定し、前記初期の横方向テーブル位置は、前記医用撮像装置の第2の指定走査面から指定されたオフセットだけ離れた場所において、指定された解剖学的基準を位置決めする前記テーブルのテーブル位置を画定する、ステップと、

前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップと、

前記テーブル(115)を、前記最終のテーブル高さおよび前記最終の横方向テーブル位置に自動的に調整するステップと

を含む、医用撮像装置の作動方法(300)。」

2 補正の適否

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップ」が、「前記患者情報に基づいて前記患者の指定された患者走査面の現在の場所を特定するステップと、前記患者の指定された走査面を前記医用撮像装置の前記第1の指定走査面と整列させるために前記初期テーブル高さを調整するステップとを含む」ことに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献等

ア 引用文献1

(ア)引用文献1の記載

原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった特開平7-31609号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある(下線は当審において付与した。以下同様)。

(引1ア)

「【0001】

【産業上の利用分野】本発明はCT装置に関し、多数の被検体を対象に

例えば消化器系統または頭顎部等を集団検診する際に用いる

に適した集団検診用の

CT装置

に関する。

【0002】

【従来の技術】

従来のCT装置

は図8(A)に示すように、被検体Tを支持する寝台部101と撮影装置を内蔵した架台部103とから構成されている。寝台部101は被検体Tを直接載置して架台部103に対して前後方向にスライド可能な天板107と、この天板107の高さ位置を上下方向に調整する高さ調整部109とを備えている。架台部103は被検体Tを載置して伸長された天板107の周囲を回転可能に構成される撮影装置(図示せず)が設けられている。

【0003】このようなCT装置によって被検体Tの所望部位の撮影を行う場合、天板107に被検体Tを横たえた後、操作者(技師)が目視によって調整部109を操作して所望の高さに調整し、続いて天板107を架台部103中央に設けられる開口内を通過するようにスライドさせて、架台部103の所定の位置に被検体Tを設定し撮影するようにしていた。

・・・

【0006】次に

CT装置の撮影条件の内、例えば管電圧、領域、枚数等について

説明すると、

これら撮影条件は撮影部位毎にプログラムとして予めプリセットされており、操作者(技師)は被検体の撮影部位や検査目的に合わせていくつかのプログラムの中から適するものを選択し、必要に応じて修正するようにし、これらは全て操作者、あるいは立合い医師の判断の基に行い、操作者が被検体毎に寝台部101等の調整を行うようにしていた

。

【0007】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、

従来のCT装置においては、被検体毎に目視や勘で撮影プログラム(撮影領域)を選択したり、撮影位置を合わせたりしており、そのため集団検診等のようにスループットが要求される場合には適さなかった

。

【0008】本発明は、

最適撮影条件を基に自動的にCT装置と被検体の寝台とを駆動することにより、撮影の際の手間を省くと共に、撮影条件の選択ミスの発生を防止し、また必要に応じて制御値テーブルの撮影条件を変更することが可能な集団検診用に適したCT装置を提供することを目的とする

。」

(引1イ)

「【0013】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る集団検診用CT装置の第1の実施例の構成を示すブロック図である。

身長、体重自動測定装置1では被検体Tの身長及び体重を自動的に測定し、測定データを演算処理部3に入力している

。

記憶部11中の制御値テーブル記憶部15には、予めCT装置の撮影条件を記憶させてあり、演算処理部3では入力された身長及び体重の測定データに応じた最適撮影条件を制御値テーブル記憶部15から読み出して制御信号を出力する

。

【0014】X線制御装置17は演算処理部3から入力される制御信号により高電圧発生装置19で発生する高電圧を制御するようにしており、高電圧発生装置19は発生した高電圧を架台部25に備えられたX線管27に入力してX線を発生させる。

【0015】寝台駆動制御装置21は演算処理部3から入力される制御信号により駆動信号を出力し寝台駆動部29aに入力して、寝台29を駆動して被検体Tを所定の位置に移動する。

【0016】X線検出器31はX線管27よりのX線を検出して検出信号をデータ収集部(DAS)33に入力し、データ収集部(DAS)33は同検出信号を収集して画像再構成装置23に入力し、画像再構成装置23は入力されたデータを画像表示信号に構成し、演算処理部3を介して記憶部11中の画像記憶部13に記憶させると共に、コンソール(例えば遠隔操作卓)5に備えられている表示部7に画像を表示し、操作者は画像表示を見ながらコンソール5に備えられている入力部9を操作してCTができるようにしている。」

(引1ウ)

「【0017】図2(A)及び(B)は、図1の集団検診用CT装置の動作を説明する概念図である。図1の実施例においては、被検体Tの身長及び体重の測定装置を自動測定装置として説明したが、図2(A)に示すように目視で指示を読み取り測定する身長、体重測定装置41を使用するようにし、図1のコンソール5の入力部9を操作することによりデータ入力ができるようにしても良い。

【0018】図2(B)は、本発明に係る第2の実施例を示す

被検体Tの身長及び体重の測定装置

の概念図である。

センサ付寝台43は、被検体Tの寝台に体重計、身長計、光センサ等のセンサを設けるようにしたものであり、センサ付寝台43に被検体Tが寝ると、センサで自動的に体重及び身長を検出してデータを出力し、

図1の

演算処理部3に入力することができるようにしたものである

。なお

このとき、光センサによって身長の他、例えば胸厚、頭部の位置等を検出するようにしても良い

。

【0019】図2(A)に示すように、

寝台29には寝台駆動部29aと寝台駆動部29aにより駆動される天板43とが備えられており、被検体Tが寝台29の天板43上に寝た状態で例えば基準点Pとして寝台29に対する頭部の位置等を、コンソール5中の入力部9を用いて演算処理部3にデータ入力すれば、演算処理部3でデータ入力を演算処理して制御信号を出力し寝台駆動制御装置21に入力し、寝台駆動制御装置21は駆動信号を寝台駆動部29aに入力して、寝台駆動部29aは寝台29の高さの調整を行い、天板43をスライドさせて架台25のドーム内の所定の位置に被検体Tを移動してCTができるようにしている

。

【0020】あるいは、予め寝台29の所定位置に設けられたマーカ部分に、被検体Tの所定部分を合わせるようにして寝台29に被検体Tを定置させ、天板43を所定の距離だけスライドさせてCTができるようにしても良い。この場合、マーカは撮影の部位に応じて移動できるものとする。」

(引1エ)

「【0021】図3は、図1の

制御値テーブル記憶部15に予め記憶させた制御値テーブルの一例

を示す説明図であり、具体的には

肺の集団検診用のテーブル

の例を示しており、同図に示すように、

集団検診の場合は検査目的や検査部位は予め決まっているので、撮影条件は誰もほぼ同じとなる

。

【0022】

例えば撮影位置も身長Lcmの人の場合、頭からL1乃至L2cmの範囲というように標準体形に合わせて決定しておき、自動的にその範囲が撮影されるように演算処理部3は寝台駆動制御装置21を制御する

。

【0023】

従って、予め標準テーブルとして、管電圧、管電流、領域、スライス厚等の測定条件を複数のパラメータを用いて作成し、制御値テーブル記憶部15に記憶させておき、

図1の入力部9を操作することにより制御値テーブルを演算処理部3を介して読み出し、表示部7に表示できるようにし、さらに必要に応じて入力部9を操作することにより制御値テーブルの撮影条件のパラメータを変更できるようにしている。」

(引1オ)

「【0024】図4(A)及び(B)は、制御値テーブルの撮影条件のパラメータの説明図である。例えば、図1の

制御値テーブル記憶部15に

図4(A)に示すような

体重データの区分表を記憶させておき、演算処理部3に自動的に

、あるいは入力部9を操作することにより

被検体Tの体重データを入力し、演算処理部3で

図4(A)に示す

体重データの区分表を参照して、

図4(B)に示すように、

体重データの区分に応じて予め設定された撮影条件のパラメータ、管電圧、管電流、領域、スライス厚等を読み出して、標準テーブルを更新する

と共に表示部7に表示し

、演算処理部3から制御信号を出力しX線制御装置17及び寝台駆動制御装置21を制御する

。

【0025】図5は、制御値テーブルの撮影条件のパラメータの説明図であり、同図に示すように、体重データの区分に応じてさらに多くの撮影条件のパラメータが設定できるようにしても良く、例えばスキャン時間、CT装置がヘリカルスキャンならば寝台送り速度等を体重に応じて複数段階に設定する。

【0026】被検体Tの体格は体重と相関があるので、体重区分に応じて撮影条件、例えば領域等を選択すれば、ほぼ適した撮影を行うことが可能となり、必要に応じて入力部9を操作することにより、撮影条件のパラメータが変更できるようにすれば良い。」

(引1カ)

「【0027】図6(A)及び(B)は、制御値テーブルの撮影条件のパラメータの説明図である。例えば、図1の

制御値テーブル記憶部15に

図6(A)のような

身長データの区分表を記憶させておき、演算処理部3に自動的に

、あるいは入力部9を操作することにより

被検体Tの身長データを入力し、演算処理部3で

図6(A)に示す

身長データの区分表を参照して、

図6(B)に示すように、

身長データの区分に応じて予め設定された撮影条件のパラメータ、撮影区間の所定基準点よりの撮影開始位置、撮影距離、寝台送り等を読み出して、標準テーブルを更新する

と共に表示部7に表示し

、演算処理部3から制御信号を出力しX線制御装置17及び寝台駆動制御装置21を制御する

。

【0028】図7は、制御値テーブルの撮影条件のパラメータの説明図であり、同図に示すように、身長データの区分に応じてさらに多くの撮影条件のパラメータが設定できるようにしても良く、例えばCT装置がヘリカルスキャンならば寝台送り速度等を身長に応じて複数段階に設定する。

【0029】また、検査目的が肺の集団検診ということであれば、撮影位置を頭頂、あるいは肩、又は鎖骨などの基準点から所定距離分だけ離れた位置からの所定範囲としても大きくずれることはない。従って、基準点からの撮影開始位置や撮影区間を予め設定しておき、必要に応じて入力部9を操作することにより、撮影条件のパラメータが変更できるようにすれば良い。」

(引1キ)

「【0030】上述したように、予め撮影条件を記憶させた制御値テーブル記憶部と、被検体Tの身長及び体重データを入力するデータ入力手段とを設け、同データ入力手段よりのデータに基づき制御値テーブルから最適撮影条件を読み出し、自動的にCT装置と被検体Tの寝台29とを駆動することができるようにしており、撮影条件の設定や、撮影位置の調整にかかっていた時間及び労力が不要となり、操作者の負担の軽減、操作時間の短縮、及びスループットの向上等が可能となる。

【0031】なお、データ入力手段から入力するデータは、身長あるいは体重のどちらか一方のデータで代用するようにしても良く、特に検査項目が限定されている場合には効率的な検診を行い得る。また、

予備スキャン或いは対向配置されるLED、さらには機構的手段等によって胸厚、頭の高さ等を検出しより精度を高めるようにしても良い

。

【0032】また、さらに上記実施例においては検診の都度、被検体の身長、体重を測定し、この測定データに応じて撮影条件を制御値テーブル記憶部から選択するようにしたが、通常、集団検診は毎年繰り返して行われることから撮影条件として、個々の被検体毎にデータを、具体的には身長、体重、胸厚、肥満度、病歴等を制御値テーブル記憶部に記憶しておき、当該被検体毎に付与された個人コードの入力によって自動的に撮影条件が設定されるようにしても良い。この場合、病歴、症状、体調を適宜入力して蓄積しておくことにより、より正確な検診を迅速に行うことが可能となる。また、本発明はMRI、超音波診断装置等にも適宜利用できることはいうまでもないことである。」

(引1ク)

「【0033】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、被検体の例えば身長或いは体重の一方の測定データを入力して最適撮影条件で、自動的にCT装置と被検体の寝台とを駆動することにより撮影の際の手間を省くと共に、選択ミスの発生を防止し、また必要に応じて制御値テーブルの撮影条件を変更することが可能な、集団検診用に適したCT装置を提供することができる。」

(引1ケ)図1

「

95

153

0001429476000001.jpg

」

(引1コ)図2

「

105

153

0001429476000002.jpg

」

(引1サ)図3

「

140

98

0001429476000003.jpg

」

(引1シ)図4

「

172

75

0001429476000004.jpg

」

(引1ス)図5

「

70

151

0001429476000005.jpg

」

(引1セ)図6

「

164

81

0001429476000006.jpg

」

(引1ソ)図7

「

63

151

0001429476000007.jpg

」

(引1タ)図8

「

184

97

0001429476000008.jpg

」

(イ)引用文献1に記載された発明

上記(ア)の記載及び図面を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定箇所となる引用文献1の記載箇所を示す。以下、同様。

「CT装置を、例えば消化器系統または頭顎部等を集団検診する際に用いる方法であって、(【0001】)

身長、体重自動測定装置1では被検体Tの身長及び体重を自動的に測定し、測定データを演算処理部3に入力し、記憶部11中の制御値テーブル記憶部15には、予めCT装置の撮影条件を記憶させてあり、演算処理部3では入力された身長及び体重の測定データに応じた最適撮影条件を制御値テーブル記憶部15から読み出して制御信号を出力し、(【0013】)

寝台29には寝台駆動部29aと寝台駆動部29aにより駆動される天板43とが備えられており、被検体Tが寝台29の天板43上に寝た状態で例えば基準点Pとして寝台29に対する頭部の位置等を、コンソール5中の入力部9を用いて演算処理部3にデータ入力すれば、演算処理部3でデータ入力を演算処理して制御信号を出力し寝台駆動制御装置21に入力し、寝台駆動制御装置21は駆動信号を寝台駆動部29aに入力して、寝台駆動部29aは寝台29の高さの調整を行い、天板43をスライドさせて架台25のドーム内の所定の位置に被検体Tを移動してCTができるようにしており、(【0019】)

制御値テーブル記憶部15に予め記憶させた制御値テーブルの一例として、肺の集団検診用のテーブルがあり、集団検診の場合は検査目的や検査部位は予め決まっているので、撮影条件は誰もほぼ同じとなり、(【0021】)

例えば撮影位置も身長Lcmの人の場合、頭からL1乃至L2cmの範囲というように標準体形に合わせて決定しておき、自動的にその範囲が撮影されるように演算処理部3は寝台駆動制御装置21を制御し、(【0022】)

従って、予め標準テーブルとして、管電圧、管電流、領域、スライス厚等の測定条件を複数のパラメータを用いて作成し、制御値テーブル記憶部15に記憶させておき、(【0023】)

制御値テーブル記憶部15に体重データの区分表を記憶させておき、演算処理部3に自動的に被検体Tの体重データを入力し、演算処理部3で体重データの区分表を参照して、体重データの区分に応じて予め設定された撮影条件のパラメータ、管電圧、管電流、領域、スライス厚等を読み出して、標準テーブルを更新し、演算処理部3から制御信号を出力しX線制御装置17及び寝台駆動制御装置21を制御し、(【0024】)

制御値テーブル記憶部15に身長データの区分表を記憶させておき、演算処理部3に自動的に被検体Tの身長データを入力し、演算処理部3で身長データの区分表を参照して、身長データの区分に応じて予め設定された撮影条件のパラメータ、撮影区間の所定基準点よりの撮影開始位置、撮影距離、寝台送り等を読み出して、標準テーブルを更新し、演算処理部3から制御信号を出力しX線制御装置17及び寝台駆動制御装置21を制御し、(【0027】)

被検体Tの身長及び体重の測定装置として、センサ付寝台43は、被検体Tの寝台に体重計、身長計、光センサ等のセンサを設けるようにしたものであり、センサ付寝台43に被検体Tが寝ると、センサで自動的に体重及び身長を検出してデータを出力し、演算処理部3に入力することができるようにし、このとき、光センサによって身長の他、例えば胸厚、頭部の位置等を検出するようにしても良く、(【0018】)

予備スキャン或いは対向配置されるLED、さらには機構的手段等によって胸厚、頭の高さ等を検出しより精度を高めるようにしても良い、(【0031】)

方法。」

イ 引用文献2

(ア)引用文献2の記載

原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった特開2014-161392号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。

(引2ア)

「【0029】

図1に示すように、本実施形態に係る

X線CT装置1は、走査ガントリ10と、撮影テーブル20と、操作コンソール

(console)

30とを有する

。

【0030】

走査ガントリ10は、被検体40にX線を照射し、その透過X線を検出して投影データ(data)を収集する。

・・・

【0044】

走査ガントリ10は、その内部に、ガントリ・テーブル制御部17を有している

。

また、走査ガントリ10は、撮影テーブル20が設置されている側の面の上部に、

ガントリディスプレイ部18と、

センサ部19とを有している

。なお、ガントリ・テーブル制御部17は、発明における特定手段、検知手段、決定手段、および制御手段の一例である。

【0045】

ガントリ・テーブル制御部17は、操作コンソール30の制御バス39と接続されている。ガントリ・テーブル制御部17は、スキャン制御部32からの制御を受けて、X線管制御部13、ガントリ回転駆動部16、およびテーブル駆動部22を制御し、スカウトスキャンや本スキャンを実施する。また、ガントリ・テーブル制御部17は、ガントリディスプレイ部18およびセンサ部19と接続されている。ガントリ・テーブル制御部17は、必要に応じて、ガントリディスプレイ部18やセンサ部19からの入力信号に基づいて、ガントリ回転駆動部16やテーブル駆動部16を制御する。また、ガントリ・テーブル制御部17は、必要に応じて、各種の画像や情報を、ガントリディスプレイ部18のディスプレイに表示する。

・・・

【0047】

センサ部19は、光学カメラ19cと、深度センサ19dとを有している

。光学カメラ19cは、例えば、RGB(Red Green Blue)またはモノクロ(monochromatic)のCCD(Charge Coupled Device)カメラである。

光学カメラ19cは、撮影テーブル20と、撮影テーブル20のクレードル21に載置された被検体40とを含む被写体60の斜俯瞰画像P0を撮像し、その画像信号を出力する

。深度センサ19dは、例えば、赤外線方式の3次元深度センサである。

深度センサ19dは、赤外線源から被写体60に向けて赤外線を照射し、その反射線を検出して、赤外線源から被写体60の表面における各位置までの深度を表す信号を出力する

。

センサ部19としては、光学カメラ19cと深度センサ19dとが一体的に構成されているセンサ

を考えることができ、例えば、マイクロソフト(Microsoft)社製のキネクト(Kinect)(登録商標)センサなど

を用いることができる

。

【0048】

ガントリ・テーブル制御部17は、スキャンを開始する際に、その準備として、撮影テーブル20の高さとクレードル21の水平位置とを自動で制御する

。以下、この制御について詳しく説明する。

【0049】

ガントリ・テーブル制御部17は、深度センサ19dの出力信号に基づいて、被検体40の上側体表面の高さを特定する。」

(引2イ)

「【0050】

図2は、

被検体40の上側体表面の高さを特定する処理

を説明するための図である。

【0051】

まず、

ガントリ・テーブル制御部17は、被検体40の一部の領域に、上側体表面の高さを検出するターゲットエリア

(target area)

TAを設定する

。ターゲットエリアTAは、例えば、クレードル21におけるz軸方向の範囲で定義される。本例では、設定されたスキャン条件に含まれる被検体40の頭尾方向(ヘッドファースト/フットファースト)などの情報に基づいて、被検体40の胸部に対応するz軸方向の範囲を大まかに見積もり、その範囲をターゲットエリアTAとして設定する。ターゲットエリアTAは、胸部のほか、頭部、腹部などに対応する範囲とすることもできる。

【0052】

次に、

ガントリ・テーブル制御部17は、深度センサ19dの出力信号に基づいて、

赤外線の各照射方向α

i

ごとに、深度センサ19dの赤外線源から被検体40の上側体表面までの深度r(α

i

)を求める。

【0053】

そして、照射方向α

i

ごとに、赤外線源の位置K

s

の情報と、その照射方向α

i

と、照射方向α

i

における深度r(α

i

)とから、照射方向α

i

で照射される赤外線の先にある被検体40の上側体表面の位置K(α

i

)を幾何学的に求める。この上側体表面の位置K(α

i

)の鉛直方向の高さH

o

(α

i

)は、位置K(α

i

)のy軸方向の成分として特定される。そこで、ここでは、被検体40における任意の(x,z)座標での上側体表面の高さHo(x,z)を、先に求めた各位置K(α

i

)ごとのx,y,z軸方向の成分から特定する。そして、

ターゲットエリアTA内の各座標(x,z)における高さHo(x,z)から、被検体40の代表的な高さHo

rep

を特定する

。代表的な高さHo

rep

としては、例えば、最も高い高さHo

max

や、平均の高さHo

ave

などを考えることができる。本例では、代表的な高さとして、最も高い高さHo

max

を採用する。

【0054】

ガントリ・テーブル制御部17は、撮影テーブル20の昇降駆動系における制御信号や、リンク機構などに付されたスケール(scale)の読取り信号などを基に、クレードル21の載置面の高さH

c

を検知する。例えば、昇降駆動に用いられるステッピングモータ(stepping motor)の制御信号あるいは出力信号などから検知する。」

(引2ウ)

「【0055】

ガントリ・テーブル制御部17は、

図3に示すように、

被検体40のターゲットエリアTAにおける代表的な高さHo

rep

と、クレードル21の載置面の高さH

c

とから、被検体40のターゲットエリアTAにおける鉛直方向の厚みtを、Δ(Ho

rep

-H

c

)として特定する

。

そして、クレードル21の載置面から厚さtの半分t/2だけ高い位置を、被検体40の鉛直方向の中心位置Aと決定し、

その中心位置の高さをHaとする。つまり、中心位置Aは、被検体40のターゲットエリアTAにおける代表的な高さHo

rep

と、クレードル21の載置面の高さHcとの中間の高さにある位置である。この被検体40の中心位置Aは、撮影テーブル20の高さを変化させたとき、それに追従する。」

(引2エ)

「【0056】

ガントリ・テーブル制御部17は、スキャン準備開始のコマンド

(command)

の入力を受けて、

図4に示すように、

被検体40の鉛直方向の中心位置Aの高さが、アイソセンタのISOの高さH

iso

に一致するまで、撮影テーブル20を上昇させる制御を行う

。

撮影テーブル20の上昇が完了したら、設定されたスキャン条件から、スキャン開始位置となるクレードル21の水平位置を特定する

。

そして、

図5に示すように、

クレードル21の水平位置がそのスキャン開始位置に一致するまで、クレードル21を水平移動させる制御を行う

。」

(引2オ)

「【0089】

また、本実施形態によれば、

深度センサ19dで測定した深度を基に被検体40の中心位置を決定しているため、光学カメラで撮像した画像を基に中心位置を決定する場合と比較して、精度よく安定に、被検体40の中心位置を決定することができる

。光学カメラで撮像した画像中の被検体40の位置や大きさは、そのカメラと被検体40との距離に応じて変化するため、被検体40の中心位置を正確に特定することが難しく、撮影テーブル20の高さ制御において精度が甘くなる。」

(引2カ)図1

「

84

134

0001429476000009.jpg

」

(引2キ)図2

「

102

139

0001429476000010.jpg

」

(引2ク)図3

「

101

153

0001429476000011.jpg

」

(引2ケ)図4

「

100

146

0001429476000012.jpg

」

(引2コ)図5

「

98

147

0001429476000013.jpg

」

(イ)引用文献2に記載された技術的事項

上記(ア)の記載及び図面を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2技術的事項」という。)が記載されていると認められる。

「走査ガントリ10と、撮影テーブル20と、操作コンソール30とを有し、(【0029】)

走査ガントリ10は、その内部に、ガントリ・テーブル制御部17を有し、また、走査ガントリ10は、撮影テーブル20が設置されている側の面の上部に、センサ部19を有し、(【0044】)

センサ部19は、光学カメラ19cと、深度センサ19dとを有し、光学カメラ19cは、撮影テーブル20と、撮影テーブル20のクレードル21に載置された被検体40とを含む被写体60の斜俯瞰画像P0を撮像し、その画像信号を出力し、深度センサ19dは、赤外線源から被写体60に向けて赤外線を照射し、その反射線を検出して、赤外線源から被写体60の表面における各位置までの深度を表す信号を出力し、センサ部19としては、光学カメラ19cと深度センサ19dとが一体的に構成されているセンサを用いることができ、(【0047】)

ガントリ・テーブル制御部17は、スキャンを開始する際に、その準備として、撮影テーブル20の高さとクレードル21の水平位置とを自動で制御する、(【0048】)

X線CT装置1において、(【0029】)

被検体40の上側体表面の高さを特定する処理をする方法であって、(【0050】)

ガントリ・テーブル制御部17は、(【0051】~【0056】)

被検体40の一部の領域に、上側体表面の高さを検出するターゲットエリアTAを設定し、(【0051】)

深度センサ19dの出力信号に基づいて、(【0052】)

ターゲットエリアTA内の各座標(x,z)における高さHo(x,z)から、被検体40の代表的な高さHo

rep

を特定し、(【0053】)

被検体40のターゲットエリアTAにおける代表的な高さHo

rep

と、クレードル21の載置面の高さH

c

とから、被検体40のターゲットエリアTAにおける鉛直方向の厚みtを、Δ(Ho

rep

-H

c

)として特定し、そして、クレードル21の載置面から厚さtの半分t/2だけ高い位置を、被検体40の鉛直方向の中心位置Aと決定し、(【0055】)

スキャン準備開始のコマンドの入力を受けて、被検体40の鉛直方向の中心位置Aの高さが、アイソセンタのISOの高さH

iso

に一致するまで、撮影テーブル20を上昇させる制御を行い、撮影テーブル20の上昇が完了したら、設定されたスキャン条件から、スキャン開始位置となるクレードル21の水平位置を特定し、そして、クレードル21の水平位置がそのスキャン開始位置に一致するまで、クレードル21を水平移動させる制御を行い、(【0056】)

深度センサ19dで測定した深度を基に被検体40の中心位置を決定しているため、光学カメラで撮像した画像を基に中心位置を決定する場合と比較して、精度よく安定に、被検体40の中心位置を決定することができる、(【0089】)

方法。」

(3)対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 受信ステップ

引用発明(【0001】)の「CT装置」は、本件補正発明の「医用撮像装置」に相当する。

また、引用発明(【0001】)の「CT装置」を「用い」た「集団検診」は、本件補正発明の「医用撮像装置を用いた患者の撮像走査」に相当する。

また、引用発明(【0021】)の「肺の集団検診用のテーブル」における「肺の集団検診用」は、当該「テーブル」の「検査目的や検査部位」(臨床意図)を識別するためのID(識別子)であるから、本件補正発明の「臨床意図識別子」に相当する。

また、引用発明(【0021】)の「肺の集団検診用のテーブル」における「テーブル」は、「撮影条件」に関する規定(プロトコル)であるから、本件補正発明の「撮像プロトコル」に相当する。

また、引用発明(【0021】)の「肺の集団検診用のテーブル」は、「制御値テーブル記憶部15」に「標準テーブル」として記憶させるもの(【0023】、図3参照)であるところ、引用発明(【0024】、【0027】)では、「演算処理部3で」「標準テーブルを更新」するのだから、「更新」に先立ち、「演算処理部3」が「標準テーブル」である「肺の集団検診用のテーブル」を「制御値テーブル記憶部15」から受信していることは、自明である。

すると、引用発明の「演算処理部3」が、「CT装置を」「用い」た「集団検診する際に」、「撮影条件」を規定した「標準テーブル」である「肺の集団検診用のテーブル」を受信するステップと、

本件補正発明の「医用撮像装置を用いた患者の撮像走査のために臨床意図識別子を含む撮像プロトコルの選択を受信するステップ」とは、

「医用撮像装置を用いた患者の撮像走査のために臨床意図識別子を含む撮像プロトコル」「を受信するステップ」の点で共通する。

イ 決定ステップ

引用発明(【0013】、【0019】、【0024】、【0027】)では、「演算処理部3」は、「標準テーブル」の「撮影条件」を、「身長及び体重の測定データに応じた最適撮影条件」に「更新」し、「寝台29の高さの調整を行い」、「天板43」の「位置」を「スライド」させる「制御信号を出力」することから、「演算処理部3」が、「標準テーブル」の「撮影条件」を「最適撮影条件」へ「更新」する際、「標準テーブル」の「撮影条件」から、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」及び「スライド」させる前の「天板43」の「位置」を決定していることは、自明である。

また、引用発明の「天板43」は、本件補正発明の「前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブル」に相当する。

また、引用発明の「寝台29の高さ」が、「天板43」「の高さ」を意味することは明らかであるから、引用発明の「調整を行」う前の「寝台29の高さ」及び「スライド」させる前の「天板43」の「位置」は、それぞれ、本件補正発明の「前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの初期のテーブル高さ」及び「前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの」「初期の横方向テーブル位置」に相当する。

また、引用発明の「身長及び体重」及び「胸厚、頭の高さ」は、本件補正発明の「患者情報」に相当する。

すると、引用発明の「演算処理部3」が、「標準テーブル」の「撮影条件」から、「身長及び体重」とは無関係に、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」及び「スライド」させる前の「天板43」の「位置」を決定するステップと、

本件補正発明の「前記臨床意図識別子から、患者情報とは無関係に、前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの初期のテーブル高さおよび初期の横方向テーブル位置を決定するステップであって、前記初期のテーブル高さは、指定された患者走査面を前記医用撮像装置の第1の指定走査面と整列させる前記テーブルのテーブル高さを画定し、前記初期の横方向テーブル位置は、前記医用撮像装置の第2の指定走査面から指定されたオフセットだけ離れた場所において、指定された解剖学的基準を位置決めする前記テーブルのテーブル位置を画定する、ステップ」とは、

「前記臨床意図識別子から、患者情報とは無関係に、前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの初期のテーブル高さおよび初期の横方向テーブル位置を決定するステップ」の点で共通する。

ウ 生成ステップ

引用発明の「演算処理部3」は、「身長及び体重の測定データに応じた最適撮影条件」を用いて、「寝台29の高さの調整を行い」、「天板43」の「位置」を「スライド」させる「制御信号を出力」するものであるから、引用発明の「調整を行」った後の「寝台29の高さ」及び「スライド」させた後の「天板43」の「位置」は、それぞれ、本件補正発明の「最終のテーブル高さ」及び「最終の横方向テーブル位置」に相当する。

すると、引用発明の「演算処理部3」が、「身長及び体重の測定データに応じた最適撮影条件」を用いて、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」及び「スライド」させる前の「天板43」の「位置」を「更新」して、「調整を行」った後の「寝台29の高さ」及び「スライド」させた後の「天板43」の「位置」を生成するステップは、本件補正発明の「前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップ」に相当する。

エ 調整ステップ

引用発明(【0019】、【0022】)の「寝台駆動制御装置21」が、「調整を行」った後の「寝台29の高さ」及び「スライド」させた後の「天板43」の「位置」に「自動的に」「移動」するように「寝台29」を「駆動制御」するステップは、本件補正発明の「前記テーブル(115)を、前記最終のテーブル高さおよび前記最終の横方向テーブル位置に自動的に調整するステップ」に相当する。

オ 作動方法

引用発明の「CT装置」が備える「演算処理部3」又は「寝台駆動制御装置21」は、上記ア~エで説示したステップを実行(作動)するものである。

すると、引用発明(【0001】)の「CT装置を、例えば消化器系統または頭顎部等を集団検診する際に用いる方法」は、本件補正発明の「医用撮像装置の作動方法(300)」に相当する。

(4)一致点・相違点

上記(3)での対比を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、次のアの点で一致し、次のイの各点で相違する。

ア 一致点

「医用撮像装置を用いた患者の撮像走査のために臨床意図識別子を含む撮像プロトコル」「を受信するステップと、

前記臨床意図識別子から、患者情報とは無関係に、前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの初期のテーブル高さおよび初期の横方向テーブル位置を決定するステップ」「と、

前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップと、

前記テーブル(115)を、前記最終のテーブル高さおよび前記最終の横方向テーブル位置に自動的に調整するステップと

を含」「む、

医用撮像装置の作動方法(300)。」

イ 相違点

(ア)相違点1(受信ステップ)

「医用撮像装置を用いた患者の撮像走査のために臨床意図識別子を含む撮像プロトコル」「を受信する受信するステップ」が、本件補正発明では、臨床意図識別子を含む撮像プロトコルの「選択」を受信するのに対し、引用発明では、「肺の集団検診用のテーブル」の選択を受信しているのか、不明である点。

(イ)相違点2(決定ステップ)

「前記臨床意図識別子から、患者情報とは無関係に、前記医用撮像装置のボアに位置決めされるテーブルの初期のテーブル高さおよび初期の横方向テーブル位置を決定するステップ」が、本件補正発明では、「前記初期のテーブル高さは、指定された患者走査面を前記医用撮像装置の第1の指定走査面と整列させる前記テーブルのテーブル高さを画定し、前記初期の横方向テーブル位置は、前記医用撮像装置の第2の指定走査面から指定されたオフセットだけ離れた場所において、指定された解剖学的基準を位置決めする前記テーブルのテーブル位置を画定する」のに対し、引用発明では、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」及び「スライド」させる前の「天板43」の「位置」を、それぞれ、どのように画定するのか、不明である点。

(ウ)相違点3(生成ステップ)

「前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップ」が、本件補正発明では、「前記患者情報に基づいて前記患者の指定された患者走査面の現在の場所を特定するステップと、前記患者の指定された走査面を前記医用撮像装置の前記第1の指定走査面と整列させるために前記初期テーブル高さを調整するステップとを含む」のに対し、引用発明(【0018】、【0031】)では、「光センサによって身長の他、例えば胸厚、頭部の位置等を検出するようにしても良く、予備スキャン或いは対向配置されるLED、さらには機構的手段等によって胸厚、頭の高さ等を検出しより精度を高めるようにしても良い」ものの、そのための具体的なステップが不明である点。

(5)判断

以下、上記各相違点1~3について検討する。

ア 相違点1(受信ステップ)について

(ア)引用発明(【0001】、【0021】)は、「CT装置を、例えば消化器系統または頭顎部等を集団検診する際に用いる方法であって、」「制御値テーブル記憶部15に予め記憶させた制御値テーブルの一例として、肺の集団検診用のテーブルがある」。

また、引用文献1には、

従来のCT装置

(【0002】)では、

CT装置の撮影条件の内、例えば管電圧、領域、枚数等について、これら撮影条件は撮影部位毎にプログラムとして予めプリセットされており、

操作者(技師)は被検体の撮影部位や検査目的に合わせていくつかのプログラムの中から適するものを選択し

、必要に応じて修正するようにし、これらは全て操作者、あるいは立合い医師の判断の基に行い、操作者が被検体毎に寝台部101等の調整を行うようにしていた(【0006】)、

従来のCT装置においては、被検体毎に目視や勘で撮影プログラム(撮影領域)を選択したり、撮影位置を合わせたりしており、そのため集団検診等のようにスループットが要求される場合には適さなかった(【0007】)、

最適撮影条件を基に自動的にCT装置と被検体の寝台とを駆動する

ことにより、撮影の際の手間を省くと共に、撮影条件の選択ミスの発生を防止し、また必要に応じて制御値テーブルの撮影条件を変更することが可能な集団検診用に適したCT装置を提供することを目的とする(【0008】)などの記載がある。

(イ)上記(ア)の事項を踏まえると、引用発明は、従来のCT装置に対して、最適撮影条件を基に自動的にCT装置と被検体の寝台とを駆動できるようにしたものであり、係る構成に関与しない構成については、引用発明でも、従来のCT装置と同様の構成であることが想定されるから、引用発明において、「制御値テーブル記憶部15に予め記憶させた制御値テーブル」「として、肺の集団検診用のテーブル」以外に、「消化器系統または頭顎部等」の「集団検診」用の様々なテーブルがあり、操作者(技師)は検査目的のテーブルを選択し、選択したテーブルを「制御値テーブル記憶部15」から「演算処理部3」へ「読み出して」いることは、自明である。

すると、引用発明は、「演算処理部3」が「CT装置」を用いた「集団検診」のために「肺の集団検診用のテーブル」の選択を受信するものといえるから、上記相違点1は実質的な相違点でない。また、仮に実質的な相違点であったとしても、引用発明において、上記相違点1に係る本件補正発明の、臨床意図識別子を含む撮像プロトコルの「選択」を受信する、という構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2(決定ステップ)について

(ア)決定する初期のテーブル高さ

引用発明では、上記(3)イで説示したとおり、「演算処理部3」が、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」を決定しているが、引用文献1には、「寝台29の高さ」を具体的に画定する手法について記載されていない。

しかしながら、CT装置において、スキャンを開始する際に、その準備として、被検体の関心領域の中心が架台のドームの中心ISOと一致する高さを、寝台の高さとすることは、本願の優先日前における技術常識(例えば、特開2014-147728号公報の【0003】、【0019】、【0046】、図6などを参照)である。

すると、引用発明において、実施に際して、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」を具体的に画定する必要があることから、当該技術常識に鑑みて、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」について、「被検体T」の関心領域の中心(本件補正発明「指定された患者走査面」に相当)を、「架台25のドーム」の中心ISO(本件補正発明の「前記医用撮像装置の第1の指定走査面」に相当)と一致(本件補正発明の「整列」に相当)させる、「寝台29の高さ」を画定し、上記相違点2に係る本件補正発明の「前記初期のテーブル高さは、指定された患者走査面を前記医用撮像装置の第1の指定走査面と整列させる前記テーブルのテーブル高さを画定」するという構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ)決定する初期の横方向テーブル位置

引用発明では、上記(3)イで説示したとおり、「演算処理部3」が、「スライド」させる前の「天板43」の「位置」を決定しているが、引用文献1には、「天板43」の「位置」を具体的に画定する手法について記載されていない。

しかしながら、CT装置において、スキャンを開始する際に、その準備として、撮影開始位置である被検体の関心領域一端が架台の走査平面から所定距離だけ離れた場所と一致する位置を、天板の水平位置とすることは、本願の優先日前における技術常識(例えば、特開2010-268827号公報の【0030】~【0036】、図2~4などを参照)である。

すると、引用発明において、実施に際して、「スライド」させる前の「天板43」の「位置」を具体的に画定する必要があることから、当該技術常識に鑑みて、「スライド」させる前の「天板43」の「位置」について、「架台25」の走査平面(本件補正発明の「前記医用撮像装置の第2の指定走査面」に相当)から所定距離(本件補正発明の「オフセット」に相当)だけ離れた場所に、「肺」の「撮影開始位置」である「被検体T」の関心領域一端(本件補正発明の「指定された解剖学的基準」に相当)を一致(本件補正発明の「位置決め」に相当)させる、「天板4」の「位置」を画定し、上記相違点2に係る本件補正発明の「前記初期の横方向テーブル位置は、前記医用撮像装置の第2の指定走査面から指定されたオフセットだけ離れた場所において、指定された解剖学的基準を位置決めする前記テーブルのテーブル位置を画定する」という構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(ウ)してみると、上記相違点2に係る本件補正発明の構成は、引用発明及び上記種々の技術常識に基づいて当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3(生成ステップ)について

(ア)引用文献2技術的事項(【0029】、【0047】、【0048】、【0052】、【0055】、【0056】、【0089】)は、「X線CT装置1において、」「スキャンを開始する際に、その準備として、撮影テーブル20の高さとクレードル21の水平位置とを自動で制御する」「ガントリ・テーブル制御部17」が、「被検体40」「を含む」「被写体60の表面における各位置までの深度を表す信号を出力」する「深度センサ19dの出力信号に基づいて、」「被検体40の鉛直方向の中心位置A」を「決定し、」「スキャン準備開始のコマンドの入力を受けて、被検体40の鉛直方向の中心位置Aの高さが、アイソセンタのISOの高さH

iso

に一致するまで、撮影テーブル20を上昇させる制御を行」うことで、「深度センサ19dで測定した深度を基に被検体40の中心位置を決定しているため、光学カメラで撮像した画像を基に中心位置を決定する場合と比較して、精度よく安定に、被検体40の中心位置を決定することができる」ものである。

(イ)また、引用発明では、「センサ付寝台43に被検体Tが寝ると、センサで自動的に体重及び身長を検出してデータを出力し、演算処理部3に入力することができるようにし、このとき、光センサによって身長の他、例えば胸厚、頭部の位置等を検出するようにしても良く、予備スキャン或いは対向配置されるLED、さらには機構的手段等によって胸厚、頭の高さ等を検出しより精度を高めるようにしても良い」ことから、引用発明において、「センサ」で「検出」した「体重及び身長」に加えて、「センサ」等で「検出」した「被検体T」の「胸厚」を用いることで、「寝台29の高さ」の「調整」を、「より精度を高め」て行えることを示唆するものである。

すると、引用発明において、当該示唆する具体的なステップを得るために、精度よく撮影テーブル20の高さを制御する引用文献2技術的事項を適用する動機付けは存在するといえる。

(ウ)してみると、引用発明において、引用文献2技術的事項を適用することで、「演算処理部3」が、「身長及び体重の測定データに応じた最適撮影条件」を用いて、「調整を行」う前の「寝台29の高さ」及び「スライド」させる前の「天板43」の「位置」を「更新」して、「調整を行」った後の「寝台29の高さ」及び「スライド」させた後の「天板43」の「位置」を生成するステップが、

「センサ」で「検出し」た「被検体T」の「胸厚」(本件補正発明の「前記患者情報」に相当)に基づいて、「被検体T」の鉛直方向の中心位置A(本件補正発明の「前記患者の指定された患者走査面の現在の場所」に相当)を決定するステップと、「被検体T」の鉛直方向の中心位置AをアイソセンタのISOの高さH

iso

(本件補正発明の「前記医用撮像装置の前記第1の指定走査面」に相当)と一致(本件補正発明の「整列」に相当)させるために「調整を行」う前の「寝台29の高さ」を「更新」ステップとを含」み、上記相違点3に係る本件補正発明の「前記患者情報に基づいて前記患者の指定された患者走査面の現在の場所を特定するステップと、前記患者の指定された走査面を前記医用撮像装置の前記第1の指定走査面と整列させるために前記初期テーブル高さを調整するステップとを含む」という構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

エ 本件補正発明の奏する作用効果

上記相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2技術的事項、及び上記種々の技術常識の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(6)小括

したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術的事項、及び上記種々の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)請求人の主張

請求人は審判請求書の「(4)本願発明と引用発明との対比」の欄において、

「請求項1に係る発明は、「前記患者情報に基づいて前記患者の指定された患者走査面の現在の場所を特定するステップと、前記患者の指定された走査面を前記医用撮像装置の前記第1の指定走査面と整列させるために前記初期テーブル高さを調整するステップと」を含んでおります。この点については、引用文献には開示されておりません。」と主張する。

しかしながら、引用発明(引用文献1に記載された発明)において、引用文献2技術的事項(引用文献2に記載された技術的事項)を適用することで、請求人が上記主張する、本件補正発明(請求項1に係る発明)の構成を得ることが、当業者にとって容易想到であることは、上記(5)ウで検討したとおりである。

よって、請求人の上記主張については、採用できない。

(8)まとめ

以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術的事項、及び上記種々の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和6年2月16日にされた手続補正(本件補正)は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1~6、8~11、13~16及び18~20に記載された事項、及び令和5年7月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7、12及び17に記載された事項により特定されるものである。そのうちの請求項1の記載は、上記第2の1(2)のとおりである。

2 原査定の拒絶理由

原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平7-31609号公報

引用文献2:特開2014-161392号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、上記第2の2(2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記第2の2で検討した本件補正発明から、「前記患者情報に基づいて、前記初期のテーブル高さおよび前記初期の横方向テーブル位置のうちの1つ以上を調整して、最終のテーブル高さおよび最終の横方向テーブル位置を生成するステップ」に係る限定事項を削除して拡張したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加して限定したものに相当する本件補正発明が、上記第2の2(3)~(6)に説示したとおり、引用発明、引用文献2技術的事項、及び上記種々の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2技術的事項、及び上記種々の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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