結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024004806 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和4年10月28日の出願であって、令和5年10月4日付けの拒絶理由の通知に対し、同年12月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年12月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和6年3月19日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされた。その後、令和7年5月26日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認められる。
・本願発明1
「【請求項1】
ブラシ毛を本体に植毛したブラシであって、
本体に、絵柄及び文字が表示され、
本体が、互いに略平行である第1の面と第2の面を備え、
前記絵柄が、第1の面に表示され、
前記文字が、第1の面、及び/又は、第2の面に表示される、ブラシ(第1の面及び第2の面の少なくともいずれかに広告が表示されたブラシを除く)。」
当審が令和7年5月26日付けで通知した拒絶理由のうち、請求項1に対するものは、概略、次のとおりである。
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された実願昭50-115863号(実開昭52-30466号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明及び周知技術(周知例として、米国特許出願公開第2005/0273962号明細書(以下、「引用文献2」という。)、特開2011-251522号公報(以下、「引用文献3」という。)がある。)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(1)引用文献1に記載された事項
上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同様。)。
ア 「2.実用新案登録請求の範囲
(イ) 板ばけ(1)を基板(2)の一端に面を重ねて着ける。
(ロ)
被い(3)で基板(2)の両面を被い
、板ばけ(1)の一部を露出させる。
以上の様に構成した板状卓上ハケ」(明細書の1ページ3行から同ページ8行)
イ 「この
実用新案は、紙等で簡単に自動作成出来、広告媒体にも使用出来る板状卓上ハケ
に関するものである。
従来、卓上ハケは各種あつたがいずれも高価であり、広告用として配布出来なかつた。
卓上ハケは会社の事務に於ても消しゴム等で使いたい事が多いが、あまり使用されていない。」(明細書の1ページ10行から同ページ16行)
ウ 「本考案はこれ等の欠点を除く為に考案されたもので、これを図面について説明すれば
(イ)
板ばけ(1)を基板(2)の一端に面を重ねて着ける。
(ロ)
被い(3)で基板(2)の両面を被い
、板ばけ(1)の一部を露出させる。
(ハ) 被い(3)は二つに折り曲げた紙であつても良く、又内面を剥離出来のりずけした剥離紙であつても良い。
(ニ) 基板(2)は厚紙やプラスチツクセルロイドやアルミ板等であつても良い。
(ホ) 被い(3)はアルミ板等、圧着可能材を使用し圧力により板ばけ(1)と基板(2)を圧着し被つても良い。
(へ) 板ばけ(1)は不織布、紙、スポンジ、ヘチマ状材等、弾性があるものを用いても良い。
(ト)
板ばけ(1)はプラスチツク糸、や通常のハケ材はそのまま使用出来る。
(チ)
不織布の様な布状のものを板ばけ(1)に使う時は歯状切れ目(4)を設けたり、たて切れ目(5)をつけても良い。
又歯状切れ目(4)を一枚おきにずらしても良い。
(リ) 板ばけ(1)を基板(2)に止めずに、基板(2)に穴(6)をあけ、板ばけ(1)をくぐらせてその上から被い(3)で止めても良い。
(ヌ) さや(7)で板ばけ(1)をカバーするようにしても良い。
(ル) 被い(3)を固定せずに基板(2)が抜き差し可能としても良い。板ばけ(1)を長くし切断可能としても良い。」(明細書の1ページ17行から3ページ6行)
エ 「本案は以上の様な構造であるからこれを使用するときは、
被い(3)の両面を手ではさみ、板ばけ(1)で卓上のゴミを掃除する。紙やプラスチツクアルミ板等で作る事が出来、又自動製造が可能である。
被い(3)の表面に広告をのせたり、カレンダー等を印刷しても良い。安価であるのでセールスマンの広告媒体として有効である。
又パンクズの掃除用等に用いてよごれたらハケ先を切断するようにしても良い。」(明細書の3ページ7行から同ページ16行)
オ 引用文献1には、第1図から第4図として、次の図が記載されている。
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(2)引用発明
上記(1)より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
・引用発明
「板ばけ(1)を被い(3)で両面が被われた基板(2)に着けた板状卓上ハケであって、
被い(3)の表面に、広告がのせられ、
被い(3)で両面が被われた基板(2)が、両面を有している、板状卓上ハケ。」
上記引用文献2には、次の事項が記載されている。
(1)「[0018] In FIGS. 1 and 2
a brush 10 generally comprises a handle 20, a heel portion (not shown) from which extend a plurality of bristles 30
, and a slidable collar 40 disposed in a home position.
[0019] The handle 20 can comprise any suitable material, including wood, metal and/or hard plastic. In this particular example, the handle 20 is plastic about 1.5 cm thick, and has an ergonomically desirable soft touch material 22 on top and bottom to improve the “feel“ of the brush. Handle 20 also has a hole 25 for hanging the brush 10, and an advertising medallion 27.
[0020] Bristles 30 can comprise any suitable material, depending on the application. For general automotive use the bristles are preferably nylon. In these scale drawing figures, the bristles have a longest effective length of about 2" (≒5 cm)(当審注:「≒」は、2本の波線).
[0021] Collar 40 is generally rhombohedral in shape, although it has an indented portion 42 to facilitate gripping by a user. There is also a medallion 44 that includes a logo or other trademark. Collar 40 can also be made of any suitable material, but is preferably made of the same hard plastic used for handle 20.」
(当審訳:「[0018] 図1及び図2において、
ブラシ10は、一般に、ハンドル20と、複数の剛毛30が延びるヒール部分(図示せず)と
、定位置に配置された摺動可能なカラー40と
を有している。
[0019] ハンドル20は、木材、金属及び/又は硬質プラスチックを含む任意の好適な材料を含むことができる。この特定の例では、ハンドル20は、約1.5cmの厚さのプラスチックであり、ハンドル20を改善するために、人間工学的に望ましいソフトタッチ材料22を頂部及び底部に有する。ハンドル20はまた、ブラシ10を掛けるための穴25と、広告メダル27とを有する。
[0020] 剛毛30は、用途に応じて任意の好適な材料を含むことができる。一般的な自動車用途では、剛毛はナイロンであることが好ましい。これらの縮尺図では、剛毛は約2インチ(約5cm)の最長有効長を有する。
[0021] カラー40は、ユーザによる把持を容易にするために窪んだ部分42を有するが、ほぼ菱面体の形状である。ロゴまたは他の商標を含むメダル44もある。カラー40はまた、任意の適切な材料から作製され得るが、好ましくは、ハンドル20に使用されるのと同じ硬質プラスチックから作製される。」
(2)引用文献2には、FIG.1、FIG.2として、次の図が記載されている。
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上記引用文献3には、次の事項が記載されている。
(1)「【001】
従来,掃除用卓上ブラシと定規は別々で,無駄に場所を取っていたりと,使いがってが悪かった.
【課題を解決する手段】
【002】
そこで卓上ブラシと定規を一緒にした.
【発明の効果】
【003】
よって本発明は,卓上ブラシと定規を一緒にした事でそれを1本持っていれば,デスク上の消しゴムのカスやパソコン上のホコリなどをすぐに清掃出来,持ち手も握り易く,そのまま定規としても使える.
又
ブラシを髪やたてがみに例え,人や動物の顔などを定規に描けば,キャラクタ-としてもおしゃれで可愛い
.
【発明を実施するための最良の形態】
【004】
本発明は図に示す通り,
定規1にブラシ2を設け,イラスト3を描いた
.」
(2)引用文献3には、【図1】として、次の図が記載されている。
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70
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本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「板ばけ(1)」と本願発明1の「ブラシ毛」は、掃き掃除材である点で共通するから、引用発明において、「板ばけ(1)を」「着けた」ことは、本願発明1の「ブラシ毛を」「植毛した」ことと掃き掃除材を取り付けた点で共通する。また、引用発明の「被い(3)で両面が被われた基板(2)」は、本願発明1の「本体」に相当し、引用発明の「板状卓上ハケ」は、本願発明1の「ブラシ」に相当する。したがって、引用発明の「板ばけ(1)を被い(3)で両面が被われた基板(2)に着けた板状卓上ハケ」と本願発明1の「ブラシ毛を本体に植毛したブラシ」は、掃き掃除材を本体に取り付けたブラシである点で共通する。
引用発明において「被い(3)の表面に、広告がのせられ」ることは、本願発明1において「本体に、絵柄及び文字が表示され」ることと、本体に、情報が表示される点で共通する。
引用発明において「被い(3)で両面が被われた基板(2)が、両面を有している」ことは、「基板」が平行な二面を有する板であり、このことは、引用文献1の第1図、第2図(上記第4・1(1)オ参照。)の図示内容とも整合するから、本願発明1の「本体が、互いに略平行である第1の面と第2の面を備え」ることに相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1、2で相違する。
・一致点
「掃き掃除材を本体に取り付けたブラシであって、
本体に、情報が表示され、
本体が、互いに略平行である第1の面と第2の面を備えているブラシ。」
・相違点1
掃き掃除材に関し、本願発明1は、「ブラシ毛を」「植毛した」ものであるのに対し、引用発明は、「板ばけ(1)を」「着けた」ものである点。
・相違点2
本体に表示される情報に関し、本願発明1は、「絵柄及び文字が表示され」、「前記絵柄が、第1の面に表示され、前記文字が、第1の面、及び/又は、第2の面に表示される」ものであって、「第1の面及び第2の面の少なくともいずれかに広告が表示されたブラシを除く」のに対し、引用発明は、「被い(3)の表面に、広告がのせられ」るものである点。
上記相違点について検討する。
引用文献1には、板ばけ(1)について、「(ト) 板ばけ(1)はプラスチック糸、や通常のハケ材はそのまま使用出来る。」と記載(上記第4・1(1)ウに示す明細書の2ページ13行から同ページ14行)され、また「(チ) 不織布の様な布状のものを板ばけ(1)に使う時は歯状切れ目(4)を設けたり、たて切れ目(5)をつけても良い。」とも記載(上記第4・1(1)ウに示す明細書の2ページ15行から同ページ17行)されており、引用文献1には、掃き掃除材が板ばけ(1)、つまり板状のものに限定されるものではなく、プラスチック糸や通常のハケ材等を含む様々なものが使用出来ることが記載されている。そして、本願の出願前において、ブラシ毛を設けたことは、周知技術(周知例として引用文献2(特に、上記第4・2(1)に示す段落[0018]、及び第4・2(2)に示すFIG.1,2参照。)、引用文献3(特に、上記第4・3(1)に示す【004】、第4・3(2)に示す図1参照。)がある。)であって、引用発明の板ばけ(1)を、ブラシ毛とし、ブラシ毛を設けたものは、「植毛した」ものといえる。したがって、引用発明に周知技術を適用し、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
引用発明において、「被い(3)の表面に、広告がのせられ」ているのは、引用発明の板状卓上ハケの被い(3)が「二つに折り曲げた紙」(上記第4・1(1)ウ)等の印刷ができる材料であって、かつ板状卓上ハケが、広告用として配布できる程度の価格であること(上記第4・1(1)イ参照。)によると解される。そうすると、引用発明は、被い(3)の表面に何らかの印刷ができるものであることから、「高価であ」るという従来のハケの欠点を除かれたことともあいまって、この印刷するものの内容として広告とし、「広告用として配布」できるようにしたものと解される。すなわち、引用文献1には、「紙等で簡単に自動作成出来、広告媒体
にも
使用できる板状卓上ハケ」(上記第4・1(1)イ参照。)と記載されているから、引用発明は、広告媒体に使用することが必須ではなく、「紙等で簡単に自動作成」できる板状卓上ハケを得ることを課題としていると把握できる。そして、引用文献1の「被い(3)の表面に広告をのせたり、カレンダー等を印刷しても良い。」との記載(上記第4・1(1)エ参照。)も踏まえると、引用発明において、被い(3)の表面に、広告をのせることが必須であるとは解されない。
一方、本願の出願前において、使用者が把持して使用する物品に、広告とは異なる絵柄及び文字を表示することは、周知技術(周知例として引用文献3(特に、上記第4・3(1)に示す【003】、【004】、(2)に示す【図1】の記載参照。)のほか、上記拒絶理由(上記第3参照)で請求項6等に対する理由で引用した実願昭51-141844号(実開昭53-60997号)のマイクロフィルム(特に第1図、第2図の記載参照。)がある。)であり、上記のように引用発明においても「被い(3)の表面に、広告がのせられ」、「広告用として配布」するものに限られず、広告とは異なるものであっても被い(3)に表示できることは、引用文献1に接した当業者にとって自明な事項である。
そして、引用発明の板状卓上ハケは、基板(2)の両面が被い(3)で被われたものであり、この被い(3)に広告がのせられているものであるから、広告とは異なる絵柄及び文字を被い(3)に表示する際に、基板(2)の両面を被った被い(3)の一方の面に広告ではない絵柄を表示し、さらに一方の面、及び/又は他方の面に広告ではない文字を表示するようにし、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得た事項である。
上記相違点1及び2に係る本願発明1の発明特定事項をあわせてみても、本願発明1の効果は、引用発明及び周知技術から得られるものであって、格別なものとはいえない。
審判請求人は、引用発明について「紙等で簡単に自動作成出来、広告媒体に使用する板状卓上ハケに関するもの」のため、「「ブラシ(第1の面及び第2の面の少なくともいずれかに広告が表示されたブラシを除く)」を採用すると、引用文献1に係る考案が解決しようとする課題を達成することができなくな」るから、「「ブラシ(第1の面及び第2の面の少なくともいずれかに広告が表示されたブラシを除く)」を採用することは、阻害要因を有」する旨主張している(令和7年7月24日提出の意見書の【意見の内容】、「(C)拒絶理由について」参照。)。
しかしながら、上記2に示すとおり、引用文献1に記載された板状卓上ハケは、「被い(3)の表面に、広告がのせられ」たものに限られない。したがって、「「ブラシ(第1の面及び第2の面の少なくともいずれかに広告が表示されたブラシを除く)」を採用することは、阻害要因を有」するという請求人の主張は、採用することができない。
以上のことから、本願発明1は、引用発明、引用文献1に記載された事項、周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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