結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024006491 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件出願は、令和2年3月31日に出願したものであって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 6年 1月10日付け:拒絶査定
令和 6年 4月16日提出:審判請求書
令和 6年12月 3日付け:拒絶理由通知
令和 7年 2月 6日提出:意見書、手続補正書
令和 7年 2月28日付け:拒絶理由通知(最後)
令和 7年 5月 9日提出:意見書、手続補正書
[補正の却下の決定の結論]
令和 7年 5月 9日に提出された手続補正書による補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正前の請求項1に係る発明
令和 7年 5月 9日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「 通信回線に関する共通のハードウェアによって、複数の通信規格による通信が可能に構成されると共に、前記複数の通信規格のそれぞれに対応し、対象の通信規格に沿って所定の機器との間の通信に関する処理を行う複数の通信制御部を備え、
プログラマブルロジック回路の設定変更によって前記複数の通信制御部を切り替えながら、前記複数の通信規格の中から前記通信回線で接続される前記所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させる、
産業機械用制御装置。」
(2)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。
「 通信回線に関する共通のハードウェアによって、複数の通信規格による通信が可能に構成されると共に、前記複数の通信規格のそれぞれに対応し、対象の通信規格に沿って所定の機器との間の通信に関する処理を行う複数の通信制御部を備え、
前記複数の通信制御部は、それぞれ、プログラマブルロジック回路に実装され、
前記
プログラマブルロジック回路の設定変更によって
、切替部が
前記複数の通信制御部を切り替えながら、前記複数の通信規格の中から前記通信回線で接続される前記所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させる、
産業機械用制御装置。」
(3)補正事項
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の通信制御部」について、「
それぞれ、プログラマブルロジック回路に実装され
」るものとする限定、及び、「前記複数の通信規格の中から前記通信回線で接続される前記所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させる」手順において、「それぞれ、プログラマブルロジック回路に実装され、」との上記限定が行われたことに連動して、令和7年2月6日に提出された手続補正書によって「前記複数の通信制御部を切り替えながら、」との事項を限定するために追加された、「プログラマブルロジック回路の設定変更によって」との事項に対して「前記」との用語を追加するとともに、上記「プログラマブルロジック回路の設定変更によって」との事項と
、「
前記複数の通信制御部を切り替えながら」との事項の間に、「、切替部が」との事項を追加し、プログラマブルロジック回路の設定変更によって複数の通信制御部を切り替える主体が「切替部」であることを追加する補正事項を含むものである。
本件補正は、令和 7年 2月28日付け当審拒絶理由の通知(最後の拒絶理由通知)に係る指定期間内になされたものであり、特許法17条の2第1項3号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正に該当し、同条3項から6項が規定する要件に適合することを要する。
そこで、事案に鑑み、本件補正が特許法17条の2第3項の規定(新規事項追加禁止要件)に適合するかについて、以下、検討する。
(1)本件補正に関連する当初明細書等の記載事項
本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)のうち、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)に関連する記載は、以下のとおりである(下線は当合議体で付した。)。
ア 明細書
(ア)「【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
複数の通信規格による通信が可能に構成され、前記複数の通信規格の中から通信回線で接続される所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させる、
産業機械用制御装置が提供される。
【0007】
また、本開示の他の実施形態では、
・・・略・・・
前記コントローラ及び前記所定の機器のうちの少なくとも一方の機器は、複数の通信規格による通信が可能に構成され、前記複数の通信規格の中から他方の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、他方の機器との間の通信を開始させる、
射出成形機が提供される。」
(イ)「【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形機を含む射出成形機管理システムの構成のを示す図である。
・・・略・・・
【図3】射出成形機の制御系の構成の一例を示す図である。
【図4】コントローラ及びフィールド機器の相互間の通信規格の適合に関する機能構成の第1例を示す機能ブロック図である。」
(ウ)「【0011】
[射出成形機管理システムの構成]
まず、図1、図2を参照して、本実施形態に係る射出成形機管理システムSYSの構成について説明する。
【0012】
図1、図2は、本実施形態に係る管理システムSYSの一例を示す図である。
・・・略・・・
【0013】
射出成形機管理システムSYSは、複数(本例では、3台)の射出成形機1
と、管理装置2と
を含む
。
・・・略・・・
【0019】
射出成形機1は
、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、
制御装置700とを含む
。
・・・略・・・
【0116】
[制御系の構成の詳細]
次に、図3を参照して、射出成形機1の制御系の構成の詳細について説明する。
【0117】
図3は、射出成形機1の制御系の構成の一例を示す図である。
【0118】
図3に示すように、
射出成形機1の制御系は、制御装置700
と、ドライバ710と、エンコーダ720と
を含む
。
【0119】
制御装置700は
、コントローラ700A,
700Bを含む
。
【0120】
コントローラ700Aは、コントローラ700Bを制御し、射出成形機1の全体を統括的に制御する。コントローラ700Aは、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)等である。
【0121】
コントローラ700B(産業機械用制御装置の一例)は
、射出成形機1の動作を実現する各種の電動アクチュエータ(以下、単に「電動アクチュエータ」)の動作制御を行う。コントローラ700Bは、例えば、モーションコントローラである。制御対象の電動アクチュエータには、例えば、上述の型締モータ160、型厚調整モータ183、エジェクタモータ210、計量モータ340、射出モータ350、モータ420等が含まれる。コントローラ700Bは、制御対象の電動アクチュエータに関する制御データを生成し、ドライバ710に対して制御データを出力(送信)する。また、コントローラ700Bは、エンコーダ720に関する制御データ(例えば、検出データの取得周期等の設定条件に関するデータ)を生成し、エンコーダ720に送信してもよい。
【0122】
本例では、コントローラ700Bとドライバ710との間、及びドライバ710とエンコーダ720との間が物理的な通信ケーブルで接続される。そして、コントローラ700Bと、ドライバ710及びエンコーダ720のそれぞれとの間に通信可能な論理ネットワーク(フィールドネットワーク)が構築されている。」
(エ)「【0126】
[コントローラ及びフィールド機器の相互間の通信規格の適合方法(第1例)]
次に、図3に加えて、
図4
、図5
を参照して、コントローラ700Bとフィールド機器との間の相互間の通信規格を適合させる方法の第1例について説明する
。
【0127】
本例では、コントローラ700B及びドライバ710の相互間の通信規格を適合させる方法について説明する。
【0128】
<通信規格の適合に関する構成>
図4は、コントローラ700B及びフィールド機器(本例では、ドライバ710)の相互間の通信規格の適合に関する機能構成の第1例を示す機能ブロック図である
。
【0129】
コントローラ700Bは、通信規格判断部7001と、切替部7002と、通信制御部7003とを含む
。
【0130】
通信規格判断部7001は、複数の通信規格の中からドライバ710との間の通信に適合する一の通信規格を判断する
。
対象の複数の通信規格は、コントローラ700Aとドライバ710との間の通信回線に関する共通のハードウェア(例えば、共通の通信ケーブルや共通のコネクタの構造等)で利用可能である
。例えば、対象の複数の通信規格は、複数の互いに異なる種類の産業用イーサネット(登録商標)に関する通信規格である。産業用イーサネットの通信規格には、例えば、メカトロリンク(MECHATROLINK)、CCリンク(CC-Link)、イーサキャット(EtherCAT)、プロフィネット(PROFINET)等が含まれる。
【0131】
切替部7002は、通信制御部7003によりドライバ710との間で利用可能な複数の通信規格の中で、利用する一の通信規格を選択的に切り替える
。具体的には、
切替部7002は、後述の通信制御部7003A~7003Cの中からドライバ710との間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替え
てよい。図4では、切替部7002は、通信制御部7003A~7003Cのうちの通信制御部7003Bを選択している状態にある。
【0132】
通信制御部7003は、ドライバ710との間の通信に関する制御を行う。
通信制御部7003は、複数の通信規格のそれぞれに対応する複数(本例では、3つ)の通信制御部7003A~7003Cを含む
。
通信制御部7003A~7003Cの機能は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)等に実装される複数の通信用のIP(Intellectual Property)コアにより実現されてよい
。また、通信制御部7003A~7003Cの機能は、例えば、コントローラ700Bの補助記憶装置703にインストールされる通信用のソフトウェアをメモリ装置702にロードしCPU701上で実行することにより実現されてもよい。以下、後述の通信制御部7006A~7006Cの機能や通信制御部7103A~7103Cの機能についても同様であってよい。
【0133】
通信制御部7003Aは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第1の通信規格(以下、便宜的に「A通信規格」)に従いドライバ710との間の通信に関する制御を行う
。
【0134】
通信制御部7003Bは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第2の通信規格(以下、便宜的に「B通信規格」)に従いドライバ710との間の通信に関する制御を行う
。
【0135】
通信制御部7003Cは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第3の通信規格(以下、便宜的に「C通信規格」)に従いドライバ710との間の通信に関する制御を行う
。
【0136】
尚、通信制御部7003は、2つの通信規格だけを対象とし、2つの通信規格のそれぞれに対応する2つの通信制御部を有する態様であってもよい。また、通信制御部7003は、4以上の通信規格のそれぞれに対応する通信制御部を有していてもよい。これらの場合、
切替部7002は、2つ或いは4以上の通信規格のそれぞれに対応する通信制御部の中からドライバ710との間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替える
。」
(オ)「【0139】
<通信規格の適合に関する制御処理>
図5は、コントローラ700Bによるフィールド機器(ドライバ710)との間の通信規格の適合に関する制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。図5では、通信制御部7003A~7003Cは、便宜的に、A通信規格用通信制御部、B通信規格用通信制御部、及びC通信規格用通信制御部と呼称されている。
【0140】
本フローチャートは、例えば、操作装置750を通じて、コントローラ700Bとドライバ710との間の通信規格を自動で適合させるための所定の操作入力がされた場合に実行されてよい。例えば、操作装置750に対する所定の操作入力に応じて、表示装置760にコントローラ700Bとドライバ710との間の通信規格を自動で適合させるため操作画面が表示され、画面上の所定のアイコンが操作されることにより本フローチャートが実行される。
【0141】
また、本フローチャートは、例えば、所定の条件に合わせて、自動で行われてもよい。例えば、射出成形機1の工場出荷前の最初の起動時に、本フローチャートが自動で行われてよい。また、例えば、コントローラ700Bは、ドライバ710が交換されたことを自動で判断可能に構成され、ドライバ710が交換されたと判断した場合に、本フローチャートが自動で行われてもよい。この場合、コントローラ700Bは、例えば、射出成形機1の起動時に、毎回、ドライバ710に返信を要求する信号を送信し返信を確認する前提の下で、返信が確認できない場合に、ドライバ710が交換されたと判断してよい。
【0142】
図5に示すように、ステップS102にて、切替部7002は、ドライバ710との間の通信に通信制御部7003Aを利用する状態に切り替える。
【0143】
コントローラ700Bは、ステップS102の処理が完了すると、ステップS104に進む。
【0144】
ステップS104にて、コントローラ700Bは、通信制御部7003(通信制御部7003A)を通じて、返信を要求する信号(パケット)をドライバ710に送信する。具体的には、通信規格判断部7001は、通信制御部7003(通信制御部7003A)にドライバ710に向けた返信を要求する内容のデータを出力する。そして、通信制御部7003Aは、通信規格判断部7001から入力されるデータを含むA通信規格に沿ったパケットを生成し、ドライバ710に送信する。
【0145】
コントローラ700Bは、ステップS104の処理が完了すると、ステップS106に進む。
【0146】
ステップS106にて、
通信規格判断部7001は、通信制御部7003(通信制御部7003A)によりドライバ710から返信のパケットが受信されたか否かを判定する。通信規格判断部7001は、ドライバ710から返信のパケットが受信されている場合、ステップS108に進み、ドライバ710から返信のパケットが受信されていない場合、ステップS110に進む
。
【0147】
ステップS108にて、通信規格判断部7001は、A通信規格がドライバ710との間の通信に適合すると判断し、通信制御部7003Aを利用する状態に固定する。そして、通信規格判断部7001は、A通信規格に沿ったドライバ710との送受信処理を開始させる。
【0148】
コントローラ700Bは、ステップS108の処理が完了すると、今回のフローチャー
トの処理を終了する。
【0149】
一方、ステップS110にて、切替部7002は、ドライバ710との間の通信に通信制御部7003Bを利用する状態に切り替える。」
(カ)「【0170】
[コントローラ及びフィールド機器の相互間の通信規格の適合方法(第2例)]
次に、図3に加えて、図6、図7を参照して、
コントローラ700Bとフィールド機器との間の相互間の通信規格を適合させる方法の第2例
について説明する。
・・・略・・・
【0172】
<通信規格の適合に関する構成>
図6は、コントローラ700B及びフィールド機器(本例では、エンコーダ720)の相互間の通信規格の適合に関する機能構成の第2例を示す機能ブロック図である。
【0173】
コントローラ700Bは、通信規格判断部7004と、切替部7005と、通信制御部7006とを含む
。
【0174】
通信規格判断部7004は、複数の通信規格の中からエンコーダ720との間の通信に適合する一の通信規格を判断する
。
対象の複数の通信規格は、コントローラ700Aとエンコーダ720との間の通信回線に関する共通のハードウェア(例えば、共通の通信ケーブルや共通のコネクタの構造等)で利用可能である
。例えば、対象の複数の通信規格は、複数のエンコーダメーカごとに採用されている複数の互いに異なる種類の通信規格である。
【0175】
切替部7005は、通信制御部7006によりエンコーダ720との間で利用可能な複数の通信規格の中で、利用する一の通信規格を選択的に切り替える。具体的には、切替部7005は、後述の通信制御部7006A~7006Cの中からエンコーダ720との間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替えてよい
。図6では、切替部7005は、通信制御部7006A~7006Cのうちの通信制御部7006Bを選択している状態にある。
【0176】
通信制御部7006は、エンコーダ720との間の通信に関する制御を行う。通信制御部7006は、複数の通信規格のそれぞれに対応する複数(本例では、3つ)の通信制御部7006A~7006Cを含む
。
【0177】
通信制御部7006Aは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第1の通信規格(以下、便宜的に「A社の通信規格」)に従いエンコーダ720との間の通信に関する制御を行う
。
【0178】
通信制御部7006Bは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第2の通信規格(以下、便宜的に「B社の通信規格」)に従いエンコーダ720との間の通信に関する制御を行う
。
【0179】
通信制御部7006Cは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第3の通信規格(以下、便宜的に「C社の通信規格」)に従いエンコーダ720との間の通信に関する制御を行う
。
【0180】
尚、通信制御部7006は、2つの通信規格だけを対象とし、2つの通信規格のそれぞれに対応する2つの通信制御部を有する態様であってもよい。また、通信制御部7006は、4以上の通信規格のそれぞれに対応する通信制御部を有していてもよい。この場合、
切替部7005は、2つ或いは4以上の通信規格のそれぞれに対応する通信制御部の中からエンコーダ720との間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替える
。
・・・略・・・
【0183】
<通信規格の適合に関する制御処理>
図7は、コントローラ700Bによるフィールド機器(エンコーダ720)との間の通信規格の適合に関する制御処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。図7では、通信制御部7006A~7006Cは、便宜的に、A社用通信制御部、B社用通信制御部、及びC社用通信制御部と呼称されている。
【0184】
本フローチャートは、例えば、操作装置750を通じて、コントローラ700Bとエンコーダ720との間の通信規格を自動で適合させるための所定の操作入力がされた場合に実行されてよい。例えば、操作装置750に対する所定の操作入力に応じて、表示装置760にコントローラ700Bとエンコーダ720との間の通信規格を自動で適合させるため操作画面が表示され、画面上の所定のアイコンが操作されることにより本フローチャートが実行される。
・・・略・・・
【0190】
ステップS206にて、
通信規格判断部7004は、通信制御部7006(通信制御部7006A)によりエンコーダ720から返信のパケットが受信されたか否かを判定する。通信規格判断部7004は、エンコーダ720から返信のパケットが受信されている場合、ステップS208に進み、エンコーダ720から返信のパケットが受信されていない場合、ステップS210に進む
。
【0191】
ステップS208にて、通信規格判断部7004は、A社の通信規格がエンコーダ720との間の通信に適合すると判断し、通信制御部7006Aを利用する状態に固定する。そして、通信規格判断部7004は、A社の通信規格に沿ったエンコーダ720との送受信処理を開始させる。
【0192】
コントローラ700Bは、ステップS208の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0193】
一方、
ステップS210にて、切替部7005は、エンコーダ720との間の通信に通信制御部7006Bを利用する状態に切り替える
。」
(キ)「【0210】
[コントローラ及びフィールド機器の相互間の通信規格の適合方法(第3例)]
次に、図3に加えて、図8、図9を参照して、
コントローラ700Bとフィールド機器との間の相互間の通信規格を適合させる方法の第3例
について説明する。
・・・略・・・
【0212】
<通信規格の適合に関する構成>
図8は、コントローラ700B及びフィールド機器(本例では、ドライバ710)の相互間の通信規格の適合に関する機能構成の第3例を示す機能ブロック図である。
【0213】
ドライバ710は、通信規格判断部7101と、切替部7102と、通信制御部7103とを含む
。
【0214】
通信規格判断部7101は、複数の通信規格の中からコントローラ700Bとの間の通信に適合する一の通信規格を判断する
。
対象の複数の通信規格は、コントローラ700Aとコントローラ700Bとの間の通信回線に関する共通のハードウェア(例えば、共通の通信ケーブルや共通のコネクタの構造等)で利用可能である
。例えば、対象の複数の通信規格は、上述の第1例の場合と同様、複数の互いに異なる種類の産業用イーサネットに関する通信規格である。
【0215】
切替部7102は、通信制御部7103によりコントローラ700Bとの間で利用可能な複数の通信規格の中で、利用する一の通信規格を選択的に切り替える。具体的には、後述の通信制御部7103A~7103Cの中からコントローラ700Bとの間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替えてよい
。図8では、切替部7102は、通信制御部7103A~7103Cのうちの通信制御部7103Bを選択している状態にある。【0216】
通信制御部7103は、コントローラ700Bとの間の通信に関する制御を行う。通信制御部7103は、複数の通信規格のそれぞれに対応する複数(本例では、3つ)の通信制御部7103A~7103Cを含む
。
【0217】
通信制御部7103Aは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第1の通信規格(A通信規格)に従いコントローラ700Bとの間の通信に関する制御を行う
。
【0218】
通信制御部7103Bは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第2の通信規格(B通信規格)に従いコントローラ700Bとの間の通信に関する制御を行う
。
【0219】
通信制御部7103Cは
、複数(3つ)の通信規格のうちの
第3の通信規格(C通信規格)に従いコントローラ700Bとの間の通信に関する制御を行う
。
【0220】
尚、通信制御部7103は、2つの通信規格だけを対象とし、2つの通信規格のそれぞれに対応する2つの通信制御部を有する態様であってもよい。また、通信制御部7103は、4以上の通信規格のそれぞれに対応する通信制御部を有していてもよい。この場合、
切替部7102は、2つ或いは4以上の通信規格のそれぞれに対応する通信制御部の中からコントローラ700Bとの間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替える
。
・・・略・・・
【0223】
<通信規格の適合に関する制御処理>
図9は、ドライバ710によるコントローラ700Bとの間の通信規格の適合に関する制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。図9では、通信制御部7103A~7103Cは、便宜的に、A通信規格用通信制御部、B通信規格用通信制御部、及びC通信規格用通信制御部と呼称されている。
【0224】
上述の第1例の場合と同様、例えば、操作装置750を通じて、ドライバ710とコントローラ700Bとの間の通信規格を自動で適合させるための所定の操作入力がされた場合、コントローラ700Bは、特定の通信規格に沿った返信を要求する信号(パケット)をドライバ710に送信する。コントローラ700Bは、所定期間(例えば、数分間)が経過するか、或いは、ドライバ710からの返信が受信されるかのどちらかの条件が成立するまで、返信を要求する内容の信号(パケット)をドライバ710に繰り返し送信する。そして、本フローチャートは、コントローラ700Bから上記の返信を要求する信号(パケット)が受信されると、開始される。
・・・略・・・
【0230】
ステップS306にて、
通信規格判断部7101は、通信制御部7103(通信制御部7103A)によりコントローラ700Bから受信されたパケットがA通信規格用であるか否かを判定する。通信規格判断部7101は、例えば、通信制御部7103(通信制御部7103A)により受信されたパケットから正しくデータが取り出されたか否かによって、当該判定を行ってよい。通信規格判断部7101は、通信制御部7103(通信制御部7103A)によりコントローラ700Bから受信されたパケットがA通信規格用である場合、ステップS308に進み、A通信規格用でない場合、ステップS310に進む
。
【0231】
ステップS308にて、通信規格判断部7101は、A通信規格がコントローラ700Bとの間の通信に適合すると判断し、通信制御部7103Aを利用する状態に固定する。そして、通信規格判断部7101は、通信制御部7103Aを通じて、コントローラ700BにA通信規格に沿った返信の信号(パケット)を送信し、A通信規格に沿ったコントローラ700Bとの送受信処理を開始させる。
【0232】
ドライバ710は、ステップS308の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0233】
一方、
ステップS310にて、切替部7102は、コントローラ700Bとの間の通信に通信制御部7103Bを利用する状態に切り替える
。」
イ 特許請求の範囲
(ア)「【請求項1】
複数の通信規格による通信が可能に構成され、前記複数の通信規格の中から通信回線で接続される所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させる
、
産業機械用制御装置。
【請求項2】
前記複数の通信規格のそれぞれに対応し、対象の通信規格に沿って前記所定の機器との間の通信に関する処理を行う複数の通信制御部を備え
、
前記
複数の通信制御部を切り替えながら、前記所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識する
、
請求項1に記載の産業機械用制御装置。」
(イ)「【請求項5】
前記
複数の通信制御部は、それぞれ、IPコアとして実装される
、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の産業機械用制御装置。」
(ウ)「【請求項6】
前記複数の通信規格は、前記通信回線に関する共通のハードウェアで利用可能である
、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の産業機械用制御装置。」
ウ 図面
(ア)図1「
101
141
0001429544000001.jpg
」(便宜上、時計回りに90度回転させた。以下同様とする。)
(イ)図3「
37
140
0001429544000002.jpg
」
(ウ)図4「
108
130
0001429544000003.jpg
」
(エ)図5「
94
137
0001429544000004.jpg
」
(オ)図6「
106
130
0001429544000005.jpg
」
(カ)図8「
108
131
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」
(2)当初明細書等に記載された技術的事項
上記(1)から、当初明細書等には、以下の技術的事項が記載されている(根拠となる記載を括弧書きで示す。)。
ア 産業機械用制御装置は、複数の通信規格のそれぞれに対応し、対象の通信規格に沿って所定の機器との間の通信に関する処理を行う複数の通信制御部を備え、前記複数の通信制御部を切り替えながら、前記所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させること。(上記(1)ア(ウ)、(エ)(特に【0128】~【0129】、【0131】~【0136】)、イ(ア)、ウ)
イ 前記産業機械用制御装置は、通信回線に関する共通のハードウェアによって、複数の通信規格による通信が可能に構成されていること。(上記(1)ア(エ)(特に【0130】)、イ(ウ)、ウ)
ウ 切替部7002は、通信制御部7003によりドライバ710との間で利用可能な複数の通信規格の中で、利用する一の通信規格を選択的に切り替え、具体的には、通信制御部7003A~7003Cの中からドライバ710との間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替えてよいこと、及び、切替部は、複数の通信制御部の入力側及び出力側を切り替えること。(上記(1)ア(エ)(特に【0129】、【0131】、【0136】)、ウ(特に【図4】))
エ 通信制御部7003A~7003Cの機能は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)等に実装される複数の通信用のIP(Intellectual Property)コアにより実現されてよいこと。(上記(1)ア(エ)(特に【0132】))
オ 「コントローラ700Bは、通信規格判断部7001と、切替部7002と、通信制御部7003とを含む」こと、「通信規格判断部7001は、...適合する一の通信規格を判断する」こと、「切替部7002は、...通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替え」ること、「通信規格判断部7001は、...返信のパケットが受信されたか否かを判定」し、「返信のパケットが受信されていない場合、ステップS110に進」み、「切替部7002は、ドライバ710との間の通信に通信制御部7003Bを利用する状態に切り替える」こと(上記(1)ア (ウ)~(オ)[コントローラ700Bとフィールド機器との間の相互間の通信規格を適合させる方法の第1例](特に【0146】、【0147】、【0149】)、ウ(特に【図5】))。
カ 「コントローラ700Bは、通信規格判断部7004と、切替部7005と、通信制御部7006とを含む」こと、「通信規格判断部7004は、...通信に適合する一の通信規格を判断する」こと、「切替部7005は、...通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替え」ること、「通信規格判断部7004は、...返信のパケットが受信されたか否かを判定」し、「返信のパケットが受信されていない場合、ステップS210に進」み、「切替部7005は、エンコーダ720との間の通信に通信制御部7006Bを利用する状態に切り替える」こと(上記(1)ア (カ)[コントローラ及びフィールド機器の相互間の通信規格の適合方法(第2例)](特に【0172】、【0190】))。
キ 「ドライバ710は、通信規格判断部7101と、切替部7102と、通信制御部7103とを含む」こと、「通信規格判断部7101は、...通信に適合する一の通信規格を判断する」こと、「切替部7102は、...通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替える」こと、「通信規格判断部7101は、...受信されたパケットがA通信規格用であるか否かを判定」し、「受信されたパケットが...A通信規格用でない場合、ステップS310に進」み、「切替部7102は、コントローラ700Bとの間の通信に通信制御部7103Bを利用する状態に切り替える」こと(上記(1)ア (キ)[コントローラ及びフィールド機器の相互間の通信規格の適合方法(第3例)](特に【0213】、【0230】))。
(1)本件補正事項
本件補正における、「プログラマブルロジック回路の設定変更によって、切替部が前記複数の通信制御部を切り替えながら、」との事項(以下「本件補正事項」という。)における補正の適否について検討する。
本件補正事項は、上記「1(3)」で示したとおり、上記「プログラマブルロジック回路の設定変更によって」との事項と、「前記複数の通信制御部を切り替えながら」との事項の間に、「、切替部が」との事項を追加するものであるところ、令和7年2月28日付拒絶理由通知書で通知した「プログラマブルロジック回路の設定変更によって」「複数の通信制御部を切り替え」ることと、「切替部が」「複数の通信制御部を切り替え」ることとを含むものであると認められる。
(2)当初明細書等に記載されていると認められる事項
これに対して、当初明細書等には、「2(2)ウ」及び「2(2)エ」に示した事項からみて、「切替部7002」が「ドライバ710との間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替え」る「通信制御部7003A~7003Cの機能」を、「複数の通信用のIP(Intellectual Property)コアにより実現」すること、すなわち、「切り替え」られる「複数の通信制御部を」「プログラマブルロジック回路」によるものとすることは記載されていると認められる。
このことは、本件補正において、「複数の通信制御部」について、「
それぞれ、
プログラマブルロジック回路に実装され」るものとする限定が加えられていることとも整合する。
(3)判断
一方、第1例として記載された【0132】において、「通信制御部7003A~7003Cの機能」を「
複数の
通信用のIP(Intellectual Property)コアにより実現」することまでしか記載されていない以上、(2)で示したとおり、「通信制御部7003A~7003C」のそれぞれが、「IPコア」により置き換えられるに留まり、「切替部7002」が「通信規格判断部7001」の「パケットが受信されたか否か」の「判定」に基づいて、「複数の通信用のIP(Intellectual Property)コアを「選択的に切り替える」ものとなる(上記「(2)オ」等)と解され、「切替部が」「複数の通信制御部を切り替え」ることに変わりはないから、本件補正事項のうちの「プログラマブルロジック回路の設定変更によって」「複数の通信制御部を切り替え」ることは、「当初明細書等に記載されている事項であるとは認められない。第2例、第3例について検討しても、同様である。
したがって、本件補正により、本件補正事項のうちの上記「、切替部が」との事項が付加されてはいるものの、当審において上記拒絶理由通知書において「理由1」として通知した事項は依然として解消されておらず、本件補正後の請求項1における「プログラマブルロジック回路の設定変更によって」との事項は新規事項を追加するものである。
(4)予備的検討
ここで、令和7年5月9日付意見書の内容を踏まえた検討を行うと、本件補正が適正に行われたものであることの根拠として、【0132】の記載に対して、「FPGA(「プログラマブルロジック回路」)は、回路構成が固定されておらず、その回路構成の設定変更("書き換え"とも称する)によって、所定の機能を実現可能であることが出願時の技術常識から明らかであ」って、「切替部がFPGAに実装されているか否かによらず、FPGAの設定変更が必要であることが出願時の当業者にとっての自明の事項であり、本願の明細書に記載されているに等しい事項である」ことを主張する。
しかるに、【0132】において、「通信制御部7003A~7003Cの機能」をFPGAに実装するにあたっては、「
複数の
通信用のIP(Intellectual Property)コアにより実現され」ると記載されていることからみると、「通信制御部7003A~7003C」のそれぞれ、すなわち「複数の」「通信制御部」が、「複数の通信用のIP(Intellectual Property)コア」により置き換えられた態様を限度として記載されていると認められるから、当該IPコアからなる「複数の」「通信制御部」に対する「複数の通信制御部を切り替え」ることは、「切替部がFPGAに実装されているか否かによらず」、「切替部」が「通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替え」る(【0131】)のであって、上記の「切り替え」において「IPコア自体を設定変更(書き換え)」されるものまでが自明であるとは認められない。
なお、「FPGA(「プログラマブルロジック回路」)は、回路構成が固定されておらず、その回路構成の設定変更("書き換え"とも称する)によって、所定の機能を実現可能であることが出願時の技術常識から明らかであ」ったとしても、「通信制御部7003A~7003Cの機能」をFPGAに実装す」る際の「設定変更」あるいは「書き換え」によって、「所定の機能」が「実現」されることを裏付けるにすぎず、「通信制御部7003A~7003Cの選択的な切り替えのためには、FPGAの
設定変更が
必要であることが出願時の当業者にとっての自明の事項」であるとの主張は、「通信制御部7003A~7003Cの機能」のみならず「切り替え」の機能が「FPGAに実装」されることが当初明細書等に記載されているとの前提に基づくものであって、当該前提自体の適否に係る主張として失当である。
さらに、請求人は上記意見書において、加えて次の点を主張する。
「 より具体的に説明しますと、本願の明細書の段落0131,0132の記載のように、FPGAに複数のIPコアを選択的に("並列的"にとも称する)利用可能な態様で実装するためには、2つの方法しかないことは当業者にとって自明な事項です。一方の方法は、複数のIPコアをFPGAに予め設定(書き込み)し、複数のIPコアのうちの何れか1つのみをFPGAの入出力部と接続するように設定変更(書き換え)する方法であり、他方の方法は、複数のIPコアのうちの何れか1つのIPコアのみをFPGAに設定(書き込み)し、IPコア自体を設定変更(書き換え)する方法です。いずれの方法にしても、本願の明細書の段落0131の切替部7002がFPGAに実装されているか否かによらず、切替部7002がFPGAの設定変更(書き換え)を行う必要があることが明らかであり、当業者は、本願の明細書の段落0131,0132の記載からFPGAの設定変更(書き換え)が必須であることを記載されているに等しい事項として認識することは明らかです。」
しかしながら、上記前者(一方の方法)に係る主張についてみると、「複数のIPコアをFPGAに予め設定(書き込み)」することについては、上述のとおり当初明細書等に記載されているといえるものの、「複数のIPコアのうちの何れか1つのみをFPGAの入出力部と接続するように設定変更(書き換え)する」との事項については、切替部7002が「通信制御部7003A~7003Cの中からドライバ710との間の通信に利用する一の通信制御部を選択的に切り替え」るものであって、切替部は通信制御部7003A~7003Cを「選択」し接続に係る関係を変更するものとして記載されるにすぎないから、FPGAを設定変更することが自明かつそのようになし得るものであったとしても、本願明細書等に開示されるところの「切替部」の機能において、FPGAの書き換えに関与することまでが自明であるとは認められない。
また、上記主張において、「設定変更(書き換え)する」との処理をなす主体について示されていないが、FPGAの設定変更(書き換え)を実行するにあたっては、通常外部に書き換えられる機器を接続してなすことが技術常識であることからみると、切替部7002がFPGAの設定変更(書き換え)を行うものではなくなるから、そのように解したとすれば、なおさら当初明細書等に記載されていないものであるといえる。
また、後者の方法(他方の方法)を取り得る余地があったとしても、当初明細書等には、「利用可能な複数の通信規格」に対応する「通信制御部7003」としての「通信制御部7003A~7003C」が用意されている中において、「利用する一の通信規格を選択的に切り替える」ものとして記載されているから、「IPコア自体を設定変更(書き換え)」されるものが「通信制御部7003A~7003C」のいずれか一つであれば、「設定変更(書き換え)」するには及ばないし、「通信制御部7003A~7003C」以外に適用される「通信規格」に対応する「通信制御部」を新たに設定することになるから、いずれにせよ、記載されているに等しい事項であるとは認められない。第2例、第3例について検討しても、同様である。
したがって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
本件補正は、前記第2に記載したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和7年2月6日提出の手続補正書でした補正(以下「本件補正前補正」という。)後の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。
上記拒絶理由で通知された拒絶の理由は、本件補正前補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、というものである。
当初明細書等に記載された技術的事項は、上記第2の2(2)に記載したとおりである。
本件発明は、上記第2の3において検討したとおり、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の通信制御部」について、「
それぞれ、プログラマブルロジック回路に実装され
」るものとする限定、及び、「前記複数の通信規格の中から前記通信回線で接続される前記所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させる」手順として、「
前記
プログラマブルロジック回路の設定変更によって」「前記複数の通信制御部を切り替えながら」行う主体が「
切替部
」であることを付加する限定事項を削除したものである。
しかしながら、本件発明には、当初明細書等には記載されていない以下の事項を依然として含んでいる。
「
プログラマブルロジック回路の設定変更によって
前記複数の通信制御部を切り替えながら、前記複数の通信規格の中から前記通信回線で接続される前記所定の機器との間の通信に適合する通信規格を自動で認識し、前記所定の機器との間の通信を開始させる」点
そして、上記第2の3(3)で述べたとおり、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジック回路は、回路構成が固定されておらず、その回路構成の設定変更(書き換え)によって、所定の機能を実現可能であることが出願時の技術常識であるとしても、「プログラマブルロジック回路の設定変更によって前記複数の通信制御部を切り替え」ることは当初明細書等に記載されていないし、当業者の技術常識であるともいえない。
そうすると、本件補正前補正は、本件出願の当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
以上のとおり、本件補正前補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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