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Trademark Appeal Case

補正の独立特許要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024018323
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、2020年(令和2年)12月22日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和5年 6月 8日 :手続補正書の提出

令和6年 3月 5日付け:拒絶理由通知書

令和6年 5月23日 :意見書、手続補正書の提出

令和6年 8月13日付け:拒絶査定

令和6年11月18日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和6年11月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年11月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「【請求項1】

タッチパネルディスプレイと、

顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の店員による

前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの

選択を受け付ける受付手段と、

処理の選択が受け付けられたことに応じて、選択された処理に応じて異なる待機画面を

前記タッチパネルディスプレイに

表示させ、前記第1の処理が選択された場合の待機画面は、前記端末装置に表示された精算コードを読み取らせることを要求し、前記第2の処理が選択された場合の待機画面は、商品コードを読み取らせることを要求する表示制御手段と、

選択された前記第1または第2の処理を実行し、取得した精算情報を用いて、顧客の操作に応じて、代金の精算を行う精算手段と、

を備える精算装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和6年5月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】

顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の店員による選択を受け付ける受付手段と、

処理の選択が受け付けられたことに応じて、選択された処理に応じて異なる待機画面を表示させ、前記第1の処理が選択された場合の待機画面は、前記端末装置に表示された精算コードを読み取らせることを要求し、前記第2の処理が選択された場合の待機画面は、商品コードを読み取らせることを要求する表示制御手段と、

選択された前記第1または第2の処理を実行し、取得した精算情報を用いて、顧客の操作に応じて、代金の精算を行う精算手段と、

を備える精算装置。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「受付手段」及び「表示制御手段」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

ア 引用文献1、引用発明

(ア)原査定の拒絶の理由において引用された特開2020-42464号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。

a 「【0012】

携帯端末20は、例えば顧客が個人的に所有するスマートフォンが用いられる。携帯端末20は、撮像するためのカメラ(入力部)260と、タッチパネル等の表示部(表示入力部)250等を備えている。なお、携帯端末20は、店舗貸出用の専用の携帯端末でも良い。

携帯端末(スマートフォン)20は、専用のアプリを導入することによって、店舗において買い物をする際に購入する商品の登録処理を実行する登録装置の機能を有する。

【0013】

携帯端末20は、上位装置10に記憶された商品マスタ110、店舗マスタ120、買い物ファイル140等との間で適宜情報のやりとりを行うことができる。また、POS端末70等の精算装置に対して、登録情報を出力する。」

b 「【0016】

POS端末70は、顧客が購入する商品の登録処理や精算処理を行う装置であり

、顧客が購入する商品の情報等を読み取るためのバーコードリーダー、プリセットキー、CCDカメラ等の入力部760と、読み取った商品の情報等を表示する

タッチパネル等の表示部750

、レシート等を印刷する印刷部770

を有する

そして、POS端末70は、携帯端末20から買い物識別情報を入力した場合など、必要に応じて上位装置10の買い物ファイル等を参照することができる。

【0017】

POS端末70の一例としては、精算専用のPOS端末があげられる

。本実施形態においては、

顧客は、店舗において自己の所有するスマートフォン(携帯端末)20によって商品を登録できる

。そして、

顧客は、精算専用のPOS端末によって精算処理を行う

ことによって、店員が介入することなく商品の取引を行うことができる。

【0018】

なお、

POS端末70は、精算専用のPOS端末に限られるものではなく

店員が顧客の購入する商品の登録処理を行い、顧客が自ら精算処理を行う方式(セミセルフ式)のPOS

であってもよい。セミセルフ式のPOSの場合、登録処理を行う登録装置と精算装置が分離しており登録装置によって登録処理がなされた登録情報を精算装置に出力して精算装置において顧客自らが精算処理を行うPOSであってもよいし、店員に向けられた登録処理を行う画面と顧客に向けられた精算処理を行う画面及び現金処理部を有する対面式のPOSであってもよい。

また、POS端末70は、

顧客が自ら購入する商品の登録処理と精算処理を行う、すなわち店員が介在しない方式(フルセルフ式)のPOSであってもよい

【0019】

また、

POS端末70は、混雑状況や店員状況等に応じて切替えることで、上記顧客が自ら精算処理を行うセミセルフ式のPOSと、

上記対面式のセミセルフPOSと、

上記フルセルフ式のPOSのいずれかに切り替えることができる切換え型POSであってもよい

切換え式のPOS端末70の一例を図2に示す。図2に示すPOS端末70の例では、テーブル70aを備えている。

さらには、店員が顧客の購入する商品の登録処理及び精算処理を行う通常のPOSレジであってもよく、精算処理ができる装置であれば、何ら限定されない。」

c 「【図2】

62

98

0001429781000001.jpg

d 「【0122】

(登録情報の出力)

登録情報を表示した携帯端末20は、ステップS210に進んで、会員によって会計に進む指示がなされたか否かを検出し、会員によって会計に進む指示がなされた場合(S210でYes)には、会計に進む指示或いは会計に進む指示と共に登録情報を出力して(S211)、処理を完了する。

ここで、携帯端末20が出力する登録情報とは、買い物識別情報でもよい。

なお、登録情報は、商品登録のできた登録商品情報と、商品登録のできなかった保留商品情報とを含んでいてもよく、さらに、商品登録を取り消した取消商品情報を含んでもよい。

【0123】

具体的には、携帯端末20は、会員によって、表示部250の登録画面810に表示された「会計」キー813cが操作されたことを検出しており、「会計」キー813cが操作されたことが検出された場合には、図15(b)に示すように、携帯端末20は、出力画面840に、例えば、買い物識別情報に基づいて生成されたQRコード(登録商標)840aを表示(出力)する(S211)。なお、携帯端末20は、出力画面840に、買い物ファイルに記憶した登録情報に基づいて生成されたQRコード(登録商標)840aを表示(出力)してもよい。

【0124】

会員は、携帯端末20の表示部250に表示されたQRコード(登録商標)840aをPOS端末70の入力部760に読み取らせることで、POS端末70は、上位装置10に買い物識別情報に紐づけられた登録情報を取得することができる

。」

e 「【0166】

本実施形態の販売データ処理システムのPOS端末70は、制御部700、タッチパネル等の表示部750、カメラ等の入力部760、プリンタ等の印刷部770等を有している。

【0167】

前記制御部700は、POS端末70全体を総括して制御する制御手段701と、商品の登録情報を入力する入力手段702と、入力した登録情報を表示部750に表示する表示手段703と、登録情報に基づいて商品の精算を行う精算手段704と、保留商品情報を入力した場合に店員等に報知する報知手段705と、保留商品情報を修正する編集手段706と、商品情報に保留商品情報が含まれていた場合に精算手段704による精算処理を禁止する禁止手段707等を備えている。

【0168】

前記制御手段701は、POS端末70を総括して制御し、例えば入力(取得)もしくは検出した各情報を適宜メモリなどの記憶装置に記憶したり、各情報を記憶装置から読み出して表示部750に表示したり、他の装置との間で情報の交換をしたりする。

また、前記制御手段701は、種々の判断処理を実行する。

例えば、図8に示すフローのステップS702において、登録情報に保留商品情報があるか否かを判断したり、同ステップS707において、修正されていない保留商品情報が存在するか否かを判断したりする。

【0169】

前記入力手段702は、入力処理を実行する。

例えば、前記入力手段702は、携帯端末20の出力手段209が出力した登録情報を入力する。

前記表示手段703は、登録情報の表示処理を実行する。

例えば、前記表示手段703は、入力した登録情報(登録情報や保留商品)を表示部750に表示する。また、表示した登録情報(登録情報や保留商品)の表示形態を必要に応じて異ならせて表示する。

【0170】

前記精算手段704は、精算処理を実行する。

例えば、前記精算手段704は、登録情報に基づいて商品の精算処理を行う。また、精算処理に先だって顧客が精算を行う会計方法を取得する。

前記報知手段705は、報知処理を実行する。

例えば、前記報知手段705は、入力した登録情報に保留商品情報もしくは取消商品情報が含まれていた場合に、表示部750に保留商品(取消商品)が存在する旨を表示するとともに、店員をPOS端末70に呼び出す呼び出し処理を実行する。また、会員の状況等必要に応じて、店員を呼び出す呼び出し処理を実行する。」

(イ)上記(ア)から、以下の事項が言える。

引用文献1【0016】より、引用文献1には、「タッチパネル等の表示部」を有するPOS端末が記載されている。

引用文献1【0016】~【0019】には、「顧客が購入する商品の登録処理や精算処理を行う」(【0016】)装置であるPOS端末の例が記載されているところ、【0017】には「顧客」が「店舗において自己の所有するスマートフォン(携帯端末)20によって商品を登録」し、「精算専用のPOS端末によって精算処理を行う」方式の「精算専用のPOS端末」が記載されている。さらに、「POS端末70は、精算専用のPOS端末に限られるものではなく」、「店員が顧客の購入する商品の登録処理を行い、顧客が自ら精算処理を行う方式(セミセルフ式)のPOS」、「顧客が自ら購入する商品の登録処理と精算処理を行う、すなわち店員が介在しない方式(フルセルフ式)のPOS」「であってもよい」(【0018】)ことが記載されている。そして、「POS端末70は、混雑状況や店員状況等に応じて切替えることで、上記顧客が自ら精算処理を行うセミセルフ式のPOSと」、「上記フルセルフ式のいずれかに切り替えることができる切換え型POSであってもよい。」(【0019】)ことが記載されている。ここで、当該方式の切り替えにおいて「「顧客」が「店舗において自己の所有するスマートフォン(携帯端末)20によって商品を登録」し、「POS端末によって精算処理を行う」方式」のPOS端末に切り替えることは明示されていないが、引用文献1の主たる実施形態の記載である【0010】~【0040】は当該方式に係るものであることから、POS端末が前記切換え型POS(端末)の場合、「「顧客」が「店舗において自己の所有するスマートフォン(携帯端末)20によって商品を登録」し、「POS端末によって精算処理を行う」方式」を採用していること、及び、他の方式から、当該方式に切り替え可能であることは明らかである。

加えて、当該方式に関し、POS端末は精算の際に「携帯端末の表示部に表示されたQRコードをPOS端末の入力部に読み取らせることで、上位装置に買い物識別情報に紐づけられた登録情報を取得」(【0124】)することが記載されている。

以上のことを総合すると、引用文献1には、「顧客が店舗において自己の所有する携帯端末によって商品を登録し、携帯端末の表示部に表示されたQRコードをPOS端末の入力部に読み取らせることで、POS端末が上位装置に買い物識別情報に紐づけられた登録情報を取得し、精算処理を行う方式、店員が顧客の購入する商品の登録処理を行い、顧客が自ら精算処理を行う方式(セミセルフ式)、顧客が自ら購入する商品の登録処理と精算処理を行う方式(フルセルフ式)の各方式のPOSのいずれかに切り替えることができるPOS端末」が記載されていると認められる。

以上から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「タッチパネル等の表示部と、

顧客が店舗において自己の所有する携帯端末によって商品を登録し、携帯端末の表示部に表示されたQRコードをPOS端末の入力部に読み取らせることで、POS端末が上位装置に買い物識別情報に紐づけられた登録情報を取得し、精算処理を行う方式、店員が顧客の購入する商品の登録処理を行い、顧客が自ら精算処理を行う方式(セミセルフ式)、顧客が自ら購入する商品の登録処理と精算処理を行う方式(フルセルフ式)の各方式のいずれかに切り替えることができ、

顧客が購入する商品の登録処理や精算処理を行う、

POS端末。」

イ 引用文献2

(ア)同じく原査定の拒絶の理由において引用された特開2019-139395号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

a 「【0006】

上述した課題を解決するために、本発明の一態様である商品販売データ処理装置は、商品の販売に用いる商品販売データ処理装置であって、店員が商品登録を行う店員登録手段と、顧客が商品登録を行う顧客登録手段と、前記店員登録手段及び前記顧客登録手段の少なくとも一方の登録内容に基づいて、精算処理を行う精算手段と、前記店員登録手段の利用状態を切り替える切替手段と、前記店員登録手段及び顧客登録手段における登録処理、または前記精算手段における精算開始処理を実行すると、前記切替手段による切替を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とする。」

b 「【0029】

客側表示部205は、客用のタッチディスプレイであり、客に種々の情報を表示するとともに、客から種々の入力を受け付ける。

客側スキャナ部206は、客用のスキャナ部であり、例えば、商品に付されているバーコード(商品コード等)等を光学的に読み取る。

・・・(略)・・・

【0033】

店員側表示部210は、店員用のタッチディスプレイ

であり、店員に種々の情報を表示するとともに、店員から種々の入力を受け付ける。

キー操作部211は、各種のキー(ボタン)から構成され、店員から種々の入力を受け付ける。

店員側スキャナ部212は、店員用のスキャナ部であり、例えば、商品に付されているバーコード(商品コード等)や店員の名札に付された店員コード等を光学的に読み取る。

・・・(略)・・・

【0041】

(通常モード)

通常モードは

、図5(A)に示すように、

店員側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モード

である。即ち、図5(B)に示すように、通常モードの場合、店員側が登録モードになり、客側が会計モードになる。つまり、POS端末20は、登録処理~精算処理の全体を通して見た場合、登録会計モードとして動作する。

・・・(略)・・

【0048】

(フルセルフモード)

フルセルフモードは

、図6(A)に示すように、

客側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モード

である。即ち、図6(B)に示すように、フルセルフモードの場合、客側が登録モードにも会計モードにもなる。つまり、POS端末20は、登録処理~精算処理の全体を通して見た場合、登録会計モードとして動作する。

・・・(略)・・

【0055】

また、POS端末20は、

現在の動作モードに応じた情報を報知し

てもよい。例えば、客側表示部205において現在の動作モードに応じたメッセージを表示してもよい。具体的には、現在の動作モードが

フルセルフモードである場合

例えば待機中であるときに、客自身が商品を登録する旨

(「お客様にスキャンをお願いしております」等のメッセージ)を客側表示部205に

表示

(例えば、大きな文字でスクロール表示等)してもよい。」

c 「【0061】

続いて、POS端末20の動作モードの移行(切替)について説明する。POS端末20は、店員による明示的なモード移行操作(例えば、図9(A)に示すように、

店員側表示部210に表示された第1モード切替ボタンBT12または第2モード切替ボタンBT13の押下操作

、動作モードの設定画面上の入力、動作モードの設定ボタンの操作等)

に従って動作モードが移行する

。なお、モード切替に利用するボタン(キー)としては、図9(A)等に示す第1モード切替ボタンBT12または図13(B)に示す第2モード切替ボタンBT13に代えて、キー操作部211に設定されたモード切替キー(ハードキー)としてもよいし、これらの併用してもよい。図9(A)に示すように、通常モードで表示される第1モード切替ボタンBT12には「フルセルフへ切替」の文字が表示されている。以下、第1モード切替ボタンBT12の押下操作によって動作モードが移行する場合の移行例について説明する。」

d 「【0094】

(フルセルフモード中の表示)

続いて、図13~図15等を用いて、フルセルフモード中の表示について説明する。図13及び図14は、フルセルフモード中の客側表示部205及び店員側表示部210の表示例、図15は、フルセルフモード中の店員側表示部210の表示例である。図13(A)は、商品登録開始前にPOS端末20の客側表示部205に表示される登録開始画面の表示例である。図13(A)に示す画面では、画面右側に登録スタートボタンBT30が表示され、画面左下には、表示言語切替ボタンBT35~BT37が表示されている。登録スタートボタンBT30は、商品登録の開始を指示するためのボタンである。客は、商品登録を開始する前に登録スタートボタンBT30を操作する。

【0095】

図13(B)は、商品登録開始前にPOS端末20の店員側表示部210に表示される登録開始画面の表示例である。図13(B)に示す画面では、図13(A)に示す画面に加えて、第2モード切替ボタンBT13が表示されている。図13(B)に示す画面では、登録スタートボタンBT30及び表示言語切替ボタンBT35~BT37が表示されているが、これらのボタンは操作不能とされている。操作不能とは、押下してもボタンが反応しない場合、もしくは押下するとボタンは反応するが、ボタンが反応しても所定の機能が発揮されない場合をいう。例えば、店員側表示部210に表示された登録スタートボタンBT30を押下した場合には、登録スタートボタンBT30が反応しないか、反応しても商品登録が開始されない。

【0096】

第2モード切替ボタンBT13には、「対面セルフへ切替」の文字が表示されている。第2モード切替ボタンBT13は、図9(A)等に表示された第1モード切替ボタンBT12と同様に、動作モードを切り替える機能を備えている。商品登録が開始される前に店員が第2モード切替ボタンBT13を押下することにより、動作モードがフルセルフモードから通常モードに移行する。なお、モード切替が禁止され、当該ボタンの操作が有効でないときには、第2モード切替ボタンBT13は表示されない。このとき、第2モード切替ボタンBT13をグレーダウンして表示されるようにしてもよい。」

e 「【図13】

134

90

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(イ)引用文献2記載技術

引用文献2【0041】及び【0048】より、引用文献2には「店員側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである通常モード」、「客側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードであるフルセルフモード」を有するPOS端末が記載されている。

引用文献2【0055】より、引用文献2には、POS端末は「現在の動作モードに応じた情報を報知し」、「例えばフルセルフモードである場合で待機中であるときに、客自身が商品を登録する旨を表示」することが記載されている。

引用文献2【0061】より、「タッチディスプレイである店員側表示部に表示された第1モード切替ボタンBT12または第2モード切替ボタンBT13の押下操作に従って動作モードが移行する」ことが記載されている。

以上から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。

「店員側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである通常モードと、客側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードであるフルセルフモードを有し、

現在の動作モードに応じた情報を報知し、例えばフルセルフモードである場合で待機中であるときに、客自身が商品を登録する旨を表示し、

タッチディスプレイである店員側表示部に表示された第1モード切替ボタンBT12または第2モード切替ボタンBT13の押下操作に従って動作モードが移行する、

POS端末。」

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「タッチパネル等の表示部」は、本件補正発明の「タッチパネルディスプレイ」に相当する。

(イ)引用発明の「顧客が店舗において自己の所有する携帯端末によって商品を登録し、携帯端末の表示部に表示されたQRコードをPOS端末の入力部に読み取らせることで、POS端末が上位装置に買い物識別情報に紐づけられた登録情報を取得し」との事項は、本件補正発明の「顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理」に相当する。

(ウ)引用発明の「顧客が自ら購入する商品の登録処理と精算処理」において、引用発明の切換え型POS端末が、顧客の操作により商品を登録する機能を有することは明らかであるから、当該登録処理は、本件補正発明の「顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理」に相当する。

(エ)前記(イ)、(ウ)を踏まえると、引用発明の「顧客が店舗において自己の所有する携帯端末によって商品を登録し、携帯端末の表示部に表示されたQRコードをPOS端末の入力部に読み取らせることで、POS端末が上位装置に買い物識別情報に紐づけられた登録情報を取得し、精算処理を行う方式、店員が顧客の購入する商品の登録処理を行い、顧客が自ら精算処理を行う方式(セミセルフ式)、顧客が自ら購入する商品の登録処理と精算処理を行う方式(フルセルフ式)の各方式のいずれかに切り替えることができ」と、本件補正発明の「顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の店員による前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの選択を受け付ける受付手段」とでは、「顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の切り替えができる」点で一致し、本件補正発明が「店員による前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの選択を受け付ける受付手段」により切り替えができるのに対し、引用発明では、具体的な手段が特定されていない点、及び、方式の選択肢として「セミセルフ式」も選択できる点で相違する。

(オ)引用発明のPOS端末が「客が購入する商品の登録処理や精算処理を行う」ことより、POS端末が精算手段を備えることは明らかであるから、前記(イ)~(エ)を踏まえると、引用発明と本件補正発明とでは「選択された前記第1または第2の処理を実行し、取得した精算情報を用いて、顧客の操作に応じて、代金の精算を行う精算手段」を備える点で共通する。

(カ)引用発明の「POS端末」と本件補正発明の「精算装置」とでは、引用発明のPOS端末が精算処理を行うことから、「精算装置」との点で一致する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)

「タッチパネルディスプレイと、

顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の切り替えができ、

選択された前記第1または第2の処理を実行し、取得した精算情報を用いて、顧客の操作に応じて、代金の精算を行う精算手段と、

を備える精算装置。」

(相違点)

(相違点1)

「顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の切り替え」において、本件補正発明が「店員による前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの選択を受け付ける受付手段」により切り替えができるのに対し、引用発明では具体的な手段は特定されていない点。

(相違点2)

「顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の切り替え」において、本件補正発明では「セミセルフ式」については特定がないのに対し、引用発明では「セミセルフ式」を選択できる点。

(相違点3)

本件補正発明が「処理の選択が受け付けられたことに応じて、選択された処理に応じて異なる待機画面を前記タッチパネルディスプレイに表示させ、前記第1の処理が選択された場合の待機画面は、前記端末装置に表示された精算コードを読み取らせることを要求し、前記第2の処理が選択された場合の待機画面は、商品コードを読み取らせることを要求する表示制御手段」を備えるのに対し、引用発明には当該点については特定がない点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

ア 相違点2について

まず、相違点2について検討する。引用発明において、商品の登録の方法は、「顧客が店舗において自己の所有する携帯端末によって商品を登録する」方式、「店員が顧客の購入する商品の登録処理を行」う方式、「顧客が自ら購入する商品の登録処理」を行う方式があり、これらは何れも周知であると認められるところ、これから、適宜選択して採用することは当業者が適宜設計的になし得た事項と認められる。

よって、本件補正発明に係る「顧客が店舗において自己の所有する携帯端末によって商品を登録する」方式、及び、「顧客が自ら購入する商品の登録処理」を行う方式を採用することは、格別の困難もなく当業者が適宜設計的になし得た事項である。

イ 相違点1について

引用文献2には、前記のとおり、「店員側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである通常モードと、客側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードであるフルセルフモードを有し」、「タッチディスプレイである店員側表示部に表示された第1モード切替ボタンBT12または第2モード切替ボタンBT13の押下操作に従って動作モードが移行する」、「POS端末」が記載されている。ここで、引用文献2の「店員側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである通常モード」は、引用発明のセミセルフ式に相当する。したがって、引用文献2には、引用発明では特定されていない、処理の切り替えの具体的手段として、店員がタッチディスプレイに表示されたボタンを操作する手段が記載されており、これより、引用発明に当該引用文献2記載技術を適用することは当業者にとって容易である。すなわち、顧客が使用する端末装置を用いて登録された商品の精算情報を取得する第1の処理と、顧客の操作により商品を登録する登録機能を有する自精算装置で登録された商品の精算情報を取得する第2の処理のいずれかの処理の切り替えを、本件補正発明の「店員による前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの選択を受け付ける受付手段」によるものとすることは、引用発明及び引用文献2記載技術に基づき、当業者が容易に想到することができた事項である。

ウ 相違点3について

引用文献2に「現在の動作モードに応じた情報を報知し、例えばフルセルフモードである場合で待機中であるときに、客自身が商品を登録する旨を表示」することが記載されているように、待機画面として、モードに応じて顧客に適宜情報を提示することは周知技術であり、その提示する情報も当業者が適宜設計的に決定できる事項である。そして、引用発明において、「顧客が店舗において自己の所有する携帯端末によって商品を登録し、携帯端末の表示部に表示されたQRコードをPOS端末の入力部に読み取らせることで、POS端末が上位装置に買い物識別情報に紐づけられた登録情報を取得し、精算処理を行う方式」であるところ、POS端末が顧客にQRコードをPOS端末の入力部に読み込ませるよう要求する必要があることは明らかである。また、引用発明の「フルセルフ式」の場合、引用文献2の図13のように商品コードを読み取らせることを要求する必要があることも明らかである。

してみれば、相違点1で検討した「処理の選択が受け付けられたことに応じて」、「選択された処理に応じて異なる待機画面を前記タッチパネルディスプレイに表示させ」ること、及び、「前記第1の処理が選択された場合の待機画面は、前記端末装置に表示された精算コードを読み取らせることを要求し、前記第2の処理が選択された場合の待機画面は、商品コードを読み取らせることを要求する」「表示制御手段」は、当業者が容易に想到することができた事項である。

エ 作用効果について

これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ 請求人の主張について

(ア)請求人は、令和6年11月18日提出の審判請求書において、

「引用文献1-2には、本願請求項1に係る発明のように、「いずれかの処理の店員による前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの選択を受け付ける受付手段」の構成は記載されておらず、示唆もありません。

また、引用文献1-2には、精算装置のタッチパネルディスプレイに表示されたいずれかの処理の選択ボタンの店員による選択が受け付けられた場合に、「処理の選択が受け付けられたことに応じて、選択された処理に応じて異なる待機画面を前記タッチパネルディスプレイに表示させ、前記第1の処理が選択された場合の待機画面は、前記端末装置に表示された精算コードを読み取らせることを要求し、前記第2の処理が選択された場合の待機画面は、商品コードを読み取らせることを要求する表示制御手段」の構成は記載されておらず、示唆もありません。

本願請求項1に係る発明は、上記受付手段と表示制御手段の構成により、精算装置において、選択したモードでの処理が実行可能な状態であることを店員が容易に確認でき、選択されたモードで顧客はスムーズに精算の操作を開始できるという引用文献1-2にない有利な効果が得られます。」と主張する。

(イ)請求人の上記主張について検討する。

請求人の主張のとおり、「いずれかの処理の店員による前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの選択を受け付ける受付手段」の構成、及び、「処理の選択が受け付けられたことに応じて、選択された処理に応じて異なる待機画面を前記タッチパネルディスプレイに表示させ、前記第1の処理が選択された場合の待機画面は、前記端末装置に表示された精算コードを読み取らせることを要求し、前記第2の処理が選択された場合の待機画面は、商品コードを読み取らせることを要求する表示制御手段」の構成は、引用文献1,2に直接的に対応する記載がないとしても、上記ア~ウのとおりであって、当業者が容易に想到することができたものである。

また、「精算装置において、選択したモードでの処理が実行可能な状態であることを店員が容易に確認でき、選択されたモードで顧客はスムーズに精算の操作を開始できる」という作用効果は、上記エのとおり、引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

以上のとおりであるから、請求人の上記主張は採用できない。

カ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和6年11月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年5月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-7に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2020-42464号公報

引用文献2:特開2019-139395号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「タッチパネルディスプレイと、」、「前記タッチパネルディスプレイに表示された選択ボタンの」、及び、「前記タッチパネルディスプレイに」との限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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