結論テキスト
特許第7399577号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5、7〕について訂正することを認める。
特許第7399577号の請求項1-7に係る特許を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024700574 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許第7399577号の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和2年4月16日に出願され、令和5年12月8日にその特許権の設定登録がされ、令和5年12月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 6年 6月14日 : 特許異議申立人高(「はしごたか」であるが「高」と表記する。)畑明久(以下「特許異議申立人」という。)による請求項1~7に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 6年 8月30日付け: 取消理由通知
令和 6年10月31日 : 特許権者株式会社wash-plus(以下「特許権者」という。)による意見書及び訂正請求書の提出
令和 6年11月22日付け: 手続補正指令書(方式)
令和 6年12月18日 : 手続補正書(方式)(令和6年10月31日に提出された訂正請求書の補正)
令和 7年 1月15日付け: 通知書(訂正請求があった旨の通知)
令和 7年 2月 3日 : 特許異議申立人による意見書の提出
令和 7年 3月31日付け: 取消理由通知(決定の予告)
令和 7年 5月30日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、令和6年10月31日にされた訂正の請求(以下、この訂正の請求による訂正を「先の訂正」という。)は、その後、令和7年5月30日に訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなされる(特許法第120条の5第7項)。
令和7年5月30日に提出された訂正請求書によってされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5、7について訂正することを求めるというものである。
本件訂正請求で請求された訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部に対して個別に他の利用者とは異なる料金を設定し、設定した当該料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」とあるのを、
「前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部
であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者
に対して個別に他の利用者とは異なる料金
であり、予め設定されている
料金
で、
前記作動指令を出力する処理を行う」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~4、7も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5に「前記紐付けの結果、前記複数の利用者を複数のグループに分け、当該複数のグループに毎に、個別に料金を設定し、設定した当該料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」とあるのを、
「前記紐付けの結果、前記複数の利用者
の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者
を複数のグループに分け、当該複数のグループに毎に、個別
の料金であり、予め設定されている
料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。)。
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に記載された、「複数の利用者の少なくとも一部」について、「
一般ユーザ以外の管理者以外関係者
」と限定するとともに、同じく「他の利用者とは異なる料金を設定し、設定した当該料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」ことについて、この「異なる料金」が「予め設定されている料金」であることを限定して、「他の利用者とは異なる料金
であり、予め設定されている
料金
で、
前記作動指令を出力する処理を行う」とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
本件特許の特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「特許明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下、同様である。)。
(ア)「【0031】
識別信号Siが入力すると、サーバ30は、図4のフローチャートにその手順を示す運転指令出力制御を実行する。
運転指令出力制御を開始すると、サーバ30は、図4のステップS1で、ランドリー機器20が他のユーザによって使用中されている場合を除き、識別信号Siに基づいて
ユーザ端末51とランドリー機器20との紐付けを行い
、ステップS2で無線LAN40を介して認識信号をユーザ端末51に送信する。認識信号を受信したユーザ端末51では、図5に示すように、「いらっしゃいませ ○○番の洗濯乾燥機をご利用ですね よろしければ、YESをタッチしてください」とのメッセージ71と、「YES」ボタン72とが画面51aに表示される。
・・・(中略)・・・
【0034】
ユーザは、使用料金の確認
、および「蓋ロック」ボタン76や「窓不透明」ボタン77の選択
を終えると
、
ユーザ端末51を受信機25にかざす。すると、ユーザ端末51からは、運転要求信号Sdが発信され、この運転要求信号Sdがインターネット60を経由してサーバ30に入力される
。
【0035】
サーバ30は、ステップS7でユーザが
運転要求信号Sdを入力したか否かを判定し、この判定がYESになると、ステップS8で課金処理を行う
。課金処理は、前述した支払情報に基づき、インターネット60を経由してクレジットカード会社との間で通信を行うことでなされる。
・・・(中略)・・・
【0037】
しかる後、サーバ30は
、ステップS13で
ランドリー機器20に運転開始指令を出力し
、運転開始指令制御を終了する。運転開始指令が入力したランドリー機器20は、ユーザが選択した運転モードでの運転を開始するとともに、ユーザの要求に基づいて蓋23のロックやガラス窓22の不透明化を行う。」
(イ)「【0050】
図1で示すような、短距離通信によって、
ユーザ端末51とランドリー機器20との紐付けが完了した後
、その
ユーザによって、各種の異なる処理が行われる
。
本実施形態の最も最上位の概念は、ユーザ、及び、ユーザの属性(ステータス、関係者か否か、管理者か)によって、その処理を変化させることである。
これによって、一般ユーザには、その範囲での各種特典(ランクに応じた特定機能の使用等)などを付与できる。
他方、
関係者においては、一定の割引などの関係者割引処理も可能となる
。
さらに、関係者の中で、管理者である場合は、さらに特殊な操作を可能とすることができる。
なお、ここで、一般ユーザとは、スマートフォン等で自分から登録した(結果的に登録したものを含む)者をいう。
他方、
関係者とは、管理者等が前もって登録している者
(場合によっては、所定の地位)をいう。
【0051】
まず、
コインランドリー機器20とユーザ端末31とを紐付けした際に、そのユーザ端末31のユーザのステータス・カテゴリ等を
図13のように
処理する
。
ここで、ステータスとは一般ユーザのユーザランク(図17等参照のこと)を表している。他方、カテゴリは関係者の中でどのようなランクのものなのかである。
【0052】
図13のように、ステータス・カテゴリ処理される。
具体的には、ステップS101において、
一般ユーザか否か判断される
。
一般ユーザの場合、ステップ102の例えば図17の処理に移行する。
そうでない場合(関係者)は、ステップS103に移行する
。
ステップS103において、管理者か否か判断する
。
管理者の場合、ステップS104の管理者モードへ移行する。
この場合、管理者は、コインランドリー機器20で可能なすべての処理が可能である。
コインランドリー機器20のリセット、払い戻し処理、洗濯・乾燥の実施、検査モードの実施等である。
管理者でない者(=管理者外関係者)場合
、ステップS105に移行する。
ステップS105において、
関係者か否か判断する
。
関係者でない場合には、処理を終了する。
他方、
関係者である場合はステップS106の処理に移行する
。
【0053】
関係者であっても、そのクラスはさまざまである。
ここでいう
管理者外関係者は、例えば、提携企業の職員などである。福利厚生の一環として、割安でのコインランドリー機器20の利用が許されたものをいう
。
そのため、
事前設定によって、どのぐらいの割引をするか、何回まで割引するかなどの条件が、人によって(クラスによって)異ならせても良いことになる
。
そのため、ステップS106において、その個人のクラスと、利用回数などを特定し記憶する。この判断・記憶等は、図1にサーバ30等でなされてよい。なお、利用データ後のデータ(利用回数など)は、支払い等の後等に記憶されてよい。
その後、ステップS107において、図14又は図15の様に処理する。
【0054】
図14は、ステップS107における処理の一例
である。
【0055】
図14では、
管理者外関係者のクラスをクラス1~クラス4まで分けている
。
クラス1では、10%の割引を月5回まで受けられることを表している
。
クラス2では、20%の割引を月10回まで受けられることを表している
。
クラス3では、50%の割引を月10回まで受けられることを表している
。
クラス4では、100%の割引を月に制限なく受けられることを表している
。
もっとも、これはあくまで一例であり、クラス分けを細かくすることも、に少なく分けることもできる。さらに、割引率、利用可能回数は任意に変更できる。利用可能回数という制限をなくすことも可能である。
このようにすることによって、管理者外関係者をより細かくクラス分けして、福利厚生などを提供することができる。
このようにして、コインランドリー店舗と、他の会社などと提携をしていくことができる。」
(ウ)「【0060】
さらに、
ステップS107における処理のさらに他の一例を説明する
。
図14、図15、図16では、一定の割引率としていたが、このようなパーセンテージによる割引に限定する必要性はない
。
例えば 通常料金 洗濯600円 乾燥400円 洗濯乾燥900円のランドリー機器20の場合に、
クラス1の者には 洗濯500円 乾燥300円 洗濯乾燥700円
クラス2の者には 洗濯400円 乾燥200円 洗濯乾燥500円
などとして
前もって記録しておいてこれによって、割り引くことも可能である
。」
前記(イ)の段落【0052】によると、管理者外関係者が、一般ユーザ以外であり、かつ管理者以外の者であることが把握でき、この管理者外関係者に対し、サーバ30がランドリー機器20に運転開始指令を出力(前記(ア)の段落【0037】参照。)する際の料金について、「関係者においては、一定の割引などの関係者割引処理」(前記(イ)の段落【0050】参照。)を行うことが把握できる。そして、この割引処理の例として、料金を、パーセンテージにより割り引きすること(前記(イ)の段落【0053】、【0055】参照。)や、前もって記録した料金に割り引くこと(前記(ウ)の段落【0060】参照。)が把握できる。これらの割引処理は、管理者外関係者に対して行われるものであり、サーバ30がランドリー機器20に運転開始指令を出力する前に、他のユーザとは異なる、予め設定されている料金に基づき行われるものであることは明らかであるから、該割引処理された料金は、管理者外関係者に対して、他のユーザとは異なる、予め設定されている料金であるといえる。
すると、特許明細書等には、「前記複数の利用者の少なくとも一部
であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者
に対して個別に他の利用者とは異なる料金
であり、予め設定されている
料金
で、
前記作動指令を出力する処理を行う」ことが記載されているといえ、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
なお、特許異議申立人は、令和7年2月3日に提出した意見書の3.(2)イにおいて、「予め設定されている料金で」とする訂正について、クラスごとに「料金の割引率」を設定すること以外の料金の設定も含まれるから、特許明細書等に記載された範囲を超える事項が含まれる旨を主張している。
しかしながら、特許明細書等の段落【0060】(前記(ウ)参照。)に、「・・・一定の割引率としていたが、このような
パーセンテージによる割引に限定する必要性はない
。・・・などとして
前もって記録しておいてこれによって、割り引くことも可能
である。」と記載されていることを踏まえると、「料金の割引率」を設定すること以外の手段により、料金を前もって(予め)設定してもよいことが、特許明細書等の記載から把握できる。また、段落【0053】(前記(イ)参照。)に、「事前設定によって、
どのぐらいの割引をするか
、何回まで割引するかなどの条件が、人によって(
クラスによって
)
異ならせても良い
ことになる。」と記載されていることを踏まえると、クラスごとの料金の設定が必須のものとは解されない。
以上によると、特許異議申立人の前記主張は採用できない。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、前記アに示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、本件訂正前の請求項5に記載された、複数のグループに分けられる「複数の利用者」について、「複数の利用者
の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者
」と限定するとともに、同じく「当該複数のグループに毎に、個別に料金を設定し、設定した当該料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」ことについて、この個別に設定された「料金」が「予め設定されている料金」であることを限定して、「当該複数のグループに毎に、個別
の料金であり、予め設定されている
料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
前記(1)イ(イ)の段落【0052】によると、管理者外関係者が、一般ユーザ以外であり、かつ管理者以外の者であることが把握でき、この管理者外関係者に対し、課金処理を行う(前記(1)イ(ア)の段落【0035】参照。)際の料金について、「関係者においては、一定の割引などの関係者割引処理」(前記(1)イ(イ)の段落【0050】参照。)を行うことが把握できる。そして、この割引処理の例として、料金を、管理者外関係者のクラスに応じてパーセンテージにより割り引きすること(前記(1)イ(イ)の段落【0053】、【0055】参照。)や、管理者外関係者のクラスに応じて前もって記録した料金に割り引くこと(前記(1)イ(ウ)の段落【0060】参照。)が把握できる。これらの割引処理は、複数のクラス(グループ)に分けられた管理者外関係者に対して行われるものであり、課金が行われる前に、該クラス(グループ)毎の個別の予め設定されている料金に基づき行われるものであることは明らかであるから、該割引処理された料金は、管理者外関係者が分けられる複数のクラス(グループ)毎の、個別の予め設定されている料金であるといえる。
すると、特許明細書等には、「前記複数の利用者
の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者
を複数のグループに分け、当該複数のグループに毎に、個別
の料金であり、予め設定されている
料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」ことが記載されているといえ、訂正事項2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、前記アに示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
本件訂正前の請求項1~4、7について、請求項2~4、7は、請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~4、7は、一群の請求項1~4、7を構成している。
また、本件訂正前の請求項5、7について、請求項7は、請求項5を引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項5、7は、一群の請求項5、7を構成している。
そして、一群の請求項1~4、7と、一群の請求項5、7とは、ともに請求項7を含むから、これら一群の請求項は、組み合わされて一群の請求項1~5、7を構成する。
本件訂正請求は、訂正事項1、2により、本件訂正前の請求項1、5の記載を訂正しようとするものであり、一群の請求項1~5、7に対して請求されているから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
前記のとおり、訂正事項1、2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。なお、本件においては、本件訂正前の全ての請求項1~7に係る特許に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~5、7〕について訂正することを認める。
本件訂正請求により訂正された請求項1~5、7に係る発明、及び本件訂正請求の対象となっていない請求項6に係る発明(以下、請求項順に「本件特許発明1」~「本件特許発明7」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ランドリー店舗内に設置され、洗濯機能と乾燥機能との少なくとも一方を有する複数のランドリー機器と、
複数の利用者の携帯端末との間で通信を行い、その通信結果に応じて前記ランドリー機器を運転制御する制御装置とを備えたセルフランドリーシステムであって、
前記ランドリー機器の少なくとも1つの表面には紐付部が設けられており、
前記制御装置は、
前記紐付部を用いて、前記利用者の携帯端末の一つと前記ランドリー機器の一つとを、紐付ける紐付手段と、
前記紐付けの後、前記携帯端末からの運転要求信号に基づき、当該携帯端末に紐付けられたランドリー機器に作動指令を出力する作動指令出力手段と、を有し、
前記制御装置は、
前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対して個別に他の利用者とは異なる料金であり、予め設定されている料金で、前記作動指令を出力する処理を行う
セルフランドリーシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数の利用者毎の要因に基づいて前記料金を設定することを特徴とする
請求項1に記載のセルフランドリーシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、所定の条件が成立した際に、前記複数の利用者毎の要因に基づいて前記料金を設定することを特徴とする
請求項1に記載のセルフランドリーシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、所定の条件が成立した際に、前記複数の利用者毎の要因と抽選に基づいて前記料金を設定することを特徴とする
請求項1に記載のセルフランドリーシステム。
【請求項5】
ランドリー店舗内に設置され、洗濯機能と乾燥機能との少なくとも一方を有する複数のランドリー機器と、
複数の利用者の携帯端末との間で通信を行い、その通信結果に応じて前記ランドリー機器を運転制御する制御装置とを備えたセルフランドリーシステムであって、
前記ランドリー機器の少なくとも1つの表面には紐付部が設けられており、
前記制御装置は、
前記紐付部を用いて、前記利用者の携帯端末の一つと前記ランドリー機器の一つとを、紐付ける紐付手段と、
前記紐付けの後、前記携帯端末からの運転要求信号に基づき、当該携帯端末に紐付けられたランドリー機器に作動指令を出力する作動指令出力手段と、を有し、
前記制御装置は、
前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者を複数のグループに分け、当該複数のグループに毎に、個別の料金であり、予め設定されている料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う
セルフランドリーシステム。
【請求項6】
ランドリー店舗内に設置され、洗濯機能と乾燥機能との少なくとも一方を有する複数のランドリー機器と、
複数の利用者の携帯端末との間で通信を行い、その通信結果に応じて前記ランドリー機器を運転制御する制御装置とを備えたセルフランドリーシステムであって、
前記ランドリー機器の少なくとも1つの表面には紐付部が設けられており、
前記複数の利用者の携帯端末は、それぞれの利用者の操作に基づいて、カードの情報を前記制御装置に登録し、
前記制御装置は、
前記紐付部を用いて、前記利用者の携帯端末の一つと前記ランドリー機器の一つとを、紐付ける紐付手段と、
前記紐付けの後、前記携帯端末からの運転要求信号に基づき、当該携帯端末に紐付けられたランドリー機器に作動指令を出力する作動指令出力手段と、を有し、
前記制御装置は、
前記紐付けの結果、前記複数の利用者の内、特定の組織で発行されたカードの情報を登録しているグループに対して、他のグループと別の料金を設定し、設定した当該料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う
セルフランドリーシステム。
【請求項7】
前記紐付部は、2次元コード、又は、近距離無線通信の装置、である
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセルフランドリーシステム。」
先の訂正後の請求項1~5、7に係る特許に対して、当審が令和7年3月31日付けで特許権者に、決定の予告として通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項1~3、5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)請求項4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献4、5に記載されたような周知の事項に基いて本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)請求項7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献4、5に記載されたような周知の事項に基いて、あるいは、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4、5に記載されたような周知の事項に基いて本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
引用文献1:特開2018-33823号公報(甲第1号証)
引用文献2:特開2017-205480号公報(甲第2号証)
引用文献3:国際公開第2019/077649号(甲第7号証)
引用文献4:特開2005-309714号公報(甲第3号証)
引用文献5:特開2000-293740号公報(甲第4号証)
(1)引用文献の記載及び引用発明
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
特許異議申立人が甲第1号証として提出し、令和7年3月31日付け取消理由通知(決定の予告)で引用した引用文献1には、以下の事項が記載されている。
a「【0015】
<第1実施形態の構成>
図1は、第1実施形態に係るセルフランドリーシステムの概略構成図である。
図2は、第1実施形態に係るサーバの概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、実施形態に係る
セルフランドリーシステム1は
、
ランドリー店舗10内に設置された洗濯機や乾燥機等からなる多数のランドリー機器20
(20a,20b,20c・・・)
と
、これら
ランドリー機器20を運転制御するサーバ30
(制御装置)
とを有している
。
【0017】
各
ランドリー機器20には、それぞれに固有の識別コードが印刷されたラベル(以下、単に識別コードと記す)21
(21a,21b,21c・・・)
が貼り付けられている
。なお、
識別コードとしては、QRコード(登録商標)等の二次元コードが望ましい
。
・・・(中略)・・・
【0019】
ランドリー店舗10には、Wi-Fi(登録商標)規格による無線LAN40が設置されている。ランドリー店舗10内にいる
ユーザの携帯端末(スマートフォン等:以下、ユーザ端末と記す)51
は、この無線LAN40(あるいは、3G回線)を介してインターネット60に接続される。
サーバ30は
、有線LAN41によってインターネット60に接続しており、インターネット60を経由して
ユーザ端末51
やランドリー店舗10の管理者の端末(パーソナルコンピュータやスマートフォン等:以下、管理者端末と記す)52
との間で通信を行う
。また、ユーザがランドリー店舗10外にいる場合、ユーザ端末51は、3G回線を介してインターネット60に接続される。
【0020】
図2に示すように、
サーバ30は
、運転モードやユーザ情報等を記憶する記憶部31、
ユーザ端末51からの入力信号等に基づく判定処理や信号出力を行う処理部32と
、
処理部32の判定結果に応じてランドリー機器20への運転指令信号
やユーザ端末51および管理者端末52への信号等
を生成する信号生成部33
等
を有している
。」
b「【0023】
次に、
ユーザは、そのユーザ端末51を用いてユーザ登録を行う
。
ユーザ登録は、氏名や住所、携帯電話番号、支払情報(プリペイドカードコード)をサーバ30に登録するものである
。
支払いに用いるプリペイドカードは、ランドリー店舗10固有のものでもよい
し、コンビニエンスストア等で販売している一般のものでもよい。ユーザがプリペイドカードコードを入力すると、プリペイドカードの額面がチャージ残高Bchgとしてサーバ30に記憶される。
【0024】
ランドリー店舗10に来店したユーザは、洗濯あるいは乾燥を行う衣類の種類や量に応じてランドリー機器20を選定する。次にユーザは、ユーザ端末51で無線LAN40を介してインターネット接続した上で専用アプリを起動し、そのランドリー機器20の識別コード21を内蔵カメラで読み込む。
識別コード21を読み込んだユーザ端末51からは、ユーザ端末51およびランドリー機器20に対応する識別信号Siが発信される
。識別信号Siは、インターネット60を経由してサーバ30に入力される。
【0025】
識別信号Siが入力すると、サーバ30は、図3のフローチャートにその手順を示す運転指令出力制御を実行する。
運転指令出力制御を開始すると、
サーバ30は
、図3のステップS1で、ランドリー機器20が他のユーザによって使用中されている場合を除き、
識別信号Siに基づいてユーザ端末51とランドリー機器20との紐付けを行い
、ステップS2で認識信号をユーザ端末51に送信する。認識信号を受信したユーザ端末51では、図4に示すように、「いらっしゃいませ ○○番の洗濯乾燥機をご利用ですね よろしければ、YESをタッチしてください」とのメッセージ71と、「YES」ボタン72とが画面51aに表示される。
【0026】
サーバ30は、ステップS3でユーザが「YES」ボタン72にタッチしたか否かを判定し、この判定がYesになると、ステップS4で運転コース信号をユーザ端末51に送信する。運転コース信号を受信したユーザ端末51では、図5に示すように、選択されたランドリー機器20に対応する「運転コース」ボタン73(73a~73d)と、「ENTER」ボタン74とが画面51aに表示される。
ユーザは
、衣類の種類や量に応じて所望の
「運転コース」ボタン73を選択した後、「ENTER」ボタン74をタッチする
。
【0027】
サーバ30は
、ステップS5で
ユーザが「ENTER」ボタン74にタッチしたか否かを判定し、この判定がYESになると
、ステップS6で
料金信号をユーザ端末51に送信する
。料金信号を受信したユーザ端末51では、図6に示すように、「使用料金は○○○○円です 衣類を投入し、蓋を閉めてください」とのメッセージ75と、「蓋ロック」ボタン76および「窓不透明」ボタン77が画面51aに表示される。ユーザは、ランドリー機器20の運転中に蓋23をロックしたい、あるいは、ガラス窓22を不透明にしたい場合、これら「蓋ロック」ボタン76や「窓不透明」ボタン77を選択(タッチ)する。
【0028】
ユーザは、使用料金の確認、および「蓋ロック」ボタン76や「窓不透明」ボタン77の選択を終えると、ランドリー機器20の識別コード21を内蔵カメラで再び読み込む。識別コード21を読み込んだ
ユーザ端末51からは、運転要求信号Sdが発信される
。運転要求信号Sdは、インターネット60を経由してサーバ30に入力される。
【0029】
サーバ30は
、ステップS7でユーザが
運転要求信号Sdが入力したか否かを判定し、この判定がYESになると
、ステップS8で図7のフローチャートにその手順を示す
課金処理を行う
。
・・・(中略)・・・
【0036】
しかる後、サーバ30は
、ステップS13で
ランドリー機器20に運転開始指令を出力し
、運転開始指令制御を終了する。運転開始指令が入力したランドリー機器20は、ユーザが選択した運転モードでの運転を開始するとともに、ユーザの要求に基づいて蓋23のロックやガラス窓22の不透明化を行う。」
c「【0064】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限られるものではない。例えば、第1実施形態では課金をプリペイドカードによって行うようにしたが、クレジットカードやデビットカード、携帯電話利用料金等によって行うようにしてもよい。また、第2実施形態では課金をクレジットカードによって行うようにしたが、プリペイドカードやデビットカード、携帯電話利用料金等によって行うようにしてもよい。
また、ランドリー機器を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるようにしてもよい
。また、上記実施形態ではユーザが予め設定された運転コースを選択するようにしたが、洗濯やすすぎ、乾燥の時間を自由に設定できるようにしてもよい。また、ユーザが自宅などでインターネットに接続し、専用アプリを起動しランドリー機器の空き情報を確認できるようにしてもよい。その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、セルフランドリーシステムの具体的構成や運転指令出力制御の具体的手順等についても適宜変更可能である。」
d 図1~図3には、次の事項が図示されている。
114
153
0001429985000001.jpg
128
151
0001429985000002.jpg
237
133
0001429985000003.jpg
(イ)引用発明
前記(ア)a~dによると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ランドリー店舗10内に設置された洗濯機や乾燥機等からなる多数のランドリー機器20と、
携帯端末51を用いてユーザ登録を行ったユーザの携帯端末51との間で通信を行い、前記ユーザの携帯端末51からの入力信号等に基づく判定処理や信号出力を行う処理部32と、前記処理部32の判定結果に応じて前記ランドリー機器20への運転指令信号を生成する信号生成部33を有し、前記ランドリー機器20を運転制御するサーバ30とを備えたセルフランドリーシステム1であって、
前記ランドリー機器20にはそれぞれに固有の識別コード21が貼り付けられており、
前記サーバ30は、
前記識別コード21を読み込んだ前記ユーザの携帯端末51から発信された、前記ユーザの携帯端末51および前記ランドリー機器20に対応する識別信号Siに基づいて前記ユーザの携帯端末51と前記ランドリー機器20との紐付けを行い、
前記ユーザが「運転コース」ボタン73を選択した後、「ENTER」ボタン74にタッチしたか否かの判定がYESになると、料金信号を前記ユーザの携帯端末51に送信し、前記ユーザの携帯端末51から発信された運転要求信号Sdが入力したか否かの判定がYESになると、課金処理を行い、しかる後、前記ランドリー機器20に運転開始指令を出力し、
また、前記ランドリー機器20を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるようにし、
前記識別コード21は、QRコード(登録商標)等の二次元コードである、
セルフランドリーシステム1。」
イ 引用文献2
特許異議申立人が甲第2号証として提出し、令和7年3月31日付け取消理由通知(決定の予告)で引用した引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機や乾燥機等のランドリー機器が複数設置されたコインランドリーにて、各ランドリー機器の利用料金を精算するためのコインランドリー用集中精算システムに関する。」
(イ)「【0054】
さらに、
利用客がコインランドリーのプリペイドカードや会員カードを使用して集中精算機7における精算処理を実行した場合には、これらのカードの使用に基づいて利用客に特典を付与するようにしてもよい
。
例えば、
プリペイドカードや会員カードに備えられた記憶媒体に、集中精算機7に対してカードを使用して操作した回数(カード使用回数)を記憶可能とし、
カード使用回数が予め設定された特典付与回数に到達した場合には、利用客に対してサービス特典を付与したり、ランドリー機器の利用料金を割引したりするように設定してもよい
。
【0055】
また、利用客が予め取得しておいた特典情報を集中精算機7に読み取らせ、読み取った特典情報に基づいて利用客に特典(利用料金の減額等)を付与するように構成してもよい。例えば、図4に示す第2実施形態の集中精算機7においては、制御装置11にバーコードリーダ30(本発明における特典情報読取装置に相当)を接続している。この集中精算機7の作用により利用客へ特典を付与する流れとしては、まず、利用客がコインランドリー1と提携する提携店(例えば、コインランドリー1を併設しているクリーニング店やコンビニエンスストア)を利用したり、フリーペーパー等の冊子から切り取ったりする等して、紙媒体のクーポンを取得する。このクーポンには、特典情報をバーコードの態様でコード化して表示してある。次に、コインランドリー1を利用し、集中精算機7にて精算処理の開始前に利用客がクーポンに印刷されたバーコードをバーコードリーダ30に読み取らせる。すると、制御装置11がバーコードからランドリー機器2の利用特典を特典情報として判別し、この特典情報を反映させて精算処理を進める。なお、
特典情報の例示としては、利用料金の減額(割引,値引)や、コインランドリー1にて利用客が受ける追加サービス(洗濯時間延長無料のサービス,洗濯物の重量増加無料のサービス等)の付与が挙げられるが、その他の内容の特典情報であってもよい
。例えば、利用客がコインランドリー1にて利用予定のコースとは異なる別個のコースを利用できるようになる特典内容であってもよい。具体的には、利用客が洗濯コースのみを利用しようとする場合には、乾燥コースの利用が追加サービスとして付与されるようにしてもよい。」
ウ 引用文献3
特許異議申立人が甲第7号証として提出し、令和7年3月31日付け取消理由通知(決定の予告)で引用した引用文献3には、以下の事項が記載されている。
(ア)「[0001] 本発明は、セルフランドリーシステムに係り、詳しくはユーザの利便性向上等を実現する技術に関する。」
(イ)「[0020]
各ランドリー機器20には、それぞれに固有の識別表示としてQRコードが表示されている
。このQRコードは、印刷済みのQRコードである。
なお、図1においては、「スマホをかざしてください」であるが、本実施形態ではQRコード(2次元のコード)に基づいて説明する。どちらであっても、その端末を特定できるのであれば等価であるからである。なお、「スマホをかざしてください」の内容を変化させること(例えば、「スマートフォンをかざしてください」)、又は、改行位置などによって、図1の「スマホをかざしてください」であっても、個々の各ランドリー機器20を特定できる。
そして、このQRコードを、携帯端末51(例えば、スマートホン)を撮影することによって、電話通信網(インターネット)等を介して、このQRコードが貼り付けられていた個々のランドリー機器20を特定することが可能となる。
換言すると、携帯端末51と、撮影対象のQRコードが印刷されていた個々のランドリー機器20とを紐付けることが可能となる。」
(ウ)「[0023] 更に発展的には、
FeliCa(登録商標)等による極近距離無線通信用の機器側送受信機25が設置され、さらに、携帯端末51にも、極近距離無線通信用の端末側送受信機が設けられていると良い
。
この場合には、単に所定の位置(例えば、図1においては、スマホをかざしてください」との表示26)に、
携帯端末51をかざすことのみによって、QRコードもワンタイムパスワード24aもなくても紐付けが可能となる
。」
エ 引用文献4
特許異議申立人が甲第3号証として提出し、令和7年3月31日付け取消理由通知(決定の予告)で引用した引用文献4には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して通信端末とサーバとが通信可能に接続され、通信端末を用いて通信を行なう利用者に対して抽選サービスを提供する抽選サービスシステムに関する。」
(イ)「【0018】
抽選手段9は、抽選対象者情報データベース13に登録された利用者を抽選処理して当選者を決める機能を有している。
また、抽選対象条件において、上記したように、
10回のアクセス回数を1口として1回の抽選を行なえるとする条件の設定を行ない
、複数回の抽選を行なう権利を有する場合には、抽選手段9による抽選を複数回行なう。
この抽選手段9での抽選処理による当選者は、抽選対象者情報データベース13に登録されている利用者情報に対して、当選者であることがわかるようにフラグを立てるなどして識別可能にしておく。
【0019】
また、
抽選手段9による抽選処理の結果、当選者に対しては、予めサーバ3を管理する側である携帯電話サービス提供会社やメールサービス提供会社が任意に定めた種々のサービスや特典などを用意しておく
。
これらのサービスや特典としては、
例えば、当選者に対して、プレゼント、旅行券、商品券、招待券などを贈るなどしてもよいし、通信サービスの利用代金に対する割引などの特典を与えるようにしてもよい
。」
オ 引用文献5
特許異議申立人が甲第4号証として提出し、令和7年3月31日付け取消理由通知(決定の予告)で引用した引用文献5には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICカードを用いた料金徴収を行うICカード処理装置に関し、特に、無人販売を行う自動販売装置において、販売時に購入者毎に購入者に応じた付加サービスを提供することを可能とするICカード処理装置に関するものである。」
(イ)「【0051】本第1実施形態によれば、購入者毎に、
購入者の今までの購入回数に応じて、自動販売機内の商品の割り引きを行う
ことができるようになる。」
(ウ)「【0058】また、
割引料金を適用するかわりに、無償の商品を提供する、景品を提供する、サービスの質を上げる、景品が当たる抽選の権利を得られる、キャッシュバック、サービスの利用時間を延長する、サービス券を発行するなど、他の付加サービスを提供するようにしてもよい
。」
(エ)「【0118】また、以上の第1から第4実施形態で用いた
購入回数としては
、商品・サービスの購入数の他、各ICカードから料金を徴収した回数や料金の総額に応じた値をとる数値や商品・サービスにより異なる数値、
抽選により異なる数値などを用いてもかまわない
。」
(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と引用発明とを対比すると、
(ア)引用発明の「ランドリー店舗10」及び「ランドリー機器20」は、それぞれ本件特許発明1の「ランドリー店舗」及び「ランドリー機器」に相当する。そして、引用発明の「洗濯機」及び「乾燥機」は、それぞれ洗濯機能及び乾燥機能を有する機器であるから、引用発明の「ランドリー店舗10内に設置された洗濯機や乾燥機等からなる多数のランドリー機器20」は、本件特許発明1の「ランドリー店舗内に設置され、洗濯機能と乾燥機能との少なくとも一方を有する複数のランドリー機器」に相当する。
(イ)引用発明の「ユーザ」、「携帯端末51」、「サーバ30」及び「セルフランドリーシステム1」は、それぞれ本件特許発明1の「利用者」、「携帯端末」、「制御装置」及び「セルフランドリーシステム」に相当する。
また、引用発明のサーバ30と通信を行う「ユーザの携帯端末51」は、ユーザ登録を行ったユーザが複数いること、さらに、該ユーザがそれぞれ携帯端末51を所持していることが明らかであることを踏まえると、複数であるといえるから、引用発明の「携帯端末51を用いてユーザ登録を行ったユーザの携帯端末51との間で通信を行」うという事項は、本件特許発明1の「複数の利用者の携帯端末との間で通信を行」うという事項に相当する。
さらに、引用発明の「前記ユーザの携帯端末51からの入力信号等に基づく判定処理や信号出力を行う処理部32と、前記処理部32の判定結果に応じて前記ランドリー機器20への運転指令信号を生成する信号生成部33を有し、前記ランドリー機器20を運転制御する」という事項は、ユーザの携帯端末51からの入力信号に応じてランドリー機器20への運転指令信号を生成しているといえ、本件特許発明1の「その通信結果に応じて前記ランドリー機器を運転制御する」という事項に相当する。
(ウ)引用発明の「識別コード21」は、ユーザの携帯端末51で読み込まれ、ユーザの携帯端末51とランドリー機器との紐付けが行われるから、本件特許発明1の「紐付部」に相当する。また、引用発明の「識別コード21」は、ユーザの携帯端末51で読み込まれることからみて、ランドリー機器20の表面に貼り付けられているといえるから、引用発明の「前記ランドリー機器20にはそれぞれに固有の識別コード21が貼り付けられて」いるという事項は、本件特許発明1の「前記ランドリー機器の少なくとも1つの表面には紐付部が設けられて」いるという事項に相当する。
(エ)引用発明の「前記サーバ30は、前記識別コード21を読み込んだ前記ユーザの携帯端末51から発信された、前記ユーザの携帯端末51および前記ランドリー機器20に対応する識別信号Siに基づいて前記ユーザの携帯端末51と前記ランドリー機器20との紐付けを行」うという構成は、識別コード21を用いて、該識別コード21を読み込んだ1つの携帯端末51と、この読み込まれた識別コード21が貼り付けられている1つのランドリー機器20とを紐付ける処理をサーバ30が行うものであるから、本件特許発明1の「前記制御装置は、前記紐付部を用いて、前記利用者の携帯端末の一つと前記ランドリー機器の一つとを、紐付ける紐付手段」「を有」することに相当する。
(オ)引用発明の「運転要求信号Sd」及び「運転開始指令」は、それぞれ本件特許発明1の「運転要求信号」及び「作動指令」に相当する。また、引用発明の「前記サーバ30は、」「前記ユーザの携帯端末51から発信された運転要求信号Sdが入力したか否かの判定がYESになると、課金処理を行い、しかる後、前記ランドリー機器20に運転開始指令を出力」する構成は、ユーザの携帯端末51から発信された運転要求信号Sdに基づいて、ランドリー機器20に運転開始指令を出力する処理をサーバ30が行っているといえ、この出力は、紐付けの後に行われていることからみて、ユーザの携帯端末51に紐付けられたランドリー機器20に対して行われていることは明らかである。すると、引用発明の前記の構成は、本件特許発明1の「前記制御装置は、」「前記紐付けの後、前記携帯端末からの運転要求信号に基づき、当該携帯端末に紐付けられたランドリー機器に作動指令を出力する作動指令出力手段」「を有」することに相当する。
(カ)引用発明の「前記サーバ30は、」「前記ユーザが「運転コース」ボタン73を選択した後、「ENTER」ボタン74にタッチしたか否かの判定がYESになると、料金信号を前記ユーザの携帯端末51に送信し、前記ユーザの携帯端末51から発信された運転要求信号Sdが入力したか否かの判定がYESになると、課金処理を行い、しかる後、前記ランドリー機器20に運転開始指令を出力」するという事項は、料金を設定し、その料金で、運転開始指令を出力しているといえるから、本件特許発明1の「前記制御装置は、前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対して個別に他の利用者とは異なる料金であり、予め設定されている料金で、前記作動指令を出力する処理を行う」という事項と、制御装置は、設定された料金で、作動指令を出力する処理を行う点において共通する。
そうすると、本件特許発明1と引用発明とは、以下の<一致点1>で一致し、以下の<相違点1>で相違する。
<一致点1>
「ランドリー店舗内に設置され、洗濯機能と乾燥機能との少なくとも一方を有する複数のランドリー機器と、
複数の利用者の携帯端末との間で通信を行い、その通信結果に応じて前記ランドリー機器を運転制御する制御装置とを備えたセルフランドリーシステムであって、
前記ランドリー機器の少なくとも1つの表面には紐付部が設けられており、
前記制御装置は、
前記紐付部を用いて、前記利用者の携帯端末の一つと前記ランドリー機器の一つとを、紐付ける紐付手段と、
前記紐付けの後、前記携帯端末からの運転要求信号に基づき、当該携帯端末に紐付けられたランドリー機器に作動指令を出力する作動指令出力手段と、を有し、
前記制御装置は、
設定された料金で、前記作動指令を出力する処理を行う
セルフランドリーシステム。」
<相違点1>
作動指令を出力する処理について、本件特許発明1は、「前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対して個別に他の利用者とは異なる料金であり、予め設定されている料金」で行われるのに対し、引用発明は、「課金処理を行い、しかる後」に行われるものであり、また「前記ランドリー機器20を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるように」しているものの、一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対して他のユーザと異なる料金であり、予め設定されている料金で行われているといえるか明らかでない点。
イ 判断
以下、<相違点1>について検討する。
引用発明の「ユーザ」は、携帯端末51を用いてユーザ登録を行った者であるから、このような「ユーザ」に対して、「前記ランドリー機器20を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるように」することの示唆はあるといえる。しかしながら、引用文献1には、前記した「ユーザ」と、該「ユーザ」以外の管理者以外関係者とを区別することについて記載も示唆されていないから、管理者以外関係者に対して、異なる料金等の特典を与える動機はないといえる。
また、引用文献2には、段落【0054】(前記(1)イ(イ)参照。)によると、コインランドリーのプリペイドカードや会員カードを使用して操作した回数が予め設定された特典付与回数に到達した利用客に対してサービス特典を付与したり、ランドリー機器の利用料金を割引したりすることが記載されているが、一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対し、何らかの特典を与えることについては記載も示唆もされていない。この点は、引用文献3~5や、特許異議申立人が提出した甲第5号証、甲第6号証及び甲第8号証の記載をみても同様である。
したがって、引用発明において、引用文献2に記載された事項を考慮しても、本件特許発明1の前記相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たものではない。
この点は、引用発明において、さらに甲第8号証等の記載を考慮しても同様である。
ウ まとめ
以上によると、本件特許発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
この点は、さらに甲第8号証等の記載に基いても同様である。
(3)本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3についても、本件特許発明1の相違点1に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(2)に示した本件特許発明1についての理由と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
この点は、さらに甲第8号証等の記載に基いても同様である。
(4)本件特許発明4について
本件特許発明4についても、本件特許発明1の相違点1に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(2)に示した本件特許発明1についての理由と同様の理由により、引用発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献4、5に記載されたような周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
この点は、さらに甲第8号証等の記載に基いても同様である。
(5)本件特許発明5について
ア 対比
本件特許発明5と引用発明とを対比すると、本件特許発明1と引用発明との対比で示した前記(2)ア(ア)~(オ)と同様のことがいえ、さらに、
(ア)引用発明の「前記サーバ30は、」「前記ユーザが「運転コース」ボタン73を選択した後、「ENTER」ボタン74にタッチしたか否かの判定がYESになると、料金信号を前記ユーザの携帯端末51に送信し、前記ユーザの携帯端末51から発信された運転要求信号Sdが入力したか否かの判定がYESになると、課金処理を行い、しかる後、前記ランドリー機器20に運転開始指令を出力」するという事項は、料金を設定し、その料金での課金処理を行ってから、運転開始指令を出力しているといえるから、本件特許発明5の「前記制御装置は、前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者を複数のグループに分け、当該複数のグループに毎に、個別の料金であり、予め設定されている料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」という事項と、制御装置は、設定された料金での課金で、作動指令を出力する処理を行う点において共通する。
そうすると、本件特許発明5と引用発明とは、以下の<一致点2>で一致し、以下の<相違点2>で相違する。
<一致点2>
「ランドリー店舗内に設置され、洗濯機能と乾燥機能との少なくとも一方を有する複数のランドリー機器と、
複数の利用者の携帯端末との間で通信を行い、その通信結果に応じて前記ランドリー機器を運転制御する制御装置とを備えたセルフランドリーシステムであって、
前記ランドリー機器の少なくとも1つの表面には紐付部が設けられており、
前記制御装置は、
前記紐付部を用いて、前記利用者の携帯端末の一つと前記ランドリー機器の一つとを、紐付ける紐付手段と、
前記紐付けの後、前記携帯端末からの運転要求信号に基づき、当該携帯端末に紐付けられたランドリー機器に作動指令を出力する作動指令出力手段と、を有し、
前記制御装置は、
設定された料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う
セルフランドリーシステム。」
<相違点2>
作動指令を出力する処理について、本件特許発明5は、「前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者を複数のグループに分け、当該複数のグループに毎に、個別の料金であり、予め設定されている料金」での課金で行われるのに対し、引用発明は、「課金処理を行い、しかる後」に行われるものであり、また「前記ランドリー機器20を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるように」しているものの、一般ユーザ以外の管理者以外関係者を複数のグループに分け、当該複数のグループ毎の個別の料金であり、予め設定されている料金で課金されて行われているといえるか明らかでない点。
イ 判断
以下、<相違点2>について検討する。
引用発明の「ユーザ」は、携帯端末51を用いてユーザ登録を行った者であるから、このような「ユーザ」に対して、「前記ランドリー機器20を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるように」することの示唆はあるといえる。しかしながら、引用文献1には、前記した「ユーザ」と、該「ユーザ」以外の管理者以外関係者とを区別することについて記載も示唆されていないから、管理者以外関係者に対して、異なる料金等の特典を与える動機はないといえる。
また、引用文献2には、段落【0054】(前記(1)イ(イ)参照。)によると、コインランドリーのプリペイドカードや会員カードを使用して操作した回数が予め設定された特典付与回数に到達した利用客に対してサービス特典を付与したり、ランドリー機器の利用料金を割引したりすることが記載されているが、一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対し、何らかの特典を与えることについては記載も示唆もされていない。この点は、引用文献3~5や、特許異議申立人が提出した甲第5号証、甲第6号証及び甲第8号証の記載をみても同様である。
したがって、引用発明において、引用文献2に記載された事項を考慮しても、本件特許発明5の前記相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たものではない。
この点は、引用発明において、さらに甲第8号証等の記載を考慮しても同様である。
ウ まとめ
以上によると、本件特許発明5は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
この点は、さらに甲第8号証等の記載に基いても同様である。
(6)本件特許発明7について
請求項1~4を引用する本件特許発明7についても、本件特許発明1の相違点1に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(2)に示した本件特許発明1についての理由と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、引用発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献4、5に記載されたような周知の事項に基いて、あるいは、引用発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて、引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4、5に記載されたような周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。この点は、さらに甲第8号証等の記載に基いても同様である。
請求項5を引用する本件特許発明7についても、本件特許発明5の相違点2に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(5)に示した本件特許発明5についての理由と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、あるいは、引用発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。この点は、さらに甲第8号証等の記載に基いても同様である。
特許異議申立書において、特許異議申立人が申立てた特許異議申立理由のうち、令和7年3月31日付けの取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった理由の概要は、次のとおりである。
(1)特許法第29条第2項について
本件特許発明6は、甲第1号証(本決定における引用文献1)に記載された発明、甲第2号証(本決定における引用文献2)に記載された事項、甲第5号証に記載された事項、甲第6号証に記載された事項及び甲第8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)特許法第17条の2第3項について
令和5年8月23日に提出された手続補正書により補正された、本件特許発明1についての補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、本件特許は取り消されるべきものである。
(3)特許法第36条第6項第1号及び第2号について
本件特許発明1~7は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反し、また、本件特許発明1~7は、明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するため、請求項1~7に係る特許は取り消されるべきものである。
(1)本件特許発明6に対する特許法第29条第2項について
ア 対比
本件特許発明6と引用発明とを対比すると、本件特許発明1と引用発明との対比で示した前記第4 2(2)ア(ア)~(オ)と同様のことがいえ、さらに、
(ア)引用発明の「前記サーバ30は、」「前記ユーザが「運転コース」ボタン73を選択した後、「ENTER」ボタン74にタッチしたか否かの判定がYESになると、料金信号を前記ユーザの携帯端末51に送信し、前記ユーザの携帯端末51から発信された運転要求信号Sdが入力したか否かの判定がYESになると、課金処理を行い、しかる後、前記ランドリー機器20に運転開始指令を出力」するという事項は、料金を設定し、その料金での課金処理を行ってから、運転開始指令を出力しているといえるから、本件特許発明6の「前記制御装置は、前記紐付けの結果、前記複数の利用者の内、特定の組織で発行されたカードの情報を登録しているグループに対して、他のグループと別の料金を設定し、設定した当該料金での課金で、前記作動指令を出力する処理を行う」という事項と、制御装置は、設定された料金での課金で、作動指令を出力する処理を行う点において共通する。
そうすると、本件特許発明6と引用発明とは、前記<一致点2>と同様の点で一致し、以下の<相違点3>で相違する。
<相違点3>
本件特許発明6は、「前記複数の利用者の携帯端末は、それぞれの利用者の操作に基づいて、カードの情報を前記制御装置に登録し」、制御装置は、「前記紐付けの結果、前記複数の利用者の内、特定の組織で発行されたカードの情報を登録しているグループに対して、他のグループと別の料金を設定し、設定した当該料金」での課金で、作動指令を出力する処理を行うのに対し、引用発明は、「前記ランドリー機器20を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるように」しているものの、利用者の操作に基づいて、カードの情報を登録しているグループに対して、他のグループと別の料金を設定しているものではない点。
イ 判断
以下、<相違点3>について検討する。
引用発明の「ユーザ」は、携帯端末51を用いてユーザ登録を行った者であり、引用文献1の段落【0023】(前記第4 2(1)ア(ア)b参照。)によると、該ユーザは、支払情報(プリペイドカードコード)をサーバ30に登録しており、該プリペイドカードは、ランドリー店舗10固有のものでもよいとされている。すると、引用発明において、ランドリー店舗10固有のプリペイドカードに関する情報(プリペイドカードコード)を、携帯端末51を用いてサーバ30に登録した「ユーザ」に対して、「前記ランドリー機器20を利用する毎にポイントを付与し、このポイントを利用代金の一部に充当できるように」することの示唆はあるといえる。しかしながら、引用発明の「セルフランドリーシステム1」は、携帯端末51を用いて、支払情報(プリペイドカードコード)等のユーザ登録を行ったユーザが利用できる(ユーザ登録を行っていない者は利用できない)ものと解されるから、該ユーザ登録を行った「ユーザ」のグループと、該ユーザ登録を行っていない者のグループとを区別して、料金を設定する動機はないといえる。また、引用文献1には、ランドリー店舗10固有のプリペイドカードに関する情報(プリペイドカードコード)を登録すること以外に、「特定の組織で発行されたカードの情報を登録」することについて、記載も示唆もされていないから、「特定の組織で発行されたカードの情報を登録しているグループ」に対して、「他のグループ」と別の料金を設定する動機もない。
また、引用文献2には、段落【0054】(前記第4 2(1)イ(イ)参照。)によると、コインランドリーのプリペイドカードや会員カードを使用して操作した回数が予め設定された特典付与回数に到達した利用客に対してサービス特典を付与したり、ランドリー機器の利用料金を割引したりすることが記載されているが、プリペイドカードや会員カードに関する情報を
登録
している利用客に対し、何らかの特典を与えること、特に該情報を登録していない者と異なる特典を与えることについては記載も示唆もされていない。この点は、引用文献3~5や、特許異議申立人が提出した甲第5号証、甲第6号証及び甲第8号証の記載をみても同様である。
したがって、引用発明において、引用文献1に記載された事項、引用文献2に記載された事項、甲第5号証に記載された事項、甲第6号証に記載された事項及び甲第8号証に記載された事項を考慮しても、本件特許発明6の前記相違点3に係る発明特定事項とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たものではない。
ウ まとめ
以上によると、本件特許発明6は、引用発明、引用文献1に記載された事項、引用文献2に記載された事項、甲第5号証に記載された事項、甲第6号証に記載された事項及び甲第8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、請求項6を引用する本件特許発明7についても、本件特許発明6の相違点3に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記した本件特許発明6についての理由と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)特許法第17条の2第3項について
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書の第74ページ下から2行~第76ページ第10行において、本件特許発明1における、令和5年8月23日に提出された手続補正書により補正された「『他の利用者』(とは異なる料金)」について、この記載では、「他の利用者全員と異なる」(すなわち、ある1人の利用者と同じ料金である他人は1人もおらず、全員がそれぞれに異なる料金である)ことを意味するものと解することも可能であるが、そのようなことは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)のどこにも記載されていない旨を主張している。
しかしながら、本件訂正後の請求項1には、料金について「前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対して個別に他の利用者とは異なる料金であり、予め設定されている料金で、・・・」と記載されており、「前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者」と、「他の利用者」との料金が異なることが特定されているが、「他の利用者」同士の料金が異なることは特定されていない。したがって、特許異議申立人が主張する、料金が「他の利用者全員と異なる」(すなわち、ある1人の利用者と同じ料金である他人は1人もおらず、全員がそれぞれに異なる料金である)ことを特定するものではない。さらに、本件訂正後の請求項1の前記記載は、本件の当初明細書等の明細書及び図面の記載が何ら補正されておらず、特許明細書等の明細書及び図面の記載と同じであることを踏まえると、前記第2 2(1)イに示した理由と同様の理由により、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
なお、本件訂正前の令和5年8月23日に提出された手続補正書により補正された請求項1の記載をみても、「前記複数の利用者の少なくとも一部」と、「他の利用者」との料金が異なることを特定しているのみで、「他の利用者」同士の料金が異なることは特定していないのであるから、特許異議申立人が主張する、料金が「他の利用者全員と異なる」(すなわち、ある1人の利用者と同じ料金である他人は1人もおらず、全員がそれぞれに異なる料金である)ことを特定するものではない。
したがって、特許異議申立人の前記主張は採用できない。
イ 特許異議申立人は、特許異議申立書の第76ページ第11行~第18行において、本件特許発明1における、令和5年8月23日に提出された手続補正書により補正された「(他の利用者とは)『異なる』料金」について、この記載では、例えば「値上げされた料金」も含まれ、また値引きの料金にしても、発明の詳細な説明に記載されていないような値引きの料金も含まれると解されるが、そのようなことは、当初明細書等のどこにも記載されていない旨を主張している。
しかしながら、当初明細書等の特許請求の範囲の請求項1に「前記複数の利用者の少なくとも一部に対して個別に料金を設定」することが記載され、当初明細書等の明細書の段落【0050】(前記第2 2(1)イ(イ)参照。)に「本実施形態の最も最上位の概念は、ユーザ、及び、ユーザの属性(ステータス、関係者か否か、管理者か)によって、その処理を変化させることである。」と記載されていることを踏まえると、当初明細書等の記載から、ユーザ、及びユーザの属性(ステータス、関係者か否か、管理者か)によって、個別に料金を設定することが把握できる。したがって、本件訂正後の請求項1に記載された「前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対して個別に他の利用者とは異なる料金であり、予め設定されている料金」に、他の利用者に比べて値上げされた料金が含まれ、あるいは、発明の詳細な説明の各実施形態に記載されていない値引きの料金が含まれるとしても、そのことをもって、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないとはいえない。
したがって、特許異議申立人の前記主張は採用できない。
(3)特許法第36条第6項第1号及び第2号について
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書の第77ページ第14行~第25行において、本件特許発明1の「他の利用者とは異なる料金を設定」について、請求項1の記載では上記の「他の利用者(とは異なる)」は、「他の利用者全員(とは異なる)」の意味に解するのが正解と解されるところ、そのようなことは発明の詳細な説明に記載されておらず、仮に、「他の利用者(とは異なる)」が、「他の利用者全員(とは異なる)を意味するものでないはないとすれば、「他の(利用者)」とは、どのような「他の」利用者であるのか、その意味するところが不明である旨を主張している。
しかしながら、本件訂正後の請求項1には、料金について「前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者に対して個別に他の利用者とは異なる料金であり、予め設定されている料金で、・・・」と記載されており、「前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者」と、「他の利用者」との料金が異なることが特定されているが、「他の利用者」全員と料金が異なることは特定されていない。したがって、特許異議申立人が主張する、「他の利用者(とは異なる)」は、「他の利用者全員(とは異なる)」の意味に解するのが正解と解されるという主張は妥当ではない。
また、本件訂正後の請求項1の記載において、「他の利用者」とは、「管理者以外関係者」以外の者であることは明らかである。
したがって、特許異議申立人の前記主張は採用できない。
イ 特許異議申立人は、特許異議申立書の第77ページ第26行~第78ページ第10行において、本件特許発明5の「前記制御装置は、前記紐付けの結果、前記複数の利用者を複数のグループに分け」ることについて、発明の詳細な説明においては、管理者か否か、利用者のクラス、抽選結果、その他の条件によって、自動的に分けられることが記載され、「制御装置」が「複数の利用者を複数のグループに分け」ることについては、どこにも記載されておらず、また、「制御装置」が「複数の利用者を複数のグループに分ける」とは、具体的に「制御装置」がどのような処理を行うことを意味しているのか不明である旨を主張している。
しかしながら、特許明細書等の段落【0052】、【0053】(前記第2 2(1)イ(イ)参照。)には、「図13のように、ステータス・カテゴリ処理される。具体的には、・・・ステップS105において、
関係者か否か判断する
。・・・関係者であっても、そのクラスはさまざまである。・・・そのため、事前設定によって、どのぐらいの割引をするか、何回まで割引するかなどの条件が、人によって(クラスによって)異ならせても良いことになる。そのため、ステップS106において、
その個人のクラス
と、利用回数など
を特定し記憶する
。
この判断・記憶等は
、図1に
サーバ30等でなされてよい
。」と記載されているから、サーバ30、つまり制御装置が、関係者か否かを判断し、該関係者のクラスを記憶することが示唆されている。したがって、訂正後の本件特許発明5における「前記制御装置は、前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者を複数のグループに分け」ることは、発明の詳細な説明に記載されたものである。
また、訂正後の本件特許発明5における前記の事項は、制御装置が「前記紐付けの結果、前記複数の利用者の少なくとも一部であり一般ユーザ以外の管理者以外関係者を複数のグループに分け」る処理を行うことを特定するものであり、当業者がみて、何ら不明確な点はない。
したがって、特許異議申立人の前記主張は採用できない。
ウ 特許異議申立人は、特許異議申立書の第78ページ第11行~第79ページ第2行において、本件特許発明6の「前記複数の利用者の携帯端末は、それぞれの利用者の操作に基づいて、カードの情報を前記制御装置に登録」することについて、発明の詳細な説明には、具体的にどのようにして「携帯端末」が主体性をもって「カードの情報を制御装置に登録」するのか一切記載されておらず、また、「携帯端末」が主体性をもって「カードの情報を制御装置に登録」するとは、どういうことなのか、技術常識から考えても現実的に可能な事項と思えず、明確でない旨を主張している。
しかしながら、本件特許発明6の「前記複数の利用者の携帯端末は、それぞれの利用者の操作に基づいて、カードの情報を前記制御装置に登録」するという事項について、「それぞれの利用者の操作に基づいて」との記載があることを踏まえると、「前記複数の利用者の携帯端末」が、それぞれの利用者に操作されることによって、それぞれの利用者が「カードの情報を前記制御装置に登録」することを意味していることは、技術的にみて明らかである。よって、請求項6の記載に日本語として正確でない表現があるとしても、請求項6の記載が、「携帯端末」が主体性をもって「カードの情報を制御装置に登録」することを意味していると解することは妥当でない。
したがって、特許異議申立人の前記主張は採用できない。
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件の請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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