sokuhyo

Trademark Appeal Case

耐火被覆構造の進歩性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025700347
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7563936号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本件特許の請求項1及び2に係る特許についての出願から現在までの手続きの経緯の概略は次のとおりである。

令和2年10月 9日 :出願(特願2020-171497号)

令和6年 9月30日 :特許権の設定登録

同年10月 8日 :特許掲載公報の発行

令和7年 3月26日 :本件特許の請求項1及び2に係る特許に対する

特許異議申立人 村野 親(以下、「申立人」

という。)による特許異議の申立て

第2 本件特許発明

本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」等といい、それらをまとめて「本件特許発明」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりの次のものである。

「【請求項1】

外壁と対向するように設けられている鋼材を耐火被覆した耐火被覆構造であって、前記外壁と、前記鋼材の上部に設置された床版と、前記鋼材の表面に設けられた無機系の耐火被覆材からなり、

前記耐火被覆材は、前記鋼材の前記外壁と対向する側に対して反対側と、前記床版と対向する側に対して反対側と、前記外壁と前記鋼材の間を塞ぐように設けられるとともに、その表面に可燃性の有機系材料からなる防湿層とを備えており、

前記外壁と前記床版と前記耐火被覆材で囲まれる空間の内部には断熱材が設けられていないことを特徴とする耐火被覆構造。

【請求項2】

請求項1に記載の耐火被覆構造を施工する方法であって、

前記鋼材の表面に前記耐火被覆材を施工した後、前記耐火被覆材の外側に前記防湿層を施工することを特徴とする耐火被覆構造の施工方法。」

第3 証拠方法、特許異議申立理由の概要

1 証拠について

申立人が特許異議申立書とともに提出した証拠は次のとおり。

甲第1号証:特開平10-331306号公報

甲第2号証:特開平8-93076号公報

甲第3号証:特願2020-171497号(本件特許出願)に係る令和6年4月10日付け拒絶理由通知書

以下「甲第1号証」等を「甲1」等という場合がある。

2 異議申立理由の概要

請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

第4 異議申立理由についての当審の判断

1 引用文献について

(1) 甲1について

ア 甲1の記載事項

甲1には、以下の記載がある(下線は当審合議体が付与した。以下同様。)。

(ア) 段落【0002】~【0010】

「【0002】

【従来の技術】鉄骨造の建築物にあっては、仕上材と鉄骨の固定が柱、梁、胴縁などに限られていること、鉄の熱伝導率がコンクリートのそれよりはるかに高いことにより、冷橋(外部の寒冷熱の熱伝導)の影響を受け易く、冷橋作用によって鉄骨や鉄梁に結露を生じ、長じて鉄材の錆腐蝕によって建造物に部分的な脆弱部が発生し、設計値どおりの強度が保障出来ないという欠陥があった。

【0003】従って、鉄骨造建築に於て、柱及び梁の構造物に結露が生じないように、即ち冷橋作用が及ばないように外断熱構造とするために、外壁材として、スチールシートの外皮材及び内皮材間に硬質ウレタンフォームを芯材として一体化したイソバンド(商標名)が用いられている。しかし、該イソバンドもテクス(先端がドリルとなるボルト、商標名)で鉄骨に固定した点で冷橋を生じる上に、外壁を形成した後、内部の居住用の仕上げが煩雑であって、しかも、強度や耐火性の点でセメント板より劣るので、イソバンドは主として倉庫や工場等の外壁材として賞用されているのが実情である。

【0004】従来の押出成形セメント板又はALCパネルを外壁材に用いる鉄骨造建築物は図14乃至図18に示す如きものであって、以下に述べる如く建築している。

〔鉄骨造Fの組立(図14,15)〕基礎構造体1は、鉄筋を組み型枠の側面及び上面各内側に、30mm厚の押出発泡ポリスチレンフォーム5を添え、柱支持用アンカーボルト6及び取付用のアングル鋼片12′を支持するための支持片Pを適所に配置した後、コンクリートを型枠内に打設して養生する。

【0005】次に、図14の如く、構造体1から突出したアンカーボルト6に、柱3と梁基部4′の溶接構造物F

0

の基端のベースプレート2を固定し、順次に構造物F

0

を必要段数分上方に溶接して継ぎ足すと共に、各梁基部4′間にも継手板40を介して梁材4を結合して鉄骨造Fを構築する。次いで、基礎構造体1に対しては長さ10cmのアングル鋼片(等辺山形鋼片)12′をコンクリートに固定されている支持体Pに溶接固定し、該アングル鋼片12′に、壁面全長に亘ってアングル鋼材(等辺山形鋼)12をレベル出しして溶接固定し(図15)、各階は、

壁際に平行する梁4

の下面及び上面にアングル鋼材12を溶接固定し(図16)、屋根部分の梁4に対しては下面にアングル鋼材12を溶接固定している(図17)。

【0006】そして、各梁4間の支承用小梁(図示せず)と

梁4上にはデッキプレート7を部分溶接で固定

すると共に、外壁に沿った梁4(アングル鋼材12を取付けた梁)の上面で且つデッキプレート端の外側にはコンクリート流れ止め材(アングル鋼板)45を溶接立設し(図16、図17)、デッキプレート7の適所に天井材を吊るためのインサート35、吊りボルト36を配置した後、

デッキプレート7上にコンクリート打設して床を形成

する。

【0007】〔外壁の形成〕

押出成形セメント板10

は、図18に示す如く、幅60cm、厚さ6cm、長さ300cmで中央部は縦方向に空洞h

0

が数本貫通しており、1側は凹んだ溝gであり、他側は凸条Rであり、両側の空洞h

0

の端部からl

1

の位置にボルト孔h

1

を穿孔してあり、l

1

の長さは梁4に取付けたアングル鋼材12の垂直辺の高さに基いて設定されている。そして、図18(D)に示す如く、Zクリップ21は、ルーズホールh

2

を基部に有して中央部で段違い状に屈曲した鈑金Z

0

と、ネジ孔h

3

を有する角ナットZ

1

と締着用ボルトネジZ

2

とからなり、押出成形セメント板10のボルト孔h

1

を介してセメント板表面に載置した鈑金Z

0

を空洞h

0

内に載置した角ナットZ

1

にボルトZ

2

で仮止めしてある。

【0008】

押出成形セメント板10

の必要量はあらかじめ各階の床上に運び上げておき、コンクリート床上で

Zクリップ21の仮止めを行った後

、ベビーウインチ等を用いて各コンクリート板10を鉄骨造外面に吊り上げ、1枚づつ、上部Zクリップ21を、梁4下面に溶接したアングル鋼材12の垂下辺に下方から挾持形態に係合(図16)させ、

下部Zクリップ21を、梁4の上面に溶接したアングル鋼材12の垂直起立辺に上方から挾持形態に係合

(図16)

させ、次いでセメント板10を定位置として、Zクリップ21の鈑金Z

0

とセメント板10表面との間にアングル鋼材を挾んだ状態でZクリップ21のボルトネジZ

2

を本固定して、セメント板10を梁4に張設し、建築物の外壁を形成

する。

【0009】〔仕上げ〕外壁を形成した後、柱3、

梁4

及びアングル鋼材

等露出鉄材の周囲には耐火層としてのロックウール層34を吹付け形成し、次いで、押出成形セメント板10の内面には現場発泡の硬質ウレタンフォーム層11bを吹付けにより形成

する。次いで、セメント板10内面に形成された硬質ウレタンフォーム層とコンクリート流れ止め材45との隙間(図16)にはモルタル19を充填し、屋根のコンクリート流れ止め材45とセメント板10との隙間(図17)には、グラスウール33を充填してモルタル19を充填する。又、屋根コンクリート22の表面にはアスファルト露出防水層24を施し、防水層24保護のため端部にアルミニウム製笠木25を施こす。

【0010】内装は、図16の如く、インサート35、吊りボルト36、ハンガー37、野縁受38、クリップ39、を介して設けた野縁40に石膏ボード等の天井材41を、野縁受38に取付けた上部ランナー43とコンクリート床上の下部ランナー42との間に立てたスタッド44を介して石膏ボードの内装材26を張設する。」

(イ) 【図14】~【図16】

「【図14】

223

87

0001430020000001.jpg

【図15】

172

145

0001430020000002.jpg

【図16】

200

145

0001430020000003.jpg

(ウ) 図面から看取できる事項

前記(ア)の記載を踏まえ、(イ)の【図16】から次の事項(以下、「図面看取事項」という。)を看取することができる。

<図面看取事項>

押出成形セメント板10と梁4との間には空間が存在し、前記空間は、押出成形セメント板10、梁4、ロックウール34、及び床により囲まれ、押出成形セメント板10の内面に形成された硬質ウレタンフォーム層11bは、前記空間内の押出成形セメント板10の内面には形成されていない

こと。」

イ 甲1発明

前記アから、甲1には次の2つの発明(以下、それぞれを「甲1発明」及び「甲1方法発明」という。)が記載されている。なお、「セメント板10」は、構成要素の番号からみて、「押出成形セメント板10」を表すことは明らかであるから、「押出成形セメント板10」に置き換えた。

<甲1発明>

「壁際に平行する梁4等露出鉄材の周囲に耐火層としてのロックウール層34を吹付け形成した構造であって、(段落【0005】、【0009】)

押出成形セメント板10にZクリップ21の仮止めを行った後、下部Zクリップ21を、梁4の上面に溶接したアングル鋼材12の垂直起立辺に上方から挾持形態に係合させ、次いでセメント板10を定位置として、Zクリップ21の鈑金Z

0

とセメント板10表面との間にアングル鋼材を挾んだ状態でZクリップ21のボルトネジZ

2

を本固定することにより、押出成形セメント板10を梁4に張設して形成した建築物の外壁と、(段落【0008】)

梁4上にデッキプレート7を部分溶接で固定し、デッキプレート7上にコンクリート打設して形成された床と、(段落【0006】)

梁4等露出鉄材の周囲に耐火層として吹付け形成したロックウール層34からなり、(段落【0009】)

押出成形セメント板10と梁4との間には空間が存在し、前記空間は、押出成形セメント板10、梁4、ロックウール34、及び床により囲まれ、押出成形セメント板10の内面に形成された硬質ウレタンフォーム層11bは、前記空間内の押出成形セメント板10の内面には形成されていない構造。(図面看取事項)」

<甲1方法発明>

「甲1発明の構造を施工する方法であって、

梁4等露出鉄材の周囲には耐火層としてのロックウール層34を吹付け形成する、甲1発明の構造の施工方法。(段落【0009】)」

(2) 甲2について

ア 甲2の記載事項

甲2には、以下の記載がある。

(ア) 段落【0001】~【0010】

「【0001】

【産業上の利用分野】本発明は

建築物等の屋外部に露出する鉄骨等の耐火被覆において、長期にわたって所期の耐火性能を維持することのできる耐火被覆積層構造

を提供するものである。

【0002】

【従来技術】従来より、鉄骨造等の建築物、構造物には耐火被覆材を施工することが、法的に義務づけられている場合がある。これは火災による高温状態において、建築物、構造物の重量を支える鉄骨の強度が低下し、極端な場合には挫屈してしまうのを防ぎ、最低限度の構造維持をさせる為である。一方、昨今個性的な建築物等が設計され、本来それら建築物の躯体内部において構造維持の目的を達していた鉄骨を、躯体外部、特に屋外に露出させる構造が見受けられるようになってきた。また、ビルの高層化やインテリジェント化によって、屋上に機械設置用鉄骨やヘリポート用鉄骨構造物等が設けられることが多くなってきた。このような屋外における鉄骨の耐火被覆では、例えばラスモルタルこて塗り工法が多く使用されている。このラスモルタルこて塗り工法は下地にラス金網を使用し、左官でモルタルやプラスターを塗る工法である。どのような形状の下地に対しても施工でき、施工ジョイントがなくきれいに仕上がるという特徴を有している。また、この他にもロックウール吹き付け後、アルミ等の金属パネルで囲う方法や、あまり化粧性を要求しないプラント関係のパイプラック等の耐火被覆には、撥水処理したケイ酸カルシウム板を取りつける工法等も用いられている。ロックウール吹き付けは乾式ロックウール、あるいは半乾式ロックウールと言われるもので、ロックウールを主体に一部アスベストを加えたものに、セメントを混合した材料を、ノズルから鉄骨面に吹き付けるものである。このときポンプで送られた圧縮空気により噴霧化された混合水が、ノズルの周囲から同時に噴霧され、構成材料を包むように混合しながら施工面に吹き付けられる。この工法は安価であり、吹き付け機械等の装置も軽量であり取扱いやすいので施工実績が多い。ケイ酸カルシウム板等の成形板を用いた工法は、予め工場で生産された成形板を鉄骨梁、柱に接着剤にて仮止めし、続いて釘やかすがいを使用して取りつける工法である。これら耐火被覆工法以外に湿式耐火被覆材を用いる工法も試みられている。例えばセメントなどの無機質バインダーに、ロックウール、アスベスト、ガラス繊維などの無機質繊維状物質、パーライト、バーミキュライトなどの軽量骨材を水と混練し、ペースト状或いはスラリー状になった混合組成物を基材表面に吹き付けやこて塗りにて厚付けする湿式ロックウールや結晶水を含有する無機質粉体、例えば水酸化アルミニウムなどを、セメントなどの無機質バインダー、ガラス繊維などの無機質繊維状物質、パーライト、バーミキュライトなどの軽量骨材、水と混練したセラミック系耐火被覆材等である。

・・・(略)・・・

【0004】

【課題を解決するための手段】

このような問題点を解決するために、本発明者らは鋭意研究の結果、従来の外部で使用する耐火被覆材での問題は、降雨等による水分の侵入の問題に集約できるものと推察し、まず耐火被覆材に防水処理を施すことにより、外部からの水分侵入を防止すること、次に予め耐火被覆材中に含有している水分により、先の防水材が押上げられ膨れる問題が生じないように、耐火被覆材が内部の水分を拡散できる通気性を有し、かつ鉄骨の取り合い等の複雑な部位にも施工容易な湿式材料であること等の方法に想到し本発明を完成した。すなわち、本発明は図1に示した概念図のような構成であるが、その具体的な態様としては、

1.

鉄骨表面に

、(1)

ラス金網

、(2)

乾燥時の通気性が10~10000 (l/m

2

min・100 mmHg・20mm) の湿式耐火被覆材層

、(3)

防水層を順次積層

したことを特徴とする外部用鉄骨耐火被覆積層構造。

2.鉄骨表面に、(1) ラス金網、(2) 乾燥時の通気性が10~10000 (l/m

2

min・100 mmHg・20mm) の湿式耐火被覆材層、(3) 下塗層、(4) 防水層を順次積層したことを特徴とする外部用鉄骨耐火被覆積層構造。

3.防水層の引張強度が50N/cm

2

以上、塗膜の伸び率が50%以上、透水量が0.5ml/24h以下であることを特徴とする1.または2.に記載の外部用鉄骨耐火被覆積層構造。

4.湿式耐火被覆材が、セメント、水酸化アルミニウム、軽量骨材、充填材を主要組成とする湿式耐火被覆材であることを特徴とする1.から3.の何れかに記載の外部用鉄骨耐火被覆積層構造。

5.防水層の表面に仕上層をさらに積層することを特徴とする1.から4.の何れかに記載の外部用鉄骨耐火被覆積層構造。があげられる。

【0005】本発明において使用される鉄骨は、一般の構造物に適用される構造用鋼材、例えば、JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材、JIS G 3106 溶接構造用圧延鋼材、JIS G 3114 溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材、JIS G 3350 一般構造用軽量形鋼、JIS G 3353 一般構造用溶接軽量H形鋼、JIS G 3444 一般構造用炭素鋼鋼管、JIS G 3466 一般構造用角形鋼管、JIS G 5201 溶接構造用遠心力鋳造管、耐火鋼、JIS G 3601 ステンレスクラッド鋼等のものであり、さらにその表面に防錆層を有するものが望ましい。このような防錆層としては鉄骨の錆を防止するための錆止めペイントを塗付して形成するものであり、JIS K 5621の一般用さび止めペイント、JIS K 5622の鉛丹さび止めペイント、JIS K 5623の亜酸化鉛さび止めペイント、JIS K 5624の塩基性クロム酸鉛さび止めペイント、JIS K 5625のシアナミド鉛さび止めペイント、JIS K 5627ジンククロメートさび止めペイント、JIS K 5628鉛丹ジンククロメートさび止めペイント等があげられる。

・・・(略)・・・

【0007】

湿式耐火被覆材として

は、従来から使用されているものであれば特に限定はされないが、乾燥時の通気性が上述した範囲であり、かつ耐火被覆材層の強度や耐火性能を考慮すると、

セメント、水酸化アルミニウム、軽量骨材、充填材を主要組成とするものが望まし

い。

特に、

(a)

セメント、

(b)

再乳化型粉末合成樹脂および/または合成樹脂エマルション、

(c)

軽量骨材、

(d)

水酸化アルミニウムを主要組成

とし、(a) 100重量部に対して、(b) 3~50重量部(固形分)、(c) 20~300重量部、(d)50~600重量部からなるものは、強度、耐火性能、通気性から最も望ましい。この湿式耐火被覆材の乾燥時の通気性は10~10000 (l/m

2

min・100 mmHg・20mm) の範囲であるが、10 (l/m

2

min・100 mmHg・20mm) より小さいときは、鉄骨の取り合い部分等から水が侵入し、耐火被覆材に含浸している場合において、直射日光等による急激な温度上昇により水蒸気が発生し、その水蒸気によって下塗層または防水層が押上げられ膨れてしまう。また、耐火被覆材の緻密性が高く強度が大きいため、収縮が大きくなり耐火被覆材そのものにクラック発生の可能性がある。10000 (l/m

2

min・100mmHg・20mm)より大きいときは、耐火被覆材の強度が低下し、塗膜本来の付着強度が保持できず下塗層または防水層が剥離する。乾燥時の通気性の測定方法は図2に示した通気性測定装置を使用して、エアポンプから段階的に圧力を上昇させながら空気を送り、その際の試験体を通過する空気の量を流量計により測定して得られた圧力と流量のデータから求められる一次曲線より、単位面積(m

2

)、単位時間(min)、一定圧力(100mm Hg)、一定厚み(20mm)に換算して表したものである。尚、鉄骨の取り合い等の複雑な部位以外の場合は、このような湿式耐火被覆材を予め成形加工したものを取り付ける方法によれば、吹き付けの手間が省けてより効率的になる。

【0008】

防水層としては、湿式耐火被覆材に密着すると共に外部からの水の侵入を防ぎ、湿式耐火被覆材の耐久性を当初のレベルで確保するものであれば特に限定され

ない。

このようなものには、シート防水、塗膜防水がある

。シート防水とは、塩化ビニルや加硫ゴム等の防水シートを下塗材(接着材)を介して躯体に接着させる防水工法であり、塗膜防水とは、液状のゴムや樹脂を塗料化して、ローラーや吹き付けにより躯体に塗付して形成される防水塗膜による防水工法である。耐火被覆材として、鉄骨の取り合い等の複雑な部位にも施工容易であるという長所を活かして、湿式を使用しているので、防水層としても複雑な部位への施工が容易な塗膜防水が望ましい。このような防水層は、その防水層の20°C、標準状態における引張強度が50N/cm

2

以上、塗膜の伸び率が50%以上、透水量が0.5ml/24h以下の場合において、本発明の効果としての、耐火被覆材の外部での長期にわたる性能維持をより顕著に得ることができる。上述の物性を有する防水層としては、望ましくはJIS A 6021 屋根用塗膜防水材や、JIS A 6910 複層仕上塗材防水形主材に該当するもの等があげられる。防水層の引張強度、塗膜の伸び率は、JIS K 5400 8.8「引張強さと伸び率」の規定に基づいて、また透水量は、JIS K 5400 8.16 「透水度」の規定に基づいて測定する。尚、防水層がシート防水の場合や塗膜防水においても、耐火被覆材との密着性が劣る場合には、耐火被覆材に下塗材(接着材)を塗布した後に防水層を施す必要がある。このような下塗層としては、アクリル、ウレタン、エポキシ系等の各種接着材、アクリル、ウレタン、エポキシ、塩素化ポリオレフィン系等の溶剤系シーラーや、水性系シーラー、エマルションとセメントからなるポリマーセメント、弾性ポリマーセメント等が使用できる。

・・・(略)・・・

【0010】

【実施例】

(実施例1)

<通気性試験方法>表1に記載の配合例に混練用の水を加えて湿式耐火被覆材スラリーを調整したこれを型枠に流し込んで、硬化、脱型し、相対する二辺の距離が60mmとなるような厚み20mmの八角形の基板を作製した。この基板の表裏面に50mmφの非塗布面を残して、他の部分をエポキシ樹脂系接着剤を使用して被覆して硬化させた。その後、エポキシ樹脂接着剤面をサンドペーパーにて研磨して図3のようなアタッチメントmにシール用パッキンnと共に挟持した後、図2に示すような通気性測定装置にセットした。通気性測定装置はエアポンプhから、圧力調整弁iを介して、圧力計jで圧力を測定された空気が圧送され、試験体装着部へと導入されている。一方、試験体装着部から排出された空気は流量計kに導かれ、1分間の流量がリットル単位で測定される。試験体装着部は図4のようになっており、先のように基板にエポキシ樹脂系接着剤を使用して被覆した以外の部分(50mmφ)を空気が通過するようになっている。このようにして測定した圧力と流量のデータから求められる一次曲線より、単位面積(m

2

)、単位時間(min )、一定圧力(100mm Hg)、一定厚み(20mm)に換算したところ乾燥時の通気性は6454 (l/m

2

min・100 mmHg・20mm) であった。

<圧縮強度>次に、前記湿式耐火被覆材スラリーを型枠に流し込んで、硬化、脱型し、断面40×40×160mmの角柱を作製し、これを使用してJIS A 1172「ポリマーセメントモルタルの強さ試験方法」に基づいて圧縮強度を測定したところ67N/cm

2

であった。

<嵩密度>圧縮強度測定の際に作製した角柱の重量を測定して、嵩密度を算出したところ0.51g/cm

3

であった。

<塗膜の膨れ>次に、前記湿式耐火被覆材スラリーを型枠に流し込んで、硬化、脱型し、300×300×20mmの基板を作製した。この基板を充分に乾燥した後に、図5のように下塗層eとして塩化ゴム系シーラー(エスケー化研株式会社製「レナエクセレント下塗材」)を塗布量0.20kg/m

2

で塗布した。下塗層の乾燥後に、

防水層fとしてアクリルゴム系屋根用塗膜防水材

(エスケー化研株式会社製「レナエクセレントA」)を塗布量2.4kg/m

2

にて塗布乾燥し、さらに仕上層gとして溶剤形二液反応タイプ弾性ウレタンエナメル(エスケー化研株式会社製「弾性ウレタンカラー」)を塗布した。塗装後14日間養生(20°C、65%RH)したものを、7日間水浸漬し試験体とした。この試験体の塗膜面を、図5のようにセラミックヒーターoにて加熱し、最大70°Cにして6時間保持し、その後塗膜の膨れを目視にて確認した。

<耐候性>次に、1000×400×5mmの鉄板に9mmφの鉄筋を溶接し、さらにその鉄筋にリブラスを針金にて取りつける。該リブラスに前記湿式耐火被覆材スラリーをコテにて厚み20mmで塗りつける。このようにして作製した試験体を屋外に1年間暴露し、クラックの発生の有無を確認したところ、クラックの発生はみられなかった。

(実施例2~比較例2)表1に記載した配合例によって作製した耐火被覆材を使用した以外は、実施例1と同様にして、各試験をおこなった。結果を表2に示した。」

(イ) 【図1】

143

145

0001430020000004.jpg

イ 甲2記載技術

前記アから、甲2には次の技術的事項(以下、「甲2記載技術」という。)が記載されている。

<甲2記載技術>

「建築物等の屋外部に露出する鉄骨等の耐火被覆において、長期にわたって所期の耐火性能を維持することのできる耐火被覆積層構造において、(段落【0001】)

鉄骨表面に、ラス金網、乾燥時の通気性が10~10000(l/m

2

min・100 mmHg・20mm)の湿式耐火被覆材層、防水層を順次積層し、(段落【0004】)

湿式耐火被覆材としては、セメント、水酸化アルミニウム、軽量骨材、充填材を主要組成とするものが望ましく、特に、セメント、再乳化型粉末合成樹脂および/または合成樹脂エマルション、軽量骨材、水酸化アルミニウムを主要組成とし、(段落【0007】)

防水層として、湿式耐火被覆材に密着すると共に外部からの水の侵入を防ぎ、湿式耐火被覆材の耐久性を当初のレベルで確保するものであれば特に限定されず、このようなものには、シート防水、塗膜防水、アクリルゴム系屋根用塗膜防水材が挙げられること。(段落【0008】、【0010】))」

2 対比・検討・判断

(1) 本件特許発明1

ア 対比

本件特許発明1と甲1発明を対比する。

(ア) 甲1発明の「外壁」は、本件特許発明1の「外壁」に相当する。

(イ) 甲1発明の「梁4」は、「露出鉄材」であり、「壁際に平行」した位置関係にあり、ここで「壁際」が「外壁」の「際」を表すことは明らかであるから、本件特許発明1の「外壁と対向するように設けられている鋼材」に相当する。

(ウ) 前記(イ)を踏まえると、甲1発明の「構造」は、「梁4」の「周囲に耐火層としてのロックウール層34を吹付け形成した」ものであるから、本件特許発明1の「外壁と対向するように設けられている鋼材を耐火被覆した耐火被覆構造」に相当する。

(エ) 前記(イ)を踏まえると、甲1発明の「床」は、「梁4上」に「デッキプレート7を部分溶接で固定し、デッキプレート7上にコンクリート打設して形成された」ものであるから、本件特許発明1の「前記鋼材の上部に設置された床版」に相当する。

(オ) 甲1発明の「ロックウール層34」は、「梁4等露出鉄材の周囲に耐火層として吹付け形成した」ものであり、無機系のものであることは明らかであるから、本件特許発明1の「前記鋼材の表面に設けられた無機系の耐火被覆材」に相当する。

(カ) 甲1発明において、「押出成形セメント板10にZクリップ21の仮止めを行った後、下部Zクリップ21を、梁4の上面に溶接したアングル鋼材12の垂直起立辺に上方から挾持形態に係合させ、次いでセメント板10を定位置として、Zクリップ21の鈑金Z

0

とセメント板10表面との間にアングル鋼材を挾んだ状態でZクリップ21のボルトネジZ

2

を本固定して」いるから、「梁4」の下面側は、「アングル鋼材12」と「下部Zクリップ21」により、「外壁」である「押出成形セメント板10」と接続している。

そうすると、甲1発明の「押出成形セメント板10を梁4に張設して形成した建築物の外壁と、梁4上にデッキプレート7を部分溶接で固定し、デッキプレート7上にコンクリート打設して形成された床と、梁4等露出鉄材の周囲に耐火層として吹付け形成した」「ロックウール層34」は、「ロックウール層34」が、梁4において外壁と対向する側に対して反対側と、外壁と梁4の間が塞がれるように「吹き付け形成」されることは明らかであるから、本件特許発明1の「前記鋼材の前記外壁と対向する側に対して反対側と、前記床版と対向する側に対して反対側と、前記外壁と前記鋼材の間を塞ぐように設けられる」「前記耐火被覆材」に相当する。

(キ) 甲1発明の「押出成形セメント板と梁4との間には空間が存在し、前記空間は、押出成形セメント板、梁4、ロックウール34、及び床により囲まれ、押出成形セメント板10の内面に形成された硬質ウレタンフォーム層11bは、前記空間内の押出成形セメント板10の内面には形成されていない」ことは、本件特許発明1の「前記外壁と前記床版と前記耐火被覆材で囲まれる空間の内部には断熱材が設けられていないこと」に相当する。

前記(ア)~(キ)から、本件特許発明1と甲1発明は、次の一致点で一致し、相違点1で相違する。

<一致点>

「外壁と対向するように設けられている鋼材を耐火被覆した耐火被覆構造であって、前記外壁と、前記鋼材の上部に設置された床版と、前記鋼材の表面に設けられた無機系の耐火被覆材からなり、

前記耐火被覆材は、前記鋼材の前記外壁と対向する側に対して反対側と、前記床版と対向する側に対して反対側と、前記外壁と前記鋼材の間を塞ぐように設けられ、

前記外壁と前記床版と前記耐火被覆材で囲まれる空間の内部には断熱材が設けられていない耐火被覆構造。」

<相違点1>

本件特許発明1は、「前記耐火被覆材」の「表面に可燃性の有機系材料からなる防湿層とを備えて」いるのに対し、甲1発明の「ロックウール34」の表面について、そのような特定がされていない点。

イ 検討・判断

相違点1について検討する。

(ア) 本件特許発明1の「防湿層」について

本件特許発明1の「防湿層」について、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の発明の詳細な説明に次の記載がある。

a 段落【0011】:「本発明者は、鉄骨部材4を外壁1から離す代わりに、無機系の吹付けロックウール5の表面に透湿抵抗の高い防湿材を用いた防湿層を施すことによる結露の軽減対策を考案して、以下の本発明に至った。」

b 段落【0016】:「本発明に係る耐火被覆構造によれば、鋼材を耐火被覆した耐火被覆構造であって、鋼材の表面に設けられた無機系の耐火被覆材と、この無機系の耐火被覆材の外側に設けられた可燃性の有機系材料からなる防湿層とを備えるので、無機系の耐火被覆材のみで鋼材を被覆した構造に比べて耐火性能を向上することができる。また、防湿性能を付与することができるという効果を奏する。」

c 段落【0022】:「耐火被覆材14は、例えば、吹付けロックウールなどの無機系の耐火被覆材を用いて構成することができる。有機系材料16は、例えば、ゴムアスファルト系防水材、ウレタンゴム系防水材、ニトリルゴム系防水材、アクリルゴム系防水材や吹付け硬質ウレタンフォームなどの可燃性の防湿材を用いて構成することができる。この有機系材料16は、ゴムアスファルト系防水材、ウレタンゴム系防水材、ニトリルゴム系防水材、アクリルゴム系防水材または吹付け硬質ウレタンフォームの少なくとも一つを主材として含んで構成してもよい。耐火被覆材14の外側表面に有機系材料16の防湿層18を設けることで、室内の水蒸気Wが外壁面に結露する事態を未然に防ぐことできる。」

(イ) 甲2記載技術について

甲2記載技術(前記1(2)イを参照。)の「アクリルゴム系屋根用塗膜防水材」は、「建築物等の屋外部に露出する鉄骨等の耐火被覆において、長期にわたって所期の耐火性能を維持することのできる耐火被覆積層構造」において用いられる有機系材料からなる「防水材」である。

しかしながら、甲2に「防水材」が「防湿」機能を有する旨の記載や示唆がないから、甲2記載技術は、建築物等の屋内の壁面等で発生する「結露」防止を目的とした「防湿」機能についての技術を表すものではない。

そのため、甲1発明と甲2記載技術は、建築物で用いられる鉄骨の耐火被覆構造という点では共通する技術であるが、甲1発明は建物の外壁内に設けられる「梁4」の「耐火層」に係る技術であるため、甲2記載技術の「建築物等の屋外部に露出する鉄骨等の耐火被覆」に用いる「アクリルゴム系屋根用塗膜防水材」を適用する動機があるものではない。

また、仮に甲1発明に甲2記載技術を適用する動機があるとしても、甲2記載技術の「アクリルゴム系屋根用塗膜防水材」は、「防湿」を目的とするものではないから、甲1発明に甲2記載技術を適用したとしても、甲1発明に有機系材料からなる「防水材」による防水層を備えるものを当業者が想到するに止まり、本件特許発明1の相違点1に係る「防湿層」とするものとはならない。

そして、本件特許発明1は、相違点1に係る「防湿層」により、「無機系の耐火被覆材のみで鋼材を被覆した構造に比べて耐火性能を向上することができる」ことや、「耐火被覆材14の外側表面に有機系材料16の防湿層18を設けることで、室内の水蒸気Wが外壁面に結露する事態を未然に防ぐことできる。」という格別の効果を奏するものである。

したがって、甲1発明に対して、甲2記載技術を適用して、本件特許発明1の相違点1に係る構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

ウ 申立人の主張について

(ア) 主張の概要

申立人は、特許異議申立書の3(4)ウ(ア)(同書の10頁を参照。)において概ね次の主張を行っている。

「相違点1:鋼材の表面に吹き付けられた無機系の耐火被覆材の表面に、

本件特許発明1では、可燃性有機系材料の防湿層を有する(構成要件D)のに対し、

甲1発明では、そのような防湿層を有さない点。

そこで、相違点1について検討する。

鋼材を耐火被覆した無機系の耐火被覆材の表面に、可燃性有機系材料の防湿層を有する点は、甲第2号証に甲2記載耐火被覆防水として記載されている。

そして、甲第2号証に記載された耐火被覆は、鉄骨の耐火被覆であり、甲1発明と技術分野を一にし、機能・作用も共通するのみならず、「構造物に結露が生じないように」(甲1段落【0003】、段落【0012】に同趣旨)、「外部からの水の侵入を防ぎ、湿式耐火被覆材の耐久性を当初のレベルで確保するもの」(甲2段落【0008】)という課題の共通性もあることから、甲2記載耐火被覆防水を甲1発明に適用することは、容易に想到し得るものである。」

(イ) 主張に対する見解

甲2に記載された技術は、甲2記載技術として、前記イに示したとおり、甲2記載技術の「建築物等の屋外部に露出する鉄骨等の耐火被覆」に用いる「アクリルゴム系屋根用塗膜防水材」であるから、屋内にある「梁4」に係る甲1発明に適用する動機がなく、甲2記載技術は「防水」機能に止まり、「防湿」のためのものである記載や示唆もなく、本件特許発明1の相違点1に係る構成により格別の効果を奏するから、甲1発明に対して、甲2記載技術を適用して、本件特許発明1の相違点1に係る構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

よって、申立人の主張は、前記イに示した判断を左右するものではなく、採用できない。

エ 小括

したがって、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2記載技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件特許発明2

ア 対比

本件特許発明2と甲1方法発明を対比する。

甲1方法発明の「梁4及びアングル鋼材等露出鉄材の周囲には耐火層としてのロックウール層34を吹付け形成する」ことは、本件特許発明2の「前記鋼材の表面に前記耐火被覆材を施工」することに相当する。

そして、前記(1)アの対比を踏まえると、相違点1に加え、次の相違点2で相違し、その余の点で一致する。

<相違点2>

本件特許発明2は、「前記鋼材の表面に前記耐火被覆材を施工した後、前記耐火被覆材の外側に前記防湿層を施工する」のに対し、甲1方法発明は、「梁4及びアングル鋼材等露出鉄材の周囲には耐火層としてのロックウール層34を吹付け形成」した後に「前記耐火被覆材の外側に前記防湿層を施工する」ことが特定されていない点。

イ 検討・判断

相違点1は、前記(1)イに示したのと同様に、甲1発明の構造を施工する方法である甲1方法発明に対して、甲2記載技術を適用して、本件特許発明2の相違点1に係る構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

そして、「防湿層」に関する相違点2についても、相違点1と同様に、甲1方法発明に対して、甲2記載技術を適用して、本件特許発明2の相違点2に係る構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

ウ 申立人の主張について

(ア) 主張の概要

申立人は、特許異議申立書の3(4)ウ(イ)(同書の11頁を参照。)において概ね次の主張を行っている。

「相違点2:鋼材を耐火被覆した耐火被覆構造の施工方法が、

本件特許発明2では、鋼材の表面に耐火被覆材を施工した後、耐火被覆材の外側に防湿層を施工するのに対し、

甲1発明ではそのような記載のない点。

そこで、相違点2について検討する。

鋼材を耐火被覆した耐火被覆構造の施工方法が、鋼材の表面に耐火被覆材を施工した後、耐火被覆材の外側に防湿層を施工する点は、甲第2号証に甲2記載施工方法として記載されている。

そして、甲第2号証に記載された耐火被覆は、鉄骨の耐火被覆であり、甲1発明と技術分野を一にし、機能・作用も共通するのみならず、「構造物に結露が生じないように」(甲1段落【0003】、段落【0012】に同趣旨)、「外部からの水の侵入を防ぎ、湿式耐火被覆材の耐久性を当初のレベルで確保するもの」(甲2段落【0008】)という課題の共通性もあることから、甲2記載施行方法を甲1発明に適用することは、容易に想到し得るものである。」

(イ) 主張に対する見解

前記(1)ウに示したのと同様に、申立人の主張は、前記イに示した判断を左右するものではなく、採用できない。

エ 小括

したがって、本件特許発明2は、甲1方法発明及び甲2記載技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 取消理由のまとめ

以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

そして、他に本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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