結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2022300305 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第2700409号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「LunA」の文字を、「A」の文字を図案化してなり、昭和62年6月30日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成6年11月30日に設定登録され、その後、指定商品については、第5類「医療用腕環,これらの部品及び附属品」及び第10類「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」並びに第9類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同17年6月1日に指定商品の書換登録がされたものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和4年4月18日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年(2019年)4月18日ないし同4年(2022年)4月17日である(以下「要証期間」という。)。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第5類「医療用腕環,これらの部品及び附属品」及び第10類「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」(以下「本件審判請求の取消商品」という。)についてその登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
本件商標の商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上、本件審判請求の取消商品について使用していない。また、商標登録原簿上は、本件商標に現在も有効な専用使用権又は通常使用権が設定、許諾されている事実も見当たらない(甲1)。よって、本件商標の本件審判請求の取消商品の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
請求人は、令和4年8月25日付けで弁駁書を提出し、要旨以下のとおり主張した。
(1)被請求人が提出した乙号各証によっては、商標権者が本件商標を本件審判請求の取消商品について要証期間に使用した事実は証明されていない。
(2)写真(乙2、乙3)について
被請求人が提出した証拠のうち、写真(乙2、乙3)にのみ、本件商標と類似する商標が写っているが、この証拠には以下の不備がある。
ア 要証期間内の証拠であるか、不明である。写真(乙2、乙3)には、撮影日が印刷されておらず、かつ、要証期間に撮影されたものであるか、被請求人は何ら説明をしていない。
イ 写真(乙2、乙3)に表された商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。本件商標と、写真の商標では4つ目の文字の形が明らかに異なる。本件商標の4文字目は、片仮名の「ム」を鏡文字にしたような図形で表されている。一方、写真に表された商標は「A」の文字の中央の線を下に引き下げたような図形である。本件商標も写真の商標も4つ目の文字は、通常使用されている書体ではなく、図形化されている。「社会通念上同一」(商標法第38条第5項)において、図形については、「外観上において同視される図形」であることが求められているところ、本件商標と写真の商標は「同視される図形」とはいえない。
ウ 包装箱は、「品名」等を記載したシールの上に、「ルナライト株式会社」のシール、及び「LunA」(ロゴ)のシールを張り付けたものであることが、写真(乙2、乙3)から明らかである。「梱包仕様図」(乙5)では、箱に「品名」等を記載することは示されているが、社名やロゴを記すことは示されていない。したがって、「ルナライト株式会社」のシール、及び「LunA」(ロゴ)のシールは、後から貼り付けたものであるとの疑義が生じる。また、「品名」等のシールの枠の位置で確認すると、写真(乙2、乙3)における、「ルナライト株式会社」のシール及び「LunA」(ロゴ)のシールの位置は微妙にずれている。500個から2000個単位で受注している商品の包装箱に1つずつシールを貼って納品しているのかについても被請求人は合理的説明を行っていない。
(3)乙第1号証ないし乙第5号証で示された商品が「医療用機械器具の部品」に該当するか否かについて
乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証で示されている「抵抗基板」と「LED基板Assy」は、被請求人自身も述べているように、「電子部品」である。
ここで、「発光ダイオード基板」等の電子部品は、第9類に属する商品である。そのため、被請求人が示した「抵抗基板」と「LED基板Assy」が通常は他の用途に使用することができないことを示さない限り、当該商品は第10類に属する「医療用機械器具の部品」ではなく、第9類に属する「電子応用機械器具及びその部品」又は「電気抵抗器」等に該当するものである。
被請求人が「LED基板Assy」とする商品は、「売上一覧表」(乙1)の「売上品名」に「照明ユニット VA970LUX-SC(E351603)」と記載されており、乙各号証からは医療用機械器具以外の他の用途に使用することができないことは示されていない。そのため、当該商品が第10類に属する「医療用機械器具の部品」に該当することは立証されていない。
(4)各証拠が要証期間の本件商標の使用を示していないことについて
ア 「医療用機械器具の部品の売上一覧表」(乙1)
株式会社ナカニシヘの売上の一覧であることは分かるが、本件商標が示されていない。
イ 「包装用箱と抵抗基板の写真」(乙2)
写真の撮影日、商標の同一性、シールについての疑義が生じる。
ウ 「包装用箱とLED基板Assyの写真」(乙3)
写真の撮影日、商標の同一性、シールについての疑義が生じる。
エ 「納入仕様書」(乙4)
書類作成日は「2017年7月18日」と記載されており、要証期間の書面ではない。
オ 「納入仕様書」(乙5)
書類作成日は「2010年9月8日」と記載されており、要証期間の書面ではない。
カ 「納入先の企業情報」(乙6)
乙第6号証はホームページを印刷したものと思われるが、URL情報や印刷日の情報がなく、要証期間の情報であるか不明である。
キ「被請求人の商品を掲載している商品説明書」(乙7)
乙第7号証もホームページを印刷したものと思われるが、URL情報や印刷日の情報がなく、要証期間の情報であるか不明である。
また、「バリオス750」の交換部品は販売されているものの、ライト等を搭載した「バリオス750LUX 動物セット」は「当商品は都合により販売中止とさせていただきました。」とある。そのため、被請求人の、商品を包装用箱に収めて納品しており、現在も続いている旨の主張にも疑義が生じる。
請求人は、令和5年8月9日付けで口頭審理陳述要領書を提出し、要旨以下のとおり主張した。
(1)請求人の陳述の要領は次の2点にある。
ア 被請求人が提出した乙各号証によっては、本件商標と社会通念上同一の商標が要証期間に使用されたことは立証されていない。
イ 被請求人が本件商標を使用したと主張する第10類「医療用機械器具の部品」について、商品を通常は他の用途に使用することができないことは立証されていないから、当該商品は、第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に該当するという疑義が生じる。
(2)以下、被請求人の回答書に対し反駁する。
ア 「請求書」「納品書」「受領書」が1通となっている書類(乙12)において商標を使用している旨主張するが、書類(乙12)に表されているのは、黒地円図形の中に「L」の文字を白抜きして表したような図形と、当該図形の直下に、4文字全てに何らの図案化も施しておらず、通常のゴシック書体で表された大文字だけの「LUNA」を一体的に配した標章である。
イ 被請求人は、生じ得る称呼が「ルナ」であることだけをもって、本件商標とは異なる図案化がなされた「A」を使用した商標(乙2、乙3に表された商標、及び乙12に表された商標)を本件商標の使用であると主張するが、書類(乙12)に表された図案化が全くされていない通常の書体で表された「LUNA」と本件商標とは、外観上、「U」「N」「A」の文字が全て異なり、構成する4文字のうち3文字の外観が異なるのだから、社会通念上同一の商標の使用とはいえない。
また、被請求人は、本件商標と使用商標が社会通念上同一の商標である根拠として、判決(乙11)を提出しているが、この審決取消請求事件で不使用取消の対象とされているのは、4文字全てが何らの図案化も施されていないゴシック書体の大文字だけで表された「LUNA」(甲4)であり、本件商標と判決中の商標とは、その構成が全く異なるから、この判決は、本件商標と書類(乙12)の商標とが社会通念上同一であることの根拠とならない。
ウ 写真(乙2、乙3)に写る包装箱について、被請求人は、外側に何も記載されていない市販品の納品用ケースを購入しておき、納品する商品ごとにその外側に必要事項をスタンプ又は貼付し、納品している旨を説明しているが、写真(乙2、乙3)の作成日は、被請求人の証拠説明書によると令和4年(2022年)6月20日となっているから、要証期間に写真(乙2、乙3)の商標が使用されたことは何ら立証されていない。
なお、被請求人は、株式会社ナカニシに「抵抗基板」及び「LED基板Assy」を納品する際の、その包装箱に貼り付けられている「LunA」のロゴ商標を指して商標の使用であると主張するが、一般的に「医療用機械器具(及びその部品)」には精密性が求められ、その包装容器は堅牢で衛生的であることなどが強く要求されるはずである。しかし、被請求人が証拠として示しているのは、紙製の箱に箱詰めされて納品されるような類いの商品の、各包装箱の写真1枚ずつであって、その包装箱には、後から糊付けされたかのようなラベルに表示された商標が写っているにすぎない。しかも、包装箱には被請求人の商号もシール状のものによって示されているのであるが、「ルナ」と「ライト」との間には半角程度のスペースがあることが分かるところ、厳格性も求められる医療用機械器具の取引において、最も良くその出所を示すであろう商号の表示を、このような不自然、不正確なものとするか疑問である。
(3)本件審判請求の取消商品に使用されたか否かについて
ア 被請求人は、「製品仕様確認のお願い」(乙9)により、被請求人の商品が、株式会社ナカニシの製造販売する医療用機械器具の歯石除去用超音波器(製品名称:バリオス750)専用の部品である旨を主張する。
しかし、一般的に、製造者が、特定の製品を製造するために購入した部品をその製品に使用することは当然であるから、被請求人から購入した部品を株式会社ナカニシが医療用機械器具の部品として使用したとしても、それだけでは被請求人の商品が、医療用機械器具の専用品であることは立証されない。
イ また、被請求人は、「抵抗基板」及び「LED基板Assy」をして、基板の形状や大きさ、並びに高さが、製造される商品により異ならざるを得ないことは技術常識であるとしているが、これこそは、被請求人製品が、あらゆる種類のあらゆる形状の商品に対して用い得るものであること、すなわち専用部品ではなく「汎用部品」であることの自白に等しく、被請求人製品が「医療用機械器具」の概念に属する商品ではないことの証左である。
さらに、被請求人の提出した判決(乙11)では、被請求人が製造販売する「センサー用LED基板Assy」を「電子応用機器器具及びその部品」に属する商品であるとしているが、この判決には「医療用機械器具」との関係は何ら示唆されていない。
(4)書類(乙12)は、株式会社ナカニシの受領印が押印されていないため、「取引書類」(商標法第2条第3項第8号)ではなく、被請求人の社内資料にすぎないというべきである。
なお、書類(乙12)に表されているのは、被請求人の登録第5552685号図形商標(甲3)と、登録第566229号商標「LUNA」(甲4)を組み合わせたものであり、これは本件商標でない。
これらの登録商標の指定商品は、それぞれ、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,太陽電池,電気通信機械器具,電気磁気測定器,電子応用機械器具及びその部品」及び第11類「電球類及び照明用器具」(甲3)、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気通信機械器具(コンパクトディスクプレーヤー・ビデオディスクを除く。),電子応用機械器具及びその部品(大規模集積回路・電子応用扉自動開閉装置・電子式卓上計算機・ワードプロセッサを除く。),電気磁気測定器」及び第11類「電球類及び照明用器具」(甲4)であり、いずれも指定商品に、第10類「医療用機械器具の部品」を含むものでない。
請求人は、令和5年10月2日付けで上申書を提出し、要旨以下のとおり主張した。
(1)説明書(1)及び乙第18号証並びに乙第19号証について
被請求人は、被請求人と株式会社ナカニシとの間における取引の実際を裏付ける資料として、「請求書」「納品書」「受領書」が1通となっている株式会社ナカニシ宛の書類(乙12)に加え、株式会社ナカニシからの発注を示す書類(「注文書」「納品書」が1通となったもの)を、乙第18号証として提出した。また同時に乙第19号証として、納品後に、株式会社ナカニシから発行される書類「検収明細書」を提出した。
乙第12号証の4及び乙第19号証の4に対応する乙第18号証の書類は「LED基板Assy」に係る発注書(乙18の7)のみで「抵抗基板」についての発注書がなく、これに係る取引が完結しているのか否か不明ではあるが、被請求人と株式会社ナカニシの間で何らかの取引があったのであろうことについては、請求人も疑義を挟むものではない。
しかし、ここで提出されているいずれの書類にも本件商標は表されていない。
また、「請求書」「納品書」「受領書」が1通となっている書類(乙12)には本件商標と社会通念上同一の商標が表されていないことについては既に述べたとおりである。
(2)説明書(2)及び乙第20号証について
被請求人は、説明書(2)において、被請求人の商品がバングラデシュの製造工場から株式会社ナカニシに納品されるまでの手順について説明しているが、その中にある添付写真(1)ないし(3)のどこにも本件商標は表示されていないし、内容物が何であるのかについても立証されていない。また、添付写真(3)上の「LUNA」は本件商標そのものではない。
この点に加え、「弊社の名称」を示したシールでは「ルナ」と「ライト」の間に不自然なスペースがあること、「弊社の名称」のシールと「本件商標のLUNA」を表示したシールの間には切れ目があるように見えるから両シールは別々に(2枚に)分かれていると目されること、及び商標権者と登録商標を共に表示するだけのことなのに、なぜあえて手のかかるよう2枚のシールの貼り合わせるような仕方をしているのかという点について、合理的な説明がないことを総合すると、被請求人が商品を株式会社ナカニシに納品する際、その包装に、本件商標を表示していたとする主張自体に疑義があるというべきである。
(3)「説明書(3)」について
説明書(3)には、「LED基板Assy」と「抵抗基板」が、バリオス750のハンドピースのライト付きのものに使用されているとか、それらがバリオス750のライト付きのハンドピースの先端部と握り部の部分に取り付けられる等の主張はあるが、構造上又は機能上、これら「LED基板Assy」と「抵抗基板」がバリオス750の「専用品」であることをうかがわせる説明はなされていない。
(4)反論のまとめ
LEDを光源とする照明は、基本的にはLED基板と抵抗基板を組み合わせて作られるものであり、これは医療用の器具として用いられる照明であっても、自動車用の照明であっても、家庭用の照明であっても、工事現場用の照明であっても、液晶用バックライトであっても変わらない。すなわち被請求人と株式会社ナカニシとの間で「LED基板Assy」と「抵抗基板」の取引がなされており、仮にその際、本件商標が表示されていたのだとしても、これらが「医療用機械器具」に属する商品でない以上、本件商標の取り消しを免れないというべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する場合がある。)を提出した。
(1)商標権者である被請求人は、要証期間に我が国において本件審判請求の取消商品中、第10類「医療用機械器具の部品」について、本件商標を使用している。
(2)本件商標の使用の事実
ア 本件商標の使用態様
被請求人は、売上一覧表(乙1)に示すように、2018年12月7日から2022年6月20日までの間に、株式会社ナカニシという東証JASDAQスタンダード上場企業に、品名「VS-LED-HPSC ASSY E1084300」に係る「抵抗基板」の商品と、品名「VA970LUX-SC(E351603)」に係る「LED基板Assy」の商品を、乙第2号証及び乙第3号証に示す包装用箱に収めて納品しており、現在も続いている。これらの商品は、乙第2号証及び乙第3号証、並びに納入仕様書(乙4、乙5)とこれに添付の製作図面を見れば、電子部品であることは明らかである。
乙第2号証及び乙第3号証の包装用箱には、被請求人の名称である「ルナライト株式会社」と商標「LUNA」が印刷されている。
イ 株式会社ナカニシは、歯科医療用機器、外科医療用機器、その他の機器の製造販売を行っている会社(乙6)であり、上記商品は、株式会ナカニシが製造販売している「バリオス750」という歯石を除去する装置(乙7)の部品として用いられている。そして、この「バリオス750」は医療用機器である。
ウ 上記包装用箱の商標は「LUNA」であり、本件商標と比べると、語尾の「A」の文字を若干変形してあるが、「ルナ」と称呼できることから、本件商標と社会通念上同一である。
被請求人は、令和5年2月9日付けの審尋に対し、同年3月14日付けで回答書を提出し、要旨以下のとおり主張した。
(1)審尋に対して
ア 被請求人の商品が汎用品ではないことの証明として、再度、株式会社ナカニシの「製品仕様確認のお願い」(乙9)を提出する。これによって、被請求人が製造する、少なくとも「LED基板Assy」(型式 VA970LUX-SC E351603)は、株式会社ナカニシが製造販売する医療用機械器具の歯石除去用超音波器(製品名称:バリオス750)専用の部品であることが明らかになった。
イ 商標の要証期間での使用を証明するため、新たに要証期間に発行された「抵抗基板」及び「LED基板Assy」についての、納品書、請求書及び株式会社ナカニシの受領書を提出する。
なお、今回提出した納品書及び請求書には、新たに「LUNA」の商標が記載されているから、この商標を新たに主張に加える。
ウ 本件商標は「ルナ」と称呼が発生するところ、被請求人の使用した商標はいずれも「ルナ」という称呼が生じるから、いずれも本件商標の使用となる。また、被請求人の使用した商標から「ルナ」という称呼が生じることは、判決(乙11)からも明らかである。
(2)請求人の弁駁に対して
ア 一般的に、「抵抗基板」及び「LED基板Assy」(乙2、乙3)は、基板の形状や大きさ又は高さが、使用される商品により異ならざるを得ないことは技術常識であり、株式会社ナカニシの証明書(乙9)によっても明らかである。
イ 被請求人は、外側に何も記載されていない市販品の納品用ケースを購入しておき、納品する商品ごとにその外側に必要事項をスタンプ又は貼付し、納品しており、今回特別に作成したものではない。
被請求人は、令和5年7月20日付けで口頭審理陳述要領書を提出し、要旨以下のとおり主張した。
(1)「バリオス750」は、同じ商品を、人間用の歯石を除去する装置として用い、さらに動物(主としてペット用の犬)用の歯石を除去する装置として用いている。人間用は今回新たに提出したウェブサイトの情報(乙13~乙15)に記載されている。
(2)被請求人は、商品を株式会社ナカニシ仕様の包装容器に入れ、乙第12号証に示された用紙と共に納品し、その際に、受領印は受領することは行っていない。この後は、締め日になったら前回の締め日からの総計を一覧表にして請求書に添付して請求をし、支払いを受けるという方法で、何の支障もなく取引がなされている。
被請求人は、令和5年9月19日付けで上申書を提出し、要旨以下のとおり主張した。
(1)被請求人と株式会社ナカニシとの間の発注から納品に至るまでの経緯とそれを裏付ける証拠については、説明書(1)に記載のとおりである(乙18、乙19)。
(2)乙第2号証と乙第3号証の箱とシールの説明については、説明書(2)に記載のとおりである(乙20)。
(3)乙第7号証と乙第2号証、乙第3号証、乙第16号証及び乙第17号証の関係については、説明書(3)に記載のとおりである。
(4)納入仕様書(乙4、乙5)に係る図面上の寸法は、乙第16号証及び乙第17号証から理解できるように、ミリメートルである。
(1)取引書類(乙12、乙18、乙19)
乙第12号証(乙12の1~乙12の4)は、それぞれ、「請求書」、「納品書」及び「受領書」が1枚にまとめられた、被請求人と株式会社ナカニシとの間の取引を示す取引書類であり、それぞれの「請求書」及び「納品書」には、「ルナライト株式会社」の記載の左隣に、「LUNA」(別掲3を参照。)の記載がある。
また、乙第12号証(乙12の1~乙12の4)の「請求書」及び「納品書」の記載から、2020年11月24日、2021年2月22日、2021年7月21日及び2022年1月19日に、被請求人が株式会社ナカニシに対して、品名が「照明ユニット VA970LUX-SC(E351603)」である商品(以下「使用商品」という。)を、1000個、1000個、2000個及び1000個、注文番号が「120OR0050648」、「120OR0075145」、「121OR0030402」及び「121OR0065301」の注文に対して販売し、その代金として、それぞれ305,000円、305,000円、610,000円及び305,000円を請求したことが確認できる。
さらに、乙第18号証の2、乙第18号証の4、乙第18号証の6及び乙第18号証の7は、「注文書」及び「納品書」が1枚にまとめられた、株式会社ナカニシが被請求人に送付した取引書類であり、2020年9月1日、2020年12月3日、2021年4月10日及び2021年8月5日に、株式会社ナカニシが、それぞれ注文番号が「120OR0050648」、「120OR0075145」、「121OR0030402」及び「121OR0065301」の注文により、被請求人に、使用商品を、それぞれ1000個、1000個、2000個及び1000個発注したことが確認できる。
加えて、被請求人が、株式会社ナカニシに、注文番号が「120OR0050648」、「120OR0075145」、「121OR0030402」及び「121OR0065301」の注文に対する代金を請求したことは、乙第19号証(乙19の1~乙19の4)の「検収明細書」からも確認できる。
そして、被請求人の技術部所属の担当者の署名及び捺印がある説明書(1)によれば、被請求人と株式会社ナカニシとの間の発注から納品に至るまでの経緯は、以下のとおりである。
ア まず、株式会社ナカニシより、乙第18号証に示したような注文書と納品書がセットにされた書類がメールで送られてくる。
イ これを受け、被請求人はバングラディシュの製造工場で注文に係る製品:LED基板AssyE351603を製造し、これを乙第3号証に係る箱に詰めて、乙第12号証に示された、請求書と納品書と受領書がセットに印刷された書類とともに株式会社ナカニシへ納品する。その際、株式会社ナカニシからは受領印をもらっていない。
ウ その後、月末に、株式会社ナカニシより、乙第19号証に示されたような検収明細書が送られてくるので、これに基づいて代金の支払いを受ける。
なお、乙第12号証(「写し」として提出。)は、「請求書」「納品書」「受領証」を1枚にまとめたものであるところ、当審の求めに対し被請求人は原本を提出しなかったため原本確認はできなかったものの、その記載内容に特に不自然な点はなく、他の取引書類(乙18、乙19)の記載との整合性、被請求人の技術部担当者による株式会社ナカニシとの間の発注から納期に至るまでの経緯についての説明書(1)等に照らして総合的に判断すれば、証拠としての信ぴょう性に欠けるとまではいうことができない。
(2)納入仕様書(乙5)
乙第5号証は、2010年9月8日付けで、被請求人が、株式会社ナカニシ向けに発行した「納入仕様書」であり、その1葉目には、「品名 LED基板Assy」、「型式 VA970LUX-SC」の記載があり、受領印欄に「※5部提出のうち、1部御返却をお願い致します」の記載とともに株式会社ナカニシの受領印が確認できる。
また、その2葉目には、「1.適用範囲/本仕様書はルナライト(株)が製造し、株式会社ナカニシ殿に納入するLED基板Assyについて適用する。」、「2.概要/2-1 品名 LED基板Assy/2-2 型式 VA970LUX-SC」及び「6.梱包仕様(図面:L-080011)にて梱包し出荷する。」と記載されている。
さらに、その3葉目及び4葉目には、製品の寸法及び梱包箱の寸法などが記載された図面などが掲載されており、それらの図面及び記載から、製品は、径が14.5mmの略円形の基板上にLEDが2個載置されているものであること、梱包箱は1辺が175mmの直方体であること、梱包箱の側面に「品名」「数量」「ロットNo.」が記載されたラベルを貼り付けること、及び梱包数量は最大100個であることが確認できる。
(3)箱の画像(乙3)及び使用商品の画像(乙16)
乙第3号証は、使用商品を梱包した直方体の箱の画像であり、当該箱の側面に、「品名 LIGHTING UNIT VA970LUX-SC(E351603)」「数量 100」「ロット No. B220608E」の記載のあるシールが貼り付けられているとともに、そのシールの下に、「ルナライト株式会社」及び「LunA」(別掲2を参照。)の記載のあるシールが貼り付けられていることが看取できる。また、箱の画像(乙3)から、箱の内部は仕切り板で仕切られており、使用商品が1列に10個収納されていることが看取できる。
乙第16号証は、使用商品の画像であり、当該使用商品の画像(乙16)から、使用商品は径が14.5mmの略円形の基板上にLEDが2個載置されているものであることが確認できる。
(4)バリオス750に関する資料(乙7、乙13、乙15)
乙第7号証は、バリオス750を販売するネットストアの出力物である。また、乙第13号証は、株式会社ナカニシが発行したバリオス750の取扱説明書である。さらに、乙第15号証は、バリオス750についての英文カタログである。
これらバリオス750に関する資料(乙7、乙13、乙15)から、バリオス750は、株式会社ナカニシが製造、販売していることが確認できる。また、バリオス750は、超音波振動で人又は動物の歯の歯石を除去する装置であり、歯周治療及び歯内治療などの治療行為を行うことができ、医療機器として承認を受けていることも確認できる。さらに、バリオス750は、口腔内に挿入される円筒形のハンドピースに、リングライトつきのものがあり、口腔内の治療部位を照らして治療を行えることも確認できる。
(5)「製品使用確認のお願い」と題する書面(乙8、乙9)
乙第8号証及び乙第9号証は、「製品使用確認のお願い」と題する2020年6月29日及び2023年3月6日付けの書面であり、株式会社ナカニシの担当者の署名及び押印が確認できる。
そして、これらの書面には、使用商品(「照明ユニット VA970LUX-SC(E351603)」)がバリオス750に使用されていることが陳述されている。
(6)説明書(2)
被請求人の技術部所属の担当者の署名及び捺印がある説明書(2)によれば、箱(乙3)と当該箱に張られたシールについての説明は、以下とおりである。
ア 被請求人は、バングラディシュに製造工場を持っている(乙20)。本件事案の抵抗基板とLED基板Assy(以下「本件製品」という。)は、このバングラディシュの工場で生産されている。
イ バングラディシュの工場では、本件製品を、外側に何も印刷もない箱を購入し、この箱に本件製品を詰め、本件製品の識別用シールを貼って被請求人に納品する。
ウ 被請求人は箱から本件製品を取り出し、全品検品の上、再び本件製品を箱に戻し、被請求人の名称と本件商標を表示したシールを貼り、乙第3号証に示された形態で、株式会社ナカニシヘ納品している。
(7)上記(1)ないし(6)から、以下の事項が理解又は推認できる。
ア 被請求人は、2020年11月頃、2021年2月頃、同年7月頃及び2022年1月頃に、株式会社ナカニシ(以下「ナカニシ社」という。)からの発注を受けて、使用商品(「照明ユニット VA970LUX-SC(E351603)」)を、ナカニシ社にそれぞれ1000個、1000個、2000個及び1000個、販売し、その代金を請求した。
イ 上記アの使用商品の販売に際して、被請求人は、直方体の箱(乙3、乙5の4葉目)に、使用商品を最大100個ずつ収納して梱包し、それぞれの箱の側面に、「品名」「数量」「ロット No.」の記載のあるシールと「ルナライト株式会社」の記載のあるシール及び「LunA」(別掲2。以下「使用商標1」という。)の記載のあるシールを貼り付けて、ナカニシ社に送付した。
さらに、被請求人は、ナカニシ社に、「LUNA」(別掲3。以下「使用商標2」という。)の記載のある「請求書」、「納品書」及び「受領書」が1枚にまとめられた取引書類(乙12)を送付し、使用商品の販売についての代金を請求した。
なお、請求人は、箱の側面に張られたシール(説明書(2)添付写真)について、「ルナ」と「ライト」の間にスペースがあること、「請求人の名称」と「本件商標のLUNA」の2枚に分かれていると目されること、なぜあえて手のかかるよう2枚のシールの貼り合わせるような仕方をしているのかという点について、合理的な説明がないことを総合すると、本件商標を表示していたとする主張自体に疑義があるというべきである旨主張しているが、使用商品はバングラデシュ工場で生産され、箱に識別用のシールを貼った状態で被請求人に納品され、被請求人が検品の上、さらに使用商標1を表示したシールを貼ってナカニシ社へ納品しているとの被請求人の技術部担当者による説明に特段不合理な点はなく、請求人の上記主張を採用することはできない。
(1)使用商品について
被請求人がナカニシ社に販売した使用商品(「照明ユニット VA970LUX-SC(E351603)」)は、径が14.5mmの略円形の基板上にLEDが2個載置されているものである(乙5、乙16)。
また、ナカニシ社が製造販売するバリオス750は、超音波振動で人又は動物の歯の歯石を除去し、歯周治療及び歯内治療などの治療行為を行う医療機器(乙7、乙13、乙15)であり、そのハンドピースに口腔内の治療部位を照らして治療を行えるライト(リングライト)付きのものがある。
そして、ナカニシ社の担当者が、バリオス750に使用商品が使用されていることを陳述(乙8、乙9)していることに加えて、バリオス750の操作者が、リングライト付きのハンドピースを握って患者の口腔内に挿入し治療部位を照らしながら治療を行うことに鑑みれば当該ハンドピースの径は10~20mm程度であると推認できるから、使用商品は、バリオス750の円筒形のハンドピース内のリングライトとして収容されていることは推認できる。
してみると、使用商品は、医療機器であるバリオス750のハンドピースに専用のリングライトであるといえるから、使用商品は、本件審判の取消商品中、「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品であるというべきである。
(2)使用商標、使用行為、使用時期及び使用者について
ア 使用商品を梱包した箱の側面に付されたシールに基づく使用
商標権者である被請求人は、要証期間である2020年11月頃、2021年2月頃、同年7月頃及び2022年1月頃に、ナカニシ社からの発注を受けて、直方体の箱(乙3、乙5の4葉目)に、使用商品を最大100個ずつ収納して梱包し、それぞれの箱の側面に、「品名」「数量」「ロット No.」の記載のあるシールと「ルナライト株式会社」の記載のあるシール及び「LunA」(「使用商標1」(別掲2))の記載のあるシールを貼り付けて、ナカニシ社に納品し、当該商品を譲渡又は引き渡したことが認められる。
そして、使用商標1(別掲2)は、その構成中、「A」の文字の横線が底辺のように図案化されているものの、「LunA」の文字を認識させる構成態様であり、その構成文字に相応して「ルナ」との称呼を生じ、「月の女神」(ベーシックジーニアス英和辞典第2版)の観念を生じるものであるところ、本件商標(別掲1)も、その構成中、「A」の文字の横線が底辺のように図案化され、「LunA」の文字を認識させる構成態様であり、その構成文字に相応して「ルナ」との称呼を生じ、「月の女神」の観念を生じるものであって、使用商標1と本件商標は、構成態様、称呼及び観念で共通するから、両商標は社会通念上同一の商標であると認められる。
以上から、商標権者が要証期間に使用商標1について商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為を行ったといえる。
イ 使用商品の販売した際の取引書類に基づく使用
さらに、商標権者である被請求人は、要証期間である2020年11月頃、2021年2月頃、同年7月頃及び2022年1月頃に、ナカニシ社からの発注を受けて、使用商品を販売した際に、ナカニシ社に、「LUNA」(「使用商標2」(別掲3))の記載のある「請求書」、「納品書」及び「受領書」が1枚にまとめられた取引書類(乙12)を送付し、その代金を請求したことが認められる。
そして、使用商標2(別掲3)は、「LUNA」の構成文字からなり、その構成文字から「ルナ」との称呼を生じ、「月の女神」(ベーシックジーニアス英和辞典第2版)の観念を生じるものであるところ、大文字小文字の差異や「A」の文字が図案化されている点で相違するものの、本件商標(別掲1)も「LunA」の構成文字からなり、「ルナ」の称呼を生じ、「月の女神」の観念を生じる点で共通するから、使用商標2は、本件商標と、構成文字、称呼及び観念で共通し、社会通念上同一の商標であると認められる。
以上から、商標権者が要証期間に使用商標2について商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったともいえる。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判請求の取消商品中、「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品の包装に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して譲渡した(商標法第2条第3項第2号に該当。)とともに、「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品の取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認めることができる。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の商標権者が、その審判の請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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