結論テキスト
登録第4516947号商標の指定役務中、第42類「インターネットを利用した健康状態の分析・相談・指導を主とする在宅健康管理,インターネットを利用した医療健康相談,インターネットを利用した心電図の診断分析,その他の健康診断,医療情報の提供,医療機関への媒介又は取次ぎ,心電計の貸与,マイクロフィルムを用いた個人の医療健康情報の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2022301044 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本件登録第4516947号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの「e-ヘルスバンク」の文字からなる文字商標であり、平成12年8月2日に登録出願され、「インターネットを利用した健康状態の分析・相談・指導を主とする在宅健康管理,インターネットを利用した医療健康相談,インターネットを利用した心電図の診断分析,その他の健康診断,医療情報の提供,医療機関への媒介又は取次ぎ,心電計の貸与,マイクロフィルムを用いた個人の医療健康情報の提供」を含む第42類に属する役務を指定役務として、同13年10月26日に設定登録され、同23年10月18日及び令和3年5月11日に存続期間の延長登録がなされた。
その後、本件審判の請求により、同4年12月19日に本件審判の請求の登録がなされ、同7年4月16日受付で、放棄による本件登録の抹消の登録がなされた。
以下、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同元年12月19日から同4年12月18日までの期間を「要証期間」という。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。
本件商標は、その指定役務中、第42類「インターネットを利用した健康状態の分析・相談・指導を主とする在宅健康管理,インターネットを利用した医療健康相談,インターネットを利用した心電図の診断分析,その他の健康診断,医療情報の提供,医療機関への媒介又は取次ぎ,心電計の貸与,マイクロフィルムを用いた個人の医療健康情報の提供」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
(1)ウェブページ(乙1)は、株式会社日本ヘルスバンク(以下「日本ヘルスバンク」という。)による運営であり、ウェブページにおいて提供されている役務は、本件商標権者により提供されているものではない。また、日本ヘルスバンクがウェブページ(乙1)を運営することは契約書(乙3)に規定された業務内容ではない。
乙第1号証の作成年月日は不明である。
(2)乙2号証は2020年(令和2年)8月23日から同月24日の利用実績を示すものと主張していることが窺えるが、どのようなメールが送信されたかも不明である等、前記期間にインターネット検診が行われたことは不明である。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。以下同様。)を提出している。
(1)本件商標権者が管理・運営しているインターネット健診のサイトのページ(乙1(枝番を含む。))には、本件商標が表示されており、インターネット健診の概略と利用方法等が表示されている。
日本ヘルスバンクは、本件商標権者と本件商標の元の権利者である日本ヘルスバンクとの間で締結された契約(乙3)に基づき、インターネット健診システムの営業行為を本件商標権者のために行い、その成果は発注者である本件商標権者に帰属することとなる。
(2)乙第2号証は、要証期間内である2020年(令和2年)8月23日~同月24日の利用実績を示す管理サーバーからの出力文書である。
(1)契約(乙3)には、本件商標についての本件商標権者から日本ヘルスバンクへの使用許諾については触れられていないが、同契約の締結に際しては、日本ヘルスバンクがその提供する役務に関連して本件商標を自由に使用可能な状態であることが前提となっていると共に、本件商標権者と同名の会社が上場企業として存在するため、本件のプロジェクトの推進は、日本ヘルスバンク名義にても行うこととなった経緯がある。日本ヘルスバンクに対して本件商標の使用を認める合意があったことを証するため、本件商標権者が作成した確認書(乙4)を提出する。
(2)サイト(乙1)は、米国GeoTrust社が運営するSSL暗号化通信の認証を受けている。同認証によりサイトの存在及びサイトの運営者の存在を確認することが可能であり、その認証期間は1年毎に同社の日本代理店経由にて更新を行っており、要証期間内である2021年9月及び2022年9月に認証更新作業を実施している(乙6、乙7)。これらにより、当該サイトが要証期間内に存在し、利用可能であったことが証明される。
さらに、利用者データ(乙9)により、受診者が要証期間内である2020年7月8日及び同年同月30日にサイトにアクセスし、同日付けで健診結果が出力されたことが示されている。
前記第1のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録の日(令和4年12月19日)の後に、本件商標に係る商標権を放棄し、同7年4月16日、当該放棄を理由として本件商標に係る商標権の登録が抹消された(商標法第35条で準用する特許法第98条第1項第1号)。
しかしながら、商標法第54条第2項によれば、「・・・第50条第1項の審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、同項の審判の請求の登録の日に消滅したものとみなす。」と規定されているから、本件審判の請求の登録の日よりも後になされた本件商標に係る商標権の放棄によって、本件審判の請求の対象がなくなることはない。
そこで、以下、本案の判断を示す。
(1)本件商標権の商標権者は、本件商標権の設定時には、株式会社日本ヘルスバンク(以下「日本ヘルスバンク」という。)であったが、平成29年1月16日受付で特定承継による本件商標権者への本権の移転の登録がなされたものである。
(2)日本ヘルスバンクと本件商標権者は、平成28年11月1日に、「インターネット健診システム【e-ヘルスバンク】」の運営、事業推進に関するコンサルティング契約(乙3)を締結した。当該契約の内容は、日本ヘルスバンクが、有償で、本件商標権者に対し、本件商標権者によるシステムの運営、事業推進に関する指導、助言、情報提供、協力を行うこと等であって、本件商標権の使用許諾に関する事項は含まれていない。
(3)令和5年7月12日付けの「確認書」(乙4)は、上記(2)の契約が現在も有効に存続していること、コンサルティング契約の締結に際して日本ヘルスバンクに対して本件商標権についての使用許諾を与えたことを、本件商標権者が日本ヘルスバンクに対して確認する旨を内容とするものである。
(4)インターネット健診のサイト(https://ehbank.jp)(乙1の1~乙1の17。以下「本件サイト」という。)のうち、一部のページ(乙1の2)には、別掲2の使用商標の表示及び「日本ヘルスバンク」の表示がなされているが、同ページを含め、本件サイトのいずれのページにおいても、使用商標の使用時期を示す表示は見当たらない。
(5)本件サイトには、本件サイトがプライバシー保護のため、SSL暗号通信を導入している旨とともに、「GeoTrust」「SECURED」の文字を含むロゴ及び「powered by digicert」の文字(以下「SSL表示」という。)が表示されている(乙1の1)。そして、本件商標権者は、2021年9月9日及び2022年8月30日に株式会社エスロジカルが本件商標権者に請求した本件サイトについての1年分のSSL証明書の使用料を、それぞれ2021年9月30日及び2022年9月30日の指定日振込によって支払った(乙6、乙7(枝番を含む。))。
(6)利用者データ(乙9)には、2020年7月8日、同月30日、同年8月25日に健診が行われた旨が示されている。
(1)使用者について
上記2(4)のとおり、使用商標の表示とともに「日本ヘルスバンク」の表示がなされていることから、使用商標の使用者は、日本ヘルスバンクであることが明らかである。
しかしながら、上記2(4)のとおり、使用商標の使用時期が明らかでないところ、日本ヘルスバンクは、上記2(1)のとおり、要証期間よりも前である平成29年1月の特定承継による商標権の移転の前に自らが商標権者として本件商標を使用できたものであるから、使用商標の使用者が日本ヘルスバンクであることそれ自体は、通常使用権者による使用の立証にならない。
また、上記2(2)のとおり、平成29年1月の特定承継に先立つ同28年11月に締結された本件商標権者と日本ヘルスバンクの間のコンサルティング契約は、本件商標権の使用許諾に関する事項を含むものでない。さらに、上記2(3)の確認書は、要証期間の後の時点での本件商標権者による一方的な意思表示にすぎないものであり、要証期間内のいずれかの時点の使用許諾を示すものといえないから、この確認書を考慮しても、日本ヘルスバンクが要証期間内において通常使用権者として使用商標を使用したことを認定することはできない。
以上を踏まえると、提出された証拠からは、使用商標の使用者について、要証期間の前である商標権の移転の前の商標権者としての日本ヘルスバンクでなく、要証期間内における通常使用権者としての日本ヘルスバンクが使用者である旨を認定することができない。
(2)要証期間内の使用について
上記2(4)のとおり、本件サイトのいずれのページにおいても使用商標の使用時期の表示が見当たらない。
また、上記2(5)のSSL表示について、2021年9月30日及び2022年9月30日に本件商標権者が支払いを行ったことにより、これらの日付の前後に本件サイトに上記2(5)のSSL表示がなされたものと推認することはできるが、そもそもSSL表示は、サイトの内容を示すものでなく、これらの日付の前後における本件サイトの内容として使用商標が表示されていたことを示すものでないから、本件商標権者による支払いの日付において使用商標が表示されていたことを認定ないし推認することはできない。
さらに、上記2(6)の健診がどのように行われたかを認定するために必要となる証拠が提出されていないから、上記2(6)が本件サイトにおいて提供される健診であると認定することもできない。
以上を踏まえると、提出された証拠からは、使用商標が要証期間内に使用されたことを認定することができない。
(3)小括
してみると、被請求人は、使用者及び要証期間内の使用についての事実を証明したとはいえない。
以上のとおり、被請求人の主張立証は、使用者及び要証期間内の使用についての事実を証明したものとなっておらず、他に被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明するものはないから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできない。
また、本件商標を請求に係る指定役務について使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、結論掲記の役務について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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