sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標と欧文字の類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2022890077
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第6368134号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、ややデザインが施された「kagoo」の欧文字を横書きしてなり、令和2年6月24日に登録出願、第20類「事務用家具,鏡(姿見),寝具類(リネン製品を除く。),食品用プラスチック製装飾品,枕,マットレス,未加工又は半加工の角,家具用の付属品及び金具(金属製のものを除く。),木製又はプラスチック製の箱,ドア用締め具(金属製のものを除く。),コンピュータ用カート(家具),のこぎり台(家具)」及び第24類「プラスチック製クロス,フェルト,ベッドカバー,マットレスカバー,ベッド用毛布,毛布,布団,枕カバー,シーツ(織物),ベッド用リネン製品,家庭用リネン製品,家具用カバー」を指定商品として、同3年2月17日に登録査定され、同年3月24日に設定登録されたものである。

2 請求人が引用する商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして、請求人が使用中の未登録周知・著名商標と主張する商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「KAGOO」の文字を普通に用いられる方法により書してなるものである。

なお、使用開始当時のものについては、現在の書体に若干の相違がみられるものの、同一性が損なわれていないものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第64号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。

(2)請求人とその使用に係る商標(引用商標)について

ア 請求人について

請求人は、家具、寝具を始めとするインテリア関係商品のインターネット通信販売並びに展示販売を主たる事業とし、平成16年(2004年)12月に株式会社セイルー(以下「関係会社A」という。)として設立、平成31年(2019年)1月に現名称に変更し、現在に至る。

また、請求人は、平成13年(2001年)8月開設に係る家具類販売サイト「Kaggo本店」をインターネット上で運営する株式会社カグー(以下「関係会社B」という。)(平成14年(2002)年9月設立)を平成16年(2004)1月にその傘下に収め、約3年後には同社を廃止するとともに統合し、自身の一事業部「カグー事業部」とし、以降現在に至るまで、家具等のインターネット通信販売を継続して行っている(甲2)。

イ 本件商標と引用商標について

本件商標「kagoo」と、引用商標「KAGOO」は、欧文字の大文字と小文字という相違を有するも、そのつづりを共通とし、「カグー」の称呼において共通する同一又は類似の商標である。

なお、「KAGOO」又は「kagoo」の文字は、特定の意味合いを有する成語を表したものではなく、造語と認められるものである。

ウ 請求人による引用商標の使用事実・使用期間について

請求人による家具・寝具等のインターネット通信販売事業は、インターネットを介して行われるものであるから、引用商標の使用の多くはインターネット上の行為であって、過去における商標の使用事実・使用期間を明確に示すことは容易ではない。

そこで、米国非営利団体が、インターネット上で提供する閲覧サービスを使用し、請求人が平成13年(2001年)8月以降現在に至るまで、家具等のインターネット通信販売に「KAGOO」の文字からなる商標を継続的に使用している事実について明らかにする。

請求人が通信販売事業に使用するドメインは、アクセス集中に対応するために複数が存在し、使用していたため、それぞれの入力によって得たページの画像を提出する(甲4~甲22)。

これらは、請求人が長期間に渡り、家具・寝具等の販売に商標「KAGOO」を使用していることを示すには十分なものである。

さらに請求人は、家具・寝具等の販売につき、インターネットを利用した通信販売のみならず、催事による展示販売の方法によっても行っている(甲23、甲42~甲58)。

エ 請求人による家具・寝具等販売事業の規模について

甲第24号証ないし甲第28号証は、請求人の前身である「関係会社B」の第1期~第5期に係る決算報告書であるところ、その損益計算書によれば、同社による当該各期の家具、寝具等の商品売上額,広告宣伝費等は各証拠記載のとおりであり、期間中の売上高は184,639,651円(甲24)ないし596,380,313円(甲26)、期間中の広告宣伝費は5,537,475円(甲24)ないし20,210,184円(甲28)の幅で推移した。

また、甲第29号証ないし甲第41号証は、請求人による第3期~第16期に係る決算報告書であるところ、その損益計算書によれば、同社カグー事業部による当該各期の家具、寝具等の商品売上額,広告宣伝費等につき各証拠記載のとおりであり、期間中のカグー売上高は360,703,061円(甲32)ないし749,444,984円(甲41)、期間中の広告宣伝費は34,190,756375円(甲32)ないし273,226,758円(甲40)の幅で推移した。

これらによれば、請求人は、商標「KAGOO」を使用して行う家具・寝具等の販売により毎期数億円を売り上げていると認められるほか、その広告宣伝のため多額を費やしていると認められる。

オ 新聞,雑誌等での紹介事例について

請求人が事業を開始した2001年頃には、寝具や家具等のインテリア関係商品に特化したインターネット通信販売という業態は珍しく、また、設立直後から急成長を遂げたこともあり、請求人とその事業については、事業名称たる「KAGOO」又は「カグー」とともに、新聞、雑誌等のマスメディアに取り上げられた(甲42~甲58)。

カ 請求人と家具・寝具製造業者との間における取引状況等について

甲第60号証ないし甲第63号証は、請求人と取引関係を有する家具・寝具製造業者の一部による証明書であるところ、これらには、請求人と取引先各社との間における取引額を含めた取引状況のほか、取引先各社における請求人の商標「KAGOO」についての認識に関し示している。

上記証拠は、請求人と取引先各社が、同社製造に係る家具類について、それぞれ、平成16年12月1日以降現在に至るまで、平成29年1月1日以降現在に至るまで、平成22年1月1日以降現在に至るまで、平成19年1月1日以降現在に至るまで、相当額の販売額、販売手数料の支払い等の取引があり、それぞれ、取引先全体の上位取引先としての取引があり、各取引社においては、請求人が家具の小売等に使用する商標「KAGOO」につき、需要者の間に広く認識されており、かつ、全国的に周知になっているものと認識されていることを示している。

(3)本件商標の商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について

請求人による引用商標の使用状況について概ね上記(2)ウないしカのとおりであり、引用商標は、長期にわたる使用により、本件商標の登録査定時はもとよりその登録出願時には既に、請求人の業務に係る「ソファ,テーブル,チェア,収納棚,食器棚,リビングボード等の家具類及び寝具類」の小売等役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めるのが相当である。

よって本件商標は、その指定商品中の上記小売等役務と類似する商品、すなわち、第20類「事務用家具,鏡(姿見),寝具類(リネン製品を除く。),枕,マットレス,家具用の付属品及び金具(金属製のものを除く。),木製又はプラスチック製の箱,ドア用締め具(金属製のものを除く。),コンピュータ用カート(家具),のこぎり台(家具)」及び第24類「ベッドカバー,マットレスカバー,ベッド用毛布,毛布,布団,枕カバー,シーツ(織物),ベッド用リネン製品,家庭用リネン製品,家具用カバー」について、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものというべきである。

さらに引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る小売等役務を表示するものとして、全国的な周知性を獲得していたものとも認めるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品中の第20類「食品用プラスチック製装飾品,末加工又は半加工の角」及び第24類「プラスチック製クロス,フェルト」について使用した場合には、取引者、需要者等に、請求人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同させるおそれがあるものといわざるを得ない。

よって本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標及び引用商標を構成する欧文字「kagoo」、「KAGOO」については、造語であり、これらは偶然に一致することが考え難い創造標章の一種といえるものである。

そして、引用商標が周知又は著名なものであることのほか、本件商標の指定商品の大半が、請求人の業務に係る寝具類及び家具類の小売等役務における取扱商品であること、及び、請求人がインターネット上を調査した限りにおいては、商標権者について、これまでの我が国における上記指定商品他の製造・販売等の事実はもとより、営業実態も確認することができなかったこと等々に照らせば(甲59)、商標権者による本件商標の登録は、例えば請求人が獲得した名声ないしは業務上の信用への便乗を意図するもの、あるいは請求人の商標の存在を知りながら、これが商標登録されていないことを奇貨として、不正な利益を得るといった不正の目的により出願された可能性も否定し難いといわざるを得ない。

よって本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものというべきである。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は商標法第15条第1項の規定に違反して登録されたものと認められるため、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録は無効にされるべきである。

3 被請求人の主張について

被請求人は何ら答弁していない。

4 当審の判断

(1)請求人は、本件審判を請求することの利害関係がある旨を主張するところ、被請求人からは答弁はなく、当事者間に争いがないものであり、請求人が本件審判の請求について利害関係を有すると認める。

(2)請求人及び引用商標の周知性について

ア 請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)請求人による引用商標の使用事実・使用期間について、請求人が平成13年(2001年)8月以降現在に至るまで、「ソファ,テーブル,チェア,収納棚,食器棚,リビングボード等の家具類及び寝具類」のインターネット通信販売に「KAGOO」の文字からなる商標を継続的に使用している事実が、本件外第三者がインターネット上で提供する閲覧サービスの情報によりうかがえる(甲4~甲22)。

(イ)さらに請求人は、上記の家具・寝具等の販売につき、インターネットを利用した通信販売のみならず、催事による展示販売の方法によって行われたことがうかがえる(甲23、甲42~甲58)。

(ウ)請求人による家具・寝具等販売事業の規模については、請求人の前身である「関係会社B」の決算報告書にかかる損益計算書(甲24~甲28)によれば、同社による当該各期の家具、寝具等の商品売上額,広告宣伝費等は各証拠記載のとおりであり、期間中の売上高は184,639,651円(甲24)ないし596,380,313円(甲26)、期間中の広告宣伝費は5,537,475円(甲24)ないし20,210,184円(甲28)の幅で推移したことがうかがえる。

(エ)請求人の決算報告書にかかる損益計算書(甲29~甲41)によれば、同社カグー事業部による当該各期の家具、寝具等の商品売上額,広告宣伝費等につき、期間中のカグー売上高は360,703,061円(甲32)ないし749,444,984円(甲41)、期間中の広告宣伝費は34,190,756375円(甲32)ないし273,226,758円(甲40)の幅で推移したことがうかがえる。

(オ)新聞,雑誌等において、請求人が事業を開始した2001年頃、業態の珍しさや話題性から、請求人とその事業については、事業名称たる「KAGOO」又は「カグー」の文字とともに、新聞、雑誌等のマスメディアに取り上げられた事実がうかがえる(請求人の主張、甲42~甲58)。

(カ)請求人と家具・寝具製造業者との間における取引状況等について、請求人と取引関係を有する家具・寝具製造業者の一部の者により、これらには、請求人と取引先各社との間における取引額を含めた取引状況のほか、取引先各社における請求人の商標「KAGOO」についての認識に関し示した資料(甲60~甲63)により、一部の者においては、ある程度の取引、認識を得ていることはうかがえる。

イ 判断

上記ア(ア)ないし(エ)によれば、請求人は、商標「KAGOO」を使用して行う家具・寝具等の販売により毎期数億円を売り上げていると認められるほか、その広告宣伝のため多額を費やしていると認められる。

上記ア(オ)及び(カ)によれば、請求人とその事業について、事業名称たる「KAGOO」又は「カグー」とともにマスメディアに取り上げられたこと、また、取引相手においては、事業名称たる「KAGOO」又は「カグー」について、ある程度の認識が得られていることがうかがえる。

そうすると、一時的とはいえ高い話題性により、マスメディア等により大きく取り上げられた事実があり、また、同業者による証明書も取引に限定されたものであるものの、請求人が「ソファ,テーブル,チェア,収納棚,食器棚,リビングボード等の家具類及び寝具類」の小売等に使用する商標「KAGOO」について、需要者の間に広く認識をされるに至っているということができるものである。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

ア 本件商標の周知性について

上記(2)のとおり、請求人が家具の小売等に使用する商標「KAGOO」について、本件商標の登録査定時はもとよりその登録出願時には既に、請求人の業務に係る「ソファ,テーブル,チェア,収納棚,食器棚,リビングボード等の家具類及び寝具類」の小売等役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものといえる。

イ 本件商標と引用商標の類似性の程度

本件商標と引用商標とは、本件商標は、別掲1のとおりややデザインが施された「kagoo」の欧文字を横書きしてなり、引用商標は、「KAGOO」の欧文字を標準文字により表してなるものであるところ、外観においては、全体の構成における大文字と小文字という文字種の違いはあるものの、これを構成するつづりは「k(K)」「a(A)」「g(G)」「o(O)」及び「o(O)」からなる点において共通にするから、外観上、近似した印象を与え、その構成から生じる「カグー」の称呼も共通するものである。また、「kagoo(KAGOO)の文字は、両者は、一般に知られた語義を有するものとは認められないから、特定の観念を生じないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念においては、比較できないまでも、外観及び称呼において類似する商標といえるものである。

ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務との類否について

本件商標は、その指定商品中に、請求人の業務に係る小売等役務において取り扱う商品、すなわち、第20類「事務用家具,鏡(姿見),寝具類(リネン製品を除く。),枕,マットレス,家具用の付属品及び金具(金属製のものを除く。),木製又はプラスチック製の箱,ドア用締め具(金属製のものを除く。),コンピュータ用カート(家具),のこぎり台(家具)」及び第24類「ベッドカバー,マットレスカバー,ベッド用毛布,毛布,布団,枕カバー,シーツ(織物),ベッド用リネン製品,家庭用リネン製品,家具用カバー」を含むものであるから、請求人の業務に係る役務とは、類似する商品について使用するものといえる。

エ 小括

したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者間に広く認識されているものと類似する商標であって、その役務に類似する商品について使用するものといえるものであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものというべきである。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知著名性

引用商標は、上記(2)のとおり、請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。

イ 引用商標の独創性

引用商標は、請求人による造語であって、独創性は高い。

ウ 引用商標がハウスマークか否か

引用商用は、請求人のハウスマークと認められるものである。

エ 本件商標と引用商標の類似性の程度

本件商標と引用商標とは、上記(3)イのとおり、類似性の程度は高いものである。

オ 企業における多角経営の可能性

請求人企業は、ECサイトを通じて商品を小売りしており、その品目は、家具を中心としているが、多岐にわたっているといえるから、多角的な経営を行っているといえる。

カ 本件商標の指定商品と引用商標に係る使用役務の関連性、需要者の範囲

請求人は、引用商標を上記(2)のとおり、家具を中心にECサイトを通じて小売りしており、取り扱う商品は、「ソファ,テーブル,チェア,収納棚,食器棚,リビングボード等の家具類」であるところ、当該商品は、本件指定商品と同一又は類似するものであって、取引者及び需要者の範囲を共通にするものといえる。

キ 出所混同が生ずるおそれの有無

上記アないしカのとおり、引用商標は、請求人等の業務に係る役務を表示するものとして周知著名なものであり、その独創性も高いといえる。そして、本件商標と引用商標は高い類似性を有し、また、本件商標の指定商品と引用商標の使用役務とは、関係性の高いものであって、取引者、需要者を共通にするものである。

以上を踏まえ、本件商標の需要者である一般消費者において普通に払われる注意力(商品購入に際し、メーカー名などについて常に注意深く確認するとはかぎらないものと考える。)を基準として、総合的に判断すれば、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用したときは、これに接する需要者は、引用商標を想起し、連想し、当該商品を他人(請求人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

ク 小括

したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同項第19号かっこ書き「前号に掲げるものを除く。」により、同号には該当しない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号には該当しないものの、同項第10号に該当し、仮に該当しないとしても、同項第15号に該当するものであるから、商標法第46条第1項の規定によりにより、無効にすべきである。

よって、結論のとおり、審決する。

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