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Trademark Appeal Case

パリ条約と使用主義の商標権

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2023300480
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6485884号商標(以下「本件商標」という。)は、「CLASSIC SNOW SOCKS」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月20日に登録出願、第35類「自動車並びにその部品及び附属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として同年12月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標及び使用商標

1 請求人が、「パリ条約同盟国等において商標に関する権利を有する者」であることを証するために提示した商標は、以下のとおりである(以下「引用商標」という。)。

米国商標登録第3838639号(甲4の1)

商 標 : 別掲1のとおり

指定商品: 第12類「Anti-skid chains for vehicles ; Anti-skid textile covers for tires」

出願日 : 2008年12月13日

登録日 : 2010年 8月24日

2 請求人が、使用主義を採用する米国において、商標登録がされていなくても使用の事実によって商標権が発生すると主張する商標(以下「使用商標」という。)は、「Classic」の文字を表してなり、「布製タイヤチェーン」に使用するものである(甲4の2、甲4の3)。

第3 請求人の主張

請求人は、商標法第53条の2の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証を提出した(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)。

1 本件商標は、パリ条約の同盟国において、商標に関する権利を有する者である請求人の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって、当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに請求人の承諾を得ないで、その代理人若しくは代表者又は商標登録出願の日前1年以内に代理人又は代表者であった者によってなされているため、商標法第53条の2の規定により、その登録は取り消されるべきである。

2 取消原因

(1)請求人がパリ条約同盟国等において商標に関する権利を有する者であること

ア 米国において商標を使用する者がパリ条約同盟国等において商標に関する権利を有する者に該当すること

商標法第53条の2の「商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)」は、パリ条約同盟国等の商標法による商標権を指すものであり、商標の保護について使用主義を採用している米国では、商標登録がなされなくても使用の事実によって(コモンロー上の)商標権が発生し、米国において商標を使用する者は、パリ条約同盟国等において商標に関する権利を有する者に該当すると考えられる(甲2)。

イ 請求人が米国において商標を使用していること

甲第3号証の1ないし甲第3号証の3は、請求人のウェブサイトの写し(英語版、スペイン語版及び日本語版)である。

請求人「イッセ セイフティ ソシエダッド リミターダ」は、スペイン・バルセロナ近郊で2003年に誕生し、十数年に渡り布製タイヤチェーンを開発・製造している。請求人は、請求人が販売する布製タイヤチェーンの商標として「ISSE SNOW SOCKS」を使用しており、商品ラインナップに合わせて、標準品質モデルの「Classic」、高品質モデルの「Super Model」、大型車両向けの「Truck&Bus」の商標を使い分けている。

すなわち、請求人は、商品「布製タイヤチェーン」についてハウスマークである商標「ISSE」の他、商標「Classic」、「Super Model」、「Truck&Bus」を使用している。

請求人の布製タイヤチェーンは、ヨーロッパを代表する布製タイヤチェーンとしてヨーロッパ・アメリカで受け入れられており、自社製品だけでなく世界屈指の大手タイヤメーカーであるグッドイヤーヘのOEM製品を製造している。

請求人は、アメリカ合衆国において、ハウスマークである商標「ISSE」を2008年12月13日に商標登録出願し、2010年8月24日には米国商標登録第3838639号を取得している(甲4の1)。

甲第4号証の1では請求人が商標「ISSE」を2005年から商業的に使用を開始していることが示されている。

米国における商標出願については、所定期間内に現実に使用している商標見本の提出が義務づけられているところ、請求人が2016年8月15日及び2020年8月5日に提出した商標見本(specimen)には、「ISSE」以外にも商標「Classic」、「Super Model」、「Truck&Bus」が使用されていることが示されている(甲4の2、甲4の3)。

また、実際に米国の小売サイトにおいても請求人の商標を付した商品「布製タイヤチェーン」は販売されており、甲第5号証の1は米国の大手小売サイト「Amazon(https://www.amazon.com/)」の販売ページの写しであり、甲第5号証の2は米国の「Walmart(https://www.walmart.com/)」の販売ページの写しである。これらの米国の小売サイトでは、請求人の商標「Classic」を付した商品「布製タイヤチェーン」が販売されている。

したがって、請求人が米国において商品「布製タイヤチェーン」に商標「Classic」等を使用していることは明らかである。

ウ 小括

以上のとおり、パリ条約同盟国である米国において商標「Classic」等を遅くとも2016年ごろには、商品「布製タイヤチェーン」に使用し、その使用は現在もなお継続していることから米国において(コモンロー上の)商標権が発生しており、請求人はパリ条約同盟国等において商標に関する権利を有する者に該当する。

(2)本件商標と使用商標の類否及び本件商標の指定役務と使用商標の商品の類否

ア 本件商標と使用商標の類否

(ア)本件商標

本件商標は、「CLASSIC SNOW SOCKS」を標準文字で表してなる。

本件商標は、「CLASSIC」と「SNOW」と「SOCKS」の3語を、同じ字体で同じ大きさで横一連にまとまりよく表記されているものではあるが、それぞれの語の間に1文字分のスペースがあり、外観上、「CLASSIC SNOW SOCKS」なる一連の語であるとは認められない。

また、本願商標を構成する「SNOW」の語と「SOCKS」の語を組み合わせた語は、タイヤを覆いタイヤと雪が接触しないようにすることで雪道におけるグリップが向上する布製のタイヤチェーンを意味する商品の名称として一般的に使用されている(甲6の1)。

そうとすると、「SNOW SOCKS」の文字部分は、使用商標の指定役務との関係において、販売対象となる商品を表示するに過ぎないものであるから役務の質を表したものとして、出所識別表示としての機能がないか又は極めて弱いということができる。

一方、「CLASSIC」の語は、「古典」「標準」「高品質」等の多義的な意味を有する語で有り、造語ではないものの、それ単独では自他商品役務識別機能を発揮するものとして登録が多数認められている(甲6の2)。

また、本件商標全体から生じる称呼「クラシックスノーソックス」は、全12音と比較的に長い称呼であることも相まって、「クラシック」と「スノーソックス」がそれぞれ独立したものとして看取される。

加えて、後述するとおり、「SNOW SOCKS」の語が請求人の使用する「布製タイヤチェーン」として永年使用されているものであることも踏まえると、「CLASSIC」の語が強く支配的な印象を与えるものである。

そのため、本件商標の構成中、自他商品識別標識として機能する部分は、「CLASSIC」の文字部分となり、「CLASSIC」の文字部分が本件商標に接する需要者・取引者に独立した要部と認識される。

(イ)使用商標

請求人は米国において商品「布製タイヤチェーン」に商標「Classic」を使用しているため、使用商標は「Classic」の文字となる。

また、請求人は、日本に2019年に上陸しわずか1年で大手自動車輸入業者のメーカーオプションに採用された他、ロードサービスの搭載ツールにも選ばれるなど請求人の商品は日本の需要者からも幅広い支持を受けている。

具体的に、2022/23シーズン(2022年8月~2023年7月)において以下の実績がある。

販売数量 約62,000個

「SNOWSOCKS Super Model」:38%

「SNOWSOCKS Classic」:60%

「SNOWSOCKS Truck&Bus」:1%

残り1%はOEM等

収益 500百万円(※卸売ベースの数字)

また、甲第7号証は、2019年から2023年2月までの累計の販売数量と販売金額をグラフにしたものである。

商品「布製タイヤチェーン」は日本において比較的新しい商品であるものの、そもそも本商品を必要とするのは基本的に降雪地域のさらに冬期のみであるにも関わらず、これだけの量が販売されている状況は、一地方(降雪地域)において請求人の商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者に広く認識されている商標であることを示すものである。

甲第8号証の1は、日本テレビ放送網株式会社によって2023年2月10日に放送された情報番組「スッキリ」の一場面の切り抜きであり、当日の放送では「大雪に警戒 都心も積雪の可能性・・・帰宅ラッシュを直撃か」がトップニュースとして取り扱われ、請求人の商標を付した「布製タイヤチェーン」が有効な大雪対策として大きく取り上げられた。

甲第8号証の2は、石川テレビ放送株式会社によって2022年12月に放送された情報番組の公式動画の写しである。

なお、石川テレビ放送は地方局ではあるものの、サービスエリアは石川県内と富山県西部ほぼ全域・福井県嶺北と富山県東部の一部に及び、これらの雪国を中心とした地域における認知度は高いといえる。

また、甲第8号証の3及び甲第8号証の4は、請求人の商標を付した商品に関する新聞記事である。

さらに、甲第8号証の5乃至甲第8号証の10は、請求人の商標を付した商品に関するネット記事である。

このようなテレビ放送・新聞記事・ネット記事からも、請求人の商標を付した商品「布製タイヤチェーン」は、降雪地域以外での需要は低いものの、雪国を中心とした地域において需要者に広く認識されている。

(ウ)本件商標と使用商標の類否

本件商標の要部は「CLASSIC」の語であり、使用商標とは称呼、外観、観念を共通にすることから、両商標は類似する商標である。

また、甲第9号証は、検索エンジン「Google」(URL:http://www.google.co.jp)を用いて、日本語のページで「CLASSIC SNOW SOCKS」の語を検索した結果である。検索結果を見ると、44件の半分以上が請求人に関連したページであり、このような実情からしても、被請求人が本件商標を使用した場合に需要者・取引者が請求人の商標と間違えることは想像に難くない。

イ 本件商標の指定役務と使用商標の商品の類否

本件商標の指定役務は、第35類「自動車並びにその部品及び附属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり、請求人が本件商標出願時に「SNOWSOCKS Classic」の商標を付していた商品は「自動車用の布製滑り止めタイヤチェーン」である。

本件商標の指定役務「自動車並びにその部品及び附属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、「自動車並びにその部品及び附属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)」の小売業務においてされる顧客に対する各種の便益(サービス)を提供するというもので、「自動車並びにその部品及び附属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)」は、請求人の使用する商品「布製タイヤチェーン」を包含することは明らかである。本件商標の指定役務と請求人の使用する商品「布製タイヤチェーン」との間で、一般的にそれぞれ異なる事業者が主体となるものではないし、用途や販売ないし提供される場所も格別に異なるものでもなく、需要者の範囲も一般的には一致する。

そうすると、本件商標の指定役務と請求人の使用する商品に同一又は類似の商標を使用すると出所の誤認混同を生じるおそれがあり、本願商標の上記指定役務と請求人の使用する商品は類似する。

なによりも本件商標の指定役務と使用商標の商品とは、類似商品・役務審査基準における類似群コード[12A05]を共通にし、競合関係にある小売等役務と商品であり、両者が類似することは明白である。

ウ 小括

以上のとおり、本件商標は、パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する請求人の当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品に類似する役務を指定役務とするものである。

このことは、後述するように、被請求人が本件商標を理由に、Amazonに出品している請求人の布製タイヤチェーンの「Classic」に対して出品の取消申請(すなわち販売中止の申請)を行っていることから、被請求人にとっても明らかなことである。

(3)被請求人が本件商標の登録出願の日前1年以内に請求人の日本における代理人と実質的に同一視できる者であったこと

ア 商標法第53条の2の「代理人」について

商標法第53条の2は、商標に関する権利を有する者の代理人もしくは代表者が、その権利者との間に存する信頼関係に違背して正当な理由がないのに同一又は類似の商標登録をした場合に、その取り消しについて審判を請求できる旨の規定である。

したがって、商標法第53条の2にいう「商標に関する権利を有する者の代理人又は代表者」は、商標権者から何らかの代理権を授与された者のように狭く解釈すべきではなく、広く商標権者の商品を輸入し販売する者を指し「契約に基づき継続的な法的関係があるか、少なくても、継続的な取引から慣行的な信頼関係が形成され、外国の商標権者の販売体系に組み込まれている者であることを要する」と解するべきである。

したがって、商標法第53条の2の規定による取消審判の被請求人が同条の「代理人又は代表者」に該当するか否かは、単に請求人と被請求人との間に直接書面による取引契約が存在するか否かにとらわれることなく、両者間の取引の内容や信頼関係の程度等に照らして実質的に「代理人」と同一視することができるか否かに基づいて判断されることになる。

イ 請求人及び被請求人の関係

(ア)請求人の日本事業について

メーカーエージェントである「PMC(正式名称「ピー・エム・シー株式会社」)」は、年間の仕入量、販売戦略、ローカライズに係る要望等を請求人に対して行うとともに、請求人と「輸入者/総代理店」の間に立ってクレーム対応や国際輸送のフォロー等を行う。

また、輸入者である「ID international(正式名称「株式会社アイディー・インターナショナル」)」と日本総代理店である「Foresight(正式名称「株式会社フォーサイト」)」は仕入の費用・売上を折半し在庫も共同で持ち、「ID international」と「PMC」の代表は同一のため、現実的に「PMC」と「Foresight」によるジョイント・ベンチャーのような形で事業が進められている。

(イ)被請求人及び被請求人の親会社「株式会社アイエーシーインターナショナル(以下「IAC」)」について

被請求人は、自動車販売の事業を行っており、「株式会社アイエーシーインターナショナル(以下「IAC」)」のグループ会社の一つである(甲11)。

甲第13号証では、「IAC」が主体となっているが、被請求人と「IAC」の経営者は同一人物であり、甲第13号証の3に販売先は被請求人と記載されていることから、被請求人と「IAC」とは単純な親会社・子会社の関係ではなく同列視ができる事業体である。

(ウ)請求人及び被請求人の関係について

被請求人が、本件商標の登録出願の日である令和3(2021)年5月20日の前1年以内に、請求人の日本における日本総代理店である「Foresight」と実質的に同列の立場に立って、請求人の日本仕様の商品を輸入し、販売できた者であったことは明らかである。さらに、代理人と実質的に同一視できる立場になる以前は販売店の一つではあったものの、当時から継続的な取引があったため慣行的な信頼関係は形成されていた。

特に、甲第13号証の2及び甲第13号証の3の見積額・信用状(L/C)に示すように、被請求人の支払総額は1000万円以上となり決して少ないものではない。

さらに、被請求人の会長兼CEOであるI氏は、2020年11月に日刊自動車新聞において「欧米諸国と日本の架け橋になりたい」と答えており、単なる販売店にとどまるものではないことを自認していたといえる(甲13の4)。

同時に、被請求人は、本件商標を用いて、請求人の布製タイヤチェーンの「SNOWSOCKS Classic」に対して出品の取消申請(すなわち販売中止の申請)が可能だと考えていることは明白である。すなわち、被請求人自身が「CLASSIC」の語は請求人の使用する商標であると認識していたことがこの出品の取消申請より明らかであることを付言する。

なお、請求人が被請求人に卸したのは、甲第3号証の3に示すような日本語版のパッケージであり、甲第4号証の3等に示すような外国語版パッケージとは異なる日本専用の商品である。そのため、被請求人の輸入行為はいわゆる並行輸入ではないことを付言する。

ウ 小括

以上のとおり、被請求人は単なる販売店にとどまるものではなく、過去の請求人と被請求人の取引の内容等に照らせば、少なくても、継続的な取引から慣行的な信頼関係が形成され、外国の商標権者の販売体系に組み込まれている者に該当することは明らかである。

したがって、被請求人は本件商標の登録出願の日前1年以内に請求人の日本における代理人と実質的に同一視できる者であったといえる。

(4)被請求人が本件商標の登録出願をすることにつき正当な理由がないこと及び請求人の承諾を得ないでされたものであること

甲第13号証の10に示すように、被請求人は、請求人から請求人の布製タイヤチェーンを直輸入できないと分かると、被請求人は本件商標を2021年5月20日に出願し登録を受け、2022年12月には本件商標を理由に、Amazonに出品している請求人の布製タイヤチェーンの「SNOWSOCKS Classic」に対して出品の取消申請(すなわち販売中止の申請)を行っている。

このような本件商標の出願経緯及びその他の実情に鑑みれば、本件商標は、正当な理由がないのに、請求人の承諾を得ることなく、商標登録出願がされ、登録されたものであることは明白である。

むしろ、本件商標は、請求人との取引上の信義則や商道徳に反するだけでなく、商標制度の悪用によって公正な競業秩序や消費者の利益を阻害しようとするものといっても過言ではない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第53条の2に規定する登録商標に該当するものであり、請求人は、同規定に基づき、本件商標の登録取り消しを求める。

3 答弁に対する弁駁

(1)弁駁の内容

ア「本件商標」に関する答弁について

被請求人は、「CLASSIC」と「SNOW SOCKS」が指定役務の分野において識別力の弱い語句であることから、これらの結合商標は、一部の語句を抽出して類否を判断するのではなく、商標全体として類否が判断されるべきものであることから、本件商標は全体で一連の商標である旨を答弁している。

被請求人の述べるとおり、「SNOW SOCKS」の語は布製のタイヤチェーンを意味する商品の名称として一般的に使用されており、本件商標の指定役務との関係において自他商品役務識別機能がないか又は極めて弱いものである。

しかしながら、審判請求書の甲第6号証の2に示すとおり、「CLASSIC」の語は自他商品役務識別機能を発揮するものとして登録が多数認められている。

また、被請求人は「CLASSIC」の語が辞書に「(1)最高級の、第1級の(2)典型的な、標準的な(3)定番の、伝統的な(4)古典の、古典的な」などの意味合いで掲載されていることのみをもって本件商標の指定役務との関係において識別力が弱い旨を主張しているが、辞書への掲載は直ちにその語が一般に使用されていることを示すものではなく、需要者による実際の取引実情を基準とする識別力・類否判断においては不十分である。

なお、本件商標の指定役務の分野において一般的に使用されている語であることが最も直接的に根拠となるが、この点については、審判請求書の甲第9号証に示すとおり、「CLASSIC SNOW SOCKS」の語の検索結果の半分以上が請求人に関連したページであることからしても、「CLASSIC」の語が本件商標の指定役務の分野において一般的に使用されていないことは明白である。

したがって、本件商標の構成中、自他商品識別標識として機能する部分は、「CLASSIC」の文字部分となり、「CLASSIC」の文字部分が本件商標に接する需要者・取引者に独立した要部と認識される。

イ「請求人の商標」に関する答弁について

被請求人は、請求人の登録商標「イッセ・スノーソックス クラシック」(登録第6693843号)が被請求人の本件商標と非類似の商標と判断されたことから、審査において両商標から「CLASSIC(クラシック)」を抽出して類否判断されたものでないことは明らかであり、このことをもって本件商標から「CLASSIC」を抽出して請求人の使用商標「CLASSIC」と類似と判断することは誤りである旨を答弁している。

しかしながら、そもそも商標の類否判断は対比する商標の構成ごとにどの部分が要部となり得るかは異なり、ある単語(例えば「Classic」)に対してなされた類否判断が、当該単語を含む類否判断全てにおいて適用されるわけではないことは言うまでも無い。

これを本件についてみると、請求人の登録商標「イッセ・スノーソックスクラシック」(登録第6693843号)は、これを構成する「スノーソックス」及び「クラシック」の部分と比較して、請求人の社名の一部である「イッセ」の部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、「クラシック」の部分の抽出の可否について、本件商標と使用商標とは事案を異にするものである。

したがって、請求人の登録商標「イッセ・スノーソックス クラシック」(登録第6693843号)が被請求人の本件商標と非類似の商標と判断されたことをもって、本件商標から「CLASSIC」が抽出されるかの判断が左右されるものではない。

ウ「請求人の表示」に関する答弁について

請求人の使用商標「CLASSIC」が自他商品役務識別機能を発揮するものであることは審判請求書及び上記で述べるとおりである。

また、被請求人は請求人の使用商標「CLASSIC」について商標的に使用されるものではない旨の答弁をしているが、請求人が「CLASSIC」を商標として使用していることは審判請求書の甲第5号証の1及び甲第5号証の2からも明らかである。米国の小売サイトに掲載されている写真及び文言から「CLASSIC」が商品の内容を示す語としてではなく商標として使用されていることは容易に認識できる。

さらに、被請求人は商標法第53条の2の規定により請求人が保護されることは、商標法の趣旨に反する旨を答弁している。

請求人の代理人と実質的に同一視できる被請求人による本件商標の出願は同盟国で商標に関する権利を有する請求人を脅かす行為であり、あまつさえ被請求人は本件商標を理由に請求人の布製タイヤチェーンに対して出品の取消申請(すなわち販売中止の申請)を行っており、商標法第53条の2の趣旨に鑑みれば、被請求人が商標法の趣旨に反する行為を行っていることは明らかである。

エ 答弁書における主張と実際の行為の矛盾について

答弁書において、被請求人は本件商標と使用商標及び請求人の商標とは類似しない旨を述べている。

しかしながら、審判請求書で述べたように、被請求人は本件商標を理由に請求人の布製タイヤチェーンに対して出品の取消申請(すなわち販売中止の申請)を行っており、当該行為は被請求人が出品の取消申請(すなわち販売中止の申請)を行った際には本件商標と使用商標及び請求人の商標とが類似する商標と認識していたことを裏付けるものである。

したがって、答弁書における本件商標と使用商標及び請求人の商標とが類似しない旨の主張は、本件商標と使用商標及び請求人の商標とが類似することを理由に行った出品の取消申請(すなわち販売中止の申請)と矛盾するものである。

なお、付言すると、被請求人は、答弁書において、類否の点のみを争っており、その他の請求人の主張(請求人との過去の取引の経緯やAmazonへの出品取消申請行為)等については全く反論がなされていない。

(2)まとめ

以上のとおり、答弁書における被請求人の主張は本件商標と使用商標とが非類似であることについて客観的に証明できるものでない。

したがって、他の同盟国で商標に関する権利を有する者の保護を強化することを目的とするという商標法第53条の2の制度趣旨に鑑みれば、被請求人が、請求人の「CLASSIC」の語を使用した布製タイヤチェーンの輸入を阻害しようとする主観的意図、すなわち不正の目的を持って本件商標を取得していることは疑う余地もなく、商標の類否判断にあたって、このような被請求人の姿勢も十分斟酌されるべきである。

以上より、被請求人の答弁は妥当ではなく、請求趣旨のとおり、本件商標は取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁

1 答弁の趣旨

本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

2 理由

(1)本件商標の取消理由に該当しない要点

本件取消審判は、登録第6485884号商標「CLASSIC SNOW SOCKS」(以下、「本件商標」という。)の指定商品(役務)、即ち第35類「自動車並びにその部品及び付属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、商標法第53条の2の規定による商標登録の取消請求がなされたものである。

しかしながら、被請求人の本件商標は、請求人の商標に関する権利に係る商標又はこれに類似する商標に該当せず、本件取消審判の要件の一部を満たしておらず、商標法第53条の2の規定により取り消されるべきものではない。

(2)本件商標について

被請求人の本件商標は、アルファベットの標準文字で表記された商標「CLASSIC SNOW SOCKS」であり、前半部分「CLASSIC」と中間部分「SNOW」との間に、また中間部分「SNOW」と後半部分「SOCKS」との間にそれぞれ一文字分のスペースが設けられているが、これらのアルファベット文字は標準文字で表記されていることから、同じ大きさで且つ同じ字体で統一感をもって表記されたことになる。

また、前半部分「CLASSIC」からは「ア.最高級の、第1級の イ.典型的な、標準的な ウ.定番の、伝統的な エ.古典の、古典的な」などの意味合い(ジーニアス英和辞典第5版)があり、これらの意味合いは本件商標の指定役務(第35類:自動車並びにその部品及び付属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)の分野においては識別力の弱い語句である。また、中間部分「SNOW」からは「ア.雪、イ.積もった雪」などの意味合い(ジーニアス英和辞典第5版)があり、また後半部分「SOCKS」は「SOCK」の複数形であり、単数形の「SOCK」からは「ア.靴下、ソックス、イ.軽い靴」などの意味合い(ジーニアス英和辞典第5版)があるが、中間部分「SNOW」と後半部分「SOCKS」とを組み合わせた語句「SNOW SOCKS」からは布製のタイヤチェーンを意味する語句として一般的に知られており、この語句「SNOW SOCKS」も本件商標の指定役務(第35類:自動車並びにその部品及び付属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)の分野においては識別力の弱い語句である。

このように、前半部分「CLASSIC」及び中間部分と後半部分を組み合わせた語「SNOW SOCKS」は、いずれも、本件商標の指定役務の分野において識別力の弱い語句であることから、このような識別力の弱い語句を結合した商標は、一部の語句を抽出して類否を判断するのではなく、商標全体として類否が判断されるべきものである。

これらの理由により、本件商標「CLASSIC SNOW SOCKS」は、全体として一連の商標でもって類否が判断され、外観、称呼及び観念について全体として類否判断されるべきものである。

(3)請求人の商標について

請求人は、商品としての布製の滑り止めタイヤチェーン(以下、「布製タイヤチェーン」という。)について商標「イッセ スノーソックス/ISSE SNOW SOCKS」を使用しており、この布製タイヤチェーンのモデルとして3種類、即ち標準用として「Classic(CLASSIC MODEL)」、高性能用として「Super(SUPER MODEL)」、またトラック及びバス用として「Truck & Bus」を用い、布製タイヤチェーンの用途を示す語句「Classic(CLASSIC MODEL)」、「Super(SUPER MODEL)」及び「Truck & Bus」として使用しており、布製タイヤチェーンの用途として用いるこれらの語句は、本件商標の指定商品(役務)の分野において識別力が弱い又はほとんど識別力がない語句であることは明らかである。

また、請求人は、自らが使用する商標について4つの商標、即ち、ア.商標「イッセ・スノーソックス」、イ.商標「イッセ・スノーソックス クラシック」、ウ.商標「イッセ・スノーソックス スーパー」及びエ.商標「イッセ・スノーソックス トラック アンド バス」を出願している。

ア.「イッセ・スノーソックス」については、令和5年(2023年)2月2日に出願され、令和5年4月26日に商標登録第6693842号として登録されている(乙1)。

イ.商標「イッセ・スノーソックス クラシック」については、令和5年(2023年)2月2日に出願され、令和5年4月26日に商標登録第6693843号として登録されている(乙2)。

ウ.商標「イッセ・スノーソックス スーパー」については、令和5年(2023年)2月2日に出願され、令和5年4月26日に商標登録第6693844号として登録されている(乙3)。

エ.商標「イッセ・スノーソックス トラック アンド バス」については、令和5年(2023年)2月2日に出願され、令和5年4月26日に商標登録第6693845号として登録されている(乙4)。

これら4件の商標が全て登録に至っていることから、これらの出願の審査過程で次のように判断されたことが判る。ア.「イッセ・スノーソックス」については、後半部分「スノーソックス」は識別力の弱い語句であることから、その前半部分「イッセ」が強い識別力を有し、商標全体として自他商品識別機能を発揮するとして登録されたものである。また、イ.商標「イッセ・スノーソックス クラシック」、ウ.商標「イッセ・スノーソックス スーパー」及びエ.商標「イッセ・スノーソックス トラック アンド バス」については、識別力の強い語句「イッセ・スノーソックス」を含んでいることから、これらの商標全体として自他商品識別機構を発揮するとして登録が認められたものである。

請求人は、本件商標「CLASSIC SNOW SOCKS」における前半部分「CLASSIC」は、その語句単独で識別力を有し、自他商品識別機能を発揮すると主張している。仮に、請求人が主張するように語句「CLASSIC」が強く支配的な印象を与えて識別力を有する語句であるとすれば、請求人の登録商標、即ちイ.商標「イッセ・スノーソックス クラシック」における後半部分「クラシック」も強く支配的な印象を与えて識別力を有する語句に該当し、前半部分「イッセ・スノーソックス」と後半部分「クラシック」の二つの要部を有するものとなり、これら2つの要部「イッセ・スノーソックス」及び「クラシック」についてそれぞれ出願審査において類否判断されなければならないことになる。

そこで、本件商標「CLASSIC SNOW SOCKS」と「イッセ・スノーソックス クラシック」との出願過程を検討すると、本件商標は、令和3年(2021年)5月20日に出願され、令和3年12月14日に商標登録第6485884号として登録されているのに対し、請求人の「イッセ・スノーソックス クラシック」は、上述したように、令和5年(2023年)2月2日に出願され、令和5年4月26日に商標登録第6693843号として登録されており(乙2)、被請求人の本件商標の登録後に出願されていることが判る。

一方、指定商品(役務)について検討すると、本件商標は、第35類「自動車並びにその部品及び付属品(布製の滑り止めタイヤチェーンを含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群コード:12A05、35K04)を指定しているのに対し、請求人の「イッセ・スノーソックス クラシック」は第12類「タイヤ滑り止め具,自動車用の布製滑り止めタイヤチェーン」(類似群コード:12A05)を指定しており、被請求人の本件商標の指定商品(役務)と請求人の指定商品とは共に類似群コード12A05の商品(役務)を指定しており、指定商品(役務)において相互に類似関係にあることが判る。

このように指定商品(役務)が相互に抵触する二つの商標、被請求人の「CLASSIC SNOW SOCKS」と請求人の「イッセ・スノーソックス クラシック」とが共に登録されていることからすると、その審査過程において被請求人の「CLASSIC SNOW SOCKS」と非類似であると認定されたことになる。このことは、被請求人の「CLASSIC SNOW SOCKS」において前半部分「CLASSIC」及び請求人の「イッセ・スノーソックス クラシック」における語句「CLASSIC/クラシック」を抽出して類否判断されたものではないことが明らかである。請求人は、本取消審判請求において、被請求人の本件商標「CLASSIC SNOW SOCKS」の類否を判断するにあたり、その前半部分「CLASSIC」と抽出して請求人の表示「Classic」と対比して「類似する」と判断しており、このようにして判断をすることは誤りである。

(4)請求人の表示「Classic/クラシック」について

請求人は、自己の表示「Classic/クラシック」と被請求人の本件商標「CLASSIC SNOW SOCKS」のうちの前半部分「CLASSIC」を抽出して両者の類否を判断している。しかしながら、請求人の表示「Classic/クラシック」は、自社ブランド「イッセ・スノーソックス」のなかの商品グレード、商品用途などを識別するために用いられているものであって、自他商品識別機能を発揮するように商標的に使用されているものではない。請求人の3件の「イッセ・スノーソックス クラシック」、「イッセ・スノーソックス スーパー」及び「イッセ・スノーソックス トラック アンド バス」における「クラシック」、「スーパー」及び「トラック アンド バス」は識別力が弱く、指定商品(役務)との関連で自他商品識別機能を発揮し得ないものであり、このような語句「Classic/クラシック」までもが商標法第53条の2の規定における請求人の商標に関する権利に該当して保護されるべきものであるとすれば、本来保護されるべきものでないものまでもが商標法により保護されることになり、商標法の趣旨に反することとなる。

(5)まとめ

以上のとおり、被請求人の本件商標「CLASSIC SNOW SOCKS」は、商標法第53条の2に規定する請求人の商標に関する権利に係る商標、即ち上記「イッセ・スノーソックス」、「イッセ・スノーソックス クラシック」、「イッセ・スノーソックス スーパー」及び「イッセ・スノーソックス トラック アンド バス」とは非類似であり、また請求人が主張する表示「Classic/クラシック」は、指定商品(役務)との関連で識別力を有するものではなく、そもそも商標法第53条の2に規定する請求人の商標に関する権利に該当するものではない。

よって、被請求人の本件商標は、請求人の商標に関する権利に係る商標と非類似であり、商標法第53条の2の取消要件の少なくとも1つに該当しておらず、商標法第53条の2により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断

商標法第53条の2は、「登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締結国(以下「パリ条約の同盟国等」という。)において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であつて当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であつた者によつてされたものであるときは、その商標に関する権利を有する者は、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定し、パリ条約第6条の7の規定を実施するため、他の同盟国等で商標に関する権利を有する者の保護を強化することを目的としたものであり、他の同盟国等における商標に関する権利を有する者の承認なしに、その代理人又は代表者等が我が国に当該商標と同一又は類似範囲にある商標について出願した場合であって、それが登録されたときは、商標に関する権利を有する者がその登録を取り消すことについて審判を請求することができる旨を定めたものである。

そこで、本件商標の登録が、上記条項の要件を満たすものであるか否かについて、以下検討する。

1 「パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者」について

(1)引用商標

甲第4号証の1によれば、請求人は、パリ条約の同盟国の加盟国であるアメリカ合衆国において、第12類「Anti-skid chains for vehicles ; Anti-skid textile covers for tires」の商品を指定商品とする米国登録第3838639号商標(引用商標)の商標権に関する権利を所有する者であって、当該商標権は2010年8月24日に登録され、現在も有効に存続している。

そうすると、請求人は、本件商標の登録出願時である2021年(令和3年)5月20日には、パリ条約の同盟国等において商標(引用商標)に関する権利を有する者であったと認められる。

(2)使用商標

請求人は、「Classic」の文字からなる使用商標について、使用主義を採用するアメリカ合衆国において、商標登録がされていなくても使用の事実によって商標権が発生するものであると主張しているが、請求人の提出に係る甲各号証においては、引用商標の使用事実を証明するために、米国特許商標庁に提出された証拠(引用商標が使用されているウェブサイトや商品包装等)に「Classic」の文字が付記的に表示されていることが確認できるにすぎず、これらの証拠をもって、使用商標が、パリ条約の同盟国等における商標に関する権利に係る商標であるとはいえない。

したがって、請求人がパリ条約の同盟国等において商標(使用商標)に関する権利を有する者であったとする請求人の主張は、その前提を欠くものである。

2 「当該権利に係る商標又はこれに類似する商標」について

(1)本件商標について

本件商標は、上記第1のとおり、「CLASSIC SNOW SOCKS」の文字を標準文字で表してなるところ、その外観は、同じ書体、同じ大きさかつ等間隔で表してなるから、その構成文字に相応して「クラシックスノーソックス」の一連の称呼が生じる。

また、本件商標の構成中の「CLASSIC」の文字は「最高級の、典型的な、古典的な」等の(ジーニアス英和辞典第6版)、「SNOW」の文字は「雪」(前掲書)の、「SOCKS」の文字は「靴下」(前掲書)の意味を有する語であるものの、これらを組み合わせた本件商標は、直ちに何らかの意味合いを理解、認識させるものではなく、一種の造語として理解される。

そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「クラシックスノーソックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。

(2)引用商標について

引用商標は、別掲1のとおり、橙色の略円形状の図形(以下「図形部分」という。)の右側に「ISSE」の文字を太文字で表してなるところ、当該図形部分と「ISSE」の文字部分とは、それぞれ重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得る。

そして、当該図形部分は、特定の事物又は意味合いを表したものと認識されるものではないから、特定の称呼及び観念は生じない。

また、「ISSE」の文字は、一般的な辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を想起させる語として知られている語でもないことからすれば、特定の意味を有しない一種の造語として理解される。

したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「イッセ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。

(3)商標の比較

本件商標と引用商標とは、上記のとおり、図形の有無及び構成文字において明らかに相違することから、外観上相紛れるおそれはない。

また、称呼においても、構成音及び音数が明らかに相違することから、相紛れることなく判然と区別し得る。

さらに、両者は特定の観念を生じないことから、観念において比較することはできない。

そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないから、両者の外観、観念、称呼等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

3 まとめ

上記1のとおり、請求人は、パリ条約の同盟国等において、商標(使用商標)に関する権利を有する者ではないが、商標(引用商標)に関する権利を有する者である。

しかしながら、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

そうすると、本件審判は、商標法第53条の2のその他の要件を検討するまでもなく、同条項の要件を欠くものである。

したがって、本件商標は、商標法第53条の2の規定に該当するものとして、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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