結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024008745 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和5年3月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年9月15日付け:拒絶理由通知書
令和5年12月4日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年2月20日付け:拒絶査定
令和6年5月27日 :審判請求書の提出
令和7年5月8日付け :審尋
令和7年6月23日 :回答書の提出
本願商標は、別掲1のとおり、「HAMAMATSU」の欧文字を赤色で横書きしてなり、第7類、第9類、第10類、第11類、第35類及び第36類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、本願商標の指定商品及び指定役務は、上記1の手続補正により、別掲2の指定商品及び指定役務(以下「補正後指定商品及び指定役務」という。)に補正されたものである。
原査定は、「本願商標は、別掲1のとおり、「HAMAMATSU」の赤色の文字を、普通に用いられる方法で書してなるところ、当該文字は「静岡県西部、遠州灘に臨む市。政令指定都市の一つ。」である「浜松」の読み仮名を欧文字で表示したものであるから、これをその指定商品・指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「浜松市に関する商品・役務」であること、すなわち、単に商品の品質・役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
当審において、令和7年5月8日付け審尋により、別掲3及び別掲4の事実を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の合議体の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
(1)ロゴデザインの識別性は「一般に用いられる書体の一類型」であることをもって否定されるものではなく、既存の書体に変更を加えれば、ロゴの全体的な印象は大きく変わるところ、本願商標は、各文字を近距離に配置し、文字を構成する縦線を太く、横線をやや細く表し、各文字を通常よりもやや横長に表すことで統一的な印象を与える上、各文字にも様々な特徴を有する点で、極めて印象的で洗練された「ロゴデザイン」と認識される。
(2)審尋で引用された事例は、本願商標の指定商品のような工業製品の製造場所を示す語として、「浜松市」のような都市の名称をローマ字表記で産地表示とすることを示すものではない。本願商標の指定商品のような工業製品の製造場所を示す語としては、「国名」を使用するのが一般的であり、通常、「浜松市」のような都市の名称をローマ字表記で産地表示とすることはないため、工業製品について地名をローマ字表記すれば、需要者は、単なる産地表示以上の意味合いを認識する。
(3)請求人は商標法第3条第2項の適用を求めるものではないが、「HAMAMATSUロゴ」は、出願人のハウスマークとして、様々な場所・機会において露出されてきたものである。「PHOTON IS OUR BUSINESS」が共に使用されているとしても、これは従たる存在であることは明らかであり、外観的にも観念的にも「HAMAMATSU」ロゴが主な出所表示であるため、本願商標に接した需要者等が、本願商標を出願人のハウスマークであると認識し、本願商標から出願人である「浜松ホトニクス」を想起する場合も決して少なくない。
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「HAMAMATSU」の欧文字を赤色で横書きしてなるところ、別掲3のとおり、該欧文字の書体は、Druk書体に近いものであり(別掲3(1)、(2))、また、本願商標と近似した書体が一般に用いられている実情がある(別掲3(3)~(8))ため、本願商標は、一般に用いられる書体の一類型であって、普通に用いられる方法で表示するものといえるものである。
また、「HAMAMATSU」の欧文字は、「静岡県西部、遠州灘に臨む市。政令指定都市の一つ。」(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)である「浜松」を表示するものと容易に認識させるというのが相当であり、実際に別掲3(3)、(8)及び別掲4のとおり、浜松を指すものを欧文字「HAMAMATSU」(小文字表記を含む。)で表記している事実もある。
そうすると、本願商標を、本願の補正後指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品及び役務が「浜松市を産地・販売地とする商品」や「浜松市を提供の場所とする役務」であると理解、認識するものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品の産地・販売地・品質及び指定役務の提供場所・質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、ロゴデザインの識別性は「一般に用いられる書体の一類型」であることをもって否定されるものではなく、既存の書体に変更を加えれば、ロゴの全体的な印象は大きく変わるところ、本願商標は、各文字を近距離に配置し、文字を構成する縦線を太く、横線をやや細く表し、各文字を通常よりもやや横長に表すことで統一的な印象を与える上、各文字にも様々な特徴を有する点で、極めて印象的で洗練された「ロゴデザイン」と認識される旨主張する。
しかしながら、上述のとおり、該欧文字の書体は、Druk書体に近いものであり、また、本願商標と近似した書体が一般に用いられている実情があるため、本願商標は、一般に用いられる書体の一類型であって、普通に用いられる方法で表示するものといえるものであり、全体として自他商品役務識別力を有するような、他の表記方法と異なる印象を与えるものとは言えないというべきである。
イ 請求人は、審尋で引用された事例は、本願商標の指定商品のような工業製品の製造場所を示す語として、「浜松市」のような都市の名称をローマ字表記で産地表示とすることを示すものではなく、本願商標の指定商品のような工業製品の製造場所を示す語としては、「国名」を使用するのが一般的であり、通常、「浜松市」のような都市の名称をローマ字表記で産地表示とすることはないため、工業製品について地名をローマ字表記すれば、需要者は、単なる産地表示以上の意味合いを認識する旨主張する。
しかしながら、「浜松」を含む都市名を欧文字表記することは一般に行われており、「HAMAMATSU」の欧文字は、「静岡県西部、遠州灘に臨む市。政令指定都市の一つ。」である「浜松」を表示するものと容易に認識させるものである。そして、本願の補正後指定商品及び指定役務は、広範な商品及び役務を指定しており、当該商品及び役務は浜松において普通に製造、販売、提供されているものである。そうすると、本願商標を、本願の補正後指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品及び役務が「浜松市を産地・販売地とする商品」や「浜松市を提供の場所とする役務」であると理解、認識するものというのが相当である。
ウ 請求人は、商標法第3条第2項の適用を求めるものではないが、「HAMAMATSUロゴ」は、出願人のハウスマークとして、様々な場所・機会において露出されており、「PHOTON IS OUR BUSINESS」が共に使用されているとしても、これは従たる存在であることは明らかであり、外観的にも観念的にも「HAMAMATSU」ロゴが主な出所表示であるため、本願商標に接した需要者等が、本願商標を出願人のハウスマークであると認識し、本願商標から出願人である「浜松ホトニクス」を想起する場合も決して少なくない旨主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品中、第9類「光電子増倍管」については、本願商標と同一態様の「HAMAMATSU」の欧文字が商標法第3条第2項が適用されて登録(登録第4576925号商標)されている一方、本願については、その補正後指定商品及び指定役務に一般消費者を対象とした商品及び役務が多数含まれ、極めて広範な商品及び役務を指定している。そして、本願商標と同一の態様が数点の個別の商品に使用されていることはうかがえるものの、ごくわずかなものであって、また、指定商品中のいずれの商品に該当するかも不明である。また、各々の補正後指定商品及び指定役務について、商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域、売上高等を確認することができず、本願商標の使用状況が不明である。さらに、本願商標が、上記数点の商品のほか、請求人のウェブサイト、テレビ番組内での請求人の紹介、ジュビロ磐田のユニフォーム等に使用されている事実は認められるものの、本願商標の近傍に、「PHOTON IS OUR BUSINESS」の文字等が共に使用されているものであるから、「HAMAMATSU」の文字のみが着目され、請求人の業務に係るものと認識されるとはいい難いものである。
エ 請求人は、過去の審決例を見ても、同程度にデザイン化されたロゴについて識別力が認められた事例は多数存在する旨主張する。
しかしながら、登録出願された商標が自他商品役務の識別機能を有するか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様等をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであるから、過去の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
オ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。