結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024008800 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和5年4月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 9月26日付け:拒絶理由通知書
令和5年11月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年11月15日 :手続補正書の提出
令和6年 2月19日付け:拒絶査定
令和6年 5月27日 :審判請求書の提出
令和6年 5月29日 :手続補正書の提出
令和7年 6月 3日付け:審尋
令和7年 7月14日 :回答書の提出
本願商標は、「工場診断オンライン」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであって、その後、指定商品及び指定役務については、令和5年11月13日の手続補正により、別掲1のとおり補正されたものである。
原査定は、「本願商標は、その指定商品・役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品・役務が、「オンラインによる工場の診断に関する商品」、「オンラインによる工場の診断に用いる商品」、「オンラインによる工場を診断する機能を有する商品」、「オンラインによる工場の診断に関する役務」又は「オンラインによる工場の診断のための役務」であると認識するにとどまることから、本願商標は、単に商品の品質・用途、役務の質・用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
当審において、令和7年6月3日付け審尋により、別掲2ないし別掲4に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
「工場診断」は「工場」と「診断」に分離されるものではなく、一体の語句として観念されるものである。その意味合いは使用する者によって様々であり、需要者(工場診断に関連する業種/職種の者,製造業者等)に共通する定義は未だ形成されていない。したがって、「工場診断に関する商品や役務」を絞り込むことはできず、当然ながら「工場診断に関連する商品や役務の品質・用途」も想定可能な範囲まで絞り込むこともできない。よって、商標法第3条第1項第3号や第4条第1項第16号に該当することもない。
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「工場診断オンライン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「工場」の文字は「機械などを使って労働者が継続的に物品の製造や加工に従事する施設」の意味を有し、「診断」の文字は「医師が患者を診察して病状を判断すること。転じて、物事の欠陥の有無をしらべて判断すること。「企業―」」(いずれも「広辞苑第七版」岩波書店)の意味を有する語であるから、「工場診断」の部分は、全体として「工場の診断」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。そして、実際に、原審で示したとおり、「工場診断」と称して、工場における設備等の診断を行い、改善策を提案する業務が行われている実情がうかがえる(別掲2)。
また、本願商標の構成中、「オンライン」の文字は「パソコンなどが通信回線やLANによって接続されて、情報が転送できる状態」(前掲書)の意味を有し、オンラインで提供される様々な商品又は役務において、販売又は提供する内容の名称若しくはブランド名の語尾に「オンライン(ONLINE)」の文字を配することが行われている事実が認められる(別掲3)。
加えて、上記の工場等における診断や点検等が効率性の向上等のため、オンライン技術を用いて行われている実情も確認できる(別掲4)。
そうすると、本願商標の構成文字の語義及び取引の実情を踏まえると、本願商標をその指定商品・指定役務に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品・役務が、「オンラインによる工場の診断に関する商品」、「オンラインによる工場の診断に用いる商品」、「オンラインによる工場を診断する機能を有する商品」、「オンラインによる工場の診断に関する役務」又は「オンラインによる工場の診断のための役務」であること、すなわち、商品の品質・用途、役務の質・用途を表したものと一般に認識するというべきである。
したがって、本願商標は、単に商品の品質・用途、役務の質・用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記に照応する商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、回答書[1]工場診断の項において、「工場診断」の定義が定まっていないため、使用する者毎に異なる様々な意味合いで使われており、「品質・用途」等及び「使用したときの品質等の誤認」等を考察可能な範囲まで絞り込むことができず、妥当ではない(商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない)旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標の構成文字の語義及び別掲2の「工場診断」の一連の使用例からうかがえる取引の実情を考慮すれば、具体的な実施内容は実施者により異なる場合があるとしても、「工場診断」の文字全体からは、業務改善等のために「工場を診断すること」程の意味合いが容易に理解され、工場の診断に関係する指定商品及び指定役務との関係においては、商品の品質及び役務の質等を表すというべきである。
イ 請求人は、同[2]需要者の項において、(審尋で示した別掲4が如何なるものかについて、)本願商標「工場診断オンライン」の需要者は理解できるので、その需要者が「工場診断」という用語について如何なる定義を取り込んでいる場合でも、それらを自身の定義の「工場診断」と混同する虞はない旨主張する。
しかしながら、請求人主張の趣旨は必ずしも明らかではないが、別掲4は、工場の診断又は検査等がオンライン技術を用いて行われている取引の実情を示し、「工場診断オンライン」の文字に接する需要者がこれを、品質・質表示と理解することを示したものであり、これらの別掲4の事実内容を本願商標「工場診断オンライン」の需要者は理解できるから、それらを自身の定義の「工場診断」と混同する虞はないとの主張は採用できない。
ウ 請求人は、同[3]オンラインの項において、一部に登録例があると述べた上で、(審尋で示した別掲3について、)「オンライン」が後置されている場合、各語句(小児科オンライン、心理検査オンライン等)は、前置された語句をオンラインが修飾するのではなく、一体の語句として観念される旨主張する。
しかしながら、一部に登録例があるとしても、図形部分を有するものもあったり、商標の構成態様が異なるものであり、本願とは事案を異にするものというべきである。一方、別掲3のとおり、商品、役務名又はブランド名の語尾に「オンライン(ONLINE)」の文字を配すことが、オンラインで提供される様々な商品又は役務において行われている事実を踏まえると、当該文字が後に置かれていることで、一体の語句として観念されるとは言い難く、前に置かれた商品、役務名又はブランド名をオンラインで提供するもの、ほどの意味合いを理解させるというべきである。
エ 請求人は、同[4]工場診断オンラインの項において、「工場診断」は「工場」と「診断」に分離されるものではなく、一体の語句として観念されるものである。その意味合いは使用する者によって様々であり、需要者(工場診断に関連する業種/職種の者、製造業者等)に共通する定義は未だ形成されていない。したがって、「工場診断に関する商品や役務」を絞り込むことはできず、当然ながら「工場診断に関連する商品や役務の品質・用途」も想定可能な範囲まで絞り込むこともできない。よって、商標法第3条第1項第3号や第4条第1項第16号に該当することもない旨主張する。
しかしながら、前記のとおり、本願商標の構成文字の語義及び取引の実情を踏まえれば、「工場診断」の文字全体からは、業務改善等のために「工場を診断すること」程の意味合いが容易に理解され、また、オンラインで提供される様々な商品又は役務において商品、役務名又はブランド名の語尾に「オンライン(ONLINE)」の文字を配すことが行われている事実を踏まえると、工場の診断に関係する指定商品及び指定役務との関係においては、「オンラインによる工場の診断に関する商品」、「オンラインによる工場の診断に用いる商品」、「オンラインによる工場を診断する機能を有する商品」、「オンラインによる工場の診断に関する役務」又は「オンラインによる工場の診断のための役務」ほどの意味合い、すなわち商品の品質・用途及び役務の質・用途等を表し、前記に照応する商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
オ 請求人は、必要であれば、本願商標の指定商品・役務を、例えば「機械や設備が配置された工場の各機械の稼働状況や各作業者の機械又は設備での作業状況等に関連するデータを取得して工場の稼働効率や作業効率を診断するシステム用コンピュータプログラム」等、審判請求人の「特許第7345813号」が示している商品や役務に絞り込むことに異存ない旨を述べている。
しかしながら、例え前記のように補正した場合であっても、その内容が引き続き工場の診断に関係するものである以上、上記(1)の取引の実情を踏まえると、自他商品役務の識別標識として機能するとは言い難く、拒絶の理由が解消するものではない。
したがって、当該補正の機会を設けることなく、本件審判の審理を終結することとした。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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