sokuhyo

Trademark Appeal Case

記述的商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024015141
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和5年6月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年1月16日付け:拒絶理由通知書

令和6年3月22日 :意見書、手続補正書の提出

令和6年6月19日付け:拒絶査定

令和6年9月21日 :審判請求書、手続補正書の提出

2 本願商標

本願商標は、「埋込型信号機」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、第9類、第37類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正により、最終的に別掲1のとおりの商品及び役務に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、「埋込型信号機」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中の「埋込」の文字は、「見えないように奥深く入れる。あるものの一部分となるように中に入れる。」の意味を有する「埋め込む」の語の連用形であり、「型」の文字は、「ものを類に分けた時、それぞれの特質をよく表した典型。そのような形式・形態。タイプ。パターン。」の意味を有し、「信号機」の文字は、「道路・鉄道に設置し、進行・停止などの交通信号を表示する機器。信号。交通信号機。」の意味を有する、いずれも一般的に知られた平易な語であるから、本願商標は全体として、「埋め込み型の信号機」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。また、本願に係る指定商品又は指定役務を取り扱う業界において、海外等で、スマホを使用している歩行者の事故防止に、歩いても信号が見られる地面・道路埋め込み型の信号機が利用され、「埋め込み型信号機」等の文字が使用されている実情がある。そうすると、本願商標を、その指定商品又は指定役務中、「(地面等に)埋め込み型の信号機に関する商品又は役務」に使用しても、これに接する需要者、取引者は、商品の品質又は役務の質を表したものと理解するにとどまるから、本願商標は、単にその商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記文字に照応する商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。

4 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について

ア 商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状その他の特性又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。

そうすると、本願商標が、その指定商品又は指定役務について商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標が指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該商品又は役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして、当該商標が指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、商標の構成やその指定商品又は指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(令和3年(行ケ)第10113号同4年1月25日判決参照)。

イ 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について

本願商標は、上記2のとおり、「埋込型信号機」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成文字及び意味合いから、「埋込」、「型」及び「信号機」の文字(語)を一連に表してなるものと容易に理解されるものであって、いずれの語も広く一般に使用されているものであることから、全体として「埋め込み型の信号機」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。

そして、原審において示した別掲2(1)から(4)のウェブサイトの記載によれば、オーストラリア、オランダ、シンガポール等の国において、道路に埋め込まれるタイプの信号機が設置されている実情があり、そのことが日本においても報道されている実情が認められる。

そして、当該実情は、当審における職権調査からも、うかがい知ることができるものである(別掲2(5)~(8))。

なお、別掲2(7)及び(8)のウェブサイトの記載によれば、日本においても、「埋め込まれるタイプの信号機」について検討や製造が行われている実情が認められる。

してみれば、本願商標を構成する文字(語)が有する意味及び上記取引の実情を踏まえると、本願の指定商品及び指定役務との関係において、「埋込型信号機」の文字に接する需要者は、「地面(路面)に埋め込まれるタイプの信号機」ほどの意味合いを理解、認識するにとどまり、その商品又は役務が「地面(路面)に埋め込まれるタイプの信号機に関する商品又は役務」であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表したものとして認識されるものであると判断するのが相当である。

また、本願商標は、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。

そうすると、本願商標は、単に商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、かつ、本願商標を「地面(路面)に埋め込まれるタイプの信号機に関する商品又は役務」以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標が、誰も我が国において導入をしていない「地中に埋設する信号機」などのどこかに埋設される信号機を導入するために独自に創作した商標である旨や、本願商標の構成中の「埋込」部分に関して、信号機がいろいろなところに埋め込まれる可能性があるとイメージし、どこに埋め込まれるかが直ぐには認識・理解できないものであるから、本願商標は全体として造語的な言葉と認識・理解されるというべきである旨主張する。

ところで、上記(1)アのとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、当該商品又は当該役務の取引者及び需要者によって、将来を含め、商品又は役務の特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるものであり、そのように認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定商品又は指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである。

そして、たとえ、本願商標が、請求人の創作した商標であり、「埋込型信号機」の文字からは、信号機の埋め込まれる場所を直ちに理解できないとしても、上記(1)イのとおり、本願商標を構成する文字(語)が有する意味、及び道路等に埋設する信号機の設置に関する取引の実情を踏まえれば、本願の指定商品及び指定役務との関係において、本願商標に接する取引者、需要者は、その商品又は役務が「地面(路面)に埋め込まれるタイプの信号機に関する商品又は役務」であることを容易に認識するというのが相当であるから、本願商標を自他商品役務の識別標識としては認識しないというべきである。

イ 請求人は、「交通信号機」の業界について、交通機関及び国・地方自治体のように取引先が限定されていることや、交通信号機の発注先を決めると、その変更をすることがなかなかできないこと等の事情から、本願商標のような造語的な言葉に独占を認めたとしても、当該業界での円滑な取引を阻害することはないものと考えられる旨や、「埋込型信号機」の文字について他人の使用例が見当たらない旨主張する。

しかしながら、たとえ、「交通信号機」の業界において請求人が主張するような事情があり、「埋込型信号機」の文字(語)について他人に使用されている例が少ないとしても、上記(1)のとおり、本願商標は、その指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示というべきであり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるというべきであって、特定人による独占使用を認めるのは、円滑な取引を阻害するなど公益上の問題が生じるおそれがあるというのが相当である。

ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。