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Trademark Appeal Case

顔パスと役務の質表示

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024016379
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和5年6月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和5年12月 4日付け:拒絶理由通知書

令和5年12月27日 :意見書の提出

令和6年 3月21日付け:拒絶理由通知書

令和6年 4月 4日 :意見書の提出

令和6年 7月17日付け:拒絶査定

令和6年10月11日 :審判請求書の提出

令和7年 6月16日付け:審尋

令和7年 7月18日 :意見書の提出

2 本願商標

本願商標は、「顔パス」の文字を標準文字で表してなり、第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「顔パス」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標を構成する文字は、「何らかの特権を利用して、券を買わずに顔を見せるだけで劇場・催し物などの入口を通ること。」の意味を表す語である。そして、本願指定役務に関連する業界において、顔認証で施設等への入退室や勤怠を管理したり、電子決済等での本人認証を行うシステムやアプリケーションソフトウェアが提供されており、顔認証技術を利用して、顔をカメラ等に掲げるだけで認証され、セキュリティ等を通過できることを指して、上記の「顔パス」の語の語義から転じて、「顔パス」と称している実情がある。そうすると、本願商標は、その構成全体として「顔認証によりセキュリティを通過することができる」程の意味合いを、これを見る者に理解、認識させるものといえ、これをその指定役務に使用した場合、取引者、需要者は、単に「顔認証によりセキュリティを通過することができる電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守並びにこれらに関する助言」や、「顔認証によりセキュリティを通過することができることを特徴とする役務」のように、役務の特徴や質を表すものとして本願商標を理解、認識するにすぎず、本願商標は、役務の特徴や質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 当審における審尋

当審において、前記1の審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の意見(要旨)

(1)「顔パス」の文字は、辞書に記載のある、「何らかの特権を利用して、券を買わずに顔を見せるだけで劇場・催し物などの入口を通ること。」(顔を見せるだけで通過できる特権)の意味を表す語であって、チケットなど何も示すことなく「顔」だけで「通過」できることを比喩的・俗語的に表現した用語であり、顔認証技術やシステムと直結する技術的用語ではないから、本願商標がその指定役務に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標を単なる造語として認識するか、あるいは、前記の辞書上の意味を認識するにとどまり、これを超えて、「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組み」という顔認証技術や顔認証システムと直結する技術的用語として理解することはできない。

(2)前記(1)からすれば、原審及び審尋で示された「顔パス」の文字の使用例は、同文字を前記の辞書上の意味で使用している例と理解するのが自然である。仮に各種記事中において、「顔パス」の文字が、顔認証技術や顔認証システムとの関連で使用されていたとしても、同文字より、具体的な意味までは直ちに理解できるものではない。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。

また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質、役務の質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品の品質、役務の質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。

イ 本願商標は、「顔パス」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「何らかの特権を利用して、券を買わずに顔を見せるだけで劇場・催し物などの入口を通ること」の意味(「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)を有する語である。

また、別掲1のとおり、顔認証によって施設等への入退場、タクシー等への乗車、各種受付等を管理する設備やコンピュータシステムが提供されており、このような、顔認証システムを用いた仕組みを称して、「顔パス」の文字が使用されている事実がある。

そうすると、本願商標は、その指定役務中、機械等による構成される設備やコンピュータソフトウェア等を取り扱う分野の取引者、需要者に、「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組み」程の意味合いを容易に認識させるものといえる。

そのため、本願商標を、その指定役務中、別掲2の役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該役務が「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組みに関する役務」であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識するというのが相当である。

加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。

したがって、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標がその指定役務に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標を単なる造語として認識するか、あるいは、辞書に記載のある、「何らかの特権を利用して、券を買わずに顔を見せるだけで劇場・催し物などの入口を通ること。」(顔を見せるだけで通過できる特権)の意味を認識するにとどまり、これを超えて、「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組み」という顔認証技術や顔認証システムと直結する技術的用語として理解することはできない旨主張する。

しかしながら、別掲1のとおり、顔認証システムによって施設等への入退場、タクシー等への乗車、各種受付等を管理する仕組みを称して、「顔パス」の文字が使用されている実情がある。

そして、別掲2の役務が、機械等による構成される設備やコンピュータソフトウェアに関する役務を提供するものであることからすれば、本願商標は、別掲2の役務の分野の取引者、需要者に、「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組み」程の意味合いを容易に認識させるものといえる。

イ 請求人は、原審及び審尋で示された「顔パス」の文字の使用例は、同文字を、「何らかの特権を利用して、券を買わずに顔を見せるだけで劇場・催し物などの入口を通ること。」(顔を見せるだけで通過できる特権)の意味で使用している例と理解するのが自然であって、仮に各種記事中において、「顔パス」の文字が、顔認証技術や顔認証システムとの関連で使用されていたとしても、同文字より、具体的な意味までは直ちに理解できるものではない旨主張する。

しかしながら、請求人による係る主張は、前記アの主張を基にされているものであって、各証拠に接した者が、これらの証拠中に記載された「顔パス」の文字から、「何らかの特権を利用して、券を買わずに顔を見せるだけで劇場・催し物などの入口を通ること。」(顔を見せるだけで通過できる特権)の意味のみを認識するのが自然であるとする根拠は述べられておらず、係る証拠も提出されていない。むしろ、別掲1の各証拠は、いずれも、顔認証によって施設等への入退場、タクシー等への乗車、各種受付等を管理する設備やコンピュータシステムが提供された又は提供されることを内容とするものであり、これらの証拠中に「顔パス」の文字が使用されていることからすれば、これらに接する者は、「顔パス」の文字から、「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組み」程の意味合いを認識するというべきである。

ウ 請求人は、「顔パス」の文字からなる商標若しくは「顔パス」又はこれと類似する文字を構成中に含む過去の登録例を挙げ、本願について、これらの登録例の存在を参考とした上で判断されるべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(1)イのとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。

エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。

7 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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