結論テキスト
登録第6359316号商標の指定商品中、第24類「不織布,不織布用の布地,織物の代用品(不織布及びフェルト製のものに限る。)」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300228 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本件登録第6359316号商標(以下「本件商標」という。)は、「HiLoft」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年5月25日に登録出願、同3年3月4日に第24類「不織布,織物用又は不織布用の布地,綿織物,織物,混紡織物,織物の代用品」を指定商品として設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和6年4月24日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和3年4月24日~令和6年4月23日)を、以下「要証期間」という。
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)は、本件商標を、その指定商品中、第24類「不織布,不織布用の布地,織物の代用品(不織布及びフェルト製のものに限る。)」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において使用していない。
また、本件商標の登録原簿(甲1)に示すとおり、本件商標の指定商品についての専用使用権者は存在せず、また通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、請求に係る指定商品について使用されていないものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきである。
(1)本件商標の使用者について
被請求人は、商標権者はBerry Global,Inc.(以下「Berryグローバル社」という。)の完全子会社であるから、本件商標の使用について、Berryグローバル社に黙示の許諾をしており、Berryグローバル社は本件商標の通常使用権者である旨主張する。
しかしながら、Berryグローバル社が商標権者の通常使用権者であることは証明されていない。
乙第1号証によれば、商標権者は、今なおPGI Nonwovens(Mauritius)Limited(以下「PGIモーリシャス社」という。)の完全子会社である。
したがって、商標権者がBerryグローバル社の(実質)完全子会社といえるためには、少なくとも、Berryグローバル社によるPGIモーリシャス社の株の占有が示されるべきであり、そうでなければ、Berryグローバル社が商標権者から通常使用権を許諾されていることが明確にわかるような許諾書・契約書の存在が必要である。又は、Berryグローバル社に商標権者が黙示の通常使用権を与えていると認められるほど、両者に取引上の密接な関係があることが必要である。
また、Berryグローバル社が提供し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されているとされるホームページ(乙7、乙8)中に記載の「Factory Locations:Nanhai(Nanxin),China」は、その記載方法からすると、商品の原産地を示している意味合いが強く、商標権者である被請求人の会社(名)を表示していないから、Berryグローバル社が商標権者の通常使用権者として本件商標を使用しているとはいえない。
したがって、Berryグローバル社は、本件商標の通常使用権者とはいえない。
(2)本件商標の使用について
被請求人は、Berryグローバル社がそのホームページ(乙7、乙8)中に製品「不織布」に本件商標を表示して、日本国内の取引需要者に広告しているから、商標法第2条第3項第8号に規定される商標の使用(電磁的方法により提供される広告)に該当する旨主張する。
しかしながら、以下の各理由アないしウにより、当該広告は、商標法第50条第1項の「日本国内」及び、商標法第2条第3項第8号の「商標の使用(電磁的方法により提供される広告)」には該当しない。
ア まず、被請求人の主張する商標使用は、商標法第50条第1項の「日本国内」の使用に該当しない。当該ホームページは外国、米国で開設されているものと考えられるから、本件商標が「日本国内」で使用されている、とはいえない。
また、被請求人の主張する商標使用は、「日本国内の取引需要者に広告している」ともいえない。
すなわち、ホームページの内容が全て英語で表示されており、特に日本国の取引者を向けに向けられたものとはいえない。「利用可能地域」について、乙第7号証に「グローバル」とあり、乙第8号証に「アジア」とあっても、いずれも広範囲であって、特に日本国の取引者に向けられたものとはいえず、前述したように他国設置のホームページの掲載であり、ただアクセスできるという可能性のみでは「日本国内使用」にも「広告」にも該当しないというべきである。
この点、実際、日本国の取引者によって、要証期間内にどれほどアクセスされたのかは不明である。
したがって、当該ホームページでの商標の使用は、商標法第50条第1項の「日本国内」及び商標法第2条第3項第8号の「商標の使用(広告)」とはいえない。
本件と同じ外国ホームページでの商標使用を争点とした先例審決・判決(甲2、甲3)があり、本件についても同様に判断されるのが妥当である。
イ 乙第7号証及び乙第8号証の印刷日は2024年8月26日であるから、それより以前の要証期間の商標の使用を証明していない。すなわち、乙第7号証及び乙第8号証は、商標法第50条第1項の要証期間内の証明をしてはいない。
ウ 乙第11号証の電子メールは、たとえ、このメールが送信されたことが真実であったとしても、「要証期間内に日本国内において本件商標が使用されていたこと」を補充する証拠としてもその証拠力は、以下の理由(ア)ないし(ウ)により、かなり弱いといわざるを得ない。
(ア)そもそも、その電子メール中の「サンプル」が、メール依頼人の事務所(しかも日本の)に実際に送られた(輸出された)のかは定かではなく、また、この電子メールは「サンプル」(見本)の要求であるから、取引以前の段階でのことで、電子メール発信以後実際の取引には至らなかったことも考えられる。
(イ)電子メール中の「Reference」に記載されるタイトルからすると、この電子メールでのサンプル要求は、中国国内(for China)の取引であり、日本国内の取引ではない可能性がある。
さらに、仮に、これが日本国に関係するものであるとしても、この電子メール自体は、取引書類でもなく、また、電子メール中の商標の記載は、取引者によって記載・使用されているものであるから、商標権者又はBerryグローバル社による商標使用ではない。
(ウ)さらに、この電子メールの作成・送信が乙第7号証及び乙第8号証のホームページの掲載に関係している当てはないから、この電子メールは、乙第7号証及び乙第8号証の証拠を補強するものではない。
(3)不織布の日本への輸出について
乙第6号証及び乙第12号証における記述は、不織布が日本に到着したこと(乙6)又は不織布を日本に輸出していること(乙12)に言及しているのみで、「本件商標を使用した不織布」についての(輸出を)特定していないから、本件商標の使用を証明していない。
乙第6号証の文言の「日本に到着した」を「日本に輸出した」と読めるのか不確かである。
また、乙第12号証の文言の「・・・不織布、およびその他の製品を日本、東南アジア、その他の国や地域に輸出しています。」における「その他の製品」は、「不織布以外の製品例えば不織布利用(完成)製品」であるとも読め(乙1の訳文の第7頁の「事業範囲」の説明を参照。)、不織布、特に、本件商標を使用した不織布が、日本に輸出されていることを証明するものではない。すなわち、乙第12号証の文言は、「不織布が日本に輸出された」ことさえも証明するものとはいえない。
(4)まとめ
以上述べたとおり、被請求人によってされた答弁書及び証拠によっては「本件商標が要証期間内に日本国内において被請求人又は使用権者によって不織布に使用されていた」ことは証明されていない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
なお、審判長は、被請求人に対し、令和7年1月30日付けで、合議体の暫定的見解を示した審尋を送付し、相当の期間を指定して、当該審尋に対する回答を求めたが、被請求人は、何ら応答していない。
通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標は、請求に係る指定商品のうち「不織布」について、要証期間に日本国内において使用されているから、本件商標は、請求に係る指定商品について、その登録が取消されるべきではない。
以下、本件商標の使用事実を証明する。
(1)本件商標の使用者について
商標権者である「南海南新無紡布有限公司」(英語名:Nanhai Nanxin Non-woven Co.,Ltd.)は、不織布及び工業用繊維製品等の製造、加工及び販売などを事業内容とするところ、PGIモーリシャス社の完全子会社(持ち株比率100%)である(乙1)。
PGIモーリシャス社は、2015年に、Avintiv Specialty Materials(以下「Avintiv社」という。)に社名変更後、同年の後半に、Berry Plastics Group,Inc.(現在のBerryグローバル社、2017年に社名変更)により買収され(乙2~乙5)、この買収により、Avintiv社の事業は、Berry Plastics Group,Inc.に統合された。
つまり、持ち株比率100%の親会社であったPGIモーリシャス社(後のAvintiv社)が、Berry Plastics Group,Inc.(後のBerryグローバル社)に買収されたことで、商標権者は、要証期間から現在に至るまでBerryグローバル社の完全子会社になっているということになる。
それは、中国の企業情報サイト「企査査」に、商標権者がベリー・グループの100%子会社である旨の記載があること(乙6)や、後述する本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されたホームページにおいても、工場所在地「Nanhai(Nanxin)」と表示されていることからも理解できる(乙7、乙8)。
つまり、商標権者はBerryグローバル社の完全子会社であるから、本件商標の使用について、親会社であるBerryグローバル社に対して、黙示の許諾をしており、Berryグローバル社は本件商標の通常使用権者であるといえる。
(2)本件商標の使用について
本件商標の通常使用権者であるBerryグローバル社は、ホームページにて、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示しており(乙7、乙8)、不織布のイラストや製品の特長や利点ともに、「Nonwovwn(不織布)」の文字が表示されており、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示して、本件商標の指定商品である「不織布」を広告していることがわかる(乙7、乙8)。
そして、利用可能な地域は、「グローバル」(乙7)、「アジア」(乙8)となっており、日本が含まれることは明らかであり、かつ、当該ホームページは日本からもアクセス可能であり、ホームページでの広告の対象に日本国内の取引需要者も含まれることは明らかである。
さらに、被請求人は、要証期間内に、日本国内において本件商標が使用されていたことを示す補強証拠として、不織布を含む、物品の製造・販売・輸出入ならびにリース等を事業内容とするM社(乙9、乙10)の担当者が、通常使用権者であるBerryグローバル社の担当者を宛先として、要証期間内である2022年1月18日付けで送付が行われた電子メールの写しを提出する(乙11)。
M社の担当者から、Berryグローバル社の担当者を宛先として当該電子メールの送付が行われたことは、メールの署名欄及びメールアドレスのドメインから容易に判断が可能である(乙1の「1.3連絡先」に記載されているメールアドレスのドメインとも一致している。なお、担当者の名前やメールアドレスの一部は個人情報保護のため、マスキングをしている。)。
当該電子メールには、「K社ジャパンR&Dは、(あなたが)K社ジャパンに手配した以下のサンプルを手配していただきたいと考えています。私たちのオフィスに送っていただけますか?)」(和訳)という要望が記載されており、サンプルリストには、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の記載がある(乙11)。
そのため、要証期間において、本件商標の指定商品である「不織布」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用して、日本国内において取引がされていたということがいえる。
また、中国における主流なソーシャル・ネットワーキング・サービスである「WeChat」において、2022年6月2日に配信されたニュース記事にて、「(2022年)5月初旬、不織布を積んだコンテナのバッチは、南海南新不織布株式会社(=本件商標権者・南海南新無紡布有限公司)を出発し、海を渡って10日間後、日本に到着しました」(和訳。中国の企業情報サイト「企査査」にも同趣旨のことが記載されている(乙6)。)、「国内の不織布業界のリーディング企業として、南海医療健康製品産業協会のエグゼクティブバイスプレジデントユニットであるNanxin Non・woven Co.,Ltd.は、ポリプロピレンスパンボンド不織布、スパンメルト不織布、およびその他の製品を日本、東南アジア、その他の国や地域に輸出しています。」(和訳)と記載されている(乙12)。
そのため、少なくとも、要証期間内である2022年5月初旬に、商標権者は不織布を日本に輸出していたということがいえる。
以上を踏まえると、少なくとも、本件商標の通常使用権者であるBerryグローバル社は、要証期間に日本国内において、「不織布」に関する広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一の商標を付して、電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認められる。
以上のとおり、本件商標は、本件商標の通常使用権者によって、要証期間に日本国内において、その指定商品「不織布」について使用されているものであるから、本件商標は商標法第50条第1項に該当するものではない。
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることを全て証明する必要がある。
(1)被請求人の提出した乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、被請求人が、中国企業の情報を開示しているウェブサイトの抜粋及びその和訳と主張するものであり、中国語で記載された1葉目ないし6葉目について、7葉目以降の和訳を参照すると、1葉目において、「企業信用調査/プロフェッショナル版」の記載、その下に、商標権者の社名の記載、その下に、「このレポートは2024年8月22日13時24分16秒に作成された。」の記載がある。
また、5葉目において、「1.企業の概要」の項に含まれる「1.3 連絡先」の項の記載中の「電子メール」に対応する記載として、「@berryglobal.com」の文字を含む記載があり、6葉目において、「2.1 基本情報」の項に提示された表中、「会社名」の欄に、商標権者の社名の記載、「業種」の欄に、「有限責任会社(外国法人が全額出資)」の記載、「事業範囲」の欄に、「不織布及びその複合加工技術を用いた不織布及びその製品、軽量、高強度、耐薬品性、耐光性、その他多機能化された工業用繊維製品の製造、加工及び販売。」の記載があり、同じく「2.2 株主情報(1)」の項に、「株主は合計1社で、最大の株主はPGI Nonwovens(Mauritius)Limitedで、100%出資の企業体である。」の記載があり、当該記載の下に提示された表中、「株主名」の欄に、「PGI不織布(モーリシャス)社」の記載、「持ち株比率」の欄に、「100%」の記載、「最初の株式保有日」の欄に、「2011-03-07」の記載がある。
しかしながら、PGIモーリシャス社が保有する商標権者の株式の「持ち株比率」が「100%」であることが、いつの時点における情報であるのかを示す記載はない。
イ 乙第2号証
乙第2号証は、被請求人が、Berryグローバル社のウェブサイトにおけるニュースリリースページ及びその和訳と主張するものであり、3葉目の和訳を参照すると、1葉目において、「Berry PlasticsがBerry Globalに社名を変更」の記載、その下に、「2017年4月3日」の記載、その下に、「本日、ベリー・プラスチックス・グループ(NYSE: BERY)は、社名をベリー・グローバル・グループ・インクに変更すると発表しました。当社の普通株式は、引き続きニューヨーク証券取引所でBERYのシンボルで取引されます。また、Berry Plastics Group,Inc.の完全子会社であるBerry Plastics Corporationは、社名をBerry Global,Inc.に変更する,どちらの社名変更も2017年4月13日に発効します。」の記載がある。
ウ 乙第3号証
乙第3号証は、Wikipediaのウェブページであり、1葉目において、上部に、「WIKIPEDIA The Free Encyclopedia」の記載、その下に、「Berry Global ベリーグローバル」の記載、その下に、「ベリー・グローバル・グループ・インクは、フォーチュン500に名を連ねるプラスチック包装製品の世界的な製造業者および販売業者です。インディアナ州エバンズビルに本社を置き、世界中に265+以上の施設を持ち、46,000+人以上の従業員 2022年度の収益は14+十億ドルで、フォーチュン誌のランキングでインディアナ州に本社を置く最大の企業の1つです。2017年にBerry PlasticsからBerry Globalに社名を変更しました。」の記載があり、その下の「History 歴史」についての記載中に、「2015年7月、ベリーはノースカロライナ州シャーロットに本拠を置くAVINTIVを24億5000万ドルの現金で買収する計画を発表しました。」の記載がある。
エ 乙第4号証
乙第4号証は、被請求人が、不織布の世界市場シェアの分析についてのウェブページと主張するものであり、1葉目において、中ほどに、「不織布の世界市場シェアの分析」の記載、その下に、「2020/08/24」の記載、2葉目において、中ほどのやや下に、「不織布の世界シェア(2020年)」の記載、その下に、「1位が、米国の特殊プラスチックメーカーのベリー・プラスチック(Berry)です。同社は、1967年に、インペリアル・プラスチックとして創業された老舗プラスチックメーカーです。2015年に、アヴィンティブ(Avintiv)を買収し、不織布分野を強化しています。」の記載、5葉目において、下部に、「Avintivについて/旧PGIです。2013年に不織布大手の英Fiberweb社、2014年にブラジルの不織布大手のProvidencia社を買収し規模を拡大しました。ブラックストーン傘下にありましたが、2015年に米特殊プラスチックメーカーのベリー・プラスチックが買収しました。」の記載がある。
オ 乙第5号証
乙第5号証は、被請求人が、PGIモーリシャス社の買収についてのウェブページ及びその和訳と主張するものであり、2葉目の和訳を参照すると、1葉目において、左上に、「今月初め、以前はPGIとして知られていた会社が、今年後半にBerry Plasticsに買収されると発表し、業界に衝撃を与えました。PGIとBerryは衛生分野で同じ顧客の多くを共有しており、Berryはこれらの相乗効果と次のように述べています。PGIの世界的な知名度が、世界最大の不織布メーカーを買収することを決定した最大の理由です。・・・買収が発表されるまで、2015年6月にAvintiv Specialty Materialsに社名を変更したPGIは、新規株式公開の方向に向かっているように見えました。」の記載がある。
カ 乙第6号証
乙第6号証は、被請求人が、中国企業の情報を開示しているウェブサイト及びその和訳と主張するものであり、中国語で記載された1葉目ないし7葉目について、8葉目以降の和訳を参照すると、1葉目において、「企業信用調査/プロフェッショナル版」の記載、その下に、商標権者の社名の記載、その下に、「このレポートは2024年8月22日13時24分16秒に作成された。」の記載がある。
また、5葉目ないし7葉目において、「9.1 世論(116)」の項に提示された、1行目に「シリアル番号」、「リリース時間」、「説明」等の見出しが設けられた表中、「シリアル番号」欄が「9」の行における「リリース時間」欄に「2022-08-13」の記載、「説明」欄に「南海南信不織布有限公司は、世界No.1の不織布メーカーであるベリーインターナショナルグループの子会社であり、ハイエンドの不織布素材の研究開発、生産、販売、マーケティングを統合した会社です。同社は生産と家業を統合したハイテク企業である。」の記載があり、「シリアル番号」欄が「12」の行における「リリース時間」欄に「2022-06-02」の記載、「説明」欄に「5月初旬、南海南信不織布有限公司を出発した不織布を積んだコンテナ一行は、10日間の海上輸送を経て日本に到着した。RCEPの原産地証明書の恩恵を受け、この一行は関税ゼロの通関を享受し、南信のパートナーにとっては1.2%の節約となる。」の記載があり、「シリアル番号」欄が「16」の行における「リリース時間」欄に「2020-12-10」の記載、「説明」欄に「ベリー・グループの100%子会社である南海南信不織布有限公司は、ハイエンドの医療・ヘルスケア製品の建設に6,700万ドルを投資し、衛生製品を生産する計画である。不織布の新プロジェクト。」の記載がある。
しかしながら、「日本に到着した」「不織布」それ自体又はその包装に本件商標が付されていたことを示す記載はない。
キ 乙第7号証
乙第7号証は、被請求人が、Berryグローバル社のウェブサイトにおける製品紹介ページ及びその和訳と主張するものであり、全文が英語で記載された1葉目において、上部に、「HiLoft○R Bico side/side Nonwoven|Berry Global」(審決注:「○R」は「○」の中に「R」を表示した記号を表す。以下同じ。)の記載、中ほどに、「HiLoft○R Bico side/side Nonwoven」の記載がある。
ここで、3葉目の和訳を参照すると、「Nonwoven」の和訳は「不織布」である。
また、1葉目における上記記載よりも下の記載について、3葉目の和訳を参照すると、見出しとして、「商品情報」、「特長と利点」、「利用可能な地域」及び「工場所在地」の各記載があり、さらに、各見出しに対応してそれぞれの詳細についての記載があり、このうち、「利用可能な地域」については「・グローバル」の記載、「工場所在地」については「Nanhai(Nanxin)、中国」の記載がある。
さらに、1葉目の最も左下に、「https://www.berryglobal.com」の文字を含むURLの記載がある。
しかしながら、本号証において、掲載されている内容が、要証期間に日本語で閲覧できる状態で公開されていたことが確認できる表示は見いだせない。
ク 乙第8号証
乙第8号証は、被請求人が、Berryグローバル社のウェブサイトにおける製品紹介ページ及びその和訳と主張するものであり、全文が英語で記載された1葉目において、上部に、「CottonyLoft TM/AdvancedLoft Nonwoven|Berry Global」(審決注:「TM」の文字は上付きで表記されている。以下同じ。)の記載、その下に、「CottonyLoft TM/AdvancedLoft Nonwoven」の記載、その下に、「Nonwovens HiLoft Bico Side/Side Loft Soft Solution for Hygiene Applications」の記載がある。
ここで、3葉目の和訳を参照すると、「Nonwoven」及び「Nonwovens」の和訳は「不織布」である。
また、1葉目における上記記載よりも下の記載について、3葉目の和訳を参照すると、見出しとして、「商品情報」、「特長と利点」、「利用可能な地域」及び「工場所在地」の各記載があり、さらに、各見出しに対応してそれぞれの詳細についての記載があり、このうち、「利用可能な地域」については「・アジア」の記載、「工場所在地」については「Nanhai(Nanxin)、中国」の記載がある。
さらに、1葉目の最も左下に、「https://www.berryglobal.com」の文字を含むURLの記載がある。
しかしながら、本号証において、掲載されている内容が、要証期間に日本語で閲覧できる状態で公開されていたことが確認できる表示は見いだせない。
ケ 乙第9号証及び乙第10号証
乙第9号証及び乙第10号証は、いずれも被請求人が、M社のウェブサイトと主張するものであり、日本国内のM社について、乙第9号証には会社概要を示す記載があり、乙第10号証には事業内容や取扱製品を示す記載がある。
コ 乙第11号証
乙第11号証は、被請求人が、Berryグローバル社とM社の間でやりとりされた電子メールと主張するものであり、2葉目の和訳を参照すると、1葉目において、左上に、電子メールの表題として、「RE:中国のためのK社R&Dとの会議-K社中国の見積もり」の記載、その下に、「2022/01/18(火)16:09」の記載、その下に、「宛先」の記載、その右に、「@berryglobal」の文字を含むメールアドレスの記載、その下の、電子メールの本文を示すものと思われる領域に、「K社ジャパンR&Dは、K社ジャパンに手配した以下のサンプルを手配していただきたいと考えています。私たちのオフィスに送ってもらえますか?」の記載がある。
また、この記載の下の箇条書中、項番7に、「HiLoft PerferNova; Code: NET22CL(TS01);TS01 Embossing」の記載、項番8に、「HiLoft PerferNova; Code: NET22CL(JM109);JM109 Aperture」の記載、項番9に、「HiLoft PerferNova; Code: NPT22CL(DY20); Aperture」の記載がある。
ここで、2葉目の和訳を参照すると、「PerferNova」、「Embossing」、「Aperture」の和訳は、それぞれ「パーファーノヴァ」、「エンボス加工」、「アパーチャ」又は「絞り」である。
さらに、上記箇条書の下に、当該電子メールの送信者の氏名を記載したとされる箇所(審決注:マスキングされている。)及びM社の社名の記載がある。
サ 乙第12号証
乙第12号証は、被請求人が、中国におけるソーシャル・ネットワーキング・サービスである「WeChat」のニュース記事と主張するものであり、4葉目以降の和訳を参照すると、1葉目において、左上に、「2022-06-02 18:00」の記載、その下に、「5月初旬、不織布を積んだコンテナのバッチは、南海南新不織布株式会社を出発し、海を渡って10日間漂流した後、日本に到着しました。」の記載、2葉目において、上部に掲載されている写真の下に、「国内の不織布業界のリーディング企業として、南海医療健康製品産業協会のエグゼクティブバイスプレジデントユニットであるNanxin Non-woven Co,. Ltd.は、ポリプロピレンスパンボンド不織布、スパンメルト不織布、およびその他の製品を日本、東南アジア、その他の国や地域に輸出しています。」の記載がある。
しかしながら、「日本に到着」した「不織布」それ自体又はその包装に本件商標が付されていたことを示す記載はない。
(2)上記(1)によれば、次の事実を認めることができる。
ア 商標権者についてのレポートが、2024年8月22日に作成された(乙1)。
当該レポートには、商標権者のメールアドレスには、「@berryglobal.com」の文字が含まれていること、商標権者の事業範囲には、不織布の製造、加工及び販売が含まれていること、及び、PGIモーリシャス社は、2011年3月7日以降、商標権者の株式の保有者であり、持ち株比率は100%であることが記載されている。
イ PGIは、2015年6月の社名変更によりAvintiv社となり(乙4、乙5)、2015年7月にAvintiv社を買収したBerry Plasticsは、2017年4月の社名変更によりBerryグローバル社となった(乙2~乙5)。
ウ Berryグローバル社は、全文が英語で記載され、「HiLoft○R Bico side/side Nonwoven」と称する商品「不織布」(以下「使用商品1」という。)について、当該商品の「利用可能な地域」が「グローバル」であり、「工場所在地」が「Nanhai(Nanxin)、中国」であるとの情報が掲載されたウェブページを、インターネット上で公開していた(乙7)。
さらに、同社は、全文が英語で記載され、「Nonwovens HiLoft Bico Side/Side Loft Soft Solution for Hygiene Applications」と称する商品「不織布」(以下「使用商品2」という。)について、当該商品の「利用可能な地域」が「アジア」であり、「工場所在地」が「Nanhai(Nanxin)、中国」であるとの情報が掲載されたウェブページを、インターネット上で公開していた(乙8)。
エ 上記(1)アのとおり、乙第1号証において、「このレポートは2024年8月22日13時24分16秒に作成された。」の記載がある一方で、本号証には、PGIモーリシャス社が保有する商標権者の株式の「持ち株比率」が「100%」であることが、いつの時点における情報であるのかを示す記載はない。
また、乙第4号証及び乙第5号証における「PGI」の記載と、乙第1号証に記載されているPGIモーリシャス社との関係は明らかでないところ、仮に、前者の記載がPGIモーリシャス社を指しているとしても、PGIモーリシャス社は2015年6月の社名変更によりAvintiv社になり、さらに、Avintiv社を買収したBerry Plasticsが、2017年4月の社名変更によりBerryグローバル社となっていたにもかかわらず、2024年8月22日に「作成された」とされる乙第1号証に、PGIモーリシャス社の社名が記載されている理由は明らかでない。
さらに、乙第1号証における、商標権者のメールアドレスに含まれている「@berryglobal.com」の文字は、商標権者とBerryグローバル社との具体的な関係を示すものとはいえず、また、乙第7号証及び乙第8号証において「工場所在地」として記載されている「Nanhai(Nanxin)、中国」が、仮に商標権者を指しているとしても、両者の関係が明らかとはいえない。
そうすると、上記アないしウの認定事実からは、少なくとも要証期間におけるいずれかの時点において、商標権者が、Berryグローバル社の完全子会社であったものと推認することはできない。
また、他に、商標権者によりBerryグローバル社に本件商標の使用が許諾されていたと認めるに足りる証拠はない。
よって、Berryグローバル社は、要証期間に、本件商標の通常使用権者であったものとは認められない。
オ 乙第7号証及び乙第8号証に係る各ウェブページの内容は、使用商品1及び使用商品2に関する広告であると認められ、また、インターネット上の情報は、通常、日本国内からアクセス可能とされるから、当該各広告は日本国内から閲覧可能であったものと認められる。
よって、上記ウの認定事実は、換言すれば、Berryグローバル社が、日本国内から閲覧可能な、使用商品1及び使用商品2に関する広告を、インターネット上で公開していたというものである。
しかしながら、上記(1)キ及びクのとおり、上記各ウェブページにおいて、それぞれに掲載されている内容が、要証期間に日本語で閲覧できる状態で公開されていたことが確認できる表示は見いだせないから、乙第7号証及び乙第8号証によっては、当該各広告が、要証期間に日本国を対象として行われたものとは認められない。
乙第7号証において、使用商品1の「利用可能な地域」は「グローバル」とされ、乙第8号証において、使用商品2のそれは「アジア」とされており、いずれも日本国を含み得ることは理解できるものの、そのことから直ちに、当該各広告が日本国を対象として行われたものということはできない。
カ 日本国内のM社(乙9、乙10)の社員は、送信先として「@berryglobal」の文字を含むメールアドレスが設定され、件名の記載中にK社及び中国K社の社名が含まれ、さらに、本文の記載中に、日本K社が手配していたとされる、「HiLoft PerferNova; Code: NET22CL(TS01);TS01 Embossing」等の、項番7ないし9の3種類のサンプルを、M社のオフィスに送るように要請する内容が含まれる電子メールを、2022年1月18日に送信した(乙11)。
しかしながら、当該3種類のサンプルの名称中の「PerferNova」、「Embossing」、「Aperture」(和訳:「パーファーノヴァ」、「エンボス加工」、「アパーチャ」又は「絞り」)等の記載の意味するところは明らかでないから、各サンプルの名称が、使用商品1の名称と「Hiloft」において共通するものの、それぞれの相互関係は明らかでなく、各サンプルのいずれかが使用商品1と同じ商品であることは確認できない。この点は、使用商品2との関係についても同じである。
また、上記電子メールの件名及び本文の記載が、M社、日本K社等が、具体的にどのような取引を行っていたことを示しているのかは明らかでない。
そうすると、上記電子メールが2022年1月18日に送信されたことは、その日付の時点で、乙第7号証又は乙第8号証に係るウェブページに掲載された内容が、使用商品1又は使用商品2に関する日本国を対象とした広告として機能していたことを示すものとはいえない。
キ 商標権者は、2022年5月に、商品「不織布」を日本国へ輸出した(乙6、乙12)。
しかしながら、当該商品それ自体又はその包装に、本件商標が付されていたことは確認できない。
上記(1)カ及びサのとおり、乙第6号証及び乙第12号証のいずれにも、そのような事実を示す記載はない。
上記2の事実認定からすれば、次のとおり判断できる。
(1)Berryグローバル社による各ウェブページの公開について
上記2(2)オのとおり、Berryグローバル社は、日本国内から閲覧可能な、使用商品1及び使用商品2に関する広告を、インターネット上で公開していたところ、使用商品1及び使用商品2は、いずれも商品「不織布」であって、請求に係る指定商品中の「不織布」に該当する商品である。
また、使用商品1及び使用商品2のそれぞれの名称中には、「HiLoft」の文字が含まれており、当該文字は本件商標とつづりが一致している。
しかしながら、上記2(2)エのとおり、Berryグローバル社は本件商標の通常使用権者であったものとは認められないから、Berryグローバル社による上記行為は、本件商標の通常使用権者によって行われたものとは認められない。
また、上記2(2)オ及びカで検討したところによれば、上記行為が要証期間に日本国内で行われたものとも認められない。
よって、仮に、取引者、需要者において、使用商品1又は使用商品2の名称から、「HiLoft」の文字が、自他商品識別機能を有する部分として分離抽出して認識されるものであって、当該文字が、本件商標とつづりが一致することから本件商標と社会通念上同一の商標であるとしても、被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、請求に係る指定商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
(2)商標権者による不織布の輸出について
上記2(2)キのとおり、商標権者は、2022年5月に、商品「不織布」を日本国へ輸出したところ、2022年5月は要証期間であり、当該商品は、請求に係る指定商品中の「不織布」に該当する商品である。
しかしながら、当該商品それ自体又はその包装に、本件商標が付されていたことは確認できないから、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品又はその商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために輸出し、輸入する商標法第2条第3項第2号に該当する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
(3)その他、被請求人が提出した全証拠及び同人の主張を総合してみても、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する本件商標の使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3項各号の使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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