結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300238 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第3113378号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成4年9月28日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,日本料理を主とする飲食物の提供,西洋料理を主とする飲食物の提供,中国料理を主とする飲食物の提供,婚礼のための施設の提供,宴会のための施設の提供」を指定役務として、同8年1月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年4月24日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年(2021年)4月24日から同6年(2024年)4月23日までを、以下「要証期間」という。
請求人は、本件商標についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人が提出する乙各号証からは、実際に被請求人が本件指定役務について本件商標を使用していることを確認できない。すなわち、被請求人は、乙第6号証を提出して、経団連会館の施設において「飲食物の提供」を行っている旨を主張する。しかし、乙第6号証には「経団連会館カンファレンスはパレスホテルに運営を委託しております。」と記載されているに留まり、被請求人が委託を受ける具体的な業務内容は一切明記されていない。たとえば、被請求人は、「他人の事業のために行うサービスの手配」(第35類)や「食器の貸与」(第43類)を行い、「飲食物の提供」(第43類)は別の事業者が行っていることも考えられる。そのため、乙第6号証によって、被請求人が飲食物の提供を行っていることが証明されたとはいえない。
また、被請求人は、2023年12月18日の日本ASEAN首脳歓迎昼食会で本件指定役務を行い、その際に本件商標を裏側に付した皿が使用されたとして、乙第7号証を提出している。乙第7号証は、皿の表側と裏側の写真であるが、同一の皿の表側と裏側であるかを確認できない。そのため、乙第7号証の裏側の皿に本件商標が付されているとしても、これが同号証の表側の皿に本件商標が付されているとはいえない。また、皿の写った上記日本ASEAN首脳歓迎昼食会の写真として、乙第8号証及び乙第10号証が提出されているが、皿の部分がぼやけており、乙第7号証の皿が使用されたことも確認できない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
(1)本件商標は、以下のとおり、その商標権者によって、旧第42類の指定役務「西洋料理を主とする飲食物の提供」について、要証期間内に、日本国内で使用されている。
ア 本件商標の商標権者(被請求人)について
被請求人は、東京都千代田区丸の内に所在する「株式会社パレスホテル」であり、ホテル事業の運営をはじめ、レストラン・宴会場の運営等の複数の事業を行っている会社である(乙1)。
イ 本件商標の使用について
被請求人が行う各種事業のうちレストラン・宴会場の運営に関して、被請求人は経団連会館において宴会場や会議室を提供するとともに(乙2~乙5)、それら施設において飲食物の提供を行っている(乙6)。本件商標は、「西洋料理を主とする飲食物の提供」について、以下の場面で使用されたものである。
乙第7号証は、被請求人が宴会場や会議室の提供、飲食物の提供を行う経団連会館において、2023年12月18日に行われた日本経済団体連合会及び日本商工会議所共催の日本ASEAN首脳歓迎昼食会での飲食物の提供時に使用された皿の写真であり、皿の裏側に本件商標が使用されている。
前記の日本ASEAN首脳歓迎昼食会においては、宴会場の提供を行うとともに、乙第10号証中のメニュー表に記載された西洋料理を主とする飲食物が提供されており(乙8~乙10)、顧客である昼食会の参加者に提供される食事を盛りつけるための皿の裏側に本件商標が付されている(乙7)。このことは、指定役務「西洋料理を主とする飲食物の提供」に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物に本件商標が使用されたことを示すものであるから、被請求人が商標法第2条第3項第4号に該当する商標の使用を要証期間内に行ったことを証明するものである。
なお、日本ASEAN首脳歓迎昼食会が、2023年12月18日に行われたことについては、首相官邸のウェブサイトから明らかであり(乙11)、2023年12月18日に経団連会館で行われたことについては、時事通信社のウェブサイトから明らかである(乙12)。また、経団連会館のウェブサイトにおける国際会議場の写真中の内壁やカーペットは(乙13)、2023年12月18日の日本ASEAN首脳歓迎昼食会の様子を表した乙第8号証及び乙第9号証に写っている宴会場の内壁、カーペット、天井、照明、椅子と一致するから、乙第8号証及び乙第9号証に写っている日本ASEAN首脳歓迎昼食会が、経団連会館2階の国際会議場で行われたことを示すものである。
ウ 小括
乙第1号証ないし乙第13号証に示すとおり、要証期間内に、被請求人が運営する経団連会館において、本件指定役務「西洋料理を主とする飲食物の提供」に相当するサービスの提供時に、その提供を受ける者の利用に供する物に本件商標を使用してサービスが行われたものであるから、本件商標について商標法第2条第3項第4号に該当する使用がされたものである。
(2)以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証を総合的に勘案すれば、本件商標は、商標権者により、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において継続して使用されている。
したがって、請求人による本件審判請求は理由のないものであり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、その登録を取り消されるべきものではない。
(1)答弁書及び乙第1号証ないし乙第13号証にて述べたとおり、要証期間内の2023年(令和5年)12月18日に、被請求人が宴会場や会議室の提供、飲食物の提供を行う経団連会館において行われた日本ASEAN首脳歓迎昼食会での飲食物の提供時に、顧客である昼食会の参加者に提供される食事を盛り付けるための皿の裏側に本件商標が付されており、このことは、指定役務「西洋料理を主とする飲食物の提供」に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物に本件商標が使用されたことを示すものであるから、被請求人が商標法第2条第3項第4号に該当する商標の使用を要証期間内に行ったことを証明するものであるが、この事実を補強すべく証拠を追加提出することとする。
(2)まず、弁駁書において指摘されている、乙第6号証からは被請求人が経団連会館の施設において「飲食物の提供」の委託を受けたことについて立証がされておらず、乙第6号証によって被請求人が飲食物の提供を行っていることが証明されたとはいえないという点については、経団連会館を所有する社団法人Nと被請求人の間で2009年(平成21年)4月30日に締結された業務委託契約書を提出する(乙14)。乙第14号証の前文において、社団法人N(甲)が、被請求人(乙)に対して、別紙1「物件目録」記載の経団連会館会議室内において、社団法人N(甲)が事業主体となって実施している会館運営事業(第1条において定義される)に関し、本業務(第1条において定義される)を乙に委託し、乙がこれを受託することを合意する、という契約の趣旨が記載されている。第1条に規定される乙が委託を受ける業務については、甲が事業主体となって行う(ア)貸し会議室業、(イ)宴会業及び(ウ)レストラン業を中心とする事業を運営するにあたり、下記各号記載の各業務を本契約に定める各条項に基づき乙に委託するとあり、第1条(1)において、本件会館利用者に対する料理及び飲料サービスの提供業務が記載されている。また、第1条(2)において、本件会館貸し会議室及び貸し宴会場の予約受付から会場設営、実施当日の対応、その他本件会館を貸し出すために必要な業務が記載されている。さらに、第2条第1項ただし書きにおいては、前記した第1条(1)に規定の本件会館利用者に対する料理及び飲料サービスの提供業務に関しては、被請求人(乙)がその経営に関し発生する経営責任を負うものとし、その売上および損益は、すべて乙に帰属するものと規定されている。このことは、被請求人が、経団連会館において同会議室を提供する役務とともに、同会議室において行う「飲食物の提供」に係る役務を受託していたことを立証するものであり、2023年(令和5年)12月18日に経団連会館2階の国際会議場で行われた日本ASEAN首脳歓迎昼食会において、「飲食物の提供」も受託していたことを立証するものである。加えて、第1条(5)本件会館の施設および備品類の日常管理に関する業務及び第1条(6)資材、消耗品、料理材料等の仕入れ購買、在庫管理業務には、本件商標を使用した皿の手配や管理が含まれる。
なお、業務委託契約書の前文に記載の別紙1「物件目録」に経団連会館会議室の平面図が掲載されており、平面図中に斜線で示した部分が、第1条において定義される本業務の対象となるところ、2023年(令和5年)12月18日に日本ASEAN首脳歓迎昼食会が行われた経団連会館2階の国際会議室にも斜線が引かれている(乙14)。また、この業務委託契約書の契約期間は、第7条(契約期間)第1項に規定のとおり、平成21年5月1日から平成23年3月31日までとされているが、第2項において、契約期間満了の6カ月前までに、甲乙いずれからも何ら申し出のないときは、本契約と同一の条件でさらに2年間更新するものとし、以後同様とされており、現在まで更新され続けている。日本ASEAN首脳歓迎昼食会が行われた2023年(令和5年)12月18日の時点でも業務委託契約が有効であったことは、業務委託契約書の内容を一部変更することを締結した2023年(令和5年)3月31日付け覚書からも立証されるものであり(乙15)、同覚書の有効期間は、2023年(令和5年)4月1日から2024年(令和6年)3月31日までの間となっている。
以上より、2023年(令和5年)12月18日に経団連会館2階の国際会議場で行われた日本ASEAN首脳歓迎昼食会において、被請求人は、「宴会場の提供」とともに「飲食物の提供」についても業務委託を受けていたものであり、「飲食物」の内容については、乙第10号証のメニュー表に記載されているとおり西洋料理を主とする飲食物が提供されていたものである。この「西洋料理を主とする飲食物の提供」に当たり、顧客である昼食会の参加者に提供される食事を盛りつけるための皿の裏側に本件商標が付されているものであるから(乙7)、このことは、指定役務「西洋料理を主とする飲食物の提供」にあたり、その提供を受ける者の利用に供する物に本件商標が使用されたことを示すものであるから、被請求人が商標法第2条第3項第4号に該当する商標の使用を要証期間内に行ったことを証明するものである。なお、乙第10号証のメニュー表と、本件商標を使用した皿の写真が不鮮明であったため、視認しやすいように、乙第10号証のデータを提出する(乙16)。
(3)次に、審判事件弁駁書において指摘されている、乙第8号証及び第10号証の日本ASEAN首脳歓迎昼食会の写真において、乙第7号証の皿がぼやけており、乙第7号証の皿が使用されていたことが確認できないという点については、同昼食会において当該皿が使用されていることが分かる写真データを提出する(乙17)。また、乙第17号証において、当該皿のデザインを視認できる部分を拡大したデータを別途提出する(乙18)。乙第17号証及び乙第18号証では、会場において、「日本ASEAN友好協力50周年 ASEAN首脳歓迎昼食会」の文字を含む昼食会の名称を表した白地の表示板が掲げられ、当時の岸田首相が「KEIDANREN」の表示がある演台でスピーチを行っているものであり、内壁、カーペット、天井、照明、椅子との一致も含め、乙第8号証ないし乙第13号証で示した日本ASEAN首脳歓迎昼食会に関する情報と一致する。かかる状況において、乙第17号証及び乙第18号証においては、着席した顧客が食事をする際に使用する皿が並べられているところ、乙第18号証中のテーブルに対応する乙第17号証中の最も前方にあるテーブルの皿を拡大すると、乙第7号証と同じ皿が置かれていることが分かる。なお、乙第7号証の皿のデザインをより鮮明に視認できる皿の写真のデータを提出することとする(乙19)。そしてその皿の裏側には、本件商標が使用されている(乙7、乙19)。
(4)これに関して、審判事件弁駁書において、乙第7号証は皿の表と裏の写真であるが、これが同じ皿の表と裏を映したものとはいえないと指摘されているが、乙第7号証の皿は、同一の皿の表と裏を写したものであることを立証するために、乙第7号証の皿を裏から表にひっくり返している動画を提出する(乙20)。これにより、日本ASEAN首脳歓迎昼食会の際に使用された乙第7号証の皿の裏側には、本件商標が使用されていたことを立証するものである。
(5)乙第1号証ないし乙第20号証に示すとおり、要証期間内に、被請求人が飲食物の提供について受託している経団連会館において、本件指定役務「西洋料理を主とする飲食物の提供」に相当するサービスの提供時に、その提供を受ける者の利用に供する物に本件商標を使用してサービスが行われたものであるから、本件商標について商標法第2条第3項第4号に該当する使用がされたものである。
(1)被請求人である商標権者は、東京都千代田区丸の内に所在し、ホテル事業やレストラン運営等を行う法人である(乙1)。
(2)商標権者は、社団法人Nとの間で、商標権者が東京都千代田区大手町に所在する経団連会館において宴会業及びレストラン業を中心とする事業を運営することを内容とする業務委託契約(以下「本件契約」という。)を平成21年(2009年)4月30日に締結している(乙14)。その後、両者の間で、2023年3月31日から2024年3月31日までを有効期間として、本件契約の内容を一部変更する旨の覚書が締結された(乙15)。
(3)ア 2023年12月18日に、経団連会館において、日本ASEAN首脳歓迎昼食会(以下「本件昼食会」という。)が開催され、西洋料理を主とする飲食物の提供が行われた(乙12、乙17)。
イ 本件昼食会においては、出席者が着席する各テーブルに、西洋料理のメニューが記載されたメニュー表と、縁にピンク色と金色の模様が施された皿(以下「本件皿」という。)が置かれた(乙10、乙16~乙18)。
ウ 本件皿と同種の、縁にピンク色と金色の模様が施された皿の裏側には、別掲2のとおりの本件使用商標が付されている(乙20)。
(1)使用商標について
本件商標は、別掲1のとおり、黒色で花のような半円形の図形を上段に配し、下段に「Palace Hotel」の文字を筆記体風に横書きしてなる。
他方、本件使用商標は、別掲2のとおり、茶色で花のような半円形の図形を上段に配し、下段に「Palace Hotel」の文字を筆記体風に横書きしてなる。
本件商標と本件使用商標とは、色彩が相違するものの、表示されている図形、文字及びそれらの配置を共通にするものである。
よって、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用役務について
上記1(3)のメニュー表によれば、本件昼食会においては、「西洋料理を主とする飲食物の提供」が行われたものと認められ、これは、本件商標の指定役務に含まれるものである。
(3)使用者について
上記1(2)によれば、商標権者は、本件契約により、経団連会館においてレストラン業等の事業運営を受託しており、その後に締結された本件契約の覚書の有効期間からすれば、本件契約は、本件昼食会が開催された2023年12月18日においても有効であったと考えられるから、本件昼食会において本件皿を用いて「西洋料理を主とする飲食物の提供」を行った者は、商標権者であると認められる。
(4)使用時期について
上記1(3)のとおり、2023年12月18日に開催された本件昼食会において、「西洋料理を主とする飲食物の提供」を行う際に、本件皿が使用されたと認められるところ、当該日付は要証期間内である。
(5)使用行為について
上記(3)のとおり、商標権者は、本件昼食会において、本件皿を使用して、「西洋料理を主とする飲食物の提供」を行ったと認められる。
そして、本件皿と同種の皿の裏側には、本件使用商標が付されていると認められることから、本件昼食会において用いられた本件皿の裏側にも、同様に本件使用商標が付されていたとみることに不自然な点はない。
そうすると、上記行為は、「西洋料理を主とする飲食物の提供」の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物(本件皿)に、本件使用商標を付したものを用いて役務を提供したものと認められ、これは、商標法第2条第3項第4号の使用に該当する。
また、当該行為は、日本国内において行われたことが明らかである。
(6)小括
上記(1)ないし(5)によれば、商標権者は、要証期間内に、日本国内において、本件指定役務中「西洋料理を主とする飲食物の提供」の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為(商標法第2条第3項第4号)を行ったものと認められる。
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件商標の指定役務について使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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