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Trademark Appeal Case

登録商標と使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300341
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第4466406号商標(以下「本件商標」という。)は、「BRUSH 60」の文字を標準文字で表してなり、平成11年11月10日に登録出願、第6類「電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ベリリウム合金,電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ニッケル合金,電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ジルコニウム合金,その他の非鉄金属及びその合金」を指定商品として、同13年4月13日に設定登録されたものである。

そして、本件審判請求の登録は、令和6年6月12日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和3年6月12日~同6年6月11日)を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

請求人は、令和6年9月5日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出した。

以下、証拠の記載に当たっては、乙第1号証を「乙1」のように簡略して記載する場合があり、また、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号を省略して記載する。

1 本件商標の使用事実の要点

本件商標は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により、第6類の指定商品中、少なくとも「電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ベリリウム合金,その他の非鉄金属及びその合金」について使用されている。

2 本件商標の使用について

(1)使用商標について

マテリオンジャパン株式会社(以下「マテリオンジャパン社」という。)のウェブサイト上で、「ブラッシュ60」が使用されている(乙1)ところ、当該「ブラッシュ60」の文字は、本件商標「BRUSH 60」中、「BRUSH」部分をその片仮名表記である「ブラッシュ」と表記したにすぎず、「ブラッシュ60」からも「BRUSH 60」からも「ブラッシュロクジュウ」という同一の称呼が生じる。また、「ブラッシュ」からは日本人に親しまれた「brush」の英単語のみが認識され、「BRUSH」及び「ブラッシュ」部分からは、「ブラシ」という観念が生じる。

したがって、本件商標「BRUSH 60」と使用商標である「ブラッシュ60」とは、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標(商標法第38条第5項かっこ書き)に該当するため、使用商標である「ブラッシュ60」は本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」といえる。

また、マテリオンジャパン社は我が国の法人(乙2)であり、そのウェブサイトも日本語であるため、本件商標は、日本国内において使用されているといえる。

(2)商標を使用している商品について

「ブラッシュ60」は、マテリオンジャパン社の製品ページ中「高伝導ベリリウム銅合金」の中の一つとして紹介されている(乙1の2、乙1の3)。また、「ブラッシュ60」は、電気及び機械式コネクタ用途における過酷な要件を満たすように特に設計された高伝導ベリリウム銅合金である(乙1の2)。当該商品は、本件商標にかかる指定商品中「電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ベリリウム合金,その他の非鉄金属及びその合金」に含まれる。

「ブラッシュ60」は、上述のとおり、日本法人である、マテリオンジャパン社のウェブサイト上で使用されているため、本件商標(と社会通念上同一の商標)を商品に関する広告として、日本国内で使用しているといえる(商標法第2条第3項第8号)。

したがって、本件商標は、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、商標として使用されているといえる。

(3)商標の使用者について

本件商標を使用しているマテリオンジャパン社と本件商標の商標権者であるマテリオン ブラッシュ インコーポレイテッドは、いずれも、米国のMaterion Corporation(マテリオン コーポレイション)を親会社とする、子会社同士の関係にある関連会社である。

ア 本件商標を使用しているマテリオンジャパン社について

マテリオンジャパン社のウェブサイト中、ウェブサイト利用規約(乙3)のページには、「弊社の連絡先」として、親会社「Materion Corporation」(以下「Materion社」という。)の名称が記載されており、さらに、同ウェブサイト(乙4)の左上にはMATERIONの文字及びロゴが表示されているが、これは親会社であるMaterion社の登録商標である(乙5)。同ウェブサイト右上部の「Corporate Home」は「https://www.materion.com/」に繋がっているが、このウェブサイトは親会社Materion社によって運営されている(乙6)。このMaterion社のウェブサイト中「LOCATIONS」のページにはMaterion Japan Ltd.(マテリオンジャパン株式会社)の名称・住所の記載がある(乙7)。

このことから、本件商標を使用しているマテリオンジャパン社がMaterion社の子会社であることは明らかである。

イ 商標権者であるマテリオン ブラッシュ インコーポレイテッドについて

Materion社のウェブサイト中「RESOURCES」のページの「Environmental Health & Safety」(乙8)から「BERYLLIUM SAFETY SITE」(ベリリウムの安全性について)のウェブページに繋がっているところ、このウェブページの連絡先として(CONTACTのページ)、Materion Brush Inc.の名称・住所が記載されている(乙9)。また、ABOUTのページには親会社であるMaterion社の説明、及びMaterion社のウェブサイトへのリンクがある(乙10)。

このことから、本件の商標権者であるマテリオン ブラッシュ インコーポレイテッドがMaterion社の子会社であることは明らかである。

また、Materion社は米国の上場企業であり、米国証券取引委員会(SEC)では同社の有価証券報告書(10-K:ANNUAL REPORT PURSUANT TO SECTION 13 OR 15(d)OF THE SECURITIES EXCHANGE ACT OF 1934)が公開されているところ(乙11)、別紙一覧(乙12)中、「(21)# Subsidiaries of the Registrant.」(登録企業の子会社)にはすべての子会社が掲載されている(乙13)。子会社一覧には、被請求人であり、本件商標の権利者であるマテリオン ブラッシュ インコーポレイテッド(Materion Brush Inc. オハイオ州法人)も、本件商標を使用しているマテリオンジャパン社も含まれている(乙13)。

このことからも、マテリオン ブラッシュ インコーポレイテッドとマテリオンジャパン社がMaterion社の子会社であることは明らかである。

Materion社の子会社であるマテリオン ブラッシュ インコーポレイテッドの名義で登録した商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品「ブラッシュ60」を、同じくMaterion社の子会社であるマテリオンジャパン社が我が国の顧客に販売することはいたって当然のことであり、マテリオン ブラッシュ インコーポレーテッドとマテリオンジャパン社との間に、本件商標に関する通常使用権の黙示の許諾があると考えるのが自然である。

以上より、本件商標の通常使用権者が本件商標(と社会通念上同一の商標)をその指定商品について使用しているといえる。

(4)本件商標の使用時期について

過去のウェブサイトを検索・閲覧できる「Wayback Machine」のサイトにおいて、少なくとも2023年6月10日(乙14の1)及び同年11月29日(乙14の2)時点で、乙第1号証の2のウェブサイトが存在し、当該ウェブサイトにおいて本件商標が記載されており、「ブラッシュ60のストリップは・・・高伝導ベリリウム銅合金です。」との記載があることから、本件商標は高伝導ベリリウム銅合金について使用されていることが明らかである。

また、上記「Wayback Machine」のサイトにおいて、少なくとも2023年4月2日(乙15の1)及び同年9月27日(乙15の2)時点で、乙1の3のウェブサイトが存在し、当該ウェブサイトにおいて本件商標が記載されており、「ブラッシュ60 - 高伝導性ベリリウム銅合金のストリップ材で・・・」との記載があることから、本件商標は高伝導ベリリウム銅合金について使用されていることが明らかである。

したがって、予告登録日である2024年6月12日の前3年以内に日本国内において通常使用権者によって、本件商標はその指定商品について使用されているといえる。

(5)商標権者の親会社であるMaterion社は、そのウェブサイト上に「Safety Data Sheets」(SDS:安全データシート)を公開している(https://www.materion.com/en/resources/environmental-health-safety/safety-data-sheets)。本件商標の商標権者が、我が国において日本語で発行する安全データシートは26件あるが(乙16)、例えばその一つである、整理番号(SDS Number)A-10のベリリウム銅鍛造合金の安全データシートの「慣用名又は別名」欄に「Brush60」が記載されている(乙17)。厚生労働省のウェブサイトによれば、安全データシートとは「化学物質および化学物質を含む混合物を譲渡または提供する際に、その化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性及び取扱いに関する情報を化学物質等を譲渡または提供する相手方に提供するための文書」であり(乙18)、乙第17号証の安全データシートは日本語で書かれていることから、商標権者から製品が我が国に輸入され、我が国で販売される際に添付するものであることが分かる。

ア 使用商標について

登録商標の表示としての「R」(審決注:Rの丸付き文字である。)の文字とともに使用されているのは「Brush60」であり、本件商標とは大文字、小文字の相違があるものの、「ローマ字の大文字と小文字の相互間の使用」は「書体にのみに変更を加えた同一の文字からなる商標」に該当し、登録商標の使用と認められることから、これは登録商標の使用に該当する。

イ 商標を使用している商品について

「Brush60」に添付する安全データシート(乙17)には、化学品の名称の欄に「ベリリウム銅鍛造合金」と記載してあり、当該商品は、本件商標にかかる指定商品中「電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ベリリウム合金,その他の非鉄金属及びその合金」に含まれ、また、安全データシート(乙17)は、日本語で記載されているため、製品が我が国に輸入された際に製品に添付されているものであること、日本国内で流通する製品に付されているものであることは明らかである。

したがって、本件商標は、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、商標として使用されているといえる。

ウ 商標の使用者について

安全データシート(乙17)の供給者の会社名の欄に「Materion Brush Inc.」の記載があり、これは、商標権者の英語表記であり、記載されている住所も商標権者の住所と一致する。

したがって、商標権者が本件商標を使用しているといえる。

エ 本件商標の使用時期について

安全データシート(乙17)には、「発行日:2015/09/01」、「改定日:2023/08/28」の記載がある。したがって、遅くとも2015年9月1日時点で、当該安全データシートを付した製品「Brush60」が存在しており、2023年8月28日の時点及びそれ以降も「Brush60」製品が我が国に輸入され、販売されていることが分かる。

よって、予告登録日である2024年6月12日の前3年以内に、日本国内において商標権者によって、本件商標はその指定商品について使用されているといえる。

3 むすび

以上のとおり、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標は、要証期間に、日本国内において、商標権者及び通常使用権者により、第6類の指定商品中、少なくとも「電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ベリリウム合金,その他の非鉄金属及びその合金」について使用されていることが明らかである。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(1)マテリオンジャパン社のウェブサイト(乙1の1)上で、「ブラッシュ60」の文字が使用されている(乙1の2、乙1の3)が、これらの印刷日は、左上部の表されている「2024/09/15」(乙1の1、乙1の3)又は「2024/08/29」(乙1の2)の数字であって、2024年9月5日又は同年8月29日といい得るが、いずれも要証期間外である。

(2)ところで、過去のウェブサイトを検索・閲覧できる「Wayback Machine」のウェブサイトにおいて、乙第1号証の2のウェブサイトのURL(左下部に表示されたURL:https://materion.jp/products/alloys/copper-berylium-high-conductivity-alloys/brush-60)と同じURLについて、2023年6月10日時点におけるウェブサイト(乙14の1)及び同年11月29日時点におけるウェブサイト(乙14の2)に、「ブラッシュ60」の文字のほか、「ブラッシュ60のストリップは、電気および機械式コネクタ用途における過酷な要件を満たすように特に設計された高伝導ベリリウム銅合金です。」や、「ブラッシュ60の物理的特性及び機械的・電気的性質についてはブラッシュ60データシートをダウンロードしてください。」、「サポートのご依頼 お見積もり依頼 技術的なお問い合わせ」などの記載が認められる。

また、当該「Wayback Machine」のウェブサイトにおいて、乙第1号証の3のウェブサイトのURL(左下部に表示されたURL:https://materion.jp/products/alloys/copper-berylium-high-conductivity-alloys)と同じURLについて、2023年4月2日時点におけるウェブサイト(乙15の1)及び同年9月27日時点におけるウェブサイト(乙15の2)に、「高伝導性ベリリウム銅合金」の見出しの下、「ブラッシュ60―高伝導性ベリリウム銅合金のストリップ材で、厳しい条件における電気あるいは機械式コネクターに用いられます。」などの記載が認められる。

そうすると、マテリオンジャパン社のウェブサイトにおいて、同社が取り扱う商品「高伝導性ベリリウム銅合金」について、「ブラッシュ60」の標章が使用されている。

(3)本件商標権者は、Materion社の子会社であるといえ、また、マテリオンジャパン社も、Materion社の子会社であるといえる(乙3~乙13)。

2 判断

以上、上記1によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用商品について

使用商品は、「高伝導ベリリウム銅合金」であり、本件審判の請求に係る指定商品中、「電気部品及び電子部品を製造するのに用いられる銅ベリリウム合金」又は「その他の非鉄金属及びその合金」の範ちゅうに属する商品といえる。

(2)使用者について

本件ウェブサイトにおいて本件使用商標を使用しているマテリオンジャパン社と商標権者とは、ともにMaterion社を親会社とする子会社同士の関係であるから、両者は相互に密接な業務上のつながりがあるといえる。

そうすると、マテリオンジャパン社は、本件商標の使用について、本件商標権者から黙示の許諾を受けていたとみるのが相当であるから、同社は、本件商標の通常使用権者ということができる。

(3)使用商標について

マテリオンジャパン社のウェブサイト(乙14、乙15)に表示されている使用商標は、「ブラッシュ60」の文字からなるものであるのに対し、本件商標は、「BRUSH 60」の文字を標準文字で表してなる商標である。

そして、使用商標「ブラッシュ60」の構成中「ブラッシュ」の文字は、「ブラッシュ」の称呼及び「ブラシ」等(「広辞苑 第7版」の「ブラッシュ【brush】」の項には、「→ブラシ」の記載がある。株式会社岩波書店)の観念が生じるから、構成全体として、「ブラッシュロクジュウ」の称呼及び「ブラシの60」の観念が生じる。また、本件商標「BRUSH 60」の構成中「BRUSH」の文字からは、「ブラッシュ」の称呼及び「ブラシ」等(前掲書)の観念が生じるから、その構成全体として「ブラッシュロクジュウ」の称呼及び「ブラシの60」の観念が生じることからすると、両者は片仮名部分及び欧文字部分の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標同士であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。

(4)使用時期及び使用行為について

通常使用権者であるマテリオンジャパン社は、同人のウェブサイト上において、乙第14号証及び乙第15号証のウェブサイトにおいて、使用商標を使用した使用商品の紹介を行い、同商品の「物理的特性及び機械的・電気的性質について掲載したデータシート」をダウンロード可能とし、さらに、お見積もり依頼や技術的なお問い合わせへの対応を行えるようにしていた。

かかる行為は、商標法第2条第3項第8号にいう使用行為(商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為)に該当する。

また、通常使用権者であるマテリオンジャパン社の当該ウェブサイトは、2023年4月2日(乙15の1)、同年6月10日(乙14の1)、同年9月27日(乙15の2)及び同年11月29日(乙14の2)時点で、公開されていたといい得るもので、それらのウェブサイトの掲載日(公開日)は、いずれも要証期間内である。

(5)小括

上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件商標の指定商品の範ちゅうに含まれる商品(高伝導性ベリリウム銅合金)について、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を証明したということができる。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれると認められる商品「高伝導性ベリリウム銅合金」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。

したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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