sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標不使用取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300440
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第5722176号商標(以下「本件商標」という。)は、「Baby Monster」の欧文字及び「ベイビーモンスター」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成26年7月28日に登録出願、「せっけん類,化粧品」を含む第3類、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月28日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年7月18日である。

なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年(2021年)7月18日から令和6年(2024年)7月17日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中、第3類「全指定商品」、第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,身飾品,宝石箱,記念カップ,記念たて」、第16類「全指定商品」、第18類「全指定商品」、第21類「全指定商品」、第25類「全指定商品」及び第28類「全指定商品」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

請求人は、被請求人の答弁に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を令和6年9月9日付け審判事件答弁書及び同7年1月28日付け審尋に対する同年3月4日付け回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第41号証(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出した。

1 審判事件答弁書における主張

(1)被請求人及び本件商標について

被請求人(本件商標権者)である株式会社タカラトミーアーツは、玩具・カプセルトイ・雑貨・ぬいぐるみ・玩具菓子・アミューズメント筐体・キャラクターアパレルの企画、製造、販売等を主たる業務とする企業である(乙第1号証)。

本件商標権者は、平成26年(2014年)7月より、「プリパラ」という名称のアミューズメント筐体ゲームの提供を開始した(乙第2号証)。同ゲームは、平成29年(2017年)4月に「アイドルタイムプリパラ」の名称へ変更され(乙第3号証)、平成31年(2019年)10月には「プリパラ オールアイドル」の名称へ変更された(乙第4号証)(以下、これらのゲームをまとめて「本件ゲーム」という。)。

また、本件ゲームを原作とする同名称のアニメーション番組の放送が、平成26年(2014年)7月より、テレビ東京及び系列局等において開始され(乙第5号証)、平成29年(2017年)4月からは、同アニメーション番組の続編である「アイドルタイムプリパラ」というアニメーション番組の放送が開始された(乙第3号証)(以下、これらのアニメーション番組をまとめて「本件番組」という。)。乙第3号証及び乙第5号証によれば、本件番組の製作委員会に本件商標権者が携わっていることが確認できる。

「Baby Monster」及び「ベイビーモンスター」は、本件ゲーム及び本件番組に登場するキャラクターである「東堂シオン」が好むブランドの名称である(乙第6号証)。

(2)本件商標の使用事実について

ア キャラクターグッズ

本件ゲームの提供は令和6年(2024年)3月に、本件番組の放送は平成30年(2018年)3月にそれぞれ終了したが、本件商標権者は、両サービスの提供開始10周年を記念した、「大プリパラ展」という名称の展覧会(以下「本件展覧会」という場合がある。)を開催する旨を、本件展覧会に係るSNSアカウント(「X」アカウント名:アイドルランドプリパラ&プリパラ10周年【公式】)(以下「本件SNS」という。)において、令和6年(2024年)4月20日に発表した(乙第7号証)。

本件SNSは本件商標権者の認証のもと運用されているものであって、本件SNSのユーザ名である@idolland_artsの「arts」は、本件商標権者の名称である「株式会社タカラトミーアーツ」の一部の文字を欧文字で表したものである。また、本件展覧会の公式ウェブサイトによれば、本件商標権者が本件展覧会の企画協力を行っていることが確認できる(乙第8号証の1)。

本件展覧会の開催期間は令和6年(2024年)8月9日から同年11月24日までであって(乙第8号証)、要証期間外ではあるものの、本件展覧会において販売されるキャラクターグッズに関する情報が、要証期間内である令和6年(2024年)6月19日より順次公開された。

(ア)練り香水

乙第9号証は、「練り香水」を含むキャラクターグッズを紹介する本件SNSのウェブページであって、公開日は令和6年(2024年)6月19日である。そのうちの一商品(以下「本件練り香水」という場合がある。)に、上下二段に表された「Baby\Monster」の文字が付されている(以下、上下二段に表された「Baby\Monster」を「被請求人商標」という場合がある。)。

本件練り香水は、令和6年(2024年)7月10日に公開された本件SNSのウェブページにおいても確認することができる(乙第10号証)。乙第11号証は、同ウェブページに掲載された画像のうち、本件練り香水に係る部分を拡大したものである。

また、乙第12号証は、本件練り香水に貼付するシールに係る印刷用の入稿データであり、その作成日は、そのプロパティ情報に記載のとおり、令和6年(2024年)3月4日である(乙第13号証)。

(イ)アクリルジオラマ

乙第9号証では、「アクリルジオラマ」の紹介もなされており、そのうちの一商品(以下「本件アクリルジオラマ」という。)に、被請求人商標が付されている(乙第14号証)。

また、乙第15号証は、本件アクリルジオラマに係る印刷用の入稿データであり、その作成日は、そのプロパティ情報に記載のとおり、令和6年(2024年)6月17日である(乙第16号証)。

(ウ)ビッグステッカー

乙第17号証は、「ビッグステッカー」を含むキャラクターグッズを紹介する本件SNSのウェブページである。公開日は要証期間外の令和6年(2024年)7月31日であるものの、「ビッグステッカー」のうちの一商品(以下「本件ステッカー」という。)に、被請求人商標が付されている(乙第18号証)。

また、乙第19号証は、本件ステッカーに係る印刷用の入稿データであり、その作成日は、プロパティ情報に記載のとおり、令和6年(2024年)7月8日であることから(乙第20号証)、本件ステッカーの企画、製造は要証期間内から開始されていたものである。

(エ)アクリルフレーム

乙第21号証は、「アクリルフレーム」の販売情報を紹介する、SNSアカウント(「X」アカウント名:プリズムストーン総合)のウェブページである。「プリズムストーン」とは、本件商標権者がプロデュースするファッションブランドの名称であって、全国主要都市に複数の直営店舗を展開している(乙第5号証)。同アカウントは、本件商標権者の認証のもと運用されているものである。

同アカウントにおける公開日は要証期間外の令和6年(2024年)8月7日であるものの、「アクリルフレーム」のうちの一商品(以下「本件アクリルフレーム」という。)に、被請求人商標が付されている(乙第22号証)。

また、乙第23号証は、本件アクリルフレームに係る印刷用の入稿データであり、その作成日は、プロパティ情報に記載のとおり、令和6年(2024年)7月10日であることから(乙第24号証)、本件アクリルフレームの企画、製造は要証期間内から開始されていたものである。

イ トレーディングカード

乙第25号証は、本件ゲームのプレイ後に本件ゲームの操作用の筐体(以下「本件筐体」という。)から排出される、「プリチケ」という名称のカード(以下「本件トレーディングカード」という。)に係る印刷用の入稿データである。同データにおいて、被請求人商標が付されている。

本件筐体は平成26年(2014年)7月以降、全国の玩具売場・アミューズメント施設などに導入され(乙第2号証)、令和6年(2024年)3月に「プリズムストーン 東京駅店」(東京都千代田区丸の内 東京駅一番街B1 東京キャラクターストリート内)において稼働が終了(乙第26号証)するまで継続して提供されていた。「プリズムストーン 東京駅店」は本件ゲーム及び本件番組のオフィシャルショップである(乙第27号証)。

(3)上記事実における本件商標の使用について

ア 練り香水

本件練り香水は、「練り香」と同義といえるものであって、「練り香」は第3類の「化粧品」に分類される商品である(乙第28号証)。本件商標権者は、本件練り香水に被請求人商標を印刷したシールを貼付して、販売のために展示している。

したがって、乙第9号証及び乙第10号証は請求に係る商品中「化粧品」についての使用といえるものである。

イ アクリルジオラマ

「アクリルジオラマ」とは、人物やキャラクター等の画像が印刷されたアクリル樹脂と、その背景として使用される、文字や絵柄、景色等の画像が印刷されたアクリル樹脂とを自立できるようにしたものである。需要者は、本件アクリルジオラマを記念たてやフィギュアおもちゃとして飾ったりすることができる。よって、本件アクリルジオラマは、第14類「記念たて」(国際分類第10版)又は第28類「おもちゃ,人形」に分類される商品である。

したがって、乙第10号証は請求に係る商品中「記念たて」又は「おもちゃ,人形」についての使用といえるものである。

ウ ビッグステッカー

本件ビッグステッカーは、「ステッカー」を表したものであることが明らかであり、「ステッカー」は第16類の「文房具類」に分類される商品である(乙第29号証)。

したがって、乙第17号証及び乙第19号証は請求に係る商品中「文房具類」についての使用といえるものである。

エ アクリルフレーム

「アクリルフレーム」とは、カードやアクリルグッズを入れて使用するアイテムであって、カードを入れたあとは、上部の穴に付属のボールチェーンを通すことができ、付属のカードスタンドを利用することで、アクリルフレームを立てて飾ることができるものである(乙第21号証)。需要者は、本件アクリルフレームを記念たてやフィギュアおもちゃとして飾ったりすることができる。よって、本件アクリルフレームは、第14類「記念たて」(国際分類第10版)又は同類「キーホルダー」に分類される商品である。

したがって、乙第21号証及び乙第23号証は、請求に係る商品中「記念たて」又は「キーホルダー」についての使用といえるものである。

オ トレーディングカード

本件トレーディングカードには、本件ゲームにおけるキャラクターの絵柄やニックネーム、成長データ、衣装のデータ等のプレイ情報が印刷されており、かつ、本件ゲームのプレイ情報が記録されているため(乙第2号証)、コレクション用としても、ゲーム用としても、使用することができる。すなわち、本件トレーディングカードは、「トレーディングカード(ゲーム用のものを除く。)」の性質と、「ゲーム用トレーディングカード」の性質との双方を併せ持つものである。

前者の「トレーディングカード(ゲーム用のものを除く。)」は第16類の「印刷物」に分類される商品であり(乙第30号証)、後者の「ゲーム用トレーディングカード」は、「24A01 24B01」の類似群コードが付与され(乙第31号証)、娯楽や遊興を目的としたトレーディングカードと考えられる。そして、本件商標権者は本件トレーディングカードに被請求人商標を印刷して、譲渡している。

したがって、乙第9号証及び乙第10号証は請求に係る商品中「印刷物,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」についての使用といえるものである。

カ その他

本件ゲームでは、ユーザが任意のキャラクターに衣服や靴、小物等のアイテムを着用させて遊ぶものである(乙第32号証)。本件ゲームにおいては自らのキャラクターにあわせたアイテムをコーディネートすることが重要であり、ブランドによってアイテムの個性は大幅に異なる。本件番組の需要者が「東堂シオン」に係るブランドである「Baby Monster(ベイビーモンスター)」を紹介するウェブ記事(乙第33号証)が存在しており、本件番組におけるブランドはキャラクターの個性を決定づける要素であると理解されているといえるから、本件番組及び本件ゲームにおけるブランドの名称は、独立した出所識別標識として需要者に認識されるものである。

また、本件商標は、「Baby Monster」の欧文字及び「ベイビーモンスター」のカタカナを上下二段に表してなるところ、その構成中、下段のカタカナは、上段の欧文字の読みを特定したものと容易に認識されるものである。そして、本件練り香水、本件アクリルジオラマ、本件ステッカー、本件アクリルフレーム及び本件トレーディングカードに表された被請求人商標の文字は、そのつづりや書体等の構成態様において本件商標と同一視できるものであるから、本件商標とは社会通念上同一のものと認められるといえる。

2 審尋に対する回答書における主張

(1)本件SNSと本件商標権者との関係について

本件SNSは、本件展覧会のウェブサイトに埋め込み表示されており(乙第34号証)、本件展覧会の宣伝・広告用に作成・使用されたSNSアカウントである。そのため、本件SNSは本件展覧会を企画協力した「プリパラ製作委員会」の認証のもと投稿されているものであるといえる。

この「プリパラ製作委員会」に関して、本件番組の一つである「アイドルタイムプリパラ」なる名称のアニメーション番組(以下「本作品」という。)に係る共同制作契約書(以下「本契約」という。)の写し(乙第35号証)によれば、以下の事実が確認できる。

ア 「プリパラ4製作委員会」(以下「本製作委員会」という。)に株式会社タカラトミーアーツが含まれること(第1条、第2条第1項)。

イ 本作品に関連する商標として本件商標が含まれていること(第3条第6項)。

ウ 日本市場向けの本作品の宣伝・プロモーションは株式会社タカラトミーアーツが行うこと(第4条第1項)。

エ 株式会社タカラトミーアーツは、本作品の国内商品化権行使の第一優先権を有し、また、本作品の国内商品化権及び広告使用許諾に関する窓口を有し、自らをもって行使等することができること(第13条)。

オ 本作品の日本国内における製作著作権者表示が以下であること(第26条)。

(c)(審決注:(c)は○の中に欧文字「c」を表す。以下同じ。) T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / IPP製作委員会

カ 本契約は要証期間内において有効であること(第29条)。

また、上記オの製作著作権者表示は、乙第34号証に表示された著作権者表示と一致する。

なお、上記イに関して、登録商標(7)(審決注:(7)は○の中に数字7を表す。)の登録番号が「第572216号」と記載されているが、登録商標(7)の【商標】「Baby Monster(ベイビーモンスター)」は本件商標の文字構成と一致すること、【登録日】が本件商標に係る登録日と一致すること、【商品の区分】が本件商標に係る区分と一致することから、登録商標(7)は本件商標を示すものであり、「第572216号」の記載は「第5722176号」の誤記であると推認される。

以上の事実を総合すれば、本件SNSの投稿は本件商標権者によるものであること、及び本件商標を付した商品等の商品化を本件商標権者が行ったことは明らかである。

(2)被請求人商標について

本件商標は、「Baby Monster」の欧文字及び「ベイビーモンスター」のカタカナを上下二段に表してなるところ、上段の「Baby Monster」の文字から生ずる称呼は「ベイビーモンスター」である。そうすると、本件商標の構成中、下段のカタカナは、上段の欧文字の読みを特定したものと理解するのが自然である。

また、本件商標の構成中、「Baby」及び「Monster」はそれぞれ「赤ん坊。乳児。」及び「怪物。化け物。」(いずれも小学館「デジタル大辞泉」)等の意味を有する平易な英語である。そのため、上段の「Baby Monster」及び下段の「ベイビーモンスター」からはいずれも「赤ん坊の怪物」という観念が想起されるものであり、上段の欧文字と下段のカタカナから別異の観念が理解されるものとはいえない。

また、本件商標からは「赤ん坊の怪物」というまとまりよい観念が生じることから、本件商標の構成文字である「Baby Monster」は全体で一つの造語を表してなるとの印象を与えるものである。

そうすると、本件商標と被請求人商標とは、同一の称呼及び観念を生じ、「Baby Monster」のつづりを共通にする造語を表してなる点で記憶される印象を共通にするから、社会通念上同一の商標というべきである。

また、上下二段の構成からなる登録商標と、上段又は下段のいずれかの文字のみをデザイン化した使用商標とが社会通念上同一の商標であると認められた例が存在する(取消2022-300293、取消2023-300782)。

(3)本件商標権者、「プリズムストーン東京店」、及び本件トレーディングカードの関係性について

ア 受発注書

乙第36号証は、「プリズムストーン東京駅店」に納入された、商品名「プリチケロール紙インクリボン」に係る発注書の写しである。販売元の記載は本件商標権者と一致する。発注元のベネリック株式会社は、「プリズムストーン東京駅店」の店舗運営を行う会社であって(乙第37号証)、発注元の記載は同社の会社概要のウェブページにおける記載と一致する(乙第38号証)。発注日は、要証期間内の令和6年(2024年)3月11日である。

また、乙第39号証は、「PS 東京駅店」に納入された、品名「プリンタ筐体用ロール紙&インクリボン」の販売伝票の控えである。両書類における商品名(品名)は異なるものの、金額が一致すること、発行日が一日違いであること、発注元及び販売元の記載が一致すること、納入先の住所が一致すること等を総合的に勘案すると、当該乙第36号証及び乙第39号証はいずれも「プリチケ」に使用する消耗品に係るものであるといえる。

以上からすれば、「プリチケ」という名称のカードは、本件商標権者の認証のもと、要証期間内に「プリズムストーン東京店」において提供されていたというべきものである。

イ SNSアカウントにおける投稿

乙第40号証は、第三者のSNSアカウントにおける投稿であり、投稿者がプレイした際に出力されたと思われる、本件トレーディングカード(プリチケ)の画像が添付されている。

本件トレーディングカードにはユーザが本件ゲームをプレイした日時が印刷されるところ(乙第41号証)、当該画像には「2024/01/06 12: 23」の文字があることから、令和6年(2024年)1月6日に提供されたものであるといえる。また、本件トレーディングカードにはユーザがプレイしたキャラクターに係るブランドが印刷されるところ(乙第41号証)、当該画像には被請求人商標が確認できる。したがって、乙第39号証に係る画像は、要証期間内に被請求人商標が付された状態で提供された「プリチケ」の写しであるといえる。

以上の事実を総合すれば、本件商標権者が要証期間内に「プリズムストーン東京店」に本件ゲームの筐体を導入し、本件商標を付した「プリチケ」という名称のカードを提供していたことは明らかである。

第4 当審の判断

1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。

(1)本件商標権者は、平成26年(2014年)7月より、「プリパラ」という名称のアミューズメント筐体ゲームの提供を開始し(乙第2号証)、また、本件ゲームを原作とする同名称のアニメーション番組の放送も同月より開始され(乙第5号証)、同29年(2017年)4月からは、同アニメーション番組の続編「アイドルタイムプリパラ」の放送が開始された(乙第3号証)。本件ゲームの提供は令和6年(2024年)3月に、本件番組の放送は平成30年(2018年)3月にそれぞれ終了したが、両サービスの提供開始10周年を記念した、「大プリパラ展」という名称の展覧会を開催する旨を、本件SNSで令和6年(2024年)4月20日に発表した(乙第7号証)。

(2)乙第8号証は、大プリパラ展の開催案内であり(被請求人主張)、「ticketport.co.jp/lp/pripara10th/」のアドレス(以下「公式アドレス」という。)の下、「開催概要」を表題としたもので、「東京会場」「東京都」「主催 大プリパラ展プロジェクト」「企画協力 プリパラ製作委員会、株式会社タカラトミーアーツ」の記載がある。

(3)乙第12号証は、商品「練り香水」の「丸容器」に貼付するシールに係る印刷用の入稿データであるところ、中央下のシールにやや特徴のある書体で「Baby」及び「Monster」の欧文字が上下二段に中央に大きく表されている(以下、当該文字部分を「使用商標」という。また、当該シールを「使用商標シール」という。)。当該入稿データの作成日は2024年3月4日である。

(4)ア 乙第9号証は、本件SNSの2024年6月19日に投稿された画面の写しであるところ、当該画面には、「「大プリパラ展」本日よりチケット発売開始・・・第一弾グッズ情報、グッズ購入特典を公開!」「詳しくは公式HPをチェック」として公式アドレスの記載があり、その左側には、「大プリパラ展 会場販売グッズの一部を公開!」として、使用商標シールの特徴を有する「練り香水」の丸容器の商品写真が掲載されている。

イ 乙第10号証は、本件SNSの2024年7月10日に投稿された画面の写しであるところ、「大プリパラ展からお知らせです♪第二段グッズを発表です!」などの記載、公式アドレスの記載の下、「大プリパラ展 会場販売グッズ 第二弾グッズ追加!第三弾のお知らせもお楽しみに!!」を表題とする画像に購入可能な商品の一覧が表示されている。そして、乙第11号証は、乙第10号証の購入可能な商品の一覧の画面を一部拡大したものであるところ、「練り香水 各1,100円」の中の左から四番目に、使用商標シールの特徴を有する「練り香水」(以下「使用商品」という場合がある。)の丸容器の商品写真が掲載されている。

(5)乙第34号証は、本件展覧会のウェブサイトの写しであり(被請求人主張、公式アドレスの記載がある。)、その中に、「SNS」の表示、「@idolland_artsさんによるポスト」「アイドルランドプリパラ&プリパラ10周年【公式】@idolland_arts」の表示があり、当該画像の下部には、「(c)T-ARTS/syn Sophia/テレビ東京/IPP製作委員会」の表示がある。

(6)乙第35号証は、「共同製作契約書(テレビ用番組作品「プリパラ4期」)」(2017年3月31日付け)であり、甲として本件商標権者の名称及び住所の記載がある。また、当該契約書には、以下の記載がある(下線は当審による)。

第1条「

乙丙・・・(以下総称して「

共同製作者

」という)は下記の放送用番組作品(以下「本作品」という)を製作し、

本作品に係る権利の商業的利用に関して以下の通り契約を締結する

。」、「「本作品」とは・・・タイトル「アイドルタイムプリパラ(プリパラ4期)」(※アニメーション作品)」

第2条「

共同製作者は、・・・「プリパラ4製作委員会」という共同事業体(以下「本製作委員会」という)を組成

・・・」。

第3条「6 本作品に関連し第13条乃至第21条に定める権利行使をするにあたり「プリパラ」の関連商標(以下「本件商標」という。)を出願、登録・・・関する手続・・・は以下の通りとする。・・・(1)

本件商標の名義人は、幹事会社(甲)名義とし

・・・<登録商標(7)>【商標】Baby Monster(ベイビーモンスター)【登録番号】第572216号(審決注:第5722176号の誤記と認められる。)」

第4条「1

日本市場向けの本作品の宣伝・プロモーションは甲が行うものとする。

第13条「1

甲は、本作品の国内商品化権(デジタル商品・・・、ゲーム化、ノベルティ商品を含む。以下同じ。)行使の第一優先権を有するものとする

。」

第26条「

本作品の製作著作権者表示

は以下のいずれかで行う。(1)日本国内:

(c)T-ARTS/syn Sophia/テレビ東京/IPP製作委員会」

第29条「1

本契約は、本契約締結日に拘らず、2016年10月1日から効力を有し、本作品の著作権存続期間が満了する日、もしくは本製作委員会が解散してその清算事務が結了する日まで有効とする

。」

2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用商標について

ア 本件商標は、上記第1のとおり、「Baby Monster」の欧文字及び「ベイビーモンスター」の片仮名を二段に横書きしてなるところ、下段の「ベイビーモンスター」の文字は、上段の「Baby Monster」の文字の読みを片仮名で表したものと容易に理解されるものである。

イ 使用商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、やや特徴のある書体で「Baby」及び「Monster」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、一部にハート等の図形や文字の配列に工夫があるものの、「Baby」「Monster」の欧文字からなるものと容易に理解、把握できるものである。

ウ 本件商標の構成中の「Baby Monster」の文字部分と、使用商標の「Baby」「Monster」の文字は、共に「Baby」「Monster」の欧文字より構成されるものであり、その書体が相違するにすぎないものである。

そうすると、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標というべきである。

(2)使用者について

上記1(2)、(4)及び(5)によれば、本件SNS(ユーザ名「idolland_arts」、アカウント名「アイドルランドプリパラ&プリパラ10周年【公式】」)は、本件展覧会のウェブサイト(公式ホームページ)に埋め込まれているものであることがうかがえる。また、本件展覧会の公式ホームページのアドレスは「ticketport.co.jp/lp/pripara10th/」(公式アドレス)であることが確認できる。そして、本件展覧会に本件商標権者が関わっていることは、上記1(2)の本件展覧会開催概要の企画協力として「プリパラ製作委員会」と本件商標権者名が記載されていること、また、上記1(6)の本件商標権者に係る共同製作契約書における「(c)T-ARTS/syn Sophia/テレビ東京/IPP製作委員会」の著作権者表示が本件展覧会の公式ホームページに表示されていることから明らかである。

さらに、上記1(6)によれば、本件商標権者は「プリパラ製作委員会」を組成する企業であり、かつ、本件商標権者が日本市場向けの宣伝プロモーションを行う者であること、国内商品化権行使の第一優先権を有する者であることが確認できる。なお、上記1(6)の共同製作契約書は著作権存続期間を考慮すれば要証期間において有効と推認されるものである。

以上のことからすれば、本件SNSは、本件商標権者の管理のもと、投稿されているといえるものであって、本件SNSに使用商標を付した使用商品を掲載して紹介しているのは、本件商標権者というのが相当である。

(3)使用商品について

上記1(3)から、使用商標シールが遅くとも2024年3月4日には作成されており、その後に、上記1(4)のとおり、2024年6月19日及び同年7月10日に、本件商標権者の管理のもと、投稿された本件SNSの「大プリパラ展」のグッズの中に、使用商標シールの特徴を有する使用商品の容器が認められるから、これらの使用商品(商品の包装)には、使用商標シールが貼付されていたとみて差し支えないものである。

したがって、使用商品には、使用商標が付されていたと推認することができる。

そして、その使用商標が付された使用商品は「練り香水」であるところ、「練り香水」は「香水類」に含まれる「練り香」と同様の商品といえるから、請求に係る商品「化粧品」の範ちゅうに含まれるものである(乙第28号証)。

(4)使用時期及び使用行為について

上記1(4)のとおり、本件商標権者は、同人が管理している本件SNSに、2024年6月19日及び同年7月10日に投稿し、大プリパラ展で販売される使用商品を含めたグッズの写真や価格等を掲載しており、これは顧客に対し、使用商標が付された使用商品についての各種情報を電磁的方法により提供するものであることから、使用商品の広告と認められる。

そして、当該投稿日は、要証期間内である。

(5)小括

以上によれば、本件商標権者は、要証期間内に日本国内において本件SNSを利用し、本件商標と社会通念上同一の商標を表示し、本件審判の請求に係る商品「化粧品」の範ちゅうである「練り香水」についての広告を行ったものである。

そして、本件商標権者の上記行為は、「商品に関する広告・・・又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者がその請求に係る商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したといえる。

したがって、本件商標の登録は、その請求に係る商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。