結論テキスト
登録第6319745号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300481 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本件登録第6319745号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成31年4月18日に登録出願、令和2年11月24日に第27類「柔道用畳,その他畳類,柔道競技用マット,体操用マット」を指定商品として設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和6年8月1日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和3年8月1日~令和6年7月31日)を、以下「要証期間」という。
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、及び令和6年8月26日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年11月7日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)被請求人の主張
被請求人は、乙第1号証ないし乙第7号証を提出し、答弁書において、カタログ及びホームページに「畳ドクター」を記載し、柔道畳のメンテナンスの為、柔道畳のローテーション(内側の傷んだ畳と外側の傷みが少ない畳を入れ替える)、畳の表替え、畳表の補修、柔道畳周囲の解れた糸補修を行っており、「本件商標を使用していない」に当然当たらない旨主張する。
しかしながら、被請求人の主張する使用は、本件商標がその指定商品について使用されていた事実を証明するものとはいえない。
以下、詳述する。
(2)商標権者の使用する標章はいずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しない
ア 本件商標の内容
本件商標は、甲第2号証のとおり、「畳ドクター」、「たたみドクター」、「タタミドクター」、「TATAMI DOCTOR」及び「畳DOCTOR」の文字を五段に横書きした構成からなるところ、上段に位置する「畳ドクター」の文字や四段目に位置する「TATAMI DOCTOR」は、辞書類に採録された既成の語とは認められないものである。
したがって、本件商標は、これらの文字列から「タタミドクター」の称呼が生じ得ると考えられ、特定の観念は生じないと思料する。
ここで、商標中の文字の読みを特定するためにその平仮名や片仮名などを併記し、二段書きにした登録商標が社会一般に使用されていることを了知している。
しかしながら、文字列を五段書きにして欧文字、平仮名、片仮名などを組み合わせた商標は取引社会の通念に照らして非常に稀なものである。また、五段書きの商標による表示が、文字列の読みを特定するために社会一般に用いられている表現方法とは通常考えにくい。
よって、本件商標は、その特異な外観構成にこそ商標の特徴が存在すると考えるのが妥当であると思料する。
なお、商標法第6条第1項では「商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。」と定められており、工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕において、「一項は、・・・一つの商標登録出願には一つの商標しか出願できないこと(すなわち、一商標一出願の原則)を定めたものである。」とその趣旨が記されており(甲3)、当該趣旨を考慮しても、本件商標は、文字列を五段書きにした特異な外観構成を有する一つの商標であって、「タタミドクター」の称呼を生じ、特定の観念は生じない商標であると考えるのが妥当である。
イ 乙第1号証について
乙第1号証の7頁目において、「13 柔道畳のメンテナンスはお任せください。/畳Doctor(ドクター)」の文字が表示されている(以下「使用標章1」という)。
使用標章1から「畳Doctor」の文字列は確認できるものの、本件商標の特異な外観構成である五段書きの商標の表示は確認できない。
したがって、使用標章1と本件商標とは、称呼・観念においては共通し得るものの、外観上明らかに異なるため、使用標章1における「畳Doctor」の文字は、本件商標と社会通念上同一のものと認められない。
ウ 乙第2号証について
乙第2号証の8頁目において、「14 畳Doctor(ドクター)」の文字が表示されている(以下「使用標章2」という)。
使用標章2から「畳Doctor」の文字列は確認できるものの、本件商標の特異な外観構成である五段書きの商標の表示は確認できない。
したがって、使用標章2と本件商標とは、称呼・観念においては共通し得るものの、外観上明らかに異なるため、使用標章2における「畳Doctor」の文字は、本件商標と社会通念上同一のものと認められない。
エ 乙第3号証について
乙第3号証の1頁目において、その2行目に「畳ドクター」の文字列(以下「使用標章3」という)、その3行目に「TOPページ/柔道畳のメンテナンス/畳ドクター」の文字列(以下「使用標章4」という)、使用標章4の下に大きく「畳Doctor」の文字をロゴ化したもの(以下「使用標章5」という)、及び文章中に太字で「畳Doctor」の文字が表示されている(以下「使用標章6」という)。
しかしながら、本件商標の特異な外観構成である五段書きの商標の表示は確認できない。
したがって、使用標章3ないし使用標章6と本件商標とは、称呼・観念においては共通し得るものの、外観上明らかに異なるため、使用標章3ないし使用標章6は、いずれも本件商標と社会通念上同一のものと認められない。
オ 乙第4号証ないし乙第7号証について
乙第4号証ないし第7号証において、本件商標の特異な外観構成である五段書きの商標の表示はいずれも確認できない。
カ 小括
以上のとおり、乙第1号証ないし乙第7号証における使用標章1ないし使用標章6は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しない。
(3)商標権者は指定商品について本件商標を使用していない
ア 被請求人の提出した証拠について
上記(2)で述べたとおり、乙第1号証ないし乙第7号証における使用標章1ないし使用標章6は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しないため、商標権者は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していないと思料する。
しかしながら、万が一使用標章1ないし使用標章6のいずれかが本件商標と社会通念上同一と認められる商標であると認定されたとしても、被請求人より提出された証拠の各事実に照らせば、やはり商標権者が本件商標を指定商品について使用した事実は確認できない。
したがって、本件商標に係る登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証は8頁目において、「講道館指定工場・全日本柔道連盟公認畳 柔道用品の専門メーカー 株式会社郁栄商会」と記載されており、商標権者が柔道用品の専門メーカーであり、乙第1号証は商標権者の取り扱う柔道用品カタログであることはうかがえる。
また、当該カタログには、1から14まで項目があり、使用標章1において、「13 畳Doctor(ドクター)」の表示が確認でき、かつ、「畳Doctor(ドクター)」の文字に比して小さく「柔道畳のメンテナンスはお任せください。」との表示が確認できる。
さらに、その「畳Doctor(ドクター)」の表示を説明するように、その表示の下に小さな文字で「郁栄商会ではお使いの柔道畳の診断を行っております。常設の道場では、表替えの可否の確認。畳のヘタリによる枠との段差調整やスキマへの対応。・・・糸の補修(縫い直し)のお見積りもいたします。」と表示されている。なお、その文字列の下には、「・品番 E-0801 表替え(ワサビ色)・・・円(税込)」などの記載がある。また、これらの文字列の右横には、糸ほつれ補修例の写真が掲載されている。
これらの記載より、商標権者が「畳類の修理・診断、表替え」を行うために使用標章1を表示していることがうかがい知れる。
(イ)乙第2号証について
乙第2号証は8頁目において、乙第1号証と同様に「講道館指定工場・全日本柔道連盟公認畳 柔道用品の専門メーカー 株式会社郁栄商会」と記載されており、商標権者が柔道用品の専門メーカーであり、乙第2号証は商標権者の取り扱う柔道用品カタログであることはうかがえる。
また、当該カタログには、1から15まで項目があり、使用標章2において、「14 畳Doctor(ドクター)」の表示が確認できる。
さらに、使用標章2には、「畳Doctor(ドクター)」を説明するように、その表示の下に小さな文字で「郁栄商会ではお使いの柔道畳の診断を行っております。常設の道場では、表替えの可否の確認。畳のヘタリによる枠との段差調整やスキマへの対応。・・・糸の補修(縫い直し)のお見積りもいたします。」と表示されている。なお、その文字列の右横には、「●品番 E-0801 表替え(ワサビ色)・・・円(税込)」などの記載がある。
これらの記載より、商標権者が「畳類の修理・診断、表替え」を行うために使用標章2を表示していることがうかがい知れる。
(ウ)乙第3号証について
乙第3号証は1頁目において、使用標章3ないし使用標章6が確認される。
また、使用標章5の下に表示されている小さな文字からなる文章中には「郁栄商会では全国の体育館や学校などでお使いの柔道畳の診断を行っております。・・・このような状態を診断し、適正に修理するのが「畳Doctor」(使用標章6)です。診断・修理は、こちらから専門係員が日本全国にお伺いし、その場で行います。リーズナブルな診断・修理料金と交通費だけで、畳がグンと長持ちするようになります。畳の買い替えをするほどでもないが、何とかしたいとお考えの方、一度ご連絡ください。」などの記載がある。
これらの記載より、使用標章3ないし使用標章6が、商標権者による「畳類の診断・修理」という役務について使用されていることはうかがえるものの、商標権者が商品「畳」を生産し、証明し、又は譲渡する者であることを証明する事実は見当たらない。
(エ)乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証について
乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証は、「納品書(控)」と表示されている。
乙第4号証における品名の項目には、「柔道畳ローテーション」と表示され、数量の項目には「1」、単価の項目にはその価格の表示がされている。
乙第5号証における品名の項目には、「柔道畳表替 新イエロー」と表示され、数量の項目には「12」、単価の項目にはその価格の表示がされている。
乙第7号証における品名の項目には「柔道畳糸ホツレ補修」と表示され、数量の項目には「1」、単価の項目にはその価格の表示がされている。
これらの記載より、商標権者が「畳類の修理」等を行っていることは推察できるものの、商標権者が商品「畳」を生産し、証明し、又は譲渡する者であることを証明する事実は見当たらない。
(オ)乙第6号証について
乙第6号証は、「御見積書」と表示され、官公庁宛のものとうかがえる。
商品名の項目には、「柔道畳表補修」と表示され、数量の項目には「1」、単価の項目にはその価格の表示がされている。
また、その最下部には、「本日はありがとうございました。作業は2名で2~3時間程度と考えております。」との記載がある。
これらの記載より、商標権者が「畳類の修理」を行っていることは推察できるものの、商標権者が商品「畳」を生産し、証明し、又は譲渡する者であることを証明する事実は見当たらない。
イ 被請求人の提出した証拠は役務としての標章の使用に該当する
乙第1号証ないし乙第7号証から、商標権者が本件商標をその指定商品について使用した事実は確認できない。
また、乙第4号証ないし乙第7号証には全て品名やその金額が記載されているが、これは商標権者が行った「役務」であり、他人のために行った労務に対する対価(便益)を示す事実に他ならない。
商標法上、商品に係る商標というためには、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」(商標法第2条第1項第1号)でなければならず、「商品」とは「商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいう」ものであるところ(甲4)、被請求人は、審判事件答弁書において「カタログ及びホームページに畳ドクターを記載し、柔道畳のメンテナンスの為、柔道畳のローテーション(内側の傷んだ畳と外側の傷みが少ない畳を入れ替える)、畳の表替え、畳表の補修、柔道畳周囲の解れた糸補修を行っており」と主張する。
確かに、乙第1号証の第2頁ないし第4頁の記載から、商標権者が「かすみ」及び「ゆうき」という名称の柔道畳を販売していることはうかがい知れる。
しかしながら、商標権者が「畳ドクター」という名称の畳を「販売」すなわち「譲渡」を行っている事実は確認できないし、使用標章1ないし使用標章6のいずれも、商標権者が提供する「畳」について「畳ドクター」が自他商品識別標識として機能するような使用の態様には該当しないものである。
なお、「役務」とは「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たり得るべきものをいう」ところ(甲4)、商標権者による使用標章1ないし使用標章6に係る表示は、いずれも「役務」である「畳類の修理」(甲5)について自他商品等識別標識として機能するものということはできるため、商標法第2条第1項第2号の「業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」に該当するものであると思料する。
したがって、商標権者は、商標法第2条第1項第2号に該当する者であるものの、「畳類の修理」という役務の提供に際し修理等される物それ自体を商品ということはできないから、商標権者が商品に係る商標の使用をしたということは到底認められるものではない。
ウ 小括
以上のことからすると、仮に、使用標章1ないし使用標章6のいずれかが本件商標と社会通念上同一と認められたとしても、商標権者が本件商標をその指定商品について使用したと認めることはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定商品について本件商標を使用していたことを証明していない。
また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
カタログ及びホームページに「畳ドクター」を記載し、柔道畳のメンテナンスの為、柔道畳のローテーション(内側の傷んだ畳と外側の傷みが少ない畳を入れ替える)、畳の表替え、畳表の補修、柔道畳周囲の解れた糸補修を行っており、「本件商標を使用していない」には当然当たらない。
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その指定商品について登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることを全て証明する必要がある。
(1)被請求人の提出した乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、被請求人が、カタログと主張するものであり、1葉目において、中ほどに、「すぐれた環境を提供する柔道用品カタログ」の記載、右下に、「IKUEI SHOKAI CO.,LTD.」の記載があり、2葉目ないし8葉目において、項番1の「柔道マット<かすみ>カバー式」等、項番1ないし項番14(項番7は重複、項番8は欠番)の一覧の記載がある(審決注:項番の数字は、水色の四角形内に白抜き文字で記載されている。以下、乙2についても同じ。)。
そして、7葉目においては、項番13として、「柔道畳のメンテナンスはお任せください。」の記載及びその下に「畳Doctor(ドクター)」の文字の記載があり、その下に、「郁栄商会ではお使いの柔道畳の診断を行っております。常設の道場では、表替えの可否の確認。畳のヘタリによる枠との段差調整やスキマへの対応。中学校等で一時期のみの仮設の道場では、設置と撤去を繰り返すため、畳へのダメージや糸のほつれが出やすくなります。糸のほつれを放っておくと傷みが早まります。糸の補修(縫い直し)のお見積りもいたします。」の記載、その下に、「●品番」に対応して、「E-0801 表替え(ワサビ色)」、「E-0701 表替え(赤色)」、「E-0601 表替え(新グリーン)」及び「E-0501 表替え(新イエロー)」の各記載、その右に、当該各記載に対応して、価格の記載、その下に、「●品番 なし 糸補修、段差調整、スキマ調整」の記載がある。
さらに、項番13についての以上の各記載の右に、それぞれ補修前、補修後のものを示すと思われる、積み重ねられた畳が写っている2枚の写真が提示されており、その下に、「糸ほつれ補修例」の記載がある。
また、8葉目において、左下の四角枠内に、「本カタログの価格有効期限 2025年3月31日」の記載、当該四角枠の下に、「2022年3月印刷」の記載、その右上に、商標権者の社名の記載、その下に、商標権者のものと一致する住所の記載がある。
イ 乙第2号証
乙第2号証は、被請求人が、カタログと主張するものであり、1葉目において、中ほどに、「すぐれた環境を提供する柔道用品カタログ」の記載、右下に、「IKUEI SHOKAI CO.,LTD.」の記載、2葉目ないし8葉目において、項番1の「柔道マット<かすみ>カバー式」等、項番1ないし項番15(項番7は重複、項番8は欠番)の一覧の記載がある。
そして、8葉目においては、項番14として、「畳Doctor(ドクター)」の文字の記載があり、その下に、「郁栄商会ではお使いの柔道畳の診断を行っております。常設の道場では、表替えの可否の確認。畳のヘタリによる枠との段差調整やスキマへの対応。中学校等で一時期のみの仮設の道場では、設置と撤去を繰り返すため、畳へのダメージや糸のほつれが出やすくなります。糸のほつれを放っておくと傷みが早まります。糸の補修(縫い直し)のお見積りもいたします。」の記載、その右に、「●品番」に対応して、「E-0801 表替え(ワサビ色)」、「E-0701 表替え(赤色)」、「E-0601 表替え(新グリーン)」及び「E-0501 表替え(新イエロー)」の各記載、その右に、当該各記載に対応して、価格の記載、その下に、「●品番 なし 糸補修、段差調整、スキマ調整」の記載がある。
また、同じく8葉目において、左下の四角枠内に、「本カタログの価格有効期限 2022年3月31日」の記載、当該四角枠の下に、「2019年3月印刷」の記載、その右上に、商標権者の社名の記載、その下に、商標権者のものと一致する住所の記載がある。
ウ 乙第3号証
乙第3号証は、被請求人が、商標権者のホームページと主張するものであり、1葉目において、上部に、「畳ドクター」の記載、その下に、「TOPページ/柔道畳のメンテナンス/畳ドクター」の記載、その下に、別掲2のとおりの商標の記載、その下に、「郁栄商会では全国の体育館や学校などでお使いの柔道畳の診断を行っております。道場に設置したままお使いの柔道場は、畳表以外は比較的経年変化がありません。しかし、体育館等で練習時に設置と撤収を繰り返す畳については傷みが激しくなります。・・・このような状態を診断し、適正に修理するのが「畳Doctor」です。診断・修理は、こちらから専門係員が日本全国にお伺いし、その場で行います。リーズナブルな診断・修理料金と交通費だけで、畳がグンと長持ちするようになります。畳の買い替えをするほどでもないが、何とかしたいとお考えの方、一度ご連絡ください。」の記載があり、2葉目において、商標権者の社名の記載、その下に、商標権者のものと一致する住所の記載がある。
エ 乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証
乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証はいずれも、「納品書(控)」であり、上部に、その表題の記載、右上に、商標権者の社名の記載、その下に、商標権者のものと一致する住所の記載がある点でこれらは共通している。
そして、それぞれの左上に、互いに異なる宛先の記載があり、その下に記載されている日付及びその下に提示されている表中の「品名」欄の記載は、乙第4号証においては「R5年8月28日」及び「柔道畳ローテーション」、乙第5号証においては「R5年10月19日」及び「柔道畳表替 新イエロー」、乙第7号証においては「R6年3月15日」及び「柔道畳 糸ホツレ補修」である。
オ 乙第6号証
乙第6号証は、「御見積書」であり、左上に、その表題の記載、その下に、上記エの各宛先のいずれとも異なる宛先の記載、その下に「下記の通り御見積申し上げます。」の記載、その右上に、「見積日 2024年02月05日」の記載、その下に、商標権者の社名の記載及び商標権者のものと一致する住所、その下に提示されている表中の「商品名」欄に、「柔道畳表補修」の記載がある。
(2)上記(1)によれば、次の事実を認めることができる。
ア 商標権者は、項番1ないし項番15の種々の情報が掲載されたカタログ(以下「旧カタログ」という。)を、価格有効期限について2022年3月31日と、印刷が行われた時期について2019年3月と、それぞれ表示して発行した(乙2)。
そして、このうち、項番14には、「畳Doctor(ドクター)」の文字を横書きにしてなる商標が記載されている。
しかしながら、項番14についての記載中には、さらに、「品番」の各項目として、「E-0801 表替え(ワサビ色)」等が、価格表示とともに記載されているところ、当該各項目が何らかの商品を指しているのか、「表替え」を施工するサービスを指しているのか、あるいはその両方を含んでいるのかが明らかではない。
また、仮に当該各項目が何らかの商品を指している(含んでいる)としても、具体的にどのような商品であるのかが明らかではない。
イ 商標権者は、項番1ないし項番14の種々の情報が掲載されたカタログ(以下「新カタログ」という。)を、価格有効期限について2025年3月31日と、印刷が行われた時期について2022年3月と、それぞれ表示して発行した(乙1)。
そして、このうち、項番13には、「畳Doctor(ドクター)」の文字を横書きにしてなる商標が記載されている。
しかしながら、旧カタログと同様に、項番13についての記載中にさらに記載されている「品番」の各項目が何らかの商品を指しているのか、「表替え」を施工するサービスを指しているのか、あるいはその両方を含んでいるのかが明らかではなく、また、仮に当該各項目が何らかの商品を指している(含んでいる)としても、具体的にどのような商品であるのかが明らかではない。
ウ 旧カタログ又は新カタログについて、要証期間に、(紙の印刷物として)展示若しくは頒布されていた、又は電磁的方法により提供されていた(ホームページに掲載する等によりインターネット上で公開されていた)ことは確認できない。
エ 商標権者は、別掲2の商標、「畳ドクター」の文字を横書きにしてなる商標、及び「畳Doctor」の文字を横書きにしてなる商標がそれぞれ表示されたウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)を制作した(乙3)。
ここで、本件ウェブページの「TOPページ/柔道畳のメンテナンス/畳ドクター」の記載や、上記商標の下に記載されている説明中の「このような状態を診断し、適正に修理するのが「畳Doctor」です。」等の記載によれば、本件ウェブページに掲載された情報は、商標権者による柔道畳のメンテナンスを行う事業に関するものと解される。
しかしながら、当該事業において、何らかの商品が取引されていることは確認できず、また、実際に取引されるとすれば具体的にどのような商品であるのかが明らかではない。
さらに、本件ウェブページが、要証期間に電磁的方法により提供されていた(インターネット上で公開されていた)ことは確認できない。
オ 商標権者は、令和5年(2023年)8月28日付けで「柔道畳ローテーション」についての、同年10月19日付けで「柔道畳表替 新イエロー」についての、同6年(2024年)3月15日付けで「柔道畳 糸ホツレ補修」についての各納品書を、それぞれ異なる宛先に発行した(乙4、乙5、乙7)。
さらに、商標権者は、「見積日」を令和6年(2024年)2月5日として、「柔道畳表補修」についての見積書を、上記各納品書の宛先のいずれとも異なる宛先に発行した(乙6)。
しかしながら、上記各書面の記載からは、何らかの商品が取引されたことは確認できず、また、取引されたとすれば具体的にどのような商品であるのかは明らかではない。
さらに、上記各書面における取引に際して、どのような商標が使用されたのかも確認できない。
上記2の事実認定からすれば、次のとおり判断できる。
(1)旧カタログ及び新カタログについて
上記2(2)ア及びイによれば、商標権者が、「畳Doctor(ドクター)」の文字を横書きにしてなる商標とともに、「E-0801 表替え(ワサビ色)」との品番により示されるもの等に関する広告が掲載された旧カタログを発行し、また、上記と同様の広告が掲載された新カタログを発行した事実は認められる。
しかしながら、旧カタログにおける上記広告が、本件商標の指定商品のいずれかの範ちゅうに属する何らかの商品に関するものとは認められない。この点は、新カタログにおける上記広告についても同様である。
また、上記2(2)ウのとおり、旧カタログ又は新カタログが、要証期間に展示若しくは頒布されていた、又は電磁的方法により提供されていたとは認められない。
そうすると、旧カタログ又は新カタログの上記商標と本件商標との社会通念上の同一性について検討するまでもなく、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標の指定商品のいずれかに関する広告に標章を付して展示し若しくは頒布し、又はこれを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
(2)本件ウェブページについて
上記2(2)エによれば、商標権者は、別掲2の商標、「畳ドクター」の文字を横書きにしてなる商標、及び「畳Doctor」の文字を横書きにしてなる商標がそれぞれ表示され、柔道畳のメンテナンスを行う事業に関する広告が掲載された本件ウェブページを制作していた事実は認められる。
しかしながら、当該広告が、本件商標の指定商品のいずれかの範ちゅうに属する何らかの商品に関するものとは認められない。
また、本件ウェブページが、要証期間に公開されていたとは認められない。
そうすると、上記各商標と本件商標との社会通念上の同一性について検討するまでもなく、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標の指定商品のいずれかに関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
(3)納品書及び見積書について
上記2(2)オにおける、商標権者が発行した各納品書及び見積書に係る日付は、いずれも要証期間である。
しかしながら、上記各書面のいずれかが、本件商標の指定商品のいずれかの範ちゅうに属する何らかの商品に関する取引書類であるとは認められず、本件商標との社会通念上の同一性について検討対象となり得る何らかの標章が上記各書面のいずれかに付されているとも認められない。
そうすると、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標の指定商品のいずれかの範ちゅうに属する商品に関する取引書類に標章を付して頒布する、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
(4)その他、被請求人が提出した全証拠及び同人の主張を総合してみても、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標の指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する本件商標の使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、その指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3項各号の使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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