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Trademark Appeal Case

不使用取消の商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300725
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第5442021号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第5442021号商標(以下「本件商標」という。)は、「Amaterasu」の文字を標準文字で表してなり、平成23年3月15日に登録出願、第33類「果実酒」を指定商品として、同年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。なお、本件審判の請求の登録日は、令和6年10月23日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の同3年10月23日から同6年10月22日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和6年12月8日付け差出の審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同7年4月21日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人の本件商標の不使用の自認

被請求人は、答弁書の中で「本商標「AMATERASU」はシャンパーニュ方式のスパークリングワインに適用するものとして登録した。」「現在はその前段階として販売している。完成形でないということを表すために、「AMATERASU」の前に形容詞「APPRENTI」(修行中の、見習の、の意)を付けて販売している。」と述べており、被請求人は本件商標「Amaterasu」ではなく「AMATERASU」の前に「APPRENTI」の語を付加した「APPRENTI AMATERASU」を使用していると主張しており、被請求人自身が本件商標を使用していないことを自認している。

(2)被請求人が使用する商標「APPRENTI AMATERASU」が本件商標と社会通念上同一ではないこと

(1)で上述したように、被請求人は「AMATERASU」の前に「APPRENTI」の語を付加した「APPRENTI AMATERASU」(以下「被請求人使用商標」という。)を使用しており、被請求人使用商標は明らかに本件商標と社会通念上同一ではないが、念のため、被請求人使用商標が本件商標と社会通念上同一ではない理由を詳述する。

本件商標からは、その文字に即応して「アマテラス」の称呼が生じる。また、本件商標は「天照す」をローマ字表記したものと容易に認識することができることから、「(1)「天照る」の尊敬語。天に輝いておられる、(2)天下をお治めになる。」の観念が生じる。

一方、被請求人使用商標は、乙第1号証ないし乙第3号証によると同書、同大、同間隔で横一列にまとまりよく一体的に記載されていることから、ローマ字読みした「アペレンティアマテラス」の称呼が生じる。

そして、被請求人の主張によると「APPRENTI」からは「修行中の、見習いの」の観念が生じるとのことであるが、「APPRENTI」は日本人に馴染みの薄いフランス語であることから、被請求人使用商標に接した需要者は、被請求人使用商標を特定の観念が生じない被請求人の造語であると認識するのが自然である。

そこで、本件商標と被請求人使用商標の称呼を対比すると、本件商標からは「アマテラス」の称呼が生じるのに対し、被請求人使用商標からは「アペレンティアマテラス」の称呼が生じることから、本件商標と被請求人使用商標は明らかに称呼が異なる。よって、本件商標と被請求人使用商標の称呼は同一ではない。

観念については、本件商標からは「(1)「天照る」の尊敬語。天に輝いておられる、(2)天下をお治めになる。」の観念が生じるのに対し、被請求人使用商標からは特定の観念が生じないことから、本件商標と被請求人使用商標から生じる観念は同一ではない。よって、本件商標と被請求人使用商標は称呼及び観念が同一ではないため、被請求人使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められない。

以上より、被請求人は本件商標を使用していると認められないが、答弁書において提出した乙各号証によっても商標法第50条第2項に規定する商標の使用が証明されたということはできないから、各号証について詳述する。

(3)乙第1号証について

乙第1号証ではワインボトルが前後に並べられた様子が撮影されているが、本件商標のラベルが付されたワインボトルは1本も見当たらない。かろうじて前面中央に「APPRENTI AMATERASU」の文字が付されたラベルのワインボトルが写っているが、「APPRENTI AMATERASU」は本件商標と社会通念上同一の商標ということはできないから、乙第1号証をもって本件商標を使用したものとは認められない。

また、乙第1号証は写真の撮影日、撮影場所及び撮影者が不明であり、要証期間に商標権者がワインを販売していたことを示す証拠とは言えない。

さらに、乙第1号証の左端には「ワインケーキ/¥1350/当店おすすめ」と書かれたプライスカードとワインケーキが入ったと思われる箱が写っており、乙第1号証が店舗らしきところで撮影されていたことは推察できるが、被請求人が本件商標を使用したと主張するワイン自体にはプライスカードが全く写っておらず、ワイン自体が販売されていたのか疑わしい。

よって、乙第1号証は、本件商標の使用を示す証拠とは認められない。

(4)乙第2号証について

乙第2号証は、被請求人がSLFレストランウェディング宮崎宛に発行した納品書の控えと思われるが、伝票の日付は令和6年11月24日であり、本件審判の予告登録日である同年10月23日以降の伝票である。

よって、乙第2号証は、要証期間外のものである。

また、被請求人自身が答弁書に記載しているように乙第2号証は「APPRENTI AMATERASU」の納品伝票であり、上述したとおり「APPRENTI AMATERASU」は本件商標と社会通念上同一ではないため、乙第2号証は、本件商標の使用証拠になり得ない。

よって、乙第2号証は本件商標の使用を示す証拠とは認められない。

(5)乙第3号証について

乙第3号証は、乙第1号証に写っている「APPRENTI AMATERASU」のラベルの版下と思われるが、当該版下の使用時期が不明であり、要証期間内のものということができない。

また、当該版下のラベルを商品に付して販売したのであれば、ラベルの印刷会社とのやり取りを示す書類や印刷枚数が分かる書類等があるはずであるが、そのような書類は提出されておらず、当該版下を用いたラベルが実際に印刷され、ラベルを付した商品が販売されていたのか不明である。

さらに、乙第3号証は被請求人が答弁書で主張するとおり「APPRENTI AMATERASU」のラベルであって、本件商標のラベルではない。

そのため、乙第3号証は本件商標の使用を証明する証拠にはなり得ない。

なお、乙第3号証の上段には「Labelオモテ-「アマテラスNV(98×78ミリ)」の記載があるが、当該「アマテラス」の文字は出所表示機能を発揮する態様での使用ではなく、ラベルの枠外に記載されていることからすれば、版下の種類を示すために記載したメモ程度であり、本件商標の使用とはいえない。

同様に、下段に「Apprenti Amaterasu」の下に記載された「アマテラス 見習い」の「アマテラス」の文字もあくまでも「Apprenti Amaterasu」の訳として記載されたものであり、本件商標の使用ということはできない。

第3 被請求人の主張

請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を答弁書及び令和7年6月19日付け審尋に対する同年7月23日付け差出の審尋に対する意見書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

1 答弁書における主張

本件商標は商標権者が数年来使用している。本件商標はシャンパーニュ方式のスパークリングワインに適用するものとして登録した。

現在はその前段階としてペティアンという方式のスパークリングワインとして年間200本ほどを特定のレストラン等に販売している。完成形でないということを表すために、「AMATERASU」の前に形容詞「APPRENTI」(修行中の、見習いの、の意)を付けて販売している。

2 審尋に対する意見書における主張

被請求人が提出した証拠からは、要証期間における本件商標の使用の事実を証明したとは認められない旨の合議体からの上記審尋に対し、被請求人は要旨以下のとおり回答した。

「Amaterasu」及び「アマテラス」という単語を商品のラベルに見た日本人が、これを形容詞や副詞とみなすことはほぼ考えられない。インターネット検索にこの語をかければ明らかである。

これは明らかに我が国の最初の歴史書であり、我が国の成り立ちと皇統の正当性を内外に示す「古事記」、「日本書紀」の記述にある最高神「天照大神」を表していると考えるのが自然である。

商標権者はこれらの歴史書にある「アマテラス」の孫とされる「ニニギノミコト」が5神を従えて降臨したとされる「高千穂」のふもとでワインを製造しており、この5神「アメノコヤネ」、「タジカラオ」、「フトダマ」、「アメノウズメ」、「イシコリドメ」、「ニニギノミコト」の妻とされる「コノハナサクヤ」等の名をすべて商標として登録しており、その名を冠したワインを製造販売している。

そして最高神である「アマテラス」の名を冠したワインの製造に向けてブドウの生産、製造技術の研鑽に努めてきた。

「アマテラス」を冠するからにはその品質は他の日本ワインを凌駕する素晴らしいものでなければならない。旧日、マンズワイン株式会社に対し海外販売に関して「Amateras」の使用を許可したのも、同社が自社の最高品質ワイン「ソラリス(光の意)」をアメリカに輸出するときにその名を使用したいと相談に見えたためである。

当社の「アマテラス」は最高品質のスパークリングワインを目指している。そのため、試作を繰り返し、品質のわかるレストラン「SLF」のオーナー等、ごく限られた人に向けて販売してきた。

ラベルにはいまだ「アマテラス」の品質に至らずという意味を込めて、見習いや道半ばの意味を込めて「APPRENTI」を付けた。購入したすべての人がその意を理解するように説明し、販売してきた。これをもって、「アマテラス」は販売されていないと判断されるのには異議を申し立てるものである。

第4 当審の判断

1 被請求人の主張及び同人提出の証拠によれば、以下のとおりである。

(1)商標権者は、ペティアンという方式のスパークリングワイン「APPRENTI AMATERASU」を年間200本ほど特定のレストラン等に対して販売している(被請求人の主張)。

(2)乙第1号証及び乙第4号証は、商品の写真(ウェブサイト)とされる書証であるところ、ラベルが貼付された複数種類の瓶が写っており、その中には、ラベルに「APPRENTI AMATERASU」の文字が中央に大きく表されているものも確認できる。

他方、その撮影日やURLを確認できるような記載は見当たらない。

(3)乙第3号証は、上記ラベルの版下と考えられる書証であるところ、「Labelオモテ」とされる部分には「APPRENTI AMATERASU」の文字が中央に大きく表されており、「Labelウラ」とされる部分には「Apprenti Amaterasu/(アマテラス 見習い)」(審決注:「/」は2段書きを表す。)「ビン内二次醗酵の辛口スパークリングワイン」の文字、及び「製造者」として商標権者の名称及び住所の記載がある。

(4)乙第5号証は、日付を「令和3年12月1日~令和3年12月31日」とし、請求先を「SLFレストランウエディング宮崎」とする「得意先元帳(明細)」であるところ、「12月22日」の欄に、「Apprenti Amaterasu(シャルドネ)2017」、ケース数として「1」の記載がある。

2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。

(1)本件商標及び使用商標について

本件商標は「Amaterasu」の文字を標準文字で表してなるものである。

そして、本件商標からは、構成文字に相応した「アマテラス」の称呼を生じ、当該文字は「「天照る」の尊敬語。天に輝いておられる。」(「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)の意味を有する「あまてらす」の表音を欧文字で表したものと看取されるものであるから、「天に輝いておられる。」の観念を生じる。

他方、被請求人が使用していると主張する商標については、「APPRENTI AMATERASU」(「Apprenti Amaterasu」)(以下「使用商標」という。)と認められるところ、その構成中「APPRENTI」(「Apprenti」)の文字は、「実習生,見習い」(「プログレッシブ仏和辞典 第2版」株式会社小学館)の意味を有するフランス語であるとしても、我が国で親しまれた語とはいい難く、直ちに特定の意味合いを認識、理解させるものとはいえない。そして、我が国において親しまれていない欧文字に接する取引者、需要者は、我が国において広く親しまれている英語読み又はローマ字読みに倣って称呼するのが自然といえるから、使用商標よりは「アップレンティアマテラス」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。

そこで、本件商標と使用商標を比較するに、「APPRENTI」(「Apprenti」)の文字の有無の差異に顕著な差異を有することから、外観において明らかに異なるものであり、また、同一の称呼及び観念を生ずる商標ということもできないから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標と認めることはできない。

(2)被請求人が使用すると主張する商品及び使用者について

ラベルの印刷用版下と考えられる書証(乙3)の記載によれば、被請求人が使用すると主張する商品は、「スパークリングワイン」であるところ、「スパークリングワイン」は「果実酒」の範ちゅうに属する商品であり、本件商標の指定商品に含まれる。

また、使用者は商標権者である。

(3)使用時期及び使用行為について

「得意先元帳(明細)」(乙5)によれば、要証期間である令和3年12月22日に、「SLFレストランウエディング宮崎」に対して、商品「Apprenti Amaterasu(シャルドネ)2017」を1ケース販売した旨が記載されている。また、乙第1号証及び乙第4号証の写真には、乙第3号証に表されたラベルと酷似するラベルが貼付された瓶が確認できる。

しかしながら、当該写真に写る瓶が、乙第5号証の「得意先元帳(明細)」に記載された商品「Apprenti Amaterasu(シャルドネ)2017」と同一の商品であることや、同写真が要証期間に撮影されたものであると認めることはできない。

さらに、使用商標が付された上記商品(「Apprenti Amaterasu(シャルドネ)2017」)が要証期間において販売されていたとしても、使用商標は、上記(1)のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標とは認めることはできない。

そうすると、商標法第2条第3項各号の使用行為があったとは認めることはできない。

その他、被請求人の主張及び同人が提出した全証拠をみても、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、使用商標について本件商標の指定商品に使用した事実を確認することができない。

(4)小括

上記(1)ないし(3)のとおり、被請求人が使用すると主張する商品が、本件商標の指定商品に含まれる商品であるとしても、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標といい得ないものであることから、当該使用商標は、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標の指定商品に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、商標法第2条第3項各号に掲げる使用をした事実を証明したものと認めることはできない。

3 むすび

以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標をその指定商品について使用をしていることを証明したものと認めることができない。

また、被請求人は、本件商標の指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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