sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標不使用取消と使用事実

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300792
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第4919364号商標(以下「本件商標」という。)は、「TFS」の文字を標準文字で表してなり、平成17年5月27日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」(以下「請求に係る指定商品」という。)を指定商品として同18年1月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年11月14日である。

なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)11月14日ないし同6年(2024年)11月13日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

請求人は、下記第3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第65号証(乙第44号証は欠番となっている。)を提出した。

以下、証拠の記載に当たっては、「乙第1号証」を「乙1」のように記載する。

(1)本件商標(乙1)は、本件商標の商標権者であるアサヒシューズ株式会社(以下「被請求人」という。)により、本件商標の指定商品中、第25類「履物」について、要証期間に日本国内において使用されている。なお、本件審判の請求時点における本件商標の登録原簿上の商標権者の名称は株式会社アサヒコーポレーションであったが、平成29年(2017年)に現在の社名であるアサヒシューズ株式会社に社名を変更しており、被請求人は、令和6年(2024)12月23日付で特許庁長官に対し、本件商標の商標権者の表示(名称)変更登録申請を行った(乙2)。

(2)被請求人は、指定商品中の「履物」について本件商標を使用している。被請求人は、被請求人が業として製造及び販売を行っている履物のシリーズ「アサヒグリッパー 37」(乙3~乙6、乙7の第5頁、乙10の第5頁、乙14の第5頁)、「アサヒフットケア 001」(乙29~乙36、乙37の第3頁)、「アウトドアプロダクツ 704WS」(乙49~乙51、乙52の第37頁)及び「アウトドアプロダクツ711WS」(乙57~乙59、乙60の第38頁)(以下、これらをまとめて「本件使用商品」という場合がある)の靴底部分に、六角形状の枠で囲んだ「TFS」の文字からなる商標を刻印により付し使用している(本件使用商品の靴底に付し使用している商標を「本件使用商標1」という。乙3、乙29、乙33、乙49、乙57)。

(3)本件使用商標1が付された本件使用商品が要証期間内に被請求人により製造及び販売された事実を示す証拠として、本件使用商品の製品カタログ及び納品書等(乙7~乙28、乙37~乙48、乙52~乙56、乙60~乙65)を提出する。なお、これらの証拠において、本件使用商品の商品名がその略称をもって記載されているものがある。

被請求人は、自身が開発・設計した履物の運動機能設計技術の名称(ツインフレックスシステム)の表示として「TFS」の欧文字3文字からなる商標を採択し、同設計技術を用いて製造された履物について履物の靴底部分に本件使用商標1を刻印により付すことで継続的に使用している。

被請求人は、継続的に本件使用商標1を本件使用商品に付しかつこれを譲渡しており、要証期間内においても、被請求人が本件使用商標1を本件使用商品に使用(商標法第2条第1項1号及び3号)してきたことは上記の各証拠から明らかである。

なお「アウトドアプロダクツ 704WS(品名(略称):ODP 704WS)」及び「アウトドアプロダクツ711WS(品名(略称):ODP 711WS)」の製品カタログ(乙52の第37頁、乙60の第38頁)には、それぞれ、2024年3月販売予定、2024年8月販売予定との記載があるが、納品書兼請求明細書(乙56、乙64、乙65)から分かるように、それぞれ、令和6年(2024年)3月及び同年10月に既に販売を行っている。

(4)被請求人は、自身が発行した本件使用商品の製品カタログにおいて、被請求人が開発・設計した履物の運動機能設計技術の名称(ツインフレックスシステム)の表示として、赤色で色付けされた六角形状の枠で囲んだ「TFS」の文字からなる商標を付して使用しており(以下、これを「本件使用商標2」という。)、カタログ(乙7の第3頁、乙10の第3頁、乙14の第3頁)においては、前記設計技術の説明とともに本件使用商標2が表示されるとともに、本件使用商品の紹介及び靴底の写真が掲載されている。

なお、当該カタログに掲載された靴底の写真には鮮明ではないが本件使用商標1が刻印により付されており、これらのカタログは、各カタログの裏表紙に記載のとおり、令和4年(2022)6月(「2022 SCHOOL SHOES COLLECTION」(乙7)、令和5年(2023年)6月「2023 SCHOOL SHOES COLLECTION」(乙10)、令和6年(2024年)6月(「2024 SCHOOL SHOES COLLECTION」(乙14)と毎年発行されている。

また、カタログの印刷に係る発注書及び納品書(乙8、乙9、乙11~乙13、乙15~乙17)のとおり、頒布を目的として毎年発行しており、これらのカタログの発行日はいずれも要証期間内のものであり、本件使用商標2を本件商品の宣伝広告を目的とした本件カタログに付しこれを頒布する行為は商標の使用(商標法第2条第3項第8号)に該当する。

(5)本件使用商標1及び本件使用商標2はいずれも本件商標と社会通念上同一の商標である。すなわち、本件使用商標1及び本件使用商標2は色の相違はあるが、いずれも本件商標と同一の「TFS」の欧文字三文字から構成される点において本件商標と外観及び称呼が共通するとともに、観念においても相違するものではない。

なお、本件使用商標1及び本件使用商標2は、本件商標と比較し、文字を囲む六角形状の線状の枠の有無という点において相違するが、商品の取引において商品の取引者及び需要者へのアピールや商標の視認性を高めるため、商標に装飾を付して使用されることは常日頃行われており、本件使用商標1及び本件使用商標2における六角形状の線状図形についても、極めて簡素かつありふれた構成からなる図形であってかかる図形部分は「TSF」の文字の装飾を目的とした付記的な要素として捉えられるものにすぎないというべきである。本件使用商標1及び本件使用商標2において商品の出所識別機能を発揮するのは、中央に顕著に著された「TFS」の文字部にあることは明らかであり、該文字は本件商標と同一の欧文字よりなるものであるから、本件商標と本件使用商標1及び本件使用商標2が社会通念上同一の商標であることは明らかである。

(6)以上述べたとおり、被請求人は、日本国内において、本件審判の予告登録日である令和6年(2024年)11月14日前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標を請求に係る指定商品中の「履物」について使用しているから、被請求人は、本件審判につき、答弁の趣旨どおりの審決を求める。

第4 当審の判断

1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。

(1)カタログ(乙10)について

カタログは、「2023 SCHOOL SHOES COLLECTION」を表題とするものであって、当該カタログに係る発行日を2023年6月とするものである。

カタログの3頁(乙10の2葉)の右上には、「運動機能設計」の見出しの下、別掲の構成からなる本件使用商標2とともに、体育館履の写真が掲載されている。

また、カタログの5頁(乙10の3葉)の左上には、「体育館履」の見出しの下、「アサヒグリッパー37(AGP 37)」と称する複数の体育館履(以下「使用商品」という。)の写真が掲載され、青色のラインが入った商品の写真の下に「ホワイト/ネイビー」及び「KD78764」の記載がある。

そして、カタログの裏表紙には「特約店様からの受注に関するお問い合わせは下記までお願いします。」の記載とともに「アサヒシューズ株式会社 受注サービス課」及び同社の所在地が記載されている。

(2)メール(乙11)及び取引書類(乙12、乙13)について

印刷業者であるP社からアサヒシューズ社宛ての2023年5月22日付けの注文確認メールには、「品名」として「スクールカタログ2023」の記載があり、P社からアサヒシューズ社宛ての2023年5月22日付けの請求書(乙12)には、「品名」として「スクールカタログ2023」の記載があり、P社からアサヒシューズ社宛ての2023年5月26日付けの納品書(乙13)には、「品名」として「スクールカタログ2023」の記載がある。

そうすると、アサヒシューズ社から注文された「スクールカタログ2023」と称するカタログをP社が納品したといえる。

(3)納品明細書(乙25、乙26)について

アサヒシューズから顧客A宛ての納品日付を2023年11月29日(乙25)及び2023年12月26日(乙26)とする納品明細書(控)中には、「仕入先品番/品番」欄に「KD78764-」、「カラー」欄に「WH/NV」、「商品/略称」欄に「グリッパー37」、「納品数」欄に「1」の記載がある。

なお、納品明細書に記載された商品の品番、カラー及び商品名は、カタログ(乙10)に掲載された使用商品の品番、カラー及び商品名と同視できるものである。

2 上記1の認定事項に基づき、以下判断する。

(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について

本件商標は、上記第1のとおり、「TFS」の文字を標準文字で表してなるのに対し、本件使用商標2は、別掲のとおり、赤色の六角形状の図形内に同色で「TFS」の文字を配してなるところ、図形部分は、「TSF」の文字の装飾のための付記的な要素として捉えられるから、本件商標の要部は「TSF」の文字部分にあるといえ、本件商標と本件使用商標2の要部とは色彩が相違するものの表示されている文字を同じくするものであり、その構成も同視できるものである。

したがって、本件使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

(2)使用商品について

使用商品「体育館履」は、請求に係る指定商品中、第25類「履物」の範ちゅうの商品と認められる。

(3)使用商標の使用者について

本件商標権者は、登録名義人の表示変更により、本件審判請求時の登録名義人「株式会社アサヒコーポレーション」からアサヒシューズ社に変更となった(乙1、乙2)ところ、両者は実質的に同一法人といえ、使用商標が使用された体育館履が掲載されたカタログに記載された社名及び住所は、現在の本件商標権者であるアサヒシューズ社の名称及び住所と同一であるから、本件カタログを作成したのは、本件商標権者であるとみて差し支えない。

(4)商標の使用及び使用時期について

本件商標権者は、請求に係る指定商品中、第25類「履物」の範ちゅうの商品である「体育館履」が掲載されているカタログに使用商標を使用した。

そして、本件商標権者と印刷業者との取引書類(乙11、乙12)に記載されたカタログの表題とカタログ(乙10)の表題が一致しないものの、その表題からいずれも学校向けのカタログであることが推認でき、取引書類の日付は、カタログの発行日との関係で不自然な点は見いだせないことから、取引書類に記載されたカタログは、本件商標権者の作成したカタログ(乙10)であることが推認できる。

さらに、本件商標権者から顧客宛ての納品明細書の日付及び記載内容からすれば、当該カタログに掲載された商品を顧客が注文したとみるのが自然であるから、2023年6月に発行されたカタログ(乙10)は、顧客に対して頒布されたものと推認できる。

なお、当該カタログの発行日は要証期間であり、日本語で記載されたものであるから日本国内の使用であることが明らかである。

(5)小括

以上によれば、本件商標権者は要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中、第25類「履物」の範ちゅうの商品である「体育館履」が掲載されたカタログに、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布したものと認められる。

そして、本件商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「履物」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。