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Trademark Appeal Case

「Proud」と結合商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024890003
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第6710156号の指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6710156号商標(以下「本件商標」という。)は、「Proud Partners」の文字を標準文字で表してなり、令和5年1月11日に登録出願、「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を含む第36類、第35類及び第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同年6月12日に登録査定され、同月21日に設定登録されたものである。

第2 引用商標等

請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する商標は、以下の2件の登録商標(これら2件の登録商標をまとめていうときは、以下「引用商標」という。)及び請求人が、住宅事業において長年にわたって使用し、需要者・取引者の間で周知・著名となっていると主張する商標である。

1 登録第4682402号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおり、「プラウド」の片仮名及び「PROUD」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成14年10月30日に登録出願、第16類「印刷物」及び第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同15年6月13日に設定登録され、その後,同25年2月26日及び令和5年1月30日に商標権存続期間の更新登録がされ、現在有効に存続している。

2 登録第5065990号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成18年11月17日に登録出願、「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を含む第36類、第16類及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年7月27日に設定登録されたものであり、その後、同29年7月11日に商標権存続期間の更新登録がされ、現在有効に存続している。

3 請求人が、住宅事業において長年にわたって使用し、需要者・取引者の間で周知・著名となっていると主張する商標は、「PROUD(プラウド)」(以下「請求人商標」という場合がある。)である。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第51号証(枝番号を含む。なお、以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。また、証拠の表記にあたっては「甲○」又は「乙○」と表記する。)を提出した。

1 請求の理由の要点

本件商標は、引用商標に類似する商標であって、その登録に係る指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」と同一又は類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

また、本件商標は、その指定役務に係る業界において、請求人が長年にわたって大々的に使用し、需要者・取引者の間で周知・著名となっている請求人商標に類似し、請求人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

したがって、本件商標の指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」(以下「無効請求役務」という。)についての登録は、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とされるべきである。

2 本件登録を無効とすべき理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標と引用商標の概要

本件商標は、「Proud Partners」の欧文字を標準文字で表してなり、その指定役務は、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を含む。

一方、引用商標1は、別掲1の構成態様からなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務に含む。

また、引用商標2は、別掲2の構成態様からなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務に含む。

イ 本件商標と引用商標の指定役務の類似性

本件商標及び引用商標とも第36類のいわゆる不動産業に係る役務をカバーする商標である。したがって、本件商標と引用商標は、指定役務において同一又は類似する。

ウ 本件商標と引用商標の対比

本件商標を観察すると、「Proud」と「Partners」との間にスペースを有しており、知られた既成語である「Proud」と「Partners」の2語を結合した構成と容易に把握される。

このうち「Partners」については、「仲間、パートナー」といった意味を有する平易な単語「Partner」の複数形であり(甲4)、岩波書店発行「広辞苑」などの国語辞典にも掲載されているように(甲5)、我が国でも日常的に使われている言葉である。

商取引においては、「共同経営(事業)者」の意味があるほか(甲4)、事業の遂行において、ある企業が他の企業と協力関係を持ち、共同で事業を行ったり、特定の目標に向けて連携を進めたりする企業のことを「パートナー企業」や「ビジネスパートナー」と呼ぶなど(甲6~甲8)、企業間における協業・協力等の関係性を表す言葉として、「Partner(s)」は取引上ごく一般的に用いられている。特に、不動産役務を含む第36類の役務との関係では、例えば都市再開発事業など、複数の企業が共同で事業を進めることも多く、また、不動産仲介などの業務に関し、顧客に信頼されるパートナーでありたいといった企業理念をアピールする目的などにより、「Partners(パートナーズ)」は好んで用いられており、ウェブ検索からも多数の使用例が発見できる(甲9及び甲10)。

かかる事情に鑑みれば、「Partners」は役務内容に関連して普通に用いられている言葉と見るべきであり、本来的な識別機能が決して強い言葉ではない。

他方、「Proud」の語については、「誇りに思う、自慢にする、尊大な」といった意味のある言葉であるが(甲4)、何らかの商品・役務内容を普通に表すような意味合いは特になく、不動産取引において広く一般に用いられているといった事情もない。それ故、本件商標中「Proud(プラウド)」は、「Partners(パートナーズ)」と比較して商標としての特徴は強いと見るべきであり、双方の自他役務の識別性について、両語の間には大きな差違があるといえる。

したがって、識別力のぜい弱な後半部「Partners」を捨象し、強く支配的な印象を与える前半部「Proud」だけで比較することも許されると見るべきであるから、本件商標は引用商標に類似するものといわなければならない。

さらに加えて、請求人商標は、本件商標の指定役務に係る不動産の需要者・取引者の間で広く知られた商標である。本件商標について、一連の「Proud Partners(プラウドパートナーズ)」なる既成語は存在せず、むしろ「Proud」及び「Partners」の知られた2つの語からなることが容易に把握される。それ故、他人の周知商標「Proud」を構成に含む本件商標は、引用商標に類似と判断されるべきである。

そして、不動産役務との関係で取引上普通に用いられている一般語「Partners」に比べて、周知・著名商標である「Proud」の識別力は圧倒的であるから、本件商標において「Proud」の部分こそ識別標識として強く支配的といえる。したがって、本件商標は、「Proud(プラウド)」の部分のみでの比較が免れないものである。

以上のとおり、本件商標から「Proud」が商標の要部として取引に資されることは明らかである。そして、本件商標の要部「Proud」で比較すれば、引用商標とはまず称呼が同一であり、欧文字構成も実質的に同一であることから、観念及び外観についても共通する。したがって、本件商標は、引用商標に類似するものといわなければならない。

エ まとめ

以上のように、本件商標は、「Proud」の部分が商標の要部となって取引に資されるものであり、当該要部と称呼、外観及び観念を共通にする引用商標に類似であり、かつ、引用商標の指定役務に同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 請求人商標「PROUD(プラウド)」の著名性について

(ア)総論

請求人である「野村不動産株式会社」は、マンション・戸建分譲やビル賃貸などの不動産事業等を営む企業であって、半世紀以上もの長期間にわたって大々的に事業を展開してきた業界大手である。そして、「PROUD(プラウド)」は、請求人による住宅事業の中核ブランドであり、2002年12月のブランドリリース以来、今日に至るまで首都圏・関西・名古屋・仙台といった大都市圏を中心に大規模に事業展開しており、その結果、「PROUD」ブランドは、請求人の建築物件を表示する商標として、不動産業界はもちろんのこと一般需要者の間でもあまねく知られるに至っている。

2002年から2010年頃までの広告実績等については、引用商標2の防護標章登録第5065990号の1に係る出願審査において提出済みで、これにより引用商標2の周知・著名性を前提とした防護標章登録が認められた経緯があるので(甲14)、本書では主に2008年頃以降の実績等を述べる。

(イ)請求人の「PROUD(プラウド)」に係る事業について

「PROUD」は請求人による住宅事業の基幹ブランドであり、主に分譲マンションシリーズの物件名として用いられている。具体的には、「プラウド二子玉川」(甲15)のように、「PROUD(プラウド)」に物件の所在地を後続させた構成か、「プラウド府中グレイス」(甲15)のように同所在地の物件が二軒目以降になる等の理由から、その後ろにさらにサブネームを付加して物件名として使用している。

請求人は、「PROUD」を高級マンション(住宅)と呼ぶにふさわしい同社最上級の物件に一貫して使用している。都心などの大都市圏を中心に立地条件が良い場所に、高級感がある品質の高い建物で、管理等のソフト面でも充実した住環境を提供できる物件にのみ使用することで、「PROUD」のブランド価値を高めている。

また、上記「プラウド二子玉川」や「プラウド府中グレイス」は、標準的な中層階の物件であり、これらと同様の物件については基本的に「プラウド」を単独で使用している。

このほか、大規模物件については物件自体が一種の街をなすとの考えから「プラウドシティ」を主に使用しており、また、高層階の物件には「プラウドタワー」、戸建分譲住宅には「プラウドシーズン」、さらには賃貸物件に「プラウドフラット」を使用して全体のブランドコンセプトを統一しつつ様々な種類の物件を展開している。

「PROUD」をシリーズ化して幅広く事業展開することで、消費者への効果的な浸透を図っている。ちなみに、いずれのシリーズ名称も請求人が商標登録を確保している。

請求人の手掛ける「PROUD」ブランドの物件は、ブランド立ち上げから今日まで既に数百件を数え、住宅物件のシリーズ名称として、国内最多規模を誇っている。2008年から本件商標の出願時(2023年1月)までの分譲開始物件に限ってみても、首都圏597件、関西圏126件、名古屋(愛知県内)89件、仙台(市内)42件と数多く存在する(甲16)。かかる請求人による精力的な事業展開により、「PROUD」は業界有数の物件数を誇り、請求人は2012年には、全国のマンション供給戸数ランキングで業界首位となっているが(甲17)、そのほとんどは「PROUD」を冠した物件である。

(ウ)個別物件の広告実績

分譲マンションの販売に際しては、モデルルームを開設して購入希望者の来場を募るといった方法が採られるが、「PROUD」においても、基本的にモデルルームを開設して、来場者に物件の詳細を説明したり、購入申込受付を行ったりしている。モデルルームでは「PROUD」ブランドを随所に表示して宣伝広告しているが、来場者・購入希望者に配布される個別物件のパンフレット類一式もその一例である(甲18)。このようなパンフレット類は、分譲マンションの販売に際して重要であるため、おおむね全ての物件について作成している。

また、請求人は、各「PROUD」物件の発売時期に合わせ、その物件の近隣を中心にチラシ広告を行っている。典型的な配布方法は、新聞紙の折り込みチラシ及び投かんであり、1物件につき数種類の折り込みチラシを配布することも珍しくない(甲19)。各チラシの配布枚数は、甲第16号証の物件リスト「チラシ部数」の列に記載のとおりで、2011年から2018年までの実数を別表にまとめたものは、年次別チラシ部数一覧(甲20)に示すとおりであり、2012年には首都圏の物件だけで約1億4千3百万部、全国合計では約1億5千4百万部もの大量のチラシを作成・配布している。以降、全国で2013年約9千万部、2014年約7千3百万部、2015年約8千6百万部、2016年約6千4百万部、2017年約4千9百万部、2018年約5千6百万部にも上っている。

個別物件の広告では、不動産情報誌における雑誌広告を行っている。「株式会社リクルート」が発行し、不動産情報誌として最大の発行部数を誇る「SUUMO(スーモ)」(首都圏版)において、「PROUD」の宣伝広告を大量に行っている(甲21)。

上記のとおり、「PROUD」の物件数は非常に多く、常にいずれかの物件が分譲販売中の状況にあるため、毎号のように「PROUD」の物件情報が掲載されている。

また、請求人はインターネットを活用した広告も積極的に展開している。まず、「PROUD」では、分譲販売中の全ての物件について、専用のホームページを製作し一般公開している(甲23)。

そして、様々なサイトにバナー広告を貼って「PROUD」を露出すると共に(甲24)、各物件のホームページに誘導することで物件情報の提供を行っている。物件別のバナー広告の表示回数は、甲第16号証の物件リスト「WEB広告(バナー)の表示回数」の列に示すとおりで、2011年から2018年までの実数を別表にまとめている(甲25)。現状確認できるものだけでも、全国合計で2011年は約3億9千万回、2012年には13億回超、2013年14億回超、2014年20億回超、2015年34億回超、2016年16億回超、2017年18億回超、2018年21億回超といった膨大な閲覧回数に上っている。

以上のように、請求人は様々なメディアを通じて、「PROUD」物件を大々的に宣伝広告している。これら広告物には引用商標と実質的に同一の標章が顕著に表示されているから、需要者が引用商標を眼にする機会は極めて多い。

(エ)「PROUD」のイメージ広告の実績

請求人は、「PROUD」ブランドのリリース以降、毎年ほぼ定期的に新春と夏の2季、東京・大阪・愛知・宮城及びその近郊で大々的にテレビCMを行っている。直近で放映されているテレビCMは、請求人の「PROUD」公式サイトのテレビCM情報特設サイトのとおりである(甲26)。

請求人の「PROUD」ブランドは、テレビという強力な情報伝達媒体を介して大々的に宣伝されている。CMの内容は放映時期によって異なるものの、請求人商標「PROUD」が大きく表示されるとともに、印象的な「プラウド」の音声が用いられているといった点では一貫している(甲28)。

してみれば、請求人商標の露出がばく大であることは想像に難くない。

「PROUD」ブランドのイメージ広告は、新聞紙上でも大々的に行われている。

請求人は、これまで日本経済新聞、朝日新聞をはじめとする全国紙及び有力紙に多数広告を出稿しているが(甲34)、特に日本経済新聞には2008年から2017年の毎年少なくとも新春の時期に、全面広告(15段サイズ)を掲載している。2008年以降の日本経済新聞における新聞広告の実施概要(甲35)と、代表的な広告例(甲36)及び広告原稿写しを提出する(甲37)。

広告例から分かるように、請求人の広告が紙面全体、あるいは見開きの全体を占めており、かつ、「PROUD」が紙面の目立つ箇所に顕著に表示されていることから、「PROUD」ブランドが読者の記憶に鮮明に残ることは確実である。数百万部の発行部数を誇る日本経済新聞等の全国紙に、「PROUD」の全面広告がカラーでかつ全国通しで出稿されており、毎年数億円もの広告費用を費やしているが、これによる一般需要者に対する請求人商標「PROUD」の露出と影響は絶大なものと言わなければならない。

請求人は更に、上記リクルート社が発行する有力な住宅情報誌「SUUMO新築マンション」、「都心に住む」、「SUUMO別冊不動産会社ガイド」などに「PROUD」のイメージ広告や特集記事を掲載している(甲38)。

リクルート社の各種雑誌に掲載した各年の広告回数は、甲第39号証の一覧に掲載のとおりであり、2008年については毎月欠かさず計56回、2009年は計20回、2010年8回、2011年8回、2012年11回、2013年9回、2014年6回、2015年6回、2016年7回といった具合に毎年「PROUD」の特集記事を掲載している。2017年以降は年2~3回程度と減少傾向にあるが、これは下記のインターネット広告に重点をシフトしているためである。

また、需要者におけるインターネット利用とその影響力の拡大に伴い、昨今請求人はインターネット広告を重視している。

「PROUD」に関する年次別の広告宣伝費実績を見ると(甲40)、全体では毎年70億円から100億円超ものばく大な巨費を請求人は投下して、積極的に「PROUD」の宣伝広告を実施しているが、それに占めるインターネット広告費の割合は年々増加しており、現在では30億円から40億円超と最大になっている。

このほか、「PROUD」の公式ウェブサイトを開設して、ブランドの浸透を図っているほか、「SUUMO」などの住宅情報サイトや、各種ポータルサイトや新聞記事サイト等に、物件別若しくは「PROUD」ブランドのバナー広告を貼ることで、不動産の需要者にとどまらず一般需要者にとっても、同ブランドを目にする機会は極めて多い。

さらに、請求人の「PROUD」物件はデザインにおいても高く評価されており、毎年のようにグッドデザイン賞を受賞している(甲42)。グッドデザイン賞受賞により、世間の注目はより一層「PROUD」物件に集まったといえるから、この受賞歴は「PROUD」ブランドの浸透や名声の高揚に多大な貢献をしている。

(オ)請求人「PROUD」に対する一般認識

請求人の積極的な広告戦略と企業努力により、「PROUD」ブランドは請求人の住宅事業の中核ブランドとしての地位を確立するとともに、その名声は同業大手の主カマンションブランドを凌駕するほどに、日本全国にあまねく知れ渡っている。すなわち、需要者・取引者の間で請求人「PROUD」が周知・著名であることに疑いの余地は無い。

事実、2009年に日本経済新聞社が実施したマンションブランドに関するアンケートにおいて、請求人の「PROUD」の認知度は、「ライオンズマンション」に続く第2位を獲得しており、回答者の69.3%が「PROUD」を知っていると回答している(甲43の1)。また、同アンケートでは、「PROUD」のブランドイメージについて、「安心感がある」、「高級感がある」、「一流である」、「信頼性がある」、「洗練されている」、「センスがよい」、「個性がある」といった項目で第1位を獲得しており、「PROUD」に対する信用の蓄積がうかがえる。

このアンケートは毎年継続して実施されており、2010年以降の「PROUD」の認知度(甲43の2~15)から、継続的に8割前後の需要者が「PROUD」を知っていると回答しており、マンションブランドとして「PROUD」が周知・著名であることは明らかである。上記の「安心感がある」「高級がある」との好意的なブランドイメージも一貫して保っている。

近年は83%から85%もの非常に高い知名度を誇り、本年のアンケートでは第1位の知名度を獲得している。

また、新聞・雑誌において、請求人の「PROUD」が記事になった事例(甲44号証)を見ても請求人の「PROUD」が需要者・取引者の間で高い信用と人気のほどが容易にうかがい知れる。

このことからも首肯されるように、「PROUD」ブランドヘの信用と人気は非常に高く、需要者・取引者一般において、「PROUD」が既に広く知られていたことは明らかであり、その名声は今なお高まり続けているのである。

(カ)周知・著名性に関するまとめ

以上述べたような長年にわたる請求人による事業活動や広告戦略により、本件商標の登録日前の段階において、「PROUD(プラウド)」が請求人の不動産事業に係る商標として、周知・著名であったことに疑いの余地は無い。

イ 混同のおそれについて

請求人の商標「PROUD(プラウド)」が不動産分野において周知著名であることや、「プラウドシーズン」、「プラウドタワー」、「プラウドシティ」、「プラウドクラブ」などを含む「PROUD」ブランドがシリーズ化して大々的に事業展開されていることは先に述べたとおりである。

そして、本件商標は、「Proud」と「Partners」の2語を結合した構成と容易に把握される。

「Partners(パートナーズ)」の語には「仲間、パートナー」といった意味があり、商取引においては、「共同経営(事業)者」の意味があるほか、「パートナー企業」「ビジネスパートナー」のように企業間における協業・協力等の関係性を表す言葉、あるいは顧客に対する企業姿勢を表す言葉などとして、一般的に用いられていることは上記のとおりである。

以上の事実と不動産役務における請求人商標の高い周知著名性に鑑みると、本件商標の使用が、「請求人「PROUD(プラウド)」の共同事業者(による役務)」、あるいは「請求人から委託された「PROUD(プラウド)」に関する提携(パートナー)企業(により提供されるサービス)」のように、請求人との間の何らかの関連性を誤認させ、請求人の業務との関係で出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。そればかりか、請求人の長年にわたる真摯な事業活動とブランドマネジメントにより築いてきた「PROUD(プラウド)」シリーズの信用や顧客吸引力といったものを毀損又は希釈化させるおそれもあるといわざるを得ない。

ウ まとめ

以上のことからすれば、本件商標に接する需要者・取引者は、その指定役

務である不動産業界で周知著名な請求人の「Proud(プラウド)」を捉えて、請求人の業務に係る商品・役務であるかのように誤認し、あるいは、請求人と経済的ないし組織的に何らかの関係を有する者の提供する商品・役務であるかのように誤認して、出所の混同を生ぜしめるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本件商標がその指定役務について使用された場合には、請求人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 結語

以上のように,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、「Proud Partners」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成は、同書、同大、等間隔で、全体が一体的に表されているものであり、構成文字全体から生じる「プラウドパートナーズ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

また、本件商標は「Proud Partners」の欧文字13文字からなるものであり、請求人商標は、「PROUD」の欧文字5文字であるが、本件商標は全体の3分の2近くを「Partners」がしめている。したがって、視覚上も「Partners」の部分が商標の多くをしめることになり、外観上も相紛れることのない非類似の商標である。

そして、「Proud Partners」の文字中、「Proud」は「誇りに思う、誇らしい」(乙2)といった意味を、「Partner」は「仕事とを共同でする相手、相棒」(乙3)といった辞書に掲載された言葉を組み合わせて成る造語である。また、「Partners」と複数形になっていることから「パートナーたち」という意味合いが生じ、本件商標全体「誇らしいパートナーたち」という観念が生じる。

そうすると、上記構成からなる本件商標に接する取引者、需要者が、「Proud」の文字部分にのみ着目して、当該文字部分から生じる称呼及び観念をもって取引に資するというよりは、その構成全体をもって、一体不可分の造語と認識し、把握し、取引に資するとみるのが自然である。

請求人は「Partners」について「本来的な識別機能が決して強い言葉ではない」と記載しており、被請求人はこの点について肯定するわけではないが、少なくとも請求人も「Partners」について識別機能が無いと断定しているわけではないから、「Partners」に「出所識別機能としての称呼、観念」は生じるということは請求人にも被請求人にも争いがないといえる。

そして、請求人は「Proud」について「強く支配的」であると主張しているので、この点について述べる。

当該例外のケースに該当する事件として「SEIKO EYE」最高裁判決(平成5年9月10日)があげられる。

-以下、判決抜粋-

そうすると、「SEIKO」の文字と「EYE」の文字の結合から成る審決引用商標が指定商品である眼鏡に使用された場合には、「SEIKO」の部分が取引者、需要者に対して商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を与えるから、それとの対比において、眼鏡と密接に関連しかつ一般的、普遍的な文字である「EYE」の部分のみからは、具体的取引の実情においてこれが出所の識別標識として使用されている等の特段の事情が認められない限り、出所の識別標識としての称呼、観念は生じず、「SEIKOEYE」全体として若しくは「SEIKO」の部分としてのみ称呼、観念が生じるというべきである。

-ここまで-

上記の判例をみれば、著名商標と、指定商品・指定役務との関係において一般的・普遍的な文字との組み合わせについて論じられており、この組み合わせにおいて「SEIKO」が「強く支配的」であると示されているものである。

仮に、著名商標と被請求人が恣意的に選択した商標との組み合わせにまで、著名商標の効力が及ぶのだとすれば、自己の著名商標を、識別機能を有する他人の商標につけることで、当該他人の商標と非類似として商標登録を受けることが可能ということになり、大きな弊害が生じると考えられる。

したがって、「強く支配的」の語を使用することが許される場面とは「SEIKO EYE」に匹敵するほどの識別力に大差のある著名商標との組み合わせに限定されると解釈することが妥当である(乙4)。

ここで、例外が認められたケースを本件商標に当てはめると、「Partners」部分が指定商品・指定役務との関係において一般的・普遍的な文字であるとはいえないから、「Proud」を「強く支配的」ということはできず、「Proud」部分のみを抽出し、請求人の引用商標と類否を論じることは妥当ではない。

なお、請求人は、「Partners」部分の識別力が弱いことを示す証拠をあげているが、その証拠から明確に「Partners」部分が一般的・普遍的であるとはいえず、また、辞書の意味を参照しても、本件商標の指定商品・指定役務に起因して識別力が弱いと言える根拠・意味合いは示されていない。

具体的には、甲第5号証に示された広辞苑に掲載された単語であるからと言って、それが本件商標の指定商品・指定役務において、一般的・普遍的に使用されている文字であるとはいえないばかりか、本件商標に用いられている単語は「Partners」と「s」が付いているから、同一の文字が掲載されていることの証明にもならない。

甲第6号証及び甲第7号証にいたっては、「パートナー企業」や「ビジネスパートナー」と、「企業」や「ビジネス」などの単語と「パートナー」の組み合わせが使用されている例が挙げられているが、それをもって、なぜ、「Partners」が指定商品・指定役務で一般的・普遍的に使用されている文字といえるのか、明確な理由がない。

また、甲第8号証にて「パートナー企業」の説明が記載されているが、ここで示されるただ一つの情報をもって「パートナー企業」や「ビジネスパートナー」の定義の根拠とはなり得ないし、甲第9号証の「お客様と同じ視点に立ち、パートナーとして共に問題解決している不動産パートナーズ株式会社です」の文言があることのみをもって、直ちに「Partners」が一般的・普逼的に使用されている根拠ともなり得ない。請求人は、特に不動産の役務の分野で「Partners」が好んで用いられると言及しているが、この証拠のみでは、単なる請求人の心証にすぎない。

甲第10号証にあっては「金融」と「Partners」の検索結果であるが、今般、請求人が登録の無効を主張する指定商品・指定役務において、なぜ「金融」での検索結果が「Partners」が一般的・普遍的に使用されていることの根拠になるのかが不明確である。

してみれば、本件商標の構成中「Proud」部分のみを分離抽出し、本件商標が請求人の商標と類似するとする請求人の主張は、妥当とはいえない。

したがって、本件商標と請求人の商標とは、称呼・外観・観念ともに非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当について

(1)本件商標と請求人商標の類似性

本件商標は、「Proud Partners」として一連一体の商標であり、「Proud」のみを分離抽出すべき商標ではないから、その構成文字全体に相応して、「プラウドパートナーズ」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。聴覚上も「プラウドパートナーズ」と特段冗長ではないため、「Proud Partners」全体で消費者・需要者の注意を引くといえる。また、観念、外観が異なることは上記にて述べたとおりである。

したがって、本件商標と請求人商標との間に、類似性があるとはいえない。

(2)被請求人の商標の独創性

本件商標「Proud Partners」は、辞書に記載のある文字を被請求人が恣意的に組み合わせて作成した造語であり、「Proud」のみの言葉と比べ、独創性が高いものである。また、本件商標はその全体から「誇らしいパートナーたち」といった明確な観念が生じる商標であり、観念上も請求人の商標と相紛れることはない、独創性のある商標である。

辞書にある単語同士の組み合わせを作る際に、その一部に著名商標を含むことで、すべての他の単語との組み合わせが排除されるようなことは、商標法の意図するところではないと考えられる。

そして、本件商標は被請求人の商号でもあるが、被請求人は、自身のサービスとして「特定技能専門人材紹介事業」や「登録支援事業」を行っており、その業務に関連して「外国人向けの不動産事業」も行っている。被請求人のサービスは不動産事業に特化した事業形態ではなく、あくまで自社商号の「Proud Partners」を用いて自社の全サービスに本件商標を使用したブランディングを行っているのであるから、不動産の事業に特別に注力して請求人商標「PROUD」にフリーライドする理由や意図もないし、「PROUD」のみを使用したブランディングを行うこともない。

また、本件商標から生じる意味合い「誇らしいパートナーたち」は、「特定技能専門人材紹介事業」に関連して誇らしいパートナーの紹介を行う、というように、被請求人の事業内容とも密接に絡み合った独創性のある被請求人独自の商標である。

(3)出所の混同性について

本件商標「Proud Partners」と請求人商標とは、互いに全く異なった観念を有している商標である。「Proud Partners」は、その全体をもって一連に理解すべき商標であり、「Proud」の部分のみが分離・独立して認識されるものではないから、本件商標と請求人商標は、互いに出所の混同を生ずるおそれはないものである。

実際、「Proud Partners」について、検索エンジンGoogleにて完全一致検索を行った上位50件程度の結果を添付するが(乙5)、これを見ると、被請求人がヒットするばかりで、請求人の情報は一つも見当たらない。請求人が使用している商標は「Proud」であり「Proud Partners」を使用している事実はなく、この検索結果を見れば、商標「Proud Partners」として取引者・需要者に認識されているのは、被請求人にほかならない。

そして、請求人の「Proud」は、請求人の記載するとおり高級マンション(住宅)に一貫して使用されているとあり、一方で、被請求人は上記のとおり「特定技能専門人材紹介事業」等に関連して「外国人向けの不動産事業」をおこなっており、両者の取引者・需要者は明らかに異なるといえ、出所の混同が生じる余地はない。

実際、「Proud Partners」と「不動産」にて検索エンジンGoogleの完全一致検索を行った結果をみても被請求人の外国人専門不動産事業がヒットするのみである(乙6)。両者のすみ分けは明確にされており、出所の混同の余地はない。

以上のとおり、本件商標と請求人商標は、称呼・観念及び外観を異にする非類似の商標であり、両商標は全く異なった印象を取引者・需要者に与え、出所の混同を生ずるおそれの全くない商標である。

よって、本件商標と諸求人商標は、互いに出所の混同を生ずるおそれはなく、商標法第4条第1項第15項に該当するものではない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反するものではなく、同法第46条第1項第1号に該当せず、登録が維持されるべきものである。

第5 当審の判断

1 利害関係について

請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、当事者間に争いがなく、当審は請求人が本件審判の請求について利害関係を有すると認める。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)請求人商標の周知性及び引用商標との関係について

ア 請求人の提出した証拠及びその主張によれば、以下のとおりである。

(ア)請求人は、遅くとも平成15年(2003年)2月から、引用商標2と同一又は類似の商標をマンションの分譲に使用し、その後、戸建の分譲にも使用し不動産事業を営んできた(甲14、甲15及び甲23の1)。

(イ)引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」は、首都圏・関西・名古屋・仙台といった大都市圏におけるマンションの販売事業に使用されてきた(甲14及び甲16)。

(ウ)引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」は、主に分譲マンションシリーズの物件名として用いられ、具体的には、「プラウド二子玉川」のように、「プラウド」に物件の所在地を後続させた構成か、「プラウド府中グレイス」のように同所在地の後ろにさらにサブネームを付加して物件名として使用している(甲15)。

(エ)請求人の手掛ける引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」ブランドの物件は、ブランド立ち上げから今日まで既に数百件を数え、分譲マンションのシリーズ名称として、2008年から本件商標の登録出願時(2023年1月)まで、首都圏、関西、名古屋、仙台といった地域に数多く存在することがうかがえる(甲14及び甲16)。2012年には、請求人が全国のマンション供給戸数ランキングで業界首位となっており、都市型高級マンション「プラウド」シリーズがけん引した(甲17)。

(オ)分譲マンションの販売に際して、モデルルームを開設して購入希望者の来場を募るといった方法が採られるが、請求人の手掛ける分譲マンションにおける来場者・購入希望者に配布される個別物件のパンフレット類に引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」が表示されている(甲18)。

(カ)請求人は、引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」を使用した各分譲マンションの発売時期に合わせ、その物件の近隣を中心にチラシ広告を行っているとし、遅くとも2008年2月からチラシ広告を行っている(甲19)。

各チラシの配布枚数は、2012年の分譲マンションが首都圏だけでも相当数あることから、2021年まで各分譲マンションごとに相当程度のチラシ広告が行われた(甲16及び甲19)。

(キ)個別物件の広告については、「株式会社リクルート」が発行する不動産情報誌「SUUMO(スーモ)(首都圏版)」において、引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」を表示して宣伝広告を行っている(甲21)。

(ク)請求人はインターネットを活用した広告も展開しており、引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」を使用した、戸建及びマンションの分譲販売中の物件について、遅くとも2009年より専用のホームページを製作し一般公開しており(甲23)、また、様々なサイトにバナー広告を貼ってホームページに誘導することで物件情報の提供を行っている(甲24)。そして、物件別のバナー広告の表示回数は、2012年の物件が首都圏だけでも相当数あることから、2023年まで相当程度の物件別のバナー広告が行われた(甲16及び甲24)。

(ケ)請求人は、遅くとも2020年夏から「PROUD」を使用したテレビCMを行っており(甲26)、また、遅くとも2011年から、日本経済新聞へ、引用商標2を使用した広告を出稿している(甲36)。

(コ)請求人は、住宅情報誌などに引用商標2と同一又は類似の商標及び「プラウド」を使用した広告や特集記事を掲載している(甲38)。

(サ)請求人の「プラウド」を使用した物件は、2004年ないし2022年の間、毎年のようにグッドデザイン賞を受賞している(甲42)。

(シ)2009年に日本経済新聞社が実施したマンションブランドに関するアンケートにおいて、請求人の「PROUD(プラウド)」の認知度は、「ライオンズマンション」に続く第2位を獲得しており、回答者の69.3%が「PROUD(プラウド)」を知っていると回答している(甲43の1)。当該アンケートは毎年継続して実施されており、2010年ないし2022年の認知度は第2位を、2023年の認知度は第1位を獲得し、継続的に80パーセント前後、2022年及び2023年は85パーセント程の需要者が「PROUD(プラウド)」を知っていると回答している(甲43の2~甲43の15)。

(ス)新聞・雑誌においても、請求人の「プラウド」を使用した物件に関する記事が2011年1月から本件商標の登録出願時(2023年1月)直前まで掲載されている(甲44)。

イ 判断

上記アの認定によれば、請求人商標は、それを請求人が住宅事業において長年にわたって使用し、需要者・取引者の間で周知・著名となっていると分かる証拠が確認できない。

しかしながら、請求人商標は「PROUD(プラウド)」の文字からなるところ、引用商標1は、別掲1のとおり「プラウド」及び「PROUD」の文字を二段に書した構成よりなり、また、引用商標2は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、「PROUD」の欧文字を顕著に有するものであり、上記アに挙げたような紹介記事を併せてみれば、「PROUD」及び「プラウド」の文字も、「建物(マンション)の売買」について、請求人が使用する商標として認められる。

加えて、引用商標2については、それが、防護標章登録が認められていること(甲14)及び上記アの認定事実を総合勘案すれば、請求人商標を構成する「PROUD」の文字部分と類似する引用商標2は、「建物(マンション)の売買」について、請求人が使用する商標として、本件商標の登録出願前から、取引者、需要者の間において広く認識されており、それが本件商標の登録査定時においても継続しているものというのが相当である。

そうすると、引用商標2は、請求人の取扱いに係る「建物(マンション)の売買」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されているものというべきである。

(2)本件商標と引用商標2の類似性の程度について

本件商標は、「Proud Partners」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その語頭において、請求人の取扱いに係る「建物(マンション)の売買」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されている「PROUD」の欧文字と小文字と大文字の差違があるとはいえ、そのつづりを同じにする「Proud」の欧文字が含まれており、称呼においても「プラウド」の部分は共通していることからすれば、本件商標と引用商標2は一定の類似性を有するといえる。

(3)本件商標に係る無効請求役務と請求人の業務に係る役務との関連性について

本件商標に係る無効請求役務中には、「建物の売買」が含まれており、当該役務は、請求人の業務に係る「建物(マンション)の売買」と同一又は類似するものである。また、「建物の売買」以外の無効請求役務である「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」と請求人の業務に係る「建物(マンション)の売買」は、いずれも不動産業務というべきものであって、同一の事業者が提供する場合が多いものといえる。

そうすると、本件商標に係る無効請求役務と請求人の業務に係る役務とは、関連性の高い役務というのが相当である。

(4)需要者の共通性について

上記(3)のとおり、本件商標に係る無効請求役務と請求人の業務に係る役務とは、不動産業務に係る関連性の高い役務であって、需要者も不動産に関心のある者といえることから、これらの役務は、その需要者の範囲を共通にすることも多いものである。

(5)出所の混同のおそれについて

「PROUD」は、上記のとおり、請求人の取扱いに係る「建物(マンション)の売買」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されているものであり、請求人は、「PROUD」を単独で用いているほか、大規模物件については「プラウドシティ」、高層階の物件には「プラウドタワー」のように、「プラウド」の文字を冠した名称をシリーズ化して使用している状況や請求人の「PROUD」の需要者における認知度を併せ考慮すれば、「Proud」の文字を有する「Proud Partners」の文字よりなる本件商標は、請求人の引用商標2を連想、想起させるものであって、これに接する需要者は、本件商標から、請求人の業務に係る役務に関連するものであると認識するというのが相当である。

(6)小括

上記(1)ないし(5)を総合勘案して判断するに、本件商標権者が、本件商標を無効請求役務に使用した場合、これに接する需要者、取引者は、引用商標2を連想又は想起し、その役務が請求人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標は、その指定役務中、第36類「建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、建物又は土地の鑑定評価、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、建物又は土地の情報の提供」について、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、「Proud Partners」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は同書、同大、等間隔で一体に表されており、これより生ずる「プラウドパートナーズ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

そして、「Proud Partners」の文字は辞書等に載録のある成語ではないことからすれば、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語と認識し、把握されるとみるのが自然である。

そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「プラウドパートナーズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標

引用商標1は、上記第2のとおり、「プラウド」及び「PROUD」の文字を二段に書した構成よりなり、上段の「プラウド」は、下段の「PROUD」の読みを表したものと容易に認識させ、「プラウド」及び「PROUD」の文字に相応して「プラウド」の称呼が生じ、「誇りに思う、自慢にする」(甲4)等の観念を生ずる。また、引用商標2は、上記第2のとおり、左右に長方形の切れ込みを有する青色の略長方形の中に白抜きで顕著に表された「PROUD」の文字を配してなるところ、当該文字に相応して「プラウド」の称呼が生じ、「誇りに思う、自慢にする」等の観念及び上記2(1)のとおり、請求人の取扱いに係る「建物(マンション)の売買」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていることからすれば、「請求人の取扱いに係るマンションのブランド」の観念も生ずる。

(3)本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標は、それぞれ、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、外観においては、「Partners」の文字の有無という明らかな差異を有するものであるから、判然と区別し得るものである。そして、本件商標から生ずる「プラウドパートナーズ」の称呼と引用商標から生ずる「プラウド」の称呼とは、構成音数、構成音が明らかに異なるものであるから、明瞭に聴別できるものである。

また、引用商標は、「誇りに思う、自慢にする」、「請求人の取扱いに係るマンションのブランド」の観念を生ずるのに対し、本件商標は特定の観念を生じないものであるから、観念において、紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

(4)小括

上記(3)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、両商標の指定役務が類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 被請求人の主張について

被請求人は、「請求人の「Proud」は、高級マンション(住宅)に一貫して使用されているとあり、一方で、被請求人は「特定技能専門人材紹介事業」等に関連して「外国人向けの不動産事業」をおこなっており、両者の取引者・需要者は明らかに異なるといえ、出所の混同が生じる余地はない。」旨主張している。

しかしながら、本件商標が商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するか否かの判断に際しては、現在、実際に本件商標を使用している役務の範囲に限定して判断するものではなく、無効請求役務に係る役務の範囲をもとに判断すべきものである。

そして、本件商標に係る無効請求役務中には、「建物の売買」が含まれているところ、当該役務は、請求人の業務に係る「建物(マンション)の売買」と同一又は類似するものであり、関連性の高い役務であって、その需要者が共通するものである。

したがって、被請求人のかかる主張は採用することができない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、結論掲記の指定役務について、同項第15号に該当するものであり、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」についての登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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