結論テキスト
登録第6717929号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024890005 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本件登録第6717929号商標(以下「本件商標」という。)は、「Uni Clau」の文字を標準文字で表してなり、令和4年11月29日に登録出願、第25類「かかと,アンダーシャツ,エスパルト製の靴及びエスパルト製のサンダルげた,オーバーオール,カーディガン,コースレット,コート,ショール,ジャケット,ジャージー製被服,スウェットパンツ,スカート,スカーフ,絹製スカーフ,スキージャケット,スコート,スポーツシャツ,スリッパ,スリップ,ズボン,セーター,ティーシャツ,ドレス,ニッカーボッカー型のズボン及びパンティ,ニット製被服,ネクタイ,パンツ,ブラウス,ブラジャー,プルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,ベレー帽,ヤッケ,レオタード,ワイシャツ類及びシャツ,仮装用衣服,作業服,保温用マフ,制服及びユニフォーム,婦人靴,子供服,帽子,幼児靴,手袋,模造皮革製被服,水泳帽,水泳用トランクス,水泳着,礼服,被服,運動用及び運動競技用シングレット,運動用特殊ブーツ,運動用特殊衣服,運動靴及び運動用特殊靴,防寒靴,防水加工を施した被服,靴及び運動用特殊靴,ダウンジャケット,綿製のコート,履物」を指定商品として、同5年5月19日に登録査定され、同年7月18日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標に係る無効の理由に該当するとして引用する登録第4433062号商標(以下「引用商標」という。)は、「UNIQLO」の文字を標準文字により表してなり、平成12年1月24日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月17日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第61号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
(1)ユニクロの出店数
請求人は、株式会社ユニクロなどの衣料品会社を子会社とする持株会社である(甲3)。請求人は1949年3月に山口県宇部市でメンズショップ小郡商事として設立され、1984年6月にユニクロ第1号店を広島市に、翌年6月にユニクロ初のロードサイド店を山口県下関市に出店し、1991年9月に請求人が商号を現在のファーストリテイリングに変更してからも、日本の大都市における大型店舗を含む出店やイギリス、韓国、アメリカヘの出店に限らず、ユニクロは日本国内・国外を問わずその店舗数を増やしてきた(甲4~甲23)。
そして、本件商標が出願されたのとほぼ同時期である2022年11月末時点では日本国内だけで814店舗があり、海外の店舗数である1,637店舗を含めると全世界では2,451店舗を数えるまでになっており、ユニクロの店舗が国内外を問わず非常に多く存在していたといえる(甲24)。
(2)ユニクロ事業の売上高
2013年8月期から2022年8月期までのユニクロ事業の売上高は、6,833億円ないし8,729億円で、コロナ禍においても国内だけで8,000億円という日本企業でも有数の、非常に高額の売上高を有している(甲25~甲34)。2022年度の世界でのアパレル専門店の売上高ランキング(甲35)によれば、請求人の売上高が2兆3,011億円で世界3位にランクインしているが、日本のユニクロ事業の2022年8月期の売上高(8,102億円)だけでも世界9位にランクインできるだけの規模を有することがわかる。
店舗の外観やユニクロの店舗で販売される製品のタグには引用商標又はそれをロゴ化した商標(審決注:四角形内に「UNI」及び「QLO」の2段書き。以下「ロゴ商標」という。)が用いられてきた(甲36~甲40)。
請求人の代表的な商品は被服が挙げられるが(甲41)、それ以外にもベルト(甲42)、履物(甲43)、運動用特殊衣服(甲44)を販売してきた。引用商標が請求人のハウスマークであること、ユニクロの店舗数の多さや高額の売上高を踏まえれば、引用商標は、被服、ベルト、履物、運動用特殊衣服に関して高い知名度を有するといえる。
(3)広告・宣伝等
請求人はソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用した宣伝活動を行っている。2023年時点で日本国内において利用者数の多いSNSにおける請求人の公式アカウントの登録者・フォロワー数は、いずれも令和5年12月8日時点で、Instagramでは「UNIQLO Global」のアカウントについて247.3万人(甲45-1)、「ユニクロ公式」のアカウントについて90.2万人(甲45-2)、Xでは167.3万人(甲46)、LINEについて4,400万人超(甲47)、FACEBOOKでは115万人(甲48)という非常に多い人数となっている。これらのSNSで請求人により発信された情報は、当該サービス内の共有機能等により容易に拡散できるものであり、必ずしも同社のアカウントに登録やフォローをしていない利用者にも拡散されることからすると、相当の数の需要者及び一般消費者の目に触れる機会が多いことは明らかである。
以上のようなSNS以外にも請求人は動画配信サイトYouTubeにおける動画配信による広告や、テレビコマーシャルも活発に行っている。請求人のYouTubeのUNIQLO公式チャンネルの登録者数は9.83万人で、人気の動画は2968万回再生されており(甲49)、これも引用商標の知名度の高さを物語るものである。
(4)外部ランキングの評価
世界的なブランドコンサルティング会社であるインターブランドが日本のブランドをブランド価値に基づいて評価したランキングであるBest Japan Brands(甲50-1、2)においても、ユニクロは2018年、2019年では8位にランクインし、2020年には7位、2021年及び2022年には6位にランクインしている(甲50-3~7)。
このようにユニクロは独立したブランドランキングにおいても日本の数あるブランドのなかでも有数のブランド価値を認められているものであり、これも引用商標の知名度の高さを物語るものである。
(5)小括
以上の事実関係に加えて、ロゴ商標は防護標章としても登録され、J-PlatPatの日本国周知・著名商標としても認定されている(登録第5308263号の防護標章登録第1号。甲51)。
したがって、引用商標は、日本国内において高い知名度を誇っており、請求人の事業、商品及び役務を示す商標として周知・著名であることは明らかである。
(1)本件商標と引用商標とが類似すること
本件商標は「Uni Clau」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「Uni」と「Clau」の間に1文字分のスペースがあるものの同書・同大・等間隔で配置され外観上まとまりよく表されている。
なお、「Clau」から生じる称呼について付言すると、例えば、サンタクロースを意味し、日本人に馴染みが深い「Santa Claus」という単語においても、「Clau」の部分は「クロー」と発音される(甲52)など、「Clau」を含む英単語の発音はしばしば「クロ」あるいは「クロー」と発音することが知られている(甲53~甲60)。また、本件商標の登録公報においても、その称呼として「クロー」が生じると記載されており(甲1)、これは「Clau」の箇所が「クロー」と発音されることを前提とした記載である。
したがって、本件商標は淀みなく「ユニクロ」あるいは「ユニクロー」と称呼されることから、一連一体の商標である。そして、本件商標は特段の意味を有する語ではないので特定の観念を生じない。
一方、引用商標は、「UNIQLO」の欧文字を標準文字で表してなり同書・同大・等間隔で各文字の間にスペースなどの区切りがなく、外観上まとまりよく表されているものであり、「ユニクロ」と淀みなく称呼することができることから、一連一体の商標であるということができる。なお「UNIQLO」は造語であるため、こちらも特定の観念を生じない。
本件商標と引用商標の称呼についてみると、引用商標からは「ユニクロ」の称呼が生じ、本件商標からは「ユニクロ」あるいは「ユニクロー」の称呼が生じることから、両商標の称呼は同一あるいは類似であるといえる。
また、外観において他の商標と識別するにあたり重要である冒頭の「UNI(Uni)」の部分を共通にし、またその後に「L(l)」の字を含むことも共通にする。そして、本件商標と引用商標のいずれからも特定の観念は生じないので観念を比較することはできない。
したがって、本件商標はその称呼と外観において引用商標と類似し、観念においても区別できないものであるから、両商標は相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(2)本件商標と引用商標の指定商品が類似すること
本件商標と引用商標の指定商品は、類似である。
(3)小括
以上より、本件商標は引用商標と類似し、その指定商品も互いに類似する。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)引用商標が請求人の被服、ベルト、履物、運動用特殊衣服を示すものとして広く知られていること
上記1のとおり、引用商標は本件商標の登録出願時において既に広く知られるに至っており、現在においても請求人の商品である被服、ベルト、履物、運動用特殊衣服を示すものとして広く認識されている。
(2)本件商標と引用商標が類似すること
上記2のとおり、本件商標と引用商標は相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(3)商品の類否について
そして、引用商標は請求人の被服、ベルト、履物、運動用特殊衣服を示すものとして広く知られているところ、本件商標は第25類の商品を指定しており、これらは類似である。
なお「仮装用衣服」と「被服」の類否の関係について付言すると、その生産部門はいずれも衣類の製造に関する専門の知識・技術を有するメーカーである点で共通し、原材料、需要者の範囲、販売部門についても、天然繊維や合成繊維を原材料とし、一般消費者を需要者とし、店舗だけでなくオンライン通販でも販売される点でも共通し、また、そもそも、コスプレ衣装として販売されているものにはワイシャツ、スラックス、スカートなどの争いなく「被服」に含まれるものも含まれており、両者を厳密に区別することはできない(甲61)。
したがって、「仮装用衣服」と「被服」は生産部門、原材料、需要者の範囲、販売部門が共通するものであり、また、両商品を厳密に区別することができるものではないため、両商品は類似の商標を付した場合に誤認混同のおそれを生じる類似の商品である。
(4)小括
以上より、本件商標は、請求人の被服、ベルト、履物、運動用特殊衣服を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、その商品に類似する商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(1)本件商標と引用商標の類似性
上記2(1)のとおり、本件商標は引用商標と類似する。
(2)引用商標の周知度
上記1のとおり、引用商標は本件商標の出願時点において周知・著名な商標であり、請求人の商品である被服、ベルト、履物、運動用特殊衣服等を示すものとして需要者に広く認識されている。
(3)引用商標が造語であること及び請求人のハウスマークであること
引用商標は造語から成る商標であって請求人のハウスマークであるため、需要者及び消費者は、引用商標と類似する本件商標は請求人が関連する事業を示すものであると誤認するおそれが高い。
(4)商品間の関連性、需要者の共通性及び取引の実情
本件商標の指定商品は、いずれもファッション分野に関係する商品として一般的な消費者を需要者とする商品である。
一方、引用商標は請求人の被服、ベルト、履物、運動用特殊衣服を示すものとして広く認識されているところ、これらの商品の需要者も一般的な消費者である。よって本件商標と引用商標は需要者を共通にする。
そして、一般消費者には商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者が多数含まれており、商品の購入に際しメーカー名やハウスマークになどについて常に注意深く確認するとは限らない。引用商標が日本において周知・著名であることを考慮すると、本件商標が指定商品に使用された場合には、需要者である一般消費者は引用商標を想起し、本件商標と引用商標の差異に気付かないおそれが高い。
(5)その他
前述のとおり、請求人の引用商標は、請求人による多年にわたる努力の結果、需要者及び一般消費者の間で広く知られ、高い信用・名声・顧客吸引力を獲得するに至っている。本件商標の出願時では請求人がユニクロ事業を開始して35年以上が経過しており、請求人の引用商標は既に日本全国で広く知られていた。
このような状況に鑑みれば、被請求人は、本件商標の出願時には請求人の引用商標の存在を認識していたと強く推認され、偶然にも著名で独創的な請求人の商標と類似する本件商標を出願したとは考え難い。むしろ、請求人の商標に化体した高い信用・名声・顧客吸引力にフリーライドする目的で本件商標を出願したと考えられる。商標法第4条第1項第15号は、著名商標ヘのフリーライド等を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の保護を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるが(レールデュタン事件、最判平成12年7月11日第三小法廷民集54巻6号1848頁)、このような不正の目的がある以上、本件商標は請求人の業務に係る商品等と誤認混同を生じさせるような態様で使用されるおそれがある。
(6)小括
上記の事情を考え併せると、本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標の周知性に鑑みれば、これに接する需要者は本件商標から引用商標を連想し、指定商品が同一又は類似であることも踏まえれば、商品の出所について需要者が混同するおそれがあり、又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者による商品であると誤認混同するおそれがある。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」について
上記1において説明したとおり、引用商標は、日本国内において高い知名度を誇っており、請求人の事業、商品及び役務を示す商標として周知・著名性を獲得するに至っているため、この要件を充足する。
(2)「同一又は類似の商標」について
上記2(1)において説明したとおり、本件商標と引用商標は類似するため、この要件を充足する。
(3)「不正の目的」について
上述のとおり、引用商標は需要者の間に広く知られている周知著名な商標である。
また、引用商標は造語であって独創的なものである。
そして、上記4(5)で説明したとおり本件商標の出願人は、引用商標に化体した高い信用・名声・顧客吸引力にフリーライドする目的で本件商標を出願したと考えられるため、本件商標は「不正の目的」のもと出願されたものといえる。
(4)小括
以上より、本件商標は周知著名な商標である引用商標と類似する商標であって、その出願は不正な目的のもと行われたものであるため、商標法第4条第1項第19号に該当する。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反したものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、被請求人は何ら争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
以下、本案に入って審理する。
(1)請求人の使用に係る商標の周知著名性及び独創性の程度
ア 請求人提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、1949年にメンズショップ小郡商事として設立され、現在ではブランド「ユニクロ」を提供する製造小売事業者である株式会社ユニクロなどの衣料品会社を子会社とする持株会社(以下、これらをまとめていう場合は、「請求人等」という。)である(甲3、甲4)。
請求人は、1984年6月に「ユニクロ」と称する店舗の第1号店を広島市に出店して以降、1991年9月に商号を現在の名称に変更した後も、1996年11月には東京事務所を開設し、1998年11月に東京都渋谷区にユニクロ原宿店を出店するなどし(甲4)、国内におけるユニクロの店舗数は、本件商標の登録出願日前の2022年8月末時点で809店舗を数え、同登録出願日頃の2022年11月末時点で814店舗、同登録査定日頃の2023年5月末時点で807店舗であった(甲24)。
また、ユニクロの店舗は、2001年9月に英国ロンドンに、2002年9月に中国上海市に出店されるなどし(甲4)、外国における店舗数は、2022年8月末ないし2023年5月末で1,600店舗前後であった(甲24)。
(イ)ユニクロの店舗、オンラインストアでは、コート、ジャケット、スウェットパンツ、ティーシャツ、帽子、靴下、ブラジャー、ベルト、靴などの様々な衣料品を取り扱っており、当該店舗等やユニクロの店舗の開店を伝える記事等には、「UNIQLO」の文字(以下「使用商標」という。)やロゴ商標が表示されている(甲36~甲44)。
(ウ)「WWD」のウェブサイト記事(甲35)によれば、請求人の2022年度の売上高は2兆3,011億円であり、世界アパレル専門店の売上高ランキングで世界第3位である。また、ユニクロに係る国内事業の2013年8月期ないし2022年8月期の売上高は、6,833億円ないし8,729億円であり、2022年8月期のユニクロ事業の売上高は8,102億円であって(甲25~甲34)、これは、上記世界アパレル売上高ランキングの第9位に相当する(甲35)。
(エ)請求人は、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用した宣伝活動を行っており、SNSにおける請求人の公式アカウントの登録者、フォロワー数は、令和5年(2023年)12月時点で、Instagramは「UNIQLO Global」のアカウントについて247.3万人、「ユニクロ公式」のアカウントについて90.2万人(甲45)、Xでは167.3万人(甲46)、LINEについて約4,400万人(甲47)、Facebookでは115万人(甲48)である。
また、同じく令和5年12月時点で動画配信サイトYouTubeのUNIQLO公式チャンネルの登録者数は、9.83万人であって、444本の動画が投稿されており、その視聴回数は、102万回ないし2,968万回である(甲49)。
そして、これらには、請求人等の衣料品が掲載され、使用商標のほか、「uniqlo」の文字やロゴ商標が表示されている。
(オ)ブランドコンサルティング会社による日本のブランドのランキングであるBest Japan Brandsにおいて、ユニクロは、2018年及び2019年は8位、2020年は7位、2021年及び2022年は6位である(甲50)。
イ 判断
上記アによれば、請求人等は、ユニクロの店舗を我が国及び外国において、多数展開していること、様々な衣料品を取り扱う上記店舗やオンラインストア、SNS等において使用商標及び「uniqlo」の文字やロゴ商標が表示されていること、ユニクロの2013年(平成25年)ないし2022年(令和4年)の売上高は高額といえること、SNSのフォロワー数及びYouTubeのチャンネル登録者数は、本件商標の設定登録後の令和5年12月時点ではあるものの、相当数に上り、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても多数のフォロワー及びチャンネル登録者がいたものと推認できること、及び日本のブランドランキングで6位ないし8位であることからすれば、使用商標は、請求人等の衣料品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められるものであって、その周知著名性の程度は高いものといえる。
そして、「UNIQLO」の文字は、辞書等に掲載されていないものであって、一種の造語とみるべきものであるから、該文字から構成される使用商標は、独創性が高いものといえる。
(2)本件商標と使用商標との類似性の程度
ア 外観について
本件商標は、「Uni Clau」の文字からなるものであり、使用商標は、「UNIQLO」の文字からなるものであるところ、両者は、いずれも特徴のない書体で表されており、前半部の「Uni(UNI)」のつづりを共通にし、後半部において「l(L)」の文字を共通にするものであるから、主としてその前半部において近似する。なお、本件商標と使用商標とは、小文字表記か大文字表記かの差異を有するが、そのような表記上の変更は普通に行われている取引の実情がある(例えば本件においても、「uniqlo」の文字の表示が見られる。)ことからすると、両商標において商品の出所の混同のおそれがあるか否かを判断する上で、さほど強い影響を与えるものとはいえない。
イ 称呼について
本件商標は、その構成文字に相応してこれを英語読みした「ユニクロー」の称呼を生じるものというのが相当であり、使用商標は、その構成文字に相応して「ユニクロ」の称呼を生じるものである。
そして、両者は、語頭から「ユニクロ」の称呼を共通にし、語尾における長音の有無において異なるものであるところ、長音は前音に吸収され発音されることが少なくないのであって、語尾における長音の有無が全体の語調、語感に与える影響は大きいとはいえないから、本件商標及び使用商標の称呼は、相紛らわしいものであるといえる。
ウ 観念について
本件商標を構成する「Uni Clau」の文字は、辞書等に特定の意味を有する語として載録されている等の事実は認められないから、本件商標は、特定の観念は生じないものである。
使用商標を構成する「UNIQLO」の欧文字は、辞書類に載録された既成語ではなく、特定の観念を生じない造語であるといえる。
そうすると、両者は観念において比較することはできない。
エ 検討
後述のとおり本件商標及び使用商標に係る需要者には一般消費者が含まれるものであるから、上記アないしウを総合し、一般消費者が通常有する注意力を踏まえると、両商標は、一定の類似性を有するものというのが相当である。
(3)本件商標の指定商品と請求人等の業務に係る商品の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品は、上記第1のとおりであるところ、様々な衣料品を取り扱う請求人等の業務に係る商品と関連性の高い商品であるといえる。
そうすると、本件商標の指定商品は、請求人等の業務に係る商品と密接な関連性を有するものであり、両商品は、取引者及び需要者の範囲を共通にするものといえる。また、上記商品には一般的な衣料品が含まれることからすれば、上記の需要者には一般消費者が含まれるものといえる。
(4)出所混同が生ずるおそれの有無
上記(1)ないし(3)のとおり、使用商標は、請求人等の業務に係る商品を表示するものとして周知著名なものであり、その独創性も高いといえる。そして、本件商標と使用商標とは一定程度の類似性を有し、また、本件商標の指定商品と請求人等の業務に係る商品とは関連性の高いものであって、取引者、需要者も共通するものである。
以上を踏まえ、本件商標の指定商品の需要者である一般消費者において普通に払われる注意力(商品の購入に際し、メーカー名などについて常に注意深く確認するとは限らないものと考えられる。)を基準として、総合的に判断すれば、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用したときは、これに接する需要者は、使用商標を想起、連想し、当該商品を他人(請求人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(5)小括
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
なお、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第19号に該当する旨も主張しているが、当審は、上記のとおり、本件商標が同項第15号に該当するものと判断する。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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