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Trademark Appeal Case

「リベルテ」称呼・観念類似と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024890006
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6720608号商標(以下「本件商標」という。)は、「クロワッサンリベルテ」の文字を標準文字で表してなり、令和5年3月30日に登録出願、第30類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年6月23日に登録査定され、同年7月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が、本件審判の請求の理由において引用する登録第5996825号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、「Liberte Patisserie Boulangerie」(その構成中「Liberte」の語尾の「e」の文字及び「Patisserie」の「a」の文字には、アクセント記号が付されている。以下同じ。)の欧文字を横書きしてなり、平成29年2月28日に登録出願、第30類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年11月17日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由(商標法第4条第1項第11号、同項第15号)を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

(1)本件商標と引用商標との類否

本件商標は、以下の理由により、引用商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものである(商標法第4条第1項第11号)。

ア 商標

本件商標は、「クロワッサンリベルテ」の片仮名文字からなるものであるから、これより「クロワッサンリベルテ」「リベルテ」の呼称及び「自由・クロワッサン」の観念を生ずる。一方、引用商標は、「Liberte Patisserie Boulangerie」の欧文字からなるものであるから、これより「リベルテパティスリーブーランジェリー」「リベルテパティスリー」「リベルテ」の呼称及び「自由・菓子・パン」の観念を生ずる。

したがって、本件商標と引用商標は、外観が相違するとしても「リベルテ」部分の呼称及び「自由」「菓子・パン(クロワッサン)」の観念を共通にする類似の商標である。

後記(2)のとおり、被請求人は、その「LIBERTE JAPON」という社名からも明らかなとおり、請求人との間の後記ライセンス契約に基づいて、請求人がフランスにおいて展開している菓子・パン等の飲食物の製造販売の店舗の「Liberte」(語尾の「e」にアクセント記号が付されている。)(リベルテ)のブランドを用いて日本において菓子・パン等の飲食物を製造販売することを目的として設立された会社である。ところが、被請求人は、ライセンス契約の範囲を超えて、かつ、請求人に無断で、リベルテのブランドを冠した本件商標の登録を行なったものであって、本件商標は、そもそも、引用商標との観念の共通性を利用した商標である。

イ 商品・役務

本件商標の指定商品・指定役務は、全て引用商標の指定商品・指定役務に含まれるものである。その部分において、本件商標の指定商品・指定役務は、引用商標の指定商品・指定役務と同一である。

(2)他人の業務に係る商品又は役務との混同

本件商標は、以下の理由により、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある(商標法第4条第1項第15号)。

ア 請求人の業務

請求人は、フランス共和国パリ市に本店を置く会社である。請求人は、「Liberte」(語尾の「e」にアクセント記号が付されている。)ブランドを用いたパティスリー・ブーランジェリー商品(クロワッサンを含む)を販売しており、パリ市内に11店舗を展開している(甲3)。

イ 混同のおそれ

請求人は、2017年4月3日付けで、株式会社Rとの間でライセンス契約(以下「本件ライセンス契約」という。)(甲4)を締結し、請求人は、株式会社Rに「LIBERTE PATISSERIE BOULANGERIE」の語、「LIBERTE PARIS」のロゴの商標、関連するノウハウ、メニュー、レシピ、商品(サービスを含む)、ビジュアルアイデンテイティ、店舗デザイン、広告デザイン、店舗管理システム等を日本で独占的に使用することを許諾した。その後、2019年3月23日、本件ライセンス契約における株式会社Rの地位は、請求人、被請求人及び株式会社R間の合意により、被請求人に移転した。なお、本件ライセンス契約は、本件商標を登録する権利を被請求人に付与するものではない。本件ライセンス契約は、解除により終了している。

被請求人は、本件ライセンス契約の終了にも関わらず、現在も「LIBERTE PATTISSERIE BOULANGERIE」の呼称で、日本国内で菓子・パン等の飲食物を製造販売する店舗を3店舗運営しているが、本件商標は、引用商標と共通する「リベルテ」の称呼や本件商標において指定された商品及び役務から、本件ライセンス契約に基づいて開始した業務を目的として、被請求人が登録したものであることは明らかであり、本件ライセンス契約に基づく業務とは、請求人が上記アのとおり営んでいる業務に他ならない。したがって、本件商標は、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。

第4 被請求人の答弁

1 答弁の趣旨

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

請求人の主張が失当である理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、第1で述べたとおり、「クロワッサンリベルテ」の標準文字からなる商標である。

一方、引用商標は、別掲のとおり「Liberte Patisserie Boulangerie」の欧文字が視認できる商標である。引用商標は、リベルテ(Liberte)、パティスリー(Patisserie)及びブーランジェリー(Boulangerie)がそれぞれ独立にして視認されているのに対して、本件商標は、「クロワッサンリベルテ」と一続きに記載されている点において、外観が大きく異なる。

また、称呼においても本件商標は「クロワッサンリベルテ」と一続きに読まれるのが通常であり、これに対して引用商標は全体を通して、「リベルテパティスリーブーランジェリー」の称呼が生じるほか、リベルテ(Liberte)、パティスリー(Patisserie)及びブーランジェリー(Boulangerie)それぞれの称呼あるいは、これらの一部を削除した称呼、又は組み合わせた称呼が生じるものである。

したがって、本件商標と引用商標は、称呼においても非類似であると判断するのが相当である。

さらに、本件商標は「クロワッサンリベルテ」の表記どおり、一般的には存在しない、いわゆる造語であり、所定の観念を生じないものである。仮に、「クロワッサン」と「リベルテ」の部分を強制的に分離して判断したとしても、「リベルテ」はフランス語で自由を意味する言葉であることについて(乙3)広く知られているものではないため、特定の意味を生じる言葉と解するべきではない。引用商標も「Liberte Patisserie Boulangerie」とすべてフランス語表記となっており、本件商標と共通するその指定商品を取り扱う分野においてフランス語が比較的使用されることを考慮したとしても仏和辞典を確認することによりようやくその意味を理解しうるにとどまる単語から構成されているため、全体として既成の意味を有するものではない。そのため、本件商標と引用商標はその意味を比較すべきものではなく、観念においても類似ではない。

さらに、本件商標と引用商標とに共通する指定商品であるパンを含み、さらには「リベルテ」と発音する、または、これに類似する称呼を生じる部分を含む登録商標のリストを提出する(乙4)。このリストによれば、「リベルテ」の部分が重複する商標であったとしてもこれが一部であり、さらに識別可能な要素が追加された商標は審査過程においても非類似であると判断されていることが明らかである。

以上から、本件商標と引用商標が、類似であるという請求人の主張は失当である。

(2)商標法第4条第1項第15号について

令和6年2月6日付け審判請求書で述べているとおり、請求人は2017年4月3日付けで、株式会社Rとの間で甲第4号証のとおり、請求人のブランドについて本件ライセンス契約を交わしており、その後、株式会社Rのライセンシーの地位は被請求人に承継されている(乙5)。そして、本件ライセンス契約は、令和4年9月22日付け被請求人からの通知書において、請求人による重大な契約違反を理由として解除されている(乙6)。

ここで、請求人による重大な契約違反とは、本件ライセンス契約(甲4)第14条第2項に記載の事由に該当するものであり、本件ライセンス契約書第16条によれば、この事由によりライセンス契約が解除された場合には、本件ライセンス契約に記載のラインセンス内容を、請求人は、日本において独占的、永続的かつロイヤルティーフリーで使用する権利を取得することとなっている(甲4)。

以上の事実より、被請求人は本件ライセンス契約の第14条第2項及び第16条に基づいて引用商標を引き続き使用する権利を有することは明らかである。さらに、乙第2号証乙区に記載のように、被請求人は引用商標についての専用使用権者であり、従前日本で引用商標を使用して事業を行ってきているのも被請求人である。以上のことから、被請求人の登録商標の使用が請求人の事業と誤認混同を生じるという請求人の主張は明らかに失当である。また、請求人はパリ市内にある請求人店舗の写真等を誤認混同が生じる証拠として提出しているが、そもそも商標法第4条第1項第15号の趣旨は日本国内における誤認混同を意味するものであるため、請求人の提出する甲第3号証は商標法第4条第1項第15号該当性を主張するための証拠とはならないものである。

第5 当審の判断

1 利害関係について

請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、当事者間に争いがなく、当審は請求人が本件審判の請求について利害関係を有すると認める。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、「クロワッサンリベルテ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されているものである。

そして、その構成中「クロワッサン」の文字は、「三日月形のパン。」(岩波書店「広辞苑 第七版」)の意味を、また、「リベルテ」の文字は「自由。」(小学館「大辞泉 第二版」)の意味を有する語であるが、これらを結合してなる本件商標は、一般的な辞書等に載録されている語ではなく、全体として何らかの意味合いを理解させるものでもなく、さらに、その構成文字全体に相応して生じる「クロワッサンリベルテ」の称呼もよどみなく一気に称呼し得るものであることからすれば、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味を有しない一体不可分の語を表したものと認識するとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「クロワッサンリベルテ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。

(2)引用商標について

引用商標は、別掲のとおり、「Liberte Patisserie Boulangerie」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成は、各単語の間に1文字程度のスペースを有しているとしても、同書、同大でまとまりよく一体に表されているものである。

そして、その構成中「Liberte」の文字は、「自由」の意味を有し、「Patisserie」の文字は、「菓子」の意味を有し、「Boulangerie」の文字は、「パン屋の店」(以上、三省堂「クラウン仏和辞典 第4版)の意味を有するフランス語であるとしても、各語を結合して具体的な意味を有する成語ではなく、全体として何らかの意味合いを理解させるものでもなく、さらに、その構成文字に相応して生じる「リベルテパティスリーブーランジェリー」の称呼もよどみなく一気に称呼し得るものであることからすれば、引用商標の構成文字全体をもって、特定の意味を有しない一体不可分の語を表したものとして認識するとみるのが相当である 。

そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「リベルテパティスリーブーランジェリー」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両者は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、その構成中、「クロワッサン」の文字、「Patisserie」及び「Boulangerie」の文字の有無が異なり、また、文字種が異なることから、両者は、明らかな差異を有するものであり、外観上、明確に区別できる。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「クロワッサンリベルテ」の称呼と引用商標から生じる「リベルテパティスリーブーランジェリー」の称呼とは、その称呼中、「リベルテ」の音を共通にするものの、その他の称呼を異にし、また、明らかな音数の相違により、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、称呼上、明瞭に聴別できる。

さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別及び聴別は容易であり、記憶される印象は異なるものとなるから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

(4)小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定商品及び指定役務が引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務を含むとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標の周知著名性について

(1)請求人の提出証拠及び主張によれば、以下のとおりである。

ア 請求人は、フランス共和国パリ市に本店を置く会社である。請求人は、「Liberte」ブランドを用いたクロワッサンを販売しており、パリ市内に11店舗を展開している(甲3)。

イ 請求人は、2017年4月3日付けで、株式会社Rとの間で本件ライセンス契約を締結し、請求人は、株式会社Rに「LIBERTE PATISSERIE BOULANGERIE」の語、「LIBERTE PARIS」のロゴの商標、関連するノウハウ、メニュー、レシピ、商品(サービスを含む)、ビジュアルアイデンテイティ、店舗デザイン、広告デザイン、店舗管理システム等を日本で独占的に使用することを許諾した(甲4)。

(2)上記(1)によれば、請求人は、パリ市内に「Liberte」ブランドを用いた11店舗においてクロワッサンを販売しており、また、株式会社Rとの間で、引用商標に通ずる「LIBERTE PATISSERIE BOULANGERIE」の語の我が国における使用に係るライセンス契約を締結した。

しかしながら、引用商標の菓子・パン等の飲食物の製造、販売における使用の態様、引用商標を使用した商品及び役務の我が国における市場占有率、広告宣伝の方法、範囲、回数等、広告宣伝の規模等、周知著名性を判断するための客観的な事実を量的に把握することができる資料の提出はないから、請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標の使用に係る商品及び役務について、請求人の業務に係る商品及び役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く知られているとはいえない。

(3)引用商標は、上記(2)のとおり、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。

また、上記2のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であり、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は高いとはいえない。

そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の使用に係る商品及び役務との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを合わせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれを指定商品及び指定役務について使用した場合、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(請求人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 請求人の主張

請求人は、本件商標と引用商標は、外観が相違するとしても「リベルテ」の呼称及び「自由」「菓子・パン(クロワッサン)」の観念を共通にする類似の商標であり、また、被請求人は、請求人との間のライセンス契約に基づいて、請求人がフランスにおいて飲食物の製造販売に展開している店舗の「Liberte」(リベルテ)のブランドを用いて日本において菓子・パン等の飲食物を製造販売することを目的として設立された会社であるが、被請求人は、本件ライセンス契約の終了にも関わらず、現在も「LIBERTE PATTISSERIE BOULANGERIE」の呼称で、日本国内で菓子・パン等の飲食物を製造販売する3店舗を運営している。そして、本件商標は、引用商標と共通する「リベルテ」の称呼や本件商標において指定された商品及び役務から、本件ライセンス契約に基づいて開始した業務を目的として、被請求人が登録したものであることは明らかである旨主張する。

しかしながら、本件商標は、その構成中に「リベルテ」の文字を、引用商標は、その構成中に「Liberte」の文字を有するとしても、本件商標は引用商標とは非類似であることは、上記2のとおりである。また、請求人が主張する、被請求人が、本件ライセンス契約の終了にも関わらず、現在も「LIBERTE PATTISSERIE BOULANGERIE」の呼称で、日本国内で菓子・パン等の飲食物を製造販売する3店舗を運営していることについて、そのことを客観的に示す証拠は提出されておらず、たとえ、被請求人が上記のとおり3店舗の運営をしており、上記のような目的で被請求人が本件商標を登録したものであるとの事情があったとしても、本件商標と引用商標とは類似するものではなく、また、本件商標は、商標権者がこれを指定商品及び指定役務について使用した場合、その商品及び役務が他人(請求人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないことは上記2及び3で述べたとおりであって、そのような事情のみをもって、需要者の認識に影響を与えることはないというべきである。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり決定する。

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