結論テキスト
本件審判の請求を却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024890073 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理 由
本件登録第6762042号商標(以下「本件商標」という。)は、「PROCHE」の文字を標準文字で表してなり、令和5年5月31日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年11月15日に登録査定され、同年12月13日に設定登録されたものである(甲1)。
本件審判請求人(以下「請求人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4953828号商標(以下「引用商標」という。)は、「プロッシュ」の文字を標準文字で表してなり、平成17年10月11日に登録出願、第5類「薬剤」及び第20類「プラスチック製包装用容器,プラスチック製薬剤容器」を指定商品として、同18年4月28日に登録査定、同年5月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、引用商標の権利者は、「ニプロ株式会社」(以下「ニプロ社」という。)である(甲2)。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。枝番号を全て含むときは枝番号の表示を省略する。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その商標登録は同法第46条の規定により無効にされるべきものである。
なお、請求人は、本件審判と同じ理由で、商標登録異議申立(異議2024-900045)(以下「異議申立」という。)を行ったが、「本件商標「PROCHE」は、その構成中後半の「CHE」の部分がローマ字風に「チェ」と発音されるのが自然であるから、その構成文字に相応して、「プロチェ」の称呼のみを生じる。したがって、この称呼は、引用商標の「プロッシュ」の称呼とは非類似である」として、「本件商標の商標を維持する」決定を受けた(甲22)。請求人は、上記異議決定に到底納得することができないので、本件審判にて適正な判断を再度求める。
被請求人は、本件審判の請求は、成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
(1)請求人であるO氏は被請求人に対して利害関係を有しない。請求人の名前をGoogle検索しても請求人の事業内容は表示されず、まともに表示されている内容は4件の特許異議申立の請求人(4件共に技術内容が全く異なる)及び1件の商標登録出願人として名前が表示されるのみである(乙1)。
また、請求人の住所地は横浜市の住宅街であり(乙2)、本件商標に係る指定商品と同一の商品「薬剤」等を企画・製造・販売に適した建物や立地とは程遠い。
(2)本件の本当の請求人はスイス国の製薬会社R社であり、その代理人はN事務所のパートナー弁護士・弁理士であるNM氏をはじめとする同事務所所属の弁護士又は弁理士数名であると予想する。
(3)一事不再の悪用防止のためにも無効審判の請求人名義変更等で本件の本来の請求人を明らかにすべきである。
もし、本来の請求人がそれを望まないのであれば、請求人は利害関係人ではなく請求人適格を有しないために本件審判の請求は却下されるべきである。
無効審判の請求人は利害関係人に制限されているところ、本件のようなダミー請求人を認めてしまうと、本来の請求人が表に出ずに陰から攻撃して被請求人がやみくもに対処しなければならないばかりでなく、一事不再理規定(商標法第56条第1項により準用される特許法第167条)「商標登録無効審判又は・・・の審決が確定したときは、当事者及び参加人は、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。」における「当事者」から本来の請求人が外れてしまうため、資金が豊富な大企業による嫌がらせの審判請求が何度も続いてしまうという弊害が生じるためである。法の悪用は許すべきでなく、本件については特に厳格に適用されるべきである。
被請求人は本件商標を「プラッチェ」と称呼する。これは「ぷらっチェ」を被請求人が本件商標に係る登録出願と同日に出願して商標登録していることからも明らかである(登録6779556号)。
しかしながら、「PROCHE」の「CHE」の部分を「チェ」と発音することは特許庁判断と同じである。
そのため、被請求人は、異議申立における特許庁の判断を支持し、「CHE」を「チェ」と称呼することに関して本件商標の称呼や両商標非類似の主張その他のさきの異議申立の際の特許庁判断と同様の内容を被請求人の主張とする。
当審において、請求人に対し、令和7年6月25日付け審尋により、「請求人が本件商標を無効とする請求について利害関係を有することが認められない」旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定し、請求人が利害関係を有することについて具体的な証拠をもって明らかにしつつ、その利害関係について主張するよう、回答を求めた。
請求人は、上記1の審尋に対し、令和7年7月31日付け回答書を提出し、要旨次のように述べた。
本件審判の請求書で述べたように、請求人は、本件審判と同じ理由で、異議申立を行い、「本件商標の商標を維持する」決定を受けた(甲22)。請求人は、異議決定に到底納得することができないので、適正な判断を再度求めるために本件審判請求したものであり、この事情を踏まえ、本件審判請求の請求人適格、利害関係を認めてもらいたい。
本件商標は、審査の過誤によって登録された可能性が高い。この原因は、この審査が、本件商標の「プロチェ」及び「プロシェ」のみの称呼に限定され(甲27)、商標の称呼類似の審査が行われたことによるものと考えられる。本件商標の称呼の類似について、「プロシュ」の称呼についての審査がなされなかった。本件商標の称呼に「プロシュ」の称呼を認定し審査しないことが審査の公正を欠くことは、登録第5501707号商標「PROCHE/プロシュ」(甲15)が、「プロシュ」の片仮名を併記している場合であっても、その「称呼(参考情報)」(特許情報プラットフォーム)に「プロシュ」、「プロシェ」及び「プロチェ」の3称呼を挙げていること及び審判請求書で述べたように、本件の第5類のみならず他の各類においても、最後が「OCHE」で終わるほとんどの登録商標において、それらの「称呼(参考情報)」(特許情報プラットフォーム)で、「シュ」で終わる称呼が挙げられていることから明らかである。
したがって、請求人は、登録第4953828号商標「プロッシュ」(甲2の2)の存在を確認した。それゆえ、請求人は、商標審査の公正を担保すべく、上記登録商標を引用して、この引用商標と本件商標が(称呼)類似し、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当して取消されるべき旨を主張し異議申立を提出した。
しかしながら、この異議申立は、「本件商標は、ローマ字読みに従った「プロチェ」のみの称呼を生じる、すわなち、「プロチェ」以外の称呼は生じない」と判断され、両商標は、(称呼上)非類似として、異議申立は却下された。この判断は、本件商標を維持せんがための、さきに結諭ありきで導かれた判断としか思えず、到底納得することができないので、本件審判請求をすぐに提出した。請求人は、異議申立を却下された者として、その決定に対して不服を申し立てる手段が与えられてその法的地位を確保されるべきものと考える。公正な審査を担保するために、異議申立の審理に継続して、その決定判断を争うべく、本件審判を請求する地位(利害)を有しているといえる。これは、無効審判の立法趣旨の「過誤による商標登録を存続させておくことは、本来であれば権利として存続できないものを排他独占的な権利の行使を認める結果となるには妥当ではない。」(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」参照)にも合致する。
確かに、被請求人は、「PROCHE」の「CHE」の部分を「チェ」と発音しており、そのように発音する片仮名商標を登録(第6779556号)(甲26)していると主張しているので、被請求人は、前記主張に反するような商標の使用、すなわち、「PROCHE」の「CHE」を「シェ」と発音するような商標の使用はない、また、これに反する主張(禁反言)することはないと考えられる。
しかしながら、もし、本件審判請求が(利害関係なしで)却下されると、異議申立の決定での判断が最終判断ということになり、ここでの「本件商標は「プロチェ」とのみ称呼される。」という判断は、将来的には、本件商標の商標権行使又は後願排除の範囲について将来不当に拡大解釈されるおそれがある。例えば、片仮名文字商標「プロシュ」又は「プロシェ」が他人によって使用又は出願された場合、これらの出願及び使用に対して、異議申立の決定で判断されたように、本件商標の効力が(「プロチェ」のみとしか称呼されないとして)及ばないことになるのかは、はなはだ疑問である。したがって、登録商標の審査の公正の担保及び誤認登録の排除の見地からしても、本件審判請求にて、登録商標より発生する称呼を特定して、本件商標権の行使及び後願排除の範囲を示す必要がある。また、このような審決がなされることは、本件商標の商標登録を設定した御庁の責務でもあると考える。さらに、本件商標の商標権の法的安定を決するうえで、被請求人のためにもなると考える。すなわち、被請求人にとっても、本件審判請求が請求不適却下で審決されてしまえば、商標類似の実体審査がなされないまま終結される。この場合、本件商標は、本件審判請求で主張した無効理由の存在の可能性を残して、除斥期間経過の期間まで、不安定な地位に置かれて不利益を蒙ることは明らかである。被請求人にとっては、異議申立の維持決定の判断を本件審判請求の実体審理・審決でも認めてもらえば、本件審判により本件商標に無効理由の無しが明確になって、被請求人の利益にもなる。
商標法第46条第2項には、「商標登録の無効審判は、利害関係人に限り請求することができる。」と規定されている。ここでいう利害関係人とは、商標権などの存在によって、法律上の利益や、その権利に対する法律的地位に直接影響を受けるか、受ける可能性がある者と解されるものである。
一方、商標登録に関する登録異議の申立てについては、商標登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するために、登録異議の申立てがあった場合に特許庁が自ら登録処分の適否を審理し、瑕疵あるときはその是正を図ることであり、特許庁が公衆からの意見聴取を通して登録の信頼性を高めるという公益的観点から設けられた制度である。このような制度の趣旨を踏まえ、異議申立人は、具体的な利害関係を有する者に限定することなく、何人に対しその適格が認められているものである。
そうすると、登録異議の申立ては、利害関係を有する者の間における紛争処理手段の一つとして設けられている無効審判制度とは、その制度の趣旨が異なるものであるから、無効審判の請求人については、異議決定を受けた者であることのみをもって、無効審判における利害関係人であるとするのは妥当ではなく、別途、請求人適格を有する者である具体的な事実が必要とされる。
そこで、請求人の主張及び同人が提出する証拠について検討すると、請求人が主張する本件商標を無効とする理由は、「本件商標が引用商標と類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する」であるところ、引用商標の権利者はニプロ社であり、請求人は、ニプロ社との関係について明らかにしておらず、職権調査をもってしても、請求人とニプロ社との関係を見いだすことができない。
そして、請求人は、本件商標に係る異議申立をした異議申立人であることを主張するにとどまり、例えば、本件商標と同一又は類似である商標を同一又は類似の商品等に使用している又は使用を準備していること、本件商標により商品の出所の混同による不利益を被る可能性を有すること、本件商標の専用使用権者、通常使用権者であること及び本件商標に基づく訴訟関係にある又は警告を受けたことなど、請求人適格を有する者であることを証する具体的な事実の提出を行っていない。
そうすると、請求人は、本件審判事件における請求人適格を有することを立証したとはいえない。
なお、請求人は、さきの異議決定は、十分な審理がなされておらず、過誤登録を容認する結果であり、本件審判事件において再度審理され、判断されるべきである旨主張するが、この主張は、本件審判事件の請求人適格に何ら関係がないものであり、商標法第43条第2項にいう利害関係人を判断するものとして採用することができない。
したがって、請求人は、本件審判事件における利害関係人であると認めることができない。
以上のとおり、本件審判の請求は、審判請求の利益を有しない者の請求に係る不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項の規定により準用される特許法第135条の規定によって、却下されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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