結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025000531 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和5年11月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 5月15日付け:拒絶理由通知書
令和6年 6月28日 :意見書の提出
令和6年10月16日付け:拒絶査定
令和7年 1月15日 :審判請求書の提出
令和7年 6月16日付け:審尋
本願商標は、「顔パス駐車」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第36類、第39類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
本願商標は、「顔パス駐車」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「顔パス」の文字は、「地位や権力などを利用して、無賃乗車や無料入場をすること。また、警戒厳重な会議場などで、警備係と顔なじみになり身分証を提示せずに入場すること。」の意味を、「駐車」の文字は、「自動車などをとめておくこと。道路交通法では、車両等が継続的に停止すること、または、運転者が、車両等を離れてすぐには運転できない状態にあること。」の意味を有する語であるから、本願商標は、全体として、「顔なじみになり身分証を提示せずに自動車などをとめておくこと」程の意味合いを認識させるものである。そして、コンピュータシステム業界で、本願商標に係る「顔パス」の文字が「顔認証システム」程の意味合いで使用されている実情がある。そうすると、本願商標を、例えば、第39類「駐車場の管理及び運営」等の駐車場に係る役務に使用した場合、これに接する需要者は、「顔認証システムを導入した駐車場に係るサービス」であること、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するにすぎず、本願商標は、役務の特徴や質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
当審において、前記1の審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
(1)商標法第3条第1項第3号について
ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。
また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質、役務の質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品の品質、役務の質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。
イ 本願商標は、「顔パス駐車」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「顔パス」の文字は、「何らかの特権を利用して、券を買わずに顔を見せるだけで劇場・催し物などの入口を通ること」の意味を、「駐車」の文字は、「自動車などを継続的にとめておくこと」の意味(いずれも出典は「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)をそれぞれ有する語である。
また、別掲1のとおり、顔認証によって施設等への入退場、タクシー等への乗車、各種受付等を管理する設備やコンピュータシステムが提供されており、このような、顔認証システムを用いた仕組みを称して、「顔パス」の文字が使用されている事実がある。加えて、別掲2のとおり、顔認証システム及びこれに類似するシステムを採用した駐車場が開発・提供されており、そのような駐車場について説明する際に、「顔パス」又は「顔パス駐車」等の文字が使用されている事実もある。
そうすると、本願商標は、その指定役務中、別掲3の役務に関する分野の取引者、需要者に、「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組みを用いた駐車」程の意味合いを容易に認識させるものといえる。
そのため、本願商標を、その指定役務中、別掲3の役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該役務が「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組みを用いた駐車に関する役務」であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識するというのが相当である。
加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「顔パス」の文字から生じる意味が複数あること、及び、「顔パス駐車」の文字の使用例が多くないこと等を挙げ、本願商標からは様々な意味合いが生じるため、これに接する需要者が、実際にどのようなサービスが提供されるかを判断することは不可能である。また、たとえ「顔パス駐車」の文字から、「顔認証システムを導入した駐車場に係るサービス」の意味合いが想起される場合があったとしても、このサービスがどのような者を対象としたものであるのかを把握することは不可能であるから、本願商標は一種の造語であって、役務の質(内容)を表すものではない旨主張する。
しかしながら、別掲1及び別掲2のとおり、顔認証システムによって施設等への入退場、タクシー等への乗車、各種受付等を管理する仕組みを称して、「顔パス」の文字が使用されている実情に加え、顔認証システム及びこれに類似するシステムを採用した駐車場が開発・提供されており、そのような駐車場について説明する際に、「顔パス」又は「顔パス駐車」等の文字が使用されている事実もある。
そして、別掲3の役務が、顔認証システム又はこれに類似したシステムに関する役務又はこれを利用した役務を提供するものであることからすれば、本願商標は、別掲3の役務の分野の取引者、需要者に、「顔認証システムにより入口等を通過することができる仕組みを用いた駐車」程の意味合いを容易に認識させるものであって、これを、前記意味合いに照応する役務に使用する場合は、取引者、需要者は、役務の質(内容)を表示したものとして認識するというべきである。
イ 請求人は、「顔パス」の文字を構成中に含む過去の登録例を挙げ、本願について、これらの登録例の存在を参考とした上で判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(1)イのとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。
ウ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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