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Trademark Appeal Case

記述的結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025007504
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和6年5月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年11月19日付け:拒絶理由通知書

令和6年12月27日 :意見書の提出

令和7年2月14日付け :拒絶査定

令和7年5月16日 :審判請求書の提出

令和7年7月24日付け :証拠調べ通知書

令和7年9月1日 :意見書の提出

第2 本願商標

本願商標は、「人的資本データプラットフォーム」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要点)

本願商標は、「人的資本データプラットフォーム」の文字を標準文字で表してなるものである。

そして、本願商標構成中の「人的資本」の文字は「労働者が身につけた知識・技能・能力などを資本とみなしていう語。教育・訓練・経験によって個人に蓄積され、労働生産性の向上や賃金の上昇などに影響を与える。」の意味を、「データ」の文字は「物事の推論の基礎となる事実。また、参考となる資料・情報。」の意味を、「プラットフォーム」の文字は「オペレーティングシステムやハードウエアなど、コンピューターを動作させる際の基本的な環境や設定。商取引や情報配信などのビジネスを行うための基盤。」等の意味を有する語である。

また、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界においては、人的資本に係るデータを統合・可視化するためのプラットフォームの提供や、そのようなプラットフォームを使用した役務の提供が行われている実情がある。

よって、本願商標全体としては、「人的資本のデータに関するプラットフォーム」程の意味合いが認識されるものである。

そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用したときには、これに接する需要者は、「人的資本のデータに関するプラットフォーム」に関する商品・役務又は「人的資本のデータに関するプラットフォーム」を使用した役務であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表したものと認識するにすぎないものである。

また、上記認定によれば、本願商標をその指定商品及び指定役務中、「人的資本のデータに関するプラットフォーム」に関する商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審における証拠調べ通知書

本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2ないし別掲5のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。

第5 上記通知書に対する請求人の意見

請求人は、上記第4の証拠調べに対して、上記第1の令和7年9月1日に意見書を提出し、要旨以下1ないし4のとおり、意見を述べた。

1 「人的資本」という文言については解釈に幅があり、そこから生じる意味合いが一つのものに定まらないため、「人的資本」という名称を目にした人の解釈により、その意味合いが変わる文言であるといえ、抽象度の高い名称である。

2 別掲2ないし5の使用例には、本願商標「人的資本データプラットフォーム」という使用例はひとつも挙げられていないため、本願商標の識別力を否定する証拠としては弱い。本願商標は、「人的資本」・「データ」・「プラットフォーム」を組み合わせたことに独自性がある。

3 本願商標は「人的資本」・「データ」・「プラットフォーム」とを結合して一体とした一連の造語商標であり、「人的資本」という言葉の抽象性を考慮した場合、拒絶理由通知書・拒絶査定で言及されているような意味合いを有する言葉として普通に使用され、かつ市場において広く普及されているような事実はない。

4 別掲5においては、「○○データプラットフォーム」という使用例があることを根拠に、本願商標の識別力を否定されているが、過去の審査傾向を考慮すると、このような認定方法は強引なものであるといわざるを得ない。過去の審査においては「○○データプラットフォーム」という名称で登録が複数認められている。

第6 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品及び指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品役務識別力を欠くものであることによるものと解される。

そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状、役務の質その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品及び指定役務の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品及び役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年10月21日判決(平成27年(行ケ)第10107号)、知財高裁令和4年5月19日判決(令和3年(行ケ)第10100号)参照)。

2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、「人的資本データプラットフォーム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「人的資本」の文字は、「労働力を資本としてみたもの」の意味を、「データ」の文字は「立論・掲載の基礎となる、既知のあるいは認容された事実・数値」の意味を(いずれも「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、また、「プラットフォーム」の文字は「多くの企業や商品を展示・展開する場」の意味を有する語(「大辞林 第四版」株式会社三省堂)であるから、これらを結合してなる「人的資本データプラットフォーム」の文字全体としては、「労働力を資本としてみたものに関するデータを取り扱うプラットフォーム」程の意味合いを容易に理解させるものである。

そして、別掲2ないし5のとおり、「人的資本」の文字は「労働力を資本としてみたもの」程の意味合いで、「人的資本データ」の文字は「人的資本のデータ」の意味合いで、「データプラットフォーム」の文字は「データを蓄積、加工、分析するのを一貫してできるようにするデータ分析の基盤」程の意味合いで、「データプラットフォーム」の文字は「○○データプラットフォーム」(○○は任意の文字が入る。)の形で、「○○に関するデータプラットフォーム」程の意味合いで一般に使用されているものである。

そうすると、本願商標は、これを本願の指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する需要者は、当該商品及び役務が、「人的資本に関するデータプラットフォームに関する商品又は役務」であるという商品の品質又は役務の質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。

また、本願商標を、その指定商品及び指定役務中、「人的資本に関するデータプラットフォームに関する商品又は役務」以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、「人的資本」及び「データプラットフォーム」の文字は、それぞれ文言の意味合いが一つに特定できない状況であるため、「人的資本データプラットフォーム」という名称からは、特定の意味合いは生じず(複数の意味合いが生じることは否定できず)、消費者により、そこから想起する意味合いは異なるものであって、消費者によって異なるものである以上、商品の品質・役務の質を表しているとはいえず、本願商標は一種の造語であると判断されるべきである旨を主張している。

しかしながら、本願商標を構成する各語の語義及び、別掲2ないし5のとおりの取引の実情を踏まえれば、本願商標は、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものであることは、上記2のとおりである。

(2)請求人は、別掲2ないし5の使用例には、本願商標「人的資本データプラットフォーム」という使用例はひとつも挙げられていないため、本願商標の識別力を否定する証拠としては弱い旨述べるとともに、本願商標は「人的資本」・「データ」・「プラットフォーム」を結合して一体とした一連の造語商標であり、「人的資本」という言葉の抽象性を考慮した場合、原審において指摘されたような意味合いを有する言葉として普通に使用され、かつ市場において広く普及されているような事実はない旨を主張している。

しかしながら、上記1のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状、役務の質その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品及び指定役務の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品及び役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りる。そして、本願商標は、これを構成する各語の語義及び別掲2ないし5のとおりの取引の実情を踏まえれば、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものであることは、上記2のとおりである。

(3)請求人は、「本願商標は、「人的資本」・「データ」・「プラットフォーム」を組み合わせたことに独自性がある」と主張している。

しかしながら、上記2のとおり、本願商標は、これを構成する各語の語義及び別掲2ないし5のとおりの取引の実情を踏まえれば、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものと判断するのが相当である。

(4)請求人は、過去における登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張している。

しかしながら、登録出願に係る商標がその指定商品及び指定役務との関係において、自他商品及び役務の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の示す登録例と本願商標とは、構成文字が異なり、事案を異にするものであるし、本願商標が自他商品及び役務の識別力を欠くものであることは、上記2のとおりであるから、登録例があるからといってその判断が左右されることはない。

(5)したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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