結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300250 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6503682号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヒルドトリート」の文字を標準文字で表してなり、令和3年7月12日に登録出願、第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年1月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和7年3月27日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)3月27日ないし同7年(2025年)3月26日である(以下「要証期間」という。)。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、登録第6503682号商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
請求人は、被請求人の答弁に対して弁駁していない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。枝番号を全て引用する場合は枝番号を省略する。)を提出した。
被請求人は、本件商標の指定商品中「化粧品」について、要証期間内に日本国内において使用している。
本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は株式会社フィールドアンドデバイスである。
本件商標権者の事業は、乙第13号証に示すように、化粧品や医薬品等の開発・製造を事業とするメーカーである。
(1)本件商標の使用の事実を示す証拠資料
ア 乙第1号証
2024年6月21日(金)、東京都立産業貿易センター 台東館5階南側で開催される「2024年度下期 東日本商談会日程のご案内」(以下「商談会」という場合がある。)で、販売仲介業と卸販売業の役割を担う事業を展開している、主催者であるグレートアンドグランド株式会社(以下「グレートアンドグランド社」という。)が、現在の取引先を含む小売店宛てに出した案内である。乙第1号証の3の「交通費・宿泊費に関しまして」には、グレートアンドグランド社が参加する小売店に対して「交通費・宿泊費」を負担するという記載であり、商談会に参加した小売店に、時間の許す限り商談会場で展示しているすべてのメーカーから商品説明を聞くようにさせるためである。これにより、商談会に展示したメーカーは、ほぼすべての小売店に対して商品説明などの商談をすることになる。
イ 乙第2号証
商談会の詳細で、グレートアンドグランド社が来場した小売店に対して商談をする協力メーカー宛てに出した連絡である。
ウ 乙第3号証
商談会の主催者であるグレートアンドグランド社のS氏の名刺であり、S氏は法的な案件に対応する部門の部長である。
エ 乙第4号証
商談会において、展示された商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の見本品の一部の写真である。乙第4号証に示す「商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の見本品」が商談会において展示されたことを、S氏が証明している。
オ 乙第5号証
乙第5号証の1は、2024年6月19日(水)の件名「2024年東日本商談会 価格表」とする添付ファイル付きのメールである。グレートアンドグランド社から本件商標権者に、商談会で展示する商品の価格についてのやり取りがされたメールである。乙第5号証の2は、乙第5号証の1のメールの添付ファイルで、価格表である。乙第5号証の2の価格表の商品名の欄には「ヒルドトリート化粧水」「ヒルドトリート乳液」「ヒルドトリートオールインワンゲル」の記載がある。当該価格表が、当該メールに添付した価格表に間違いないことを、S氏が証明している。
カ 乙第6号証
商談会に参加したメーカーの展示品置き場のレイアウトで、乙第6号証の1の赤い点線枠で囲った部分を拡大した乙第6号証の2に本件商標権者の展示品置き場が設けられていたことを、S氏が証明している。
キ 乙第7号証
商談会の展示会場の風景の写真である。この写真は参加した小売店のバイヤーが、展示品の前で、メーカーと、又は、メーカー及びグレートアンドグランド社との商談をしていることが示されている。当該写真が、商談会の会場の写真であることを、S氏が証明している。
ク 乙第8号証
商談会に来場した小売店の一覧表であり、商談会に来場した小売店であることを、S氏が証明している。
ケ 乙第9号証ないし乙第12号証
乙第9号証ないし乙第12号証は、2024年7月1日に、本件商標権者から、商談会で商談した生活協同組合コープさっぽろ、株式会社くすりのマルト、クオール株式会社及びイービストレード株式会社(乙第8号証に来場者の記録あり。)に宛てた、件名「【G&G展示会】商品提案書類(フィールドアンドデバイス)」とするメールである。
なお、乙第9号証ないし乙第12号証は本件商標権者のメールを受信した被請求人代理人のパソコンから印刷したので、最上欄にその名字の印字がある。
また、乙第9号証の1及び2、乙第10号証の1及び2、乙第11号証の1及び2及び乙第12号証の1及び2には、添付ファイルが5つあることが表示され、添付ファイルのうちの1つ、件名「【商品提案書】ヒルドトリート」には、商標「ヒルドトリート」を付した「化粧水」「乳液」「オールインワンゲル」のそれぞれの化粧品の見本品の写真と、その商品特長(効能・効果・成分)が記載されている(乙9の3~5、乙10の3~5、乙11の3~5、乙12の3~5)。
以上から、乙第9号証ないし乙第12号証は、本件商標権者が「ヒルドトリート」を付した化粧品の写真、特長、成分などを詳細に記載した商品提案書を、商談会で商談した小売店にメールして「ヒルドトリート」を付した化粧品の売り込みに向けたプッシュをしている証拠である。
コ 乙第13号証
本件商標権者のホームページにおける事業紹介のページであり、同ページ中の乙第13号証の2の事業内容の欄に、本件商標権者は、化粧品や医薬品の開発・製造を事業としていることが示されている。
サ 乙第14号証
グレートアンドグランド社のホームページにおける事業紹介のページであり、同ページ中の乙第14号証の2の「事業ミッション」の「商品の流れ」、「発注の流れ」及び「データの流れ」を示した三角形の各頂点に位置する「G&GAGM」はグレートアンドグランド社であり、「メーカー」は例えば本件商標権者が該当し、「店舗・TC・DC」は小売店である。そして、グレートアンドグランド社は、小売店から発注を受けると、メーカーに発注を受けたことを連絡し、メーカーが商品を小売店に直送したり、グレートアンドグランド社がメーカーから庫入し小売店に庫入するという販売仲介業と卸販売業の役割を担う事業を展開していることが示されている。よって、グレートアンドグランド社が主催する商談会は、本件商標権者のようなメーカーが、現在の取引先を含む小売店に、自社の新商品を含む商品を展示して、直接新商品を含む商品の商品説明をし、グレートアンドグランド社が仲介する商流に沿った販売にもっていくための商談の場である。なので、展示品を展示したメーカーと、来場した小売店との間で、必ず商品説明が実施され、商談が実施される。
(2)本件商標の使用、要証期間内であることの証明
商談会は、2024年6月21日に開催されている。商談会で本件商標権者は、乙第4号証に示す商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の見本品を展示し、乙第8号証に記録された小売店のほとんどに対して、商品説明及び商談をしている。
さらに、商談会終了後の2024年7月1日に、乙第9号証ないし乙第12号証に示すメールで、商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の詳細な商品説明書を商談会で商談した小売店に対して送信し売り込みに向けたプッシュをしている。
これらの証拠から、本件商標権者は商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の販売促進を、2024年6月21日及び同年7月1日に実施しているので、要証期間内に実施したことが証明された。
(3)日本国内の使用であることの証明
商談会は、2024年6月21日に、東京都台東区花川戸2-6-5にある東京都立産業貿易センター台東館5階南側で開催された。本件商標権者は、乙第4号証に示す商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の見本品を展示し、商談会に来場した乙第8号証に示す小売店に商品説明をしている。
さらに、商談会終了後の2024年7月1日に、乙第9号証ないし乙第12号証に示すメールで、商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の詳細な商品説明を、日本国内の小売店に送付し、売り込みをプッシュしている。
東京都で開催した商談会における商談、国内の企業である小売店に対する売り込みプッシュは、日本国内における本件商標の使用であることが証明された。
(4)商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかによる使用であること
商談会で本件商標権者は、乙第4号証に示す商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の見本品を展示し、商談会に来場した乙第8号証に記録された小売店のほとんどに商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の商品説明をし、商談をした。
さらに、商談会終了後の2024年7月1日に、乙第9号証ないし乙第12号証に示すメールで、本件商標権者が商談会に来場した小売店へ商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の売り込みのプッシュを実施している。
よって、本件商標権者は商談会での小売店への商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の商品説明をし、商談をしたこと、並びに、本件商標権者による小売店へのメールによる、商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の小売店への売り込みのプッシュの実施により、本件商標権者による本件商標の使用であることが証明された。
(5)請求に係る指定商品のいずれかであることの証明
商談会に、本件商標権者が、乙第4号証に示す商標「ヒルドトリート」を付した「乳液」や「オールインワンゲル」の化粧品の見本品を展示し、商談会に来場した乙第8号証に記録された小売店のほとんどに商談をし、並びに、商談会終了後の2024年7月1日に、商談した小売店に対して、メールで商標「ヒルドトリート」を付した「化粧水」「乳液」「オールインワンゲル」の化粧品の見本品の写真及び詳細な商品説明書を添付して、商品の売り込みのプッシュを実施している(乙9~乙12)。
「化粧水」「乳液」「オールインワンゲル」は化粧品であり、その化粧品は、請求に係る指定商品中、第3類「化粧品」に含まれている。
よって、商標「ヒルドトリート」を付した化粧品は、請求に係る指定商品のいずれかであることが証明された。
(6)本件商標の使用であることの証明
乙第4号証の片仮名表記の「ヒルドトリート」、乙第9号証の3、乙第10号証の3、乙第11号証の3及び乙第12号証の3の片仮名表記の「ヒルドトリート」は、本件商標の片仮名表記の「ヒルドトリート」とは社会通念上で同一である。
よって、本件商標権者が使用した商標は、本件商標の使用であることが証明された。
(7)本件商標権者が本件商標を商標法第2条第3項第8号に規定される使用をしたことの証明
本件商標権者は、乙第6号証に示す商談会場内の展示品置き場の位置で、乙第4号証に示す商標「ヒルドトリート」を付した「乳液」や「オールインワンゲル」などの化粧品の見本品を展示した。そして、本件商標権者は、乙第8号証に示す来場した小売店のほぼすべてに対して、商標「ヒルドトリート」を付した「乳液」や「オールインワンゲル」等の化粧品の商品説明を含む商談をした。
そして、商談会後の2024年7月1日に、本件商標権者は来場した小売店にメールで、商標「ヒルドトリート」を付した「化粧水」「乳液」「オールインワンゲル」の化粧品の特長や成分を記載した詳細な商品説明書を添付して化粧品の商品の売り込みをしている。
したがって、本件商標権者が商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の見本品を商談会で展示し、来場した小売店に商品説明をし、商談をしたことは、商品に関する広告に標章を付して展示し、商品説明をし、商談したことに該当する。
さらに、本件商標権者が、商談会後に、来場した小売店に商標「ヒルドトリート」を付した化粧品の見本品の写真と詳細な商品説明書を付した売り込みのメールをしたことは、商品に関する広告又は取引書類に標章を付して頒布、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する。
したがって、商標法第2条第3項第8号の「商品又は役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当することが証明された。
(1)乙第9号証ないし乙第12号証は、2024年7月1日に本件商標権者から商談会に参加した、生活協同組合コープさっぽろ、株式会社くすりのマルト、クオール株式会社、イービストレード株式会社へのメールであり、メールには「商品提案書 ヒルドトリート」を添付している。
(2)上記(1)のメールに添付した商品提案書(乙9の3~5、乙10の3~5、乙11の3~5、乙12の3~5)には、「ラインナップ」として「化粧水」「乳液」「オールインワンゲル」の記載、その下にはポンプ状の商品容器の表面に、水色、黄色、ピンク色で配色され、白抜き又は黒色で「ヒルドトリート」の文字(以下「使用商標」という。)の記載、その下には、白抜きで「高保湿化粧水」「高保湿オールインワンゲル」の文字、黄色で「高保湿乳液」の文字の記載がある商品写真(以下これらをまとめて「使用商品」という場合がある。)及びそれぞれの「商品特長」「ターゲット品」「効能・効果」等の記載があり、当該提案書の下部には「Field&Device Co.」の記載がある。
(1)使用商品について
上記1(2)によれば、使用商品は、「高保湿化粧水」「高保湿オールインワンゲル」「高保湿乳液」であるから、化粧品の範ちゅうに属する商品と認められる。
(2)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「ヒルドトリート」の文字を標準文字で表してなるものである。
他方、使用商標は、上記1(2)のとおり、白抜き又は黒色で「ヒルドトリート」の文字で表されているものである。
そうすると、本件商標と使用商標は、同じ片仮名で書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものといえるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(3)使用者及び使用時期及び使用行為について、
上記1(1)によれば、要証期間内である2024年7月1日に本件商標権者から、商談会参加の企業に、使用商標を付した使用商品に係る商品提案書が送付されていることが認められる。
商品提案書は、取引上必要な書類であって、使用商品に関する取引書類といえるものであり、通常、このような提案書は商品の販売を求める特定の顧客に交付されるものであるから、現実に商品の販売を求める顧客に交付されている以上、これを頒布したということができる。
そして、商品提案書には本件商標権者の名称の欧文字表記と認められる記載がある。
そうすると、本件商標権者は、要証期間内に使用商標を使用商品に付した取引書類(商品提案書)を頒布したということができる。
(4)小括
以上によれば、本件商標の商標権者は要証期間内である、2024年7月1日に、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品、第3類「化粧品」に関する取引書類に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布したと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して・・・頒布・・・する行為」に該当する。
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に、日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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