結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300323 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第2345875号商標(以下「本件商標」という。)は、「初日の出」の文字を縦書きに書してなり、昭和63年10月8日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年10月30日に設定登録され、同13年6月13日に、第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がされた後、令和3年5月25日に指定商品を第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする更新登録がされたものである。
その後、商標権の一部取消し審判が請求された結果、同6年5月20日に上記指定商品中、第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」について登録を取り消すべき旨の審決の確定登録がなされ、最終的に本件商標の指定商品は、第29類「肉製品,加工水産物」となり、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は令和7年(2025年)4月23日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)4月23日ないし令和7年(2025年)4月22日である(以下「要証期間」という。)。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を以下のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
請求人は、令和7年6月19日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、何ら弁駁していない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(以下、「乙○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)本件商標の使用態様
ア 本件商標の指定商品への使用
商標権者は、「蒲鉾」(以下「本件商品」という場合がある。)の包装に「初日の出」の文字で表示した標章(以下「使用標章」という場合がある。)を付して販売している。本件商品は、本件商標の指定商品である、第29類「肉類,加工水産物」に含まれる商品である。
イ 使用標章と本件商標の同一性
使用標章と本件商標は、多少文字形態が相違するが実質的に同一であり、使用標章の使用は、本件商標の使用に該当する(商標法第2条第3項第1号)。
(2)本件商標を付した商品の販売
ア パンフレットの掲載と頒布
本件商品は、正月に消費される季節商品(正月用商品)であり、毎年秋頃作成する正月用パンフレット(乙2~4)に掲載し、国内の多数の卸売業者・小売業者に頒布している。
パンフレットの印刷は、株式会社北都(以下「北都」という。)(新潟市東区)に発注し、毎年9月頃納品を受け(乙5)、国内の業者に頒布している。
具体的な頒布先の例を挙げると、山津水産株式会社(新潟市江南区茗荷谷)、カナカン株式会社新潟支店(長岡市蓮潟町)他である。
イ 本件商品の販売
本件商品は、チルド商品であり正月前に出荷(販売)する。販売数量は、毎年約1万本程度で、過去3年の販売総数(単位:パック、パックは1個(1本)の包装を示す。)を挙げると、2022年9,790パック、2023年9,988パック、2024年10,331パックである。出荷単位は原則20パック入りであるが、発注が20パック以外の端数もある。
販売先として例を挙げると、株式会社オークワ(和歌山市)、カナカン株式会社(金沢市)、株式会社丸久(防府市)、盛岡水産株式会社(盛岡市)、株式会社うおいち(大阪市)等で、概略毎年65事業所以上へ出荷している。
出荷時に際しての出荷伝票(出荷伝票と複写構成の物品受領書:乙6、乙7)には、商品名として「初日の出」を明示している。
(3)ホームページの本件商品の掲載
商標権者のホームページに、本件商品を正月期間(2024年12月16日~2025年1月7日)掲載した(乙8)。
以上のとおり、要証期間内に、日本国内で商標権者が、指定商品に含まれる「蒲鉾」の包装に、本件商標と実質的に同一の標章を付して販売しており、本件商標を請求に係る指定商品のいずれかに使用していることは明らかである。
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙1の商品の包装紙(表面)において、別掲のとおり、富士山と日の出のような図形が描かれた蒲鉾の断面写真(盛付例)の下に、「蒸し板仕込み」、白の縦長長方形内に「初日の出」の文字を黒い太字で縦書きに書し、その右横に小さく「はつひので」の平仮名が縦書きされている。そして、その左側の品質表示欄には、「名称 蒸しかまぼこ」「原材料名 魚肉(アメリカ、アルゼンチン)・・・」「内容量 150g」の記載、「製造者」として商標権者の名称及び居所と同一である「伏見蒲鉾株式会社 新潟市北区」の表示がある。
(2)乙4が示す「商品のご案内 2025お正月」「伏見の祝い膳」とする標題のパンフレット(以下「本件パンフレット」という。)には正月用のお膳料理の写真が掲載され、その下部には「伏見蒲鉾」の記載がある。当該パンフレットの2葉目は、「蒲鉾」との表題の下、その左下部分には、乙1の包装紙と同一視できる富士山と日の出のような図形が描かれた蒲鉾の断面写真と「蒸し板仕込み」、白の縦長長方形内に黒の太字で縦書きした「初日の出」の文字と、その右横に小さく「はつひので」の平仮名を縦書き(以下「使用商標」という。)した商品(使用商標が付された商品を「使用商品」という。)が掲載されており、「K-55 蒸し板仕込み 初日の出」「内容量 150g」「入数 20入」等の記載がある。また、当該パンフレットの4葉目の右下には商標権者の名称及び居所と同一である「伏見蒲鉾株式会社 新潟市北区」の表示がある。
(3)乙5は、北都から商標権者宛ての令和6年(2024年)10月20日付けの「請求書」であり、日付「9/21」、品名として「新年カタログ(2025年)」、数量「5,000」の記載があり、請求書の上部には、「支払済 24.11.15 伏見蒲鉾(株)経理」とする丸判がある。
(4)乙6は、商標権者から盛岡市所在の盛岡水産株式会社(以下「盛岡水産」という。)宛ての2024年12月20日付け出荷伝票と複写構成の「物品受領書」であり、出荷を同月19日とするものである。
当該受領書には「箱番号 K-55」「品名 蒸し板仕込み初日の出」「入数20×2」等の記載があり、また、備考欄には手書きの署名がされている。
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「初日の出」の文字を縦書きに書してなるところ、当該文字に相応して「ハツヒノデ」の称呼を生じ、「元旦の日の出。はつひ。」[出典:広辞苑 第七版]の観念を生じるものである。
一方、使用商標は、別掲のとおり、富士山と日の出のような図形が描かれた蒲鉾の断面写真と「蒸し板仕込み」、白の縦長長方形内に黒の太字で縦書きした「初日の出」の文字と、その右横に小さく「はつひので」の平仮名を縦書きしてなるものであるところ、白の縦長長方形内の「初日の出」の文字及び「はつひので」の平仮名部分が中央に顕著に表示されていることから、看者に強い印象を与えるとともに、その注意を強く引くものであるから、当該文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとみるのが相当である。そして、その構成中の「はつひので」の平仮名は、「初日の出」の文字の読みを表すものといえるから、使用商標よりは「ハツヒノデ」の称呼を生じ、「元旦の日の出」程の観念を生じる。
そうすると、本件商標と使用商標は、読みを表した平仮名の有無及び書体の違いはあるものの、「初日の出」の文字構成を共通にするものであって、両者の文字部分から生じる「ハツヒノデ」の称呼及び「元旦の日の出」の観念において相違はないものといえる。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
(2)使用商品について
使用商品は、乙1の商品の包装(品質表示欄)に記載された「名称 蒸しかまぼこ」の文字、本件パンフレットの「蒲鉾」の表示から「蒲鉾」と認められ、「蒲鉾」は請求に係る指定商品中、第29類「加工水産物」の範ちゅうに属する商品である。
(3)使用者、使用時期及び使用行為について
ア 乙5は、北都から商標権者宛ての請求書であるところ、請求書の品名は「新年カタログ(2025)」であり、本件パンフレットの標題と相違するものの、本件パンフレットの表紙には「2025年お正月」の記載があること、請求書内の日付けが「9/21」(納品日と推測される。)であり、被請求人が答弁書で「正月用パンフレットの印刷は北都に発注し、毎年9月頃納品を受けている」旨の主張のとおりであるから、乙5の品名である「新年カタログ(2025)」は、本件パンフレットを示すものといえ、乙5は本件パンフレットの印刷に係る請求書と推認される。
イ そして本件パンフレットには、「蒲鉾」として、使用商標が付された使用商品が掲載されており、「K-55 蒸し板仕込み 初日の出」「内容量 150g」「入数 20入」等の記載があるところ、乙6の盛岡水産の物品受領書(2024年12月20日、出荷同月19日)にも、「箱番号 K-55」「品名 蒸し板仕込み初日の出」「入数 20×2」と記載されており、本件パンフレットと乙6の物品受領書の箱番号、品名、入数は一致する。
ウ そうすると、本件パンフレットは、2024年9月21日に、北都から商標権者に対して5,000部納品され、当該パンフレットに掲載されている使用商品について、同年12月20日に商標権者と盛岡水産の間で取引されていることがうかがえるから、本件パンフレットは国内の事業者に頒布されていると推認し得るものである。
また、本件パンフレットの裏面には商標権者の名称及び居所が表されており、乙5の本件パンフレットの印刷についての請求書も合わせ考慮すれば、本件パンフレットは商標権者の作成に係るものであること明らかである。そして、使用商品が掲載された商標権者の作成に係る本件パンフレットは、2025年(令和7年)の正月の時期に合わせて作成されたものであり、商標権者に納品された2024年(令和6年)9月21日から、遅くとも使用商品が盛岡水産に出荷された同年12月19日までの間に頒布されたものと推認することができる。
そして、当該期間は要証期間内である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)からすれば、本件商標の商標権者は、要証期間に、日本国内において、第29類「加工水産物」の範ちゅうに含まれる商品「蒲鉾(蒸しかまぼこ)」の販売に際して、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したパンフレットを頒布したということができ、また、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告若しくは取引書類に標章を付して頒布した行為」に該当するといえる。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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