結論テキスト
登録第6856037号の指定商品中、第30類「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025890026 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6856037号商標(以下「本件商標」という。)は、「ポン・デ・コロン」の文字を標準文字で表してなり、令和6年4月18日に登録出願され、第30類「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,調味料,香辛料,パスタソース,茶,コーヒー,ココア,食用粉類」を指定商品として、同年9月17日に登録査定、同年10月18日に設定登録されたものである。
以下の(1)ないし(4)をまとめていうときは「引用商標」という。
(1)登録第866376号商標(以下「引用商標1」という。甲3)
商標の構成 別掲1のとおり
登録出願日 昭和43年2月17日
設定登録日 昭和45年7月25日
書換登録日 平成22年4月14日
指定商品 第30類「菓子,パン」
(2)登録第2431290号商標(以下「引用商標2」という。甲4)
商標の構成 「COLLON」の欧文字を横書きしたもの
登録出願日 平成元年7月26日
設定登録日 平成4年6月30日
書換登録日 平成14年4月24日
指定商品 第30類「菓子,パン」
(3)登録第2502375号商標(以下「引用商標3」という。甲5)
商標の構成 「コロン」の片仮名を横書きしたもの
登録出願日 平成2年3月9日
設定登録日 平成5年2月26日
書換登録日 平成14年10月23日
指定商品 第30類「菓子,パン」
(4)登録第5348593号商標(以下「引用商標4」という。甲6)
商標の構成 「Collon」(標準文字)
登録出願日 平成21年11月19日
設定登録日 平成22年8月27日
指定商品 第30類「コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,糖類又は糖アルコールを主原材料とする錠剤状・粒状・顆粒状・粉末状・ゲル状・ゼリー状・ペースト状・シロップ状・液状・タブレット状・カプセル状・球状・スティック状・ビスケット状・ブロック状の加工食品」
以下、使用標章1及び使用標章2をまとめていうときは「使用標章」という。
また、上記1及び2を合わせて「引用標章」という。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第49号証(枝番を含む。)を提出した(以下、甲各号証及び乙各号証の枝番の全てを引用するときは、枝番を省略して記載する場合がある。)。
(1)利害関係
ア 請求人である江崎グリコ株式会社は、1922年2月11日創業、1929年2月設立、資本金77億73百万円、連結売上高3,325億円(2023年12月末)、100年以上の歴史を有する我が国を代表する菓子メーカーの一つである(甲7、甲21)。
後述のとおり、請求人が、1971年2月から現在に至るまで、半世紀以上の長期にわたり製造、販売している「巻き煎餅の中央にクリームを詰めた菓子」に付された引用標章(甲7~甲20)は、需要者の間に広く認識されているところ、本件商標の要部である、後半の文字部分「コロン」と同一の称呼及び観念を生じることから、両者は非常に相紛らわしい商標といえる。
また、本件商標の指定商品(以下「本件商品」という場合がある。)は、請求人の業務に係る焼き菓子と同一又は類似し、密接に関連している。
したがって、引用商標と同一又は類似する本件商標の登録の有効性、及び、請求人の業務に係る焼き菓子を表示するものとして周知な引用標章との出所混同のおそれを争う本件審判について、請求人は利害関係を有する。
イ 除斥期間
本件審判の請求は、本件商標の設定登録日(2024年10月18日、甲1、甲2)から5年を経過していない。
したがって、本件審判請求について除斥期間は適用されない。
(2)引用標章の周知性
ア 請求人商品の販売等
(ア)請求人は、昭和45年(1970年)1月に広島県で、巻き煎餅の中央にクリームを詰めた焼き菓子をテスト販売し、翌年2月から京阪神地区において本格発売した。薄く焼いた煎餅及びその中央にクリームを配した菓子は、発売時前にも高級菓子の一部にあったが、これをひと口サイズにし、一般向けの手軽なスナック菓子としたものは発売当時なく、請求人は、同菓子について、コロコロとした形の特徴から、「ころんころんころがる」というイメージを込めて、「コロン」(円柱)と名付けた(以下「請求人商品」という。甲8、甲10の8)。
(イ)初代に「クリームコロン」がバニラ風味で発売された後、第2のフレーバーとなる「カカオコロン」、その後、チョコレート、いちご、バナナ、マロン、ラズベリーなど様々なフレーバーの請求人商品が数多く発売されている(甲7、甲10~甲17、甲49)。具体的には、1981年に「チョコレートコロン」、1994年には「いちごコロン」、2005年には「プリンコロン」、2006年には「抹茶ミルクコロン」、2008年は「チョコナッツコロン」、2009年はコロンの焼き菓子部分を格子模様のワッフル柄に変更し(甲10の8)、「サクサク&コク倍増」の「いちごコロンワッフル仕立て」、2013年は「濃厚抹茶コロン」(甲10の3)、2014年には、人気キャラクター“ふなっしー”とコラボ第2弾として「コロン<梨汁ブシャー味>」(甲10の6)を数量限定発売、「コロン」発売45周年の2016年には、「パリふわクリームコロン」(甲10の14)等を発売した。
平成10年(1998年)にご当地のお土産をイメージした「地域限定コロン」の発売を開始し(甲7の3、甲10の8、11、14、甲11、甲13の1~3、甲14)、「京都宇治抹茶コロン」(近畿地区限定)、「沖縄パインコロン」(沖縄地区限定)、「つがる林檎コロン」(東北地区限定)、「銀座かすたあどコロン」(東京限定)などがあり、各地域の主要な空港、駅、高速SA、観光地の売店などでも販売されている。
2008年ないし2012年にロングサイズの「かぶりつきコロン」を節分の時期に限定発売した(甲10の1、甲11)。
このように、請求人は、様々な味・食感の「コロン」シリーズ商品を展開し、「クリームコロン」、「カカオコロン」、「チョコレートコロン」、「濃厚抹茶コロン」「パリふわクリームコロン」、「かぶりつきコロン」、「プリンコロン」といったように、いずれも、「コロン」の文字の前に商品の内容を表す語を配した名称となっている(甲7の3、甲10~甲17、甲47~甲49)。
(ウ)請求人商品の包装箱には、発売当初より、「Collon」及び「コロン」の文字が大きく目立つような態様で表示され(甲7の3、甲10、甲11他)、商品ごとに、「cream」、「Cacao」、「STRAWBERRY」、「CHOCOLATE」などの文字が表記されている(甲10、甲11他)。
(エ)「Collon」及び「コロン」が請求人の業務に係る焼き菓子のブランドとして非常に重要であることから、請求人は、引用商標に限らず、当該文字を含む商標を30件以上も登録している(甲22)。
イ 請求人商品の売上高
請求人が「コロン(Collon)」商標を使用して本格発売を開始した1971年の請求人商品の売上高は、7億円程度であったが、発売開始後5年を経過した1976年は、50億円に達した。累計販売額は、2017年の時点で1,000億円を超え、直近5年間も概ね10億円前後で、堅調に推移している(甲19)。
ウ 雑誌、新聞等の広告、掲載
(ア)ファッション雑誌・情報誌「プチセブン」(小学館、毎月2回発行)には、1994年ないし1997年に「Collon Press(vol.1~18)」の題名で「コロン」に関する記事が掲載された(甲12)。ファッション情報誌「セブンティーン」(甲47)などにも「コロン」に関する記事が掲載された。
(イ)月刊雑誌「オトナファミ」(株式会社エンターブレイン、2013年9月20日発行、甲11)には、1971年の発売当初から2013年までの「コロンシリーズ」商品が年代別に掲載され、「コロンのご当地限定マップ」として「地域限定コロン」が掲載されているほか、「コロンCMギャラリー」が紹介されている。
(ウ)業界紙「日本食糧新聞」(2006年9月ないし2013年8月(甲17)には「ダブルチョココロン」、「メープルコロン」等の発売、2017年3月(甲17の27、甲17の28)には「クリームコロン大人のショコラ」等の発売、2020年11月(甲17の29)には「クリームコロン 白のやさしさ<くちどけミルク><くちどけココア>」等「コロン」の発売等に関する記事が掲載されている。
(エ)土産品新聞(1998年、甲13の1)、雑誌「月刊 茶の間 爽秋
号」(1998年、甲13の2)で「京都宇治抹茶コロン」、朝日小学生新聞(2000年、甲13の3)で「沖縄パインコロン」、読売新聞(2008年及び2009年、甲17の4、甲17の16)、産経新聞(2008年及び2009年、甲17の5、甲17の10)、朝日新聞(2009年、2011年及び2012年、甲17の8、甲17の9、甲17の15、甲17の19、甲17の22)、毎日新聞(2012年及び2018年、甲17の23、甲17の30)で「かぶりつきコロン」「冷え冷えコロン」等の発売、信濃毎日新聞、沖縄タイムス、山陽新聞、あきた経済新聞及び北海道新聞(2023年)(甲17号証の32~36)で「クリームコロン<大人のチョコミント>」の発売、共同通信(2009年及び2023年、甲17の7、甲17の31)で「かぶりつきコロン」等の「コロン」の発売が報じられた。
(オ)テレビ朝日2012年1月30日スーパーJチャンネル報道/ニュースで、「かぶりつきコロン」(甲17の21)が放送された。
(カ)日経BP社の雑誌「日経デザイン」に、2017年春に発売された563商品に関する好感度調査を実施した結果が掲載され、「クリームコロン」が第5位に選ばれた(甲17の37)。
(キ)業界紙「日本食糧新聞」の「ビスケット特集:主要メーカー動向」(1999年~2012年各年)に請求人会社が取り上げられ、「主力品の・・・「コロン」」、「売れ筋商品・・・「コロン」」等「コロン」に関する記事が掲載された(甲18)。
上記以外にも「コロン」に関する情報はブログやSNS等を通じたインターネットに多数掲載されている(甲16)。
エ お菓子の人気アンケート調査等
(ア)テレビ朝日が2012年10月27日及び2013年5月4日に放送した「お願い!ランキングGOLD」の番組において実施した第1回及び第2回「お菓子総選挙クッキー・ビスケット部門」の人気アンケート調査結果によれば、請求人の「クリームコロン」が第7位及び第12位に選ばれている(甲15)。
なお、上記ランキングは、いずれも全国の10代から50代以上の5世代から、男女1000人ずつの1万人から集計している。
(イ)2019年10月23日放送のテレビ番組「一流企業が禁断のカミングアウト 私、アレにやられました」において、請求人の「クリームコロン」は“不動の人気”商品として紹介された(甲48)。
(ウ)みんなの総合クチコミサイト「もぐナビ」が実施した「みんなが食べたい新商品ランキング」の2020年11月20日付け公開記事において、「クッキー・パイ・ビスケット」部門の人気商品の第1位に「クリームコロン白のやさしさ<くちどけミルク>」が選ばれた(甲16の9)。
オ まとめ
上述したとおり、請求人は、菓子業界において、1971年2月から現在に至るまで、半世紀以上の長期にわたり、請求人商品に引用標章を使用している。
請求人商品は、全国で販売され、多数の商品が継続的に開発されて市場に出され、その結果、請求人商品の売上高は、発売開始後5年を経過した1976年に50億円に達し、累計販売額は、2017年の時点で1,000億円を超え、直近5年間も概ね10億円前後で、堅調に推移している。また、請求人商品は、主として新商品が発売されるに際してその都度、業界紙「日本食糧新聞」はもとより、一般紙や雑誌等において多数掲載され、これにより、請求人商品は、日本食糧新聞に、請求人の代表的な商品の一つとして紹介されている。さらに、テレビ朝日の2012年10月27日放送及び2013年5月4日放送におけるお菓子クッキー・ビスケット部門の人気アンケート調査では、それぞれ第7位、第12位に選ばれており、雑誌や新聞等に請求人商品が掲載される場合には、そのほとんどのものに、請求人のハウスマークである「Glico」や「グリコ」、あるいは、請求人の略称である「江崎グリコ」の文字が併記されている。
これらを総合して考察すれば、引用標章は、半世紀以上の長期にわたる継続使用及び請求人の営業努力により、本件商標が登録出願される相当以前より、請求人の業務に係る「焼き菓子」を表示するものとして、我が国における菓子の取引者、需要者の間に広く認識されている。
引用標章の周知性について、特許庁は、2017年5月の取消決定(異議2016-900352号決定)において、「「コロン」及び「Collon」の文字は、請求人の業務に係る商品(巻き煎餅の中央にクリームを詰めた菓子)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている」と認定している(甲20)。2017年以降、現在もなお、引用標章は、請求人商品に使用されているから、その周知性は本件商標の登録出願時及び登録査定時まで継続している。
(3)商標の同一又は類似
ア 本件商標
本件商標構成中の「ポン・デ」の文字は、ポルトガル語で「~パン」の意味を表す「pao de~(構成中の「a」はチル記号が付されている。)」の表音であって、本件商品、とりわけ、パン・菓子等を取り扱う業界においては、「ポン・デ・ケージョ(Pao de queijo)」や「ポンデスティック」、「ポンデドーナツ」のように、後に続く語を伴って、「もちもちとしたパン」ほどの意味合いで広く一般に使用されている(甲23~甲25)。特許庁においても、「ポンデチョコドーナツ/PONDE CHOCO DONUT」、「ポン・デ・バタータ/PAO・DE・BATATA」の文字商標は、本件商品と同一又は類似する商品との関係において、自他商品識別力を有さないとして、登録を拒絶している(甲26、甲27)。また、「ポン・デ・コロン」の文字は、辞書等に掲載されておらず、既成の語ではない(甲28)。
一方、後半の「コロン」の文字部分からは、本件商品の品質等に関する意味合いが生じないところ(甲45)、引用標章は、請求人の業務に係る「焼き菓子」を表示するものとして、我が国における菓子の取引者、需要者の間に広く認識されている(甲7~甲20、甲47~甲49)。
そうすると、本件商標は、「ポン・デ」の文字と「コロン」の文字が、中黒(・)を介して結合したものと解され、本件商標の前半の「ポン・デ」の文字部分は、本件商品との関係において、出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められることから、後半の「コロン」の文字部分だけを抽出し、請求人の引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁参照)。
「コロン」の文字を有する本件商標は、識別力が強いとはいえない「ポン・デ・」の文字(甲23~甲27)が捨象され、それにより、「コロン」の文字部分が着目されることから、本件商標は、その要部である「コロン」の文字部分に相応して、「コロン」の称呼を生じ、「請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」」の観念を生ずる。
イ 引用標章
引用商標(甲3~甲6)、及び使用標章(甲7~甲20、甲47~甲49)は、「Collon」、「COLLON」、及び/又は、その読み方を表示した「コロン」の文字からなる。
本件商標の要部と引用標章を対比してみると、引用標章のうち、欧文字部分については、文字の種別が異なるため、外観において差異が認められるものの、片仮名部分については構成文字を共通にし、また、いずれも「コロン」の称呼を生じ、「請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」」の意味合いが生じる。
そうすると、本件商標と引用標章とは、外観において一部異なるものの、称呼及び観念において同一であるから、類似の商標と判断されて然るべきである。
(4)本件商品と請求人商品・引用商標の指定商品の同一又は類似
本件商品中「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,コーヒー,ココア,氷砂糖(調味料),水あめ(調味料),ウーロン茶,紅茶」(甲1、甲2)は、引用商標に係る第30類の指定商品(甲3~甲6)と同一又は類似する。
また、請求人商品(焼き菓子)は、本件商品のうち、「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と類似する。
その他の本件商品「穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,調味料,香辛料,パスタソース,茶,コーヒー,ココア,食用粉類」(以下、これらを「本件商品2」という場合がある。)とは類似しないが、これらは、菓子の原材料として使用されることもあり、また、いずれも、日常生活の中において消費者が嗜好のために使用される商品であって、幅広い世代の一般消費者が、コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパー等の食料品店やオンラインショッピングで購入することのできる一般的な食品である。さらに、請求人をはじめ(甲7の4)、本件商品2を製造販売する事業者の中には、菓子・スナックを商品ラインアップとする事業者もあるだけでなく(甲37~甲40)、実際に需要者がこれら商品を購入するコンビニエンスストアやドラッグストア等の食料品売り場においては、両商品は近接して陳列されている取引の実情が存在する(甲41)。
したがって、本件商品2と請求人商品は、密接な関連性を有する。
(5)商標法第4条第1項第11号
本件商標「ポン・デ・コロン」は、本件商品との関係において自他識別力を有さない「ポン・デ」の文字と、「コロン」の文字を、中黒(・)を介して結合した構成からなるところ、後半の「コロン」の文字部分が本件商標の要部と解される。
引用商標は、「Collon」、「COLLON」、及び/又は、その読み方を表示した「コロン」の文字からなるところ、引用商標は、請求人の業務に係る焼き菓子を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている。
このため、本件商標の要部からは、その構成文字に相応して、「コロン」の称呼が生じ、「請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」」の観念が生ずる。
引用商標1、2、4の欧文字部分は、文字の種別が異なるため、本件商標と外観において差異が認められるものの、引用商標1及び3の片仮名部分については構成文字を共通にし、また、いずれも「コロン」の称呼を生じ、「請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」」の意味合いが生じることから、本件商標と引用商標とは、外観において一部異なるものの、称呼及び観念が同一であるから、互いに相紛らわしい類似の商標に該当する。
また、本件商品のうち、「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,氷砂糖(調味料),水あめ(調味料)」は、引用商標1ないし3に係る第30類指定商品「菓子,パン」、引用商標4に係る第30類指定商品「菓子及びパン」と同一又は類似する。
本件商品2は、引用商標4に係る第30類指定商品「コーヒー及びココア,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、本件商品のうち、上記商品において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号
引用商標と使用標章との同一性を鑑み、以下、使用標章を用いて同号の該当性を述べる。
ア 本件商標と使用標章との類似性の程度
本件商標の要部「コロン」と使用標章1とは、文字の種別が異なるため、外観において差異が認められるものの、いずれも「コロン」の称呼を生じ、「請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」」の意味合いが生じることから、互いに相紛らわしい商標といえ、その類似性の程度は高い。
また、本件商標の要部と使用標章2とは、外観、称呼、観念のいずれもが同一であることから、両商標の類似性の程度は相当高い。
イ 使用標章の周知性及び独創性の程度
使用標章は、半世紀以上にわたり、請求人商品(焼き菓子)に継続して使用され、シリーズ化されるに至っている。このため、使用標章は、請求人を代表する人気定番菓子の一つとして、年齢を問わず、広く一般消費者の間で、相当の周知性を獲得している(甲7~甲20、甲47~甲49)。
また、使用標章1を構成する欧文字「Collon」は、それ自体辞書等に掲載された語ではないことから(甲46)、その独創性は高い。
ウ 本件商品と請求人商品との関連性
請求人商品(焼き菓子)は、本件商品のうち、「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と類似する。
本件商品2とは類似関係にないものの、「調味料,香辛料,パスタソース,茶,コーヒー,ココア」は、菓子の原材料として用いられており(例えば、「濃厚抹茶コロン」(甲10の3)、「濃厚ココアコロン」(甲10の5)、「カフェオーレコロン」(甲10の10)、「パスタスナック カルボナーラ味」(甲32)、また、「穀物の加工品(麺),ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」の風味や形状等を用いた菓子も開発、製品化(逆もしかり)されている(甲33~甲36)。さらに、請求人をはじめ(甲7の4)、本件商品2を製造販売する事業者の中には、菓子・スナックを商品ラインアップとする事業者もあるだけでなく(甲37~甲40)、いずれも、日常生活の中において幅広い世代の一般消費者に使用される商品であって、コンビニエンスストアやドラッグストア等の食料品売り場において近接して陳列されることもある(甲41)。
したがって、本件商品と請求人商品は、商品としては一部異なるとしても、密接な関連性を有する。
現に、飲食料品について、原材料としての使用や製品化、需要者の注意力や関心、取扱い店舗の共通性を理由に、過去の異議決定や裁判例において、両商品の密接な関連性が認められている(甲42~甲44)。
エ 取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商品2は、請求人商品の原材料として使用されることもあり、また、当該商品と請求人商品(焼き菓子)は、いずれも、日常生活の中において消費者が嗜好のために使用される商品であって、幅広い世代の一般消費者が、コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパー等の食料品店やオンラインショッピングで購入することのできる一般的な食品である。
さらに本件商品2を製造販売する事業者の中には、菓子・スナックを商品ラインアップとする事業者もあるだけでなく(甲37~甲40)、実際に需要者がこれら商品を購入するコンビニエンスストアやドラッグストア等の食料品売り場においては、両商品は近接して陳列されている取引の実情が存在する(甲41)ことから、需要者及び取引者を共通にする。そして、これらの商品の購入者が、特別な専門的知識経験を有しない一般消費者であることからすると、当該商品を購入するに際して払われる注意力は,さほど高いものではない。
オ 混同を生ずるおそれ
上記の事情を総合すると、使用標章は、請求人の業務に係る焼き菓子を表示するものとして、需要者の間で広く認識されていたことに照らせば、後半の「コロン」文字部分において、使用標章と同一の称呼及び観念を生ずる本件商標が、本件商品に付して使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、当該文字部分に着目し、周知な使用標章を連想、想起して、当該商品が請求人又は請求人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、本件商品において、商標法第4条第1項第15号に該当する。
被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、被請求人は何ら争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
以下、本案に入って審理する。
甲各号証及び請求人の主張によれば、次のような事実が認められる。
(1)請求人商品の販売等について
ア 請求人は、昭和45年(1970年)1月に広島県で「巻き煎餅の中央にクリームを詰めた焼き菓子」をテスト販売し、同46年2月から京阪神地区において本格発売した。同菓子について、コロコロとした形の特徴からコロン(円柱)と名付けた(請求人商品)(甲8、甲10の8)。
イ 初代に「クリームコロン」がバニラ風味で発売された後、第2のフレーバーとなる「カカオコロン」、その後、チョコレート、いちご、バナナ、マロン、ラズベリーなど様々なフレーバーの請求人商品が発売されている(甲7、甲10~甲17、甲49)。
ウ 平成10年(1998年)にご当地のお土産をイメージした「地域限定コロン」の発売を開始した。
「地域限定コロン」には、「京都宇治抹茶コロン」(近畿地区限定)、「沖縄パインコロン」(沖縄地区限定)、「つがる林檎コロン」(東北地区限定)、「銀座かすたあどコロン」(東京限定)などがあり(甲7の3、甲10の8、甲10の11、甲10の14、甲11、甲13の1~3、甲14)、各地域の主要な空港、駅、高速SA、観光地の売店などでも販売されている。
エ 2008年(平成20年)ないし2012年(平成24年)にロングサイズの「かぶりつきコロン」を節分の時期に限定して発売した(甲10の1、甲11)。
オ 2009年(平成21年)にコロンの焼き菓子部分を格子模様のワッフル柄に変更し、同時に味と食感をも改良した(甲10の8)。
カ 請求人商品の包装箱には、発売当初より、「Collon」及び「コロン」の文字が大きく目立つような態様で表示され(甲7の3、甲10、甲11他)、商品ごとに、「cream」、「Cacao」、「STRAWBERRY」、「CHOCOLATE」などの文字が表記されている(甲10、甲11他)。
(2)請求人商品の売上高について
請求人が「コロン(Collon)」商標を使用して本格発売を開始した1971年の請求人商品の売上高は、7億円程度であったが、発売開始後5年を経過した1976年は、50億円に達した。累計販売額は、2017年の時点で1,000億円を超え、直近5年間も概ね10億円前後で推移している(甲19)。
(3)雑誌、新聞等への広告、掲載について
ア ファッション雑誌・情報誌である「プチセブン」(小学館)には、1994年ないし1997年に「Collon Press(vol.1~18)」の題名で「コロン」に関する記事が掲載された(甲12)ほか、ファッション情報誌「セブンティーン」(甲47)などにも請求人商品に関する記事が掲載された。
イ 月刊雑誌「オトナファミ」(株式会社エンターブレイン、2013年9月20日発行、甲11)には、「コロン」及び「Collon」の商標の使用をした1971年の発売当初から2013年までに販売された請求人商品のシリーズ商品が年代別に掲載され、また「コロンのご当地限定マップ」として「地域限定コロン」が掲載されているほか、「コロンCMギャラリー」として、CMが作成されたことが紹介されている。
ウ 業界紙「日本食糧新聞」(2006年9月ないし2013年8月(甲17)には「ダブルチョココロン」、「メープルコロン」等の発売、2017年3月(甲17の27、甲17の28)には「クリームコロン大人のショコラ」などの発売、2020年11月(甲17の29)には「クリームコロン 白のやさしさ<くちどけミルク><くちどけココア>」等請求人商品の発売等に関する記事が掲載されている(甲17)。
エ みやげ品ニュース(1998年、甲13の1)、雑誌「月刊 茶の間 爽秋号」(1998年、甲13の2)で「京都宇治抹茶コロン」、朝日小学生新聞(2000年、甲13の3)で「沖縄パインコロン」、読売新聞(2008年及び2009年、甲17の4、甲17の16)、産経新聞(2008年及び2009年、甲17の5、甲17の10)、朝日新聞(2009年、2011年及び2012年、甲17の8、甲17の9、甲17の15、甲17の19、甲17の22)、毎日新聞(2012年及び2018年、甲17の23、甲17の30)で「かぶりつきコロン」「冷え冷えコロン」等の発売、信濃毎日新聞、沖縄タイムス、山陽新聞、あきた経済新聞及び北海道新聞(2023年)(甲17の32~36)で「クリームコロン<大人のチョコミント>」の発売、共同通信(2009年及び2023年、甲17の7、甲17の31)で「かぶりつきコロン」等の請求人商品の発売が報じられた。
オ テレビ朝日2012年1月30日スーパーJチャンネル報道/ニュースで、「かぶりつきコロン」(甲17の21)が放送された。
カ 日経BP社の雑誌「日経デザイン」に、2017年春に発売された563商品に関する好感度調査を実施した結果が掲載され、「クリームコロン」が第5位に選ばれた(甲17の37)。
キ 業界紙「日本食糧新聞」の「ビスケット特集:主要メーカー動向」(1999年~2012年各年)に請求人会社が取り上げられ、「主力品の・・・「コロン」」、「売れ筋商品は・・・「コロン」」等請求人商品に関する記事が掲載された(甲18)。
ク ブログやSNS等を通じて、インターネットに請求人商品に関する情報が多数掲載されている(甲16)。
ケ お菓子の人気アンケート調査等
(ア)テレビ朝日が2012年10月27日及び2013年5月4日に放送した「お願い!ランキングGOLD」の番組において実施した第1回及び第2回「お菓子総選挙クッキー・ビスケット部門」の人気アンケート調査結果によれば、請求人の「クリームコロン」が第7位及び第12位に選ばれている(甲15)。
なお、上記ランキングは、いずれも全国の10代から50代以上、男女1,000人ずつの1万人から集計している。
(イ)2019年10月23日放送のテレビ番組「一流企業が禁断のカミングアウト 私、アレにやられました」において、請求人の「クリームコロン」は“不動の人気”商品として紹介された(甲48)。
(ウ)みんなの総合クチコミサイト「もぐナビ」が実施した「みんなが食べたい新商品ランキング」の2020年11月20日付け公開記事において、「クッキー・パイ・ビスケット」部門の人気商品の第1位に「クリームコロン白のやさしさ<くちどけミルク>」が選ばれた(甲16の9)。
(4)まとめ
以上のことからすれば、請求人は、ア 1971年2月から現在に至るまで50数年間の長期にわたり請求人商品に「コロン」及び「Collon」の商標を使用してきたこと、イ 「コロン」及び「Collon」の商標を使用した請求人商品は、全国で販売され、また、異なるフレーバーや地域限定商品など様々なシリーズ商品を展開するなど、多数の商品が継続的に開発されて市場に出されたこと、ウ 請求人商品の売上高は、発売開始後5年を経過した1976年は50億円に達し、2017年には累計で1,000億円を超え、その後、直近5年間も概ね10億円前後で推移していること、 エ 請求人商品は、主として新商品が発売されるに際してその都度、業界紙「日本食糧新聞」はもとより、一般紙や雑誌等において多数掲載されていること、オ 請求人商品は、日本食糧新聞に、請求人の動向に関する記事の中で売れ筋商品の一つとして継続的に掲載されたこと、カ テレビ朝日で2012年10月27日及び2013年5月4日に放送された番組に際して実施したお菓子クッキー・ビスケット部門の人気アンケート調査では、第7位及び第12位に選ばれていること、ウェブサイト「もぐナビ」が実施した「みんなが食べたい新商品ランキング」の2020年11月20日付け記事において「クッキー・パイ・ビスケット」部門の人気商品の第1位に「クリームコロン白のやさしさ<くちどけミルク>」が選ばれたこと、などを認めることができる。
これらを総合して考察すれば、「コロン」及び「Collon」の文字からなる引用標章は、遅くとも本件商標の登録出願時までには、請求人の業務に係る「焼き菓子(請求人商品)」を表示するものとして、我が国における菓子の取引者、需要者の間に広く認識されていたというのが相当である。そして、その周知性は、本件商標の登録査定時まで継続していたものと認められる。
(1)本件商標について
本件商標は、「ポン・デ・コロン」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、本件商標の構成中の「コロン」の文字は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る「焼き菓子」について使用する商標として我が国における菓子の取引者、需要者の間に広く知られているものである。
さらに、本件商標の構成中の「ポン・デ」の文字部分は、「パン」を意味する語として菓子やパンを取り扱う業界では一定程度知られているものと認められる(甲23~甲25)から、「菓子,パン」の分野において識別力が強いとはいえないものである。
そうすると、本件商標をその指定商品中、上記商品及び上記商品と密接な関連を有する「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「コロン」の文字部分に注目し、その商品の出所につき、請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」を連想、想起して取引に資する場合も決して少なくないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、その指定商品中「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」との関係においては、その構成文字全体に相応する「ポンデコロン」の称呼を生ずるほか、その構成中の「コロン」の文字部分(以下「本件商標の要部」という場合がある。)に相応して、「コロン」の称呼を生じ、請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」の観念を生じるものといえる。
(2)引用商標について
引用商標1は「コロン」及び「COLLON」の文字、引用商標2は「COLLON」の文字、引用商標3は「コロン」の文字及び引用商標4は「Collon」の文字からなるものである。
引用商標は、その構成文字に相応して、「コロン」の称呼を生じ、また、少なくとも引用商標1ないし3の全指定商品及び引用商標4の指定商品中「菓子及びパン,サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」との関係においては、上記1のとおり、「コロン」及び「Collon」の文字が請求人商品について請求人の使用する商標として、我が国における菓子の取引者、需要者の間に広く認識されていることから、請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否につて
本件商標と引用商標とは、構成全体の外観、称呼及び観念において相違するものであるが、本件商標の指定商品中「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」との関係においては、以下のとおり判断できる。
ア 外観について
本件商標の要部「コロン」と「コロン」の文字からなる引用商標3とは、「コロン」の構成文字を共通にし、「コロン」の文字を含む引用商標1とは、「コロン」の構成文字を共通にしているから、外観上近似した印象を与えるものである。
他方、本件商標の要部「コロン」と「COLLON」又は「Collon」の文字からなる引用商標2、4とは、片仮名と欧文字であって文字種を異にするものであるが、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種の相違が看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
イ 称呼について
本件商標の要部と引用商標は、いずれも「コロン」の称呼を共通にするから、両者は称呼において相紛らわしいものである。
ウ 観念について
本件商標の要部と引用商標は、いずれも請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」の観念を共通にしているから、両者は観念において相紛らわしいものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、全体の外観において相違するとしても、本件商標の要部と引用商標との外観の比較においては顕著な差異として強い印象を与えず、称呼及び観念を共通にするものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標というべきものである。
(4)指定商品の類否につて
本件商標の指定商品中「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、引用商標1ないし3の指定商品「菓子,パン」及び引用商標4の指定商品中「菓子及びパン,サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と同一又は類似するものである。
(5)まとめ
以上からすると、本件商標は、その指定商品中「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」について使用するときには、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
しかしながら、本件商標は、その指定商品中、上記以外の商品と引用商標との関係においては、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
本件商標の指定商品中、「パン,揚げパン,カレーパン,野菜入りのパン,中華まんじゅう,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」については上記3のとおり、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同項第15号かっこ書き「第十号から前号までに掲げるものを除く。」の規定により同号には該当しない。
そこで、商標法第4条第1項第11号には該当しないとした、本件商標の指定商品中、「穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,調味料,香辛料,パスタソース,茶,コーヒー,ココア,食用粉類」(以下これらの商品を「穀物の加工品等商品」という場合がある。)の同項第15号該当性について検討する。
ア 引用商標の周知性について
上記2のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る「焼き菓子(請求人商品)」を表示するものとして、我が国における菓子の取引者、需要者の間に広く認識されていたものといえるところ、提出された証拠からは、それ以外の商品の需要者において広く認識されていたと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
(ア)本件商標は、「ポン・デ・コロン」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同一の書体をもって一連に書され、これより「ポンデコロン」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、これを「穀物の加工品等商品」について使用するときは、その構成中、「ポン・デ」の文字が自他商品の識別力が弱いといえるような取引の実情は見いだせない。
そうすると、本件商標が一連に表されているばかりでなく、これより生じると認められる「ポンデコロン」の称呼もよどみなく一気に称呼し得るものであることをも考慮すると、本件商標は、構成全体として一体のものと把握、認識されるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、「穀物の加工品等商品」について使用するときは、その構成文字に相応して「ポンデコロン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものといえる。
(イ)引用標章は「コロン」及び「COLLON」の文字、又は「コロン」、「Collon」の文字からなるものであるから、その構成文字に照応して「コロン」の称呼を生じ、請求人が請求人商品に使用する焼き菓子のブランドとしての「コロン」の観念を生じるものである。
(ウ)商標の類否についてみると、本件商標と引用標章とは、それぞれの構成文字が異なるから、外観において相紛れるおそれはないものであり、また、本件商標の「ポンデコロン」の称呼と引用標章から生じる「コロン」の称呼とは、いずれも構成音及び音数の違いにより、称呼において相紛れるおそれはないものである。そして、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、焼き菓子のブランドとしての「コロン」の観念を生じる引用標章とは、観念においても相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、類似しない別異の商標であるから、両者の類似性の程度は低いといえる。
ウ 出所の混同のおそれについて
引用標章の周知性は、上記アのとおり、請求人商品(焼き菓子)について認められるものであって、請求人商品と本件商標の指定商品中、「穀物の加工品等商品」との関連性及び需要者の共通性を考慮したとしても、本件商標は、これを商標権者がその指定商品中、「穀物の加工品等商品」について使用しても、取引者、需要者がことさらに「コロン」の文字部分に着目するとはいえず、請求人商品(焼き菓子)を想起又は連想するとはいい難い。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品中、「穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,調味料,香辛料,パスタソース,茶,コーヒー,ココア,食用粉類」について使用しても、取引者、需要者において該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれのある商標ということはできない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とし、その余の指定商品についての登録は、同法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当しないものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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