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Trademark Appeal Case

公益標章の著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2022900345
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6568756号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6568756号商標(以下「本件商標」という。)は、「ぽんちゃん」の文字を標準文字で表してなり、令和3年12月2日に登録出願、第41類「インターネットを利用して行う映像の提供,インターネットを利用して行う音楽の提供,オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,オンラインによるゲームの提供,カリグラフィーの制作,コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画,写真による報道,写真の撮影,娯楽の提供,放送番組の制作,教育の分野における情報の提供,文化又は教育のための展示会の企画・運営,文章の執筆,書画の貸与,運動施設の提供,電子出版物の提供」を指定役務として、同4年5月9日に登録査定、同年6月9日に設定登録されたものである。

2 引用標章

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用する標章は、館林市の観光振興を図ることを目的に、館林市のシンボル的なマスコットキャラクターとして、様々な分野(ホームページ、印刷物、館林市の広報誌、イベント、キャラクターグッズの販売及び新聞報道等)において使用された結果、館林市を象徴する、いわゆるご当地キャラクターとしての確固たる地位を獲得している別掲1のとおりの構成からなる館林市の観光マスコットキャラクターの愛称として著名性を獲得していると主張する「ぽんちゃん」の文字からなる標章(別掲2参照)である。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第136号証(枝番号を含む。なお、特に断らない限り、証拠番号には枝番号を含み、表記に当たっては、「甲○」及び「甲○の○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第6号について

ア 「ぽんちゃん」が地方公共団体及びその機関、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章に該当することについて

「ぽんちゃん」は、館林市の観光振興を図ることを目的に、平成22年(2010年)1月に決定した観光マスコットキャラクターの愛称である(甲2)。館林市のシンボル的なマスコットキャラクターとして、様々な分野において使用された結果、館林市を象徴する、いわゆるご当地キャラクターとしての確固たる地位を獲得している。そして、館林市の地方自治体としての活動を象徴するものであって、公益性が極めて高いといえる。

なお、館林市と申立人である館林市観光協会の取り決めにより、申立人が観光マスコットキャラクターに関する使用許可業務を管理している。

申立人は、観光事業の振興と健全な発展を図るため、観光施設の紹介及び観光客の誘致あっせん等を行い、あわせて他産業との協調を保持しながら地域開発に資することを目的として設立された公益的な団体であって、代表者の定めのある法人格のない団体である(甲3)。そして、申立人は、館林市から各種イベント等の観光事業を受託し、市の観光PRを行っている。

館林市の様々な魅力を発信することで、館林市のPRとともに、知名度とイメージの向上を図るため、「ぽんちゃん」公式ツィッター及びインスタグラムの運用がなされているところ、その運用業務を行うのが申立人である(甲4)。

このように、館林市及び申立人が使用する観光マスコットキャラクターの愛称である「ぽんちゃん」は、地方公共団体及びその機関、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章に該当することは明白である。

イ 館林市の観光マスコットキャラクターの愛称「ぽんちゃん」の著名性について

(ア)ホームページ等での使用について

館林市のホームページにおいて、「ぽんちゃん」が館林市の観光大使とされ、「ぽんちゃん」に関する情報がまとめられ、「ぽんちゃん」の利用申請業務が行われている(甲5、甲6)。

「ぽんちゃん」の公式のTwitterは2016年(平成28)から使用を開始し、フォロワーは3000以上、Instagramは2017年1月から使用を開始し、現在フォロワーは1931人である(甲9)。

つつじが岡公園のホームページ、LINEスタンプ、子育て支援モバイルサービスのトップページにおいても、「ぽんちゃん」が使用されている(甲10~甲12)。

(イ)印刷物への使用について

館林市観光ガイドプックに使用され、令和2年から令和4年は、各年30,000部が印刷され、市役所、文化会館、図書館等に置かれて配布されているほか、イベント時にも臨時配布されている。また電子版は館林市ホームページで配布されている。

その他、館林市観光ガイドマップ等の印刷物、平成23年に館林駅前に市の観光マスコットキャラクター「ぽんちゃん」の温度計の設置のほか、「ぽんちゃん」のデザインを使用している(甲13~甲24)。

(ウ)館林市の広報誌での使用について

館林市の広報の配布数は毎号29600部であり、インターネット上でも配布され、平成22年以降掲載してきた(甲25)。

(エ)イベントヘの使用について

「ぽんちゃん」は「ゆるキャラグランプリ」に出場し、2013年は122位、2014年は60位、2015年は33位であった(甲26)。

館林市は年間を通じて多数のイベントを開催しており、館林市への観光客に配布されるチラシ、利用施設や各種媒体に「ぽんちゃん」が使用され、館林市の過去4年間の観光客数は合計で424万人を超えている(甲27)。

また、つつじが岡公園周辺、館林駅等の案内板や看板、モニュメント等において使用している(甲28~甲42)。

(オ)キャラクターグッズ及びその販売場所について

申立人が企画し販売している「ぽんちゃん」のキャラクターグッズについて、ぬいぐるみ、ポロシャツ、タオル、エコバッグ等に使用している(甲43)。

館林市の職員の名刺に使用(甲44)し、市内の菓子店、館林駅観光案内所、市内ショッピングモール、つつじ映像学習館において、これらのキャラクターグッズの購入ができる(甲45、甲46)。

(カ)その他の使用状況について

市役所、館林駅前や市内テナント店舗前にモニュメント、市民ホールのパネル、館林駅前や市内公園に設置されている花壇やプランターへのイラスト、館林駅バス待合所や館林駅前の旧観光案内所、JA直売所や館林信用金庫でのモニュメントやパネルの設置、公園の遊具や館林市の駅前の喫煙所、館林市立学校給食センターの建物の壁面、看板、配送車、パンフレット、給食だより、つつじが岡ふれあいセンター(つつじ映像学習館)の館内案内のパンフレット、特大パネルの展示に使用している。

また、市制施行60周年記念ソング「ぽんちゃん/音頭」を2014年にリリース、館林市のナンバープレートに採用(令和3年12月1日から交付)、館林市内登録店舗で使用できる金券、下水道広報プラットホーム(GKP)のコレクションカード「マンホールカード」、館林市の路線バス、工事看板、消火栓、館林信用金庫の通帳、熱中症予防の啓もう活動として館林駅前ののぼり旗、館林地区消防組合消防年報、館林市内を巡る方のために無料で自転車を貸与、旅行のチラシなどに使用されている(甲47~甲69)。

このように館林市及び申立人は、本件商標の出願日である2021年(令和3年)11月29日よりも前から現在に至るまで、引用標章を日本国内において使用することにより、引用標章は館林市の観光マスコットキャラクターの愛称として著名性を獲得している。

(キ)新聞報道について

平成22年(2010年)以来、12年以上にわたって館林市及び申立人は館林市のイメージキャラクターの愛称として引用標章を使用することによって、館林市及び隣接都道府県のみならず、日本全国に知られるほど引用標章は著名になっているということができる(甲70~甲134)。

ウ まとめ

以上より、館林市及び申立人が使用する引用標章は、地方公共団体及びその機関、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章に該当するとともに、著名性を有するため、引用標章と同一の構成からなる本件商標は商標法第4条第1項第6号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第7号について

引用標章の著名性は、上記(1)イで述べたとおり、引用標章は日本全国における著名性を有している。

また、本件商標は著名な引用標章と同一である。

さらに、館林市あるいは申立人が商標権者に対して引用標章に係る使用許諾を与えた事実は存在せず、商標権者が館林市あるいは申立人に無断で、引用標章の著名性にあやかって、同一の商標を取得したといえる。

そうすると、本件商標を、館林市と何ら関係のない商標権者が自己の商標として商標登録することは、公益が損なわれる程度が著しく、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳理念に反するものと考えるのが妥当である。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第10号について

引用標章の著名性は、上記(1)イで述べたとおり、引用標章は日本全国における著名性を有している。

また、本件商標は著名な引用標章と同一の構成である。

そして、引用標章は本件商標に係る指定役務の分野においても広く知られるに至っており、本件商標の指定役務は、館林市及び申立人が行っている活動と同一内容か、少なくとも類似の内容であるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号について

引用標章の著名性は、上記(1)イで述べたとおり、引用標章は日本全国における著名性を有している。

また、本件商標は著名な引用標章と同一の構成である。

そして、引用標章は、その独創性の程度も高いと認められるものである。

さらに、本件商標の指定役務と引用標章の使用に係る商品とは、関連性の程度は強く、その取引者及び需要者を共通にすることも少なくないといえるものであることを考慮すれば、本件商標をその指定役務について使用した場合には、これに接する取引者、需要者をして、館林市のイメージキャラクターを想起、連想させ、その役務が館林市又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号について

引用標章の著名性は、上記(1)イで述べたとおり、引用標章は日本全国における著名性を有している。

また、本件商標は著名な引用標章と同一の構成である。

本件商標は、著名な引用標章に化体された信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りし、不正の利益を得る目的や損害を与える目的で、登録出願されたものである。

引用標章は館林市の広報や市内のいたるところで使用されているところ、商標権者は、館林市に居住している市民であることから、引用標章に接することができ、館林市のマスコットキャラクターの愛称として引用標章が使用されていることを知っていた。

そして商標権者は、引用標章と同一の構成からなる「ぽんちゃん」の文字について、本件の異議申立日までに本件商標を含め6件もの商標登録出願を行っている(甲135)。

このうち、商願2021-154842について、当該事件に対する意見書において述べているとおり(甲136)、商標権者は館林市が引用標章を使用していることを知っており、同市が出願していないことを奇貨として本件商標を出願したことは明らかである。

引用標章は館林市が使用することにより需要者の間に広く知られているにも関わらず、本件商標権者は「ぽんちゃん」が出願されていないことを知り、不正の利益を得る目的や損害を与える目的で本件商標を出願したことが上記の意見書から明白である。

商標権者は自己で実施するため等の善意で出願を行ったものでもなく、また、偶然に本件商標を採択したものともいえず、引用標章に化体した業務上の信用や顧客吸引力にフリーライドし、不正の利益を得る目的や損害を与える目的等、不正の目的をもって、本件商標に係る商標登録出願をしたと判断するべきである。

以上より、商標法第4条第1項第19号に該当する商標である。

4 当審の判断

(1)引用標章の周知・著名性について

ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。

(ア)館林市は、平成22年1月に、観光振興を図ることを目的として、別掲1のとおりの構成からなる、愛称を「ぽんちゃん」とするマスコットキャラクター(以下「本件キャラクター」という。)を決定した(甲2、申立人の主張)。

(イ)本件キャラクターは、申立人である館林市観光協会によって、使用許可業務並びに公式ツイッター及びインスタグラムの管理・運用がされている(甲3、甲4、申立人の主張)。

(ウ)本件キャラクターは、館林市のウェブサイトにおいて、館林市観光大使として紹介されており(甲5)、申立人のウェブサイトにおいても紹介及び着ぐるみやイラストの利用申請の受付がされているほか(甲7の1)、公式Twitter(甲8)、公式Instagram(甲9)、つつじが岡公園のウェブサイト(甲10)、LINEスタンプ(甲11)、館林市の子育て支援モバイルサービス「ぽんちゃんの予防接種・子育てナビ」(甲12)、館林市観光ガイドブック(甲13)、館林市観光ガイドマップ(甲14)、その他の様々な印刷物やグッズ等(甲15~甲25、甲28~甲69)において利用されている。

(エ)本件キャラクターは、ゆるキャラグランプリ2015総合ゆるキャラランキングで33位となった(甲26)。

(オ)平成22年1月から令和4年4月までに発行された上毛新聞を中心とした各種の全国紙及び地方紙において、本件キャラクターに関する記事が、その愛称である「ぽんちゃん」の文字(引用標章)とともに、相当数掲載されている(甲70~甲134)。

イ 上記アで認定した事実によれば、本件キャラクターは、館林市の観光振興を図る目的で作成されたキャラクターであって、館林市の観光大使であり、着ぐるみやイラストの利用申請が受け付けられたり、様々な印刷物やグッズ等に利用されたりしていることが認められる。

また、本件キャラクターは、ゆるキャラグランプリ2015総合ゆるキャラランキングで33位となったり、平成22年1月から令和4年4月までに発行された上毛新聞を中心とした各種の全国紙及び地方紙において、本件キャラクターに関する記事が、その愛称である「ぽんちゃん」の文字(引用標章)とともに、相当数掲載されたりしていることも認められる。

そうすると、本件キャラクターはもとより、その愛称である「ぽんちゃん」の文字からなる引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章としてある程度知られていることがうかがえる。

しかしながら、本件キャラクターの使用実績は、基本的には館林市民及び館林市を訪問する観光客等に向けられたものにとどまるというべきであり、また、新聞に掲載された記事についても、その多くが地方紙である上毛新聞への掲載であることからすると、引用標章の知名度は、館林市及びその周辺に及んでいるといえるとしても、群馬県及びその周辺にまで及んでいるとはいえない。

してみると、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章として広く認識されていると認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第6号該当性について

上記(1)イによれば、引用標章は、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章として使用されていることが認められる。

そうすると、引用標章は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章ということができる。

しかしながら、引用標章は、本件商標の登録査定時において、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章として広く認識されていると認めることはできないから、著名なものということはできない。

したがって、本件商標は、たとえ引用標章と同一又は類似のものであっても、商標法第4条第1項第6号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

上記(1)イのとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章として広く認識されていると認めることができない。

そうすると、本件商標と引用標章との類否及び本件商標の指定役務と引用標章の使用に係る商品又は役務との類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(4)商梗法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)イのとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章として広く認識されていると認めることができないから、その周知著名性の程度は低いといわなければならない。

また、引用標章を構成する「ぽんちゃん」の文字は、愛称として採択されやすいものであるから、その独創性の程度は低いといわなければならない。

さらに、本件商標の指定役務は、上記1のとおりであり、引用標章が使用されている観光振興に関する事業との関連性及び需要者の共通性は、高いということはできない。

そうすると、本件商標権者が、引用標章と同一の構成からなる本件商標をその指定役務に使用したとしても、その需要者において、館林市の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあると認めることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(1)イのとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章として広く認識されていると認めることができない。

したがって、本件商標は、不正の目的について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(6)商標法第4条第1項第7号該当性について

申立人は、引用標章の著名性を前提にして、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する旨主張している。

しかしながら、上記(1)イのとおり、引用標章は、本件商標の登録査定時において、館林市の観光振興に関する事業を表示する標章として広く認識されていると認めることができないから、申立人の主張は、その前提において失当である。

他に、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(7) まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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