sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標と称呼の類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900010
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6862005号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6862005号商標(以下「本件商標」という。)は、「KILLER SUNRISE」の欧文字を標準文字で表してなり、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。)」を指定商品として、令和6年6月7日に登録出願(優先権主張:2024年1月10日)、同年10月2日に登録査定、同年11月6日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第4208026号商標(以下「引用商標」という。)は、「SUNRISE」の欧文字及び「サンライズ」の片仮名を上下二段に書してなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成9年1月13日登録出願、同10年11月6日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続している。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。

(1)申立人及び引用商標の周知著名性について

ア 申立人は、1883年に創設されたラテンアメリカ最大のワインメーカーであり、その製品であるワインの輸出先は、140か国を超える。申立人は、チリ共和国の首都サンティアゴに本社を構えており、申立人が自社で保有するブドウ畑の総面積は、9,000ヘクタール以上である(甲4~甲6)。

近年、チリ産ワインは、コストパフォーマンスの良いワインとして、我が国において、絶大な人気を博している。これは、2007年に発効した日チリ経済連携協定で関税率が段階的に引き下げられたことや、チリ産ワインの品質が向上してきたことなどが理由として挙げられる。2015年には、チリ産ワインの我が国における輸入量は、ついにフランス産を抜き、初の首位となっている。その後、チリ産ワインは、2020年まで、輸入数量において6年連続で首位となった(甲7)。このように、我が国で長年にわたりワインの輸入数量で首位を維持しているチリ共和国の中で、申立人は、ワインの輸出量第1位を誇るワインメーカーである。

ワインの輸出額、売上額、ブドウ畑の面積等で世界有数の規模を誇る世界的ワインメーカーである申立人は、上述のとおり、140か国以上の地域で愛飲されており、世界各地で高く評価されている。例えば、申立人は、「世界で最も称賛されるワインブランド(THE WORLD’S MOST ADMIRED WINE BRAND)」に、2011年以降、12年連続で選出されている(甲8)。

イ かかる世界的ワインメーカーである申立人の主力商品の一つが、「サンライズ(SUNRISE)」シリーズである。申立人の「サンライズ」ワインは、晴天率の高い地中海気候のチリ共和国の中でも、特に日照時間の長いセントラル・ヴァレーの畑の完熟ブドウで造られる。その味わいは、リッチな果実味で「これぞチリワイン」と思わせる濃厚なものである。申立人の「サンライズ」ワインは、1997年の発売以来、ほぼ30年近くにわたり、チリ共和国を代表するロングセラーブランドとして、我が国及び世界各国で愛飲されている(甲9)。現在の「サンライズ」ワインのラインナップは、スティルワインとして、「サンライズ カベルネ・ソーヴィニヨン」、「サンライズ カルメネール」、「サンライズ メルロー」、「サンライズ シャルドネ」の4種類があり、スパークリングワインとして、「サンライズ スパークリング・白」、「サンライズ スパークリング・ロゼ」の2種類がある(甲10)。申立人の「サンライズ」ワインは、ワイン専門店でなくても、コンビニエンスストアやスーパー等で手軽に購入することができ、しかも比較的安価である(甲11~甲15)。このように、申立人の「サンライズ」ワインは、我が国において全国津々浦々に存在し、誰もが頻繁に利用するコンビニエンスストアやスーパーで販売されており、我が国の需要者に広く知られているほか、価格も手頃であることから、多くの需要者が手に取り購入していることがうかがえる。

なお、申立人は、「サンライズ」ワインについて、引用商標の他に、登録第5566225号商標「SUNRISE,RISE TO THE SUN」も所有し、申立人は、「サンライズ」ワインについて、必要適切な権利保護にも努めている。

ウ 小括

以上のとおり、我が国における国別ワイン輸入数量のトップを争うチリ共和国においてワイン輸出量第1位を誇る申立人が提供する「サンライズ(SUNRISE)」シリーズのワインは、申立人商品の中でも最も有名な主力ブランドの一つであり、今や誰もが気軽、かつ、頻繁に利用するコンビニエンスストアや、地域のスーパーにおいて販売されているため、非常に多くの人の目に触れており、かつ、手頃な価格帯で提供されているため、多くの人が気軽に購入して愛飲するワインとなっている。

したがって、「サンライズ」及び「SUNRISE」の語よりなる引用商標は、申立人商品の出所を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、既に我が国のワイン愛好家、取引者・需要者の間で広く知られており、申立人の弛まぬ営業努力により、本件商標の登録査定時においても、我が国の取引者・需要者の間において継続して広く知られていた。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

(ア)本件商標の構成文字中前半の「KILLER」は、次に続く英単語「SUNRISE」が「日の出」(甲17)を意味する英語の名詞であることを考えると、名詞を修飾する働きを有する形容詞であると考えられ、そうすると、形容詞として「素晴らしい,いかす」程(甲18)の意味合いを観念させる誇称表示語である。したがって、本件商標の構成文字中前半の「KILLER」は、出所識別標識としての機能を果たし得ず、商標の類否を判断するに当たっては、これを捨象し、構成文字の後半の「SUNRISE」の文字部分に識別標識としての機能があると考えるのが妥当である。

以上を踏まえると、本件商標からは、要部である「SUNRISE」の文字に相応して「サンライズ」との称呼が生じ、「日の出」程の観念を生じる。

(イ)誇称表示語に関する過去の審決例

誇称表示語が自他商品等の識別標識として機能を果たさないとして、商標の類否判断において捨象された審決例等がある(甲19~甲23)。

(ウ)小括

以上より、本件商標は、構成文字中前半の「KILLER」が、出所識別標識としての機能を果たし得ず、商標の類否においては捨象され、構成文字中後半の「SUNRISE」の文字部分が要部となる。そして、それに応じて、本件商標からは、要部である「SUNRISE」の文字に相応して「サンライズ」との称呼が生じ、「日の出」程の観念を生じる。

イ 引用商標

引用商標は、欧文字「SUNRISE」を上段に、片仮名「サンライズ」を下段に書してなる二段組の商標である。上段の「SUNRISE」と下段の「サンライズ」は、元の英語表記とその読みの関係である。引用商標からは、上段及び下段の構成文字に相応して「サンライズ」との称呼が生じ、「SUNRISE」は「日の出」を意味する平易な英単語なので、引用商標からは、「日の出」程の観念が生じる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標は、「KILLER」の文字の有無、片仮名「サンライズ」の文字の有無等において相違があるものの、上述のとおり、「KILLER」の文字は、「素晴らしい,いかす」程の意味合いを有する誇称表示語なので、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ず、商標の類否判断において捨象すべきものであるので、本件商標の要部「SUNRISE」と引用商標とを比較した場合、両者は外観上近似する。

また、称呼においては、本件商標の要部「SUNRISE」と引用商標は、いずれも「サンライズ」との称呼を生じるので共通する。

さらに、観念においても、本件商標の要部「SUNRISE」と引用商標は、いずれも「日の出」程の観念を生じるので、観念を共通にする。

以上より、本件商標と引用商標とは、外観において近似し、称呼及び観念において共通するので、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある類似の商標であり、両者の指定商品においても同一・類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

ア 本件商標と引用商標との類似性の程度について

本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似商標であって、本件商標と引用商標は類似性の程度が非常に高い。

イ 引用商標の周知度について

上述のとおり、引用商標は、申立人の提供に係る商品「ワイン」の出所を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者に広く認識されていた。

ウ 引用商標の独創性等について

引用商標を構成する「SUNRISE」及び「サンライズ」の語は、一般の辞書等に載録されている既成語ではあるが、申立人商品「ワイン」との関係において、「SUNRISE」及び「サンライズ」の語を採択することは、独創的である。

エ 引用商標がハウスマークであるかについて

引用商標はハウスマークではないが、申立人の提供に係る商品「ワイン」の主力ブランドの名称の一つとして、ハウスマークに準ずる。

オ 申立人における多角経営の可能性、商品間の関連性、商品等の需要者の共通性について

本件商標の指定商品は、申立人が取り扱うワインと同じアルコール飲料の部類に属する。したがって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは密接な関連性があり、また、商品の需要者も共通する。

カ 小括

以上をまとめると、本件商標は、上記アないしオの要件において、商品の出所について誤認混同を生じるおそれが肯定される方向にある。したがって、本件商標に接した取引者、需要者は、本件商標に係る商品について、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の提出に係る本件商標の登録出願前の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人は、1883年に創設されたチリ共和国最大のワイン製造メーカーであり、申立人が保有するブドウ畑の総面積は、9,000ヘクタール以上とされ、申立人の製造に係るワインのブランドには、「サンライズ(SUNRISE)」シリーズのほか、他のブランドもある(甲4~甲6)。

(イ)令和3年10月22日付け東京税関「ボトルワインの輸入」には、「2020年は、チリが輸入数量6年間首位」の記載があるものの、申立人に関するものではなく、また、「サンライズ(SUNRISE)」シリーズについての記載も見いだせない(甲7)。

(ウ)キリンのウェブサイトには、「2022年「世界で最も称賛されるワインブランド」受賞」の見出しの下、「コンチャ・イ・トロ社は「世界で最も称賛されるワインブランド(THE WORLD’S MOST ADMIRED WINE BRAND)」に、2011年以降、12年連続で選ばれている、世界のプロも認めた実力のあるワイナリーです。」の記載があるが、「サンライズ(SUNRISE)」シリーズに係るものではなく、申立人のワイナリー全体に関するものである(甲8)。

(エ)キリンのウェブサイトには、「サンライズとは」の見出しの下、「1997年の発売以来、チリを代表するロングセラーブランドとして多くのお客様から愛されています。」の記載があり、「商品紹介」の見出しの下、「サンライズ スティルワイン」及び「サンライズ スパークリングワイン」として、ワインボトルのラベルに「SUNRISE」の文字が付された写真が掲載されている(甲9、甲10)。

(オ)「初夏に合うコンビニお手軽白ワイン 10本飲み比べ」(日本経済新聞 2019年5月3日)には、大手コンビニで購入した1000円未満の白ワインが紹介され、第4位に「サンライズシャルドネ2018 セントラル・バレー」の記載とともに、ワインボトルのラベルに「SUNRISE」の文字が付された写真が掲載されている(甲12)。

(カ)「HatenaBlog」のウェブサイトには、「コンビニで買えるおいしいワイン:サンライズのスパークリング」(2019年1月9日)の見出しの下、「「サンライズ スパークリング ブリュット」は、スーパーやコンビニで気軽に手に入るスパークリングワインです。」の記載とともに、ワインボトルのラベルに「SUNRISE」の文字が付された写真が掲載されている(甲13)。

(キ)「mi-mollet」のウェブサイトには、「500円から満足できるコンビニワイン!【行正り香さんセレクト】」(2015年12月18日)の見出しの下、「〈赤〉サンライズ カベルネ・ソーヴィニヨン/チリの歴史のあるワイナリー、コンチャ・イ・トロが手がけているだけあり、安定感抜群。」の記載とともに、ワインボトルのラベルに「SUNRISE」の文字が付された写真が掲載されている(甲14)。

イ 上記(ア)ないし(キ)からすると、本件商標の登録出願前より申立人の業務に係るワインについて、「サンライズ」又は「SUNRISE」の標章を使用していることが認められるものの、「サンライズ(SUNRISE)」シリーズに係る商品についての我が国における市場シェア、売上高などの販売実績、広告宣伝の方法や回数、費用規模など、その周知性を具体的、かつ、客観的に把握することができる証拠は提出されていない。

そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、「サンライズ(SUNRISE)」シリーズに係る商品の販売実績や広告実績を客観的に把握できないことから、「サンライズ」及び「SUNRISE」の語よりなる引用商標が、取引者、需要者に対し、どの程度知られているかを把握し、評価することができない。

したがって、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者等の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり、「KILLER SUNRISE」の欧文字を標準文字で表してなるものである。

そして、本件商標の構成中、「KILLER」の語が、我が国において「素晴らしい,いかす」程の意味合いの形容詞として一般に広く認識されているとする事情は見いだせず、出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合にあたるとはいえないことから、本件商標は、全体が一体のものとして把握されるというべきであり、その構成文字に相応して生じる「キラーサンライズ」の称呼も冗長ではなく、一気に称呼し得るものであって、当該文字は、辞書等に載録されておらず、その他一体のものとして特定の意味合いを理解させるという特段の事情も見出せないものであるから、特定の観念は生じない。

イ 引用商標

引用商標は、上記2のとおり、「SUNRISE」の欧文字と「サンライズ」の片仮名を上下二段に書してなるところ、下段の片仮名は、上段の欧文字の読みを特定したものであって、当該文字は、我が国で「日の出」の意味合いで親しまれている語といえ、当該構成文字に相応して、「サンライズ」の称呼及び「日の出」の観念を生じる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

上記ア及びイによれば、本件商標と引用商標とは、外観において、「KILLER」の文字の有無に差異を有し、かつ、本件商標は、横一列の構成からなるのに対し、引用商標は、二段書きの構成からなるものであるから、両者は、外観において、紛れるおそれはない。

また、本件商標は、「キラーサンライズ」の称呼を生じ、引用商標は、「サンライズ」の称呼が生じるから、「キラー」の音の有無に差異を有し、称呼において聴別できるものである。

さらに、本件商標からは、特定の観念は生じないのに対し、引用商標は、「日の出」の観念を生じるから、観念においても紛れるおそれはないものといわざるを得ない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標といい得る。

そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるとしても、本件商標と引用商標とは類似する商標とはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るワインを表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているとはいえないものである。

また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、類似する商標とはいえないから、その類似性の程度は低いものである。

そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者等が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。