結論テキスト
登録第6875056号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900044 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6875056号商標(以下「本件商標」という。)は、「ネスト」の文字を標準文字により表してなり、令和6年2月5日に登録出願、第11類「家庭用加熱器(電気式のものを除く。),家庭用調理台,家庭用流し台,ガスコンロ及びその付属品,ガスレンジ及びその付属品,ガスオーブン及びその付属品,ガスグリル及びその付属品,ガス湯沸かし器,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,業務用調理台,業務用流し台」を指定商品として、同年10月23日に登録査定され、同年12月12日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する登録商標は、次の1ないし8のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。
商標の態様:別掲1のとおり
指定商品:「ユーザーが遠隔で環境監視・制御及び自動化システムとの通信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具装置及びコンピュータソフトウェア,環境の監視・制御及び自動化を容易にする装置間のデータ及び情報の共有及び送信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具及びコンピュータソフトウェア」を含む第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:平成27年10月2日
優先権主張日:2015年(平成27年)4月8日(アメリカ合衆国)
設定登録日:平成28年11月4日
商標の態様:別掲2のとおり
指定商品及び指定役務:「水・湿度・熱・温度・大気質・光・動き・モーション・音及び人・動物・物の存在を監視するための電子モニター及びセンサー,煙式火災警報器,一酸化炭素警報器,火災報知器,照明器具・家庭用電気機械器具・HVAC(暖房設備・換気設備及び空調設備)・サーモスタット・大気質モニター及びセンサー・警報器及びその他の安全装置・錠・ドアベル・カメラ及びホームモニタリング装置を含むホームオートメーションシステムを制御するためのコンピュータソフトウェア」を含む第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:令和元年6月28日
優先権主張日:2019年(平成31年)1月15日(トンガ王国)
設定登録日:令和4年10月25日
商標の態様:別掲3のとおり
指定商品及び指定役務:「水・湿度・熱・温度・大気質・光・動き・モーション・音及び人・動物・物の存在を監視するための電子モニター及びセンサー,煙式火災警報器,一酸化炭素警報器,火災報知器,照明器具・家庭用電気機械器具・HVAC(暖房設備・換気設備及び空調設備)・サーモスタット・大気質モニター及びセンサー・警報器及びその他の安全装置・錠・ドアベル・カメラ及びホームモニタリング装置を含むホームオートメーションシステムを制御するためのコンピュータソフトウェア」を含む第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
登録出願日 :令和元年7月1日
優先権主張日:2019年(平成31年)1月15日(トンガ王国)
設定登録日 :令和4年10月25日
商標の態様:NEST
指定商品及び指定役務:「電気通信用コンピュータハードウェア,無線ネットワークを介してネットワーク化された消費者用電子機器・家庭用気候装置・照明製品を接続・操作・制御・統合及び管理するためのソフトウェアを含む携帯電話機・ポータブルメディアプレーヤー・手持ち式コンピュータ用のコンピュータアプリケーションソフトウェア」を含む第9類、第11類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:令和2年10月16日
設定登録日:令和4年11月22日
商標の態様:NEST(標準文字)
指定商品及び指定役務:「無線ネットワークエクステンダーを含むコンピュータハードウェア,電子通信用送受信機,家庭や企業の室温及びエネルギー使用を遠隔地から制御するためのコンピュータ及び携帯機器用のダウンロード可能なアプリケーションソフトウェア」を含む第9類、第35類、第36類、第38類、第39類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:令和5年1月26日
優先権主張日:2023年(令和5年)1月11日(英国)
設定登録日:令和5年11月10日
商標の態様:NEST
指定商品及び指定役務:第9類、第35類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日:2011年11月1日
優先権主張日:2011年(平成23年)5月10日(United States of America)
設定登録日:平成26年2月14日
商標の態様:別掲4のとおり
指定商品及び指定役務:第9類、第35類及び第38類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日:2012年2月14日
優先権主張日:2011年(平成23年)8月15日(Jamaica)
設定登録日:平成26年2月14日
商標の態様:NEST
指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日:2014年6月12日(事後指定日)
優先権主張日:2013年(平成25年)12月13日(United States of America)
設定登録日:平成28年7月8日
なお、引用商標1ないし引用商標8をまとめていう場合は、以下「引用商標」といい、また、本件異議申立てに係る異議申立理由補充書の「5.申立の理由 (1)申立の理由の要約」では、上記(1)ないし(8)の8件の引用商標の登録番号等が記載され、証拠として甲第2号証(引用商標の書誌的事項)が提出されているところ、当該補充書の「3) 具体的理由 (2)引用商標について」においては、9件の引用商標についての、商標の構成、指定商品及び設定登録日等が記載されているものの、これら9件には登録番号の記載がなく、商標の構成等の記載のみからでは、登録番号を特定することができず、異議申立てにおける引用商標と認めることができないことから、本件異議申立てに係る引用商標は、上記記載の8件とする。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように簡略して記載する。
米国企業Nest Labs社(以下「ネストラブズ社」という。)は、2011年に、プログラム可能であって、自己学習、センサー駆動、Wi-Fi対応のサーモスタットというスマートホーム製品を発売し、同社は、2014年に申立人に買収され、完全な申立人子会社となった。
スマートホーム製品であるサーモスタットの発売後、煙・一酸化炭素検知器や防犯カメラなど、商品ラインナップを拡大し、「Nest」ブランドのスマートホーム製品は、米国全土、そして我が国を含む世界的に知られるようになった。
その後、申立人は「Nest」ブランドのもと、ディスプレイ付きネットワークハブ・コントローラー、ネットワークセキュリティカメラ、スマートスピーカー、ネットワークルーター、ネットワークなど様々なスマートホーム製品を今日に至るまで継続して製造、販売してきた。
以上のことから、「Nest」ブランドは、申立人子会社の商品を表示するものとして、我が国の需要者の間で周知であると認識され得るものであり、遅くとも、本件商標の登録出願の日(2024年(令和6年)2月5日)前には、引用商標に係る「NEST」が、スマートスピーカー、スマートディスプレイ、ストリーミングデバイス、サーモスタット、火災警報器、ルーター、スマートドアベル、スマートカメラ、スマートロック等のセキュリティシステム及びそれらのソフトウェアを含むスマートホーム製品に使用される中核的なブランド名として、我が国の需要者及び取引者の間で広く知られるようになっており、引用商標は、本件商標が登録された時点(2024年(令和6年)12月12日)においても引き続き周知であったと認めるのが相当である。
(1)「NEST」ブランド製品の概要
申立人は、人工知能、オンライン広告、検索エンジン技術、家庭用電化製品、クラウドコンピューティング、コンピュータソフトウェア、量子コンピューティング、及び電子商取引に重点を置く、米国を本拠地とする世界的テクノロジー企業である。
引用商標に係る「NEST(ネスト)」は、スマートスピーカー、スマートディスプレイ、ストリーミングデバイス、サーモスタット、火災警報器、ルーター、スマートドアベル、スマートカメラ、スマートロックなどのセキュリティシステムを含むスマートホーム製品を販売する、申立人の基幹ブランドである(甲3)。
「NEST(ネスト)」ブランドの製品は、申立人によるダウンロード可能なソフトウェアであるバーチャルアシスタントツール「Googleアシスタント」を介して、ユーザーが音声でサービスを利用することができることが特徴であり、このようなダウンロード可能なアプリケーションソフトウェアを用いることによって、申立人自社のみならず、他社のサービスを総合的に利用することができ、例えば、音楽を聴いたり、動画や写真の再生をコントロールしたり、ニュースを受信したりすることが、音声で可能となっている。
「Nest」ブランドの製品にはホームオートメーション機能が搭載されており、ダウンロード可能なアプリケーションソフトウェアを用いることによってユーザーは音声でスマート家電を操作することができるが、これが特別目立った特徴といえる(甲4、甲5)。
(2)「NEST」ブランドの歴史
「NEST(ネスト)」のブランド名は、米国企業Apple社の上級副社長であったトニー・ファデル氏とマット・ロジャース氏が2010年に共同で設立したネストラブズ社の社名、かつ、ブランド名として採択されたものであった。
「NEST(ネスト)」のブランド名を付した商品で最初に発売されたのは、2011年に発売された「Nest Learning Thermostat」で、プログラマブル、自己学習型、センサー駆動型、Wi-Fi対応など、現在のNestブランド製品にも共通する特徴を備えていた。
2013年10月には、煙・一酸化炭素検知器「Nest Protect」を発売し、2014年にDropcam社を買収した後、2015年6月から「Nest Cam」ブランドのセキュリテイカメラを発売するなど、ネストラブズ社の事業は瞬く間に拡大した(甲6)。
申立人は、住宅設備をインターネット経由で操作する「スマートホーム(賢い住宅)」事業を本格化させるべく、2014年にネストラブズ社を買収し、これにより、スマートホームについては、既に市場で一定の評価を得ているネストの製品やソフトを軸に展開することとなった(甲7~甲9)。
買収後のスマートホーム機器として、2015年6月に監視用ビデオカメラ「Nest Cam」と新バージョンのソフトウェアを(甲10)、2015年9月に「Nest Thermostat」を発表した(甲11)。
申立人の傘下となった後の、最初のスマートホーム機器であるGoogle Homeは、2016年5月に発表され、同年11月にアメリカ合衆国で発売され、翌年には、我が国、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツでも発売された。Google NestデバイスやGoogleアシスタントのソフトウェアアップデートを通じて、時間の経過とともに機能が追加され、人気の商品となった(甲12)。
2019年5月7日、申立人は、今後、スマートホーム製品の全てを「Nest」ブランドで販売することを発表し(甲13)、それに伴い、ユーザーからの質問への視覚的フィードバック提供に使用できる7インチのタッチスクリーン画面を搭載する製品として、2018年10月9日に公表し、既に人気の高い商品へとなっていた「Google Home Hub」を「Google Nest Hub」に改名し、2019年6月からは我が国での販売を開始した。このニュースは、全国紙を含む多くの新聞、雑誌、ウェブサイトで取り上げられた(甲14~甲20)。
申立人関連会社であるネストラブズ社は、同社が主導する「Thread Group」の策定する規格に準拠するデバイスと接続できる無線規格「Thread」に対応し、家庭やオフィスに無線メッシュネットワークを形成し、IoT(モノのインターネット)のネットワーク構築を可能にした(甲21)。
すなわち、申立人は、スマートホームデバイスとIoT技術の分野ではリーディングカンパニーのひとつといっても過言でなく、「NEST」ブランド製品は、他社のIoT機器と互換性がある、利便性の高い商品といえる。
さらに、2022年12月15日には、申立人は、NestデバイスとAndroidデバイスが、GoogleやAmazon、Appleなど、異なるプラットフォーム間でのスマートホーム機器の相互運用性を認証する規格である、スマートホーム機器の共通規格「Matter」に対応したと発表した。
規格化を担うConnectivity Standards Alliance(CSA)には300社以上が参加しており、Matter対応により、スマート照明やサーモスタット、窓のブラインド、ドアロックなど多くのスマートホーム機器の連携を強化できることとなり、消費者が申立人のスマートホーム機器を利用してIoT機器を利用することが、さらに容易になった(甲22)。
(3)「NEST」ブランド製品のラインナップ
「Nest」ブランドの製品の代表的な例は、以下のとおりである。
ア Nest Hub(第2世代)
Google Nest Hub(旧Google Home Hub)の後継(第2世代)モデルであり、デザインとサイズは先代のNest Hubとほぼ同じだが、音質が改善されたのに加えて、ディスプレイの前で手のひらをかざすジェスチャー操作をすることで、コンテンツの再生を停止したり再開したりできる機能を搭載した。そして、新たに睡眠時のモニタリング機能を搭載し、さらには、「Thread Group」の策定する規格に準拠するデバイスと接続できる無線規格「Thread」に対応し、家庭やオフィスに無線メッシュネットワークを形成し、IoTのネットワーク構築を可能にした。
2021年3月16日に米国で発表され、我が国では、同年6月5日に発表された(甲23、甲24)。
イ Nest Hub Max
2019年5月に米国で発表された「Google Nest Hub」の大画面版であり、10型ディスプレイにカメラを搭載し、話しかけずに手かざしして操作することを可能とした。
顔認証機能を搭載し、プライバシーとセキュリティにも配慮されており、また、カメラのON/OFFを直感的に理解できる機能を装備し、音質面も改善された。2019年9月に米国で発売開始され、我が国では同年11月22日に発売開始された(甲25、甲26)。
ウ Nest Cam
バッテリー式で耐水・防塵設計の監視カメラであり、ケーブル不要で、どこにでも設置可能であり、何か起きたときはアプリを通して通知がすぐに届く機能がある。
エ Nest Mini(第2世代)
Google Home Miniの後継(第2世代)モデルであり、音質が改善され、音声認識データ用機械学習チップとマイクを3基搭載し、音声認識機能が強化された。2019年10月15日に米国で発表され、我が国では、同年11月22日に発売開始された(甲27、甲28)。
オ Nest Wifi
無線LAN(Wifi構内情報通信網)ルーターの製品で、「グーグルWiFi」の後継品に当たり、複数の端末をつないで1つの無線LANを形成する「メッシュWi-Fi」に対応し、アプリを通じて簡単に設定できる(甲29)。
カ Nest Doorbell
インターホンで、来訪者や荷物の置き配を宅内のスマートディスプレイや、外出中でもスマートフォンから確認し、応答を可能にするデバイスである。
キ Nest Audio
スマートスピーカーGoogle Homeの後継モデルであって、前モデルのGoogle Homeより音質を大きく改善させ、新たに、音楽、ポッドキャスト、オーディオブック、Googleアシスタントからの応答の再生など、聴いているものに応じて自動的にイコライザーが調整される機能が追加された。また、室内の環境音に基づいてGoogleアシスタントやニュース、ポッドキャスト、オーディオブックの音量を調整できる機能も搭載した。2020年10月1日に米国で発売され、我が国では同月15日に発売開始した(甲30)。
ク まとめ
上記アないしキの全ての製品には、引用商標に係る「Nest」の商標が製品名の一部として使用されており、「Nest」に付加された文字は、いずれも、「Hub(ネットワークハブ)」、「Max(大型の商品)」、「Cam(カメラ)」、「Mini(小型の商品)」、「wifi(無線通信規格名)」、「Doorbell(ドアベル)」、「Audio(音響機器)」であって、商品の内容を示すにすぎないことから、自他商品識別機能を果たす要部は、「Nest」の文字部分にある。
引用商標に係る「Nest」の商標は、申立人の主力製品のスマートスピーカー、スマートディスプレイ、ストリーミングデバイス、サーモスタット、火災警報器、ルーター、スマートドアベル、スマートカメラ、スマートロックなどのセキュリティシステムを含むスマートホーム製品及びそれらのソフトウェアのブランド名として周知となっている。
さらには、「Nest」のブランドは、常に申立人の著名商標「Google」や同社の「Gロゴ」商標とともに使用されることによって、申立人との密接なつながりが醸成されている。
(4)引用商標に係る「Nest」のブランド製品の販売方法、販売実績
我が国においては、大手家庭電化用品販売店(ビックカメラ、ヨドバシ、ジョーシン、ケーズデンキ、ヤマダ電機、ノジマ、エディオン等)を中心に、インターネット又は実店舗を通じて販売してきた。
ア 販売方法
これら大手家庭電化用品販売店の実店舗においては、申立人が製造、販売を行う「NEST」ブランド製品を含む各商品を集めた、特別コーナーで陳列されており、他社ブランド製品と比べても、需要者の注意を引くものとなっている。
これらの店舗の写真においては、「Nest」ブランドが看者の目に付くように大々的に表示されている。
当該特別コーナーは、日本全国にわたる多くの店舗に設置され、各特別コーナーには、「Nest」のブランド製品を紹介するパンフレットが常備されており、需要者は、適宜それら商品の内容を参照することができる。パンフレットには、商標「Nest」が最も目立つ位置に、大々的に表示されている。
そして、上記各「Nest」ブランド製品は、常に申立人の著名商標「Google」や同社の「Gロゴ」商標とともに使用されることによって、申立人との密接なつながりが、消費者の目にも明らかなものとなっている。
イ 販売実績
引用商標に係る「Nest」のブランド製品の販売実績については、営業秘密に当たるため、詳細な資料、数値を開示することはできないが、2021年以降、今日までに米国等の生産地から我が国へ輸出した商品の総数はおよそ150万点に上り、2021年以降の3年間の販売数量は、20万個を下らないものとなっている。
(5)「NEST」ブランド製品の紹介記事等
「NEST」ブランドのスマートホーム機器は、新聞や雑誌、インターネット記事で大きく取り上げられ、着実に市場に浸透していった事実がうかがえ、それらは用途、機能に応じて様々なものがあり、特に、「Nest Hub」については、様々な機能があることから、有カメディアによるインターネット記事において紹介されている(甲23、甲24、甲31)。
また、「NEST」ブランドのスマートホーム機器は、用途、機能に応じて様々なものがあることから、これら「NEST」ブランドのスマートホーム機器の各機種、モデルを比較し、対象としたモデルの性能、機能の解説を特集した記事も存在し(甲32、甲33)、さらには、申立人の開発による生成AIソフトウェアである「Gemini」を搭載することによって、その機能、用途が飛躍的に向上することを期待する記事があり、実際に、申立人はそのような計画がある旨を発表した(甲34、甲35)。
(6)まとめ
上記(1)ないし(5)に詳述したように、本件商標の登録出願前から、引用商標に係る「NEST」は、スマートスピーカー、スマートディスプレイ、ストリーミングデバイス、サーモスタット、火災警報器、ルーター、スマートドアベル、スマートカメラ、スマートロックなどのセキュリティシステムを含むスマートホーム製品及びそれらのソフトウェアに使用される基幹ブランド名として、我が国における需要者・取引者をして広く知られるに至っており、本件商標の登録査定時においても継続してその周知性を維持していたと推認できるものである。
(1)本件商標と引用商標は実質的に同一であるか類似性の極めて高いものであること
本件商標は、「ネスト」の片仮名を横書きしてなるところ、構成文字に相応して「ネスト」の称呼、「巣」の観念が生ずるものである。
これに対して、引用商標は、「nest」、「Nest」の欧文字を独立顕著に表してなるもの(引用商標1~引用商標3)、「NEST(nest)」の欧文字からなるもの(引用商標4~引用商標8)であり、これら文字に照応して「ネスト」の称呼、「巣」の観念が生じるものである。
本件商標と引用商標1ないし引用商標3を対比すると、これらは、「ネスト」の称呼、「巣」の観念が生ずる点において共通し、外観において、欧文字と片仮名の差異、引用商標1ないし引用商標3に含まれる、「nest」又は「Nest」の文字以外の要素が含まれている点において相違するものの、引用商標1ないし引用商標3にあっては「nest」又は「Nest」が独立して自他商品等識別機能を果たす要部といえることから、称呼と観念における同一性を上回るほどの差異があるとはいい得ない。
よって、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、類似し、その類似性の程度は極めて高いものである。
本件商標の登録出願時において、引用商標2及び引用商標3を引用する拒絶理由通知が出されていることからも、このことは明らかである。
そして、本件商標と引用商標4ないし引用商標8を対比すると、これらは、いずれも「NEST(nest)」の欧文字からなるものであるから、これらは、称呼、観念はもちろんのこと、外観においてもほぼ同一のものといえ、書体のみが異なる社会通念上同一の商標ともいい得る。
以上を総合すると、本件商標と引用商標は、彼これ紛れるおそれの高い同一又は類似の商標である。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、相互に密接に関連しており、類似性が高いこと
本件商標の指定商品である、第11類「家庭用加熱器(電気式のものを除く。),家庭用調理台,家庭用流し台,ガスコンロ及びその付属品,ガスレンジ及びその付属品,ガスオーブン及びその付属品,ガスグリル及びその付属品,ガス湯沸かし器,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,業務用調理台,業務用流し台」は、特許庁審査基準においては、引用商標に係る各指定商品とは類似しないものとして取り扱われている。
しかしながら、上記審査基準は、特許庁内部における、商標審査実務を円滑に遂行するための「推定」といえるところ、以下に詳述するような取引実情に照らせば、本件商標に関して上記「推定」を打ち破るほどに関連性が強く、また、取引者及び需要者の共通性も高いものであることが明らかである。
すなわち、本件商標の指定商品は、一般の住宅で生活し、日常的に、家庭内で調理を行うために使用される性質の商品、あるいは、飲食店等の比較的小規模の店舗において、調理を行うために使用される性質の商品である。
これに対して、引用商標の指定商品に含まれる、「ユーザーが遠隔で環境監視・制御及び自動化システムとの通信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具装置及びコンピュータソフトウェア,環境の監視・制御及び自動化を容易にする装置間のデータ及び情報の共有及び送信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具及びコンピュータソフトウェア」、「水・湿度・熱・温度・大気質・光・動き・モーション・音及び人・動物・物の存在を監視するための電子モニター及びセンサー,煙式火災警報器,一酸化炭素警報器,火災報知器,照明器具・家庭用電気機械器具・HVAC(暖房設備・換気設備及び空調設備)・サーモスタット・大気質モニター及びセンサー・警報器及びその他の安全装置・錠・ドアベル・カメラ及びホームモニタリング装置を含むホームオートメーションシステムを制御するためのコンピュータソフトウェア」、「電気通信用コンピュータハードウェア,無線ネットワークを介してネットワーク化された消費者用電子機器・家庭用気候装置・照明製品を接続・操作・制御・統合及び管理するためのソフトウェアを含む携帯電話機・ポータブルメディアプレーヤー・手持ち式コンピュータ用のコンピュータアプリケーションソフトウェア」、「無線ネットワークエクステンダーを含むコンピュータハードウェア,電子通信用送受信機,家庭や企業の室温及びエネルギー使用を遠隔地から制御するためのコンピュータ及び携帯機器用のダウンロード可能なアプリケーションソフトウェア」「遠隔地から家庭及び事業における気候及びエネルギー利用を制御するためのコンピュータ用及び手持ち式装置用のソフトウエアアプリケーション」は、いずれも、家庭用、厨房用の、調理用機械器具、空調設備、証明機械器具等を制御、監視するための設計された、コンピュータハードウェア、通信機器、ソフトウェア商品である。
上記1で詳述したように、申立人が、2014年にネストラブズ社を買収して、スマートホーム製品の販売を始めたことを皮切りに、自社開発のハードウェア製品群を、サーモスタット(温度調節器)や煙探知器、ドアベル(インターホン)、監視カメラなど家庭で使う様々な、「家のスマート化」を担うデバイスヘとラインナップが拡大してきたものである(甲36)。
(3)スマートホーム機器を取り扱う業界の取引の実情について
ア 背景事情
2000年初頭から始まったインターネットの浸透により、コンピュータ、携帯電話、テレビなどの通信機器を中心としたネットワーク化が顕著であった。近年においては、通信機器に限られず、モノのインターネット(IoT)が発展を続けており、自動車、家電、ロボット、施設などあらゆるモノがインターネットにつながり、情報のやり取りをすることで、モノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、新たな付加価値を生み出すようになっている(甲37)。
なかでも、スマートホームは、コンピューティングデバイスとIT技術によって成立するものであり、携帯電話やその他のネットワーク機器を利用して、複数の生活家電やデバイスを自動でリモートからコントロールできるという特徴がある。スマートホームは、住みやすさ、娯楽性、快適さの向上という消贄者の要求に応え、同時に持続可能な方法で様々なソリューションを提供することから、著しい成長を遂げている事業分野となっている(甲38)。
ところが、我が国における一般家庭や飲食店の厨房においては、ネットワーク化を中心とした通信、制御技術による集中管理の仕組みが立ち遅れている現状にあることから、今後ますます発展が見込まれる分野である(甲36)。
特に、家事の負担を大きく減らすことができるスマートキッチンは、近年需要が高まっているスマートホームとの相性が高いことから、注目を集めている分野である(甲39)。
スマートキッチンとは、IoT技術とAI(人工知能)を活用して、調理器具や家電を、ネットワークを通じて集中管理、操作することを可能にする未来型のキッチンシステムであり、従来のキッチンに比べ、調理の自動化・効率化が飛躍的に進歩したものであって、IoT技術を導入した冷蔵庫、オーブン、ガスレンジなどの調理器具がインターネットに接続され、スマートフォンアプリケーションソフトを用いて集中管理や操作をしたり、機器同士が連携して動作したりすることが可能となる。
スマートキッチンでは、IoT技術を導入した冷蔵庫、オーブン、ガスレンジなどの調理器具などが、全て同じメーカーのものが設置されていない場合も多くあることが想定されるが、このような状況においても、統一した規格(先に述べた、「Threads」や「Matters」)が使われている限り、ある企業のコントローラーやソフトウェア(例えば、申立人の「Nest」ブランド製品)を用いることにより、一元的な操作、集中管理ができるのである。
イ IoT技術を利用した調理用器具の事例
例えば、「スマートオーブン」は、スマートフォンアプリと連携し、外出先から予熱開始や温度・時間設定が可能となっており、レシピを選択することにより、自動で最適な加熱プログラムが起動する機種も存在し、また、スマートIHクッキングヒーター(IH型コンロ)は、スマートフォンアプリと連携し、火加減を自動調節することが可能となっており、料理の失敗を防ぎ、温度プローブと連動させることにより安心、安全な調理が可能となっている(甲40)。
そして、最新式のIH型コンロのみならず、従来型のガスコンロについても、スマートフォンアプリと連携し、火加減を自動調節することが可能となっている機種も存在し(甲41~甲43)、調理器具としては、「自動調理鍋」、「オーブン」も存在し、これらはいずれもスマートフォンアプリと連携し、遠隔的な操作が可能となっている(甲44)。
つまり、消費者は、スマートホームを導入することにより、自宅のIoT技術を用いたいわゆるスマート家電の操作を、申立人の「Nest」ブランド製品を用いることにより、一元的な操作、集中管理ができるのである。
本件商標の指定商品は、IoT技術に準拠した制御装置、センサーが組み込まれることによって「スマートキッチン」における、調理器具を含む商品の表示である。
これに対して、引用商標の指定商品に含まれる「ユーザーが遠隔で環境監視・制御及び自動化システムとの通信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具装置及びコンピュータソフトウェア,環境の監視・制御及び自動化を容易にする装置間のデータ及び情報の共有及び送信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具及びコンピュータソフトウェア」等は、調理器具(「スマートキッチン」における調理器具)を操作するための電子制御装置(コンピュータハードウェア、通信装置を含む。)とソフトウェアというべきものであって、本件商標の指定商品に係る調理器具とは、極めて密接な関係がある。
また、生産部門及び販売部門について、本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品とを製造する事業者の中には、両指定商品の一部を製造し、販売している事業者が存在する。
用途については、本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品は、一般の住宅において日常的に調理を行うために使用される性質の商品、あるいは、飲食店等の比較的小規模の店舗において、調理を行うために使用される性質の商品であり、用途を同じくするものである。
需要者については、その取引者、需要者は、食事の調理を行う者や一般消費者が想定され、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引に当たって、その商標の違いについて十分な注意を払うものとは認められないから、本件商標の指定商品については、引用商標と同一営業主の製造販売に係る商品と誤認され、商品の出所について誤認混同を生じるおそれが否定し難いといえる。
(4)まとめ
してみると、本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品とは、用途を同じくし、両指定商品を製造、販売している事業者が複数存在し、同一の製造者又は販売者のもとで取り扱われているものであること、両指定商品の需要者は、飲食店の調理担当者や一般の個人消贄者において共通する場合があることなどの事情が認められる。
そのような事情のもと、引用商標と実質的に同一であるか極めて類似性の高い本件商標が、その指定商品に使用された場合、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあり、その商品の出所について混同のおそれのある「類似する商品」に当たると解するのが相当である。
よって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)本件商標と引用商標との類似性の程度について
上記2で詳述したように、本件商標と引用商標1ないし引用商標3を対比すると、「ネスト」の称呼、「巣」の観念が生ずる点において共通しているものであり、外観においては、欧文字と片仮名の差異、引用商標1ないし引用商標3に含まれる、「nest」又は「NEST」の文字以外の要素が含まれている点において相違するものの、引用商標1ないし引用商標3にあっては、「nest」又は「NEST」が独立して自他商品等識別機能を果たす要部といえることから、称呼と観念における同一性を上回るほどの差異があるといい得ないところである。
そして、本件商標と引用商標4ないし引用商標8を対比すると、いずれも「NEST」の欧文字からなるものであるから、称呼、観念はもちろんのこと、外観においてもほぼ同一のものといえ、書体のみが異なる社会通念上同一の商標ともいい得るところである。
よって、本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高いといわなければならない。
(2)引用商標の周知(著名)性及び独創性
上記1で詳述したとおり、引用商標に係る「Nest」は、スマートスピーカー、スマートディスプレイ、ストリーミングデバイス、サーモスタット、火災警報器、ルーター、スマートドアベル、スマートカメラ、スマートロックなどのセキュリティシステムを含むスマートホーム製品の基幹ブランドとして、我が国における需要者・取引者をして広く知られるに至っていた。
「Nest」は、2010年に設立され、2014年に申立人により買収されたネストラブズ社の社名、かつ、ブランド名として採択されたものであり、同社は住宅設備をインターネット経由で操作する「スマートホーム(賢い住宅)」に使用されるサーモスタット、煙・一酸化炭素検知器、監視カメラに高い技術力を有していたところ、快適な住宅(ホーム)を暗示すべく「巣」を意味する「Nest」の語を採択したものであり、このような文字を採択すること自体、高い顕著性を有しているのであり、この点においても独創性が高いといえる。
(3)本件商標と引用商標の指定商品の関連性の程度、需要者・取引者の共通性
上記2で詳述したように、本件商標の指定商品は、IoT技術に準拠した制御装置、センサーが組み込まれることによって、「スマートキッチン」における調理器具を含む商品の表示である。
これに対して、引用商標の指定商品に含まれる「ユーザーが遠隔で環境監視・制御及び自動化システムとの通信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具装置及びコンピュータソフトウェア,環境の監視・制御及び自動化を容易にする装置間のデータ及び情報の共有及び送信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具及びコンピュータソフトウェア」等は、調理器具(「スマートキッチン」における調理器具)を操作するための電子制御装置(コンピュータハードウェア、通信装置を含む。)とソフトウェアというべきものであって、本件商標の指定商品に係る調理器具とは、極めて密接な関係がある。
また、生産部門及び販売部門について、本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品とを製造する事業者の中には、両指定商品の一部を製造し、販売している事業者が存在する。
用途については、本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品は、一般の住宅において日常的に調理を行うために使用される性質の商品、あるいは、飲食店等の比較的小規模の店舗において、調理を行うために使用される性質の商品であり、用途を同じくするものである。
需要者については、その取引者、需要者は、食事の調理を行う者や一般消費者が想定され、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引に当たって、その商標の違いについて十分な注意を払うものとは認められないから、本件商標の指定商品については、引用商標と同一営業主の製造販売に係る商品と誤認され、商品の出所について誤認混同を生じるおそれが否定し難いといえる。
してみると、本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品とは、用途を同じくし、両指定商品を製造、販売している事業者が複数存在し、同一の製造者又は販売者のもとで取り扱われているものであること、両指定商品の需要者は、飲食店の調理担当者や一般の個人消費者において共通する場合があることなどの事情が認められる。
よって、両指定商品に同一又は類似する商標が使用された場合、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあり、密接な関連性がある。
(4)まとめ
以上の事情を総合的に勘案すれば、本件商標は、これに接する需要者・取引者に対して、引用商標を連想させて商品の出所について、あたかも、申立人又は申立人と経済的、組織的に関係する者により提供される商品であるかのように誤認を生じさせ、その登録を認めた場合には、引用商標の持つ顧客吸引力ヘのただ乗り(いわゆるフリーライド)や、その希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を免れない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に当たるというべきである。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、人工知能、オンライン広告、検索エンジン技術、家庭用電化製品、クラウドコンピューティング、コンピュータソフトウェア、量子コンピューティング、及び電子商取引に重点を置く、米国を本拠地とする世界的テクノロジー企業である(申立人の主張)。
イ 申立人は、スマートデバイスを使ったホームオートメーション・ソリューションを開発するネストラブズ社を2014年に買収し、子会社とした(甲6~甲9)。その後、スマートホーム機器として、2015年6月に監視用ビデオカメラ「Nest Cam」(甲10)を、同年9月に「Nest Thermostat」を発表した(甲11)。
ウ 申立人のウェブサイトには、「Google Nestとは」の見出しの下、「Google Nestは、Googleが提供するスマートスピーカーやスマートディスプレイ、Wi-Fi機器やカメラなどのブランドです。」の記載があり(甲4)、また、「Google Nest Hubの特徴」の見出しの下、「Google Nest Hubは、Googleアシスタントを搭載したスマートディスプレイです。」の記載がある(甲5)。
エ 申立人は、スマートホーム機器である「Google Home」を2016年11月に米国で発売を開始、翌年、我が国、イギリス及びオーストラリア等で発売を開始し、その後、2019年5月7日に、スマートホーム製品全てを「Nest」ブランドで販売することを発表した(甲13、申立人の主張)。
オ 2019年6月5日付けから2022年12月19日付けウェブサイト記事、及び2019年5月8日付け「産経新聞」から2020年10月1日付け「日本経済新聞電子版」までの新聞記事(甲12~甲20、甲22~甲27、甲29~甲31等)では、申立人の業務に係る商品について、「Google Nest」、「Nest Home」、「Google Nest Hub」、「Google Nest Hub Max」、「グーグルネストハブ」、「ネストハブ」、「ネストハブマックス」、「Nest Hub」、「Nest Audio」、「Nest Mini」、「ネストWiFi」、「ネストオーディオ」などの文字が使用されているが、欧文字「Nest」のみの使用はない。
カ 2019年10月18日付け新聞記事(甲28)には、「グーグルがデザイン解説「ピカピカ=高級ではない」」の見出しの下、「米グーグルの日本法人は17日、東京・六本木でハードウエアのデザインに関する説明会を開き、最新スマートフォン「pixel(ピクセル)4」やスマートスピーカー「Nest(ネスト)」シリーズの新製品について、デザイン背景を解説した。」の記載がある。
キ 申立人の商品のパッケージには、4色で表した「G」の文字からなるロゴマーク(別掲5)の下部に「Nest Hub」、「Nest Hub Max」、「Nest Cam」、「Nest Mini」、「Nest Wifi」、「Nest Doorbell」、「Nest Audio」の文字が表示されている(異議申立書)。
ク 申立人は、引用商標に係る「Nest」のブランド製品の販売実績について、2021年以降、今日までに米国等の生産地から我が国へ輸出した商品の総数はおよそ150万点に上り、2021年以降の3年間の販売数量は、20万個を下らないものとなっている旨を主張しているが、これらを裏付ける証左の提出はない。
(2)上記(1)によれば、申立人は、ネストラブズ社を子会社とした後、2015年以降「Nest」の文字を使用した、監視用ビデオカメラ、スピーカー、ディスプレイ、Wi-Fi機器やカメラなどの販売をしていることが認められるものの、「Nest」の文字は、「Google(グーグル)」、「Hub」、「Home」といった、他の文字とともに使用されており、当該文字が単独で申立人の商品を表すものとして使用されている例はほとんどなく、また、「Nest」の文字は「巣」の意味を有する既成語(「ベーシックジーニアス英和辞典 第3版」株式会社大修館書店)として親しまれた語でもある。
そうすると、申立人の提出に係る甲各号証によっては、「Nest」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとまではいえない。
(1)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標
本件商標は、「ネスト」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成文字に相応して「ネスト」の称呼が生じ、当該文字は、「巣」を意味する英語「nest」の表音であるから、「巣」の観念を生じる。
イ 引用商標
引用商標は、上記第2及び別掲1ないし別掲4のとおりの構成からなるところ、「NEST(Nest)」若しくは「nest」の文字からなるか又は当該文字を顕著に表してあるものであり、その構成文字に相応して「ネスト」の称呼を生じ、当該文字は「巣」の意味を有する英語であることから、「巣」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標の比較
上記ア及びイのとおりの構成からなる本件商標と引用商標は、外観においては構成文字を異にするため相違するが、称呼及び観念を同じくするものである。
そうすると、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ外観において相違するとしても、その相違は外観上の顕著な差異として強い印象を与えるものではないことからすると、称呼及び観念を共通にする本件商標と引用商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標というのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、同一又は類似する商標である。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
ア 商品の類否については、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるかどうかを判断すべきであり、一般的に、商品の製造又は販売が同一事業者によって行われているかどうか、商品の用途が一致するかどうか、商品の販売場所が一致するかどうか、需要者の範囲が一致するかどうかなどの事情を総合的に考慮するものというのが相当である。
申立人は、上記第1に記載の本件商標の指定商品と、上記第2に記載の引用商標の指定商品とが類似する旨主張しているところ、以下、検討する。
イ 申立人は、本件商標の指定商品「家庭用加熱器(電気式のものを除く。),家庭用調理台,家庭用流し台,ガスコンロ及びその付属品,ガスレンジ及びその付属品,ガスオーブン及びその付属品,ガスグリル及びその付属品,ガス湯沸かし器,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,業務用調理台,業務用流し台」は、IoT技術に準拠した制御装置、センサーが組み込まれることによって「スマートキッチン」における、調理器具を含む商品の表示であり、引用商標の指定商品に含まれる「ユーザーが遠隔で環境監視・制御及び自動化システムとの通信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具装置及びコンピュータソフトウェア,環境の監視・制御及び自動化を容易にする装置間のデータ及び情報の共有及び送信を可能にする電子式電気通信機械器具・電子応用機械器具及びコンピュータソフトウェア」等は、調理器具(「スマートキッチン」における調理器具)を操作するための電子制御装置(コンピュータハードウェア、通信装置を含む。)とソフトウェアというべきものであって、本件商標の指定商品に係る調理器具とは、極めて密接な関係があり、両指定商品の一部を製造、販売している事業者が存在すること、及び取引者、需要者は、食事の調理を行う者や一般消費者が想定されることから、その商品の出所について混同のおそれのある「類似する商品」に当たると解するのが相当である旨主張する。
しかしながら、本件商標の指定商品は、主に炊事に用いられる商品であり、台所で調理のために使用される商品であるの対し、引用商標の指定商品中の上記指定商品は、特定の機器を遠隔で通信を用いて使用するための機器並びに当該商品を操作及び作動するための電子制御装置(コンピュータハードウェア、通信装置を含む。)、コンピュータソフトウェア等であって、たとえ、本件商標の指定商品の環境監視、制御に使用される場合があるとしても、「電子式電気通信機械器具、電子応用機械器具装置及びコンピュータソフトウェア」であることに変わりはなく、また、本件商標の指定商品と引用商標の上記指定商品が同一の事業者によって、一般的に製造、販売されているというべき実情までは見いだせない。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の上記指定商品とは、その用途、製造者、流通経路、販売場所、取引者等の範囲を異にする非類似の商品というのが相当である。
さらに、本件商標の指定商品と上記で検討した以外の引用商標の指定商品・役務も、同一又は類似するものとは認められない。
(3)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、類似の商標であるとしても、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務とは、類似するものとは認められないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
上記2(1)に記載のとおり、本件商標と引用商標とは類似の商標であるから、本件商標と使用商標も類似性の程度は高いといえるものの、上記1(2)に記載のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものであり、また、「Nest」の文字は、既成語であるから、その独創性も低いものである。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者において、申立人や使用商標を連想、想起するということはできず、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
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