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Trademark Appeal Case

AIソムリエの識別性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900136
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6918272号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6918272号商標(以下「本件商標」という。)は、「AI Sommelier」の文字を標準文字で表してなり、令和5年12月28日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,商品の販売促進及び役務の提供促進のためのイベントの企画,フランチャイズその他の事業に関する助言,フランチャイズ加盟店の設立に関する指導,経営の診断又は経営に関する助言,経営に関するコンサルティング,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,求人情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集」及び第42類「デザインの考案,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」を指定役務として、同7年3月3日に登録査定、同年4月11日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第8号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。)を提出した。

1 商標法第3条第1項第6号について

本件商標は、「AI Sommelier」の文字を標準文字で表してなるところ、それを構成する「AI」は「人工知能(artificial intelligenceの略。」を意味する語であり、また、「Sommelier」は元々「レストランで、客の相談にのってワインを選び、サービスをする専門職。」を意味する語である。

しかしながら、近年では、野菜ソムリエ・タオルソムリエなど、ワインに限らず、様々な商品の品質やサービスの内容についての判定能力や知識を有することなどを認定する資格の名称、及びそのような能力を備えた人、サービスなどにも多く用いられている実情があるため、本件商標は役務の宣伝広告としてのみ認識されるものである。

本件商標の指定役務を含む様々な役務の分野において、人工知能を利用して対象商品の成分、品質等を分析し、顧客の好みに合うものを選び、サービスをするという特徴を説明する語として、「AIソムリエ」又は「ソムリエAI」の文字が、宣伝広告に使用されている実情がある(甲1~甲3)。

そうすると、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、当該役務が「人工知能を利用して顧客の好みに合うものを選び、サービスをすること」であることを説明した、商品・役務の宣伝広告の一種であると理解するにすぎないものであるから、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標である。

2 商標法第4条第1項第8号について

本件商標は、トッププロ棋士である関航太郎九段の著名な名称である「AIソムリエ」と同一であり、かつ、関九段の承諾を得ているものとは認められない。

関九段は、2020年に第45期新人王戦優勝、2021年には囲碁の七大タイトルのひとつである第47期天元戦でタイトル獲得、2022年第48期天元戦でタイトル防衛、2023年第70回NHK杯優勝という目覚ましい成績を残しており、今後も活躍が期待されるプロ棋士である。なお、入段から4年8か月での七大タイトル獲得は史上最速である。

「AIソムリエ」は囲碁界において目覚ましい功績をあげている関九段に付された著名な名称であり、若きトップ棋士として注目を集め、「AIソムリエ」の名称は様々なメディアにおいて取り上げられており、今後もますます注目が集まることが予想される。

商標法は、商標の保護と利用の調整を図ることにより産業の発達に資することを目的とする。登録名義人の経済的な法益も重要だが、個人の重要な権利である人格権を犠牲にしても保護すべき特段の事情は本件登録にはない。

よって、本件商標は、関氏の人格権保護の見地から取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号について

本件商標は、前記第1のとおり「AI Sommelier」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「AI」の文字は、「人工知能」の意味を有する「artificial intelligence」の略語として、また、「Sommelier」の文字は、「レストランで、客の相談にのってワインを選び、サービスをする専門職。」ほどの意味を有する語(いずれも「デジタル大辞泉」株式会社小学館)として一般に知られている語である。

そして、申立人の提出に係る証拠(甲1~甲3)によれば、「AI Sommelier」に通ずる「AIソムリエ」の文字が掲載されている証拠は3件程度と少なく、かつ、当該文字が、本件商標に係る指定役務との関係において、役務の特徴を表す語として宣伝広告に使用されているとはいい難いものである。

また、当審において職権をもって調査したところ、「AI Sommelier」に通ずる「AIソムリエ」の文字は、「顧客の好みの商品(例えば、ワインや日本酒)選びを支援する人工知能(AI)システム」、「人工知能(AI)を活用した商品(例えば、ワイン)の販売システム」等の意味で使用されている事実は確認できるものの、本件商標に係る指定役務を取り扱う業界において、「AI Sommelier」又は「AIソムリエ」の文字が役務の宣伝広告として表示されていると認めるに足りる事実及び本件商標に係る指定役務の需要者が当該文字を自他役務の識別標識とは認識しないというべき事情も発見できなかった。

そうすると、本件商標をその指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるとはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第8号について

申立人は、本件商標は、トッププロ棋士である関航太郎九段の著名な名称である「AIソムリエ」と同一であり、かつ、関九段の承諾を得ているものとは認められない旨述べている。

ところで、他人の名称を含む商標について登録を受けることができないと規定する商標法第4条第1項第8号の趣旨は、当該他人の人格権を保護するという点にあるところ、同号が、他人の名称について著名性を要件としていないのに対し、他人の略称についてはこれを要件としているのは、略称については、これを使用する者がある程度恣意的に選択する余地があること、そして、著名な略称であって初めて名称と同様に特定人を指し示すことが明らかとなり、氏名と同様に略称が保護されるべきことによるものと解される。したがって、同号所定の他人の名称とは、使用する者が恣意的に選択する余地のない名称、すなわち、会社の商号など法令上の正式名称であると解される(東京高裁平成13(行ケ)387号、平成14年6月26日判決参照)。

これを本件についてみるに、申立人が提出したウェブサイト(甲4)及び当審における職権調査によると、「AIソムリエ」の文字が、トッププロ棋士である関航太郎九段の異名として使用されている事実は見受けられる。

しかしながら、本件商標は、商標法第4条第1項第8号にいう「他人の名称」とは認められず、また、当該サイト(甲4)がどの程度一般に利用されているものか明らかではないことに加え、当該サイトの閲覧回数も不明であることからすると、本件商標は、他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標とはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第8号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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